説明

濾過装置

【課題】装置の小型化やコンパクト化を図りながら、膜モジュールの耐圧特性などが必要以上に要求されずに容易に実現できて実用面でも優れた濾過装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1,第2MF膜モジュール3A,3BとRO膜モジュール5とを直接的に連絡する連絡ライン21には、RO送液ポンプ23dが設けられており、RO送液ポンプ23dの吸い込み側には圧力センサ23fが設けられている。また、RO膜モジュール5の1次側とMF膜モジュール3A,3Bの2次側とは逆洗ライン29によって連絡されている。第2MF膜モジュール3Bを逆洗する際には、RO送液ポンプ23dは吸い込み圧が所定の設定圧力を維持するように駆動制御される。その結果として中間タンクなどが不要になって装置の小型化、コンパクト化に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの膜によって原液を濾過して濾過液を得る濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密ろ過膜や限外ろ過膜などの膜モジュールを利用した膜濾過装置が知られている。膜濾過装置では、膜モジュールの目詰まりを解消するため、膜モジュールの2次側から1次側に向けて濾過液を逆流させて膜洗浄する逆洗が行われる。逆洗可能な濾過装置の形態としては様々な態様が知られているが、例えば、交互逆洗可能な態様が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、内圧濾過式または外圧濾過式の中空糸膜濾過装置が記載されている。この膜濾過装置は、複数の膜モジュールを備え、例えば、逆洗時には第1の膜モジュールから排出された濾過液を他の第2の膜モジュールの2次側に供給して第2の膜モジュールの逆洗を行うことができる。この種の交互逆洗可能な濾過装置によれば、濾過水を逆洗用に貯めておく貯留タンクなどが不要となり、装置の小型化、コンパクト化に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第09/037999号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された濾過装置では、逆洗対象の第2の膜モジュールの汚れ(目詰まり)の程度に応じて、逆洗液を高圧で第2のモジュールに供給する必要があり、その高圧を実現するために第1の膜モジュールへの原水の供給圧を更に高める必要があり、結果として膜モジュールの耐圧特性を通常の濾過運転や逆洗運転で要求される以上に高める必要が生じて実用面での困難性が大きかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、装置の小型化やコンパクト化を図りながら、膜モジュールの耐圧特性などが必要以上に要求されずに容易に実現できて実用面でも優れた濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の膜モジュールと、膜モジュールそれぞれの1次側に原液を導入する導入ラインと、膜モジュールそれぞれの2次側に接続されると共に、膜モジュールによって濾過された濾過液を排出する濾過液排出ラインと、を備え、逆洗時には、逆洗対象となる膜モジュールに連絡する導入ラインの流路は閉鎖される濾過装置において、導入ラインに設けられると共に、所定流量の原液を膜モジュールに供給する原液供給ポンプと、濾過液排出ラインに設けられると共に、濾過液を圧送する濾過液圧送ポンプと、濾過液排出ラインの濾過液圧送ポンプよりも下流側と膜モジュールそれぞれの2次側とを連絡すると共に、逆洗時に逆洗対象となる膜モジュールとの間で流路が開放されて濾過液が逆洗液として流動する逆洗ラインと、膜モジュールそれぞれの1次側に接続されると共に、逆洗時に逆洗対象となる膜モジュールからの流路が開放されて膜モジュールを透過した逆洗液が排出される洗浄液排出ラインと、濾過液圧送ポンプの吸い込み側における濾過液の圧力を検出する圧検出手段と、圧検出手段で検出された圧力に基づいて濾過液圧送ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明では、膜モジュールを逆洗する際であっても逆洗対象以外の膜モジュールでは原液から濾過液を得る通常の濾過運転が継続して行われる。この通常の濾過運転で得られた濾過液は、濾過液圧送ポンプの駆動によって逆洗対象の膜モジュールの2次側に逆洗液として供給され、その膜モジュールの膜を透過した逆洗液は洗浄液排出ラインを通って排出される。ここで、例えば、原液供給ポンプと濾過液圧送ポンプとが中間タンクなどで縁切りされることなく実質的に連続したライン上に配置された態様を採用する場合、バランスが崩れると濾過液圧送ポンプ側でキャビテーションが発生する虞がある。しかしながら本発明では、圧検出手段によって濾過液圧送ポンプの吸い込み側での濾過液の圧力を検出し、検出した圧力に基づいて濾過液圧送ポンプの駆動を制御するため、キャビテーションの発生を未然に防止しながら濾過液圧送ポンプを駆動することができる。その結果として、原液供給ポンプと濾過液圧送ポンプとが実質的に連続したライン上に配置された構成を実現でき、濾過液を連続的に逆洗対象となる膜モジュールに供給できるため、濾過液を逆洗用に蓄えておく洗浄タンクなどが不要になって小型化、コンパクト化が可能になる。さらに、逆洗対象以外の膜モジュールで得られた濾過液を直接的に逆洗対象となる膜モジュールに供給するのではなく、濾過液圧送ポンプを介して供給されるので、逆洗対象となる膜モジュールの汚れ(目詰まり)に応じて適宜に供給圧を高めることも可能になるため、膜モジュールの耐圧特性を必要以上に高める必要はなく、容易に実現できて実用面で優れている。
【0009】
さらに、制御手段は、圧検出手段で検出された圧力が所定の設定圧を維持するように濾過液圧送ポンプの駆動を自動制御すると好適である。原液供給ポンプによる原液の押し込み圧と、濾過液圧送ポンプでの濾過液の引き込み圧とがバランスしていると濾過液圧送ポンプでのキャビテーションの発生を抑えながら安定した駆動を実現できる。上記構成によれば、例えば、逆洗対象以外の膜モジュールの目詰まりや原液供給ポンプによって供給される原液の流量変動によって濾過液の押し込み圧が所定の設定圧よりも低下すると、濾過液圧送ポンプを低速駆動とし、逆に押し込み圧が所定の設定圧よりも高くなると濾過液圧送ポンプを高速駆動とすることでバランスできるので濾過液圧送ポンプでのキャビテーションの発生を未然に防止でき、安定した駆動を実現できる。
【0010】
さらに、膜モジュールと濾過液圧送ポンプとの間において、濾過液排出ラインを流動する濾過液の流量を検出する流量検出手段を更に備え、制御手段は、流量検出手段で検出された流量に基づいて原液供給ポンプの駆動を制御することで所定流量の原液を膜モジュールに供給すると好適である。この構成によれば、例えば、濾過液排出ラインを流動する濾過液の流量を定量とする定量運転が可能になり、濾過液圧送ポンプの吸い込み側の圧力が安定し易く、キャビテーションの発生を、より効果的に防止できる。
【0011】
さらに、洗浄液排出ラインは原液排出ラインとしても利用できると好適である。膜モジュールに供給した原液を1次側から排出する必要がある場合に、洗浄液排出ラインを原液排出ラインとして利用できる構成であれば、洗浄液排出ラインとは別に原液排出ラインを設ける場合に比べて装置の簡素化、コンパクト化に有効である。
【0012】
