説明

火炎抑制材

【課題】火炎抑制効果に優れ、更に効果的に泡消火剤による消火を行うことができる新規な構成の火炎抑制材を提供すること。
【解決手段】可燃性液体を覆うように浮かべ可能な嵩高な浮体11の集合体である火炎抑制材。各浮体11が、中空体又は多孔質体からなる浮力発生芯体13と、該浮力発生芯体13に接して形成される発泡性乃至多孔質の耐火層15を備えている。耐火層15は、通常、有機質であって、火炎に晒されたとき、多孔質断熱層を形成する発泡性耐火塗料で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性液体を貯蔵する貯蔵槽において、可燃性液体の火災時における火炎抑制乃至消火(鎮火)補助を目的として用いる火炎抑制材、及びそれを用いた泡消火剤による可燃性液体の消火方法に関する。
【0002】
特に可燃性液体が、引火性を有して火炎の伝播速度が加速され易い引火性液体(消防法第4類)である場合に好適な発明である。引火性液体としては、原油、ガソリン、ベンゼン、灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油類、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アマニ油等の動植物油類などを挙げることができる。
【0003】
また、本明細書および特許請求の範囲で使用する各用語の意味は、下記の通りである。
【0004】
・「耐火層」とは、可燃性を有しない層、即ち、耐火性、不燃性、耐炎性、難燃性、自己消火性等を示す非可燃性の層を意味する。さらに、火炎に晒されたとき、熱硬化乃至発泡等して耐火性乃至断熱性が付与できる有機塗料で形成される塗膜層も含む。
【0005】
・「対液比重」とは、同体積における火炎抑制材の可燃性液体に対する質量比をいう。
【背景技術】
【0006】
従来、原油やガソリン等の可燃性液体(引火性液体)を貯蔵する貯蔵槽に火災が発生した場合における可燃性液体の消火方法としては、泡消火剤を貯蔵槽に投入する方法が一般的である。
【0007】
石油等の可燃性液体貯蔵槽の火災における泡消火剤による消火には、可燃性液体に投入した泡消火剤が、可燃性液体面(油面)に到達する前に、火災により発生した気流や熱暴露のために、泡消火剤が消泡(破泡)したり、偏在散布され易かった。また、泡消火剤が、薬剤放射砲等から放射された場合、油面と衝突接触して、泡が油汚染される。このため、火災時において、該汚染された泡に着火して、泡自身の消泡(破泡)が促進され易かった。したがって、消火に有効な泡層を油面上に形成することが困難であるという問題点があった。
【0008】
また、泡消火剤は、火災時の消火のみならず、非火災時においても着火防止措置として、全面被覆に使用されることがある。この場合でも、風による影響で泡展開の阻害や片寄りが発生し、油面を完全に被覆できない等の問題点があった。
【0009】
これらの問題点が泡消火剤の消火能力にあたえる悪影響は、貯蔵槽が大型タンクの場合など、可燃性液体の液面の面積の増大に比例する。
【0010】
前記の問題点を解決して効果的に消火を行う技術として、特許文献1において消火用補助材(火炎抑制材)の発明及び消火用補助材を使用した消火方法に係る下記構成の発明が提案されている(請求項1等)。
【0011】
「可燃性液体の火災発生時における消火用補助材であって、無機化合物の中空粒子で、比重が0.2〜0.6の範囲内で、短時間耐熱性が1300℃〜1600℃の範囲内であり、泡消火剤及び/または粉末消火剤を噴射する前に、或いは泡消火剤及び/または粉末消火剤を噴射するのと同時に、前記可燃性液体の表面に散布して断熱層・空気遮断層を形成することを特徴とする消火用補助材。」
【0012】
同特許文献で記載されている消火補助剤(火炎抑制材)は、無機化合物の中空粒子、中空のガラスビーズ、ガラスビーズブロック、中空微細気泡ガラスブロック、また、それらの表面を難燃剤で被覆したものが記載されている(請求項3〜5等)。
【0013】
なお、特許文献2は、本発明における有機質の耐火層を形成する発泡性耐火塗料に係る先行技術文献である(要約等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−29125号公報
【特許文献2】特開2001−40290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、上記にかんがみて、上記特許文献1に記載の火炎抑制材(消火用補助材)とは技術的思想が異なるとともに、火炎抑制効果に優れ、より効果的に泡消火剤による消火を行うことができる新規な構成の火炎抑制材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をする過程で、下記構成とすれば、火炎抑制効果が優れていることを知見して、下記構成の火炎抑制材に想到した。
