説明

火災警報器及び携帯電話

【課題】より早期に火災を判断することが可能な火災警報器及び携帯電話を提供する。
【解決手段】火災警報器1は、COセンサ10と、熱センサ20と、煙センサ30と、CPU40と、音声警報部50とを備えている。CPU40は、各センサ10〜30からの信号によって予備火災及び本格火災を判断し、音声警報部50は予備火災警報及び本格火災警報を発する。また、CPU40は、他のセンサ20,30からの信号によらず、COセンサ10からの信号のみによって火災(火災の発生の可能性)を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報器及び携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱、煙及び一酸化炭素のそれぞれを検出して、これらを複合的に判断して火災を検出する火災警報器が提案されている(例えば特許文献1参照)。この火災警報器によれば、火災発生時において熱、煙及び一酸化炭素が重複して発生することに着目し、火災の検出精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−316765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、火災の発生についてはより早期に判断できることが望ましい。しかし、従来の火災警報器では、熱、煙及び一酸化炭素から判断するため、早期に判断することが困難となってしまう。すなわち、熱、煙及び一酸化炭素については、火災の発生源から上昇して天井に至り、天井付近で広がった後に居室の壁等に沿って下方に至ると考えられている。このため、火災警報器の真下に火災発生源が位置することが望ましい。ところが、火災発生源が常に火災警報器の真下に位置することはあり得ないため、充分に熱、煙及び一酸化炭素が広がってから火災を判断しなければ、誤った警報を発してしまうこととなる。よって、早期に火災を判断することが困難となってしまう。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より早期に火災を判断することが可能な火災警報器及び携帯電話を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の火災警報器は、周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、COセンサからの信号に基づいて火災を判断する判断部と、判断部により火災が判断された場合に火災警報を発する火災警報部と、を備え、COセンサは、一酸化炭素の発生源から一酸化炭素が発生した場合、居室内において略均一に拡散する一酸化炭素濃度に応じた信号を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の火災警報器によれば、COセンサからの信号に基づいて火災を判断し、火災が判断された場合に火災警報を発すると共に、COセンサは、一酸化炭素の発生源から一酸化炭素が発生した場合、居室内において略均一に拡散する一酸化炭素濃度に応じた信号を出力する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、COセンサは火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ一酸化炭素濃度に応じた信号を出力できることとなる。よって、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0008】
また、本発明の火災警報器は、周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、COセンサのみからの信号に基づいて火災の発生の可能性があることを判断する判断部と、判断部により火災が判断された場合に火災の発生の可能性がある旨の予備火災警報を発する火災警報部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この火災警報器によれば、COセンサのみからの信号に基づいて火災の発生の可能性があることを判断し、火災が判断された場合に火災の発生の可能性がある旨の予備火災警報を発する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、一酸化炭素濃度は火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ濃度で検出できることとなる。よって、COセンサのみの信号から判断することでより、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0010】
また、本発明の火災警報器は、周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、温度及び煙量の少なくとも一方に応じた信号を出力する他のセンサと、COセンサ及び他のセンサからの信号に基づいて火災を判断する判断部と、判断部により火災が判断された場合に火災警報を発する火災警報部と、を備え、判断部は、他のセンサからの信号によらずCOセンサからの信号のみにより火災を判断する機能を有することを特徴とする。
