説明

炊飯器およびしゃもじ保持部品

【課題】コードリールの取付け構造としてコード長さの短縮や組込み工数の削減を図り、組立性に優れた炊飯器を提供する。
【解決手段】コードリール11を係止したカバー13を、加熱基板4が保持されたケースに嵌合することで、コードリール11と加熱基板4を含むユニットケース組立19を簡単にユニット化することができる。しかも、このユニットケース組立19を本体1に挟み込むだけで、煩わしいネジを使わずに、しかも加熱基板4とコードリール11とを接続する接続コード12を最短の状態にして、コードリール11と加熱基板4を本体1に同時に組み込み固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器およびしゃもじ保持部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器において、コードリールの取付け構造は、コードリールとコードとの接続部を絶縁するカバーを鍋外周に設けた部品にネジ止めし、コードリールを本体に挟み込む方式や、前記カバーをコードリールに取り付け、カバーまたはコードリールを本体に挟み込む方式が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、炊飯器の加熱手段に用いられるヒータ線は設計パターンに沿わせ、このヒータ線を装着する部材に装着させる方法が一般的である(特許文献2)。
【0004】
さらに、炊飯器に付属品として備わるしゃもじ保持部品は、それぞれの炊飯器により特徴を有しており、炊飯器に取り付ける保持部品や、単独でしゃもじを保持する保持部品などさまざまである(特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−36112号公報
【特許文献2】特開2005−152307号公報
【特許文献3】特開2004−49369号公報
【特許文献4】特開2000−333827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の構成では、コードリールと基板は、それぞれ本体に組み込むため、コードリールと基板を接続しているコードにある程度余長が必要であった。さらに、コードリールやカバーはネジ止めや挟み込みで本体に固定されるものの、それとは別に基板を本体に固定する必要があり、組込み工数が増加する。
【0007】
また、ヒータ線の装着時に設計パターンからずれてしまうと、ヒータ線を装着する部材に温度ムラを生じる。また、ヒータ線は部材の平面部と接触するため、熱効率が良くなかった。
【0008】
さらに、従来のしゃもじ保持部品では、保持方法が決まってしまい、ユーザーの使い勝手を選択できていなかった。取り付ける細工もしゃもじ保持部品と取り付ける部材の両方に施さなければならず、コスト高となっており、単独でしゃもじを保持する場合も、しゃもじを倒さない程度の重さや大きさが必要なために高価なものとなっていた。
【0009】
そこで、本発明は、コードリールの取付け構造としてコード長さの短縮や組込み工数の削減を図り、組立性に優れた炊飯器を提供することを第1の目的とする。
【0010】
本発明の第2の目的は、ヒータ線の設計パターンからのずれを防止すると共に、ヒータ線の接触面積を増やして熱効率を向上させる炊飯器を提供することにある。
【0011】
本発明の第3の目的は、ユーザーの使い勝手に合わせたしゃもじの保持を可能とし、単純形状であることで、清掃性を向上させ衛生的で、コストの安価なしゃもじ保持部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明では、コードリールを係止したカバーを、基板が保持されたケースに嵌合することで、コードリールと基板を含む組立体を簡単にユニット化することができる。しかも、この組立体を本体に挟み込むだけで、煩わしいネジを使わずに、しかも基板とコードリールとを接続するコードを最短の状態にして、コードリールと基板を本体に同時に組み込み固定することができる。
【0013】
請求項2の発明では、本体からコードリールを保持するリブを突出させなくともコードリールの固定が可能となるので、そこに補強部材を設けることで、本体構造の強化を図ることができる。
【0014】
