説明

火の影響から表面を保護する方法

本発明は、優れた外面耐久性ならびに熱および火に対する抵抗性をもたらす難燃性充填材を含有しているポリシロキサン組成物の少なくとも約2mmの塗膜で表面を被覆することにより、火の影響からその表面を保護する方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、難燃性充填材はメラミンであり、ポリシロキサン組成物は、湿気に曝露することにより硬化する1液型室温硬化性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性、耐火性、かつ耐熱性の硬化性シリコーン組成物の少なくとも約2mmの塗膜で表面を被覆することによって、火の影響から表面を保護する方法に関する。特に、この硬化性シリコーン組成物は、このシリコーン組成物を被覆した構造物への損傷を招く恐れがある熱伝達に対する優れた抵抗性によって火に耐える。
【背景技術】
【0002】
耐火性製品は、現代の建築物において広範な用途を有する。その難燃性性状の他に、理想的な耐火性製品は、広範な火の結果として発生される熱を断熱すべきでもある。耐火性製品は有毒ガスをまったく発生させず、または最小限とすべきでもある。これらの特徴により、火災の間の構造的損害を最小限にとどめ、すべての入居者が比較的安全にこの区域から離れるため十分な時間が得られる。耐火性製品の例は、特許文献1〜5に記述されている。
【0003】
特許文献1において、Batdorfは、ポリビニルピロリドンポリマーを使用した水性難燃剤組成物について記述している。この特許は、熱からの表面の断熱については記述がない。
特許文献2において、Tkaczykらは、電線を断熱するのに適した改良された耐高温性を有するシリコーン組成物について記述している。この特許は、この製品について、難燃性または耐火性については記述がないし、特許請求もしていない。
【0004】
特許文献3において、Touharaらは、無毒性の難燃性封緘剤または塗料として使用されるポリオレフィン組成物について記述している。この特許は、火災の間、建築物の損傷を最小限にとどめる断熱性については記述していない。
【0005】
特許文献4において、DeMottらは、尿素増量剤フェノールホルムアルデヒド・アルカリ性レゾール結合剤におけるメラミンの使用について記述している。この結合剤製品は、ファイバーガラスに適しているのみであり、難燃剤としての使用は意図していない。
【0006】
特許文献5において、Romaneskiらは、耐火用熱可塑性シリコーン硬化物の配合物について記述している。この耐火性製品は、熱エネルギー発生のより少ないものとして記述されているが、激しい火災の間の高温における耐熱性については記述されていない。
【特許文献1】米国特許第6,387,993号
【特許文献2】米国特許第6,395,815号
【特許文献3】米国特許第6,444,736号
【特許文献4】米国特許第6,441,122号
【特許文献5】米国特許第6,433,049号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、火炎、火および熱の影響に対する防護性を有する表面が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、優れた外面耐久性ならびに熱および火に対する抵抗性をもたらす難燃性充填材を含有するポリシロキサン組成物の少なくとも約2mmの塗膜で表面を被覆することにより、火の影響からその表面を保護する方法を提供する。
本発明の一態様において、難燃性充填材はメラミンである。
本発明のさらに他の態様において、ポリシロキサン組成物は、湿気に曝露することにより硬化する1液型室温硬化性組成物である。
さらに他の態様において、本発明の方法は、
a)式:
R’[(R)SiO](R)SiR’
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるそれぞれのR’はOH、または炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、nは25℃において粘度が約1〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表される約20〜約60重量パーセントの1種以上のポリジオルガノシロキサン流体であり、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン流体は、OHに等しい両方のR’を有し、nは25℃において粘度が1,000〜100,000センチポアズ、好ましくは25℃において1,000〜40,000センチポアズの範囲にあるような平均値を有するポリジオルガノシロキサン流体;
b)式:
[(R)SiO]
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、nは平均値3〜10を有する)で表される0〜約40重量パーセントのシクロオルガノシロキサン;
c)メラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、および剥離状黒鉛からなる群から選択された5〜約50重量パーセントの1種以上の難燃性充填材;
d)約0〜約30重量パーセントの1種以上の無機の増量性または非補強性充填材、たとえば、石英、珪藻土、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン;
e)約50〜300m/gの表面積および約0.01〜0.03ミクロンの範囲にある粒径を有する、約0.5〜約10重量パーセントの非晶質SiO補強充填材;
f)式:
RSiX
