説明

炊飯器

【課題】使用者が誤って取消操作を行った場合に取消動作を実行することがなく、一方、意図的に取消操作を行った場合には取消動作を実行する炊飯器を提供する。
【解決手段】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、炊飯器本体または蓋体に設けられた取消キーを有する入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器であり、制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程(S4〜S9ステップ)では、取消キーの長押を有効にすると共に短押を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な機能を搭載した炊飯器が市販されている。例えば、圧力をかけて炊飯する圧力式の炊飯器や、白米・玄米などの米の種類に応じた炊飯ができる所謂炊飯メニュー機能を搭載した炊飯器といった、炊飯物の種類や使用者の好みに応じて美味しく炊き上げることが可能な炊飯器が販売されている。
【0003】
又、炊飯器に関する技術も特許文献において数多く公開されており、例えば、下記特許文献1には、圧力をかけて炊飯する圧力式炊飯器が開示されている。より具体的には、この炊飯器は、被炊飯物が投入される鍋と、鍋を収容する炊飯器本体と、蓋体と、鍋内と外気とを連通或は遮断する圧力弁と、圧力弁に付設され圧力弁を閉状態から強制的に開状態にする圧力弁開放機構と、加熱手段の加熱量を制御するとともに圧力弁開放機構による圧力弁の開閉動作の制御を行う制御手段とを備えている。この特許文献1に記載の炊飯器では、「白米・標準(ふつう)コース」で炊飯する場合、炊飯工程を吸水工程、立上工程、沸騰維持工程、むらし工程1、追炊き工程、むらし工程2、を順次実行することによりご飯を炊きあげることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−75654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の炊飯器では、ご飯をおいしく炊き上げるために炊飯工程を複数に区分し、炊飯器の制御回路が各区分で異なる制御を行っている。しかし、特許文献1に記載の炊飯器や、量販店等で市販されている一般的な炊飯器では、炊飯工程実行中に使用者が誤って取消操作を行った場合には、次のような問題が生じる。
【0006】
例えば、炊飯工程の途中で炊飯が取り消されると、炊飯物が生煮えの状態で炊飯動作が終了されるが、この場合、再度炊飯を開始しても、炊飯器の温度が高い場合には直ちに炊飯を開始することができず、炊飯器の温度が下がるまで待つ必要がある。又、生煮えの状態で再度最初から炊飯動作を実行すると、炊き上がった御飯の味が落ちるといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決すべく使用者が誤って取消操作を行った場合にはその取消操作を受け付けず、使用者が意図的に取消操作を行った場合にその取消操作を受け付けるものである。すなわち、本発明の目的は、使用者の誤操作を可能な限り防止すると共に使用者にとって真に取消操作を必要とする場合には確実に取消動作を実行することが可能な炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、前記入力手段は取消キーを有し、前記制御手段は、炊飯開始から炊飯終了までの間に、前記取消キーが所定時間以上連続して押下があると判定すると前記取消キーの操作に対応する動作を実行するように制御することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であり、前記制御手段は、前記炊飯開始から炊飯終了までの期間を除く期間では、前記取消キーが所定時間未満押下されたと判定すると、前記取消キーの操作に対応する動作を実行するように制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、前記入力手段は取消キーを有し、前記制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、前記取消キーの長押を有効にすると共に短押を無効にすることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の炊飯器であり、前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押及び短押を有効にすることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、前記入力手段は取消キーを有し、前記制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、前記取消キーの長押及び短押を無効にすることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の炊飯器であり、前