請求項3の発明では、ガイドとなる目印に沿わせてヒータ線を部材に装着することにより、ヒータ線の設計パターンからのずれをなくすことが可能になる。また、ヒータ線は設計パターンの長さだけ使用することができ、ヒータ線のデットストックをなくすことができる。
【0015】
請求項4の発明では、溝に接してヒータ線を装着することにより、ヒータ線の設計パターンからのずれをなくすことが可能にとなる共に、部材に対するヒータ線の接触面積を増やすことが可能となる。
【0016】
請求項5の発明では、凸部に接してヒータ線を装着することにより、ヒータ線の設計パターンからのずれをなくすことが可能にとなると共に、部材に対するヒータ線の接触面積を増やすことが可能となる。
【0017】
請求項6の発明では、しゃもじを本体に保持させたときに、しゃもじの付着物が底から落下し、付着物の蓄積をなくすことが可能となる。またこれは、底を有さない筒形状に本体を形成するだけのものなので、容易な製作により安価に実現が可能である。さらに引掛け部を利用して、しゃもじ保持部品を各部に設置することができ、使い勝手が向上する。
【0018】
請求項7の発明では、しゃもじ保持部品を天地どちらの方向にしても、しゃもじを保持することが可能となり、しゃもじ保持部品としての機能の多様化を図ることができる。
【0019】
請求項8の発明では、本体の辺でしゃもじを支えることができ、辺がしゃもじの回り止めとなって、しゃもじを安定して保持できると共に、しゃもじを保持する本体が複数となり、複数のしゃもじを保持することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、コードリールの取付け構造としてコード長さの短縮や組込み工数の削減を図り、組立性に優れた炊飯器を提供できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、さらに本体構造の強化を図ることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、ヒータ線の設計パターンからのずれをなくすことができ、またヒータ線のデットストックをなくすことが可能になる。
【0023】
請求項4,5の発明によれば、ヒータ線の設計パターンからのずれをなくすと共に、ヒータ線の接触面積の増加によって熱効率を向上させることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、ユーザーの使い勝手に合わせたしゃもじの保持を可能とし、単純形状であることで、清掃性を向上させ衛生的で、コストの安価なしゃもじ保持部品を提供できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、ユーザーの使い勝手に合わせたしゃもじの保持が可能となる。
【0026】
請求項8の発明によれば、しゃもじを安定して保持できると共に、複数のしゃもじを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例を示す炊飯器の要部断面斜視図である。
【図2】同上、要部の側面断面図である。
【図3】同上、要部の平面断面図である。
【図4】同上、ユニットケースのコードリール取付け部の部分拡大図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す放熱板の組立断面図である。
【図6】同上、別な変形例を示す放熱板の組立断面図である。
【図7A】本発明の第3実施例を示すしゃもじ保持部品の平面図である。
【図7B】同上、しゃもじ保持部品の側面図である。
【図7C】同上、しゃもじ保持部品の底面図である。
【図8】同上、しゃもじ保持部品を取り付けた炊飯器の正面図である。
【図9】同上、しゃもじ保持部品を取り付けた炊飯器の上面図である。
【図10】同上、本体を複数備えたしゃもじ保持部品の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における炊飯器の好ましい各実施例について説明する。
【実施例1】
【0029】
図1〜4は、本発明で提案する好ましい炊飯器の第1実施例を示すものである。この炊飯器は上面が開口した本体1と、本体1に着脱自在に収納される有底筒状の鍋2と、鍋2を電磁誘導加熱するための誘導コイルなどの加熱手段3と、本体1内に配置した加熱手段3を制御する加熱基板4とを備えている。本体1は、前記鍋2を支える上枠5と、この上枠5の下面開口を塞ぐ底板6とにより概ね構成され、ここでは図示しないが、鍋2の上面開口を覆う蓋体が、本体1の後側部を支点として開閉自在に設けられる。
