説明

炉頂部のガス流状態監視方法、監視装置、及びコンピュータプログラム

【課題】炉頂部におけるガス流の状態を、常時、オンラインで高精度に監視可能する方法及び監視装置、及びコンピュータプログラム等を提供する。
【解決手段】高炉の炉頂装入部等の炉頂部にカメラ5を設置してガス流が発生する領域を撮像し、当該撮像画像を画像処理して画像階調行列データを蓄積部10に蓄積する。蓄積した画像階調行列データの時系列データに対して事前処理として独立成分分析部11で独立成分分析を実施して分離行列を導出し、操業監視部12において、当該分離行列をオンラインで逐次撮像するガス流状態の撮像画像の画像階調行列に乗じることでガス流状態の撮像画像の独立成分信号を逐次計算し、当該独立成分信号の時系列推移を監視するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉頂部のガス流状態監視方法、そのガス流状態監視装置、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。特に、鉄鋼業の高炉の操業において、炉頂の原料装入装置から装入された鉄鉱石(焼結鉱)又はコークス等の装入物の堆積面から流出するガス流の状態の監視に好適な方法及び装置、当該方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム、並びに、コンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄鋼業において、高炉操業は、炉頂に設置された原料装入装置によって炉内に鉄鉱石(焼結鉱)とコークスを交互に装入し、層状に合い重なった鉱石層とコークス層で充填した炉内に、羽口から熱風を吹き込んでコークスを燃焼及び反応させて、COガスを生成する。そして、当該COガスで鉄鉱石を加熱して酸化鉄を還元して鉄を分離し、軟化融着帯を形成後に鉄の溶滴、すなわち溶銑を副生したスラグとともにコークス層で構成される炉芯部経由で炉底部に滴下して溜め、適時出銑口から出銑し、スラグを分離して溶銑を製造するものである。
【0003】
炉頂の原料装入装置は、羽口から吹き込まれる熱風を安定的に炉内中心部に流すために、炉頂の炉壁周辺部と比較して中心部が少ない装入量となるように制御される。したがって、炉頂装入部の装入物堆積面中心部から上昇するガス流が炉壁周辺部のガス流より強く発生する。
【0004】
高炉操業の安定の観点から、高炉の炉頂部すなわち炉頂装入部の堆積面中心部の当該ガス流が安定して継続的に発生することが重要であり、カメラ等の撮像装置を用いたガス流の監視方法や装置の開発が従来から行われてきた。
【0005】
例えば、特許文献1では、炉内への原料の投入に応じたタイミングで、炉頂装入部の撮像画像からガス流又はその発生部位の輪郭及び原料と炉壁との境界を抽出し、ガス流の面積、所定の位置の直径及び発生位置又はガス発生部位の大きさ及び発生位置等の特徴量を抽出する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されたこの方法では、ガス流又はガス流の発生部位の輪郭、及び原料と炉壁との境界を抽出するのにあたって二値化処理を施しており、二値化が適切な閾値で設定されていない場合や輝度分布が予め想定している分布から外れた場合、当該特徴量を精度よく抽出できないという問題があった。
【0006】
特許文献2では、撮像装置で得られた炉頂装入部の画像内に、炉口中心を切断する設定ラインを2本以上予め設定し、当該設定ライン上の輝度分布に対して大小2つの設定輝度を与え、当該設定輝度で切り取られる距離を各々炉口部炎柱太さとし、当該太さの中心位置と当該太さの比を炉口部炎柱尖鋭度Aとして特徴量化する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示されたこの方法では、炉口中心を切断する設定ラインの設定位置に結果が依存し、特に、実際の装入物表面位置の上下移動への対応できないという問題があった。
【0007】
特許文献3では、高炉に撮像装置を設け、当該撮像装置によって炉内のガス流が発生する部分を撮像し、得られた画像に基づいてガス流の分布を検出する方法において、画像内に、予めガス流分布検出の対象にする1又は複数の抽出対象領域を設定し、その抽出対象領域内で、高炉の高さ方向に複数の画素の輝度を積算して積算濃度画像を生成し、生成した積算濃度画像からガス流分布の特徴量を抽出する高炉のガス流分布検出方法が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示されたこの方法では、予め抽出対象領域を設定するために、ガス流分布の変動に対して、柔軟に対応した高精度な高炉のガス流分布検出が困難であるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平8−105839号公報
【特許文献2】特開平9−194912号公報
