説明

灯具点灯回路

【課題】たとえ負荷の電圧が変動しても、該負荷に流れる電流を正確に把握することができる灯具点灯回路を提供する。
【解決手段】電源供給端子とグランド端子の間に接続された駆動回路と、この駆動回路によって駆動される負荷とを備え、負荷は発光ダイオードで構成される灯具点灯回路である。
負荷の電源供給側に設けられ負荷への供給電流を検出する第1電流検出回路と、 第1電流検出回路に組み込まれ第1電流検出回路で発生される電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路と、低電流回路で発生された電流をもとにグランド端子を基準とした電圧として変換する電圧変換回路と、電圧変換回路で得られる前記電圧を監視する監視回路と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は灯具点灯回路に係り、たとえば、光源として発光ダイオードを用いた車両用灯具点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具点灯回路の基本的な構成はたとえば図9に示すようになっている。図9において、電源供給端子Vinからの電源は駆動回路1に供給され、この駆動回路1によって、負荷3に一定の電流を流すようになっている。負荷3は、直列に接続された複数の電流駆動用の発光ダイオード(電流駆動用発光素子)からなり、光源として構成されている。負荷3にはグランド端子GNDとの間に抵抗R0が接続され、この抵抗R0の間の電圧を監視回路6によって取り出せるようになっている。監視回路6は、抵抗R0の間の電圧を検知することにより負荷3に流れる電流を監視できるようになっている。監視回路6は、たとえば、半導体チップからなる発光ダイオードが製造バラツキによって順方向の電圧が異なってしまうことに鑑み、負荷3に供給される電流値を正確に把握できるように設けられ、負荷3に流れる電流が異常の場合には警告信号WNGを発するようになっている。
【0003】
しかし、このような車両用灯具点灯回路において、監視回路6が検知した電圧(検知電圧)を駆動回路1に出力させ、この駆動回路1内で該電圧を予め設定された基準電圧に近づけるように制御する場合、たとえば図中A点で地絡が生じた際に、前記検知電圧を得ることができず、負荷3に大電流が流れ、該負荷3を破壊させてしまう不都合が生じる。
【0004】
このため、このような不都合を解消した車両用灯具点灯回路として、たとえば図10に示す構成のものが知られている。図10において、図9と同一の符号が付された部材は同様の機能を有するようになっている。図10に示す車両用灯具点灯回路は、電源供給側における駆動回路1と負荷3の間に抵抗(第1抵抗と称する場合がある)10を介在させ、この第1抵抗10を一構成部材とするカレントミラー回路11を具備させた構成となっている。また、このカレントミラー回路11は前記第1抵抗10と対応関係にある抵抗(第2抵抗と称する場合がある)12が設けられ、この第2抵抗12の一端はグランド端子GNDに接続されている。そして、監視回路6には、前記第2抵抗12の他端でのグランド端子GNDを基準とした電圧(V2)が取り込まれるように構成されている。この電圧(V2)は負荷3(第1抵抗10)に流れる電流に対応するものとなり、監視回路6は負荷3に流れる電流を監視することができるようになる。このように構成された車両用灯具点灯回路は、たとえ図中A点で地絡が生じても、最初からグランド端子GNDと同電位のため、図に示した車両用灯具点灯回路の不都合を解消することができるようになる。
なお、車両用灯具点灯回路の他の一般的な構成としてたとえば下記特許文献1に示されたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-314808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、図11(a)は、図10に示す回路において、負荷3の電圧(Vo)に変動(20V〜40V)が生じた際の第1抵抗10の間の電圧(V1)を示したグラフである。グラフの横軸にはVoを縦軸にはV1をとっている。また、図11(b)は、負荷3の電圧(Vo)に変動(たとえば20V〜40Vの範囲で)が生じた際の第2抵抗12の間の電圧(V2)を示したグラフである。グラフの横軸にはVoを縦軸にはV2をとっている。
【0007】
これにより、図10に示す車両用灯具点灯回路は、負荷3の電圧(V0)が変動した場合、駆動回路1から負荷3には一定電流が供給されていることから、第1抵抗10の間の電圧(V1)は変動しないことが判る。しかし、第2抵抗12の間の電圧(V2)は出力電圧の変化につられて変動してしまうことが明らかとなる。
【0008】