【0030】
前記加熱基板4は本体1内において略鉛直方向に設けられており、加熱基板4の周囲には、前記上枠5と底板6にそれぞれ嵌合する複数の突起部7を設けたユニットケース10と、炊飯器の電源部である電気コード8を巻き取るコードリール11と、加熱基板4とコードリール11とを電気的に接続するための接続コード12と、コードリール11と接続コード12との接続部9を覆うカバー13がそれぞれ設けられる。この中で、電装部となるユニットケース10およびカバー13は、何れも本体1や他の部材よりも難燃性の例えば樹脂により形成され、安全性を高めている。またコードリール11は本体1の後部に設けられる加熱基板4とほぼ直交して、本体1内の一側部に沿って鉛直方向に設けられ、それにより加熱基板4とコードリール11の本体1内でのコンパクトな収納を実現している。
【0031】
容器状に形成されたカバー13には係止凹部16が設けられる一方、外形が円盤状をなすコードリール11には係止凸部17が設けられ、前記接続部9を覆うように係止凹部16と係止凸部17とを係合させて、カバー13にコードリール11が装着される。つまりコードリール11とカバー13は、係止凹部16と係止凸部17とによる雄雌形状で係止されるが、凹凸を逆にしたり、凹部に代えて溝や孔にしたりするなど、それ以外の係止構造であっても構わない。
【0032】
一方、ユニットケース10の加熱基板4に対向する壁部には、弾性変形する爪状の加熱基板保持部14が複数個突出して形成され、その加熱基板保持部14に加熱基板4の端部を嵌合させて、加熱基板4がユニットケース10に固定されるようになっている。
【0033】
カバー13は、ユニットケース10に向けて弾性変形可能な爪部15が突出して形成される。またこの爪部15に対応して、ユニットケース10には孔18が形成される。これにより、孔18に爪部15を差し込むと、爪部15の先端部が孔18を乗り越えたところで、爪部15の弾性が作用して、孔18の周辺部に爪部15の先端部が係合し、ユニットケース10とカバー13との組立てが完了するようになっている。ユニットケース10とカバー13は、嵌合部である爪部15と孔18により取付け固定されるが、それ以外の嵌合構造であっても構わない。
【0034】
上記構成において、前記コードリール11を係止したカバー13は、予め加熱基板4を固定したユニットケース10に、爪部15と孔18との嵌合によりユニットケース組立19としてユニット化される。つまり、ここでのユニットケース組立19は、加熱基板4と、ユニットケース10と、コードリール11と、接続コード12と、カバー13とを一体化したものである。本体1に組み込む前のユニットケース組立19において、加熱基板4とコードリール11とを接続する接続コード12は、爪部15と孔部18との嵌合が支障なく行なえる程度の最小限の長さがあればよい。ユニットケース組立19は、ユニットケース10の突起部7を、本体1の上枠5と底板6にそれぞれ嵌合することで、これらの上枠5と底板6との間に挟み込まれるようになっている。
【0035】
こうして本体1に組み込まれたユニットケース組立19に対し、加熱基板4の上方に位置して、コードリール11の固定とは干渉せずに、本体1の上枠5に金属製の補強部材20が設けられる。補強部材20は、本体1を補強できるものならば、どのような材質および形状であっても構わない。
【0036】
組立てが完了した炊飯器は、コードリール11から所定の長さに電源コード8を延ばして、その位置で停止させ、電源コード8の先端部にある電源プラグを図示しないコンセントに差し込むと、電源コード8から接続コード12を介して加熱基板4に電力が供給される。ここで、操作パネル(図示せず)の開始スイッチを押すと、加熱基板4から加熱手段3に高周波電流が供給され、加熱手段3からの交番磁界により鍋2が電磁誘導加熱されることで、鍋2内に収容した被調理物が炊飯または保温される。また、炊飯器を使用しない場合には、コンセントから電源プラグを外し、そこから電源コード8を少し延ばすと、コードリール11内の付勢手段(図示せず)により、電源コード8が自動的に巻き取られるようになっている
