説明

災害用仕切りエアーマット

【課題】 収納や運搬、また組み立て作業を容易とし、避難の際のプライベートな空間を確保するとともに、クッション性に優れ、快適な温度管理を実現できる災害用仕切りエアーマットを提供すること。
【解決手段】 本発明の災害用仕切りエアーマットは、エアーを注入することにより膨張する床面体と、床面体に立設される側面体および背面体とで構成され、前記側面体および背面体は、床面体上に等間隔で複数立設されていることを特徴とする。
また、前記側面体および背面体を形状安定ロープにて連結すること、前記背面体に床面体の上面および前面を覆うシート材を装着すること、および前記床面体に冷気または暖気を送風する送風機を設置することが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害が発生した際、手軽に設置できるとともに、多くの避難者のプライバシーやスペースの確保ができ、さらに避難生活で起こるストレスを軽減できる災害用仕切りエアーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や火災、また風水害が発生した際、災害地域の避難者は体育館や公民館等の公共施設に避難する。通常、体育館等に避難する場合、避難者は地域で用意された毛布等の寝具を使用して就寝をする。
【0003】
しかし、体育館等の広い場所で、複数の家族が寝泊りするのは、プライベートが守られず不快な思いを強いられた。また、気温の低い冬季や高温の夏季では、室温が極端になり、快適な生活を送ることはできなかった。さらに硬い床面に横臥しなければならず、身体的にも苦痛を得ることになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
それらの問題を解消するために、災害が発生し、地域住民が多数、体育館などの公共施設に避難したとき、その避難所において、それぞれプライバシーを最低限保護することができるパーテーションであって、低コストで製造でき、軽量であって容易に輸送でき、保管にスペースをとらず、かつ、必要なときの現場で簡単に、各被災者自身の手でも組み立てることができて、使用後は再度分解して保管することができる避難所用の組立て式パーテーションがある(例えば、特許文献1参照)。
上掲特許文献1の避難所用の組立て式パーテーションは、軽量で剛性を有する板状の材料で製造した、ボード部材および棚部材を主たる構成要素としてなり、ボード部材は、長方形の板を長手方向に適宜の割合で分割した折り目により、フロントボード部分およびサイドボード部分を分け、この折り目からほぼ直角に曲げて断面L字型としたものであり、棚部材が、ほぼ長方形の板の中央部を棚板、その両側を移行部分で直角に折り曲げて両方の脚とし、棚板と脚の両縁を折り曲げ、重なる部分をカットしてリブを形成し、このようにして用意した棚を上記のボード部材のL字型の内側の隅に当接し、サイドボード部分に設けた孔と、サイドボード部分に接する一方の脚の対応する位置に設けた孔とを、またフロントボード部分に設けた孔と他方の脚のリブの対応する位置に設けた孔とを、一組のジョイント部分で両側から固定してなることを特徴とする。
【特許文献1】特開2007−138538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上掲特許文献1の避難所用の組立て式パーテーションは、組み立てする際、多くの作業工程が必要になるとともに、材料を製造するのにコストアップに繋がるという問題があった。また、気温の低い冬季や高温になる夏季の避難生活においては、つらい条件を強いられるという欠点も生じた。
【0006】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点を解消し、収納や運搬、また組み立て作業を容易とし、避難の際のプライベートな空間を確保するとともに、クッション性に優れ、快適な温度管理を実現できる災害用仕切りエアーマットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の災害用仕切りエアーマットは、エアーを注入することにより膨張する床面体と、床面体に立設される側面体および背面体とで構成され、前記側面体および背面体は、床面体上に等間隔で複数立設されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記側面体および背面体を形状安定ロープにて連結した。
【0009】
また前記背面体に、床面体の上面および前面を覆うシート材を装着した。
【0010】
また前記床面体に、冷気または暖気を送風する送風機を設置した。
【0011】