【特許文献3】特開平10−206239号公報
【特許文献4】特開2005−133115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような事情に鑑みて、本発明は、高炉炉頂装入部等の炉頂部におけるガス流の状態を、常時、従来よりも短時間で高精度に監視可能とする監視方法及び監視装置、コンピュータプログラム並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の炉頂部のガス流状態監視方法は、炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視方法であって、前記炉頂部の前記撮像により得られた映像信号をディジタル信号化して、時系列の画像データを取得し、前記画像データのそれぞれに所定の画像処理を施して、当該画像データ内の各画素位置の輝度値に基づく画像階調行列の時系列データを導出し、予め、前記画像階調行列の時系列データを基に、独立成分分析を用いて独立成分信号に対応する基準画像に関する情報を取得しておき、その後、逐次出力される前記画像階調行列の時系列データに対して、前記基準画像に関する情報に基づいて前記独立成分信号の時系列推移を評価することを特徴とする。
【0011】
本発明の炉頂部のガス流状態監視方法における他の態様は、炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視方法であって、前記炉頂部を撮像して前記映像信号を出力する撮像工程と、前記映像信号に対してA/D変換を実施して、所定の時間レートで画像データを出力するA/D変換工程と、前記画像データを予め設定した大きさの複数の画像領域に分割し、分割した各画像領域の輝度値を平均化して配列した画像階調行列の時系列データを算出して出力する画像処理工程と、前記画像階調行列の時系列データを蓄積する蓄積工程と、予め、前記蓄積された画像階調行列の時系列データに対し、独立成分分析を用いて分離行列を導出する独立成分分析工程と、前記画像処理工程から逐次出力される画像階調行列に対し、前記独立成分分析工程で予め導出した分離行列を乗じることで前記画像階調行列の独立成分信号を逐次計算し、当該独立成分信号の時系列推移を評価してガス流の状態を監視する操業監視工程と、前記操業監視工程で評価した前記ガス流状態の監視結果を表示する表示工程又は前記操業監視工程が出力する前記独立成分信号の時系列推移を記録する記録工程とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の炉頂部のガス流状態監視方法におけるその他の態様は、前記炉頂部に発生する炉内ガス流の輝度分布を検出可能な波長を撮像波長とするカメラであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の炉頂部のガス流状態監視方法におけるその他の態様は、前記炉頂部は、高炉の炉頂装入部であることを特徴とする。
【0014】
本発明の炉頂部のガス流状態監視装置は、炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視装置であって、前記炉頂部を撮像して前記映像信号を出力する撮像手段と、前記映像信号に対してA/D変換を実施して、所定の時間レートで画像データを出力するA/D変換手段と、前記画像データを予め設定した大きさの複数の画像領域に分割し、分割した各画像領域の輝度値を平均化して配列した画像階調行列の時系列データを算出して出力する画像処理手段と、前記画像階調行列の時系列データを蓄積する蓄積手段と、予め、前記蓄積された画像階調行列の時系列データに対し、独立成分分析を用いて分離行列を導出する独立成分分析手段と、前記画像処理手段から逐次出力される画像階調行列に対し、前記独立成分分析手段で予め導出した分離行列を乗じることで前記画像階調行列の独立成分信号を逐次計算し、当該独立成分信号の時系列推移を評価してガス流の状態を監視する操業監視手段と、前記操業監視手段で評価した前記ガス流状態の監視結果を表示する表示手段又は前記操業監視手段が出力する前記独立成分信号の時系列推移を記録する記録手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の炉頂部のガス流状態監視装置における他の態様は、前記炉頂部は、高炉の炉頂装入部であることを特徴とする。
【0016】