以上の構成にすることにより、コードリール11と加熱基板4を接続している接続コード12に、ある程度必要とされていた余長が、ユニットケース組立19によるユニット化によって短縮することができる。また、カバー13とコードリール11は雄雌形状により係止し、カバー13とユニットケース10は爪部15と孔18との嵌合で組み込まれるため、ネジ止めが不要となり、組込み工数を削減することができ、安価で安全かつコンパクトな構造とすることができる。さらに、上枠5からコードリール11を保持するリブを出さなくてもコードリール11の固定が可能となるので、そのリブを無くした部分に例えば金属製の補強部材20を設けることが可能になる。
【0037】
以上のように本実施例では、本体1と、本体1に収納される鍋2と、鍋2を加熱するための加熱手段3と、本体1内に配置した基板としての加熱基板4を備えた炊飯器において、加熱基板4を保持する保持部としての加熱基板保持部14を有し、且つ本体1に嵌合する突起部7を設けており、しかも難燃性材料により形成されたケースとしてのユニットケース10と、本体1内部に給電する電源コード8を巻き取るコードリール11と、加熱基板4とコードリール11に接続するコードとしての接続コード12と、コードリール11と接続コード12との接続部9を覆う難燃性材料により形成されたカバー13とを有している。そして、カバー13とコードリール11が係止され、このコードリール11を係止した状態のカバー13をユニットケース10に嵌合して組立体としてのユニットケース組立19を構成し、ユニットケース組立19を本体1の好ましくは上枠5と底板6との間に挟み込む構造としている。
【0038】
この場合、コードリール11を係止したカバー13を、加熱基板4が保持されたケースに嵌合することで、コードリール11と加熱基板4を含むユニットケース組立19を簡単にユニット化することができる。しかも、このユニットケース組立19を本体1に挟み込むだけで、煩わしいネジを使わずに、しかも加熱基板4とコードリール11とを接続する接続コード12を最短の状態にして、コードリール11と加熱基板4を本体1に同時に組み込み固定することができる。その結果、コードリール11の取付け構造として、接続コード12の長さの短縮や組込み工数の削減を図り、組立性に優れた炊飯器を提供できる。
【0039】
また上記構成において、本実施例ではさらに本体1の上枠5に補強部材20を設けている。こうすると、本体1からコードリール11を保持するリブを突出させなくともコードリール11の固定が可能となるので、そこに補強部材20を設けることで、本体構造の強化を図ることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明で提案する好ましい炊飯器の第2実施例を、図5および図6の各添付図面に基づいて説明する。なお、前記第1実施例と共通する構成については、共通する符号を付して説明するが、本実施例を第1実施例と組み合わせて構成してもよい。
【0041】
本実施例は、炊飯器に用いるヒータ線の設計パターンについてのもので、ここで言うヒータ線とは、鍋を加熱する加熱手段として、例えば炊飯器の蓋体を加熱する蓋ヒータなどとして用いられる。また、ヒータ線21は外周を電気絶縁した電熱式ヒータであり、熱伝導性の良い材料からなる例えば放熱板に熱的に接続して使用するものである。
【0042】
具体的な例を図5で説明すると、21は断面が略円形のヒータ線、22はヒータ線21を放熱板23に固定するためのアルミニウム箔である。放熱板23は、第1実施例で示した鍋2の上面開口を覆う蓋体(図示せず)の下面を形成するもので、ヒータ線21を装着する部材に相当する。アルミニウム箔22は、ヒータ線21が露出することにより、ヒータ線21から放熱板23の反対側に熱放射するのを防ぐために設けられており、アルミニウム以外の熱伝導性の良好な金属箔で形成してもよい。
【0043】
前記放熱板23の表面には、ヒータ線21を配置する設計パターンの一部または全部に対して、その設計パターンを示す目印となるヒータ線溝24が形成される。図5では、ヒータ線21の断面が略円形となっており、この形状に沿うようなU字円弧形状の内面を有するヒータ線溝24を設けているが、このような形状に限られず、例えばV字形や略四角形としてもよい。しかし、好適にはヒータ線21の断面形状と一致するような内面形状とする。
【0044】