さらに、上述の膜モジュールは、逆浸透膜に比べて粗目の膜を有する前段膜モジュールであり、濾過液排出ラインに1次側が接続されると共に、濾過液が透過する逆浸透膜を有する後段膜モジュールと、後段膜モジュールの2次側に接続されると共に、逆浸透膜を透過した2次透過液を排出する2次透過液排出ラインと、を更に備え、逆洗ラインは、後段膜モジュールの1次側と前段膜モジュールそれぞれの2次側とを連絡すると共に、逆洗時に逆洗対象となる前段膜モジュールとの間で流路が開放されて濾過液が逆浸透膜を透過せずに逆洗液として前段膜モジュールの2次側に供給されると好適である。後段膜モジュールの逆浸透膜に原液が直接供給されるのではなく、粗目の膜を有する前段膜モジュールによって比較的粒径の大きな不純物が予め除去された後の濾過液が後段膜モジュールに供給されるので、逆浸透膜の目詰まりを低減しながら装置全体としての濾過処理能力を向上できる。さらに、逆浸透膜に濾過液を供給するための高圧ポンプとして濾過液圧送ポンプを兼用できるので、設備負担が減り、装置の小型化やコンパクト化に有効である。
【0013】
さらに、後段膜モジュールの1次側に連絡する逆洗ラインから分岐すると共に、濾過時には大気開放され、逆洗時には閉鎖される濃縮液排出ラインを更に備えると好適である。濾過時において逆洗ラインは濃縮液排出ラインを介して大気開放されるので、後段膜モジュールにかかる高圧が、そのまま逆洗ラインに影響することはなく、逆洗ラインでの耐圧面での設備負担は低減される。
【0014】
さらに、逆洗ラインの流路を所定の開度に調整可能であるバルブを更に備えると好適である。このバルブによって濾過液圧送ポンプの背圧を適宜に調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置の小型化やコンパクト化が可能であり、且つ実用面でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る濾過装置を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態に係る濾過装置の概略斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本実施形態に係る濾過装置の濾過処理に係る手順を示すフローチャートである。
【図6】濾過運転時の液体の流れを示す図である。
【図7】第2MF膜モジュールの逆洗運転時の液体の流れを示す図である。
【図8】第1MF膜モジュールの逆洗運転時の液体の流れを示す図である。
【図9】第1,第2MF膜モジュールのフラッシング処理の液体の流れを示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る濾過装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態に係る濾過装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1〜図4に示されるように、濾過装置1Aは、生活廃水、工業用水、工場廃水または河川水といった原水(原液)を受け入れ、膜濾過によって浄化処理する装置である。濾過装置1Aは、複数のMF膜モジュール3A,3Bと複数のRO膜モジュール5とを備えている。原水は、最初にMF膜モジュール3A,3Bに供給されて粒径の比較的大きな濁質が除去され、次に、RO膜モジュール5に供給されて2次処理が施される。複数のMF膜モジュール3A,3Bと複数のRO膜モジュール5とは一台のコンテナ7内に収容されることでユニット化されており、搬送可能な態様を実現している。
【0019】
コンテナ7は、通常貨物輸送に使われる箱状の海上コンテナであり、コンテナ7の底部に配置された平板状のベース7aと、ベース7aに取付けられた蓋部7bとから構成されて略直方体形状になっている。蓋部7bの長手方向の一端には、ドアが設けられている。コンテナ7の全長は、約6m(20フィート)又は12m(40フィート)の各態様を採用できる。
【0020】
MF膜モジュール3A,3Bは、中空糸膜からなるMF膜(精密濾過膜)3aと、多数本のMF膜3aの束を収容する略円筒状のケース3bとを備えており、MF膜3aの束はケース3bの両端付近に設けられた接着層を介してケース3bに固定されている。MF膜モジュール3A,3Bは、MF膜3aを挟んで1次側の領域UAと2次側の領域DAとに区分され、1次側は原水を受け入れる上流側の領域UAであり、2次側は、MF膜3aを透過した濾過水の流出先となる下流側の領域DAである。そして、MF膜モジュール3A,3Bの一方の端部には1次側に連通する原水導入部3cが設けられている。また、MF膜モジュール3A,3Bの他方の端部には、2次側に連通する濾過水排出部3dと、1次側に連通してMF膜3aを透過しなかった原水や洗浄水が排出される洗浄水排出部3eとが設けられている。
【0021】
複数のMF膜モジュール3A,3Bは、同本数の第1のグループと第2のグループとに分かれている。なお、本実施形態では、複数のMF膜モジュールが同本数の二つのグループに分かれている態様を説明するが、三つ以上のグループに分かれていたり、グループそれぞれでのMF膜モジュールの本数が異なったりしてもよい。
【0022】
図2及び図3に示されるように、第1のグループに属する複数のMF膜モジュール(以下、「第1MF膜モジュール」という)3Aと第2のグループに属する複数のMF膜モジュール(以下、「第2MF膜モジュール」という)3Bとは二列に並んで配置されている。なお、図3は図1のIII−III線に沿った概略の断面図であるが、便宜上、複数本のMF膜モジュール3A,3Bのうちの図面右側は手前側に並ぶ第1MF膜モジュール3Aを示し、図面左側は奥側に並ぶ第2MF膜モジュール3Bを示している。
【0023】
第1MF膜モジュール3Aは、上側に配置された第1濾過水排出ヘッダ管9Aと下側に配置された第1原水導入ヘッダ管11Aとの間に立設されている。また、第2MF膜モジュール3Bは、上側に配置された第2原水導入ヘッダ管11Bと下側に配置された第2濾過水排出ヘッダ管9Bとの間に立設されている。
【0024】
第1原水導入ヘッダ管11Aは、コンテナ7の下側、すなわちベース7aに沿って設置されている。第1原水導入ヘッダ管11Aには、第1MF膜モジュール3Aの本数に対応した複数の枝管が設けられており、必要により第1MF膜モジュール3Aの原水導入部3cが継手管を介して第1原水導入ヘッダ管11Aの枝管に接続されている。
【0025】
また、第1濾過水排出ヘッダ管9Aはコンテナ7の上側、すなわち蓋部7bの天井に沿って設置されている。第1濾過水排出ヘッダ管9Aには、第1MF膜モジュール3Aの本数に対応した複数の枝管が設けられており、第1MF膜モジュール3Aの濾過水排出部3dは継手管を介して第1濾過水排出ヘッダ管9Aの枝管に接続されている。
【0026】
また、第1MF膜モジュール3Aの上側には、第1濾過水排出ヘッダ管9Aに並んで第1洗浄水排出ヘッダ管13Aが設置されている。第1洗浄水排出ヘッダ管13Aには、第1MF膜モジュール3Aの本数に対応した複数の枝管が設けられており、第1MF膜モジュール3Aの洗浄水排出部3eは、継手管を介して第1洗浄水排出ヘッダ管13Aの枝管に接続されている。
【0027】
第2MF膜モジュール3Bも第1MF膜モジュール3Aと同様であり、第2MF膜モジュール3Bの原水導入部3cは継手管を介して第2原水導入ヘッダ管11Bの枝管に接続され、濾過水排出部3dは、継手管を介して第2濾過水排出ヘッダ管9Bの枝管に接続され、洗浄水排出部3eは、継手管を介して第2洗浄水排出ヘッダ管13Bの枝管に接続されている。
【0028】
図1、図2及び図4に示されるように、RO膜モジュール5は、RO膜(逆浸透膜)5aと、複数のRO膜5aが一列に並んで収容される略円筒状のケース(「ベッセル」ともいう)5bとを備えている。RO膜モジュール5は、RO膜5aを挟んで1次側の領域UAと2次側の領域DAとに区分される。1次側は濾過液を受け入れる上流側の領域UAであり、2次側はRO膜5aを透過した2次透過水(2次透過液)の流出先となる下流側の領域DAである。RO膜モジュール5の一方の端部には、1次側に連通する濾過水導入部5cが設けられており、他方の端部には、2次側に連通する透過水排出部5dと、1次側に連通する濃縮水排出部5eが設けられている。濃縮水排出部5eからは、RO膜5aを透過しなかった濾過水が排出される。