本発明のコンピュータプログラムは、前記炉頂部のガス流状態監視方法における各工程の処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0017】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記コンピュータプログラムを格納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、炉頂部の撮像画像におけるガス流状態の特徴を独立成分分析によって抽出するようにしたので、撮像画像の二値化処理やガス流の形状、輝度ヒストグラムの設定をする必要がなく、炉頂部に発生する粉塵の影響を排除し、原料の装入タイミングや堆積面の上下移動にも対応した形で、炉頂部におけるガス流の状態を、常時、短時間で高精度に監視することが可能となる。よって、短時間かつ高精度な監視測定の結果に基づいて高炉操業を制御し、高炉操業の安定化に大きく寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係る炉頂部のガス流状態監視方法、そのガス流状態監視装置、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を実施するための形態について、炉頂部として高炉の炉頂装入部を例に図を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る炉頂部のガス流状態監視装置における概略構成を、高炉設備及び操業時の高炉内の様子の概略と共に示すブロック図である。
【0021】
ガス流状態監視装置6は、高炉設備1の炉頂装入部を撮像して映像信号を出力するカメラ5、前記映像信号をディジタル信号に変換して画像処理部9に取り込むためのA/D変換部8、撮像画像について所定の画像処理をして時系列の行列データを出力する画像処理部9、前記時系列の行列データを蓄積する蓄積部10、前記時系列の行列データについて所定の独立成分分析を施す独立成分分析部11、独立成分分析の結果を基にガス流を解析する操業監視部12、当該解析結果を記憶する記録部13、当該解析結果を表示する表示部14、さらに、前記の各部を操作するための設定・操作入力部7を有して構成されている。
【0022】
以下では、図1に示す各部についてその機能及び構成を説明する。
【0023】
(炉頂装入部)
図1において、高炉設備1の炉上方には原料装入装置(図示せず)が設置されており、炉頂堆積物2、すなわち鉄鉱石(焼結鉱)とコークスが交互に高炉内に装入される。その結果、高炉設備1内には層状に合い重なった鉱石層2aとコークス層2bが充填され、高炉設備1内の上部に位置する炉頂装入部以下には、その炉頂堆積物2の堆積面3が存在し、鉄鉱石又はコークスの装入に応じて上下する。
【0024】
すなわち、炉頂装入部とは、原料装入装置と上下に移動する炉頂堆積物2の堆積面3、及び炉壁構造体で囲まれた空間である。このとき、堆積面3の中心部から噴出するガス流、すなわち中心ガス流4が、炉壁周辺部(炉壁との境界部)からのガス流に較べて、強く発生する。本実施の形態においては、主として当該中心ガス流4の状態を監視する。
【0025】
(撮像部)
炉頂装入部には、撮像部(撮像装置)としてカメラ5が設置されており、中心ガス流4を含む炉頂装入部内を所定の時間レートで連続的に撮像して輝度信号を含む映像信号を出力する。映像信号は、例えばNTSC規格に準拠しても良い。前記炉頂装入部は、基本的に高圧空間として密閉されており、撮像用の光源はなく、カメラ5としては、炉頂堆積物2及び炉頂装入部内の物質の自発光による熱画像を計測できる撮像装置を用いる。
【0026】
中心ガス流4を構成するガスの主な成分はCO、CO2が各々20〜25%、残り50%がN2であり、ガスの温度域は150〜350℃である。中心ガス流4は、ガス自体の放射率が低いため自発光量が小さく、ガス自体では撮像しにくいが、当該ガス流中に含まれる微細ダストが急速にガスの温度以上まで加熱、燃焼されることで自発光し、自発光した微細ダストの粒子流が中心ガス流4の流れる状態として撮像される。
【0027】
微細ダストは、主として粒径0.1mm前後、約10g/Nm3の酸化鉄やコークス粉である。一般に、高炉では、炉内装入部を撮像する撮像装置(カメラ5)として、撮像波長が400nm〜1100nmに感度を有するテレビカメラ、例えばCCDカメラを用いることができる。すなわち、カメラ5は、炉内装入部に発生する炉内ガス流の輝度分布を検出可能な波長を撮像波長とする撮像装置である。
【0028】
(A/D変換部)
カメラ5から出力された映像信号は、A/D変換部8によってディジタル信号に変換されて取り込まれて画像データとなる。
【0029】
図2は、A/D変換部8によって得られた画像データの一例を示す写真である。
図2(a)は、中心ガス流4が安定的に強く発生している状態の例を示し、図2(b)は中心ガス流4が発達せず、中心ガス流4の発生部位のみが弱く撮像された状態の例を示したものある。A/D変換部8における画像取り込みは、カメラ5の撮像レート(例えば30フレーム/秒)に合わせるか、間引いて逐次実行する。
【0030】
(画像処理部)
A/D変換部8から予め設定された時間レートで出力された、各時刻の炉頂装入部の画像データそれぞれに対し、画像処理部9で撮像画像の領域を予め設定した大きさの領域に分割して、各分割領域についてそれぞれ輝度値を平均化する平均化処理を実施する。