このため、監視回路6は、負荷3の電圧(V0)が変動してしまう場合、負荷3に流れる電流を正確に把握することができないという不都合が生じる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ負荷の電圧が変動しても、該負荷に流れる電流を正確に把握することができる灯具点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、負荷の電源供給側において、負荷への供給電流を検出する電流検出回路を備え、この電流検出回路は、該電流検出回路で発生された電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路を組み込ませて構成させるとともに、該定電流回路で発生された電流をもとにグランド端子を基準とした電圧として取り出す電圧変換回路を備えて構成したものである。
【0011】
本発明の灯具点灯回路は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の灯具点灯回路は、電源供給端子とグランド端子の間に接続された駆動回路と、この駆動回路によって駆動される負荷とを備え、前記負荷は電流駆動用発光素子で構成される灯具点灯回路であって、
前記負荷の電源供給側に設けられ前記負荷への供給電流を検出する第1電流検出回路と、
前記第1電流検出回路に組み込まれ前記第1電流検出回路で発生される電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路と、
前記定電流回路で発生された電流をもとにグランド端子を基準とした電圧として変換する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路で得られる前記電圧を監視する監視回路と、を具備することを特徴とする。
【0012】
(2)本発明の灯具点灯回路は、(1)の構成において、前記第1電流検出回路は、前記駆動回路と負荷の間に介在される抵抗を一構成部材とするカレントミラー回路から構成されていることを特徴とする。
(3)本発明の灯具点灯回路は、(1)の構成において、前記定電流回路は、トランジスタを備え、このトランジスタのベースに一定電圧を印加することによって流れるコレクタ電流を前記一定電流として構成することを特徴とする。
(4)本発明の灯具点灯回路は、(1)の構成において、前記監視回路は、前記電圧変換回路から得られる電圧が所定値より大きい場合に異常と判定し前記所定値より小さい場合に正常と判定することを特徴とする。
【0013】
(5)本発明の灯具点灯回路は、(1)の構成において、前記負荷とグランド端子の間に抵抗を介在させるとともに、前記負荷と前記抵抗の接続点での前記グランド端子を基準にしたフィードバック電圧を前記駆動回路にフィードバックさせる第2電流検出回路を具備し、
前記駆動回路は、前記第2電流検出回路からの前記フィードバック電圧によって前記負荷に一定電流を流すように構成されているとともに、
前記第2電流検出回路からの前記フィードバック電圧は、前記第1電流検出回路によって発生される前記電圧の増加に連動してほぼ一定となるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
(6)本発明の灯具点灯回路は、(1)の構成において、前記第1電流検出回路は、前記駆動回路と負荷の間に介在される抵抗を備え、
前記駆動回路は、前記抵抗の間の電圧のフィードバックによって前記負荷に一定電流を流すように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の灯具点灯回路によれば、たとえ負荷の電圧が変動しても、該負荷に流れる電流を正確に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の灯具点灯回路の実施態様1を示す回路図、および負荷の電圧変動による図中V1、V2における電圧を示したグラフである。
【図2】図1に示した回路図を機能的に示したブロック図である。
【図3】本発明の灯具点灯回路の実施態様2を示す回路図である。
【図4】図3に示すV2〜V5、VFB等における電圧の地絡前後における変化を示したグラフである。
【図5】図3に示した回路図を機能的に示したブロック図である。
【図6】図3に示すV1、V2の負荷の電圧変動による電圧を示したグラフである。
【図7】本発明の灯具点灯回路の実施態様3を示す回路図である。
【図8】図7に示した回路図を機能的に示したブロック図である。
【図9】従来の車両用灯具点灯回路の基本的な構成を示すブロック図である。
【図10】従来の車両用灯具点灯回路の一例を示す回路図である。