【0029】
複数のRO膜モジュール5は、コンテナ7の長手方向に沿うように横になった状態で架台15に固定されている。複数のRO膜モジュール5同士の連結態様は様々な形態を採用できるが、本実施の形態に係る複数のRO膜モジュール5は多段となるように連結されている。具体的に説明すると、1段目には4本のRO膜モジュール5が配置され、2段目には2本のRO膜モジュール5が配置され、3段目には1本のRO膜モジュール5が配置されている。
【0030】
1段目のRO膜モジュール5は、濾過水導入部5cが上流側ヘッダ管17に接続されており、透過水排出部5dが下流側ヘッダ管19に接続されている。また、2段目のRO膜モジュール5の濾過水導入部5cは1段目のRO膜モジュール5の濃縮水排出部5eに連絡し、透過水排出部5dは下流側ヘッダ管19に接続されている。また、3段目のRO膜モジュール5の濾過水導入部5cは2段目のRO膜モジュール5の濃縮水排出部5eに連絡し、透過水排出部5dは下流側ヘッダ管19に接続されている。また、3段目のRO膜モジュール5の濃縮水排出部5eは濾過水を排出する管路29aに接続されている。このような連結態様にすることで、2次透過水の流量を増やすことが可能になる。
【0031】
次に濾過装置1Aの配管の構成について図1を参照して説明する。なお、図1(図6〜図9も同様)では、第1MF膜モジュール3Aのうち、一本を代表して記載しており、また、第2MF膜モジュール3Bのうち、一本を代表して記載しており、さらに、複数のRO膜モジュール5のうち、一本を代表して説明している。
【0032】
濾過装置1Aには、図示しない原水貯留タンクから原水を受け入れる導入ライン21が設けられている。導入ライン21は、所定の管径を有する管路21aを備えて構成されている。導入ライン21の管路は二方向に分岐し、一方の分岐部は第1MF膜モジュール3Aに連絡する第1原水導入ヘッダ管11Aに接続され、他方の分岐部は、第2MF膜モジュール3Bに連絡する第2原水導入ヘッダ管11Bに接続される。
【0033】
また、導入ライン21には、MF送液ポンプ(原液供給ポンプ)21bが設置されており、MF送液ポンプ21bによって原水が第1,第2MF膜モジュール3A,3Bに所定圧で供給される。また、導入ライン21の一方の分岐部には流路を開閉する第1のバルブVが設けられ、他方の分岐部にも流路を開閉する第2のバルブVが設けられている。第1のバルブV及び第2のバルブVは、操作盤(制御手段)41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には手動弁であってもよい。
【0034】
また、濾過装置1Aには、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3BとRO膜モジュール5とを連絡する連絡ライン23が設けられており、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3BとRO膜モジュール5とは、中間タンクなどを介せずに連絡ライン23によって直接に接続されている。
【0035】
連絡ライン23は、所定の管径を有する管路23a,23bと、濾過水を所定の高圧でRO膜モジュール5に圧送するRO送液ポンプ(濾過液圧送)23dとを備えており、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bの少なくとも一方で濾過された濾過水はRO送液ポンプ23dによって直接にRO膜モジュール5に供給される。
【0036】
連絡ライン23の管路は、RO送液ポンプ23dを挟んで上流側管路23aと下流側管路23bとに分かれている。上流側管路23aは、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとに対応して上流側の一部分が二方向に分岐しており、一方の分岐部は第1MF膜モジュール3Aに連絡する第1濾過水排出ヘッダ管9Aに接続され、他方の分岐部は第2濾過水排出ヘッダ管9Bに接続されている。一方の分岐部には流路を開閉する第3のバルブVが設けられ、他方の分岐部には流路を開閉する第4のバルブVが設けられている。第3のバルブV及び第4のバルブVは、操作盤(制御手段)41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0037】
また、一方の分岐部と他方の分岐部との合流箇所よりも下流側の部分には、管路内を流れる濾過水の流量を検出する流量計23eが設けられている。また、上流側管路23aの下流端はRO送液ポンプ23dの吸い込み部に接続されており、さらにRO送液ポンプ23dの吸い込み部の近傍には、RO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力を検出する圧力センサ23fが設けられている。流量計23eは連絡ライン(濾過液排出ライン)23を流動する濾過水(濾過液)の流量を検出する流量検出手段に相当する。
【0038】
連絡ライン23の下流側管路23bは、上流端がRO送液ポンプ23dの出口部に接続され、下流端がRO膜モジュール5に連絡する上流側ヘッダ管17に接続されている。また、下流側管路23bには、流路を開閉する第5のバルブVが設けられている。第5のバルブVは、操作盤(制御手段)41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0039】
また、濾過装置1Aには、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bの少なくとも一方から逆洗水または原水を排出する洗浄水排出ライン(洗浄液排出ライン)25が設けられている。洗浄水排出ライン25は、所定の管径を有する管路25aを備えて構成されている。洗浄水排出ライン25の上流側の管路は二方向に分岐し、一方の分岐部は第1MF膜モジュール3Aの1次側に連絡する第1洗浄水排出ヘッダ管13Aに接続され、他方の分岐部は第2MF膜モジュール3Bの1次側に連絡する第2洗浄水排出ヘッダ管13Bに接続されている。また、一方の分岐部には流路を開放する第6のバルブVが設けられ、他方の分岐部には流路を開放する第7のバルブVが設けられている。そして、洗浄水排出ライン25の下流側は、図示しない廃液タンクに連絡している。なお、交互逆洗の際には、洗浄水排出ライン25を逆洗水が流動して排出されるが、フラッシング処理の際には、原水が流動して排出される。
【0040】
また、濾過装置1Aには、RO膜モジュール5を透過した2次透過水(2次透過液)を排出する透過水排出ライン(2次透過液排出ライン)27と、RO膜モジュール5から流出する逆洗用の濾過水(逆洗水)を排出する逆洗ライン29と、逆洗ライン29から分岐して廃液タンク32に連絡する濃縮水排出ライン30とが設けられている。
【0041】
透過水排出ライン27は、下流側ヘッダ管19を介してRO膜モジュール5の2次側に連絡している。透過水排出ライン27は、所定の管径を有する管路27aと、管路27a内を流れる2次透過水の流量を検出する流量計27bと、流路を開閉する第8のバルブVとを有する。第8のバルブVは、操作盤41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。RO膜モジュール5で濾過された2次透過水は、透過水排出ライン27を通ってコンテナ7外に送り出される。
【0042】