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、Xは、ケイ素原子に直接結合しているカルボキシル、ケトキシイミノ、アルコキシ、カルボニル、およびアミンから選択される官能基を有するアルキル基である)で表される約1〜10重量パーセントのシラン架橋剤:
g)約0.2〜約3重量パーセントのオルガノシラン接着促進剤;および
h)約0.02〜約3重量パーセントの縮合触媒としての有機スズ塩
を混合することによって得られる生成物からなる、液型室温硬化性オルガノポリシロキサンゴム組成物を使用する。
本発明の好ましい実施形態は、添付図面に例示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、優れた外面耐久性ならびに熱および火への抵抗性をもたらす難燃性充填材を含有するポリシロキサン組成物の少なくとも約2mmの塗膜により表面を被覆することによって、火の影響から表面を保護する方法を提供する。
【0010】
本発明において使用する難燃性充填材を含有するポリオルガノシロキサン組成物は、優れた耐火性、難燃性および断熱性特性を有す。金属、コンクリート、および木造構造物、特に金属製構造物を被覆した場合、組成物は断熱によって、激しい火災の影響に対する優れた抵抗性をもたらすことができる。組成物は、はけ塗り、吹付け塗りなどの通常使用される任意の方法によって、構造物を被覆できる。
【0011】
本発明において使用する組成物は、硬化性ポリオルガノシロキサンと、組成物にその優れた耐火性、難燃性および断熱性性状をもたらす難燃または耐火性添加材とからなる。
硬化性ポリオルガノシロキサンは、例えば、付加硬化、高エネルギー放射線架橋などの触媒的に硬化する1液または2液系を使用する、あるいは、湿分硬化系を使用する、通常使用されるいずれの硬化性組成物であってもよい。
【0012】
付加硬化系を使用する触媒重合性ポリオルガノシロキサン組成物は、大気中の湿気による影響を受けない。室温でも架橋付加反応が起り得るが、高温により硬化過程を促進することができる。ベースポリマーは、一般的に一般式:
R”[(R)SiO](R)SiR”
(式中、Rは、任意に1〜9個のハロゲン原子で置換された炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または任意に1〜6個のハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、R”は一価のアルケニル基(好ましくは一価のビニルまたはエチレン基)であり、nは、粘度が100〜100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表されたポリジオルガノシロキサンである。このようなベースポリマーの一例は、
CH=CH−Si(CH−O−Si(CH−O−−−−−−O−Si(CH−CH=CH
である。
付加硬化系では、架橋剤を使用してベースポリマーを重合させる。架橋剤は一般的に、一般式:
R[(R)(H)SiO][(R)SiO]
(式中、同一もしくは異なることができるそれぞれのRは、任意に1〜9個のハロゲン原子で置換された炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または1〜6個のハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、Hはヒドリド基であり、mおよびnは整数であり、それらの合計平均値が、粘度が10〜10,000センチポアズとなるようなものである。mの値は、m+nの値の10〜50パーセントである)で表されるポリジオルガノシロキサンである。
最適な架橋のため、アルケニル基、好ましくはエチレン基のヒドリド基に対する比率は1:1〜6:1である。
付加硬化系の架橋反応は、触媒、一般的に式:
Pt[R’(SiOR)R’]
の白金の有機金属錯体を必要とする。
上式において、Rはアルキルまたはアルケニル、R’はアルケニルである。このような白金触媒の一例は、
白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体
(CH=CH−Si(CH−O−Si(CH−CH=CHPt
である。
【0013】
付加による架橋は、極めて迅速な反応である。反応速度は、触媒の量を減少させることにより、または白金触媒の活性を低下させる、ビニル末端を有するジメチルシロキサンなどの反応抑制剤を使用することにより制御することができる。
エラストマーの表面への接着性を向上させるため、2液型付加硬化系について接着促進剤を使用することもできる。接着促進剤は一般的に、一般式:
Si(RO)
(式中、Rはアルケニル基、好ましくはビニル基であり、Rは、炭素原子1〜6個を有するアルキル基である)で表されるシランである。
【0014】
付加硬化系は一般的に2つの部分で提供され、ベースポリマー、架橋剤、接着促進剤および抑制剤である一方の部分と、ベースポリマーおよび触媒である他方の部分とを有する。均質に混合するため両部分において等しい粘性を達成するように、どちらかの部分に充填材および顔料を添加する。
【0015】
湿分硬化系は、硬化反応を促進するためより高い温度で用いることができるが、一般的に室温硬化性(room temperature vulcanizable;RTV)である。湿分硬化組成物は、付加硬化組成物と同様に2液系として提供でき、または単一容器内に組成物のすべての成分が含まれる1液型組成物とすることができる。取扱いおよび塗布が容易であるように、RTV組成物は1つの部分(1液)におけるものが好ましい。
湿分硬化系は一般的に、ベースポリマーとしてヒドロキシル基末端ポリオルガノシロキサンを使用する。ベースポリマーは、一般式:
R’[(R)SiO](R)SiR’