【0031】
図3は、図2に示す各画像データを平均化処理(画像処理)した例を示す写真である。
この図3は、撮像画像データの領域を縦24区画×横24区画に分割し、各分割領域を新たに画素として輝度を256階調の濃淡で表した平均化画像の例を示している。図3(a)は中心ガス流4が安定的に強く発生している状態の例を示し、図3(b)は中心ガス流4が発達せず、中心ガス流4の発生部位のみが弱く撮像された状態の例を示している。
【0032】
そして、各時刻の平均化画像について、平均化画像内の各画素の輝度値を、上記した縦24区画×横24区画の各画素の位置に対応させて配列して、24×24の行列成分からなる画像階調行列を生成する。すなわち、炉頂装入部を予め設定した撮像レートで撮像した後、A/D変換部8で所定の時間レートで画像データとして取り込み、画像処理部9で当該画像データを領域分割/平均化処理して、前記画像階調行列の時系列データを生成する。
【0033】
なお、平均化画像の縦横の画素数は、ガス流の形状によらず自由に設定でき、ガス流状態を監視する上で必要な空間分解能に応じて適宜決めれば良い。高精細に監視するときには、画像データの画素をそのまま用いて、平均化処理を省略してもよい。輝度を表す階調数は、前記ガス流(微細ダストを含む)の温度域、上記画像データの明るさ・コントラストに応じて適宜決めれば良い。当該縦横画素数、及び該輝度変換階調数は、設定・操作入力部7で設定する。
【0034】
(蓄積部)
画像処理部9から逐次出力される前記画像階調行列は、画像階調行列の時系列データとして、例えば撮像時刻と紐つけて(関連付けて)蓄積部10に蓄積される。
【0035】
(独立成分分析部)
本実施の形態に係る炉頂装入部のガス流状態監視装置及び方法では、炉頂装入部を撮像した画像データを基にして、独立成分分析を適用し、画像データを構成する独立成分信号を解析することに特徴を有する。
【0036】
すなわち、本発明において用いる独立成分分析では、炉頂装入部のガス流状態の監視にあたり、画像処理部9で導出した画像階調行列は、炉頂装入部のガス流の状態を反映したいくつかの統計的に独立な画像情報成分(以後、基底画像と呼ぶ)が線形に混合されることで構成されていると仮定する。そして、予め炉頂装入部の画像データの画像階調行列の時系列データからいくつかの基底画像を導出しておく。そして、高炉設備1の炉頂装入部のガス流状態を監視するときに、時系列の炉頂装入部の画像データから画像階調行列を逐次算出し、当該画像階調行列について各基底画像の寄与の大きさ(寄与値)を表す独立成分信号を導出し、この寄与値の時系列推移を評価することによって、ガス流状態を監視する。
【0037】
ここで、本発明で採用する独立成分分析(Independent Component Analysis:以下では「ICA」と記す)とは、複数の因子で構成されたデータについてのデータ解析分野で用いられる手法であり、「観測信号(データ)がいくつかの統計的に独立な原信号(因子)の線形和からなる」と仮定し、観測信号を構成する原信号及びその混合状態が共に未知である場合でも、原信号の統計的な独立性を評価指標として、原信号を推定する手法である。
【0038】
基底画像は、予め多数蓄積した時系列の画像階調行列に対して独立成分分析を実施して得ることができる。前記「観測信号(データ)がいくつかの統計的に独立な原信号(因子)の線形和からなる」との仮定は、予め蓄積した画像階調行列の数が、統計分野における大数の法則に従う多数において成立する。そして、時系列の画像データからの多数の画像階調行列を基に独立成分分析を実施した結果得られる基底画像は、ガス流状態の撮像画像から導出した画像データを構成する、統計的に独立な画像成分を反映した画像成分である。
【0039】
−ICA(独立成分分析)アルゴリズムの一般的な定式化−
次に、ICAアルゴリズムの定式化の例を説明する。
【0040】
まず、ICAが解くべき問題を整理する。
ある時刻tにおいて観測されるm次元入力信号をベクトルx(t)とし、当該ベクトルx(t)は、各ベクトル成分が統計的に独立であるn次元の原信号ベクトルs(t)の線形結合であると仮定する。すなわち、以下の数式(1)〜(3)のように示される。
【0041】
【数1】

【0042】
ここで、Tは転置を表わす。行列Aは、m行n列の実数行列であり、ICAでは混合行列と呼ぶ。このとき、ICAは、原信号ベクトルs(t)及び混合行列Aに関する情報を予め一切持たずに、観測信号ベクトルx(t)の非ガウス性(非正規性)を定量的に算出し評価することによって、混合行列Aとn個の統計的に独立な成分を持つベクトルy(t)を同時に推定する手法である。このとき、ICAではベクトルy(t)を復元信号ベクトルと呼ぶ。このとき、n≦mならば、解が存在する。すなわち、以下の数式(4)を満たす、あるn行m列の実数行列Wが存在し、数式(4)によって、m次元入力信号ベクトルx(t)から互いに統計的に独立なn次元の復元信号ベクトルy(t)が生成できる。