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押を有効にすることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の炊飯器であり、前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押及び短押を有効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、炊飯中または炊飯工程のうちの一部の間は、使用者が誤って取消操作を操作しても炊飯動作が中止されることがないため、炊飯途中に再度最初から炊飯動作に入り、その結果美味しくない御飯が炊き上がってしまうといった問題を回避することが可能である。
【0016】
請求項1に記載の発明によると、制御手段が、炊飯開始から炊飯終了までの間に、取消キーが所定時間以上連続して押下があると判定すると取消キーの操作に対応する動作を実行するように制御する為、炊飯中に使用者が誤って取消キーに触れても炊飯動作が中止されることがない。
【0017】
請求項2に記載の発明によると、制御手段は、炊飯開始から炊飯終了までの期間を除く期間では、取消キーが所定時間未満押下されたと判定すると、取消キーの操作に対応する動作を実行する為、取消キーが誤って操作されても問題がない期間においては取消キーの操作を有効にし、利便性を向上させている。
【0018】
請求項3に記載の発明によると、制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、取消キーの長押を有効にすると共に短押を無効にしている。この為、炊飯中に使用者が誤って取消キーに触れても炊飯動作が中止されず、その一方で、長押を有効にしているため、使用者が炊飯動作を中止させたい場合には確実に炊飯動作を中止させることが可能である。
【0019】
請求項4に記載の発明によると、特定の工程を除いた工程では、制御手段は、取消キーの長押及び短押を有効にしている。このため、取消キーが誤って操作されても問題がない期間においては取消キーの操作を有効にし、利便性を向上させている。
【0020】
請求項5に記載の発明によると、制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、取消キーの長押及び短押を無効にしている。この為、炊飯中に使用者が誤って取消キーに触れても炊飯動作が中止されず、又、子供がいたずらで取消キーを操作しても炊飯動作が中止されることがない。
【0021】
請求項6に記載の発明によると、特定の工程を除いた工程では、制御手段は、取消キーの長押を有効にしている。このため、取消キーが誤って操作されても問題がない期間においては取消キーの長押操作を有効にし、利便性を向上させている。
【0022】
請求項7に記載の発明によると、特定の工程を除いた工程では、制御手段は、取消キーの長押及び短押を有効にしている。このため、取消キーが誤って操作されても問題がない期間においては取消キーの操作を有効にし、利便性を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置である炊飯器の正面図である。
【図2】図1の炊飯器の縦断面図である。
【図3】本実施例装置のブロック図である。
【図4】本実施例装置の炊飯工程での鍋内の温度変化を示した特性図である。
【図5】第1実施例装置の動作を示すフローチャート図である。
【図6】第2実施例装置の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための炊飯器を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0025】
次に、本発明を適用してなる実施例装置である炊飯器について以下に説明する。図1は、本発明の実施例に係る炊飯器の正面図である。図2は、本発明の実施例に係る炊飯器の断面図であり、図2中左側が正面である。図3は、本発明の実施例に係る炊飯器のブロック図であり、図4は本発明の実施例に係る炊飯器の特性図である。又、図5は本発明を適用してなる実施例装置の第1実施例装置の動作を示すフロー図であり、図6は第2実施例装置の動作を示すフロー図である。
【0026】
まず、本発明を適用してなる実施例装置の第1実施例について以下に説明する。図1及び図2を用いて本実施例装置である炊飯器の構造について以下に説明する。
【0027】
炊飯器1は、炊飯器本体(以下「本体」という)2と本体2を覆う開閉自在の蓋体3とで構成される。本体2には、被炊飯物である米及び水が投入される深底の容器からなる鍋4と、上方にこの鍋4が収容される開口部及び内部にこの鍋4を加熱して被炊飯物を加熱する加熱手段5を有しており、さらに炊飯を制御する制御部40(図2中では図示省略)と、炊飯メニューを操作する操作部6と、操作された炊飯メニューや、時刻を表示する表示部7が正面側に設けてある。
【0028】