【図11】図10に示す負荷の電圧の変動にともない図中V1、V2の電圧変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施態様1)
図1(a)は、本発明による灯具点灯回路の実施態様1を示す回路図であり、車両用灯具点灯回路を示している。
【0018】
図1(a)において、まず、図示せぬ電源に接続される電源供給端子Vin、グランド端子GNDがある。電源供給端子Vinにはたとえば12Vの電源が供給されるようになっている。
【0019】
電源供給端子Vin、グランド端子GND間には駆動回路1が接続され、この駆動回路1の出力端子Voutとグランド端子TM2との間には、出力端子Vout側から、第1抵抗10と負荷3とが順次接続された直列体が接続されている。駆動回路1は負荷3に一定電流を流すように制御される電源回路として構成されている。負荷3は順方向に配置された複数の発光ダイオード3Aが直列に接続されて構成されている。これら発光ダイオード3Aは、それぞれチップの製造バラツキ等によって順方向電圧が異なっている場合があることは上述した通りである。なお、第1抵抗10は、負荷3に流れる電流を電源供給側において検出する素子として構成されている。
【0020】
駆動回路1の出力端子Voutとグランド端子GNDの間には、出力端子Vout側から、少なくとも、逆方向に配置されたツェナーダイオードZD1と抵抗R1とが順次接続された直列体が接続されている。ツェナーダイオードZD1は、ツェナー電圧以上の電圧が印加された際に導通させることによって、駆動回路1の出力端子Voutの電圧が所定以上にならないようになっている。
【0021】
そして、第1抵抗10の駆動回路1側の一端とツェナーダイオードZD1と抵抗R1の接続点との間に、該一端側から、抵抗R2、PNPトランジスタQ1、抵抗R3とが順次接続された直列体が接続されている。PNPトランジスタQ1は、そのエミッタが抵抗R2に接続され、コレクタが抵抗R3に接続されている。また、第1抵抗10の負荷3側の他端とツェナーダイオードZD1と抵抗R1の接続点との間に、該他端側から、PNPトランジスタQ2、抵抗R4とが順次接続された直列体が接続されている。PNPトランジスタQ2は、そのエミッタが前記第1抵抗10の他端に接続され、コレクタが抵抗R4に接続されている。また、PNPトランジスタQ2のベースは、コレクタに接続されているとともに、前記PNPトランジスタQ1のベースに接続されている。
前述の抵抗R2、PNPトランジスタQ1、抵抗R3、第1抵抗10、PNPトランジスタQ2、抵抗R4は、カレントミラー回路を構成し、このカレントミラー回路は、第1抵抗10を流れる電流、すなわち負荷3を流れる電流を検出するようになっている。ここで、負荷3を流れる電流は、電源供給側に設けた第1抵抗10を通して検出していることから、図中A点における地絡等によって負荷を流れる電流を検出できなくなる弊害を回避できる効果を奏するようになる。
【0022】
さらに、カレントミラー回路には、PNPトランジスタQ3、抵抗R5が組み込まれ、PNPトランジスタQ3のエミッタは抵抗R5を介してPNPトランジスタQ1と抵抗R3の接続点に接続され、ベースはツェナーダイオードZD1と抵抗R1の接続点に接続されている。そして、PNPトランジスタQ3のコレクタは第2抵抗12を介してグランド端子GNDに接続されている。PNPトランジスタQ3、抵抗R5は、カレントミラー回路で発生させた電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路5を構成するようになっている。すなわち、この定電流回路5は、PNPトランジスタQ3のベースに印加される設定電圧に応じた電流が流れる結果、該電圧に応じた定電流(コレクタ電流)Iが流れるように構成されている。そして、第2抵抗12は、カレントミラー回路で検出した電圧をグランド端子GNDを基準とした電圧として変換する電圧変換回路4を構成するようになっている。
【0023】
そして、第2抵抗12の両端の電圧は監視回路6に取り込まれ、この監視回路6によって第2抵抗12に印加される電圧から負荷3に流れる電流が適切なものであるか否かが監視されるようになっている。たとえば、監視回路3は、電圧変換回路4から得られる電圧が所定値より大きい場合に異常と判定し前記所定値より小さい場合に正常と判定し、異常と判定した場合には警告信号WNGを発し、この警告信号WNGによって、たとえば駆動回路1の駆動を停止させるようになっている。
【0024】