【0017】
可燃性液体を覆うように浮かべることが可能な嵩高な浮体の集合体であって、
各浮体が、中空体又は多孔質体からなる浮力発生芯体と、該浮力発生芯体に接して形成される耐火層を備えている、ことを特徴とする。
【0018】
ここで、「嵩高な浮体」とは、引用文献1におけるガラスビーズのような小さな浮体(例えば、4〜8mm:段落0014)を排除するものである。具体的には、球体の場合、外径が約10mm以上のもの、望ましくは約20mm以上、さらに望ましくは、約50mm以上のものを指す。
【0019】
本発明の火炎抑制材は、嵩高であるため、液面に浮かべたとき、浮力を確保し易く、かつ、ガラスビーズのように多重に積層しなくても、火炎抑制性に適した断熱/空気遮断層を形成可能となる。例えば、所定厚みの断熱/空気遮断層を単層乃至少ない数の複層で形成できれば、浮体の沈液部比率を小さくでき、火炎抑制材の断熱/空気遮断層形成能を増大できる(浮力により液面上の火炎抑制材集合体の厚みが増大する。)。結果的に、火炎抑制材の投入作業性も向上する。
【0020】
なお、引用文献1の請求項6のガラスビーズブロック(例えば、長さ×幅:80〜120mm、厚さ:15〜50mm;段落0045)にした場合は、多重に積層しなくてもよいが、球状乃至正多面体の浮体と異なり、パイプによる空気輸送が困難となり、火炎抑制材の投入作業性に問題が発生する。
【発明の効果】
【0021】
本願に係る火炎抑制材によれば、可燃性液体貯蔵槽の火災を泡消火剤によって消火する場合において、後述の如く、ガラスビーズ製のものに比して、泡消火剤による消火能力をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の火炎抑制材要素である浮体の一例を示す外観図(A)および断面図(B)である。
【図2】同じく浮体の他の例を示す正面図、上面図および右側面図である。
【図3】本発明の火炎抑制材の可燃性液体への投入後における浮体の耐火層発泡前のモデル平面図(A)と断面図(B)である。
【図4】同じく耐火層発泡後のモデル平面図(A)と断面図(B)である。
【図5】火炎抑制効果試験に使用する火皿のモデル断面図である。
【図6】火炎抑制材の火炎抑制効果試験の試験方法を示すモデル図である。
【図7】同じく火炎抑制材無し及び火炎抑制材有りの場合における各放射強度経時試験結果を示す相対モデルグラフ図である。
【図8】各試験における放射抑制効果を%表示した棒状グラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の各実施形態について説明する。以下の説明で、配合単位は、特に断らない限り、質量単位である。
【0024】
火炎抑制材(集合体)の要素である浮体(火炎抑制材要素)11は、図1に示す如く、中空体又は多孔質体からなる浮力発生芯体13と、該浮力発生芯体13に接して形成される発泡性及び/又は多孔質の耐火層15を備えている。
【0025】
ここで、浮体11の外観は図例では球体であるが、図2に示すような等方形状の多面体であってもよい。例えば、六面体、八面体、十面体等とすることができる。むしろ、可燃性液体に投入して浮かべたとき多面体の方が同一容量の球体に比して液面被覆率を高め易い。通常、多面体はその最大断面を液面に略平行にして浮かぶとともに、接触する浮体の最大断面の稜線相互が線接触するためである(球体の場合は点接触となる)。例えば正八面体であれば四角錘部が部分的に液没する。そして、径が大きくかつ対液比重が小さければ、球体のものに比して、さらに、液面被覆率が大きくなる。
【0026】
ここで、浮体11の外径(浮力作用線との直交面で最大となる径:球体の場合は直径)は、前述の嵩高性を有する径以上で、火炎抑制材に要求される断熱/空気遮断層の厚み以下であって、液面への投入作業可能な範囲から、適宜設定する。例えば、火炎抑制材をパイプ空気輸送により石油タンク等に貯留されている可燃性液体面に投入する場合で、例えば、パイプとして12B鋼管を使用するとき、浮体11の外径は、10〜250mm、望ましくは20〜200mm、さらに望ましくは50〜150mmの範囲から適宜設定とする。
【0027】
また、前記浮体(火炎抑制材要素)11の対液比重(全体換算:浮力発生芯体13と耐火層15との合計)は、0.1〜0.8であり、好ましくは0.2〜0.5、さらに好ましくは0.2〜0.4とする。
【0028】
浮体11の対液比重が大きすぎると、浮体11の液下(液没)比率が大きくなって、液上比率が小さくなる。よって、浮体11からなる火炎抑制材による断熱/空気遮断層の厚みを確保し難くなる。
【0029】
