説明

灯具用グロメット

【課題】灯具本体内への雨等の水の進入を防ぐことのできる灯具用グロメットを提供する。
【解決手段】灯具本体に形成されたグロメット取付孔に取付可能なグロメット本体10Aを有し、グロメット本体10Aには、灯具本体の内外部間に通されたワイヤハーネス17が貫通し、かつ灯具本体の内外部を連通する連通路18が形成され、連通路18は、灯具本体の内部から離れた側がグロメット取付穴の内壁に向けてL字型に折り曲げられ、その折り曲げ部18Aの先端開口部18Bは、グロメット本体10Aの頂部12に形成された切欠き19を介して灯具本体の外部へと繋がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は灯具用グロメットに係り、特に、灯具本体に取り付けられ、灯具内外にワイヤハーネスを通す際に設けられる灯具用グロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図16に示すように、車両用灯具1においては、アウタレンズ2、インナレンズ3、光源アセンブリ4等の部品が設けられ、これら各部品はハウジング5の内部に収容されている。そして、ハウジング5には、光源アセンブリ4への電力供給のためのソケットアセンブリ6が設けられている。また、ハウジング5には、ハウジング5の内部と外部とを連通させるための呼吸穴として、呼吸グロメット7が設けられている。なお、図16において、符号8は車両用灯具1が取り付けられた車両のボディである。
【0003】
しかし、上記のように、ソケットアセンブリ6と呼吸グロメット7が別部品であると、部品点数が増加するとともに、これらの部品を取り付けるための工数も増加するという問題があった。
【0004】
そこで、光源に電力を供給するワイヤハーネスが貫通するとともに灯具本体(ハウジング)の内部と外部とを連通する呼吸パイプを有する、すなわち、ソケットアセンブリと呼吸グロメットとを一体化した構成の灯具用グロメットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−139001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、灯具本体の内部と外部との間に略直線状の呼吸パイプが設けられているだけであるので、当該呼吸パイプを介して(つまり、灯具用グロメットを介して)外部から雨等の水が灯具本体内に浸入してくるという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、灯具本体内への雨等の水の浸入を防ぐことのできる灯具用グロメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、灯具本体に形成されたグロメット取付孔に取付可能なグロメット本体を有し、前記グロメット本体には、前記灯具本体の内外部間に通されたワイヤハーネスが貫通し、かつ前記灯具本体の内外部を連通する連通路が形成され、該連通路は、前記灯具本体の内部から離れた側が前記グロメット取付穴の内壁に向けてL字型に折り曲げられ、その折り曲げられた部分の先端開口部は、前記グロメット本体の外壁と前記グロメット取付穴の内壁との間の隙間を介して、前記灯具本体の外部へと繋がっていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、灯具本体の内外部を連通する連通路は、灯具本体の内部から離れた側がグロメット取付穴の内壁に向けてL字型に折り曲げられ、さらに、グロメット本体の外壁とグロメット取付穴の内壁との間の隙間を介して灯具本体の外部へと繋がっているので、雨等の水が灯具本体の内部に直接浸入してくるのを防ぐことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記グロメット本体には、前記隙間として、前記灯具本体の内部から離れた側の端部周縁に切欠きが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記切欠きは、前記先端開口部の位置に合致して設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2において、前記グロメット本体には、前記先端開口部が形成された部分に該グロメット本体の外壁を一周する溝が形成され、前記先端開口部は前記溝を介して前記切欠きに繋がっており、前記切欠きは、前記先端開口部の位置からずれて設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は車両用灯具の発明で、請求項1〜4のいずれか一項に記載の灯具用グロメットを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、灯具本体内への雨等の水の浸入を防ぐことのできる灯具用グロメットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1による灯具用グロメットを一方向から見た側面図である。
【図2】実施例1による灯具用グロメットを、図1の一方向に対して直角な方向から見た側面図である。
【図3】実施例1による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの平面図である。
【図4】図3のSA−SA線に沿った断面図である。
【図5】図3のSB−SB線に沿った断面図である。
【図6】実施例1による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの斜視図である。
【図7】実施例1による灯具用グロメットの斜視図である。
【図8】実施例1による作用効果を説明する図である。