なお、設計パターンを示す目印として、例えば模様をプリントする等によって形成してもよく、その場合は放熱板23の形状には変更を加えずに目印を形成することができる。
【0045】
上記構成においては、ヒータ線溝24にヒータ線21を嵌合し、ヒータ線21の上からアルミニウム箔22を被せて、アルミニウム箔22の両端を放熱板23の平坦な上面に貼着する。その際、ヒータ線21の設計パターンに対応して目印となるヒータ線溝24があるため、ヒータ線溝24に沿ってヒータ線21を装着して行けば、自ずとヒータ線21を設計パターンからずれなく配置することが可能になる。したがって従来のように、ヒータ線21の装着位置が設計パターンからずれて、ヒータ線21により加熱される放熱板23が温度ムラを起こすような不具合も解消する。また、ヒータ線21は作業者が貼着側(放熱板23)に設計の長さだけ使用することで、ヒータ線21のデットストックをなくすことできる。さらに、ヒータ線21をヒータ線溝24に沿わせて設けることで、ヒータ線21と放熱板23との接触面積を増やし、熱効率を向上させることができる。
【0046】
以上のように本実施例では、鍋2と、鍋2を加熱するための加熱手段とを備え、加熱手段としてヒータ線21を用いた炊飯器において、ヒータ線21を装着する部材である放熱板23に、そのヒータ線21の設計パターンを示す目印として、例えばヒータ線溝24を設けている。
【0047】
この場合、ガイドとなる目印に沿わせてヒータ線21を放熱板23に装着することにより、ヒータ線21の設計パターンからのずれをなくすことが可能になる。また、ヒータ線21は設計パターンの長さだけ使用することができ、ヒータ線21のデットストックをなくすことができる。
【0048】
また、特に図5に示す例では、目印として設計パターンの一部あるいは全てに溝としてのヒータ線溝24を設けている。すなわち、ヒータ線溝24に接してヒータ線21を装着することにより、ヒータ線21の設計パターンからのずれをなくすことが可能にとなる共に、放熱板23に対するヒータ線21の接触面積を増やすことが可能となる。
【0049】
図6は第2実施例の別な変形例を示しており、前記ヒータ線溝24の代わりに設計パターンの一部または全部に対して放熱板23に凸部25を設けており、この凸部25にヒータ線21を接するように沿わせて上からアルミニウム箔22で貼着している。ここでの凸部25は、放熱板23の平坦な上面から突き出すような形状を示しており、図6のように、ヒータ線21の略円形の断面の弧に沿うような曲面を有する略三角形状の他に、略四角形状、略円形状などのヒータ線21が固定しやすい形状であれば良い。また、凸部25は1本のヒータ線21に対して一個でも良いし、ヒータ線21の側面を両側から支持するように2個形成しても良い。しかし、好適には可能な限りヒータ線21の外周と一致するようなガイド形状とする。さらに、凸部25は、点状に配置して多数箇所に設けても良いが、好適には、ヒータ線21を配置すべき設計パターンの一部または全部に対して連続的に設ける。
【0050】
上記構成においては、凸部25に接するようにヒータ線21を配置し、ヒータ線21の上からアルミニウム箔22を被せて、アルミニウム箔22の両端を放熱板23の平坦な上面に貼着する。その際、ヒータ線21の設計パターンに対応して目印となる凸部25あるため、凸部25に沿ってヒータ線21を装着して行けば、自ずとヒータ線21を設計パターンからずれなく配置することが可能になる。したがって従来のように、ヒータ線21の装着位置が設計パターンからずれて、ヒータ線21により加熱される放熱板23が温度ムラを起こすような不具合も解消する。また、ヒータ線21は作業者が貼着側(放熱板23)に設計の長さだけ使用することで、ヒータ線21のデットストックをなくすことできる。さらに、ヒータ線21を凸部25に沿わせることにより、ヒータ線21と放熱板23との接触面積を増やし、熱効率を向上させることができる。
【0051】
以上のように本変形例では、ヒータ線21を装着する部材であるヒータ線21の設計パターンを示す目印として放熱板23に凸部25を設けており、当該凸部25は設計パターンの一部あるいは全てに設けられている。すなわち、凸部25に接してヒータ線21を装着することにより、ヒータ線21の設計パターンからのずれをなくすことが可能にとなると共に、放熱板23に対するヒータ線21の接触面積を増やすことが可能となる。
【0052】