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるそれぞれのR’はOH、炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、nは25℃において粘度が約1,000〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する。少なくとも1つのR’はOHまたはアルケニルなどの反応性基、好ましくはOHを有し、両方のR’がOHであることが最も好ましい)で表される1種以上のポリオルガノシロキサンであるのが好ましい。
湿分硬化系では、一般式:
X−Si−R
(式中、Rはアルキル、アルケニル基、またはフェニル基(好ましくはメチルまたはエチル)であり、Xはアルキル基であり、ケイ素原子に直接結合している官能基を有する。その官能基は、カルボキシル、ケトキシイミノ、アルコキシ、カルボニル、またはアミンとすることができる)で表される架橋剤を使用する。
湿分硬化RTVの1液系または2液系のために通常用いられる架橋剤には、下記のものが含まれる:
アセトキシシラン (CHC(O)O)−Si−R 硬化の副生物として酢酸を放出する。
オキシムシラン (C(CH)C=NO)−Si−R 硬化の副生物としてメチルエチルケトキシムを放出する。
アルコキシシラン (R’O)−Si−R(式中、R’は炭素1〜6個のアルキル基である) 硬化の副生物としてアルコールを放出する。
エポキシシラン (CHC(O)CH−Si−R 硬化の副生物としてアセトンを放出する。
アミンシラン ((CHN)−Si−R 硬化の副生物としてアミンを放出する。最も急速に反応する架橋剤であり、触媒を必要としない。
架橋反応を増進するため、一般的に触媒を利用している。湿分硬化系について、1つの通常用いられる触媒は、とりわけ、ジラウリン酸ジブチルスズなどの有機スズ塩である。
エラストマーを被覆する表面へのエラストマーの接着性を向上させるため、接着促進剤を使用できる。接着促進剤は通常、式:

(式中、RおよびRは独立して、炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、bは0から3の整数であり、Rは任意に官能基を含有できる、炭素原子1〜10個を有する飽和、不飽和、もしくは芳香族炭化水素基である)で表される化合物である。
【0016】
ポリジメチルシロキサン分子の末端にアクリレート官能基が存在する場合、高エネルギー放射線(紫外線および電子ビームなど)による架橋を行うこともできる。UV硬化系における架橋は非常に迅速であり、この工程を高速で作製する場合に重要なものとしている。
【0017】
UV硬化性配合物は、一般的に、UVまたは高エネルギー放射線に曝露させた場合、室温または高温で硬化する1液系である。
UV硬化性シリコーン塗料は、両端にアクリルオキシプロピル官能基を含むポリジメチルシロキサンを含有する。エチルベンゾインなどの光開始剤を使用して、フリー・ラジカル重合反応を開始させる。
ポリジオルガノシロキサン・コポリマーの式は、
R’[(R)SiO](R)SiR”
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるR’およびR”はアクリルオキシプロピルもしくはメタクリルオキシプロピルであり、nは25℃において粘度が約100〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する)である。
【0018】
シリコーンエラストマーの形成に必要とされる成分の他に、組成物は、その優れた耐火性、難燃性、および断熱性をもたらす難燃性充填材も含有する。難燃性充填材は、メラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、および剥離状黒鉛からなる群から選択されるのが好ましい。難燃性充填材はメラミンであることが最も好ましい。難燃性充填材は一般的に、全組成物の5〜約50重量パーセント、より好ましくは全組成物の約5〜約30重量パーセント、最も好ましくは全組成物の約8〜約20重量パーセントの濃度で組成物中に存在する。
【0019】
上記の成分の他に、組成物には、他の増量性、半補強性、もしくは補強性を有する充填材、顔料および希釈剤などの他の任意選択的な成分が含まれてもよい。
他の充填材には、シリカ、中空ガラスビーズ、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土などが含まれてよい。組成物における他の充填材の量は、充填材および所望の性状に応じて、一般的に全組成物の0〜約30重量パーセントであろう。
【0020】
表面に塗布する場合の組成物の取扱い性を向上させるため、組成物は、35重量パーセントまでの希釈剤で希釈できる。希釈剤は、石油ナフサなどの有機炭化水素溶媒とすることができ、またはブロックト線状低分子量オルガノシロキサンまたはシクロオルガノシロキサンなどの低粘度ポリオルガノシロキサンとすることができる。揮発性有機化合物(VOC)を排除するため、希釈剤は、ブロックト線状低分子量オルガノシロキサンまたはシクロオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0021】
本発明の方法は、シリコーン組成物を被覆している構造物への損傷を招く恐れがある熱伝達に対する優れた抵抗性により、その表面が火に耐えるように、難燃剤を含有するポリオルガノシロキサン組成物の少なくとも2mmの厚さの塗膜で、火の影響から保護しようとする表面を被覆することを包含する。保護しようとする表面を、浸し塗り、はけ塗り、または吹付け塗りなどの従来の方法によって、組成物で被覆する。