【図9】実施例1による別の作用効果を説明する図である。
【図10】実施例2による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの平面図である。
【図11】図10のSC−SC線に沿った断面図である。
【図12】図10のSD−SD線に沿った断面図である。
【図13】実施例2による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの斜視図である。
【図14】実施例2による灯具用グロメットの斜視図である。
【図15】本発明に係る灯具用グロメットが取り付けられた車両用灯具の断面図である。
【図16】従来技術による灯具用グロメットが取り付けられた車両用灯具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0017】
《実施例1》
本発明に係る灯具用グロメット10は、外観が図1及び図2に示すように構成されている。すなわち、この灯具用グロメット10はグロメット本体10Aを有し、このグロメット本体10Aには、下端側に配置された基部11と、上端側に配置された頂部12と、基部11と頂部12との中間に配置された蛇腹部13とが設けられている。基部11は厚みのある円板状を、頂部12は厚さが薄い円板状をそれぞれ成している。また、基部11の底部外周縁にはひだ11Aが設けられている。蛇腹部13は横断面が円形を成し蛇腹が形成された部分の上部つまり頂部12に近い側に溝14が形成されている。
【0018】
グロメット本体10Aは全体がゴム材で構成され、基部11、蛇腹部13、及び頂部12が一体化されている。頂部12の外径は基部11の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、蛇腹部13は、溝14の下方に、径方向へ膨出した3つの膨出部分13A,13B,13Cを有し、このうち、膨出部分13Aの外径が最も大きく、膨出部分13B,13Cは膨出部分13Aよりも外径が小さく、かつ膨出部分13B,13Cの外径は共に等しくなっている。
【0019】
膨出部分13Aの外径は頂部12の外径よりも小さく設定されており、これにより、頂部12と膨出部分13Aとの間に溝14が形成されている。グロメット本体10Aは溝14の部分が円柱状を成し、また、溝14はグロメット本体10Aの外周面一周に亘って設けられている。
【0020】
図3は灯具用グロメット10を被取付部材15に取り付けたときの平面図であり、また、図4は図3のSA−SA線に沿った断面図、図5は図3のSB−SB線に沿った断面図である。
【0021】
本実施例では、グロメット本体10Aには、図5に示すように、基部11、蛇腹部13、及び頂部12を貫通する2つの貫通孔16,16が形成され、これら貫通孔16,16にはワイヤハーネス17,17が挿通されている。これらワイヤハーネス17,17は、灯具本体の内外部間に引き回されており、外部から灯具本体の内部へ電力を供給するためのものである。
【0022】
グロメット本体10Aは、図1及び図2に示すように、被取付部材15のグロメット取付孔15Aに取り付けられる。グロメット取付孔15Aには、その周囲にリブ15Cが設けられ、グロメット本体10Aの蛇腹部13B,13Cはグロメット取付孔15Aの内周壁に、頂部12の外周縁はリブ15Cの内壁15Bにそれぞれ当接している。
【0023】
また、グロメット本体10Aには、図2及び図4に示すように、呼吸穴としての2つの連通路18,18が形成されている。これら連通路18,18は、基部11、蛇腹部13を貫通し、さらに溝14が形成された部分で、リブ15Cの内壁15Bに向かってL字型に折り曲げられ、その折り曲げ部18A,18Aの先端開口部18B,18Bが溝14に繋がっている。
【0024】
2つの貫通孔16,16と2つの連通路18,18は、図3に示すように、グロメット本体10Aを上方から見たとき、90度間隔で交互に配置されている。また、連通路18,18の折り曲げ部18A,18Aは、図3に示すように、グロメット本体10Aの周方向に広がって形成されており、それらの先端開口部18B,18Bは矩形状を成している(図1参照)。
【0025】
また、本実施例では、頂部12には、連通路18,18の折り曲げ部18A,18Aの先端開口部18B,18Bが配置された上方の位置に、円弧状の切欠き19,19が形成されている。
【0026】
本実施例による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの様子を斜視図で示せば図6のようになる。また、本実施例による灯具用グロメットを斜視図で示せば図7のようになる。
【0027】
次に、本実施例の作用について図8及び図9を用いて説明する。
【0028】
連通路18,18は、図8に示すように、頂部12に近い側がグロメット取付孔15Aの内壁15Bに向けてL字型に折り曲げられ、さらに、グロメット本体10Aの外壁とグロメット取付孔15Aの内壁15Bとの間の隙間、つまり頂部12に形成された切欠き19を介して被取付部材15の上側空間S1と下側空間S2とが繋がっている。
【0029】
そのため、例えば、上側空間S1の空気は、矢印Aのように、頂部12の切欠き19、先端開口部18B、折り曲げ部18A、連通路18を介して下側空間S2へと流れる。また、下側空間S2の空気は、矢印Bのように、連通路18、折り曲げ部18A、先端開口部18B、頂部12の切欠き19を介して上側空間S1へと流れる。このように、空気が折り曲げ部18Aを通って流れるので、空気の中に雨等の水が混じっていても、その水は流れにくくなって、例えば、灯具本体の内部に雨等の水が直接浸入してくるのを防ぐことができる。
【0030】