なお、ヒータ線21の設計パターンを示す目印は、上記図5のヒータ線溝24や図6の凸部25に限定されるものではなく、これらを共通する放熱板23に組み合わせて構成しても良い。
【実施例3】
【0053】
次に、本発明で提案する好ましい炊飯器の第3実施例を、図7〜図10の各添付図面に基づいて説明する。なお、前記第1実施例や第2実施例と共通する構成については、共通する符号を付して説明するが、本実施例を第1実施例や第2実施例と組み合わせて構成してもよい。
【0054】
図7A〜図7Cは、本発明の炊き上がったご飯をすくい、盛り付けるしゃもじを保持するしゃもじ保持部品30を示している。しゃもじ保持部品30は、断面が逆L字形で少なくとも1ヶ所以上の引掛け部31と、底を有さない筒形状をなす本体32とにより構成され、本体32は、貫通孔36を有する筒状の胴部37と、胴部37の上端に形成され、前記引掛け部31の上部に連なるフランジ状の縁部38とからなり、後述するしゃもじ40の柄部43を貫通孔36に挿入する構成となっている。胴部37は、引掛け部31が連結する上部から、引掛け部31が連結しない下部にかけて、貫通孔36の大きさ(径)が次第に小さくなる円錐形状を有している。
【0055】
図8は本発明のしゃもじ保持部品30の2つの使用例と、そのしゃもじ保持部品30に対応する炊飯器の構造を示している。同図において、炊飯器の本体1を構成する底板6の側面には、前記引掛け部31の先端部が挿入可能な溝33を設けている。ここでの溝33は、本体1を載置する床面Sに対向して開口され、しゃもじ保持部品30を図7Bに示す状態から上下逆さにして、引掛け部31の先端部を上向きにしてしゃもじ保持部品30を床面S上に置いた場合に、当該引掛け部31の先端部が溝33に取付けられ、しゃもじ保持部品30の倒れ防止として作用するようになっている。
【0056】
図8に示す炊飯器は、炊飯器を手で持ち上げて運ぶためのハンドル51が設けられる。このハンドル51は、本体1の両側面上部に回動自在に設けた一対の回転部52と、それぞれの回転部52から本体1の側面に沿って延びる腕部53と、左右の腕部53の先端部どうしを連結する把持部54とにより構成され、回転部52を中心として、手で握ることができる把持部54が本体1の前後方向に揺動するようになっている。なお、55は本体の上部に設けた開閉自在な蓋体、56は蓋体55の上面部に設けた操作パネルである。
【0057】
ここでは引掛け部31の先端部を下にして、腕部53と本体1の側面部との間に引掛け部31の先端部を挿入することにより、しゃもじ保持部品30が本体1の上部に取付けられるようになっている。本体1へのしゃもじ保持部品30の取付けを可能にするために、引掛け部31の先端部と胴部37と間に設けた隙間が、ハンドル51を構成する腕部53の横幅より少しだけ大きく設計される。
【0058】
一方、しゃもじ保持部品30に保持されるしゃもじ40は、主にご飯などの調理物をすくう偏平状の掬い部41と、この掬い部41よりも幅狭で且つ長く、手で握るのに好適な形状の柄部43と、掬い部41と柄部43との間を連結する首部42とにより構成される。
【0059】
前記しゃもじ保持部品30の貫通孔36は、しゃもじ40の柄部43を挿入可能にするものの、しゃもじ40の掬い部41は挿入できないような形状に形成される。また、しゃもじ保持部品30の縁部38及び引掛け部31の上面は、しゃもじ保持部品30をひっくり返して床面Sに置いた場合に、しゃもじ保持部品30が倒れないように水平の形状とする。
【0060】
以上の構成におけるしゃもじ保持部品30の第1使用例は、図8の左側に示されている。しゃもじ保持部品30の引掛け部31は筒状の側部37との間にハンドル51の腕部53の横幅より少しだけ大きく設計された隙間があり、その隙間を腕部53に引掛けて、しゃもじ保持部品30を本体1に取り付ける。ここで、しゃもじ40の柄部43を下向きにして、本体1の側面のハンドル51に引掛けたしゃもじ保持部品30の貫通孔36にしゃもじ40を挿入すると、貫通孔36の直径がしゃもじの掬い部41の幅より小さいために、しゃもじ保持部品30の縁部38にしゃもじ40の首部42が引っ掛かって、しゃもじ40がその位置に保持される。なお、しゃもじ保持部品30は底を有さない筒形状をなしているため、しゃもじ40の柄部43の先端側の一部分が貫通孔36の下側から飛び出した状態で保持されると共に、しゃもじ40の付着物は、底のない本体32から床面Sへと自然に落下する。したがって本体32に異物が残らず、しゃもじ保持部品30を清潔に保つことができる。
