説明

濾過装置を備えたチップコンベア

【課題】軽量化及び小型化を図ることができるとともに、コストを低減することができる濾過装置を備えたチップコンベアを提供する。
【解決手段】第1コンベア12を構成する上昇部23の下側に第2コンベア13を設ける。前記上昇部23の下端部の底板40に開口40aを形成し、受取部22側の第1切削液貯留室R1の下部貯留室R1cと、第2コンベア13の第2トラフ39の下部に形成した第2切削液貯留室R2とを前記開口40aにより連通する。前記第2コンベア13の第2搬送体63の内側に濾過装置14を設ける。前記第1切削液貯留室R1の下方に第2切削液貯留室R2を延在しなくてもよいので、チップコンベア11の軽量化及び小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過装置を備えたチップコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、濾過装置を備えたチップコンベアとして、上下2段式の第1コンベア及び第2コンベアを備えたものが提案されている。前記第1コンベアを構成する第1トラフは、水平方向に延びる受取部と、この受取部の下流側から斜め上方に延びる上昇部と、この上昇部の上端部から水平に延びる排出部とにより構成されている。前記第1トラフの内部には、駆動及び被動のスプロケットホイールにより無端状の第1搬送体が周回可能に装着されている。前記第2コンベアを構成する第2トラフも、前記第1コンベアの第1トラフと同様に、受取部、上昇部及び排出部により構成され、それらの内部には、駆動及び被動のスプロケットホイールにより無端状の第2搬送体が周回可能に装着されている。前記第2トラフの上昇部の下部には、第2搬送体の内側に位置するようにドラム状のフィルタを有する濾過装置が装着されている。
【0003】
第1トラフの受取部に形成された第1切削液貯留室の左右両側壁の開口から横溢された切削液は、第2トラフの受取部の第2切削液貯留室に移動され、第2搬送体により切削液に含まれるチップが排出位置に搬送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のチップコンベアにおいては、第1コンベアの第1トラフの受取部の第1切削液貯留室の下側に、第2コンベアの第2トラフの受取部が配設されているので、第1及び第2トラフの受取部の全体の高さ寸法が大きくなる。又、第1コンベアの第1切削液貯留室の左右両側壁部に形成した開口から第2コンベアの第2切削液貯留室に切削液を横溢させるので、第2コンベアの受取部の幅寸法を大きくしなければならない。このため、上下に配置された第1及び第2トラフの全体の高さ寸法と幅寸法が大きくなり、チップコンベアの軽量化及び小型化を図ることができないという問題があった。さらに、第2コンベアの第2トラフの受取部が必要になるため、第2搬送体の長さも長くなり、それらの材料費が高くなるという問題もあった。
【0005】
この発明の目的は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、軽量化及び小型化を図ることができるとともに、コストを低減することができる濾過装置を備えたチップコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、工作機械から切削液とともに排出されるチップを受取位置において受け取る水平に延びる受取部と、該受取部の下流端から上方へ傾斜するように延びる上昇部と、その上昇部の上端部に設けた排出部とにより構成された第1トラフの内部に無端状の第1搬送体を周回可能に配設し、該第1搬送体によりチップを前記受取位置から排出位置に搬送するように構成した第1コンベアと、前記第1コンベアの前記受取部の下部に設けられた第1切削液貯留室から外部に排出される切削液を貯留する第2切削液貯留室を有する第2トラフの内部に無端状の第2搬送体を周回可能に配設し、該第2搬送体によりチップを前記排出位置へ搬送するようにした第2コンベアと、前記第2切削液貯留室に設けられ、かつ切削液を濾過する濾過装置とを備えたチップコンベアにおいて、前記第2トラフを前記第1トラフの上昇部の下側に配設し、前記第1切削液貯留室のうち前記第1搬送体の復行部の下側に形成された下部貯留室と、前記第2切削液貯留室とを、前記第1トラフの前記上昇部の下端寄りの底板に形成した開口により連通したことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記濾過装置を構成するドラム状のフィルタは、第2搬送体の周回運動を利用して回転されるように構成されている濾過装置を備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