逆洗ライン29は所定の管径を有する管路を備えて構成されている。逆洗ライン29の管路は、濃縮水排出ライン30の管路30aに連絡する分岐部を挟んで上流側の主管部29aと下流側の返送管部29bとを有する。主管部29aは、3段目(最終段目)のRO膜モジュール5の濃縮水排出部5eに接続しており、その結果として、RO膜モジュール5の1次側に連通する態様を実現している。多段に配置されたRO膜モジュール5において、いずれのRO膜5aも透過しなかった濃縮水または濾過水(逆洗水)は、3段目のRO膜モジュール5の濃縮水排出部5eを介して逆洗ライン29に排出される。
【0043】
主管部29aには流路を所定の開度に調整可能な制御バルブVaが設けられている。濾過運転時には、制御バルブVaによって開度を絞るとRO膜モジュール5から流出する透過水の流量は僅かに増加し、逆に開くと透過水の流量は僅かに減少する。従って、制御バルブVaによって開度を調整することで、透過水の流量の微調整が可能になる。また、主管部29aの制御バルブVaよりも下流側には、必要により主管部29a内を流れる液体の流量を検出する流量計29dが設けられている。
【0044】
返送管部29bは、第1MF膜モジュール3A及び第2のMF膜モジュールに連絡している。返送管部29bの下流側、すなわち、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bに連絡する側は二方向に分岐しており、一方の分岐部は第1濾過水排出ヘッダ管9Aに接続され、他方は第2濾過水排出ヘッダ管9Bに接続されている。一方の分岐部には流路を開閉する第10のバルブV10が設けられ、他方の分岐部には流路を開閉する第11のバルブV11が設けられている。第10のバルブV10及び第11のバルブV11は、操作盤41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0045】
濃縮水排出ライン30は所定の管径を有する管路30aと、流路を開閉する第9のバルブVとが設けられている。第9のバルブVは、操作盤(制御手段)41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0046】
廃液タンク32は密閉されておらず、濾過運転時には第9のバルブVは開放されるので濃縮水排出ライン30は大気開放された状態となる。その結果、濾過運転時において、RO膜モジュール5にかかる高圧が、そのまま逆洗ライン29に影響することはなく、逆洗ライン29での耐圧面での設備負担は低減される。
【0047】
また、濾過装置1Aは、逆洗ライン29の返送管部29bに薬液を供給する薬液供給部33を備えている。薬液供給部33は、コンテナ7のベース7a上に設置されたNaClO貯槽33dと、NaClO貯槽33dと逆洗ライン29の返送管部29bとを連絡する薬液移送管33eと、NaClO貯槽33dに対応した送液ポンプ(図示省略)と、薬液移送管33eの流路を開閉する第12のバルブV12とを有する。NaClO貯槽33dに貯留されるNaClO溶液は、第1MF膜モジュール3Aまたは第2MF膜モジュール3Bを逆洗する際に使用されるものである。また、第12のバルブV12は、操作盤41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0048】
また、濾過装置1Aは、NaClO貯槽33dの他に、NaOH貯槽33a、スケール防止剤貯槽33b、還元剤貯槽33cを備えている(図2参照)。SBS(sodium bisulfite)等の還元剤貯槽33cやスケール防止剤貯槽33bに貯留されるSBS及びスケール防止剤は、RO膜モジュール5を洗浄するときに使用される。
【0049】
また、濾過装置1Aは、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bにエアスクラビング用の圧縮空気を供給する高圧空気供給部35を備えている。高圧空気供給部35は、圧縮空気を送り出すコンプレッサ(図示省略)と、コンプレッサによって送り出された圧縮空気を第1MF膜モジュール3Aの1次側及び第2MF膜モジュール3Bの1次側に供給する高圧空気供給管35aとを備えている。
【0050】
高圧空気供給管35aの下流部分は第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bの本数に対応して複数の枝管に分岐している。高圧空気供給管35aの各枝管は複数の第1MF膜モジュール3A及び複数の第2MF膜モジュール3Bそれぞれの1次側に連通するように、第1MF膜モジュール3Aの下部または第2MF膜モジュール3Bの下部に接続されている。また、高圧空気供給管35aには、第1MF膜モジュール3A側に連絡する枝管の流路を開閉する第13のバルブV13と、第2MF膜モジュール3B側に連絡する枝管の流路を開閉する第14のバルブV14とが設けられている。第13のバルブV13及び第14のバルブV14は、操作盤41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0051】
また、濾過装置1Aは、通常の濾過運転に加えて、交互逆洗運転を行うための流路の開閉制御などを行う操作盤41を備えている。操作盤41は、制御CPU(Central Processing Unit)、記憶装置(Strage Unit)、入力装置(Input Device)及び出力装置(Output Device)などを備えて構成されており、所定のプログラムに従って動作することで、バルブ制御部43、MFポンプ制御部45、ROポンプ制御部47、及び2次透過水制御部49としての各機能を実現する。以下、操作盤41の構成を機能に分けて説明する。なお、本実施形態では、操作盤41が、バルブ制御部43、MFポンプ制御部45、ROポンプ制御部47、及び2次透過水制御部49の全ての機能を実現する態様にて説明するが、複数の制御装置(制御手段)を分散して配置し、制御装置それぞれで各機能を分担させるようにしてもよい。
【0052】
操作盤41は、第1のバルブV、第2のバルブV、第3のバルブV、第4のバルブV、第5のバルブV、第6のバルブV、第7のバルブV、第8のバルブV、第9のバルブV、第10のバルブV10、第11のバルブV11、第12のバルブV12、第13のバルブV13、及び第14のバルブV14に制御信号を送受信可能となるように有線または無線によって接続されている。バルブ制御部43として機能する操作盤41から第1〜第14のバルブV〜V14へ制御信号が送信されると、その制御信号を第1〜第14のバルブV〜V14が受け付け、そして第1〜第14のバルブV〜V14は受け付けた制御信号に従って流路を開放し、または閉鎖する。
【0053】
また、操作盤41は、連絡ライン23に設けられた流量計23eに有線または無線によって接続されており、流量計23eで検出された流量データを取得可能に構成されている。また、操作盤41は、MF送液ポンプ21bに制御信号を送受信可能となるように有線または無線によって接続されている。
【0054】
MFポンプ制御部45として機能する操作盤41は、流量計23eで検出された流量データを監視しており、流量データが所定の閾値(例えば25m/hを中心として一定の誤差範囲)よりも低い場合には、MF送液ポンプ21bを高速運転にして流量を増やし、流量データが所定の閾値よりも高い場合には、MF送液ポンプ21bを低速運転にして流量を減らす。その結果、MFポンプ制御部45は、連絡ライン23を通過する濾過水の流量を所定の設定流量に保持する自動制御を行い、その結果として、所定流量の原水を第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bの少なくとも一方に供給する。なお、濾過水の流量設定は、オペレータなどによる操作盤41の入力操作によって実行され、入力操作を受け付けた操作盤41は、入力値を濾過水の流量の閾値としてメモリなどに設定登録する。
