炊飯器
【課題】食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮する炊飯器を提供すること。
【解決手段】貯留手段15と、給水加熱手段19と、給水手段17とを備え、鍋2内の水分量を検知する水分量検知手段7で検知した鍋2内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで貯留手段15の貯留水を鍋2内に給水手段17によって給水することにより、米粒内外の浸透圧差を大きくして米の吸水を促進することによって「吸水工程」を省略、もしくは短縮しても「沸騰工程」で米に充分に吸水させることができるので、食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【解決手段】貯留手段15と、給水加熱手段19と、給水手段17とを備え、鍋2内の水分量を検知する水分量検知手段7で検知した鍋2内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで貯留手段15の貯留水を鍋2内に給水手段17によって給水することにより、米粒内外の浸透圧差を大きくして米の吸水を促進することによって「吸水工程」を省略、もしくは短縮しても「沸騰工程」で米に充分に吸水させることができるので、食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被調理物の食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炊飯工程(時間)は大まかに分類すると、所定温度(たとえば鍋温度60℃)で所定時間(例えば20分)、米に水を吸収させる「吸水工程」と、該吸水温度(60℃)から沸騰状態(100℃)にまで加熱する「炊上工程」と、沸騰状態(100℃)を保持させる「沸騰工程」と、炊き上がったごはんを上記沸騰温度(100℃)と同等の温度(100℃)でむらす「むらし工程」とから成っている。
【0003】
図13は従来の炊飯器の通常炊飯の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。
【0004】
炊飯動作は、「吸水工程」、「炊上工程」、「沸騰工程」、「むらし工程」を含んでいる。
【0005】
炊飯器の理想的な加熱状況は、炊飯量により異なり、たとえば「沸騰工程」の長さや、同「沸騰工程」における鍋加熱手段への供給電力を炊飯量に対応して設定することによって美味しくごはんが炊けることが知られている。その一方で、「炊上工程」については、炊飯量によらずにほぼ一定の温度変化を行わせることによってごはんが美味しく炊けることもまた経験的に判っている。炊飯器は、これらの状況に適した加熱を行うように所定の炊飯シーケンスに従って加熱手段を制御する。
【0006】
一方、炊飯中に、炊飯量と炊上レベルに対応した任意の給水量制御を行い、ごはんの炊上状態(硬め・普通・軟らかめ)を所望の状態にコントロールするようにしている炊飯器は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載された従来の炊飯器は、「炊上工程」の途中の所定期間Δtにおいて、炊飯量(合数)の判定が行われ、炊き分けスイッチによって設定される炊上状態、軟らかめ〜硬めと炊上工程で判定された炊飯量(合数)に応じて、貯留水の供給量を適切に制御することにより、良好な炊き分け機能を実現するようになっている。
【0008】
また、炊飯時間を短縮するには、各工程での時間短縮を検討するのであるが、物理的に短縮が不可能な場合や、時間短縮をすることによって食味を損なう場合が存在する。
【0009】
ここで図14は従来の炊飯器の早炊時の鍋、米の温度変化遷移図である。図14に示すように一般的には「吸水工程」を短縮、もしくは無くすことによって時間短縮を実現している。しかしこのような炊飯を実施した場合には、米の吸水が充分でない内に「炊上工程」に進むために水分の蒸発量が増え、炊き上がった米飯は含水率が低く、また米の表面に水分が偏ることで芯が残り、食味の悪いものとなっている。
【0010】
これを解決するために、「吸水工程」を短縮した「早炊コース」を実施時には通常炊飯時に利用される通常水量目盛りより高水位を表示する早炊用目盛りを利用する炊飯器は既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
特許文献2に記載された従来の炊飯器は、通常水量目盛りよりも高水位とした早炊用の
水量目盛りを利用することで、過剰に蒸発する水分量を補い「炊上工程」、「沸騰工程」においても鍋内に水分が長く残留し、米の吸水を進めることができるものである。
【0012】
また、鍋内に過熱蒸気(例えば130℃程度)を投入する炊飯器において炊飯時の排出蒸気によって貯留水を加熱して蒸気を発生させて、その蒸気を蒸気加熱手段によって過熱蒸気にする炊飯器が既に知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特公平8−15456号公報
【特許文献2】特許第3652482号公報
【特許文献3】特開2005−160917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、「炊上工程」、「沸騰工程」において水は米のデンプンが高濃度に溶け込んだ炊飯液として存在しており、浸透圧が米の内外で同等に保たれるために米中心部まで効率的に吸水を促進できるものではなく、炊き上がった米飯の食味を損なってしまうという課題を有していた。