記濾過装置は、第2切削液貯留室を形成する第2トラフの左右一対の側壁に形成された取付穴の周縁に取り付けられた一対の取付板と、両取付板に対し支軸を介して回転可能に取り付けられた左右一対のスプロケットホイールと、両ホイールの間にドラム状に連結されたフィルタと、前記両ホイールの外側面と、前記取付板の内側面との間に介在されたリング状のシール部材とによって構成され、前記両スプロケットホイールの外周には、前記第2搬送体を構成する左右両側のチェーンが噛み合わされ、前記フィルタを透過した濾過液を前記両スプロケットホイール及び取付板に設けた開口から第2トラフの下方に配設された濾過液貯留槽に排出するように構成されている濾過装置を備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記両取付板に設けた支軸の一方には、濾過液の通路が形成され、該支軸の先端部には、配管を介して噴射ノズルが前記フィルタの内部に形成された濾過室に位置するように連結され、該ノズルの複数の噴射孔から噴射された濾過液によって、前記フィルタの外周面に付着したチップを分離するように構成されている濾過装置を備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記噴射ノズルは前記上昇部の底板に向かって鋭角を有するように濾過液を噴射可能に構成されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項において、前記底板に形成された前記開口付近において円弧軌道に沿って案内される第1搬送体の円弧状の復行部の左右両側のチェーンの下面は、前記上昇部の下端寄り底板の上面に局部的に敷設された案内レールによって案内移動され、前記チェーンの上面は、第1切削液貯留槽の側壁に取り付けた案内ローラによって案内移動されるように構成され、前記第1搬送体の往行部と復行部の間に形成された中間貯留室と前記下部貯留室とは、前記案内レールの敷設されていない位置に形成された連通路によって互いに連通されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、前記第2トラフを前記第1トラフの上昇部の下側に配設し、前記第1切削液貯留室のうち前記第1搬送体の復行部の下側に形成された下部貯留室と、前記第2切削液貯留室とを、前記第1トラフの前記上昇部の下端寄り底板に形成した開口により連通した。そして、前記下部貯留室から前記第2切削液貯留室に切削液を供給するようにした。このため、第1コンベアの受取部の下側に第2コンベアの第2切削液貯留室及び第2搬送体を水平方向に延長して設ける必要がなく、チップコンベアの高さ寸法を短くすることができる。この結果、チップコンベアの軽量化及び小型化を図ることができるとともに、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を工作機械に使用されるチップコンベアの濾過装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
最初に、図2に基づいてチップコンベア11の概要を説明する。このチップコンベア11は工作機械Kのワークの加工部から排出樋Tを介して排出される切削液にはチップが混入されている。又、このチップコンベア11は切削液に含まれるチップを受取位置P1から排出位置P2に搬送するための第1コンベア12と、この第1コンベア12によって排出されなかったチップを同じく前記排出位置P2に搬送するための第2コンベア13とを備えている。前記第2コンベア13には切削液を濾過してチップを分離するための濾過装置14が備えられている。前記第2コンベア13の下方には、前記濾過装置14によって濾過された切削液を回収して貯留するための濾過液貯留槽16が配設されている。この濾過液貯留槽16には、ポンプ18を有する配管17が接続され、その先端部から前記工作機械Kのワークの加工部に濾過液を供給するようになっている。
【0013】
そこで、前記第1コンベア12、第2コンベア13及び濾過装置14の構成を順次説明する。
図2に示すように、第1コンベア12を構成する第1トラフ21は、下部において水平に延びる受取部22と、その受取部22の下流端(図2の右端)から上方へ傾斜するように延びる上昇部23と、その上昇部23の上端から水平方向へ延びる排出部24とにより構成されている。前記第1トラフ21の受取部22及び排出部24内にはスプロケットホイール25,26が回転可能に支持され、両スプロケットホイール25,26間には無端状の第1搬送体27が掛装されている。
【0014】
図3に示すように、前記受取部22は第1切削液貯留槽31を備え、この第1切削液貯留槽31の左右両側壁の内面には、上部案内レール32が敷設され、一対の案内レール32に前記第1搬送体27の往行部が案内移動可能に支持されている。図1に示すように前記上昇部23の内部には前記第1搬送体27の復行部を案内移動するための案内レール33が該上昇部23の下端部の所定領域に局部的に敷設されている。即ち、図1の上昇部23の底板40の下端位置から右斜め上方に所定距離だけ離隔した位置まで敷設されている。この案内レール33は角棒材により形成され、図4に示すようにチェーン34の復行部の下側のみを支持するようにしている。
【0015】
前記第1搬送体27は図3及び図4に示すように、前記案内レール32,33に案内される左右一対のチェーン34,34に架橋された連結軸35に対し、スクレーパ36aを有するフラッパ36を屈曲可能に多数枚連結して構成されている。図2に示す前記スプロケットホイール26は前記排出部24の外側壁に設けた図示しないモータによって時計回り方向に回転され、前記第1搬送体27を図2の矢印で示すように周回運動させて、チップを受取位置P1から排出位置P2に搬送するようになっている。
【0016】
図3に示すように前記上部案内レール32は第1搬送体27の上部に配設された往行部のチェーン34を上下両側から挟むように上下二枚の帯板により構成され、チェーン34の外側の貯留室にチップが入り込まないようになっている。前記第1切削液貯留室R1は第1搬送体27の往行部の上側の上部貯留室R1aと、第1搬送体27の往行部と復行部の間の中間部貯留室R1bと、第1切削液貯留槽31の底板31aと第1搬送体27の復行部の下面との間に形成された下部貯留室R1cとによって構成されている。前記中間部貯留室R1bと下部貯留室R1cは、第1搬送体27の復行部のチェーン34の外側方に形成された連通路R1d,R1dによって連通成されている。上部貯留室R1a内の一部の微細なチップは第1搬送体27の往行部のフラッパ36相互の隙間やチェーン34自体に存在する隙間から中間部貯留室R1bに侵入する。この中間部貯留室R1b内のチップは主として前記連通路R1d,R1dを通して前記下部貯留室R1cに移動される。
【0017】
図1に示すように、第1搬送体27の復行部のうち受取部22と上昇部23の境界部を円弧軌道で周回する部分には、第1搬送体27を変向して案内移動させるため、図4に示すように第1切削液貯留槽31の側壁に支軸37を介して案内ローラ38を回転可能に装着し、該案内ローラ38をチェーン34の上面に接触させている。
【0018】
次に、前記第2コンベア13及び濾過装置14について説明する。
図1に示すように、前記第1コンベア12の上昇部23の下側には、第2コンベア13を構成する正面ほぼ直角三角形状の第2トラフ39が装設されるとともに、この第2トラフ39の下部には、前記濾過装置14が装着されている。前記第1コンベア12の受取部22の前記第1切削液貯留槽31は受取部22の全域に配設され、該第1切削液貯留槽31内に形成された第1切削液貯留室R1には、切削液が受取部22の前記第1搬送体27を埋没する程度の図1に示す液位Lに貯留されるようになっている。前記第2トラフ39の下部には、第2切削液貯留室R2が形成されている。前記上昇部23の下側部の傾斜する底板40は、図1に示すように前記第1切削液貯留槽31の水平の底板31aと円弧状に連結されている。前記底板40には、前記第1切削液貯留室R1の下部貯留室R1cと第2切削液貯留室R2を互いに連通する開口40aが形成され、第2切削液貯留室R2の液位Lも前記開口40aによって前記液位Lに保たれるようになっている。
【0019】
前記第1切削液貯留室R1の下部貯留室R1cから開口40aを通して第2切削液貯留室R2に流動された切削液を濾過する濾過装置14の構成を第2コンベア13に先立って説明する。図5に示すように、前記第2トラフ39の下部の左右両側壁部には、円形の取付穴39aがそれぞれ形成されている。両取付穴39a,39aには円板状の第1取付板41及び第2取付板42がボルト及びナットによって取り付けられている。前記第1取付板41の内側の中心部には、支軸43がボルトによって取り付けられ、前記第2取付板42の中心部には、支軸44が貫通されるように、ボルト及びナットによって取り付けられている。前記支軸43,44には、左右一対のスプロケットホイール45,46が回転可能に支持されている。前記スプロケットホイール45,46の互いに対向する内側面には、円環状の取付リング47が溶接によって取り付けられ、両取付リング47の間には横向きのドラム状をなすステンレス製の篩い(例えば100メッシュ:篩い目の開きが0.149mm)よりなるフィルタ48の左右両端部がボルト49及びナットによって取り付けられている。
【0020】
前記スプロケットホイール45,46の外側壁面には、円環状の取付リング50が前記支軸43,44を中心とする同心状に2箇所に取り付けられ、両取付リング50には、同じく円環状のシールリング51がそれぞれ取着され、それらのリップ部51aが前記第1及び第2取付板41,42の内側面に接触されている。前記フィルタ48及びシールリング51によって、前記第2トラフ39の前記第2切削液貯留室R2内には濾過室R3が区画形成され、前記フィルタ48を透過した濾過液(濾過された切削液)を濾過室R3内に導き、チップはフィルタ48の外周面によって捕捉するようになっている。前記濾過室R3内に流入した濾過液は、前記スプロケットホイール45,46に形成された開口45a,46a及び第1及び第2取付板41,42に形成された開口41a,42aを通して、前記濾過液貯留槽16に還元される。
【0021】
図5に示すように、前記支軸44に形成された通路44aには、前記配管17から配管52によって濾過液貯留槽16内の濾過液が供給されるようになっている。前記支軸44の先端部には、前記濾過室R3内に位置するように、配管53を介して、噴射ノズル54が取り付けられている。この噴射ノズル54には複数の噴射孔54aが形成され、前記フィルタ48の内周面側から濾過液をフィルタ48に噴射することにより、フィルタ48の外周面に堆積しているチップを飛散させて第2切削液貯留室R2の下部に移動するようになっている。前記噴射ノズル54は図1に示すように上昇部23の底板40に向かって斜め上方に指向するように、かつ前記底板40に対し角度α(鋭角)を有するように配設されている。
【0022】
次に、前記第2コンベア13について説明する。
図1に示すように、前記第2トラフ39の第2切削液貯留室R2の下部には、前記開口40aの下端縁に近接するように、かつ前記スプロケットホイール45,46と対応するように一対(一箇所のみ図示)のスプロケットホイール61が配設され、前記第2トラフ39の上端排出部にも前記スプロケットホイール61と対応するように一対(一箇所のみ図示)のスプロケットホイール62が取り付けられている。前記スプロケットホイール61,62及び前記スプロケットホイール45,46には、無端状の第2搬送体63が掛装されている。前記第2トラフ39の内部には、前記第2搬送体63の左右両端部を案内するための案内レール64,65が敷設されている。前記第2搬送体63は、図5に示すように、前記スプロケットホイール45,46の外周部に噛み合わされた左右一対のチェーン66,66と、図4に示すように両チェーン66,66を構成するリンク66a,66aに対しブラケット67,67を介して架橋された複数のフラッパ68とによって構成されている。
【0023】
図1に示す前記スプロケットホイール62は前記第2トラフ39の上部の外側壁に設けた図示しないモータによって反時計回り方向に回転され、前記第2搬送体63を図1の矢印で示すように周回運動させて、第2切削液貯留室R2内のチップを排出位置P2に搬送するようになっている。
【0024】
図1に示すように、前記第2トラフ39の側壁面には、保守点検用の開口71が形成され、開口71を遮蔽するための蓋板72が取り外し可能に装着されている。
次に、前記のように構成されたチップコンベア11の動作について説明する。
【0025】
図2において、前記第1搬送体27が時計回り方向に周回されると共に、前記第2搬送体63が反時計回り方向に周回され、濾過装置14のスプロケットホイール45,46が第2搬送体63によって同方向に回転されると、図5に示すフィルタ48が同方向に回転される。この状態で、ポンプ18が作動されて、濾過液貯留槽16内に貯留されている濾過液が配管17を介して工作機械Kのワークの加工部に供給される。供給された濾過液はチップを含む切削液となって、排出樋Tから第1コンベア12の受取部22の受取位置P1に流下される。この切削液は、第1切削液貯留槽31の第1切削液貯留室R1に貯留されるとともに、上部貯留室R1aの切削液に含まれるチップは第1搬送体27によって受取部22の下流側へ搬送された後、上昇部23の内部を上方に移動し、排出部24から排出位置P2の下方に設けた図示しない回収容器に落下される。
【0026】
前述したように前記第1切削液貯留室R1の中間部貯留室R1bに侵入したチップは、図3において左右の連通路R1d,R1dを通して下部貯留室R1cに移動され、図1において上昇部23内を下方に移動する第1搬送体27の復行部に付着残留したチップは下部貯留室R1c内の切削液に分散される。そして、チップを含んだ下部貯留室R1c内の切削液は、図1及び図2に示すように前記上昇部23の底板40に形成された開口40aから第2切削液貯留室R2内に流入され、この切削液に含まれるチップの一部は、第2搬送体63のフラッパ68によって捕捉され、図1において、第2トラフ39の上端開口部から下方に落下され、図示しない前記回収容器に回収される。
【0027】
前記第2切削液貯留室R2内の切削液は、濾過装置14のフィルタ48によって、濾過されて濾過室R3内に流動し、図5に示す開口45a,46a,41a,42aから下方に流下され、前記濾過液貯留槽16内に貯留される。前記フィルタ48によって捕捉されたチップは、噴射ノズル54の噴射孔54aから噴射される濾過液によって、フィルタ48の外周面から分離され、第2切削液貯留室R2の下部に移動される。このチップは前記第2搬送体63のフラッパ68によって捕捉され、上方向に搬送された後、前記回収容器に回収される。
【0028】
次に、前記のように構成したチップコンベア11の効果を構成とともに列記する。
(1)前記実施形態では、前記第1コンベア12を構成する上昇部23の下端部の底板40に対し開口40aを形成して、受取部22側の第1切削液貯留室R1の下部貯留室R1cと、第2コンベア13側の第2切削液貯留室R2とを連通した。このため、第2トラフ39及び第2搬送体63を前記受取部22の下方に延在する必要がなく、受取部22の下方に第2トラフ39の下部を大きく延長して形成しなくても済み、チップコンベア11の上下方向の高さ寸法を短くすることができる。又、第2トラフ39の幅寸法を第1トラフ21の幅寸法よりも大きくしなくても済み、チップコンベア11の軽量化及び小型化を図ることができるとともに、第2コンベア13の材料費を節約することができる。
【0029】
(2)前記実施形態では、前記第1搬送体27の復行部のチェーン34を案内支持する案内レール33を前記開口40aと対応して局部的に敷設するとともに、第1搬送体27の復行部のチェーン34の上面に案内ローラ38を接触するようにした。又、前記案内レール33以外の部分に中間部貯留室R1bと下部貯留室R1cを連通する左右の連通路R1d,R1dを形成した。このため、前記中間部貯留室R1bの切削液に侵入したチップを左右の連通路R1d,R1dから下部貯留室R1cに円滑に移動することができる。従って、前記中間部貯留室R1bにチップが多量に残留するのを防止することができる。
【0030】
(3)前記実施形態では、前記第2コンベア13の第2搬送体63の周回運動を利用して、スプロケットホイール45,46を回転し、濾過装置14のフィルタ48を回転するようにした。このため、濾過装置14のフィルタ48を回転する専用の駆動機構を設ける必要がなく、部品点数を低減し、製造及び組み付け作業を容易に行いコストを低減することができる。
【0031】
(4)前記実施形態では、前記噴射ノズル54が前記上昇部23の底板40に向かって斜め上方に濾過液を噴射するように構成されているので、フィルタ48から分離されたチップが第2搬送体63に向かって移動され、第2搬送体63によるチップの捕捉を円滑に行い、チップの排出を適正に行うことができる。
【0032】
(5)前記実施形態では、第2切削液貯留室R2を形成する第2トラフ39の左右一対の側壁に形成された取付穴39aの周縁に取り付けられた一対の取付板41,42と、両取付板41,42に対し支軸43,44を介して回転可能に取り付けられた左右一対のスプロケットホイール45,46と、両ホイール45,46の間にドラム状に連結されたフィルタ48と、前記両ホイール45,46の外側面と、前記取付板41,42の内側面との間に介在されたシールリング51とによって前記濾過装置14を構成した。このため、第2トラフ39の取付穴39aに対する濾過装置14の装着作業又は取り外し作業を容易に行うことができる。
【0033】
次に、この発明の別の実施形態を説明する。
・ 図7に示すように、前記第2トラフ39の下部に前記濾過装置14を2箇所に設けてもよい。
【0034】
・ 図1に示す実施形態において、第1切削液貯留槽31の底板31aの高さと、第2トラフ39の第2切削液貯留室R2の底板の高さとを同じにしてもよい。
・ 前記濾過装置14のフィルタ48の回転を専用の回転駆動機構により行うようにしてもよい。
【0035】
・ 前記フィルタ48は例えば16〜200メッシュの範囲に設定してもよい。
・ 前記第2搬送体63の周回方向を図1の時計回り方向にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明を具体化したチップコンベア及び濾過装置の要部の縦断面図。
【図2】チップコンベア全体を示す正断面図。
【図3】図2の1−1線拡大断面図。
【図4】図2の2−2線拡大断面図。
【図5】濾過装置の拡大断面図。
【図6】濾過装置の第1取付板及びスプロケットホイールを示す正面図。
【図7】この発明の別の実施形態を示すチップコンベア及び濾過装置の部分縦断面図。
【符号の説明】
【0037】
