説明

灯具

【課題】部品点数の削減および小型化を図るとともに、光軸のばらつきを抑制することできる灯具を提供する。
【解決手段】点灯部20と支持部30との間に光源10が挟まれ、挟まれた光源10は付勢部40によって支持部30に向かって押される構成とすることにより、光源10の光源側基準面13と支持部30の支持部側基準面33とが接触して、光源10と支持部30との相対位置が決定され、支持部30に対する光源10の位置および姿勢が定められる。そのため、支持部30から外部に出射される光の向きのばらつき、言い換えると光軸のばらつきを抑制することができる。また、点灯部20を支持部30に取り付けるとともに点灯部20と支持部30との間に光源10を挟むため、光源10を支持部30に直接取り付ける場合と比較して、部品点数の削減を図るとともに、灯具の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両などの移動体に設けられるヘッドライト等の灯具に対するコスト低減や、小型化の要望が強くなっている。この要望に応えるため、光源として放電灯を用いた灯具について、放電灯が固定された点灯装置を、灯具を構成する反射部(放電灯から出射された光を所望の方向に反射する部材)に固定する組み付け方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような組み付け方法を用いると、従来の灯具のように光源を点灯装置に取り付け、点灯装置を反射部に固定する方法と比較して、灯具を構成する部品点数を減らすことができ、かつ、灯具の小型化(例えば薄型化)を図ることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−101909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように移動体に設けられる灯具は、所定の領域を照明する必要があるため、灯具の光軸は一定に保たれることが求められている。従来の灯具では、例えば、放電灯などの光源の基準面と、当該光源から出射された光を所定の領域に向かって反射する反射部の基準面とを一致させることにより、光軸が一定に保たれていた。言い換えると、放電灯の基準面と反射部との基準面を一致させることで、灯具の配光設計が成立していた。従来の灯具は、光源を直接反射部に取りつけていたため、上述の基準面同士を一致させることは容易であった。
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されているように、光源を点灯装置に取り付け、点灯装置が反射部に固定される場合には、光源は間接的に反射部に取り付けられる。そのため、光源の基準面と、反射部の基準面とを一致させることは困難となり、灯具の光軸を一定に保つことが難しくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、部品点数の削減および小型化を図るとともに、光軸のばらつきを抑制することができる灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の灯具では、点灯部と支持部との間に光源が挟まれ、挟まれた光源は付勢部によって支持部に向かって押される。これにより、光源の光源側基準面と支持部の支持部側基準面とが直接接触して、光源と支持部との相対位置が決定され、支持部に対する光源の位置および姿勢が定められる。そのため、支持部から外部に出射される光の向きのばらつき、言い換えると光軸のばらつきを抑制することができる。
【0009】
また、点灯部を支持部に取り付けるとともに点灯部と支持部との間に光源を挟むため、光源を支持部に直接取り付ける場合と比較して、部品点数の削減を図るとともに、灯具の小型化を図ることができる。
【0010】
光源および点灯部に、組合せが可能な係合凸部および係合凹部を設けることにより、灯具の組立性の向上を図ることができる。点灯部と支持部との間に光源を挟む際に、係合凸部および係合凹部を組み合わせることにより光源を点灯部に取り付け、その後に光源を間に挟んで、支持部を点灯部に取り付けることにより、点灯部と支持部との間に光源を挟む際に、光源の落下を防止できる。
【0011】
さらに、支持部に設けられた支持部側基準面と、光源に設けられた光源側基準面とを接触させた際に、組み合わされた係合凸部と係合凹部との間に、付勢部材による押し付け方向に隙間が確保されている。そのため、付勢部材による押し付け力のみによって支持部側基準面と、光源側基準面とが接触することとなり、光源、点灯部および支持部に過度な力がかかることを防止できる。