【0015】
従って、単純に各工程の時間を短縮し、炊飯初期の加水量を増量して「炊上工程」、「沸騰工程」における残留水分量を増やすだけでは、食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮することは困難である。
【0016】
また、特許文献1に記載された従来の炊飯器は、良好な炊き分け機能を実現する為の発明であり、時間短縮よりも寧ろ食味の向上を実現するものである。実際、炊飯量と炊き分け設定に応じて、貯留水の給水量を適切に制御することから、炊飯初期の加水量に対して水量を加減するものであって、給水を行ったとしても時間短縮は実現せず、またその効果を想到するものでもない。
【0017】
また、特許文献3に記載された従来の炊飯器では、投入されるのが過熱蒸気であることから蒸気加熱手段による加熱によってエネルギーを多く消費するとともに、「吸水工程」を省略、または短縮したことによる米の吸水不足を補うには過熱蒸気では量的にも温度的にも充分なものではなく、またその効果を想到するものでもない。
【0018】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の発明者らは、前記従来の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
【0020】
即ち、本発明の発明者らは、「沸騰工程」において水分蒸発により米飯が水から露出した状態でさらに給水することによって、米粒の内外で浸透圧差が生じることにより米の吸水が促進されることから、本来「炊上工程」前に所定時間実施するべき「吸水工程」を省略、または短縮しても、「沸騰工程」に米の吸水を促進する効果が得られ、炊飯時間を短縮することができることを見出した。そして、この知見により本発明に想到した。
【0021】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、貯留手段に貯留された水を給水量制御手段によって給水量を適量に調節し、また鍋内の水分量検知手段によって検知され
た鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水が行える構成としたものである。
【0022】
これによって、「沸騰工程」においてもっとも効率よく米中心部まで吸水させることができるタイミング(水分蒸発によって米飯が水から露出した状態)を水分量検知手段によって検知し適量・適温の給水を行うことで、米粒の内外の浸透圧差を利用して「沸騰工程」において効率よく米の吸水を促進することが可能となり、つまりは充分に吸水されて含水率が適切に調整された食味の良い米飯を得ると共に、「吸水工程」を省略、または短縮することで炊飯時間を短縮することができる。
【0023】
さらには米が水面から露出するタイミングまでには鍋内の水が蒸発して蒸気を炊飯器の外側へ排出していることから、貯留水の加熱手段として炊飯時の蒸気を利用できることを見出し、炊飯時の排出蒸気を利用して貯留水を加熱することで、別途エネルギーを使用する加熱手段を設けることなく、省エネ性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の炊飯器は、「吸水工程」を短縮して「沸騰工程」において米の吸水を促進することで、被調理物の食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図2】本発明の実施の形態1における鍋内の給水前の米と水の状態を示す側断面図
【図3】本発明の実施の形態1における鍋、米の温度変化遷移図
【図4】本発明の実施の形態1における他の形態の鍋、米の温度変化遷移図
【図5】給水時の米と水の状態で(a)は鍋の断面を途切れなく満たした状態の側面図及び上面図(b)は鍋の断面を途切れなく満たせない状態の側面図及び上面図
【図6】給水時に沸点よりも低い温度の水を給水した場合の鍋、米の温度変化遷移図
【図7】本発明の実施の形態1における炊飯器の給水時の米と水の状態を示す側断面図
【図8】本発明の実施の形態1における他の形態の炊飯器の側断面図
【図9】本発明の実施の形態1における炊飯器の「沸騰工程」の加熱手段のON/OFFと、鍋内の圧力の関係を示す図
【図10】本発明の実施の形態2における炊飯器の側断面図
【図11】本発明の実施の形態2における鍋、米、貯留水の温度変化と、排出蒸気量変化の遷移図
【図12】本発明の実施の形態3における炊飯器の側断面図
【図13】従来の炊飯器の通常炊飯の鍋、米の温度変化遷移図
【図14】従来の炊飯器の早炊時の鍋、米の温度変化遷移図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明は炊飯器本体と、炊飯器本体に装備する鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度に応じて所定の炊飯シーケンスに従って前記加熱手段を制御する加熱制御手段を備え、水を貯留する貯留手段と、前記鍋内に前記貯留水を給水する給水手段と、前記給水手段からの給水量を制御する給水量制御手段と、前記鍋内の水分量を検知する水分量検知手段とを設け、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水することにより、吸水工程以降に浸透圧差を利用して露出した米の吸水を促進させることが可能となり本来の吸水工程を短縮できることによって、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0027】