図2は、図1(a)に示した回路を機能的に示した図となっている。すなわち、負荷3の電源供給側において、該負荷3への供給電流を検出する電流検出回路2が備えられ、この電流検出回路2は、該電流検出回路2で発生された電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路5が組み込まれて構成されたものとなっている。そして、定電流回路5で発生された電流をもとにグランド端子GNDを基準とした電圧として変換する電圧変換回路4が備えられて構成されたものとなっている。なお、図2に示した電流検出回路2、定電流回路5、電圧変換回路4は、それぞれ、図1(a)において点線枠で示すとともに、同一の符号を付して示している。
【0025】
図1(a)は、負荷3の電圧(Vo)に変動(たとえば20V〜40Vの範囲で)が生じた際の第1抵抗10の間の電圧(V1)を示したグラフである。グラフの横軸にはVoを縦軸にはV1をとっている。このグラフから明らかとなるように、Voが変動してもV1は変動していないことが判る。駆動回路1から負荷3に一定電流が供給されているからである。そして、図2(b)は、負荷の電圧(Vo)に変動(たとえば20V〜40Vの範囲で)が生じた際の第2抵抗の間の電圧(V2)を示したグラフである。グラフの横軸にはVoを縦軸にはV2をとっている。このグラフから明らかとなるように、Voが変動してもV2は変動していないことが判る。定電流回路5から第2抵抗12(電圧変換回路4)に一定電流を供給させているからである。
【0026】
これにより、上述した灯具点灯回路は、負荷3に発生した電圧の変動に拘わらず、該負荷3に供給される電流を監視回路6によって正確に監視することができるようになる。
(実施態様2)
図3は、本発明による灯具点灯回路の実施態様2を示す回路図である。
【0027】
図3において、図1(a)と同符号で示す部分は、同一機能を有する部分となっている。図3において、図1(a)に示した構成と異なる部分は、まず、駆動回路1のフィードバック端子(以下、FB端子と称する)に電圧を供給する電流検出回路7(以下、第2電流検出回路7と称する。これにより電流検出回路2を第1電流検出回路2と称する場合がある)を新たに設けるとともに、電圧変換回路4(本実施態様では符号4’で示す)に改良を施していることにある。
【0028】
第2電流検出回路7は、負荷3とグランド端子GNDの間に抵抗R7を介在させるとともに、負荷3と抵抗R7の接続点と駆動回路1のFB端子の間に抵抗R8を接続させることによって構成されている。駆動回路1のFB端子は、グランド端子GNDを基準とした電圧VFBを取り込み、該駆動回路1内で該電圧VFBを予め設定された基準電圧に近づけるように制御することによって、該駆動回路1は負荷3に一定電流を流すように構成されている。このような第2電流検出回路7は、たとえ図中A点に地絡が生じても、検出電圧である電圧VFBを取り出せる構成となっている。
【0029】
電圧変換回路4’は次に示すように構成されている。すなわち、PNPトランジスタQ3とグランド端子GNDの間に、該PNPトランジスタQ2側から、抵抗R9、抵抗R10、NPNトランジスタQ4、抵抗R11が順次接続された直列体が接続されている。PNPトランジスタQ4は、そのコレクタがベースに接続されるともに抵抗R10に接続され、エミッタが抵抗R11に接続されている。また、第1抵抗R10の負荷側の他端と、抵抗R8と駆動回路1のFB端子の接続点の間に、前記第1抵抗R10の他端側から、抵抗R12、NPNトランジスタQ5、抵抗R13が順次接続された直列体が接続されている。NPNトランジスタQ5は、そのコレクタが抵抗R12に、エミッタが抵抗R13に、ベースが前記NPNトランジスタQ4のベースに接続されている。これにより、上述した抵抗R9、抵抗R10、NPNトランジスタQ4、抵抗R11、抵抗R12、NPNトランジスタQ5、抵抗R13は、カレントミラー回路を構成し、このカレントミラー回路によって第1電圧変換回路2の精度を向上させるようになっている。また、このカレントミラー回路は、図中A点における地絡の際に、前記電圧VFBが、第1電流検出回路2によって発生する電圧の増加に連動してほぼ一定に確保されるように構成されている。
【0030】
そして、監視回路6には、抵抗R9と抵抗R10の接続点における電圧(グランド端子GNDを基準とした電圧)を取り込むようになっている。この電圧は第1電流検出回路2におけるカレントミラー回路で検出した電圧をグランド端子GNDを基準とした電圧として変換されたものとなっている。監視回路6は、前記電圧から負荷に流れる電流が適切なものであるか否かを監視するようになっている。
【0031】
図4(a)ないし(f)は、図3に示した灯具点灯回路の動作を示すタイムチャートである。図4(a)ないし(f)において図中Sは、図3の図中A点で地絡が生じた時点を示している。
【0032】