また、可燃性液体の沸点温度は、前記した組成の発泡耐火塗料によって形成された耐火層15の発泡温度より低いものが多く、耐火層15の発泡は火炎の熱によって行われることとなる。このため、火災の熱によって発泡して多孔質断熱層となるのは、主に浮体11において可燃性液体と接していない部分である。したがって、液上比率が小さいと、耐火層15が多孔質断熱層を形成可能な耐火材である場合、耐火層15の発泡が十分でなく、多孔質断熱層による断熱作用および液面被覆作用を余り期待できない。
【0030】
逆に、浮体11の対液比重が小さすぎると、該浮体11を可燃性液体の消火に用いた場合、火炎抑制材の浮体11が火災で発生した気流による影響を受け易い。例えば、各浮体11が気流によって流されて可燃性液体上に展開するのを阻害されるおそれがある。
【0031】
浮体11の対液比重は、基本的には、浮力発生芯体13の対液比重(見掛け)および耐火層15の厚みにより調節する。また、前記耐火層15は火災の熱によって多孔質な炭化層(炭化骨格からなる多孔質断熱層)を形成するものである。このため、発泡前の充実である耐火層15の対液比重は前記した火炎抑制材11における好ましい対液比重よりも大きいのが一般的である。
【0032】
ここで、浮力発生芯体13は、通常、多孔質体(発泡体)とするが、中空体でもよく、該中空体の構成材は、必要な浮力が得られれば、むく材(充実材)、多孔質体を問わない。なお、芯体13は複数個であってもよい。
【0033】
また、浮力発生芯体13の形成材は、所要の形態保持性・耐熱性及び浮力を確保できれば無機系、有機系に限定されない。通常、無機系材に比して浮力を確保し易い有機高分子系材とする。有機高分子系材は、熱硬化性・熱可塑性樹脂系、天然・合成ゴム系(エラストマー系)を問わない。通常、耐熱性及び形態保持性に優れている熱硬化性樹脂系とする。
【0034】
例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。それらには、耐熱性乃至形態保持性を確保するために粒状乃至繊維状の無機充填剤を含有させてもよい。
【0035】
この浮力発生芯体13を形成する有機高分子系材は、通常、火炎に晒されたときの熱によって燃焼乃至熱分解されるものとするが、浮体11においては、芯体13の表面が耐火材で形成された発泡性乃至多孔質の耐火層15で被覆されているので、有機高分子系材の熱分解を抑制することができる。該有機高分子系材が、万一熱分解して形態保持ができなくなっても、該有機高分子系材を、自己消火性を有するものとしておくことにより火炎抑制効果の低下を阻止できる。
【0036】
自己消火性を有する有機高分子系材としては、フェノール樹脂発泡体等の熱硬化性樹脂(特に、無機補強剤入り)を挙げることができる。
【0037】
なお、無機系材としては、所要の浮力を確保できれば、特に限定されず、軽量モルタル、ガラス発泡体、さらには、金属・セラミックスの多孔質体(発泡体)からなるものを使用可能である。
【0038】
耐火層15は、有機質でも無機質でもよい。そして、それらの厚みは、有機質の場合、0.5〜5mmさらには1〜4mmとすることが好ましい。無機質の場合、3〜30mmさらには5〜20mmであることが好ましい。
【0039】
前記耐火層15が薄過ぎると、耐火層自体の火炎抑制作用(消炎・吸熱作用)を奏しがたく、また、浮力発生芯体が有機系多孔質体の場合、火災時の熱によって燃焼、分解されるおそれがある。逆に厚すぎると、浮力発生芯体の対液比重にもよるが、必要な浮力(対液比重)を確保し難くなる。
【0040】
(1)有機質耐火層:
有機質耐火層は、所要の耐火性を有すれば特に限定されないが、通常、下記発泡性耐火塗料で形成する。浮力発生芯体の表面に耐火層を容易に形成でき、かつ、火炎に晒されたとき発泡して、容易に多孔質断熱層を形成できるためである。
【0041】
発泡性耐火塗料とは、下記塗膜形成合成樹脂1)を基材とし、火炎に晒されたときの加熱により、ガス発生乃至熱分解消失して前記多孔質断熱層を形成する下記気孔形成剤2)を含有するものである。
【0042】
なお、浮力発生芯体13が無機質系の場合は、下記塗膜形成合成樹脂1)に加えて、下記無機接着剤1´)を含有させることが望ましい。
【0043】
1)塗膜形成合成樹脂は、耐火層15が火災に晒されて樹脂が溶融あるいは焼失するまでの間、芯体に付着することのできる機能を有するものが望ましい。
【0044】