第2の発明は、特に、第1の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段から成ることにより、水分量検知を従来の炊飯器の構成で実現することができ、第2の発明の給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0028】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時に所定温度Tdに達したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することにより、所定温度Tdを閾値として設けるだけで水分量検知を実現することができ、給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0029】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時の検知温度から所定の温度差Δtだけ上昇したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することにより、温度差Δtを検知するだけで水分量検知を実現でき、給水のタイミングを簡単に検知することができる。また、温度値でなく温度の差分値とすることで気圧の変動などによる沸点の変動に対応することができる。
【0030】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の貯留水から、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出しないように給水することにより、給水時に米表面全体を水が行きわたり吸水ムラができ難くなり、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0031】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の貯留手段に貯留された貯留水を加熱する給水加熱手段を備え、前記給水加熱手段によって、前記鍋内の温度低下を抑制する温度に調節された前記貯留水を給水することにより、給水時に鍋内の温度状態を自在に制御でき、給水による温度下降を防ぐなどして、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0032】
第7の発明は、特に、第6の発明の貯留水を前記給水加熱手段によって沸騰状態にした後に給水することにより、沸騰時の給水による温度下降を防ぎ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0033】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の給水手段によって前記鍋の内側面に沿って給水することにより、米飯の表層部のみでなく鍋肌に沿って鍋底にも水を到達させることで、鍋肌に接する米飯の乾燥、焦げを防ぎつつ加熱量も増やすことができ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0034】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の鍋内に圧力を付加するための圧力付加手段を設けて、前記鍋内が沸騰状態に達した後に給水する場合には、給水後に前記圧力付加手段によって鍋内に圧力を付加することにより、米飯の表層部のみでなく圧力によって鍋底にも水を到達させることで、鍋肌に接する米飯の乾燥、焦げを防ぎつつ加熱量も増やすことができ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0035】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか1つの発明の沸騰工程時における前記加熱手段のON/OFFをデューティー制御中に給水する場合に、前記加熱手段のON/OFFに対応して給水することにより、加熱に応じた鍋内部の圧力変動のタイミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも圧力を利用して給水速度を制御できる。
【0036】
第11の発明は、特に、第10の発明のデューティー制御中に、前記加熱手段がOFFしてから所定時間後に給水することにより、加熱を止めることで鍋内部が負圧になるタイ
ミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも負圧の引き込みを利用して給水を素早く行うことができる。
【0037】
第12の発明は、特に、第10または第11の発明のデューティー制御中に、前記加熱手段がONしてから所定時間後に給水することにより、加熱を開始することで鍋内部が正圧になるタイミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも正圧の押し出しを利用して給水をゆっくり行うことができる。