【0022】
保護しようとする表面は、所望の厚さの塗膜が形成されるまで、難燃剤組成物の1回以上の塗布を吹付けることにより被覆することが好ましい。塗膜の厚さは、特定の塗布の要求および所望の保護レベルによって決まるであろう。塗膜は一般的に2〜50mmの平均厚さ、より好ましくは6〜25mm、最も好ましくは約10〜25mmの平均厚さを有する。より大きい厚さについては、2液型ポリオルガノシロキサンが好ましい。ただし、お互いの層の上面にいくつかの層を塗り重ねて最終の厚さを作り上げることにより、1液型を使用することもできる。
【0023】
特に好ましい実施形態において、難燃性塗料として使用する本発明の方法で使用される組成物は、式:
R’[(R)SiO](R)SiR’
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるそれぞれのR’はOH、または炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、nは、25℃において粘度が約1〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表される約20〜約60重量パーセントの1種以上のポリジメチルシロキサン流体を含有する、1液型オルガノポリシロキサンゴム組成物である。少なくとも1種のポリオルガノシロキサン流体は、両方のR’がOHに等しく、nが、25℃において粘度が1,000〜100,000センチポアズ、好ましくは1,000〜40,000センチポアズの範囲にあるような平均値を有する、反応性基を有するより高粘性のシロキサンである。ポリジメチルシロキサンは、商業用製品中に見出されるような不純物として、少量のモノメチルシロキサン単位、および少量の他の基を置換したメチル基を含有してもよいが、好ましい流体は、ポリジメチルシロキサンだけを含有する。
【0024】
この好ましい実施形態の組成物は、表面に組成物を塗布し易くするため、組成物用の粘性低下希釈剤として作用する、第2の低分子量線状ジメチルポリシロキサンを含有できる。この低分子量線状ジメチルポリシロキサンは、同一もしくは異なることができるRおよびR’が、炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基またはフェニル基から独立して選択される上式の末端ブロックトオリゴマー化合物である。nの平均値は、4〜24、好ましくは4〜20の範囲である。
【0025】
組成物が上記に述べた2つの異なるポリシロキサンを含有する場合、ポリシロキサンの合計は、一般的に約40〜60重量パーセントであり、2つのポリシロキサンの相対的な量は、最終塗膜の所望の特性に基づいて選択される。一般的に、それぞれのポリシロキサンは、ポリシロキサン流体の合計重量に対して約30重量パーセント〜約70重量パーセントの比率において存在するであろう。
【0026】
低分子量線状ジメチルポリシロキサンの他に、または低分子量線状ジメチルポリシロキサンの代わりに、組成物は、式:
[(R)SiO]
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、nは平均値3〜10を有する)で表される40重量パーセントまでの、好ましくは20〜30重量パーセントのシクロオルガノシロキサンを含有できる。好ましいシクロオルガノシロキサンは、環状ジメチルシロキサンであり、低分子量線状ジメチルポリシロキサンと同様な形で、吹付け塗り、はけ塗り、または浸し塗りによる塗布の便のため、組成物の粘性を低下させる希釈剤として使用される。
【0027】
組成物はまた、5〜50重量パーセント、より好ましくは5〜30重量パーセントのメラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ三水和物、および剥離状黒鉛からなる群から選択された1種以上の難燃性充填材を含有する。組成物は難燃性充填材として、約8〜約20重量パーセントのメラミンを含有するのが好ましい。
【0028】
組成物はまた、無機増量用または非補強充填材を含有できる。増量用充填材は、中空ガラスビーズ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土、石英、結晶性シリカ、二酸化チタン、アルミナ三水和物、および酸化亜鉛などの無機材料から選択されるのが好ましい。充填材の選択は、組成物の所要の性状および最終用途に基づくであろう。より高い強度を要する塗料には、結晶性シリカを使用する。
【0029】
組成物はまた、約0.5〜10重量パーセントの約50〜300m/gの表面積および約0.01〜0.03ミクロンの範囲にある粒径を有する非晶質SiO補強充填材を含有する。この充填材の比重は約2.2であることが好ましい。非晶質SiO補強充填材は非処理とすることができ、または例えばポリオルガノシランまたはシランにより表面処理してもよい。
【0030】
組成物はまた、約1〜10重量パーセント、好ましくは2〜5重量パーセントの架橋剤、好ましくはオキシイミノシラン架橋剤を含有する。オキシイミノシラン架橋剤は、式:RSi(ON=CR’(式中、RおよびR’は、それぞれ炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、またはビニル、アリルなどのアルケニル基、またはフェニル基が好ましい)で表されるものが好ましい。好ましいRおよびR’はアルキルまたはビニル基であり、最も好ましくはメチルおよびエチル基である。
【0031】
組成物はまた、接着促進剤として約0.2〜3重量パーセントのオルガノ官能性シランを含有する。好ましいオルガノ官能性シランは、式:
【化1】