図4(a)は、負荷3の電源供給側に流れる電流Ioを示している。Ioは、通常たとえば700mAの電流が流れているが、地絡が生じた後はたとえば1.5Aの定電流が流れることが判る。図4(b)は、抵抗R7と抵抗R8の接続点でのグランド端子を基準にした電圧V5を示している。V5は、通常たとえば0.5Vであるが、地絡が生じた後は0Vとなることが判る。図4(c)は、抵抗R8と抵抗R13の接続点でのグランド端子を基準にした電圧VFBを示している。VFBは、通常たとえば0.5Vであり、この電圧は、地絡が生じた後においても変化していないことが判る。図4(d)は、NPNトランジスタQ5と抵抗R13の接続点でのグランド端子を基準にした電圧V4を示している。電圧V4は、通常のVFBの電圧状態(0.5V)であるが、地絡が生じた後は端子電圧(1.1V)になることが判る。図4(e)は、NPNトランジスタQ4と抵抗R11の接続点でのグランド端子を基準にした電圧V3を示している。このV3の電圧は通常たとえば0.5Vとなっており、前記V4に0.5V以上の電圧を印加しない設定になっている。しかし、地絡が生じた後は、V1の電圧の上昇に連動してV3の電圧も上昇して1.1Vになる。そして、V3の電圧の上昇に連動してV4の電圧も上昇して1.1Vになる(図4(d)参照)。この場合、抵抗の分圧によって、VFBの電圧が0.5Vに確保され(図4(c)参照)、駆動回路1へのフィードバック制御を行うことができるようになる。図4(f)は、抵抗R9と抵抗R10の接続点でのグランド端子を基準にした電圧V2を示している。このV2の電圧は通常たとえば2.1Vとなっており、地絡が生じた後は、たとえば3.2Vとなる。この電圧V2を取り込む監視回路では、たとえば2.5V以上を異常と設定することにより、この電圧V2の電圧値によって正常か異常であるかの判定を行うことができる。
【0033】
図5は、図3に示した回路を機能的に示した図となっている。すなわち、負荷3の電源供給側において、該負荷3への供給電流を検出する第1電流検出回路2が備えられ、この電流検出回路2は、該電流検出回路2で発生された電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路5が組み込まれて構成されたものとなっている。そして、定電流回路5で発生された電流をもとにグランド端子GNDを基準とした電圧として変換する電圧変換回路4’が備えられて構成されたものとなっている。また、負荷3とグランド端子GNDの間には第2電流検出回路7が設けられ、この第2電流検出回路7からは駆動回路1にフィードバックされる電圧VFBが取り出せるようになっており、この電圧VFBは、第1電流検出回路2によって発生する電圧の増加に連動してほぼ一定に確保されるように構成されている。なお、図5に示した第1電流検出回路2、定電流回路5、電圧変換回路4’、第2電流検出回路7は、それぞれ、図3において点線枠で示すとともに、同一の符号を付して示している。
図6(a)は、負荷の電圧(Vo)に変動(たとえば20V〜40Vの範囲内で)が生じた際の第1抵抗の間の電圧(V1)を示したグラフである。実施態様1の場合と同様、Voが変動してもV1は変動していないことが判る。そして、図6(b)は、負荷の電圧(Vo)に変動(たとえば20V〜40Vの範囲内で)が生じた際の第2抵抗の間の電圧(V2)を示したグラフである。実施態様1の場合と同様、Voが変動してもV2は変動していないことが判る。
【0034】
このことから、実施態様2に示した灯具点灯回路にあっても、実施態様1と同様に、負荷に発生した電圧の変動に拘わらず、該負荷に供給される電流を監視回路によって正確に監視することができるようになる。
(実施態様3)
図7は、本発明による灯具点灯回路の実施態様3を示す回路図である。
【0035】
図7において、図1(a)と同一符号で示す部分は、同様の機能を有する部分となっている。図7において、図1(a)に示した構成と異なる部分は、まず、駆動回路1にsense+端子、sense−端子が備えられたものとなっている。駆動回路1は、これらsense+端子、sense−端子に供給された電圧に応じた定電流を出力端子Voutから供給できる構成されている。そして、駆動回路1のsense+端子には、第1電流検出回路2の第1抵抗10の駆動回路1側の一端側の電圧が供給されるようになっており、駆動回路1のsense−端子には、前記第1抵抗10の負荷3側の他端側の電圧が供給されるようになっている。これにより、駆動回路1は、負荷3への定電流の供給を確保できる効果を奏するようになっている。
【0036】
