説明

炉で発生した重いボトムアッシュをホッパーに貯留する際に乾燥した状態で抽出するための冷却装置

本発明は、ホッパー(1)の側壁に空気取入口(2)を設け、ホッパー(1)に灰を貯留する工程中に、燃焼室(12)内の負圧を利用して、この空気取入口から燃焼室内に空気を吸い込んで、空気を均一に供給することにより、供給する空気の量は変えずに落下する灰の冷却効率を向上させることができる、炉で発生した固形燃料の重いボトムアッシュをホッパーに貯留する際に、乾燥した状態で抽出するための冷却装置に関する。空気取入口(2)の供給ヘッダーは、蓋(7)と導管(3)を介して抽出装置(6)に接続されている。導管(3)には自動バルブ(8)が設けられており、貯留工程中にこのバルブが開くことにより、冷却空気が空気取入口(2)からホッパー内部に供給される。ホッパーに設けたノズル(14)から水を供給することにより、さらに効率的に灰を冷却するようにしてもよい。水の量は、灰が湿気を帯びない範囲でできるだけ効率的に灰を冷却できるように調整する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
乾燥した灰を抽出する装置(ヨーロッパ特許EP 0471055B1参照)においては、抽出装置のコンベヤ及びその後段のコンベヤ上の灰は、炉の底部で発生する負圧によって装置内に吸い込まれる空気の強制対流による熱交換によって冷却している。冷却空気は抽出装置の側壁及び後段のコンベヤに形成された空気取入口から吸入され、搬送装置中を灰の流れとは逆方向に流れ、燃焼室に至る。この公知の抽出装置は、炉の底部のバルブを閉じて、ホッパーに灰を貯留することができる。この状態で装置のメンテナンスを行うことができる。ホッパーの灰を貯留する工程において、灰がボトムバルブ上に堆積し始めると、まず灰の高さが低い間は冷却空気はまだホッパー内に流れ込むことができるため、堆積している灰を冷却すると共に、その灰の中を流れ、落下してくる灰もその灰とは逆方向に流れて冷却することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ボトムバルブ上に堆積する灰の高さが増大すると、灰の抵抗により徐々に空気がホッパー内に流入しにくくなり、ホッパー内に流入する空気の量が徐々に低下し、最終的にはゼロになる。このような状態になると、外部から貯留されている灰の冷却は不可能になり、その後ボトムバルブが開くと高温の灰が抽出装置上に排出される。このとき空気の逆流によって灰を十分冷却することはできないため、高温の灰によって、特に抽出装置の下流側の粉砕部品の局所的な変形によって磨耗や故障などが起こりやすくなる。
【0003】
貯留時間が短い場合でも、前方燃焼型炉の場合も、接線方向燃料型炉の場合も、ホッパー内の灰は偏った状態で貯留されているため、空気もホッパー内に均一に供給されず、灰の層の中に十分冷却されない部分が発生する。
【0004】
また、搬送される材料の自然の勾配よりも傾斜が大きい状態で乾燥抽出を行う場合、湾曲部に灰が溜まって、コンベヤベルトと蓋の間の通路が閉塞され、冷却空気がベルトの下部の空間を通過できなくなる場合がある。その結果コンベヤベルトの下に溜まった灰によって装置の故障が起こったり、この灰が冷却空気によって引き込まれたりする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の装置では、ホッパーの側壁の、貯留される灰の最大高さよりも高い部分に所定の数の冷却空気取入口を設けることにより、上記の問題を完全に解決することができる。この空気取入口は、抽出装置に接続された単一のパイプによって互いに接続すると共に、ホッパーの壁前面にわたって冷却空気を均等に供給できるような寸法とする。ホッパーを抽出装置に接続しているパイプには、貯留工程中も灰を確実に冷却する必要があるとき開放されるバルブを設ける。
【0006】
貯留工程においては、ボトムバルブを閉じた状態で、抽出装置の側壁に設けた空気取入口から装置内に導入される空気は、通常作動時の通路とは別の上記通路を流れる。
【0007】
必要に応じて、空気による冷却に加え、ホッパーの側壁またはホッパーの空気取入口に設けたノズルから水を供給することによって、さらに効果的に冷却を行うことができる。空気取入口及びノズルの位置は、予想される最大高さまで灰が貯留された場合でも空気が確実に供給されるように設定する。水から発生する水蒸気は、炉の負圧により炉内に吸い込まれ、落下する灰に対して逆方向に流れ、さらに効果的に灰を冷却する。ノズルに供給される水の量は、センサーによって測定される灰の温度及び流量に基づき、灰が湿気を帯びることなく適切に冷却できるよう細かく調整する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】灰の抽出装置の側面図であり、この装置はホッパーの側壁に形成された空気取入口を備え、この空気取入口はバルブを介して抽出装置に接続されている。
【図2】ホッパーに設けた空気取入口と抽出装置への接続部の上面図である。
【図3】抽出装置のホッパーの横断面図であり、冷却水噴射ノズルを示している。
【図5】抽出装置のホッパーの横断面図であり、空気取入口に設けた冷却水噴射ノズルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の新規な特徴、目的、効果は添付している図面と共に、下記の説明を読めば明確になる。
異なる図面で用いられている同一の参照番号は、同一あるいは類似の要素を示している。
【実施例】
【0010】