操作部6は、炊飯スタート/保温ボタン8、炊飯メニュー選択ボタン9、炊飯予約ボタン10、取消ボタン11、十字キー12よりなり、これらの操作ボタンを操作して、使用者の好みのメニューで炊飯を行うように設定することができる。
【0029】
本体2は、有底箱状の外部ケース13と、この外部ケース13に収容される収納ケース14とからなり、外部ケース13と収納ケース14との間に隙間が形成され、この隙間に制御部(図示せず)が配設されている。収納ケース14には鍋4が収容される。この鍋4は、例えばアルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。また、この収納ケース14は、側壁上面にある鉄よりなる上ケース15と、側壁下面から底壁にかけて設けた耐熱性樹脂からなる下ケース16より構成されており、その上ケース15及び下ケース16に対向してそれぞれ側面ヒータ17及び加熱コイル18が設けられ、収納ケース14底部に鍋底温度を検知するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ19が設けられている。
【0030】
蓋体3は、一側をヒンジにより本体2に枢着した着脱自在の内蓋20と、外方を覆う外蓋21とで構成されている。また、蓋体3には、線ヒータよりなる蓋ヒータ22、圧力弁23、圧力弁開放機構24、安全弁25、負圧弁(図示省略)、蒸気通路26、圧力弁から導入される蒸気の温度を検知する蒸気温度センサ27が設けられている。
【0031】
圧力弁23は、金属製の調圧ボール31と、台座32、カバー33からなり、圧力弁開放機構24は、調圧ボール31を強制的に移動させるソレノイドからなり、電磁コイルが巻回されたシリンダ34と、このシリンダ34内を電磁コイルの励磁により移動させるプランジャ35と作動棹、バネで構成されている。
圧力弁23の台座32は中心に孔36が開けられており、鍋4内の加圧時は調圧ボール31が自重により台座32の真ん中に収まり、孔36を塞いで安定するように設計されている。調圧ボール31が孔36を塞いでいるときは、鍋4と内蓋20とは、内蓋20の周囲に取り付けられているパッキン37と圧力弁23の調圧ボール31とで密閉されている。プランジャ35は、制御部により制御されて密閉状態を解除する際に調圧ボール31を台座32の孔36の上から押しのける。
【0032】
また、蓋体3には、鍋4内の蒸気圧が所定圧力以上の異常圧力に上昇したときに、鍋4内の圧力を外部に逃がす安全弁25が設けられている。また、この蓋体3の蒸気通路26には、圧力弁23よりも噴出口側の位置に、温度センサである蒸気温度センサ27が取り付けられている。
【0033】
38はおねばタンクで、蓋体3の上方に蒸気通路と連通して着脱自在に設けられ、炊飯時に発生するおねばを貯留する。そのため、おねばタンク38の内部は蒸気とおねばとを分離させるために上下から分離構造を設けた多層構造となっており、噴出口39からは蒸気のみがでるようになっている。
【0034】
次に、本実施例装置の各回路構成について図3のブロック図を用いて説明する。
【0035】
制御部40は各回路の制御を司り、例えば半導体マイクロプロセッサからなり、先ほど説明した加熱コイル18、上蓋ヒータ、側面ヒータ17、ソレノイド、表示部7、温度センサ19等が接続されている。
【0036】
操作部6は、炊飯スタート/保温ボタン8、炊飯メニュー選択ボタン9、炊飯予約ボタン10、取消ボタン11、十字キー12よりなり、これらの操作ボタンを操作して、使用者の好みのメニューで炊飯を行うように設定することができる。
【0037】
次に、第1実施例装置の動作について図4及び図5を用いて以下に説明する。
【0038】
図4に示すように本実施例装置の炊飯工程は、鍋4内の被炊飯物に水を吸わせる吸水工程Iと、この吸水した被炊飯物を急激に加熱する加熱工程IIと、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰工程IIIと、この沸騰工程III後に被炊飯物を所定時間蒸らす蒸らし工程IVとに分けられる。
【0039】
次により具体的な動作について図5を用いて以下に説明する。まず、使用者が炊飯開始操作を行うと、S1ステップにおいて吸水工程Iが始まる。尚、吸水工程I(S1〜S3ステップ)では、制御部40は、吸水温度を所定の温度、例えば60℃前後の温度に一定時間、例えば15分間維持し、米が水を吸いやすい温度に制御する。なお、この吸水工程Iでは、圧力弁23は開放されている。制御部40は、この吸水工程I中に取消ボタンが押下されたと判定すると炊飯動作を終了させる。
【0040】
S2ステップでは、制御部40は、取消操作を有効な状態にする。即ち、取消ボタン11が押下されると炊飯動作を途中で停止可能な状態にする。尚、ここで言う取消ボタン11の押下とは、短い時間(例えば1秒未満)の押下操作(所謂、短押)も、長い時間(例えば1秒以上)の押下操作(所謂、長押)どちらをも指すものとする。
【0041】
S3ステップでは、制御部40は、取消ボタン11が押下されたと判定すると炊飯動作を終了し、そうでなければS4ステップへ処理を進める。
【0042】
S4ステップでは、制御部40は吸水工程Iが終了すると、加熱工程II(S4〜S7ステップ)に移行する。