K…工作機械、P1…受取位置、P2…排出位置、R1…第1切削液貯留室、R2…第2切削液貯留室、R3…濾過室、R1c…下部貯留室、R1d…連通路、11…チップコンベア、12…第1コンベア、13…第2コンベア、14…濾過装置、17,52,53…配管、21…第1トラフ、22…受取部、23…上昇部、24…排出部、25,26,45,46,61,62…スプロケットホイール、27…第1搬送体、31…第1切削液貯留槽、31a,40…底板、33…案内レール、34,66…チェーン、37,43,44…支軸、38…案内ローラ、39…第2トラフ、39a…取付穴、40a,41a,42a,45a,46a,71…開口、41,42…取付板、44a…通路、45,46…ホイール、48…フィルタ、54…噴射ノズル、54a…噴射孔、63…第2搬送体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械から切削液とともに排出されるチップを受取位置において受け取る水平に延びる受取部と、該受取部の下流端から上方へ傾斜するように延びる上昇部と、その上昇部の上端部に設けた排出部とにより構成された第1トラフの内部に無端状の第1搬送体を周回可能に配設し、該第1搬送体によりチップを前記受取位置から排出位置に搬送するように構成した第1コンベアと、
前記第1コンベアの前記受取部の下部に設けられた第1切削液貯留室から外部に排出される切削液を貯留する第2切削液貯留室を有する第2トラフの内部に無端状の第2搬送体を周回可能に配設し、該第2搬送体によりチップを前記排出位置へ搬送するようにした第2コンベアと、
前記第2切削液貯留室に設けられ、かつ切削液を濾過する濾過装置と
を備えたチップコンベアにおいて、
前記第2トラフを前記第1トラフの上昇部の下側に配設し、前記第1切削液貯留室のうち前記第1搬送体の復行部の下側に形成された下部貯留室と、前記第2切削液貯留室とを、前記第1トラフの前記上昇部の下端寄りの底板に形成した開口により連通したことを特徴とする濾過装置を備えたチップコンベア。
【請求項2】
請求項1において、前記濾過装置を構成するドラム状のフィルタは、第2搬送体の周回運動を利用して回転されるように構成されている濾過装置を備えたチップコンベア。
【請求項3】
請求項2において、前記濾過装置は、第2切削液貯留室を形成する第2トラフの左右一対の側壁に形成された取付穴の周縁に取り付けられた一対の取付板と、両取付板に対し支軸を介して回転可能に取り付けられた左右一対のスプロケットホイールと、両ホイールの間にドラム状に連結されたフィルタと、前記両ホイールの外側面と、前記取付板の内側面との間に介在されたリング状のシール部材とによって構成され、前記両スプロケットホイールの外周には、前記第2搬送体を構成する左右両側のチェーンが噛み合わされ、前記フィルタを透過した濾過液を前記両スプロケットホイール及び取付板に設けた開口から第2トラフの下方に配設された濾過液貯留槽に排出するように構成されている濾過装置を備えたチップコンベア。
【請求項4】
請求項3において、前記両取付板に設けた支軸の一方には、濾過液の通路が形成され、該支軸の先端部には、配管を介して噴射ノズルが前記フィルタの内部に形成された濾過室に位置するように連結され、該ノズルの複数の噴射孔から噴射された濾過液によって、前記フィルタの外周面に付着したチップを分離するように構成されている濾過装置を備えたチップコンベア。
【請求項5】
請求項4において、前記噴射ノズルは前記上昇部の底板に向かって鋭角を有するように濾過液を噴射可能に構成されていることを特徴とする濾過装置を備えたチップコンベア。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記底板に形成された前記開口付近において円弧軌道に沿って案内される第1搬送体の円弧状の復行部の左右両側のチェーンの下面は、前記上昇部の下端寄り底板の上面に局部的に敷設された案内レールによって案内移動され、前記チェーンの上面は、第1切削液貯留槽の側壁に取り付けた案内ローラによって案内移動されるように構成され、前記第1搬送体の往行部と復行部の間に形成された中間貯留室と前記下部貯留室とは、前記案内レールの敷設されていない位置に形成された連通路によって互いに連通されていることを特徴とする濾過装置を備えたチップコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−105810(P2007−105810A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296851(P2005−296851)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(592213132)榎本ビーエー株式会社 (8)
【Fターム(参考)】