【0043】
【数2】

【0044】
このとき、ICAでは、数式(4)に示す実数行列Wを分離行列と呼ぶ。
【0045】
なお、以下の数式(5)であれば(Iは、n行n列の単位行列である)、復元信号ベクトルy(t)と原信号ベクトルs(t)は一致する。
【0046】
【数3】

【0047】
また、復元信号ベクトルy(t)の成分の順番を入れ替えても独立性は保たれ、また、各成分の大きさも独立性には影響を与えないことから、実際には、以下の数式(6)を満足すればよい。
【0048】
【数4】

【0049】
このとき、Pは各列、各行に1つだけ1を持つn行n列の行列で各成分の順番を入れ替える順列行列であり、Dは各成分の大きさを決めるn行×n列の対角行列でスケーリング行列である。
【0050】
すなわち、ICAが解くべき問題は、「数式(6)に従って成分の順序と大きさのスケールの2つの任意性を許容した上で、m次元入力信号ベクトルx(t)から統計的に独立なn次元の復元信号ベクトルy(t)とn行m列の分離行列Wを求めること」である。なお、本発明では復元信号ベクトルy(t)を単に独立成分信号ベクトルとも呼ぶ。
【0051】
ICAのアルゴリズムには、分離行列Wを計算するための評価関数の違いや収束計算方法の選び方により、いくつかのアルゴリズムが提案されている。
【0052】
本実施の形態では、Aapo Hyvarianらが提案しているFastICAと呼ばれるアルゴリズムを用いている。また、FastICAアルゴリズムの詳細については、本発明者らが上記特許文献4で開示している。
【0053】
以上で説明した独立成分分析(ICA)の手法に基づいて、予め、炉頂装入部のガス流状態監視する事前の準備として、蓄積部10に、ある期間の画像階調行列の時系列データx(t)を多数蓄積した後、独立成分分析部11で当該画像階調行列の時系列データx(t)に対して独立成分分析を実施し、分離行列W、及び下記で説明する基底画像階調行列Bを計算する。
【0054】
独立成分分析部11の処理の詳細とその実施例を、以下に具体的に説明する。
【0055】
−画像階調行列の時系列データに対する独立成分分析を実施した例−
画像処理部9の処理の結果得られた、図3に例示した24区画×24区画の成分からなる画像階調行列の時系列データを、それぞれ、24×24すなわち576の画像階調行列構成要素を予め決められた順番で1次元ベクトルに並び替えて、576要素(m=576)の観測信号ベクトルx(t)へ変換して、蓄積部10にある期間蓄積される。例えば、以下の実施例では、10秒ごとの撮像タイミングで1週間分の多数個の観測信号ベクトルを蓄積している。
【0056】
ここで、576次元の観測信号ベクトルx(t)は統計的に独立で3次元(n=3)の原信号ベクトルs(t)の線形結合であると仮定し、独立成分数nを設定・操作入力部7で設定する。
【0057】
独立成分数nは、観測信号ベクトルx(t)の次元数mより小さければ、監視したい炉頂装入部のガス流状態の形態や監視信号数の設計の視点で任意に設定できる。このとき、以下の数式(7)〜(9)のように示される。
【0058】
【数5】

【0059】
数式(9)の混合行列Aは、576行3列の実数行列である。
ここで、n(=3)≦m(=576)であるから、以下の数式(10)を実現する3行576列の分離行列Wが存在し、独立成分分析の実施、本発明では前記FastICAアルゴリズムを用いることによって、分離行列Wが計算できる。
【0060】
【数6】

【0061】
次に、上記独立成分分析の結果得られた3行576列の分離行列Wに対し、分離行列Wを構成する各行の576要素を、前記画像階調行列から576要素の観測信号ベクトルx(t)に変換するときに用いた順番にしたがって、24×24の画像階調行列に並び替える。すなわち、蓄積部10に蓄積するのにあたり、図3に例示した24×24の画像階調行列構成要素から576要素(m=576)の観測信号ベクトルx(t)に並び替えた処理と逆の並び替えを行い、分離行列Wの各行の要素を24×24に並び替えて得られた3つの画像階調行列をB1、B2、B3とする。各画像階調行列の要素を輝度値化し、単一の256階調で画像データ化した3つの画像階調行列とその等値線分布を図4に示す。図4(a1)〜(a3)に各画像階調行列の画像データを示し、図4(b1)〜(b3)に各画像階調行列の等値線分布を示している。
【0062】
当該画像階調行列は、蓄積部10に蓄積され、独立成分分析部11でオフライン実施した独立成分分析の対象となった蓄積期間の画像階調行列時系列データにおける統計的に独立な画像情報成分、すなわち基底画像を示している。以後、当該画像階調行列を基底画像階調行列と呼ぶ。
【0063】