【0012】
より具体的には、光源に係合凸部が設けられるとともに、点灯部に係合凹部が設けられている場合であって、点灯部が支持部に取り付けられた状態において、係合凸部における支持部側の端面から光源側基準面までの最小距離を、係合凹部における支持部側の端面から支持部側基準面までの最大距離よりも大きくし、かつ、係合凸部における点灯部側の端面から光源側基準面までの最大距離を、係合凹部における点灯部側の端面から支持部側基準面までの最小距離よりも小さくするとよい。ここで、最小距離や最大距離とは、光源や点灯部や支持部を製造する上で必ず発生する寸法のばらつきを前提とした最小距離や最大距離のことである。
【0013】
支持部を、光源から出射された光の少なくとも一部を反射する反射部とすることにより、支持部から外部に出射される光の向きのばらつき、つまり光軸のばらつきをより確実に抑制することができる。
【0014】
付勢部を、点灯部から光源に電力を供給する接触端子として用いることにより、光源が付勢部によって支持部側に移動しても、付勢部は点灯部および光源の両者と接触しているため、点灯部から光源への電力の供給を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の灯具によれば、点灯部と支持部との間に光源を挟み、付勢部によって挟まれた光源を支持部に向かって押し、光源に設けられた光源側基準面と、支持部に設けられた支持部側基準面とを接触させることにより、部品点数の削減および小型化を図るとともに、光軸のばらつきを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を説明する概略図である。
【図2】図1の光源、点灯装置および反射部の接続部分の構成を説明する部分拡大図である。
【図3】図1の光源における光源側取付部の構成を説明する部分拡大図である。
【図4】図2の点灯装置の構成を説明する部分拡大図である。
【図5】図2の係合溝の形状を説明する展開図である。
【図6】図2の反射部における反射側取付部の構成を説明する部分拡大図である。
【図7】図6の反射側係合溝の形状を説明する展開図である。
【図8】図2の光源、点灯装置および反射部における寸法の関係を説明する模式図である。
【図9】図2の車両用灯具とは別の実施形態に係る車両用灯具の構成を説明する部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の一実施形態に係る灯具について、図1から図9を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用灯具1の構成を説明する概略図である。
本実施形態では、本願発明の灯具を、自動車である車両に適用した車両用灯具(灯具)1として説明する。車両用灯具1は、例えば、夜間に車両前方の路面を照明するものである。車両用灯具1には、図1に示すように、放電灯である光源10と、光源10に電力を供給する点灯装置(点灯部)20と、光源10から出射された光の一部を反射する反射部(支持部)30と、光源10を反射部30に向かって押し付けるバネ部(付勢部)40と、光源10、点灯装置20および反射部30を内部に収納する筐体50と、が主に設けられている。
【0018】
図2は、図1の光源10、点灯装置20、および、反射部30の接続部分の構成を説明する部分拡大図であり、図3は、図1の光源10における光源側取付部12の構成を説明する部分拡大図である。
【0019】
光源10は、点灯装置20から電力の供給を受けて車両用灯具1から出射される光を発生させるものである。光源10は、図2に示すように、光を発する部分である発光部11と、点灯装置20に取り付けられる部分である光源側取付部12と、から主に構成されている。
【0020】
光源側取付部12は、図2および図3に示すように、円柱状に形成されたものであり、反射部30側に形成された径が大きい大径部分と、点灯装置20側に形成された径が小さな小径部分とを有するものである。さらに、光源側取付部12には、反射部30との位置合わせに用いられる光源側基準面13と、点灯装置20への取り付けに用いられる係合凸部14と、点灯装置20と電気的に接続される光源側端子15と、が設けられている。
【0021】
光源側基準面13は、光源側取付部12における反射部30側の端部に設けられた面であり、後述する反射部側基準面33と接触する面である。光源側基準面13は、発光部11の周囲を取り囲むリング状に形成された面でもある。