【0055】
また、操作盤41は、連絡ライン23に設けられた圧力センサ23fに有線または無線によって接続されており、圧力センサ23fで検出された圧力データを取得可能に構成されている。また、操作盤41は、RO送液ポンプ23dに制御信号を送受信可能となるように有線または無線によって接続されている。
【0056】
ROポンプ制御部47として機能する操作盤41は、圧力センサ23fで検出された圧力データを監視しており、圧力データが所定の閾値(例えば水柱5mを中心として一定の誤差範囲)よりも低い場合には、RO送液ポンプ23dを低速運転にして圧送流量を減らし、圧力データが所定の閾値よりも高い場合には、RO送液ポンプ23dを高速運転にして圧送流量を増やす。その結果、ROポンプ制御部47は、RO送液ポンプ23dの吸い込み部側での圧力を所定の設定圧力に保持する自動制御を行う。なお、RO送液ポンプ23dの吸い込み部側での圧力設定は、オペレータなどによる操作盤41の入力操作によって実行され、入力操作を受け付けた操作盤41は、入力値をRO送液ポンプ23dの吸い込み部側での圧力の閾値としてメモリなどに設定登録する。
【0057】
また、操作盤41は、透過水排出ライン27に設けられた流量計27bに有線または無線によって接続されており、流量計27bで検出された流量データを取得可能に構成されている。また、操作盤41は、逆洗ライン29の主管部29aに設けられた流量計29dに有線または無線によって接続されており、流量計29dで検出された流量データを取得可能に構成されている。また、操作盤41は、主管部29aに設けられた制御バルブVaに制御信号を送受信可能となるように有線または無線によって接続されている。2次透過水制御部49として機能する操作盤41は、透過水排出ライン27側の流量計27bで検出された流量データと必要に応じ逆洗ライン29側の流量計29dで検出された流量データとを監視している。そして操作盤41は、透過水排出ライン27側の流量計27dで検出された流量データが所定の設定流量となるように保持する自動制御を行う。なお、2次透過水の設定流量は、オペレータなどによる操作盤41の入力操作によって実行され、入力操作を受け付けた操作盤41は、入力値を2次透過水の流量の閾値としてメモリなどに設定登録する。
【0058】
次に、本実施形態に係る濾過装置1Aを用いた処理フローについて図5〜図9を参照して説明する。図5は、濾過装置1Aの運転手順を示すフローチャートである。また、図6は、濾過運転を行っている状態での液体の流れを示す図であり、図7は第2MF膜モジュール3Bの逆洗処理を行っている状態での液体の流れを示す図であり、図8は第1MF膜モジュール3Aの逆洗処理を行っている状態での液体の流れを示す図である。また、図9は、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとの両方にフラッシング処理を施している状態での液体の流れを示す図である。
【0059】
濾過装置1Aを運転する際には、初期設定として濾過装置1Aの処理能力や要求性能などに応じた設定値を入力する必要がある。本実施形態では、例えば、通常の濾過が27分、第2MF膜モジュール3Bの逆洗が1分、第1MF膜モジュール3Aの逆洗が1分、そして第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bのフラッシングが1分の計30分の運転を行うための入力操作がオペレータによって行われる。更に、濾過水の設定流量は25m/h、RO送液ポンプ23dの吸い込み側の設定圧力は水柱5m、2次濾過水の設定流量は20m/hというデータがオペレータの操作入力によって設定される。
【0060】
図5及び図6に示されるように、原水の濾過処理を開始すると、操作盤41は、通常の濾過運転を開始する(ステップS1)。ここで、操作盤41は、第1〜第5のバルブV〜V、第8のバルブV、第9のバルブVを開放し、第6のバルブV、第7のバルブV、第11〜第14のバルブV11〜V14を閉鎖する。以上のバルブ制御により、導入ライン21、連絡ライン23、透過水排出ライン27、及び濃縮水排出ライン30は流路が開放された状態になり、逆洗ライン29、及び洗浄水排出ライン25は流路が閉鎖された状態になる。
【0061】
次に、MF送液ポンプ21bを駆動し、圧力センサ23fで検出された圧力データが所定圧力(水柱5m)まで到達するとRO送液ポンプ23dを駆動してRO膜モジュール5に濾過水を供給する。また、RO膜モジュール5から排出される2次透過水の流量が所定の設定流量(20m/h)を保持するように制御バルブVaの開度を微調整する。
【0062】
通常の濾過運転について更に詳しく説明する。濾過装置1Aでは、流量制御、圧力制御、流量制御といったMF−RO直結制御が行われている。具体的には、流量計23eによって検出された濾過水の流量データは、操作盤41の制御CPU(図示せず)に入力される。制御CPUは、流量計23eで検出された流量データに基づいてPID(Proportional Integral Derivative)演算を行い、その結果に基づいてMF送液ポンプ用インバータ周波数制御を行う。これによって、MF送液ポンプ21bのモータ回転数制御が実行され、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bへの原水の供給量が変動する。なお、MF送液ポンプ用インバータ周波数制御のためのPID演算としては、例えば設定値との偏差による出力演算が挙げられ、本実施形態では濾過水の流量を25m/hに維持するための出力演算である。
【0063】
また、圧力センサ23fで取得されたRO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力データは、操作盤41の制御CPUに入力される。制御CPUは、圧力センサ23fで検出された圧力データに基づいてPID演算を行い、RO送液ポンプ用インバータ周波数制御を行う。これによって、RO送液ポンプ23dのモータ回転数制御が実行され、RO送液ポンプ23dの吐出量が変動する。なお、RO送液ポンプ23d用インバータ周波数制御のためのPID演算としては、例えば設定値との偏差による出力演算が挙げられ、本実施形態ではRO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力を水柱5mに維持するための出力演算である。
【0064】
また、透過水排出ライン27に設けられた流量計27aによって検出された2次濾過水の流量データは、操作盤41の制御CPUに入力される。制御CPUは、流量計27aで検出された流量データに基づいてPID演算を行い、その結果に基づいて制御バルブVaの開度制御を行う。これによって、RO膜モジュール5から排出される濃縮水の流量が変動し、これに伴って2次透過水の流量が変動する。なお、制御バルブVaの開度制御のためのPID演算としては、例えば設定値との偏差による出力演算が挙げられ、本実施形態では2次透過水の流量を20m/hに維持するための出力演算である。
【0065】
上記のMF−RO直結制御を行うことで、例えば、MF膜差圧が大きくなってきた場合は、MF送液ポンプ21bの回転数が上昇して濾過水の流量が25m/hで維持され、RO膜差圧が大きくなってきた場合は、RO送液ポンプ23dの回転数が上昇して2次透過水の流量が20m/h(濃縮水の流量5m/h)で維持される。従って、RO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力が水柱5mで安定している状態(すなわち、押し込み流量とRO送液ポンプ23dの引込み流量がバランスしている状態)を継続でき、これによって、RO送液ポンプ23dの吸い込み側でのキャビテーションの発生を防止できる。