3つの基底画像階調行列B1、B2、B3は各々の分布状態から、B1は中心ガス流4の炉高方向炎柱の輝度分布を表す基底画像、B2は炉頂堆積物2の面が上方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す基底画像、B3は炉頂堆積物2の面が下方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す基底画像である。
【0064】
(操業監視部)
オフラインでの事前処理として、独立成分分析部11で導出した前記分離行列Wを用いて、操業監視部12は、オンラインで逐次、ガス流状態の操業監視を実施する。
【0065】
炉頂装入部でのガス流状態の監視をするときには、操業監視部12は、前記画像階調行列x(t)に逐次、前記分離行列Wを乗じて、復元信号(独立成分信号)y(t)を計算し、復元信号y(t)の時系列推移、すなわち各復元信号の値の時間変化を監視することで炉頂装入部におけるガス流の状態を監視する。
【0066】
図5は、復元信号ベクトルy(t)の各要素の時系列推移を示す特性図である。
このとき、図5(a)に示すy1(t)は中心ガス流4の炉高方向炎柱の輝度分布を表す成分画像B1の強度に関する係数、図5(b)に示すy2(t)は炉頂堆積物2の面が上方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す成分画像B2の強度に関する係数、図5(c)に示すy3(t)は炉頂堆積物2の面が下方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す成分画像B3の強度に関する係数である。
【0067】
図5では、図5(a)に示すy1(t)の推移から、12時40分から次第に中心ガス流4の炉高方向炎柱の輝度が小さくなり、すなわち中心ガス流4が次第に弱くなり、また、図5(c)に示すy3(t)の推移から、それに伴って炉頂堆積物2の面が下方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布が次第に大きくなった状態を示している。
【0068】
なお、復元信号ベクトルy(t)の各要素の符号は、分離行列Wを構成する画像階調行列Bの符号を考慮する必要があり、復元信号の監視にあたって各基底画像の寄与度は、復元信号の絶対値で評価する。
【0069】
本実施例では、中心ガス流4の炉高方向炎柱の輝度分布を表す成分画像B1は負、炉頂堆積物2の面が上方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す成分画像B2及び炉頂堆積物2の面が下方に位置するときの中心ガス流4の発生部位の輝度分布を表す成分画像B3の符号はともに正であることに対応して、復元信号y1(t)は負、復元信号y2(t)及びy3(t)は共に正となっている。
【0070】
(記録部と表示部)
記録部13では、操業監視部12で用いた前記分離行列Wと、計算の結果得られた前記復元信号y(t)を、例えばハードディスク、DVD、又は帳票に記録する。表示部14では、オフラインでの前処理として独立成分分析部11で得た基底画像階調行列Bと、オンラインでのガス流状態の監視処理したガス流状態の監視量である復元信号y(t)をモニタ等に出力する。
【0071】
なお、本実施の形態では、オンラインすなわちリアルタイムのガス流状態の操業監視について例示したが、映像信号や画像データを一旦HDD,DVD等の記録メディアに保存してから、タイムシフト又は空間シフトしての監視においても、本発明は実施可能であることは明らかである。
【0072】
次に、本発明の実施の形態に係る炉頂部のガス流状態監視装置6における処理(炉頂部のガス流状態監視方法)の流れについて説明する。
【0073】
図6は、本発明の実施の形態に係る炉頂部のガス流状態監視装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
まず、カメラ5で構成する撮像装置において、オンラインで逐次、炉頂装入部の撮像を実施し、中心ガス流4を含む炉頂装入部内を所定の時間レートで連続的に撮像して、得られた画像の映像信号を出力する(図6の処理S100)。
【0075】
続いて、A/D変換部8において、S100で撮像された炉頂装入部の映像信号をディジタル信号に変換して、逐次画像データとして取り込む(図6の処理S101)。
【0076】
続いて、画像処理部9において、A/D変換部8から出力された炉頂装入部の画像データに対して、逐次、撮像画像の領域を予め設定した大きさの領域に分割して、各分割領域についてそれぞれ輝度値の平均化処理を実施し、画像階調行列を作成する(図6の処理S102)。
【0077】
画像処理部9から出力された画像階調行列を、蓄積部10に蓄積する。図6の処理S100から処理S102までの処理を、予め決められた時間間隔で、オンラインで逐次繰り返すことにより、蓄積部10にはオフラインで前記画像階調行列が逐次継続的に蓄積される。蓄積部10で蓄積する画像階調行列は、撮像時刻に紐ついた(関連付けられた)時系列データ、すなわち前記m次元観測信号ベクトルx(t)に変換されて蓄積される(図6の処理200)。