【0022】
係合凸部14は、後述する点灯側係合溝27とともに、光源10を点灯装置20に取り付ける際に用いられるものであり、点灯装置20から光源10が脱落、落下することを防止するものである。係合凸部14は、円柱状に形成された光源側取付部12の側面であって、大径部分と小径部分の境目から、径方向外側に突出して形成された円柱状の部材である。
【0023】
光源側端子15は、点灯装置20から光源10を点灯させる電力が供給される端子であるとともに、バネ部40が配置される部分でもある。光源側端子15は、光源側取付部12における点灯装置20側の端面に設けられ、バネ部40が挿入される円筒状の凹みが形成されている。言い換えると、コイル状に形成されたバネ部40の内部に挿入される円柱状の突起が形成されている。
【0024】
図4は、図2の点灯装置20の構成を説明する部分拡大図である。
点灯装置20は、光源10に供給する電力を制御することにより光源10から安定して光が出射されるようにするものであるとともに、光源10が取り付けられるものである。点灯装置20は、図2および図4に示すように、点灯装置20の外形を構成する点灯装置本体21と、光源10に供給する電力を調節する制御部22と、電力(電流)が流れる経路を形成する導電部23と、から主に構成されている。
【0025】
点灯装置本体21は、内部に制御部22および導電部23が配置されるものである。点灯装置本体21における反射部30と対向する面には、反射部30に差し込まれる取付凸部24と、光源10が差し込まれる取付凹部25と、が形成されている。
【0026】
取付凸部24は、点灯装置本体21から円柱状または円筒状に突出する部分である。取付凸部24の外周面(円周面)には、径方向外側に突出する円柱状の取付ピン26が設けられている。
【0027】
取付凹部25は、取付凸部24と同軸に形成された底を有する穴であり、光源10の光源側取付部12が差し込まれる部分である。取付凹部25は、開口側に形成された径が大きな大径部分と、底側の径が小さな小径部分とを有するものであり、取付凹部25の底面には、導電部23の一部が露出している。取付凹部25の小径部分には、光源10における光源側取付部12の小径部分が差し込まれ、取付凹部25の大径部分には、光源側取付部12の大径部分が差し込まれる。さらに、取付凹部25の内周面(円周面)における小径部分と大径部分との間には、図2および図5に示すように、係合凸部14が係合される点灯側係合溝(係合凹部)27が設けられている。
【0028】
図5は、図2の点灯側係合溝27の形状を説明する展開図である。
点灯側係合溝27は、光源10の係合凸部14が嵌めこまれる(係合される)溝状の凹み、又は、長穴であり、点灯側係合溝27の長手方向に沿って係合凸部14が移動可能とするものである。点灯側係合溝27には、光源10が差込み、抜き取りされる方向(図5の上下方向)に延びる入口部27Aと、差込み、抜き取り方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に延びる中間部27Bと、係合凸部14の差込み、抜き取り方向への移動を可能とする可動部27Cと、が設けられている。
【0029】
図6は、図2の反射部30の反射側取付部32の構成を説明する部分拡大図である。
反射部30は、光源10から出射された光を所定の方向に向けて反射するものである。反射部30には、図1、図2および図6に示すように、光を反射する反射面31と、点灯装置20が取り付けられる反射側取付部32と、が主に設けられている。反射部30に点灯装置20が取り付けられるようにしたことで、反射部30から外部に出射される光の向き、つまり光軸のばらつきを抑制することができる。
【0030】
反射面31は、図1に示すように、反射部30の前方側(図1の左側)を構成するものであり、内部に光源10の発光部11が配置されるものである。さらに、反射面31は、光源10から出射された光のうち、車両用灯具1の側方(図1の上下方向)や、後方(図1の右方向)に向かって出射された光を車両用灯具1の前方(図1の左方向)に向かって反射するものである。反射面31は、例えば、光源10における発光部11を焦点とした放物曲面に形成されたものや、発光部11を中心とした球面に形成されたものを挙げることができる。
【0031】
反射側取付部32は、図1、図2および図6に示すように、反射部30の後方側(図1の右側)、言い換えると点灯装置20側を構成するものであり、点灯装置20が取り付けられるとともに、点灯装置20との間に光源10を挟むものである。反射側取付部32は、反射面31から後方に延びるほぼ円筒状の部材であり、反射側取付部32の内部には、光源10が配置されている。