(式中、RおよびRは独立して、炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、bは0〜3の整数、好ましくは0であり、Rは炭素原子1〜10個を有する飽和、不飽和、もしくは芳香族炭化水素基であり、アミノ、エーテル、エポキシ、イソシアネート、シアノ、アクリルオキシ、およびアシルオキシ、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される基によってさらに官能基化できる)で表される。RおよびRは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、またはビニル、およびアリルなどのアルケニル基であることが好ましい。RおよびRはアルキル基であることがより好ましく、メチル、エチル、またはプロピル基であることが最も好ましい。Rはアルキル基であることが好ましく、1つ以上のアミノ基によりさらに官能基化されることがより好ましい。最も好ましいオルガノ官能性シランは、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0032】
すべての上記の化合物において、アルキルには直鎖、分枝または環状基が含まれる。アルキル基の中には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどのC1〜8直鎖または分枝アルキルが存在し、シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシルなどのC3〜8シクロアルキルであり、アルケニル基は、例えばビニル、およびアリルなどのC1〜8アルケニルである。上記の基ならびにフェニル基は、官能基化により化合物の所望の性状に不利な影響を及ぼさない限り、場合により、分子鎖または環構造内にアミノ、エーテル、エポキシ、イソシアネート、シアノ、アクリルオキシ、アシルオキシ、およびこれらの組合せからなる種類から選択される基を含むことにより、さらに官能基化できる。
【0033】
組成物は、縮合触媒としてカルボン酸の有機スズ塩約0.02〜3重量パーセントをさらに含有し、それが組成物のエージングを促進する。有機スズ塩は、ジブチルスズジアセテート、オクタン酸第一スズ、ジオクタン酸ジブチルスズ、およびジラウリン酸ジブチルスズの群から選択されることが好ましい。有機スズ塩は、式:
(CSn(OCOC1020CH
で表されるジラウリン酸ジブチルスズであることが最も好ましい。
【0034】
追加する成分が組成物から形成した塗膜の所望の性状を劣化させる原因とならなければ、組成物に顔料および他の充填材など他の任意選択的な成分を少量含有してもよい。1つの通常使用される任意選択的な成分は顔料、好ましくは灰色顔料であり、約1重量パーセントまでの量で存在するのが最も好ましい。
【0035】
本発明において利用される湿分硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、湿気の不存在下において、その成分を一緒に混合することにより調製される。シランは湿気に敏感であり、シランを添加した場合、混合物には自由水分を本質的に存在させず、かつ硬化を希望するまで湿気のない状態に保持しなければならないようにし、湿気が存在する場合シランは架橋するであろう。
【0036】
好ましい混合方法は、ポリシロキサン流体を増量および補強する充填材、ならびに他の任意選択的な充填材および顔料と混合することを含む。その後、オキシイミノシランおよびオルガノ−官能性シランを添加し、窒素雰囲気下で混合する。この混合物に有機スズ塩を添加し、次いで、使用前の貯蔵のため混合物を密封容器に分配する。
【0037】
保護しようとする表面は、浸し塗り、はけ塗り、または吹付け塗りなどの従来の方法により、組成物で被覆する。本発明の組成物の1回以上の塗布量を吹付け塗りすることにより、保護しようとする表面を被覆することが好ましい。塗膜の厚さは、特定の塗布の要求、および所望の保護レベルによって決まるであろう。塗膜は一般的に、平均厚さ2〜50mm、より好ましくは平均厚さ6〜25mm、最も好ましくは約10〜25mmを有する。1液型ポリオルガノシロキサンから塗膜を形成する場合、多層塗膜を使用して最終厚さを積み上げてもよい。表面上に塗膜が形成された後、架橋および塗膜の硬化のため、この表面を通常の大気に曝露する。塗膜をより厚くするには、その表面上にはけ塗りし、または広げることが可能なチキソトロープ性組成物が好ましいであろう。
【0038】
改良された本発明の方法は、シリコーン組成物が塗装されている構造物への損傷を招く恐れがある熱伝達に対する優れた抵抗性により、火の影響から表面を保護することが可能である。
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を例示し、かつ塗料の有用性を実証するためのものであり、決して本発明について保護の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例1】
【0039】
ポリジオルガノジシロキサンの耐火性組成物を、2部分により作製した。
部分A
ビニル基(CH=CH−)を末端とし、粘度10,000センチポアズのポリジメチルシロキサン44重量パーセントを、ヘキサメチルジシラザンで処理した表面積150m/gを有する非晶質シリカ4重量パーセント、結晶性シリカ10重量パーセント、およびメラミン34重量パーセントと混合することにより、配合物の部分Aを作製した。次いで、有機白金触媒8重量パーセントを添加し、混合物が流動性均質ペーストとなるまで混合した。
【0040】
部分B