例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン/酢ビ樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル共重合樹脂、酢酸ビニル/エチレン樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸/アクリル樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独にて用いてもよくあるいは共重合したものにして、またこれらを混合して用いることもできる。更に、これらの樹脂を発泡耐火塗料に配合するための形態として、溶媒に溶解させたものあるいはエマルションとして分散させたものでもよい。
【0045】
1´)前記無機接着剤は、通常、熱硬化型とし耐火層15の合成樹脂成分が溶融あるいは焼失した後も、無機質系の浮力発生芯体に対する付着力を維持し、発泡後の塗膜全体の形態を保つ作用を奏する。無機接着剤としては、後述の無機質耐火層の形成材又はベースにする無機接着剤(無機結合剤)のうちから、適宜使用可能であるが、下記化学反応型(加熱硬化型)のものが好ましい。化学反応型(加熱硬化型)の無機接着剤としては、シリカゾル(コロイダルシリカを含む)、アルミナゾル、ジルコニアゾル、アルカリ金属塩、酸性金属リン酸塩、重クロム酸リン酸、有機シリケート、有機チタネート等を挙げることができる。
【0046】
2)前記気孔形成剤は、火炎に晒されたときの加熱により、ガス発生乃至熱分解消失して前記多孔質断熱層を形成するものをいう。通常、下記複合タイプを使用するが、熱膨張性黒鉛、等も使用できる。
【0047】
上記複合タイプは、ポリオール(炭水化物を含む)と該ポリオールと反応可能な無機難燃剤とを含有し、さらには、従来高分子材料の発泡剤として汎用されている熱分解形発泡剤を含有するものである。
【0048】
ポリオール(多価アルコール)と該ポリオールと反応可能な無機難燃剤を含有させることにより、ポリオールが無機難燃剤と反応して、耐火炎性を有する炭化質骨格層が形成されることが期待できる。また、この際、ポリオールと無機難燃剤との反応で発生するガスも多孔質断熱層の気孔の形成に寄与する。
【0049】
上記ポリオールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ソルビトール、レゾルシノール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの分岐ポリオールを好適に使用できる。また、炭水化物、例えば、澱粉、セルロース、その他の糖類でもよい。なお、澱粉、セルロース等は、難燃剤と反応しなくても、火炎に晒されたとき、熱分解消失して、多孔質構造の形成に寄与する。
【0050】
上記無機難燃剤としては、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アルミニウム、ポリリン酸マグネシウムリン酸塩、等のリン酸塩が好適に使用できるが、スルファミン酸塩(スルファミンアンモニウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アンモニウム等)、等も使用できる。さらには、エトリンジャイト、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等も使用できる。
【0051】
上記発泡剤としては、汎用の窒素、アンモニア、炭酸ガス等の不燃性(消火性)ガスを発生する熱分解形の下記有機・無機発泡剤を好適に使用できる。気孔形成ばかりでなく、火炎抑制にも寄与することが期待できるためである。即ち火炎抑制材が火災に晒されたときに、該発泡性耐火層15の外表面に不燃性ガス層が形成され、燃焼熱の伝導を抑制することができる。
【0052】
・有機発泡剤:ジシアンジミド、アゾジカルボンアミド、ヘキサメトキシメチルメラミンその誘導体、尿素、メラミン、ブチルメラミンおよびトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ウレア、ジメチルウレア、グアニルウレアフォスフェート、アミノグアニルウレア、尿素ホルムアルデヒド、アミノ酢酸、グアニジン、等。
【0053】
・無機発泡剤:重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等。
【0054】
なお、これらの発泡剤をマイクロカプセル化したものも使用できる。
【0055】
これら各構成成分のうち、分解温度のバランスから、分岐多価アルコール(ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)、ポリリン酸アンモニウム、メラミンの組み合わせることが架橋構造を形成しやすくて望ましい。
【0056】
この耐火塗料中には、上記副資材(無機接着剤、気孔形成剤等)に加えて、適宜、下記無機・有機充填剤、その他の副資材を配合することができる。
【0057】