エアーを注入することにより膨張する床面体および側面体と、床面体および側面体を立設した際に背部を形成する背面体とから形成される災害用仕切りエアーマット。
【0012】
さらに、前記エアーマットは接続具を介して複数連結されている。
【発明の効果】
【0013】
エアーを注入することにより膨張する床面体と、床面体に立設される側面体および背面体とで構成され、前記側面体および背面体は、床面体上に等間隔で複数立設されており、側面体および背面体を形状安定ロープにて連結したことにより、組み立が非常に容易になるとともに、収納や運搬が簡便になり、製造コストも大幅に削減できる。
【0014】
また、床面体に冷気または暖気を送風する送風機を設置したことにより、気温の低い冬季や高温になる夏季においても、快適な避難生活を送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の災害用仕切りエアーマットの全体斜視図である。
【図2】側面体と背面体を折り畳んだ状態の災害用仕切りエアーマットである。
【図3】前記エアーマットの断面図である。
【図4】床面体の内部構造を示す。
【図5】エアーマットにシート材を装着した状態を示す。
【図6】他の好適例、災害用仕切りエアーマットを示す。
【図7】本発明の災害用仕切りエアーマットの使用状態を示す。
【発明を実施するための最良の手段】
【0016】
以下、本発明における災害用仕切りエアーマットの実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の災害用仕切りエアーマットは、災害の際に使用される避難用のエアーマットであり、特に、収納や運搬、また組み立て作業を容易とし、避難の際のプライベートな空間を確保するとともに、クッション性に優れ、快適な温度管理を実現できることを特徴とする。
【0017】
図1乃至図3に示す災害用仕切りエアーマット1は、エアーを注入することにより膨張する床面体2と、床面体2に立設される側面体3および背面体4とで構成され、前記側面体3および背面体4は、前記床面体2上に等間隔で複数立設されている。
【0018】
床面体2は、避難者が横臥することができる適宜強度を有するシート材からなり、空気を注入することにより膨張し、クッション性の高い肉厚状に形成されている。また前記床面体2は、最小寸法でも奥行きaが約2000cmを有し、一区画の幅bが2000〜3000cmを呈する。また前記床面体2は、設置される区画数により任意の長さに形成することができる。なお、前記床面体2は空気を注入しないときは薄いシート状を呈するため、後述詳細の送風機20を分割させることにより、エアーマット1を丸めて収納することができる。
【0019】
また床面体2の内部には、図4に示すように、長尺中空状のチューブ5が配設されている。そのため、前記床面体2にエアーを注入することでチューブ5が膨張し、床面体2を適宜厚さに形成させることができる。
【0020】
側面体3は軽くて目隠しの目的を有するシートにて形成されており、床面体2上に等間隔で複数立設されている。床面体2上に側面体3を立設することで、図示するように、床面体2上に適宜幅の複数の仕切りが形成される。
【0021】
背面体4は強度を有するシートにて形成されており、床面体2上であって、側面体3に対して略直角状に立設されている。背面体4を床面体2上に立設することで、側面体3および背面体4で複数の区画部屋6が形成される。
【0022】
前記区画部屋6の大きさは特に限定されたものではないが、避難者3〜4人が横臥できる大きさ、最小寸法でも奥行きが約2000cm、幅が2000〜3000cm程度に形成することが望ましい。
【0023】
また、前記側面体3および背面体4は形状安定ロープ7,8にて連結されている。形状安定ロープ7は、側面体3の前方上部に形成された孔部9内に挿通され、図7に示すように、体育館A等の壁面等に連結することで、エアーマット1および側面体3の強度を向上させることができる。また形状安定ロープ8は、背面体4の上部の孔部10に装着されたリング体11に挿通され、体育館Aの壁面等に連結することで、エアーマット1および背面体4の安定を向上させることができる
【0024】
また他の好適例として、図5に示すように、前記背面体4に、床面体2の上面および前面を覆うシート材12を装着することができる。シート材12は適宜強度と軽さや目隠しを有する素材からなり、背面体4と一体的に、もしくは着脱式に連結されている。前記シート材12を区画部屋6の天井部および前面部に配設することで、両側面、上面、および前面を覆い隠すことができ、プライバシーの向上を実現することができる。
【0025】