【0032】
反射側取付部32における点灯装置20側の端部には、内径が2段階に分かれて大きくなる拡径部が設けられている。つまり、反射面31側の内径が比較して小さな小径部分と、点灯装置20側の内径が比較して大きな大径部分を有する拡径部が設けられている。拡径部の小径部分には光源10の光源側取付部12が差し込まれ、大径部分には点灯装置20の取付凸部24が差し込まれる。
【0033】
反射側取付部32には、図2および図6に示すように、反射部側基準面(支持部側基準面)33が設けられ、反射側取付部32の小径部分と大径部分との間には反射側係合溝34が設けられている。反射部側基準面33は、反射側取付部32における拡径部の小径部分の底に設けられた面であり、上述の光源側基準面13と接触する面である。
【0034】
図7は、図6の反射側係合溝34の形状を説明する展開図である。
反射側係合溝34は、点灯装置20の取付ピン26が嵌めこまれる(係合される)溝状の凹み、又は、長穴である。反射側係合溝34には、図7に示すように、点灯装置20が差込み、抜き取りされる方向(図7の上下方向)に延びる入口部34Aと、差込み、抜き取り方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に延びる係合部34Bと、が設けられている。
【0035】
バネ部40は、図2に示すように、光源10を反射部30に向かって押し付けるものであるとともに、点灯装置20から光源10に電力を供給するものでもある。バネ部40はコイル状に形成された弾性を有するものであり、かつ、導電性を有する材料(例えば、鋼や、ステンレス鋼などの金属材料)から形成されたものである。バネ部40の一方の端部は、光源10の光源側端子15と機械的および電気的に接触し、他方の端部は、点灯装置20の導電部23と機械的および電気的に接触している。
【0036】
このようにバネ部40を、点灯装置20から光源10に電力を供給する接触端子としても用いることにより、光源10がバネ部40によって反射部30側に移動しても、バネ部40は点灯装置20および光源10の両者と接触しているため、点灯装置20から光源10への電力の供給を確保することができる。
【0037】
筐体50は、図1に示すように、車両用灯具1の外形を構成するものであり、内部に光源10、点灯装置20および反射部30を収納するものである。筐体50の前面(図1の左側の面)は、車両用灯具1から光が出射される面とされている。さらに、筐体50の外面には、車両用灯具1を自動車などの車両に取り付ける突出部(図示せず)などが設けられている。
【0038】
次に、上記の構成からなる車両用灯具1における照明方法について図1および図2を参照しながら説明する。
車両用灯具1による照明を行う場合、図2に示すように、車両用灯具1の外部(例えば、車両のバッテリ)から、点灯装置20に電力が供給される。電力は点灯装置20の導電部23を介して制御部22に供給され、光源10の駆動に適した電流および電圧に調節される。電流および電圧が調節された電力は、導電部23、バネ部40および光源側端子15を介して光源10に供給される。光源10は電力が供給されると発光部11の内部において光を発生し、発光部11から外に向かって光が出射される。光源10から出射された光のうち、反射部30の開口に向かって出射された光は、そのまま筐体50の前面から出射される。光源から側方や後方に向かって出射された光、つまり、反射部30の反射面31に向かって出射された光は、反射面31において反射され、筐体50の前面から出射される。筐体50の前面から出射された光は、例えば、車両前方の所定領域を照明する。
【0039】
次に、本実施形態の特徴に係る組立方法について図2から図9を参照しながら説明する。
まず、図2に示すように、光源10が間にバネ部40を挟んだ状態で点灯装置20に取り付けられる。光源10の光源側取付部12は、点灯装置20の取付凹部25に差し込まれ、図5に示すように、係合凸部14が点灯側係合溝27の入口部27Aに入れ込まれる。光源側取付部12は、係合凸部14が点灯側係合溝27の入口部27Aの端に到達するまで、取付凹部25に差し込まれる。このとき、光源10と点灯装置20との間に配置されたバネ部40は圧縮された状態となる。
【0040】