図8は、図7に示した回路を機能的に示した図となっている。すなわち、負荷3の電源供給側において、該負荷3への供給電流を検出する電流検出回路2が備えられ、この電流検出回路2は、該電流検出回路2で発生された電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路5が組み込まれて構成されている。また、定電流回路5で発生された電流をもとにグランド端子GNDを基準とした電圧として変換する電圧変換回路4が備えられて構成されている。そして、電流検出回路2からは負荷3に流れる電流に対応する電圧が供給されるようになっている。これにより、駆動回路1からは前記電圧に応じた一定電流が負荷3に供給されるように制御させるようになっている。なお、図8に示した電流検出回路2、定電流回路5、電圧変換回路4は、それぞれ、図1(a)において点線枠で示すとともに、同一の符号を付して示している。
【0037】
これにより、上述した灯具点灯回路は、負荷3に発生した電圧の変動に拘わらず、該負荷3に供給される電流を監視回路6によって正確に監視することができるようになる。
【0038】
なお、上述した実施態様では、発光ダイオードを備える車両用灯具点灯回路について説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、光源としてたとえば有機EL素子(電流駆動用発光素子)等を備える灯具点灯回路等についても適用できることはもちろんである。
【0039】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
Vin……電源供給端子、GND……グランド端子、1……駆動回路、2……電流検出回路(第1電流検出回路)、3……負荷、3A……発光ダイオード、4、4’……電圧変換回路、5……定電流回路、6……監視回路、7……第2電流検出回路、10……第1抵抗、11……カレントミラー回路、12……第2抵抗、ZD1……ツェナーダイオード、Q1〜Q5……トランジスタ、R1〜R13……抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給端子とグランド端子の間に接続された駆動回路と、この駆動回路によって駆動される負荷とを備え、前記負荷は電流駆動用発光素子で構成される灯具点灯回路であって、
前記負荷の電源供給側に設けられ前記負荷への供給電流を検出する第1電流検出回路と、
前記第1電流検出回路に組み込まれ前記第1電流検出回路で発生される電圧をもとに一定電流を発生させる定電流回路と、
前記定電流回路で発生された電流をもとにグランド端子を基準とした電圧として変換する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路で得られる前記電圧を監視する監視回路と、を具備することを特徴とする灯具点灯回路。
【請求項2】
前記第1電流検出回路は、前記駆動回路と負荷の間に介在される抵抗を一構成部材とするカレントミラー回路から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の灯具点灯回路。
【請求項3】
前記定電流回路は、トランジスタを備え、このトランジスタのベースに一定電圧を印加することによって流れるコレクタ電流を前記一定電流として構成することを特徴とする請求項1に記載の灯具点灯回路。
【請求項4】
前記監視回路は、前記電圧変換回路から得られる電圧が所定値より大きい場合に異常と判定し前記所定値より小さい場合に正常と判定することを特徴とする請求項1に記載の灯具点灯回路。
【請求項5】
前記負荷とグランド端子の間に抵抗を介在させるとともに、前記負荷と前記抵抗の接続点での前記グランド端子を基準にしたフィードバック電圧を前記駆動回路にフィードバックさせる第2電流検出回路を具備し、
前記駆動回路は、前記第2電流検出回路からの前記フィードバック電圧によって前記負荷に一定電流を流すように構成されているとともに、
前記第2電流検出回路からの前記フィードバック電圧は、前記第1電流検出回路によって発生される前記電圧の増加に連動してほぼ一定となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の灯具点灯回路。
【請求項6】
前記第1電流検出回路は、前記駆動回路と負荷の間に介在される抵抗を備え、
前記駆動回路は、前記抵抗の間の電圧のフィードバックによって前記負荷に一定電流を流すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の灯具点灯回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−171612(P2012−171612A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39085(P2011−39085)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】