【0066】
上述の濾過運転時間(27分)が経過すると、操作盤41は、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとの交互逆洗運転を開始する。最初に、操作盤41は、第1MF膜モジュール3A側での濾過運転は継続し、第2MF膜モジュール3B側を逆洗運転に切り替える(ステップS2)。ここで操作盤41は、MF送液ポンプ21bの駆動を制御し、濾過水の流量が半分程度となるように調整する。次に、操作盤41は、第2のバルブV、第4のバルブV、第8のバルブV、及び第9のバルブVを閉に切り替え(閉鎖し)、第7のバルブV、第11のバルブV11を開に切り替え(開放し)、適宜に第12のバルブV12を開く(図7参照)。以上のバルブ制御により、導入ライン21において逆洗対象となる第2MF膜モジュール3Bに連絡する流路は閉鎖され、また、逆洗ライン29及び洗浄水排出ライン25において逆洗対象となる第2MF膜モジュール3Bに連絡する流路は開放された状態になる。
【0067】
また、操作盤41は、図示しないコンプレッサを駆動し、エアスクラビング用の空気を第2MF膜モジュール3Bの1次側に供給する。なお、操作盤41は、制御バルブVaを調整することで逆洗ライン29を所定の開度に調整することも可能であり、その結果、RO送液ポンプ23dの背圧を適宜に調整することができる。
【0068】
上記の第2MF膜モジュール3Bの逆洗運転では、第1MF膜モジュール3Aでの濾過運転で得られた濾過水がRO膜モジュール5に供給される。ここで、RO膜モジュール5に供給された濾過水はRO膜モジュール5のRO膜5aを透過せずに逆洗水として逆洗ライン29に送られ、第2MF膜モジュール3Bの2次側に供給されてMF膜3aの逆洗が行われ、同時に第2MF膜モジュール3Bのエアスクラビングも行われる。また、薬液供給部33によって適宜に所定の薬液が供給されて第2MF膜モジュール3Bの薬洗処理も行われる。第2MF膜モジュール3Bの1次側に流出した濾過水は洗浄水排出ライン25を通って廃液タンク(図示省略)に排出される。
【0069】
ここで、第2MF膜モジュール3Bの逆洗運転に伴う制御について更に詳しく説明する。濾過装置1Aでは、流量制御、圧力制御といったMF−RO直結制御が行われている。具体的には、流量計23eによって検出された濾過水の流量データは、操作盤41の制御CPU(図示せず)に入力される。制御CPUは、流量計23eで検出された流量データに基づいてPID(Proportional Integral Derivative)演算を行い、その結果に基づいてMF送液ポンプ用インバータ周波数制御を行う。これによって、MF送液ポンプ21bのモータ回転数制御が実行され、第1MF膜モジュール3Aへの原水の供給量が変動する。なお、MF送液ポンプ用インバータ周波数制御のためのPID演算としては、例えば設定値との偏差による出力演算が挙げられ、本実施形態では濾過水の流量を12.5m/hに維持するための出力演算である。
【0070】
また、圧力センサ23fで取得されたRO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力データは、操作盤41の制御CPUに入力される。制御CPUは、圧力センサ23fで検出された圧力データに基づいてPID演算を行い、RO送液ポンプ用インバータ周波数制御を行う。これによって、RO送液ポンプ23dのモータ回転数制御が実行され、RO送液ポンプ23dの吐出量が変動する。なお、RO送液ポンプ用インバータ周波数制御のためのPID演算としては、例えば設定値との偏差による出力演算が挙げられ、本実施形態ではRO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力を水柱5mに維持するための出力演算である。
【0071】
上記のMF−RO直結制御を行うことで、例えば、加圧側である第1MF膜モジュール3AのMF膜差圧が大きくなってきた場合は、MF送液ポンプ21bの回転数が上昇して濾過水の流量が12.5m/hで維持される。一方で、逆洗対象である第2MF膜モジュール3BのMF膜差圧が大きくなってきた場合はRO送液ポンプ23dの回転数が上昇して吸い込み側の圧力を水柱5mで維持するのでRO送液ポンプ23dの吐出量(逆洗量)も12.5m/hに継続して保たれる。これによって、RO送液ポンプ23dの吸い込み側でのキャビテーションの発生を防止できる。
【0072】
次に、操作盤41は、第2MF膜モジュール3B側を濾過運転に切り替え、第1MF膜モジュール3A側を逆洗運転に切り替える(ステップS3)。ここで操作盤41は、第2のバルブV、第3のバルブV、第14のバルブV14、第17のバルブV17を閉に切り替え(閉鎖し)、第2のバルブV、第4のバルブV、第10のバルブV10、第13のバルブV13を開に切り替え(開放し)、更に、適宜に第12のバルブV12を開く。これらのバルブ制御により、加圧側が第2MF膜モジュール3Bに切り替わり、また逆洗対象が第1MF膜モジュール3Aに切り替わる。すなわち、導入ライン21において逆洗対象となる第1MF膜モジュール3Bに連絡する流路は閉鎖され、逆洗対象以外の第2MF膜モジュール3Aに連絡する流路は開放される。また、逆洗ライン29及び洗浄水排出ライン25において逆洗対象となる第1MF膜モジュール3Aに連絡する流路は開放され、第2MF膜モジュール3Bに連絡する流路は閉鎖された状態になる。
【0073】
上記の第1MF膜モジュール3Aの逆洗運転では、第2MF膜モジュール3Bは濾過運転に切り替えられ、第2MF膜モジュール3Bで得られた濾過水がRO膜モジュール5に供給される。ここで、RO膜モジュール5に供給された濾過水はRO膜モジュール5のRO膜5aを透過せずに逆洗水として逆洗ライン29に送られ、第1MF膜モジュール3Aの2次側に供給されてMF膜3aの逆洗が行われ、同時に第1MF膜モジュール3Aのエアスクラビングも行われる。また、薬液供給部33によって適宜に所定の薬液が供給されて第1MF膜モジュール3Aの薬洗処理も行われる。第1MF膜モジュール3Aの1次側に流出した濾過水は洗浄水排出ライン25を通って廃液タンク(図示省略)に排出される。
【0074】
次に、操作盤41は、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとのフラッシング処理を行う(ステップS4)。ここで操作盤41は、第4のバルブV、第10のバルブV10、第12のバルブV12、第13のバルブV13を閉に切り替え(閉鎖し)、第1のバルブV、及び第7のバルブVを開に切り替える(開放する)。
【0075】
上記のフラッシング処理では、第1MF膜モジュール3Aの1次側と第2MF膜モジュール3Bの1次側との両方に原水が供給され、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bの1次側に残留する洗浄水や濁質などを洗い流す。以上のステップS1〜ステップS4までの処理を繰り返し実行することで濾過処理のための運転が行われる。
なお、前記フラッシング処理は、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとをそれぞれの逆洗工程の後に交互に行っても良い。これにより、逆洗時に浮遊した濁質物質を確実に除去できる。
【0076】
次に、本実施形態に係る濾過装置1Aの作用及び効果について逆洗対象が第2MF膜モジュール3Bであり、逆洗対象以外が第1MF膜モジュール3Aの場合を想定して説明する。なお、本実施形態では、連絡ライン(濾過液排出ライン)23のRO送液ポンプ23dよりも下流側にRO膜モジュール5が配置されており、逆洗ライン29は、RO膜モジュール5を介して連絡ライン(濾過液排出ライン)23に接続された態様を具現化している。