本発明による灰冷却装置を用いることによって、ホッパー(1)に灰を貯留する際に、炉のリリーフを通過して落下する灰を、側面入口(2)を有する装置によって冷却することができる。エア分配シュート(3)が抽出装置(6)に直接接続されているため、通常運転時に用いられる側面空気取入口(4)を通って外部から空気が供給される。このため冷却に用いられる空気の量は、連続運転時も貯留工程中も同じである。
【0011】
追加の空気取入口(2) がホッパー(1)の側壁の、ボトムバルブ(5)上に貯留される灰の最大高さよりも高い位置に設けられている。このため灰の高さが最大になっても、灰によって取入口が閉塞されることがない。空気取入口(2)はホッパー(1)の両側に設けられており、抽出装置(6)の蓋(7)に手動または自動のバルブ(8)を介して接続された単一のシュート(3)から空気が供給される。このためホッパー(1)への貯留工程が始まり、バルブ(8)が開くと、燃焼室の負圧により、外部の冷却空気が側面の空気取入口(4)から吸い込まれる。
【0012】
ボトムバルブ(5)を閉じるだけで、バルブ(8)は開く。ボトムバルブ(5) を閉じると、側面の空気取入口(4)から吸い込まれた外部の空気は抽出装置(6)に流入する。この状態で、ボトムバルブ(5)が閉じているため炉内に流入できない空気は、シュート(3)に流入する。ボトムバルブ(5)は完全に気密ではないため、バルブ(5)上に堆積した灰の層によって完全に通路が閉じるまでは、少量の空気は底部に流れる。
【0013】
灰を貯留する際に用いられる本発明の冷却装置は、抽出装置の傾斜角がコンベヤ搬送経路の自然の傾斜角よりも大きい場合にも用いることができる。この場合、湾曲部での抽出工程中に、傾斜部に沿って灰が滑って局所的に堆積することがある。
【0014】
これが起こると、コンベヤベルト(13)と蓋(7)との間の通路(9)が完全に塞がり、冷却空気は下方のコンベヤの上方しか流れることができなくなる。この冷却空気は大量の細かい灰を含んでいるため、この灰が回収装置(11)に堆積し、回収装置(11)を塞いでしまう。このような場合、バルブ(8)を開くことによって、空気を上方に逃がし、回収装置(11)の閉塞を防ぐことができる。
【0015】
上記の経路から空気を炉内に供給することによって、落下する灰の通路全体にわたって空気を均一に供給できるため、炉に供給される空気の量を増やす必要なしに、貯留された灰を効率的に冷却することができる。
【0016】
上記のように空気で灰を冷却するのに加え、ホッパー内の適切な場所に設けたノズル(14)から冷却水を、その量を細かく調整して、ボトムバルブ(5)上に貯留された灰に噴射して、灰が湿気を帯びない程度までさらに効率的に灰を冷却するようにしてもよい。ノズルから噴射する水の量は、ホッパー内に設置したセンサー(図示省略)によって測定した、貯留された灰の温度及び流量に基づいて調節する。この水冷工程中に発生する蒸気は、炉の負圧によって炉内に吸い込まれ、燃焼による煙と混合されることにより、燃焼室から落下する灰をさらに効率的に冷却する。この水冷工程では、水が蒸発する際の潜熱により、ホッパーに貯留された灰の熱を奪うため、公知の抽出装置のホッパー底部から回収された灰を乾いた状態に保って、効率的に冷却することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内で化石燃料から発生する重い灰をホッパー(1)に貯留する際に冷却する装置において、炉の底部のホッパー(1)の側壁に空気取入口(2)を設け、燃焼室の負圧を利用して、制御した量の空気を、抽出装置(6)が収容された金属製の容器の蓋(7)に接続されたシュート(3)を介して、空気取入口(2)から炉内に吸い込むようにしたことを
特徴とする冷却装置。
【請求項2】
貯留された灰が湿気を帯びない程度の量の水をホッパー(1)内に供給することによって、貯留された灰をさらに効率的に冷却することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
ホッパー(1)の側壁または空気取入口(2)に設けたノズル(14)から、冷却水をホッパー内に供給することを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記空気取入口(2)が、冷却空気を均等に供給するための連続したパイプ(2) であり、さらにブロックバルブ(8)を設け、ボトムバルブ(5)を閉じた後で手動または自動でこのブロックバルブを開くことにより、前記パイプ(2)を抽出装置(6)に接続して、冷却空気をホッパー(1)に供給するようにした請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
ノズル(14)から供給される水の量を、ホッパー(1)の内部に設けたセンサーで測定される、貯留した灰の流量及び温度に基づいて、細かく調節すること、および冷却工程中に発生した蒸気を燃焼で発生する煙と共に除去することを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−537791(P2009−537791A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511418(P2009−511418)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004646
【国際公開番号】WO2007/134874
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(307023409)マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ (5)
【Fターム(参考)】