また他の好適例として、前記床面体2に、冷気または暖気を送風する送風機20を設置した。送風機20は、コンプレッサー21と熱コントロールヒートポンプ22と、床面体2内部のチューブ5の入口部5aに連結される管体23と、出口部5bに連結される管体24とで構成されている。なお、出口部5bを塞ぎ、入口部5aからエアーを給入させることにより、前記床面体2を膨張させることができる。
【0026】
前記送風機20において、例えば冬季に災害が発生した場合、熱コントロールヒートポンプ22にて温熱をチューブ5に送り込む。そのことにより、温熱がチューブ5内に送気され、床面体2全体を温かく維持することができる。また夏季に災害が発生した場合、熱コントロールヒートポンプ22にて冷気をチューブ5に送り込むことにより、冷気がチューブ5内に送気され、床面体2全体を低温状態に維持することができる。
【0027】
また他の好適例として、図6に示すように、本発明の災害用仕切りエアーマット30を、注入することにより膨張する床面体31および側面体32と、床面体31および側面体32を立設した際に背部を形成するシート状の背面体33とで形成してもよい。
【0028】
図6の(a)においては、前記床面体31を折り畳んだ状態であり、この状態で給気口34からエアーを注入すると、(b)に示すように床面体31および側面体32が膨張し、側面体32が立設される。側面体32が立設される際、床面体31および側面体32に設置されたシート状の背面体33が広がり、背面部を形成することができる。
【0029】
図6の(c)においては、前記エアーマット30を連結部材35にて複数連結した状態を示す。連結部材35としては、特に限定されないが、利便性と強度を考慮した場合メカニカルファスナーを使用することが望ましい。また、側面体32と背面体33とはロープ状の連結部材35aで連結されている。なお、図6に示すエアーマット30においては、家庭内での少人数で使用することにより利便性が向上する。
【0030】
上述の構成とすることで、本発明における災害用仕切りエアーマットは、エアーを注入することにより膨張する床面体と、床面体に立設される側面体および背面体とで構成され、前記側面体および背面体は、床面体上に等間隔で複数立設されており、側面体および背面体を形状安定ロープにて連結したことにより、組み立が非常に容易になるとともに、収納や運搬が簡便になり、製造コストも大幅に削減できる。
【0031】
また、床面体に冷気または暖気を送風する送風機を設置したことにより、気温の低い冬季や高温になる夏季においても、快適な避難生活を送ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 エアーマット
2 床面体
3 側面体
4 背面体
5 チューブ
5a 入口部
5b 出口部
6 区画部屋
7 形状安定ロープ
8 形状安定ロープ
9 孔部
10 孔部
11 リング
12 シート材
20 送風気
21 コンプレッサー
22 熱コントロールヒートポンプ
23 管
24 管
30 エアーマット
31 床面体
32 側面体
33 背面体
34 給気口
35 連結部材
35a 連結部材
a 奥行き
b 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーを注入することにより膨張する床面体と、床面体に立設される側面体および背面体とで構成され、前記側面体および背面体は、床面体上に等間隔で複数立設されていることを特徴とする災害用仕切りエアーマット。
【請求項2】
前記側面体および背面体を形状安定ロープにて連結した請求項1記載の災害用仕切りエアーマット。
【請求項3】
前記背面体に、床面体の上面および前面を覆うシート材を装着した請求項1または2記載の災害用仕切りエアーマット。
【請求項4】
前記床面体に、冷気または暖気を送風する送風機を設置した請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の災害用仕切りエアーマット。
【請求項5】
エアーを注入することにより膨張する床面体および側面体と、床面体および側面体を立設した際に、背部を形成する背面体と、から形成される災害用仕切りエアーマット。
【請求項6】
前記エアーマットを、接続具を介して複数連結した請求項5記載の災害用仕切りエアーマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−57454(P2012−57454A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224319(P2010−224319)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(504393840)
【Fターム(参考)】