【0077】
この場合、逆洗対象以外の第1MF膜モジュール3Aでは原水から濾過水を得る濾過運転が継続して行われる。この濾過運転で得られた濾過水は、RO送液ポンプ23dの駆動によって第2MF膜モジュール3Bの2次側に逆洗水として供給され、第2MF膜モジュール3BのMF膜3aを透過した逆洗水は洗浄水排出ライン25を通って排出される。
【0078】
例えば、MF送液ポンプとRO送液ポンプとが中間タンクなどで縁切りされることなく実質的に連続したライン上に配置される構成とした場合、バランスが崩れるとRO送液ポンプ側でキャビテーションが発生する虞がある。しかしながら本実施形態では、圧力センサ23fによってRO送液ポンプ23dの吸い込み側での濾過水の圧力データを検出し、検出した圧力データに基づいてRO送液ポンプ23dの駆動を制御するため、キャビテーションの発生を未然に防止しながらRO送液ポンプ23dを駆動することができる。その結果として、MF送液ポンプ21bとRO送液ポンプ23dとが実質的に連続したライン上に配置された構成を実現できる。その結果として、濾過水を連続的に第2MF膜モジュール3Bに供給できるため、濾過水を逆洗用に蓄えておく洗浄タンクなどが不要になって小型化、コンパクト化が可能になる。
【0079】
また、例えば、逆洗対象以外のMF膜モジュールで得られた濾過水を直接的に逆洗対象となるMF膜モジュールに供給する態様では、MF膜モジュールの経年的な目詰まりなども考慮して必要以上の原水を高圧でMF膜モジュールに供給する必要があり、MF送液ポンプの負荷も大きくなり、さらに、MF膜モジュールの耐圧特性を必要以上に高める必要がある。しかしながら、本実施形態では、第1MF膜モジュール3Aで得られた濾過水はRO送液ポンプ23dを介して供給されるので、逆洗対象となる第2MF膜モジュール3Bの汚れ(目詰まり)に応じて適宜に供給圧を高めることも可能になる。従って、第1及び第2MF膜モジュール3A,3Bの耐圧特性を必要以上に高める必要はなく、容易に実現できて実用面で優れている。
【0080】
また、本実施形態に係る操作盤(制御手段)41は、圧力センサ23fで検出された圧力が所定の設定圧を維持するようにRO送液ポンプ23dの駆動を自動制御している。従って、MF送液ポンプ21bによる原水の押し込み圧と、RO送液ポンプ23dでの濾過水の引き込み圧とがバランスすることになり、RO送液ポンプ23dでのキャビテーションの発生を抑えながら安定した駆動を実現できる。
【0081】
例えば、第1MF膜モジュール3A(逆洗対象以外)の目詰まりやMF送液ポンプ21bによって供給される原水の流量変動によって濾過水の押し込み圧が所定の設定圧よりも低下すると、RO送液ポンプ23dを低速駆動とし、逆に押し込み圧が所定の設定圧よりも高くなるとRO送液ポンプ23dを高速駆動とすることでバランスできるのでRO送液ポンプ23dでのキャビテーションの発生を未然に防止でき、安定した駆動を実現できる。
【0082】
また、本実施形態に係る濾過装置1Aは、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3BとRO送液ポンプ23dとの間において、連絡ライン(濾過液排出ライン)23を流動する濾過水の流量を検出する流量計23eを備えており、MFポンプ制御部45として機能する操作盤41は、流量計23eで検出された流量に基づいて、MF送液ポンプ21bの駆動を制御することで所定流量の原液を第2MF膜モジュール3Bに供給している。従って、例えば、連絡ライン23を流動する濾過水の流量を定量とする定量運転が可能になり、RO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力が安定し易く、キャビテーションの発生を、より効果的に防止できる。
【0083】
また、例えば、MF膜モジュールに供給した原水を1次側から排出する必要がある場合、例えば、逆洗後にフラッシング処理を施す場合などに、洗浄水排出ラインとは別に原水排出ラインを設ける態様では、原水排出ラインの分だけ設備の大型化を招来する。しかしながら、本実施形態に係る濾過装置1Aでは、洗浄水排出ライン25を原水排出ラインとして利用可能できるので、装置の簡素化、コンパクト化に有効である。
【0084】
また、本実施形態に係る第1,第2MF膜モジュール3A,3Bは、RO膜(逆浸透膜)5aに比べて粗目のMF膜3aを有しており前段膜モジュールに相当する。また、RO膜5aを有するRO膜モジュール5は後段膜モジュールに相当する。RO膜モジュール5は1次側が連絡ライン23に接続されると共に、2次側が透過水排出ライン27に接続されており、逆洗ライン29は、RO膜モジュール5の1次側と第1,第2MF膜モジュール3A,3Bそれぞれの2次側とを連絡している。そして、逆洗対象が第2MF膜モジュール3Bの場合、逆洗時に第2MF膜モジュール3Bとの間で逆洗ライン29の流路が開放されて濾過水がRO膜5aを透過せずに逆洗水として第2MF膜モジュール3Bの2次側に供給される。
【0085】
本実施形態によれば、RO膜モジュール5に原水が直接供給されるのではなく、第1,第2MF膜モジュール3A,3Bの少なくとも一方によって比較的粒径の大きな不純物が予め除去された後の濾過水がRO膜モジュール5に供給される。従って、RO膜5aの目詰まりを低減しながら装置全体としての濾過処理能力を向上できる。さらに、RO送液ポンプ23dは、RO膜5aに濾過水を供給するための高圧ポンプとして利用されるだけでなく、逆洗対象として第2MF膜モジュール3Bに逆洗水を圧送するポンプとしても兼用されるので設備負担が減り、装置の小型化やコンパクト化に有効である。
(第2実施形態)
【0086】
次に、図10を参照して本発明の第2実施形態に係る濾過装置1Bについて説明する。なお、第2実施形態に係る濾過装置1Bは、第1実施形態に係る濾過装置1Aと同等の要素や部材等を備えており、第1実施形態と同等の要素や部材等については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。また、図10では、第1MF膜モジュール3Aのうち、一本を代表して記載しており、また、第2MF膜モジュール3Bのうち、一本を代表して記載しており、さらに、複数のRO膜モジュール5のうち、一本を代表して説明している。
【0087】
本実施形態に係る濾過装置1Bでは、連絡ライン23の代わりに濾過水排出ライン(濾過液排出ライン)51が設けられており、濾過水排出ライン51はRO膜モジュールではなくて逆洗ライン53に連絡している。すなわち、本実施形態では、濾過水排出ライン51のRO送液ポンプ23dよりも下流側に直接的に逆洗ライン29が接続された態様を具現化している。
【0088】
濾過水排出ライン51は、所定の管径を有する管路51a,51bと、濾過水を後工程のRO膜モジュール5(図示せず)に圧送するRO送液ポンプ23dとを備えている。連絡ライン23の管路51a,51bは、RO送液ポンプ23dを挟んで上流側管路51aと下流側管路51bとに分かれている。上流側管路51aは、第1MF膜モジュール3Aと第2MF膜モジュール3Bとに対応して上流側の一部分が二方向に分岐しており、一方の分岐部は第1MF膜モジュール3Aに連絡する第1濾過水排出ヘッダ管9Aに接続され、他方の分岐部は第2濾過水排出ヘッダ管9Bに接続されている。一方の分岐部には流路を開閉する第3のバルブVが設けられ、他方の分岐部には流路を開閉する第4のバルブVが設けられている。
【0089】
また、一方の分岐部と他方の分岐部との合流箇所よりも下流側の部分には、管路内を流れる濾過水の流量を検出する流量計23eが設けられている。また、上流側管路51aの下流端は逆洗ライン29に連絡しており、さらにRO送液ポンプ23dの吸い込み部の近傍には、RO送液ポンプ23dの吸い込み側の圧力を検出する圧力センサ23fが設けられている。