【0043】
この加熱工程IIでは、制御部40は、炊飯量の量判定を行う。炊飯量を判定し、判定した炊飯量に応じて、加熱工程II以降の工程で、炊飯量によって制御条件を変える。加熱工程IIでは、圧力弁23は閉じられ、加熱手段5はフルパワーで加熱を行い、鍋4内の温度は急に上昇する。そのとき、鍋4内は圧力弁23とパッキン37によって密閉されているため、鍋4内の圧力が上昇し、加圧状態となる。
【0044】
S5ステップでは、制御部40は、加熱工程IIでは取消ボタンの長押のみ有効とし、取消ボタンが短押された場合には操作無効な状態にする。尚、ここで言う長押とは、短い時間(例えば1秒未満)の押下操作(所謂、短押)よりも長い時間(例えば1秒以上)の押下操作を指すものとする。
【0045】
続くS6ステップでは、制御部40は、表示部7に取消ボタン長押のみ有効である旨の表示を行う。この表示は例えば、「長押のみ有効」というようにメッセージを表示する構成としても良いし、特定のアイコンを表示する構成としても良い。
【0046】
S7ステップでは、制御部40は、取消ボタン11が長押されたと判定すると、炊飯動作を停止しそうでなければ、S8ステップへ処理を進める。
【0047】
S8ステップでは、制御部40は加熱工程IIを終了すると共に沸騰工程III(S8〜S9ステップ)に移行する。沸騰工程IIIでは、制御部40は、加熱工程IIと同様に取消ボタンの長押のみ有効にし、取消ボタンが短押された場合には操作無効にする。そして表示部7に取消ボタン長押のみ有効の旨の表示を継続する。
【0048】
沸騰工程IIIでは、加熱コイル18への通電及び圧力弁23の開閉が所定時間間隔で行われる。すなわち、圧力弁開放機構24の制御により圧力弁23の開閉が行われ、この圧力弁23の開閉は、この沸騰工程IIIの初期段階に1回乃至数回行われる。圧力弁23の開成により、鍋4内の圧力は、1.2気圧の加圧状態から略大気圧近傍まで一気に低下する。この圧力変化により、鍋4内が激しく沸騰する、いわゆる突沸現象が発生する。
【0049】
この突沸現象により、鍋4内の米粒などの被炊飯物が攪拌される。特に、沸騰工程IIIの初期段階に圧力弁23の開閉が行われると、この段階では鍋4内の水が多いので米粒は効率よく攪拌される。一方、加熱コイル18への通電は、圧力弁23の開閉に同期してオン/オフされる。すなわち、圧力弁23が閉成されているときは加熱コイル18への通電がオンされ、開成のときオフされる。なお、加熱コイル18への通電は、圧力弁23の開閉と非同期でもよい。
【0050】
沸騰工程IIIのうち、鍋4内の水がなくなると、鍋4の温度が130℃に上昇する。この温度上昇により、沸騰中の鍋4内の水がなくなり強制的なドライアップとなる。ドライアップを検出すると、制御部40は、加熱コイル18への通電を停止し、S10ステップの蒸らし工程IV(S10〜S13ステップ)へ移行する。
【0051】
尚、S9ステップでは、制御部40は、取消ボタンが長押されたと判定すると炊飯を終了させ、そうでなければS10ステップへ処理を進める。
【0052】
S10ステップにおいて、制御部40は、蒸らし工程IVへ移行する。制御部40は、蒸らし工程IVへ移行すると、圧力弁を開放する。また、タイマーカウントを開始し、一定時間、例えば4分間加熱手段5を、蓋ヒータ22を除いて通電オフする。このように通電がオフされることで、鍋4内の温度が下がり、温度が下がることにより鍋4内の圧力も下がる。そのとき、圧力弁23が開成されると、負圧弁(図示省略)の作用により、おねばタンク38に溜まっているおねばが鍋内に還元される。
【0053】
おねばが鍋内に還元されると、制御部40は、蒸らし工程IVの中の追い炊きへと移行する。追い炊きでは、所定時間加熱コイル18を通電し、鍋4内の温度を上昇させる。続いて、所定時間経過後、加熱コイル18への通電をオフする。蒸らし工程が終了すると炊飯工程が終了し、保温工程に移行する。
【0054】
S11ステップにおいて、制御部40は、S2ステップと同様に取消ボタン11の押下を有効にし、S12ステップにおいて、制御部40は、表示部7の取消ボタン11長押のみ有効である旨の表示を消すように制御する。
【0055】
続くS13ステップにおいて、制御部40は、取消ボタン11が押下されたと判定すると炊飯を終了する。
【0056】
このように、第1実施例では、加熱工程と沸騰工程においては、取消ボタン11の長押のみ許可していた。この為、使用者が誤って取消ボタン11に触れても炊飯動作が停止されることがない。
【0057】
しかしながら、第1実施例では、子供がいたずらで取消ボタン11を長押すると炊飯動作が停止されてしまう。そこで、第2実施例では、子供がいたずらで取消ボタン11を長押しても炊飯動作が停止されないようにしている。
【0058】
次に、第2実施例について図4及び図6を用いて以下に説明する。図6は本発明の実施例2に係る炊飯器の炊飯工程を示したフロー図である。
【0059】
この実施例2に係る炊飯器1は、実施例1のものと炊飯工程中の取消操作の一部が異なるのみで、他の構成は同一であるので、以下、重複説明を避け、第1実施例装置と異なる部分のみ詳述する。