その後、光源側取付部12は、係合凸部14が中間部27Bに進入するように回転され、係合凸部14が可動部27Cに到達するまで回転される。係合凸部14が可動部27Cに到達すると、圧縮されたバネ部40の付勢力により、光源10は点灯装置20から離れる方向(図5の上方向)に押され、係合凸部14は可動部27Cを点灯装置20から離れる方向に移動する。このようにすることで、光源10と点灯装置20とが容易に分離することがなくなる。
【0041】
次に、点灯装置20が反射部30に、光源10を間に挟んだ状態で取り付けられる。点灯装置20の取付凸部24は、反射部30の反射側取付部32における拡径部に差し込まれ、図7に示すように、点灯装置20の取付ピン26が、反射部30における反射側係合溝34の入口部34Aに入れ込まれる。取付凸部24は、取付ピン26が反射側係合溝34の入口部34Aの端に到達するまで、反射側取付部32に差し込まれる。
【0042】
このとき、つまり取付凸部24が反射側取付部32に差し込まれる途中で、図2に示すように、光源10の光源側基準面13と、反射部30の反射部側基準面33とが接触する。光源側基準面13と反射部側基準面33とが接触した後は、光源10と反射部30との相対的な位置関係は変化せず、バネ部40が圧縮変形することにより、点灯装置20のみが反射側取付部32に差し込まれ続ける。その後、取付凸部24は、取付ピン26が係合部34Bに進入するように回転され、取付ピン26が係合部34Bの端に到達するまで回転される。
【0043】
上記の構成によれば、点灯装置20と反射部30との間に光源10が挟まれ、挟まれた光源10はバネ部40によって反射部30に向かって押される。これにより、光源10の光源側基準面と反射部30の支持部側基準面とが接触して、光源10と反射部30との相対位置が決定される。言い換えると、反射部30に対する光源10の位置および姿勢が定められる。そのため、反射部30から外部に出射される光の向きのばらつき、言い換えると光軸のばらつきを抑制することができる。
【0044】
また、点灯装置20を反射部30に取り付けた後に点灯装置20と反射部30との間に光源10を挟むため、光源10を反射部30に直接取り付ける場合と比較して、部品点数の削減を図るとともに、車両用灯具1の小型化を図ることができる。
【0045】
光源10および点灯装置20に、組合せが可能な係合凸部14および点灯側係合溝27を設けることにより、車両用灯具1の組立性の向上を図ることができる。点灯装置20と反射部30との間に光源10を挟む際に、係合凸部14および点灯側係合溝27を組み合わせることにより光源10を点灯装置20に取り付け、その後に光源10を間に挟んで、反射部30を点灯装置20に取り付けることにより、点灯装置20と反射部30との間に光源10を挟む際に、光源10の落下を防止できる。
【0046】
さらに、反射部30に設けられた反射部側基準面33と、光源10に設けられた光源側基準面13とを接触させた際に、組み合わされた係合凸部14および点灯側係合溝27との間に、可動部27Cによって、バネ部40による押し付け方向に隙間が確保されている。そのため、バネ部40による押し付け力のみによって反射部側基準面33と、光源側基準面13とが接触することとなり、光源10、点灯装置20および反射部30に過度な力がかかることを防止できる。
【0047】
図8は、図2の光源10、点灯装置20および反射部30における寸法の関係を説明する模式図である。
可動部27Cにおけるバネ部40の押し付け方向の寸法(A2−A1)としては、以下の式(1)および式(2)を満たすものを例示することができる。このようにすることで、反射部側基準面33と、光源側基準面13とを確実に接触させることができる。
【0048】
1<B1min−Cmax ・・・(1)
2>B2max−Cmin ・・・(2)
ここで、A1は、図8に示すように、点灯装置20の取付凸部24における上端面から可動部27Cの上端面(反射部30に最も近い面)までの距離であり、A2は、取付凸部24の上端面から可動部27Cの下端面(反射部30から最も離れた面)までの距離である。B1は、光源10における光源側基準面13から係合凸部14の上端面(反射部30に最も近い面)までの距離であり、B2は、光源側基準面13から係合凸部14の下端面(反射部30から最も離れた面)までの距離である。Cは、反射部30における反射部側基準面33から取付凸部24の上端面と当接する当接面35までの距離である。また、添え字のminは、光源10や、点灯装置20を製造する上で必ず発生する寸法のばらつきを前提とした最小距離を示し、添え字のmaxは、同様に、ばらつきを前提とした最大距離を示すものである。