【0038】
第13の発明は、特に、第6〜9のいずれか1つの発明の鍋内に発生する蒸気を、前記貯留手段に導通する蒸気経路を設けて、前記給水加熱手段とすることにより、貯留水の加熱には炊飯時の排出蒸気を利用することによって、省エネをすることができる。
【0039】
第14の発明は、特に、第13の発明の貯留水の温度を検知する給水温度検知手段を設け、前記水分量検知手段は、前記給水温度検知手段による検知温度によって前記鍋内の水分量を検知することにより、炊飯時の蒸気による貯留水の加熱量と、鍋内の水分量が反比例することから、新たに水分量検知のための装置を追加することなく水分量検知を実現することができ、第1の発明の給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0040】
第15の発明は、特に、第13または第14の発明に、貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気で沸点温度まで加熱可能な量とすることにより、炊飯時の蒸気のみで貯留水を沸点まで加熱することが可能となり、新たに貯留水加熱のための装置を追加することなく、また該装置によってエネルギーを消費することがないために、簡単な構成で、かつ省エネしつつ、貯留水の確実な加熱をすることができる。
【0041】
第16の発明は、特に、第13〜15のいずれか1つの発明の貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気の前記貯留水への凝縮量を考慮した量とすることにより、炊飯中の限られた蒸気で必要水量の加熱をより確実に行うことができる。
【0042】
第17の発明は、特に、第13〜16のいずれか1つの発明の給水手段による前記鍋への給水経路は、前記蒸気経路と少なくとも一部を共有する構成とすることにより、「炊上工程」、「沸騰工程」で発生した高濃度の米デンプン水溶液である「おねば」が付着した蒸気経路を、給水によって洗浄してユーザによるお手入れの負担を少なくするとともに、旨みの元とされる「おねば」を鍋内に戻してやることによって米飯の食味を向上させることができる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0045】
図1において、炊飯器本体1は、上面が開口する略円筒状に形成しており、この炊飯器本体1の内部に鍋収納部である保護枠9を配設し、この保護枠9内には内周面に描かれた水位線を有する鍋2を着脱自在に配設している。保護枠9の外側で鍋2の底面外側には鍋2を加熱する鍋底面加熱コイル5aを、鍋2の側面外側には鍋側面加熱コイル5bを配設している。鍋底面加熱コイル5aおよび鍋側面加熱コイル5bは加熱コイルに代えてヒータであってもよい。
【0046】
炊飯器本体1の上部に蓋3を開閉自在に取り付けている。蓋3は、保護枠9の後部にヒンジ軸3aを介して回動自在に支持し、回動バネ3bにより付勢されている。蓋3のもう一端には、保護枠9の前方にフックボタン1aを配設し蓋3の開放を抑止する。フックボタン1aが蓋3へ嵌合しているときには、蓋3は開放することなくフックボタン1aに保持され、閉蓋状態となっており、フックボタン1aとの嵌合が解除されると、回動バネ3bの付勢により蓋3はヒンジ軸3aを支点に開放されて開蓋する。
【0047】
保護枠9から露出して設置された鍋温度センサ7が、鍋2の底の略中心部に接触して熱伝導によって鍋2の温度を検知する。特に蓋3が閉蓋状態のとき、鍋2全体が略断熱されている状態となるので、鍋2の底に接触することで鍋2全体の温度を検知することができる。
【0048】
蓋3の下部に、鍋2の開口部を閉塞する内蓋4を配設し、内蓋4には炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気を排出する蒸気口4bを有する。内蓋4の上部には内蓋4を加熱する内蓋加熱コイル(ヒータ)5cと炊飯器本体1外部と連通している筒形状の蒸気筒10を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、蒸気口4b、蒸気筒10を通じて炊飯器本体1外部へ排出される。
【0049】
蒸気筒10と内蓋4の間に蒸気口パッキン4cを配設し、蒸気が蓋3の内部に流入するのを防止している。また、内蓋4の外周部に、鍋2のフランジ部2aの上面と当接する内蓋パッキン4aを配設しており、炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気が蒸気口4b以外から外部に流出するのを防止している。
【0050】
水を貯留する貯留手段15から鍋2に導通する給水経路18には貯留水を鍋2に給水するための給水手段17(ポンプなど)を配設している。また貯留手段15に隣接して設けた、貯留水を加熱するための給水加熱手段19と給水温度を検知する給水温度センサ16によって、貯留水の温度を調節することができる。尚、本実施の形態では、貯留手段15に貯留する水を加熱したり、温度検知しているが、給水経路18において水を加熱したり、温度検知してもよい。
【0051】