【0061】
第2使用例は図8の右側に示されている。図7Bに示す状態から、しゃもじ保持部品30の上下をひっくり返して、引掛け部31の先端部を本体1の底板6に設けられた溝33に嵌合して取付けることによって、しゃもじ保持部品30が倒れないように床置き取付けすることができる。そして、柄部43を下向きにしたしゃもじ40をそのしゃもじ保持部品30の貫通孔36に挿入すると、しゃもじ40の柄部43の先端が床面Sに接触すると共に、しゃもじ保持部品30の側部37に立て掛けるように接触することでしゃもじ40が保持される。そしてこの場合も、しゃもじ40の付着物は、底のない本体32から床面Sへと自然に落下するので、本体32に異物が残らず、しゃもじ保持部品30を清潔に保つことができる。
【0062】
なお、本発明のしゃもじ保持部品30は第2使用例のように床置き取付けに限定されるものではなく、底板32の溝33に引掛けて床面Sから浮かせるような構成にしても良い。また、しゃもじ保持部品30の縁部38及び引掛け部31の上面を水平な平面形状とし、本体1に溝33がなくてもしゃもじ保持部品30をひっくり返して置いた場合に自立するように構成しても良い。さらに、溝33やハンドル51以外の受部を、炊飯器または炊飯器以外の部材に設け、その受部に引掛け部31を係止して、しゃもじ保持部品30を任意の位置に保持することも可能である。
【0063】
図10は、しゃもじ保持部品30の別な例を示したものである。同図において、本体32は底を有さない筒形状で、隣同士を複数つなげた形状(ダルマ形、ぶどう形)とした構成となっている。図10の変形例では、しゃもじ保持部品30は1つの引掛け部31に対してしゃもじ40を保持する本体32を3つ設けてある。それぞれの本体32は同一形状であっても、また実施例のように様々な形状のしゃもじ40を保持できるように、異なる形状としてもよい。しゃもじ40の保持方法及びしゃもじ保持部品30の取付け方法は、上述の第1使用例や第2使用例と同様である。なお、本体32は3つに限られない。また、引掛け部31は図10のように、本体32が複数並んでいる方向に並べて、端にある本体32の側部に設けても良いし、中央にある本体32に設けても良い。
【0064】
なお、上記実施例では本体32の側部37内面を円錐状に形成しているが、このような円錐状に限定されるものではなく、複数の直線状の辺を繋ぎ合わせた側部37により、本体32を三角以上の多角錐の筒形状に形成しても良い。
【0065】
上記の図7A〜図7Cの構成では、しゃもじ保持部品30の本体32として底を有さない形状にすることにより、しゃもじ40の付着物としてのゴミ等の蓄積をなくして、清掃性を向上させ、衛生的にすることができる。また、しゃもじ保持部品30自体は、単純な筒形状であることにより、製作しやすく安価にすることができる。また、引掛け部31を1ヶ所以上設けることで、しゃもじ保持部品30自体の安定化が図れ、しゃもじ保持部品30を小型化できる。
【0066】
また、図8に示すように、しゃもじ保持部品30は天地両方向での使用が可能となり、ユーザーの使い勝手に合わせた保持方法が選択可能となることから、機能を多様化できる。
【0067】
さらに、側部37を複数の辺で構成し、本体31を円筒状ではなく角筒状にすることで、その側部37の片がしゃもじ40に当たって回り止めとなり、安定した保持が可能となる。また、しゃもじ保持部品30の本体32は、底を有さない筒形状を隣どうして複数つなげた形状(ダルマ形、ぶどう形)にすることで、しゃもじ40の保持部分が複数となり、保持できるしゃもじ40の数を増やすことができる。それにより、例えば複数の本体32をそれぞれ異なる形状に設計して、保持できるしゃもじ40の種類を増やしたり、本体32を同じ形状に設計して、同一のしゃもじ40を複数個保持したりすることが可能となる。
【0068】
以上のように本実施例では、しゃもじ40を保持するための本体32を有するしゃもじ保持部品30において、本体32は底を有さない筒形状をなし、この本体32に他の部材に係合可能な引掛け部31を設けている。
【0069】