【0049】
上述の式(1)および式(2)は言い換えると、係合凸部14における反射部30側の端面から光源側基準面13までの最小距離B1minを、点灯側係合溝27における反射部30側の端面から反射部側基準面33までの最大距離A1+Cmaxよりも大きくし、かつ、係合凸部14における点灯装置20側の端面から光源側基準面13までのB2maxを、点灯側係合溝27における点灯装置20側の端面から反射部側基準面33までの最小距離A2+Cminよりも小さくすることを示している。
【0050】
図9は、図2の車両用灯具1とは別の実施形態の車両用灯具101の構成を説明する部分拡大図である。
光源10を反射部30に向かって押し付ける(付勢する)部材としては、上述の実施形態のように、光源10の光源側端子15と、点灯装置20の導電部23との間に配置されたバネ部40を用いてもよいし、図9に示すように、点灯装置20の取付凸部24と、光源10の光源側基準面13を形成する鍔部116との間に配置された付勢部140であってもよい。図9に示す構成の場合には、光源側端子15と導電部23とを電気的に接続する電気接続部141が設けられている。
【0051】
付勢部140は、図9に示すように弾性を有するリング状の部材であってもよいし、皿バネであってもよい。また、電気接続部141は、光源側端子15を弾性により挟み、電気的な接続を保ちつつ、光源側端子15との相対移動を可能とするものである。
【符号の説明】
【0052】
1,101…車両用灯具(灯具)10…光源、20…点灯装置(点灯部)、30…反射部(支持部)、40,140…バネ部(付勢部)、13…光源側基準面、14…係合凸部、27…点灯側係合溝(係合凹部)、33…反射部側基準面(支持部側基準面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を受けて光を出射する光源と、
該光源に電力を供給する点灯部と、
該点灯部が取り付けられるとともに、前記点灯部との間で前記光源を挟む支持部と、
前記光源と前記点灯部との間に配置され、前記光源を前記支持部に向かって押し付ける付勢部と、を備え、
前記光源には、前記支持部と対向する光源側基準面が設けられ、
前記支持部には、前記光源側基準面と対向する支持部側基準面が設けられ、
前記光源が前記付勢部によって押され、前記支持部側基準面と前記光源側基準面とが接触することにより、前記光源および前記支持部の相対位置が決定されることを特徴とする灯具。
【請求項2】
前記光源および前記点灯部の一方には、前記付勢部による押し付け方向と交差する方向に突出する係合凸部が設けられ、
前記光源および前記点灯部の他方には、前記係合凸部と組み合わされることにより、前記光源および前記点灯部の間の前記押し付け方向への相対移動範囲を規制する係合凹部が設けられ、
前記支持部側基準面と前記光源側基準面とが接触した際に、前記係合凸部と前記係合凹部との間には、前記押し付け方向に隙間が設けられていることを特徴とする請求項1記載の灯具。
【請求項3】
前記光源に前記係合凸部が設けられるとともに、前記点灯部に前記係合凹部が設けられ、
前記点灯部が前記支持部に取り付けられた状態において、
前記係合凸部における前記支持部側の端面から前記光源側基準面までの最小距離は、前記係合凹部における前記支持部側の端面から前記支持部側基準面までの最大距離よりも大きく、
前記係合凸部における前記点灯部側の端面から前記光源側基準面までの最大距離は、前記係合凹部における前記点灯部側の端面から前記支持部側基準面までの最小距離よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の灯具。
【請求項4】
前記支持部は、前記光源から出射された光の少なくとも一部を反射する反射部であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項5】
前記付勢部は、前記点灯部から前記光源に電力を供給する接触端子であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の灯具。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−84343(P2012−84343A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228846(P2010−228846)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】