【0011】
この火災警報器によれば、COセンサ及び他のセンサからの信号に基づいて火災を判断すると共に、他のセンサからの信号によらずCOセンサからの信号のみにより火災を判断する機能を有する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、一酸化炭素濃度は火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ濃度で検出できることとなる。よって、COセンサのみの信号から判断することでより、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0012】
また、本発明の火災警報器は、火災警報部は、他のセンサからの信号に基づいて火災を判断した場合、火災の発生を示す本格火災警報を発すると共に、COセンサからの信号のみにより火災を判断した場合、火災の発生の可能性があることを示す予備火災警報を発することが好ましい。
【0013】
この火災警報器によれば、他のセンサからの信号に基づいて火災を判断した場合、火災の発生を示す本格火災警報を発すると共に、COセンサからの信号のみにより火災を判断した場合、火災の発生の可能性があることを示す予備火災警報を発する。このため、COセンサ及び他のセンサからの信号に基づいて火災を判断した場合という火災である確実性が高い場合には本格火災警報をし、COセンサからの信号のみにより火災を判断した場合という火災でない可能性もある場合には予備火災警報をすることとなる。よって、火災の確実性に応じた適切な警報を行うことができる。
【0014】
また、本発明の携帯電話は、上記火災警報器を搭載することを特徴とする。
【0015】
この携帯電話によれば、火災警報器を携帯電話に搭載しているため、ユーザが所有する携帯電話から火災警報を発することができる。特にテーブルの上や枕元などに置かれる可能性が高い携帯電話であっても、居室等の空間内において略均一に一酸化炭素が濃度拡散するという知見に基づけば、携帯電話の位置に拘わらず早期に警報を行うことができる。さらには、携帯電話の特性上ユーザは電池切れとならないように充電を頻繁に行うことから、電池式警報器における電池切れのような可能性を低減することができる。
【0016】
また、本発明の携帯電話は、判断部により火災が判断された場合に、所定機関に位置情報を通信伝達することが好ましい。
【0017】
この携帯電話によれば、火災警報が発せられた場合に所定機関に位置情報を通信伝達するため、火災時における消火・救出等の活動の迅速化に寄与することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の火災警報器及び携帯電話よれば、より早期に火災を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る火災警報器の使用状態を示す図である。
【図2】図1に示した火災警報器の詳細を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る火災警報器の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る携帯電話の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る火災警報器の使用状態を示す図である。同図に示す火災警報器1は、居室等で火災が発生した場合に火災を検知して警報するものであって、例えば居室等の空間の天井部位に設置されている。なお、本実施形態に係る火災警報器1は天井に限らず、壁や床面等のあらゆる箇所に設置可能である。
【0021】
図2は、図1に示した火災警報器1の詳細を示すブロック図である。図2に示すように、火災警報器1はCOセンサ10と、熱センサ(他のセンサ)20と、煙センサ(他のセンサ)30と、CPU(判断部)(Central Processing Unit)40と、音声警報部(火災警報部)50とから構成されている。
【0022】
COセンサ10は、周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するものである。具体的にCOセンサ10は、COガスが吸着すると内部抵抗値を低下させる検出素子を含み、この内部抵抗値に基づくCOガス濃度に応じた濃度信号を出力する。
【0023】
熱センサ20は、温度に応じた信号を出力するものである。具体的に熱センサ20は、雰囲気温度により抵抗値が変化するサーミスタを含み、この抵抗値に基づく雰囲気温度に応じた温度信号を出力する。
【0024】
煙センサ30は、煙量に応じた信号を出力するものである。具体的に煙センサ30は、所定の光路上の光量に応じた光量信号を出力する光電素子を含んで構成される。
【0025】