また、本実施例では、図9に示すように、グロメット本体10Aに蛇腹部13を設け、この蛇腹部13の膨出部分13B,13Cが被取付部材15のグロメット取付孔15Aに押し込まれているので、ゴム材から成り弾性を有する膨出部分13B,13Cは、矢印C1,C2のように、拡径しようしてグロメット取付孔15Aに密接する。その結果、グロメット本体10Aをグロメット取付孔15Aに強固に取り付けることが可能となり、この点においても、雨水等の浸入を防ぐことに寄与している。
【0031】
《実施例2》
図10〜図12は実施例2を示している。図10は灯具用グロメット10を被取付部材15に取り付けたときの平面図であり、また、図11は図10のSC−SC線に沿った断面図、図12は図10のSD−SD線に沿った断面図である。
【0032】
本実施例では、グロメット本体10Aの頂部12に形成された円弧状の切欠き21,21の位置が実施例1の場合と異なっている。すなわち、実施例1では、切欠き19,19は連通路18,18の先端開口部18B,18Bの上方にあって、切欠き19,19の位置は先端開口部18B,18Bの位置に合致していた。これに対し、本実施例では、切欠き21,21の位置は先端開口部18B,18Bの位置に合致せず、切欠き21,21は、頂部12を上方から見たとき、先端開口部18B,18Bよりも90度ずれた位置に形成されている。他の構成は実施例1の場合と同様である。
【0033】
本実施例による灯具用グロメットが被取付部材に取り付けられたときの様子を斜視図で示せば図13のようになる。また、本実施例による灯具用グロメットを斜視図で示せば図14のようになる。
【0034】
実施例1で説明したように、グロメット本体10Aには、先端開口部18B,18Bが形成された部分にグロメット本体10Aの外壁を一周する溝14が形成されているので、先端開口部18B,18Bは溝14を介して切欠き21,21に繋がっている。
【0035】
したがって、本実施例の場合は、図8の矢印Aのように上側空間S1から下側空間S2へは、頂部12の切欠き21、溝14、先端開口部18B、折り曲げ部18A、連通路18を介して流れ、また、図8の矢印Bのように下側空間S2から上側空間S1へは、連通路18、折り曲げ部18A、先端開口部18B、溝14、頂部12の切欠き21を介して流れる。
【0036】
このように、本実施例によれば、空気が折り曲げ部18Aを通って流れるので、空気の中に雨等の水が混じっていても、その水は流れにくくなって、例えば、灯具本体の内部に雨等の水が直接浸入してくるのを防ぐことができる。
【0037】
《実施例3》
図15は実施例3を示している。本実施例は、実施例1又は実施例2の灯具用グロメット10を搭載した車両用灯具の一例を示している。
【0038】
図15に示すように、車両用灯具30には、アウタレンズ31、インナレンズ32、LEDサーキットアセンブリ33等が設けられ、これらはハウジング34の内部に収容されている。そして、ハウジング34には、実施例1又は実施例2の灯具用グロメット10が取り付けられている。なお、図15において、符号35は車両用灯具30が取り付けられた車両のボディである。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0040】
例えば、ワイヤハーネスは2本に限らず3本以上でも良いし、連通路も2本に限らず3本以上でも良い。また、頂部12の切欠きは1つでも良いし、3個以上でも良い。また切欠きは円弧状に限らず、角形状でも良い。
【符号の説明】
【0041】
10 灯具用グロメット
11 基部
12 頂部
13 蛇腹部
14 溝
15 被取付部材
17 ワイヤハーネス
18 連通路
18A 折り曲げ部
18B 先端開口部
19,21 切欠き
30 車両用灯具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具本体に形成されたグロメット取付孔に取付可能なグロメット本体を有し、
前記グロメット本体には、前記灯具本体の内外部間に通されたワイヤハーネスが貫通し、かつ前記灯具本体の内外部を連通する連通路が形成され、
該連通路は、前記灯具本体の内部から離れた側が前記グロメット取付穴の内壁に向けてL字型に折り曲げられ、
その折り曲げられた部分の先端開口部は、前記グロメット本体の外壁と前記グロメット取付穴の内壁との間の隙間を介して、前記灯具本体の外部へと繋がっていることを特徴とする灯具用グロメット。
【請求項2】
前記グロメット本体には、前記隙間として、前記灯具本体の内部から離れた側の端部周縁に切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の灯具用グロメット。
【請求項3】
前記切欠きは、前記先端開口部の位置に合致して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の灯具用グロメット。
【請求項4】
前記グロメット本体には、前記先端開口部が形成された部分に該グロメット本体の外壁を一周する溝が形成され、前記先端開口部は前記溝を介して前記切欠きに繋がっており、
前記切欠きは、前記先端開口部の位置からずれて設けられていることを特徴とする請求項2に記載の灯具用グロメット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の灯具用グロメットを搭載したことを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−252847(P2012−252847A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123878(P2011−123878)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】