【0078】
炉頂装入部のガス流状態を監視する上で、様々なガス流状態が撮像されていると考えられるある程度の期間、すなわち、統計的に考えて大数の法則が成立しているとみなせる撮像数が、蓄積部10に画像階調行列の時系列データとして蓄積された段階で、独立成分分析部11において、炉頂装入部のガス流状態のオンライン監視の事前処理として、蓄積した画像階調行列の時系列データに対してオフラインで独立成分分析を実施し、分離行列Wと基底画像階調行列Bを生成する(図6の処理201)。
【0079】
続いて、操業監視部12は、赤外線カメラ5の撮像タイミングに合わせて逐次A/D変換部8が出力する撮像画像の画像階調行列に対して、逐次前記分離行列Wを乗じる処理を繰り返すことによって、復元信号ベクトルy(t)の時系列データを生成する(図6の処理S103)。
【0080】
続いて、表示部14では、図5のように復元信号ベクトルy(t)の各要素の時系列推移、すなわち、各復元信号の値の時間変化を表示し、ガス流状態の監視を実現する(図6の処理S104、S106)。さらに記録部13は、計算の結果得られた前記復元信号y(t)を記録する(図6の処理S105)。
【0081】
本発明の実施の形態に係るガス流状態監視装置6によれば、継続的に撮像装置(カメラ5)で撮像し、上述した図6に示す処理に従って蓄積部10で蓄積した画像階調行列の時系列データに対して独立成分分析を行うことによって、炉頂装入部におけるガス流状態の撮像画像の特徴を1つの分離行列Wの係数に集約した形で効率的に抽出できる。さらに、炉頂装入部におけるガス流状態の撮像画像の特徴を抽出する際に、A/D変換された画像階調行列に分離行列Wを乗じるだけですむため、計算負荷が極めて少なく、オンラインにおける前記ガス流の状態監視方法として有用な方法である。これにより、高炉炉頂装入部等の炉頂部におけるガス流の状態を、常時、従来よりも短時間で高精度に監視することが可能となる。
【0082】
<その他の実施の形態>
前述した本実施の形態に係るガス流状態監視装置6を構成する図1の各手段、並びにガス流状態監視方法を示した図6の各工程の処理は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムを、コンピュータのCPU或いはMPUが動作させることによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0083】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記憶媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記憶媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体を用いることができる。また、この際の通信媒体としては、光ファイバ等の有線回線や無線回線などが挙げられる。
【0084】
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより本実施の形態に係るガス流状態監視装置6の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施の形態に係るガス流状態監視装置6の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全て、或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施の形態に係るガス流状態監視装置6の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0085】
また、本発明は、上記した実施の形態である高炉の炉頂装入部に限定されるものではなく、輝度画像が取得可能な炉頂のガス流の監視に広く適用可能である。さらに、時間的に外見が変化する物体を状態監視するために、当該物体の輝度画像を取得することによって、本発明が適用できることがある。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態に係る炉頂部のガス流状態監視装置における概略構成を高炉設備及び操業時の高炉内の様子の概略と共に示すブロック図である。
【図2】A/D変換部によって得られた画像データの一例を示す写真である。
【図3】図2に示す各画像データを平均化処理(画像処理)した例を示す写真である。
【図4】3つの画像階調行列の要素を輝度値化し、単一の256階調で画像データ化した各画像階調行列とその等値線分布を示す写真及び模式図である。
【図5】復元信号ベクトルy(t)の各要素の時系列推移を示す特性図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る炉頂部のガス流状態監視装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 高炉設備