【0090】
逆洗ライン29は、所定の管径を有する管路53a,53bを備えており、管路53a,53bは、濾過水排出ライン51の下流側管路51bに連通する接続部分を挟んで一方側53aと他方側53bとに分かれている。一方側の管路53aはRO膜モジュールに連絡している。また、一方側の管路53aには流路を開閉する第15のバルブV15が設けられている。第15のバルブV15は制御信号を送受信可能となるように操作盤41に接続され、操作盤41からの制御信号に応じて開閉する。なお、第15のバルブV15は、操作盤41による自動的な制御、例えばシーケンス制御を想定して電動弁などを採用できるが、手動での切り替えを行う場合には、手動弁であってもよい。
【0091】
逆洗ライン29の他方側の管路53bは、第1MF膜モジュール3A及び第2のMF膜モジュールに連絡している。他方側の管路の下流側は二方向に分岐しており、一方の分岐部は第1濾過水排出ヘッダ管9Aに接続され、他方は第2濾過水排出ヘッダ管9Bに接続されている。一方の分岐部には流路を開閉する第10のバルブV10が設けられ、他方の分岐部には流路を開閉する第11のバルブV11が設けられている。
【0092】
第2実施形態に係る濾過装置も第1実施形態に係る濾過装置と同様に通常の濾過運転を行った後に交互逆洗処理を行う。交互逆洗処理の最初は第1MF膜モジュール3Aは通常の濾過処理を継続し、第2MF膜モジュール3Bを逆洗運転に切り替える。第2MF膜モジュール3Bの逆洗運転を所定時間継続した後には、第2MF膜モジュール3Bを通常の濾過運転に切り替え、第1MF膜モジュール3Aを逆洗運転に切り替える。そして、第1MF膜モジュール3Aの逆洗運転を所定時間継続した後には、第1MF膜モジュール3A及び第2MF膜モジュール3Bのフラッシング処理を行う。
【0093】
本実施形態に係る濾過装置1Bによれば、圧力センサ23fによってRO送液ポンプ23dの吸い込み側での濾過水の圧力データを検出し、検出した圧力データに基づいてRO送液ポンプ23dの駆動を制御するため、第1実施形態に係る濾過装置1Aと同様に、キャビテーションの発生を未然に防止しながらRO送液ポンプ23dを駆動することができる。その結果として、MF送液ポンプ21bとRO送液ポンプ23dとが実質的に連続したライン上に配置された構成を実現できる。その結果として、例えば、逆洗対象の第2MF膜モジュール3Bに濾過水を連続的に供給できるため、濾過水を逆洗用に蓄えておく洗浄タンクなどが不要になって小型化、コンパクト化が可能になる。
【0094】
以上、本発明を各実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記の各実施形態のみに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、前段膜モジュールとしてMF膜モジュールを例示し、後段膜モジュールとしてRO膜モジュールを例示したが、このような組み合わせのみに限定されず、例えば、限外濾過膜やナノ濾過膜などを有する膜モジュールを利用した装置にすることも可能である。
【符号の説明】
【0095】
1A,1B…濾過装置、3A…第1MF膜モジュール(前段膜モジュール)、3B…第2MF膜モジュール(後段膜モジュール)、3a…MF膜、5…RO膜モジュール、5a…RO膜、21…導入ライン、21b…MF送液ポンプ(原液供給ポンプ)、23…連絡ライン(濾過液排出ライン)、23d…RO送液ポンプ(濾過液圧送ポンプ)、23e…流量計(流量検出手段)、23f…圧力センサ(圧検出手段)、25…洗浄水排出ライン(洗浄液排出ライン)、29,53…逆洗ライン、41…操作盤(制御手段)、51…濾過水排出ライン(濾過液排出ライン)、27…透過水排出ライン(2次透過水排出ライン)、30…濃縮水排出ライン(濃縮液排出ライン)、Va…制御バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の膜モジュールと、前記膜モジュールそれぞれの1次側に原液を導入する導入ラインと、前記膜モジュールそれぞれの2次側に接続されると共に、前記膜モジュールによって濾過された濾過液を排出する濾過液排出ラインと、を備え、逆洗時には、逆洗対象となる前記膜モジュールに連絡する前記導入ラインの流路は閉鎖される濾過装置において、
前記導入ラインに設けられると共に、所定流量の原液を前記膜モジュールに供給する原液供給ポンプと、
前記濾過液排出ラインに設けられると共に、前記濾過液を圧送する濾過液圧送ポンプと、
前記濾過液排出ラインの前記濾過液圧送ポンプよりも下流側と前記膜モジュールそれぞれの2次側とを連絡すると共に、逆洗時に逆洗対象となる前記膜モジュールとの間で流路が開放されて前記濾過液が逆洗液として流動する逆洗ラインと、
前記膜モジュールそれぞれの1次側に接続されると共に、逆洗時に逆洗対象となる前記膜モジュールからの流路が開放されて前記膜モジュールを透過した前記逆洗液が排出される洗浄液排出ラインと、
前記濾過液圧送ポンプの吸い込み側における前記濾過液の圧力を検出する圧検出手段と、
前記圧検出手段で検出された圧力に基づいて前記濾過液圧送ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記圧検出手段で検出された圧力が所定の設定圧を維持するように前記濾過液圧送ポンプの駆動を自動制御することを特徴とする請求項1記載の濾過装置。
【請求項3】
前記膜モジュールと前記濾過液圧送ポンプとの間において、前記濾過液排出ラインを流動する濾過液の流量を検出する流量検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記流量検出手段で検出された流量に基づいて前記原液供給ポンプの駆動を制御することで所定流量の原液を前記膜モジュールに供給することを特徴とする請求項1または2記載の濾過装置。
【請求項4】
前記洗浄液排出ラインは原液排出ラインとしても利用できることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記膜モジュールは、逆浸透膜に比べて粗目の膜を有する前段膜モジュールであり、
前記濾過液排出ラインに1次側が接続されると共に、前記濾過液が透過する逆浸透膜を有する後段膜モジュールと、
前記後段膜モジュールの2次側に接続されると共に、前記逆浸透膜を透過した2次透過液を排出する2次透過液排出ラインと、を更に備え、
前記逆洗ラインは、前記後段膜モジュールの1次側と前記前段膜モジュールそれぞれの2次側とを連絡すると共に、逆洗時に逆洗対象となる前記前段膜モジュールとの間で流路が開放されて前記濾過液が前記逆浸透膜を透過せずに逆洗液として前記前段膜モジュールの2次側に供給されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の濾過装置。
【請求項6】
前記後段膜モジュールの1次側に連絡する前記逆洗ラインから分岐すると共に、濾過時には大気開放され、逆洗時には閉鎖される濃縮液排出ラインを更に備えることを特徴とする請求項5記載の濾過装置。
【請求項7】
前記逆洗ラインの流路を所定の開度に調整可能であるバルブを更に備えることを特徴とする請求項6記載の濾過装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−177653(P2011−177653A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44494(P2010−44494)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】