・汎用無機充填剤:酸化チタン、アルミニウム粉末、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維、ウィスカー、等)、アルミナ、シリカ、パーライト、バーミキュライト、カオリナイト、マイカ、等。
【0058】
・軽量無機充填剤:シラスバルーン、セラミック軽量骨材、ガラス軽量骨材、等。
【0059】
・有機充填剤:発泡プラスチック粉及び発泡プラスチック粒子、等。
【0060】
・塗膜形成助要素:消泡剤、分散剤、湿潤剤などの界面活性剤、造膜助剤、防凍剤などの溶剤、粘度、粘性調整の為の増粘剤あるいは防腐剤、防黴剤、等。
【0061】
前記発泡剤は、単独にて用いてもよく、又は、2種類以上を併用して用いることもできる。
【0062】
上記において、有機質耐火塗料の配合組成は、多孔質断熱層に要求される断熱性や耐熱性および強度等により、異なるが、例えば、特許文献2請求項1等に記載の如く、多価アルコール(a)、含窒素発泡剤(b)、塗膜形成合成樹脂(c)、難燃剤(d)、二酸化チタン(e)を含有する場合、a:b:c:d:e=100:80〜150:200〜500:280〜450:100〜300とする。
【0063】
前記発泡剤(難燃剤を含む。)の含有量が過少であると、発泡剤を含有することによる効果が十分ではなく、逆に過多であると、火災時の燃焼熱により発泡剤が分解された後、発泡剤の焼失跡が空隙となることによって炭化断熱層が脆弱なものとなってしまう。
【0064】
発泡性耐火塗料としては、より具体的には、建築分野において、鉄骨造の建築物の柱、梁に使用される鋼材を火災から保護する為に使用されるものであって、特許文献2等で提案されているものを挙げることができる。
【0065】
(2)無機質耐火層:
無機質耐火層は、所要の耐火性を有すれば特に限定されないが、通常、いわゆる無機接着剤(無機結合剤)で又は無機接着剤をベースとしたもので形成する。無機接着剤は、ペースト乃至コロイド溶液(分散液)の状態で提供されて、浮力発生芯体表面への耐火層の形成が容易なためである。
【0066】
無機接着剤としては、気硬型の水ガラス、水和型の各種セメント、各種反応硬化型のコロイド溶液等を使用可能である。
【0067】
これらの内で、水和型の、石灰(消石灰、ドロマイト)、石膏、ポルトランドセメント、アルミナセメント、水ガラスセメント、セメントモルタル等のセメントを好適に使用できる。
【0068】
これらのセメントで形成された耐火層は、水和硬化して乃至焼結(未焼結の場合は火炎に晒されたとき)して、軽量モルタル、ガラス発泡体等の無機多孔質体の耐火層(多孔質断熱層)となる。
【0069】
さらに、適宜、増量乃至軽量化のために、シリカ、珪藻土、アルミナ、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス発泡体、パーライト、バーミキュライトなどを含有させてもよい。
【0070】
上記耐火材の全量に対して有機成分を、0.5〜5%の量で含有させてもよい。
【0071】
ここで、有機成分としては、前述の有機質の耐火塗料に使用した、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル共重合樹脂、酢酸ビニル/エチレン樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸(ベオバ)/アクリル共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、ポリブタジエンなどの各種熱可塑性樹脂;水溶性セルロース類(メチルセルロース 、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 、カルボキシメチルセルロース等)で代表される水溶性高分子等を挙げることができる。
【0072】
これらの合成樹脂を耐火材に含有させる方法としては、耐火層を形成する際に、セメント(ペースト)に前記有機成分を、合成樹脂エマルション、再乳化型合成樹脂エマルション粉末、又は、粉末状、粒子状、繊維状などの任意の形態にして混合することができる。
【0073】
セメントで耐火層15を作製する場合において、耐火材に合成樹脂を含有させることによって、セメントが水和硬化する際に耐火層15にひび割れが発生することを防ぐことができ、また、硬化後の耐火層15が脆性破損し難いものとなる。
【0074】
合成樹脂の含有量が過少では合成樹脂配合効果が十分ではなく、逆に、合成樹脂の含有量が過多では、当該耐火層15を有する浮体11を可燃性液体の消火に用いた場合に、該浮体11自体が火炎を発して消火の妨げになる場合がある。
【0075】