この場合、しゃもじ40を本体32に保持させたときに、しゃもじ40の付着物が底から落下し、付着物の蓄積をなくすことが可能となる。またこれは、底を有さない筒形状に本体32を形成するだけのものなので、容易な製作により安価に実現が可能である。さらに引掛け部31を利用して、しゃもじ保持部品30を各部に設置することができ、使い勝手が向上する。その結果、ユーザーの使い勝手に合わせたしゃもじ40の保持を可能とし、単純形状であることで、清掃性を向上させ衛生的で、コストの安価なしゃもじ保持部品30を提供できる。
【0070】
また、本実施例のしゃもじ保持部品30は、天地両方向でしゃもじ40を保持できるように構成されている。こうすることで、しゃもじ保持部品30を天地どちらの方向にしても、しゃもじ40を保持することが可能となり、しゃもじ保持部品30としての機能の多様化を図ることができ、ユーザーの使い勝手に合わせたしゃもじの保持が可能となる。
【0071】
また本実施例において、しゃもじ保持部品30の本体32は、側部37を複数の辺で構成して筒形状を形成し、この本体32を複数個つないで構成している。こうすることで、本体32の側部37に形成した辺でしゃもじ40を支えることができ、その辺がしゃもじ40の回り止めとなって、しゃもじ40を安定して保持できると共に、しゃもじ40を保持する本体32が複数となり、複数のしゃもじ40を保持することができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 本体
2 鍋
3 加熱手段
4 加熱基板(基板)
7 突起部
10 ユニットケース(ケース)
11 コードリール
12 接続コード(コード)
13 カバー
19 ユニットケース組立(組立体)
20 補強部材
21 ヒータ線
23 放熱板(部材)
24 ヒータ線溝(溝)
25 凸部
30 しゃもじ保持部品
31 引掛け部
32 本体
37 側部(辺)
40 しゃもじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に収納される鍋と、前記鍋を加熱するための加熱手段と、本体内に配置した基板とを備えた炊飯器において、
前記基板を保持し、前記本体に嵌合する突起部を設け、難燃性材料により形成されたケースと、
コードリールと、
前記基板と前記コードリールに接続するコードと、
前記コードリールと前記コードとの接続部を覆う難燃性材料により形成されたカバーとを有し、
前記カバーと前記コードリールが係止され、このコードリールを係止した前記カバーを前記ケースに嵌合して組立体を構成し、前記組立体を前記本体に挟み込む構造としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記本体に補強部材を設けた請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
鍋と、前記鍋を加熱するための加熱手段とを備え、前記加熱手段としてヒータ線を用いた炊飯器において、前記ヒータ線を装着する部材に当該ヒータ線の設計パターンを示す目印を設けたことを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
前記目印として、前記設計パターンの一部あるいは全てに溝を設けたことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記目印として、前記設計パターンの一部あるいは全てに凸部を設けたことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項6】
しゃもじを保持するための本体を有するしゃもじ保持部品において、
前記本体は底を有さない筒形状をなし、この本体に引掛け部を設けたことを特徴とするしゃもじ保持部品。
【請求項7】
天地両方向で前記しゃもじを保持可能であることを特徴とする請求項6記載のしゃもじ保持部品。
【請求項8】
前記本体は、複数の辺で前記筒形状を形成し、この本体を複数個つないで構成したことを特徴とする請求項6または7記載のしゃもじ保持部品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−5591(P2012−5591A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142899(P2010−142899)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】