ビニル基を末端とするポリジメチルシロキサン85重量パーセントを、ヘキサメチルジシラザンで処理した表面積150m/gを有する非晶質シリカ8重量パーセント、ヒドリド基で置換しているメチル基20モル・パーセントを有するポリジメチルシロキサン架橋剤4重量パーセントと混合することにより、配合物の部分Bを作製した。次いで、ビニルトリメトキシシラン接着促進剤2重量パーセント、および1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン架橋抑制剤1重量パーセントを添加し、流動性均質ペーストとなるまで混合した。
【0041】
等体積の部分Aおよび部分Bを一緒に混合し、かつ、使用して、均一な厚さのシリコーンの6mmシートを成形し、それを2時間硬化させた。
部分Aおよび部分Bのいずれか、または両方を適切な希釈剤で希釈して、吹付け塗りによる塗布のための適切な粘性を有する組成物を得ることができる。
【実施例2】
【0042】
25℃で粘度3,300センチポアズを有する、ヒドロキシル基を末端とするポリジメチルシロキサン38重量部を、比重4の二酸化チタン10重量部、密度1.5g/mlのメラミン8重量部、結晶性シリカおよび比重2.2および表面積150m/gを有する非晶質シリカの充填材混合物38重量部と混合することにより、耐火用として有用な組成物を作製した。次いで、窒素雰囲気下でメチルトリス−(メチルエチルケトキシム)シラン4重量部、N−(2−アミノエチル−3アミノプロピル)トリメトキシシラン1重量部、およびジラウリン酸ジブチルスズ0.1重量部を添加し、均一なコンシステンシーまで窒素雰囲気下で十分に混合した。
型内で均一な厚さ(6mm)のシリコーンのシートを作製し、それを室温および相対湿度50%において7日間硬化させた。
【実施例3】
【0043】
UL94V可燃性試験手順
上記の実施例に従って作製した硬化シリコーン製品の可燃性格付けを見積もるため、UL94V試験を行った。結果に基づいてこの材料をV−0、V−1またはV−2に分類することができる。
【0044】
上記の実施例2に従って作製した6mmシートから大きさ125mm×13mmの棒形片を切り取った。形状を滑らかにするため端部を丸くした。
バーナーへのメタン・ガス供給量を流速105mL/分に調節した。バーナーを調節して、20mmの青色炎を発生させた。バーナーの頂部が試験片の下端の10mm下方に来るように、棒状試料を垂直に掴んだ。試験片棒下端の中心点に、炎を当てた。10秒間炎を当て、次いで試験片から150mmの距離まで炎を移動させ離した。残炎時間(t1)を記録した。残炎が止むと直ぐに、試験片の直下、試験片の下端から10mmの距離に10秒間バーナーを置いた。次いで試験片から150mmの距離まで炎を移動させて離し、残燼時間(t2)を記録した。
結果
t1=0秒
t2=0秒
UL94V−0格付けには、t1≦10秒、およびt2≦50秒を要する。
【実施例4】
【0045】
さらなる試験では、鋼厚6mmの鋼棒を、上記の実施例2に従った組成物の6mm塗膜によって被覆した。鋼棒の被覆した表面を、150mmの距離にあり、青色炎の頂部が直接接触するプロパン・トーチからの約1,200℃の炎に4時間当てた。この時間の終わりには、炎に直接曝露された塗膜の領域は硬い炭化物を形成しているが、構造的には無傷のまま残っている。試験全体にわたって、塗膜を通って鋼棒までの著しい熱伝達は何ら観察されなかった。
【実施例5】
【0046】
鋼棒(60mm×5,000mm×3mm)を、実施例2の成分を使用する塗料から作製した乾燥膜厚20mmおよび6mmで被覆した。20mm厚さについては3層で塗料を塗布し、6mm厚さについては2層で塗料を塗布した。それぞれ次の塗装は、塗膜を完全に硬化させるために48時間の間隔で施与した。最終の塗装の後は、室内条件(温度20℃および相対湿度40%)で塗膜を7日間硬化させた。
【0047】
鋼棒上の塗膜を、プロパン・トーチの炎に4時間曝露した。塗膜は、温度1,200℃の青色炎の頂部に直接曝露した。温度センサーを設置した。
図1および2に示すように、鋼棒の裏側で記録した温度のプロットは、2つの勾配を示している。第1の勾配は、試験開始における温度の急上昇を表し、一定温度への緩い上昇(第2の勾配)がそれに続いている。第1の勾配は表面におけるケイ素の燃焼のためであった。第2の勾配における熱伝達の減少は、固体二酸化ケイ素となっているシリコーンの燃焼した表面層によって熱に対する絶縁性が向上したことによるものであった。
【実施例6】
【0048】
UV放射線の使用により硬化させることができるモノメタクリルオキシプロピルを末端とするポリジオルガノシロキサンの耐火性組成物を作製した。この組成物は、25℃で粘度2,000センチポアズを有する、モノメタクリルオキシプロピル基を末端とするポリジメチルシロキサン40重量部を、比重4の二酸化チタン8重量部、密度1.5g/mlのメラミン8重量部、および比重2.2および表面積130m/gを有する非晶質シリカおよび結晶性シリカの混合物36重量部と混合することにより作製した。次いで、窒素雰囲気下でアリルトリメトキシシラン1重量部、およびエチルベンゾイン0.5重量部を添加し、窒素雰囲気下で均一なコンシステンシーまで混合する。吹付け塗りの便のため、環状ポリジメチルシロキサンまたは石油ナフサなどの希釈剤を使用して、組成物をさらに希釈することができる。
【0049】
不活性雰囲気下で波長250〜350nmのUV放射線に曝露する場合、1000ミクロンの厚さの塗膜は1分以内に硬化するであろう。
【0050】
本発明の方法は、難燃性の耐火性かつ耐熱性硬化性シリコーン組成物の少なくとも約2mmの塗膜で表面を被覆することにより、火の影響からその表面を保護する。構造物表面上の硬化性シリコーン組成物の塗膜は、シリコーン組成物を被覆している構造物への損傷を招く恐れがある熱伝達に対する優れた抵抗性により、火に耐えるものである。
【0051】
本発明の方法は、火の影響から構造の完全無欠性を守ることが重要である工業用、商業用および公共建築物に特に有用である。本発明の方法による難燃性組成物で、鋼、コンクリート、および木製の梁、柱、ならびに他の構成部分などの構造部材を被覆することによって、建物の入居者が避難することを可能にする重要な時間の間、建物の構造的完全無欠性が守られ、かつ、構造体が崩壊する危険性を低減して消防士が火を制御するための十分な時間が取れるであろう。
【0052】
本発明の方法および組成物は、様々な異なった表面を被覆するために利用できる。このような表面には、梁、柱、根太などの建築物に使用される構造部材が含まれる。これらの構造部材は鋼、コンクリート、または木材とすることができる。本発明の方法および組成物は、火の高温に曝露された場合の脆弱化から鋼製構造部材を守るのに特に有用である。構造的な構成部分の他に、難燃性とすることが重要である場所に使用されている織物および他の布地を被覆するため、本発明の組成物および方法を使用することもできる。例えば、テントおよびキャノピの製造において使用される帆布または他の材料上に組成物を被覆して、テントまたはキャノピにおける火の場合に、防護性の向上をもたらすことができる。同様に、商業用シートなどの他の布地も、本発明の組成物で被覆できる。
【0053】
特定の実施形態を参照して本発明を記述してきたが、当分野の技術者には、本発明の真の精神および範囲から逸脱せずに、種々の変更を行うことができ、等価物を置換できることを理解されたい。すべてのこのような修正は、本明細書に付帯する特許請求範囲の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による厚さ6mmの難燃性塗膜について、1200℃の直接炎に対する温度対曝露時間をプロットしたグラフである。
【図2】厚さ20mmの塗膜について、温度対曝露時間をプロットしたグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火の影響から表面を保護する方法であって、優れた外面耐久性ならびに熱および火に対する抵抗性をもたらす1種以上の難燃性充填材を含有するポリシロキサン組成物の少なくとも約2mmの塗膜で前記表面を被覆することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記組成物が、約5〜約50重量パーセントの前記難燃性充填材を含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記難燃性充填材が、メラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ三水和物および剥離状黒鉛からなる群から選択される1種以上の充填材である請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記難燃性充填材がメラミンである請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ポリシロキサン組成物が、湿気に曝露することにより硬化する1液型室温硬化性組成物である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記1液型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が、
a)式:
R’[(R)SiO](R)SiR’
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるそれぞれのR’はOH、または炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、nは25℃において粘度が約1〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表される約20〜約60重量パーセントの1種以上のポリジオルガノシロキサン流体であり、少なくとも1種の前記ポリオルガノシロキサン流体は、OHに等しい1つのR’もしくは両方のR’を有し、nは25℃において粘度が1,000〜100,000センチポアズ、好ましくは25℃において1,000〜40,000センチポアズの範囲にあるような平均値を有するポリジオルガノシロキサン流体;
b)式:
[(R)SiO]n
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、nは平均値3〜10を有する)で表される0〜約40重量パーセントのシクロオルガノシロキサン;
c)メラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ三水和物、および剥離状黒鉛からなる群から選択された5〜約50重量パーセントの1種以上の難燃性充填材;
d)約0〜約30重量パーセントの1種以上の無機の増量性または非補強性充填材;
e)約50〜300m/gの表面積および約0.01〜0.03ミクロンの範囲にある粒径を有する、約0.5〜約10重量パーセントの非晶質SiO補強充填材;
f)式:
RSiX
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基であり、Xはケイ素原子に直接結合しているカルボキシル、ケトキシイミノ、アルコキシ、カルボニル、およびアミンから選択される官能基を有するアルキル基である)で表される約1〜10重量パーセントのシラン架橋剤;
g)約0.2〜約3重量パーセントのオルガノシラン接着促進剤;および
h)約0.02〜約3重量パーセントの縮合触媒としての有機スズ塩
を混合することによって得られる生成物からなる請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤が、式:
RSi(ON=CR’
(式中、RおよびR’は独立して、炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または炭素原子1〜8個を有するアルキル基で任意に置換できるフェニル基から選択される)で表されるオキシイミノシラン架橋剤である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、両方のR’がOHであるポリオルガノシロキサン流体を1種だけ含有し、約20〜約30重量パーセントの前記シクロオルガノシロキサンを含有する請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記接着促進剤が、式:
【化1】

(式中、Meはメチル基である)で表される化合物である請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記有機スズ塩が、ジブチルスズジアセテート、オクタン酸第一スズ、およびジオクタン酸ジブチルスズからなる群から選択されるカルボン酸の有機スズ塩である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記カルボン酸の有機スズ塩が、式:
(CSn(OCOC1020CH
の化合物である請求項10記載の方法。
【請求項12】
UVまたは高エネルギー放射線硬化系のための請求項1記載の方法であって、前記組成物が、式:
R’[(R)SiO](R)SiR”
(式中、Rは炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、またはフェニル基であり、同一もしくは異なることができるR’およびR”はアクリルオキシプロピルまたはメタクリルオキシプロピルであり、nは25℃において粘度が約100〜約100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表される20〜70パーセントのポリジオルガノシロキサンを含有する方法。
【請求項13】
光開始剤として、0.25〜5パーセントのエチルベンゾインを使用する請求項12記載の方法。
【請求項14】
接着促進剤として、1〜5パーセントのアリルトリメトキシシランを使用する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、約5〜約50重量パーセントの前記難燃性充填材を含有する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記難燃性充填材が、メラミン、二酸化ジルコニウム、二酸化クロム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ三水和物および剥離状黒鉛からなる群から選択される1種以上の充填材である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記難燃性充填材がメラミンである請求項16記載の方法。
【請求項18】
2液型付加硬化系のための請求項1記載の方法であって、前記組成物が、式:
R”[(R)SiO](R)SiR”
(式中、Rは1〜9個のハロゲン原子で任意に置換された炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたフェニル基であり、R”は一価のアルケニル基(好ましくは一価のビニルまたはエチレン基)であり、nは粘度が100〜100,000センチポアズとなるような平均値を有する)で表される30〜80重量パーセントのポリジオルガノシロキサンを含有する方法。
【請求項19】
前記組成物が、式:
R[(R)(H)SiO][(R)SiO]
(式中、同一もしくは異なることができるそれぞれのRは、1〜9個のハロゲン原子で任意に置換された炭素原子1〜8個を有する一価のアルキルもしくはアルケニル基、または1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたフェニル基であり、Hはヒドリド基であり、mおよびnはそれらの全平均値が、粘度を10〜10,000センチポアズとするようなものである整数であり、mの値はm+nの値の10〜50パーセントである)で表される1〜12重量パーセントのポリジオルガノシロキサン架橋剤を含有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、式:
Si(RO)
(式中、Rはアルケニル基、好ましくはビニル基であり、Rは炭素原子1〜6個を有するアルキル基である)で表される0.5〜3パーセントの接着促進剤を含有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記組成物全体が、触媒として2〜14重量パーセントの白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521414(P2006−521414A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568607(P2004−568607)
【出願日】平成15年8月6日(2003.8.6)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001165
【国際公開番号】WO2004/076571
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501065753)シーエスエル シリコーンズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】