上記実施形態の浮体(火炎抑制材要素)11において、耐火層15が、可燃性液体が浸透したり可燃性液体に侵されたりするおそれがある場合は、図1(B)の二点鎖線で示すように、前記耐火層15の表面に可燃性液体から耐火層15を保護するための液バリア層17で覆う(バリア処理をする)ことが好ましい。なお、耐火層が連通発泡体である場合は、液バリア層17は、耐火層15の表面側で部分重複する封孔処理層となる。
【0076】
耐火層15の表面側に液バリア層17を形成することによって、浮体11を可燃性液体に浮かべたときに、
1)浮体11が可燃性液体を吸い込むことで、浮き力が低減して火炎抑制材の断熱・空気遮断層形成能が低下したり、
2)長時間、可燃性液体に接触することにより、耐火層15が溶解、膨潤、又は軟化などの変形や変質が発生したりする、
現象を阻止できる。
【0077】
液バリア層17は、可燃性液体や水が浸透せず、且つ、耐可燃性液体性(耐油性や耐溶剤性)を有することが必要である。
【0078】
液バリア層17の形成材は、前記した性能を有していれば、材質はガラス、金属などの無機質でもよいが、通常、有機質のものを使用する。
【0079】
有機質のものとしては、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。
【0080】
上記合成樹脂の中でも、耐油性や耐溶剤性に優れている反応硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。
【0081】
また、液バリア層17は耐火層15の発泡による体積膨張を妨げないものが好ましい。無機質の液バリア層17であれば、該液バリア層17の被覆厚みを調整することで、液バリア層17の強度を耐火層15の発泡によって破壊される程度とすればよい。また、有機質の液バリア層17であれば、耐火層15の発泡開始温度より低い温度で加熱分解される材質のものであれば、耐火層15の発泡開始時には液バリア層17が分解されているため、液バリア層17が耐火層15の発泡を妨げることはない。即ち、有機質の液バリア層17を用いた場合は、被覆厚みの設定において、耐火層15の発泡による体積膨張を妨げない厚みを考慮する必要がないため製造が容易である。
【0082】
次に、上記火炎抑制材の使用態様について、説明する。
【0083】
可燃性液体の火災を消火するには、泡消火剤のみで消火を行うのに比べ、泡消火剤と火炎抑制材を用いて消火を行う方が、効率よく消火することができる。
【0084】
泡消火剤と火炎抑制材を用いる消火方法とは、可燃性液体に、泡消火剤と、多数の浮体からなる火炎抑制材を投入する消火方法である。火炎抑制材の投入は、泡消火剤の投入開始前に行っても、泡消火剤と同時に投入を開始しても、泡消火剤の投入を開始してから行ってもよい。泡消火剤の投入開始前に火炎抑制材を投入しておくことが好ましい。火炎抑制材を投入後に、泡消火剤を投入することで、泡消火剤が可燃性液体の液面に衝突するのを防ぐことができる。それ以外の投入方法でも、火炎抑制材の断熱性能による効果は期待できる。
【0085】
泡消火剤と火炎抑制材の投入方法は特に限定されるものではない。可燃性液体の上部から落とすように投入してもよく、放射砲などの装置によって液面に向かって噴出してもよく、また、可燃性液体の下部から投入して、泡消火剤や火炎抑制材の浮力によって液面に浮上させてもよい。
【0086】
可燃性液体の火災には、主に、可燃物質、熱、酸素の3つの要素が大きく関係しており、消火とはこれらの要素のうち、少なくとも1つの要素を取り除くことである。例えば、可燃性液体の消火に用いられる泡消火剤は、火災の炎を泡で覆って燃焼に必要な酸素の供給を絶つことで火災を鎮火する。
【0087】
本発明の火炎抑制材の火炎抑制作用について、説明する。
【0088】
火災の重要な要素の1つである可燃物質の供給を減らす作用を奏する。可燃性液体の火災における可燃物質とは、可燃性液体であって、更に厳密に言えば可燃性液体が蒸発(揮発)したものである。可燃性液体が揮発して気体となり、その気体が酸素と混合されて燃焼する。そして、燃焼により発生した熱によって可燃性液体の温度が上昇して、該可燃性液体の揮発(気化)が促進されて、新たな可燃物質の供給量が増大して火炎の勢いが増す。
【0089】
本発明の火炎抑制材は、可燃性液体の表面に、浮体(火炎抑制材要素)が浮くことで可燃性液体の液面の面積を小さくし、更に熱伝導率が低いことによる断熱効果によって燃焼によって発生した熱が可燃性液体に伝わるのを妨げる。このため、可燃性液体の蒸発(揮発)を抑制することができる。その結果、火災の要素の1つである可燃物質の供給を減らし、火炎の勢いを弱めることができる。
【0090】
火炎抑制材を使用しないと、泡消火剤の投入開始時の火炎は抑制されず、また、放射された泡消火剤が油面に衝突接触することも抑制されない。したがって、前述の如く、前記熱暴露や泡汚れに起因する泡変形乃至消泡やさらには火災(火炎)に起因する気流により、消火に有効な泡層を油面上に形成することが困難となる問題点が発生する。
【0091】
一方、火炎抑制材を使用すれば、火災(火炎)による気流や熱暴露雰囲気の発生が抑えられ、さらには、泡消火剤の油面との直接接触による汚れ発生が抑制される。このため、泡消火薬剤の投入時の損失が軽減できる。したがって、消火に必要な泡消火剤の使用量の低減も期待できる。
【0092】
また、火炎抑制材を使用しないと、全面火災となって、大きな燃焼面積に対応する大規模タイプの泡放射砲が必要となる。しかし、火炎抑制材を使用した場合、火災の火炎は抑制され、小さな燃焼面積に対応する小規模タイプの泡放射砲であっても消火が期待できる。
【0093】
なお、タンク消火設備としては、泡投入方式がフォースフルタイプの大規模な「大容量泡放水砲」や、それに比べて規模が小さい「三点セット」がある。なお「三点セット」とは、部分的な火災やリング火災(浮き屋根式等の場合)程度の燃焼面積に対応する消火設備で、大型化学消防車、高所放水車および泡原液搬送車の三点からなるものである。
【0094】
さらに、非火災時のタンクに予め火炎抑制材を油面展開しておくことで、風による泡消火剤の片寄りを防ぐことが出来ることが期待でき、火災発生時のより有効な延焼防止乃至鎮火作用を期待できる。
【0095】
ここまでは、引用文献1記載の火炎抑制材(ガラスビーズ)でも同様である。
【0096】
そして、上記本実施形態の耐火層15が形成された浮体(火炎抑制材要素)11は、さらに、下記火炎抑制作用が付加されて、火炎抑制効果が増大する。
【0097】
即ち、可燃性液体19の上面に投入した場合、図3に示す如く散点状態で可燃性液体19上に浮遊する。そして、火炎抑制材(浮体11、・・・)が火炎に晒されると、耐火層15が発泡して、図3に示す発泡前の状態から、図4に示す如く、浮体11相互の隙間が発泡ガス乃至発泡層(多孔質断熱層)11aで実質的に塞がれて、可燃性液体19の上面全体が、断熱/空気遮断層20で覆われることになる。したがって、火炎抑制効果が後述の実施例(試験例)で示される如く、格段に増大する(比較例1と実施例2)。そして、嵩高であるため(外径が大きい程)、火炎抑制効果が大きい(実施例1と2)。
【0098】
上記作用に基づいて、
1)近火が発生したような場合においては、該可燃性液体が火の粉などによって引火することを防止できる。
【0099】
2)可燃性液体自体が引火により火炎が発生した場合においては、火炎勢いの抑制をすることができる。
【0100】
3)火災を泡消火剤によって消火する場合においては、泡消火剤による消火の効率を高めることができる。
【0101】
さらに、本発明の火炎抑制材の投入(散布)適用箇所をまとめると下記の如くになる。
【0102】
1)石油タンク内(コーンルーフタンク、フローティングタンク、インナーフロートタンク)。
【0103】
2)石油タンクや危険物タンクから可燃性液体が漏洩した防油堤内。
【0104】
3)洋上タンカーからの燃料流出事故において設置されたオイルフェンス内。
【0105】
4)その他燃焼範囲が限られた可燃性液体の保持部位(ダイク、集液槽等)。
【実施例】
【0106】
以下、本発明の火炎抑制材の効果を確認するために比較例とともに行なった実施例について説明する。
【0107】
なお、実施例1・2の発泡性耐火塗料は、下記のものを使用した。
発泡性耐火塗料処方:
ペンタエリスリトール 100部
メラミン 100部
酢酸ビニル/アクリル共重合体エマルション
250部
ポリリン酸アンモニウム 450部
二酸化チタン 200部
水 適宜量
【0108】
(1)火炎抑制材の調製
<実施例1>
火炎抑制材の集合体要素である浮体は、一辺70mm立方体(発泡フェノール樹脂製、比重:約0.03)の角カット体(図2でa=70mm、b=34mm)に対して、前記処方の発泡性耐火塗料で耐火層(塗膜厚:約2mm)を形成し、さらに、エポキシ樹脂塗料で液バリア層(塗膜厚:約0.2mm)を形成して調製した。なお、浮体比重は0.27であった。可燃性液体が、本実施例の試験例で使用するヘプタン(比重:0.68)とすると、対液比重:約0.40となる(以下で「対液比重」は断らない限りヘプタンに対するものである。)。
【0109】
<実施例2>
実施例1において、「角カット一辺70mm立方体」を「角カット無しの一辺20mm立方体」とし、「耐火層の塗膜厚」を「約1mm」とした以外は、実施例1と同様にして調製した。
【0110】
こうして調製した浮体比重は0.45であった。対液比重:約0.66となる。
【0111】
<比較例>
火炎抑制材として、市販のガラスビーズ(外径:約20mmΦ)の集合体を使用した。ガラスビーズの比重は約0.25であった。対液比重:約0.36となる。
【0112】
(2)火炎抑制材の性能試験(図5〜6参照)
1)油面の露出面積による抑制効果の検証
図5に示す円形火皿(φ105mm×深サ200mm)を用いて、火炎抑制材(浮体の集合体)の火炎抑制効果を確認した。火皿に燃料のヘプタン200mLと火炎抑制材を入れ、水にて油面高さを180mmに調節した。火皿側面から700mm離れた地点に放射計(東京精工(株)製:型式RE−II平均電圧感度:0.645×10−3mV/Wm−2)を、付属のスタンドを用いて設置し、着火から自然消火までの火炎放射強度を測定した実験装置概要(モデル)を図6に示した。このときの火炎抑制材による油面の露出面積比は、火炎抑制材無しの露出油面を面積率1.0とした場合において、約0.5となるものとした。
【0113】
2)火炎抑制効果の定量
火炎抑制材による火炎抑制効果を定量比較するために、火炎抑制材無しの場合の実験結果より、三つに区切った任意の時間において、火炎抑制材の有無による積算熱量の比を求めた。火炎抑制材無の場合の積算熱量をS、火炎抑制材有の場合の積算熱量をS´として(図7参照)、計算式(a)を用いて、(1)〜(3)の各時間における各火炎抑制材の抑制効果Xを求めた。
【0114】
X(%)=(1−S´/S)×100・・・(a)
図8に火炎抑制材による抑制効果の比較図を示した。比較例1(ガラスビーズ)は、時間の経過とともに火炎放射強度の拡大傾向が見られた。
【0115】
本発明の実施例1・2は、いずれも、高い火炎抑制効果がみられ、時間の経過にもほとんど左右されていない。したがって、高く安定した抑制効果が認められることが分かった。
【0116】
特に、実施例2は、比較例1(ガラスビーズ)に比して、形状が立方体と球体との違いがあるが、外径が殆ど変わらず(20mm)、且つ、対液比重が大きい(液沈率が大きい)にもかかわらず、火炎抑制効果において、顕著な差を有する。実施例1と実施例2との差は、両者の浮体の大きさの差(断熱/空気遮断層の厚さの差)に基づくものと考えられる。
【符号の説明】
【0117】
11 浮体(火炎抑制材要素)
13 浮力発生芯体
15 耐火層
17 液バリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性液体を覆うように浮かべることが可能な嵩高な浮体(火炎抑制材要素)の集合体であって、
前記各浮体が、中空体又は多孔質体からなる浮力発生芯体と、該浮力発生芯体に接して形成される発泡性及び/又は多孔質の耐火層を備えている、
ことを特徴とする火炎抑制材。
【請求項2】
前記耐火層が、有機質であって、火炎に晒されたとき、多孔質断熱層を形成可能な発泡性耐火塗料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の火炎抑制材。
【請求項3】
前記発泡性耐火塗料が、塗膜形成合成樹脂を基材とし、火炎に晒されたときの加熱により、ガス発生及び/又は熱分解消失して前記多孔質断熱層を形成する気孔形成剤を含有するものであることを特徴とする請求項2記載の火炎抑制材。
【請求項4】
前記気孔形成剤が、ポリオールと該ポリオールと反応可能な難燃剤とを含有して、及び/又は、炭水化物を含有して構成されていることを特徴とする請求項3記載の火炎抑制材。
【請求項5】
前記発泡性耐火塗料が、さらに、熱分解形発泡剤を含有して構成されていることを特徴とする請求項4記載の火炎抑制材。
【請求項6】
前記浮力発生芯体が自己消火性を有する熱硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか一記載の火炎抑制材。
【請求項7】
前記耐火層が、液バリア層を備えていることを特徴とする請求項1〜6いずれか一記載の火炎抑制材。
【請求項8】
前記浮体が、球、立方体、正多面体等の等方形状で、かつ、前記浮体の外径が10〜250mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7いずれか一記載の火炎抑制材。
【請求項9】
泡消火剤を用いて発火した可燃性液体を消火する方法であって、請求項1〜8いずれか一記載の火炎抑制材で前記可燃性液体の表面を略覆った状態で行なうことを特徴とする泡消火方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−240140(P2010−240140A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92007(P2009−92007)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【出願人】(000192338)深田工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】