CPU40は、火災警報器1の全体を制御するものである。このCPU40は、各センサ10〜30の信号に基づいて火災を判断する判断機能(判断部)を有している。
【0026】
ここで、従来の火災警報器では各センサからの信号に基づいて複合的火災を判断しているため、早期に火災を判断することが困難である。一般に、熱、煙及び一酸化炭素については、火災の発生源から上昇して天井に至り、天井付近で広がった後に居室の壁等に沿って下方に至ると考えられている。このため、火災警報器の真下に火災発生源が位置することが望ましい。ところが、火災発生源が常に火災警報器の真下に位置することはあり得ないため、充分に熱、煙及び一酸化炭素が広がってから火災を判断しなければ、誤った警報を発してしまうこととなる。よって、早期に火災を判断することが困難となってしまう。
【0027】
しかし、本件発明者らは、火災状況について鋭意研究を重ねた結果、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。より詳細には高さが同じとなる位置B,Cにおいて一酸化炭素濃度はほぼ同じとなり、高さが異なる位置A、位置D、位置B,Cでは僅かに一酸化炭素濃度が異なるが、熱対流により煙や熱が拡がっていく場合と比較すると、一酸化炭素はより均一に拡散することを見出した。図1を参照する。例えば寝タバコなどにより位置Fにおいて無煙火災が発生したとする。この場合、位置A〜D及び火災警報器1の設置位置のいずれにおいても、一酸化炭素濃度は略同じとなる。そこで、本件発明者らは、この特性を活かした処理を火災警報器1で実行することとした。
【0028】
すなわち、本実施形態においてCPU40は、熱センサ20及び煙センサ30からの信号によらず、COセンサ10からの信号のみに基づいて火災(より詳しくは火災の発生の可能性があること)を判断する。居室等の空間内において略均一に一酸化炭素濃度が上昇することからすると、居室内のどの位置においても一酸化炭素については略同じ濃度で検出できることとなる。故に、一酸化炭素については火災発生位置に拘わらず火災警報器1において早期に検知されることとなる。よって、COセンサ10からの信号のみに基づいて火災を判断することで、火災の早期検出につなげることができる。
【0029】
より詳細にCPU40は、一酸化炭素濃度が第1閾値以上であるときに火災の発生の可能性があることを示す予備火災であると判断する。ここで、室内CO環境基準は10ppmであるが、一般的な火災警報器において火災を判断するための閾値は誤報を防止するためにある程度のマージンを有し、50ppmとなっている。この50ppmという値は、EN規格の火災試験基準TF3の実験に基づいて決定されている。しかし、居室等の空間内において略均一に一酸化炭素濃度が上昇することからすると、誤報防止のためのマージンをもたせる必要がない。このため、第1閾値は50ppmである必要はなく、10ppmより高く50ppm未満程度の値であっても問題がない。しかも、第1閾値が従来よりも低い値となることから、一層火災の早期判断につなげることができる。
【0030】
また、CPU40は、熱センサ20及び煙センサ30からの信号に基づいて本格火災についても判断する。具体的に本実施形態では温度が第2閾値以上である場合、又は煙量が第3閾値以上である場合、本格火災であると判断する。
【0031】
音声警報部50は、CPU40により火災が判断された場合に火災警報を発するものである。詳細に音声警報部50は、CPU40により予備火災が判断された場合、予備火災警報を発すると共に、CPU40により本格火災が判断された場合、本格火災警報を発する。
【0032】
この音声警報部50は、例えば予備火災警報においてメロディ音を流したり、「火災警報器が作動しました。確認して下さい。」という音声を流したりして、火事の可能性を報知する。一方、本格火災警報において音声警報部50は例えば「火事です。火事です。」という音声を流して直接的に火事の発生を放置する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る火災警報器1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す処理は火災警報器1の電源がオフとなるまで繰り返し実行される。
【0034】
図3に示すように、まずCPU40はCOセンサ10からの信号に基づいて一酸化炭素濃度を計測する(S1)。次に、CPU40は、一酸化炭素濃度が第1閾値以上であるか否かを判断する(S2)。ここで、第1閾値は上記したように10ppmより高く50ppm未満となっている。
【0035】
一酸化炭素濃度が第1閾値以上でないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS4に移行する。一方、一酸化炭素濃度が第1閾値以上であると判断した場合(S2:YES)、音声警報部50はCPU40からの指示により予備火災警報を発する(S3)。そして、処理はステップS4に移行する。
【0036】
ステップS4においてCPU40は熱センサ20からの信号に基づいて温度を計測すると共に(S4)、煙センサ30からの信号に基づいて煙量を計測する(S5)。