【0060】
図6に示すように、実施例2の炊飯器1の炊飯工程では、実施例1の炊飯器1の炊飯工程と炊飯制御は同一で、取消操作のみが異なっているため、取消操作のみ説明する。
【0061】
第1実施例装置では、吸水工程と蒸らし工程では取消ボタンの押下を有効にする反面、加熱工程と沸騰工程では取消ボタンの長押のみ有効としていたが、第2実施例装置では、吸水工程と蒸らし工程では取消ボタンの押下を有効にすると共に、加熱工程と沸騰工程では取消ボタンは短押、長押どちらも無効にしている。より具体的には、S23ステップで加熱工程に入ると、制御部40は取消ボタン11の押下を全く受け付けなくなり、S29ステップで蒸らし工程に入ると制御部40は、取消ボタン11の押下を受付ける状態となる。
【0062】
このように、第2実施例では、加熱工程と沸騰工程においては、取消ボタン11の短押と長押の両方を無効にしている(言い換えれば、取消ボタン11が全く効かない状態である)。この為、子供がいたずらで取消ボタン11を操作しても炊飯動作が停止されることがない。尚、第2実施例では、加熱工程と沸騰工程において、取消ボタン11の操作を無効にしていたが、例えば急激な温度上昇等の緊急事態が生じた場合には、強制的に取消ボタンの操作(短押、長押の両方)を有効にしても良い。
【0063】
又、第2実施例装置ではS22ステップとS32ステップにおいて、制御部40は取消ボタン11の短押及び長押の両方を受け付ける状態としたがS22ステップとS32ステップにおいて、制御部40は取消ボタン11の長押のみ受け付ける構成としても良い。
【0064】
本発明の実施例は圧力式の炊飯器で説明したが、この圧力式の炊飯器に限定されず、常圧式の炊飯器でもよい。また、加熱手段は、誘導コイルによる渦電流によって加熱するIH加熱方式に限らず、ヒータを内装した熱板を鍋底に装着したものやその他の加熱方法であってもよい。
【0065】
又、本実施例では、炊飯工程を複数に区分して特定の工程のみ取消ボタン11の押下操作を無効、或いは長押のみ有効としたが、全ての工程において、取消ボタン11の長押操作のみ有効として短押操作を無効にする構成としても良い。更に、炊飯中のみ取消ボタン11の長押操作のみ有効とし、炊飯中以外は取消ボタン11の短押操作を有効とする構成としても良い。
【符号の説明】
【0066】
1:炊飯器
2:炊飯器本体(本体)
3:蓋体
4:鍋
5:加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、
炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、
前記入力手段は取消キーを有し、
前記制御手段は、炊飯開始から炊飯終了までの間に、前記取消キーが所定時間以上連続して押下があると判定すると前記取消キーの操作に対応する動作を実行するように制御することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記炊飯開始から炊飯終了までの期間を除く期間では、前記取消キーが所定時間未満押下されたと判定すると、前記取消キーの操作に対応する動作を実行するように制御することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、
炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、
前記入力手段は取消キーを有し、
前記制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、前記取消キーの長押を有効にすると共に短押を無効にすることを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
請求項3に記載の炊飯器であり、
前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押及び短押を有効にすることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、
炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、前記炊飯器本体または前記蓋体に設けられた入力手段と、制御手段と、を有する炊飯器において、
前記入力手段は取消キーを有し、
前記制御手段は、炊飯工程を複数の工程に区分し、特定の工程では、前記取消キーの長押及び短押を無効にすることを特徴とする炊飯器。
【請求項6】
請求項5に記載の炊飯器であり、
前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押を有効にすることを特徴とする炊飯器。
【請求項7】
請求項5に記載の炊飯器であり、
前記特定の工程を除いた工程では、前記制御手段は、前記取消キーの長押及び短押を有効にすることを特徴とする炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate