説明

火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造

【目的】 片面実装プリント基板の裏面からでもコネクタの取付位置を確認することのできて、コネクタの接続が容易な火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造を提供する。
【構成】 筐体1または扉2にコネクタ8を含む電気部品等が片面実装されたプリント基板7とを備えてなり、プリント基板7の外縁より僅かに内側にコネクタ8を取り付けるとともに、コネクタ8の幅とほぼ同じ幅でコネクタ8の取付位置から外縁に開口する凹状の切りかき7aを設けたものである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、例えば火災受信機、連動操作盤などの火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の火災受信機の扉部分の一例を示す分解斜視図、図4は従来の火災受信機に使用されるプリント基板の構成説明図である。図において、31は本体(図示せず)にヒンジを介して開閉自在に装着された金属板からなる扉で、前面板32の中央部よりやや上方には方形の窓穴33が設けられている。34a,34bはプリント基板で、その両面には配線パターンが形成されてコネクタプラグ35を含む電子部品等が実装されており、コネクタプラグ35の端子35aと対向したプリント基板34a,34bの面にはコネクタジャック(図示せず)と接続するための接続穴34cが形成されている。36は多数の表示窓が設けられた金属板からなる断面L字状の表示板、37は多数のスイッチ等が設けられたスイッチプレートで、表示板36およびスイッチプレート37の背面にはネジによってプリント基板34a,34bが固定されている。そして、プリント基板34a,34bのコネクタプラグ35は接続穴34cを介してコネクタジャックと接続され、本体内に設けたプリント基板等と接続される。
【0003】
このような火災受信機は、火災が発生すると警報を発し、表示板36上の当該地区の表示灯を点灯させる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
上記のように構成した従来の火災受信機のプリント基板34a,34bは、配線パターンが両面に形成されて電子部品等が実装されているので、表示板36およびスイッチプレート37の背面にプリント基板34a,34bを取り付ける際に、工具等が電気部品に接触したり、あるいは、配線パターンに傷を付けて短絡させてしまうことがあり、プリント基板の取扱いが不便であった。また、プリント基板の接触やパターンの短絡を防ぐために、プリント基板の背面に絶縁紙を配設していたので、コストアップにもなっていた。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、絶縁紙が不用で取扱いが容易な片面実装方式のプリント基板を用いることが考えられている。しかしながら、片面実装のプリント基板の裏面を表側にして筐体等に取り付け、このプリント基板に実装されたコネクタプラグにコネクタジャックを接続する場合、プリント基板の裏側からではコネクタプラグの取付位置を確認することができず、コネクタジャックを接続することができないので、大変不便であった。
【0006】
この考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、片面実装プリント基板の裏面からでもコネクタの取付位置を確認することができて、コネクタの接続が容易な火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この考案に係る火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造は、筐体内または扉にコネクタを含む電気部品等が片面実装されたプリント基板を備えてなり、プリント基板の外縁より僅かに内側にコネクタを取り付けるとともに、コネクタの幅とほぼ同じ幅でコネクタの取付位置から外縁に開口する凹状の切りかきを設けたものである。
【0008】
【作用】
片面実装プリント基板にコネクタを含む電気部品等を実装する。この時、コネクタプラグはプリント基板の外縁より僅かに内側に取り付けられ、このコネクタプラグの取付位置から外縁に開口する凹状の切りかきが形成されている。そして、火災報知装置の扉等にプリント基板の表面を当接させて固定し、プリント基板に設けられた切りかきによりコネクタプラグの取付位置を確認しながらコネクタジャックを接続する。
【0009】
【実施例】
図1はこの考案の実施例の構成説明図、図2はこの考案に係るコネクタ取付構造を有するプリント基板を使用した火災受信機の扉を開いた状態を示す斜視図である。図において、1は金属板からなる箱状の筐体、2はヒンジを介して筐体1に開閉可能に取付けられた金属板からなる扉で、中央部よりやや上方に窓穴が設けられている。3は扉2に設けた操作板、4は表示板、5は増設用表示板、6は表示板4の補強板である。7は表示板4の背面に当接して固定される片面実装のプリント基板で、コネクタ8を含む電気部品等が実装されている。コネクタ8のコネクタプラグ8aはプリント板7の外縁より僅かに内側に取り付けられており、このコネクタプラグ8aの幅とほぼ同じ幅でコネクタプラグ8aの取付位置から外縁に開口する凹状の切りかき7aが形成されて、プリント基板の裏側からでもコネクタプラグ8aの取付位置を確認しながらコネクタジャック8bを矢印方向に接続することができる構成となっている。9は操作板3の背面に当接して固定される両面実装のプリント基板、10はプリント基板9の背面に取る付けられる絶縁紙である。
【0010】
11は筐体1の背板に固定されたプリント基板、12はプリント基板11に搭載された端子台、13はプリント基板11の保護板である。14は背板に取付けられたトランス、15は予備電源である。
【0011】
上記のようなこの考案においては、開いた扉2の窓穴に操作板3、表示板4および増設用表示板5を所定の位置に配設し、表示板4および操作板3の背面にプリント基板7,9をネジで固定させる。この時、プリント基板7はプリント基板7の実装面(表面)を表示板4に当接して配設される。そして、切りかき7aによりコネクタプラグ8aが取り付けられている位置を確認しながらコネクタジャック8bを接続して筐体1内のプリント基板11等と接続し、扉2を閉じる。そして、操作板3等を操作して火災受信機を駆動させ、例えば火災感知器から送られる感知信号を待つ。火災が発生して火災感知器から感知信号が送られると、警報を発して表示板4上の当該地区の表示灯を点灯する。
【0012】
なお、操作板3に取り付けられるプリント基板9や筐体1側に取り付けられるプリント基板11に片面実装のプリント基板を用いた場合には、これらのプリント基板9,11のコネクタプラグの部分を上記のプリント基板7と同様に構成すればよい。
【0013】
【考案の効果】
以上のようにこの考案では、片面実装プリント基板の外縁より僅かに内側にコネクタを取り付けるとともに、このコネクタの幅とほぼ同じ幅でコネクタの取付位置から外縁に開口する凹状の切りかきを設けたので、プリント基板の実装面を裏側にして配設した場合でも、コネクタプラグの取付位置を確認することができて便利であり、正確にコネクタジャックを接続することのできるコネクタ取付構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の実施例の構成説明図である。
【図2】この考案に係るコネクタ取付構造を有するプリント基板を使用した火災受信機の扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】従来の火災受信機の扉部分の一例を示す分解斜視図である。
【図4】従来の火災受信機に使用されるプリント基板の構成説明図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 扉
3 操作板
4 表示板
7 片面実装のプリント基板
7a 切りかき
8 コネクタ
8a,35 コネクタプラグ
8b コネクタジャック
34c 接続穴

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 筐体内または扉にコネクタを含む電気部品等が片面実装されたプリント基板を備えてなり、前記プリント基板の外縁より僅かに内側にコネクタを取り付けるとともに、該コネクタの幅とほぼ同じ幅でコネクタの取付位置から外縁に開口する凹状の切りかきを設けたことを特徴とする火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】実開平5−40994
【公開日】平成5年(1993)6月1日
【考案の名称】火災報知装置用プリント基板のコネクタ取付構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−86440
【出願日】平成3年(1991)10月23日
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)