【0037】
その後、CPU40は温度が第2閾値以上であるか否かを判断する(S6)。温度が第2閾値以上でないと判断した場合(S6:NO)、CPU40は煙量が第3閾値以上であるか否かを判断する(S7)。煙量が第3閾値以上でないと判断した場合(S7:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0038】
また、温度が第2閾値以上であると判断した場合(S6:YES)、又は、煙量が第3閾値以上であると判断した場合(S7:YES)、音声警報部50はCPU40からの指示により本格火災警報を発する(S8)。その後、図3に示す処理は終了する。
【0039】
このようにして、本実施形態に係る火災警報器1によれば、COセンサ10からの信号に基づいて火災を判断し、火災が判断された場合に火災警報を発すると共に、COセンサ10は、一酸化炭素の発生源から一酸化炭素が発生した場合、居室内において略均一に拡散する一酸化炭素濃度に応じた信号を出力する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、COセンサ10は火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ一酸化炭素濃度に応じた信号を出力できることとなる。よって、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0040】
また、COセンサ10のみからの信号に基づいて火災の発生の可能性があることを判断し、火災が判断された場合に火災の発生の可能性がある旨の予備火災警報を発する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、一酸化炭素濃度は火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ濃度で検出できることとなる。よって、COセンサ10のみの信号から判断することでより、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0041】
また、COセンサ10及び他のセンサ20,30からの信号に基づいて火災を判断すると共に、他のセンサ20,30からの信号によらずCOセンサ10からの信号のみにより火災を判断する機能を有する。ここで、本件発明者らは、一酸化炭素が熱対流のように拡散するのでなく、居室等の空間内において略均一に濃度拡散することを見出した。このため、一酸化炭素濃度は火災発生源の位置に拘わらず、居室等の空間のどの位置においても略同じ濃度で検出できることとなる。よって、COセンサ10のみの信号から判断することでより、熱や煙のように対流を考慮した火災判断を行う必要がなく、早期に火災を判断することができる。
【0042】
また、他のセンサ20,30からの信号に基づいて火災を判断した場合、火災の発生を示す本格火災警報を発すると共に、COセンサ10からの信号のみにより火災を判断した場合、火災の発生の可能性があることを示す予備火災警報を発する。このため、COセンサ10及び他のセンサ20,30からの信号に基づいて火災を判断した場合という火災である確実性が高い場合には本格火災警報をし、COセンサ10からの信号のみにより火災を判断した場合という火災でない可能性もある場合には予備火災警報をすることとなる。よって、火災の確実性に応じた適切な警報を行うことができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では火災警報器1が携帯電話に搭載されている。第2実施形態に係る携帯電話において搭載される火災警報器1は、第1実施形態のものと同様である。
【0044】
図4は、第2実施形態に係る携帯電話の概略構成図である。図4に示すように、携帯電話2は内部に火災警報器1及びGPS(Global Positioning System)3を搭載している。このため、火災が検知された場合、携帯電話2から火災警報が発せられることとなる。
【0045】
ここで、携帯電話2はテーブルや枕元などに置かれる可能性が高い。このため、従来のように熱、煙及び一酸化炭素が熱対流のように広がっていくと考えられている場合、携帯電話2に火災警報器1を搭載すること自体火災検出に適さないと考えられていた。しかし、一酸化炭素については居室内のどの位置においても略同じ濃度で検出されるため、携帯電話2に火災警報器1を搭載しても火災を検出できることとなる。特に、ユーザは携帯電話2が電池切れとならないように充電を行うため、電池切れの可能性を低減することができる。
【0046】
なお、携帯電話2に搭載される火災警報器1についてCPU40や音声警報部50は携帯電話2のものと共通とすることが望ましい。
【0047】
GPS3は、GPS衛星から電波を受信して、携帯電話2の位置を検出するものである。また、第2実施形態において携帯電話2は火災警報器1のCPU40により火災が判断された場合、GPS3により検出された位置の情報を消防署等の所定機関に通信伝達する。これにより、火災時における消火・救出活動の迅速化につなげることができる。