2 炉頂堆積物
2a 鉱石層
2b コークス層
3 堆積面
4 中心ガス流
5 カメラ
6 ガス流状態監視装置
7 設定・操作入力部
8 A/D変換部
9 画像処理部
10 蓄積部
11 独立成分分析部
12 操業監視部
13 記録部
14 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視方法であって、
前記炉頂部の前記撮像により得られた映像信号をディジタル信号化して、時系列の画像データを取得し、
前記画像データのそれぞれに所定の画像処理を施して、当該画像データ内の各画素位置の輝度値に基づく画像階調行列の時系列データを導出し、
予め、前記画像階調行列の時系列データを基に、独立成分分析を用いて独立成分信号に対応する基準画像に関する情報を取得しておき、
その後、逐次出力される前記画像階調行列の時系列データに対して、前記基準画像に関する情報に基づいて前記独立成分信号の時系列推移を評価することを特徴とする炉頂部のガス流状態監視方法。
【請求項2】
炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視方法であって、
前記炉頂部を撮像して前記映像信号を出力する撮像工程と、
前記映像信号に対してA/D変換を実施して、所定の時間レートで画像データを出力するA/D変換工程と、
前記画像データを予め設定した大きさの複数の画像領域に分割し、分割した各画像領域の輝度値を平均化して配列した画像階調行列の時系列データを算出して出力する画像処理工程と、
前記画像階調行列の時系列データを蓄積する蓄積工程と、
予め、前記蓄積された画像階調行列の時系列データに対し、独立成分分析を用いて分離行列を導出する独立成分分析工程と、
前記画像処理工程から逐次出力される画像階調行列に対し、前記独立成分分析工程で予め導出した分離行列を乗じることで前記画像階調行列の独立成分信号を逐次計算し、当該独立成分信号の時系列推移を評価してガス流の状態を監視する操業監視工程と、
前記操業監視工程で評価した前記ガス流状態の監視結果を表示する表示工程又は前記操業監視工程が出力する前記独立成分信号の時系列推移を記録する記録工程と
を有することを特徴とする炉頂部のガス流状態監視方法。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記炉頂部に発生する炉内ガス流の輝度分布を検出可能な波長を撮像波長とするカメラであることを特徴とする請求項2に記載の炉頂部のガス流状態監視方法。
【請求項4】
前記炉頂部は、高炉の炉頂装入部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炉頂部のガス流状態監視方法。
【請求項5】
炉頂部のガス流のある領域を、所定の撮像レートで連続して撮像装置で撮像し、当該撮像により得られた画像の映像信号に基づいて前記ガス流の状態を監視する炉頂部のガス流状態監視装置であって、
前記炉頂部を撮像して前記映像信号を出力する撮像手段と、
前記映像信号に対してA/D変換を実施して、所定の時間レートで画像データを出力するA/D変換手段と、
前記画像データを予め設定した大きさの複数の画像領域に分割し、分割した各画像領域の輝度値を平均化して配列した画像階調行列の時系列データを算出して出力する画像処理手段と、
前記画像階調行列の時系列データを蓄積する蓄積手段と、
予め、前記蓄積された画像階調行列の時系列データに対し、独立成分分析を用いて分離行列を導出する独立成分分析手段と、
前記画像処理手段から逐次出力される画像階調行列に対し、前記独立成分分析手段で予め導出した分離行列を乗じることで前記画像階調行列の独立成分信号を逐次計算し、当該独立成分信号の時系列推移を評価してガス流の状態を監視する操業監視手段と、
前記操業監視手段で評価した前記ガス流状態の監視結果を表示する表示手段又は前記操業監視手段が出力する前記独立成分信号の時系列推移を記録する記録手段と
を有することを特徴とする炉頂部のガス流状態監視装置。
【請求項6】
前記炉頂部は、高炉の炉頂装入部であることを特徴とする請求項5に記載の炉頂部のガス流状態監視装置。
【請求項7】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の炉頂部のガス流状態監視方法における各工程の処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−163381(P2008−163381A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353092(P2006−353092)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】