【0048】
このようにして、本実施形態に係る携帯電話2によれば、第1実施形態と同様に、早期に火災を判断することができる。
【0049】
また、第2実施形態によれば、火災警報器1を携帯電話2に搭載しているため、ユーザが所有する携帯電話2から火災警報を発することができる。特にテーブルの上や枕元などに置かれる可能性が高い携帯電話2であっても、居室等の空間内において略均一に一酸化炭素が濃度拡散するという知見に基づけば、携帯電話2の位置に拘わらず早期に警報を行うことができる。さらには、携帯電話2の特性上ユーザは電池切れとならないように充電を頻繁に行うことから、電池式警報器における電池切れのような可能性を低減することができる。
【0050】
また、火災警報が発せられた場合に所定機関に位置情報を通信伝達するため、火災時における消火・救出等の活動の迅速化に寄与することができる。
【0051】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態において各値は上記した値に限らず、適宜変更可能である。
【0052】
さらに、本実施形態では火災警報器1が天井に設置されていたが、これに限るものではなく、壁や床面等のあらゆる箇所に設置可能である。例えば、一般に火災警報器1が天井に設置される場合、壁や張りから60cm以上離れた位置に設置されるが、これに限らず60cm未満の箇所に取り付けられてもよい。また、火災警報器1が壁に設置される場合、天井から15cm以上50cm以下の箇所に設置されるが、これに限らず15cm未満の箇所及び50cmを超える箇所に取り付けられてもよい。上述したように、一酸化炭素濃度が居室内等の空間において略均一に拡散するため、設置位置に拘束を受けないからである。
【0053】
なお、上記実施形態に係る火災警報器1及び携帯電話2は火災を検知して警報することを主としているが、燃焼機器からの不完全燃焼を検知する警報器、及びこの警報器を搭載する携帯電話としてもよい。この場合、CPU40はCOセンサ10からの信号に基づいて不完全燃焼(さらには火災)を判断する判断部として機能し、音声警報部50は、CPU40により不完全燃焼(又は火災)が判断された場合に不完全燃焼の警報を発する火災警報部として機能することとなる。
【符号の説明】
【0054】
1…火災警報器
2…携帯電話
3…GPS
10…COセンサ
20…熱センサ
30…煙センサ
40…CPU(判断部)
50…音声警報部(火災警報部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、
前記COセンサからの信号に基づいて火災を判断する判断部と、
前記判断部により火災が判断された場合に火災警報を発する火災警報部と、を備え、
前記COセンサは、一酸化炭素の発生源から一酸化炭素が発生した場合、居室内において略均一に拡散する一酸化炭素濃度に応じた信号を出力する
ことを特徴とする火災警報器。
【請求項2】
周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、
前記COセンサのみからの信号に基づいて火災の発生の可能性があることを判断する判断部と、
前記判断部により火災が判断された場合に火災の発生の可能性がある旨の予備火災警報を発する火災警報部と、
を備えることを特徴とする火災警報器。
【請求項3】
周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するCOセンサと、
温度及び煙量の少なくとも一方に応じた信号を出力する他のセンサと、
前記COセンサ及び前記他のセンサからの信号に基づいて火災を判断する判断部と、
前記判断部により火災が判断された場合に火災警報を発する火災警報部と、を備え、
前記判断部は、前記他のセンサからの信号によらず前記COセンサからの信号のみにより火災を判断する機能を有する
ことを特徴とする火災警報器。
【請求項4】
前記火災警報部は、前記他のセンサからの信号に基づいて火災を判断した場合、火災の発生を示す本格火災警報を発すると共に、前記COセンサからの信号のみにより火災を判断した場合、火災の発生の可能性があることを示す予備火災警報を発する
ことを特徴とする請求項3に記載の火災警報器。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の火災警報器を搭載することを特徴とする携帯電話。
【請求項6】
前記判断部により火災が判断された場合に、所定機関に位置情報を通信伝達する
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−88752(P2012−88752A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232212(P2010−232212)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】