水量検知手段によって鍋2内の米が水から露出したことを検知して給水手段17によって給水する。本実施の形態においては、鍋温度センサ7の出力情報を水量検知手段として用い、詳細は後述する。他にもカメラで水面を監視する、水面までの距離を計測するセンサを蓋3に設ける、などの水量検知手段を別途設けてもよい。
【0052】
給水手段17の流量、駆動時間などを制御する給水量制御手段6bによって、鍋2への給水量を制御可能である。
【0053】
尚、本実施の形態では貯留手段15は炊飯器本体1側に設置して、給水手段17はポンプとしているが、蓋3に貯留手段15を設けることで給水手段17を電磁弁などとして重力落下により投入してもよい。
【0054】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
まず、所定量の米と水を洗米処理の後に鍋2に入れて炊飯器本体1にセットして炊飯開始する。本発明の炊飯器においては、後の工程で給水手段17によって給水することから、あらかじめ通常炊飯に比べて少ない水量で炊飯開始でき、使用者の便宜のために少ない水位となる専用の炊飯用目盛りを備え、使用する。
【0056】
最初に、鍋2内の温度を米の糊化温度以下の温度(例えば60℃)に昇温して米の吸水
を促進する「吸水工程」が開始する。本発明においては米への吸水促進を後工程で継続するために「吸水工程」を短縮、もしくは省略して行う。
【0057】
次に、沸騰状態(100℃)にまで加熱する「炊上工程」に移る。この工程でも米への吸水は促進されるが充分なものではない。
【0058】
次いで、鍋2の温度を鍋温度センサ7などで検知して鍋2内の水を沸騰状態に維持する「沸騰工程」に遷移する。ここでは米の吸水と、糊化のための吸熱を促進する。ここで一般的な早炊きにおいては「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているために米に充分な吸水がなされておらず、米の芯に吸水されるべき水分は米に入ることなく蒸発して芯が残る。
【0059】
そこで本実施の形態では、鍋2内の米が水面から露出したことを水量検知手段として、鍋温度センサ7の出力情報を利用して水量を検知し、給水手段17によって給水する。
【0060】
図2は、「沸騰工程」の鍋2内の給水前の米と水の状態を示す側断面図である。沸騰を維持することで米は吸水、糊化が促進されて膨張し、逆に水は米への吸水と蒸発によって量が減り、米が水面から露出している。
【0061】
図3は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。一点鎖線の円で抜き出した拡大部分は図2のように水分が無くなって鍋2の温度が100℃を超えて上昇を開始した時点をしめす。このとき例えば水量検知温度Tdを閾値として設定して、Tdを超えたことを検知して給水手段17によって給水することで、露出した米に再び水分を与えることができる。
【0062】
しかも給水前に米の周りにあった、デンプンの溶け出した水では米の内外で浸透圧が同等となって吸水が効率よく促進されなかったのに比べて、米外部の給水と米内部では、浸透圧に差ができるために米の中に効率よく吸水される。
【0063】
また、米が水面から露出したタイミングで吸水することで浸透圧による吸水促進効果は最大限発揮できるが、水面が米よりも上にある水量で吸水しても、米の周りのデンプン水溶液が薄くなることで浸透圧に差ができて、吸水促進効果を期待することができる。
【0064】
図4は、本発明の炊飯器の他の形態の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。水量検知温度Tdを閾値とした、温度の絶対値を利用せず、例えば「沸騰工程」で維持している沸騰時検知温度から、水量検知温度差Δtだけ鍋2の温度が上昇した場合に給水を開始するようにした方法である。相対的な温度差を利用することで、気圧の変動などによる沸点の変動に対応することができる。
【0065】
図5は、給水時の鍋2内の給水時の米と水の状態を示す側面図及び上面図を示し、(a)は鍋の断面を途切れなく満たせる場合であり、表層の米飯における吸水をムラ無く促進することが可能である。(b)は鍋の断面を途切れなく満たせない場合であり、当然表層の米飯の吸水状態にムラが生じる。本実施の形態では、(a)の鍋の断面を途切れなく満たせる状態、すなわち、鍋2内の米の上面を水が被包するように給水する。
【0066】
図6は、給水時に沸点よりも低い温度の水を給水した場合の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。前述の給水タイミングで給水を行うことでごはん温度は98℃以下に低下してしまう。一般に米の
糊化には「98℃で20分」必要と言われており、ごはん温度が98℃以下に低下することでごはんの糊化状態にムラを生じて食味を悪くする。
【0067】
つまりは給水する水は「沸騰工程」の米温度と同等温度(沸点温度)にしておく必要があることから、給水加熱手段19によって給水タイミングに間に合うように加熱しておく。このとき、鍋2の加熱手段5への給電に影響しないようなタイミングで加熱を行うことで電力量増大による寸法、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0068】
また図3、図4にしめすように給水後に鍋2の温度が下がるのは、鍋2の底まで給水した水が到達するためであるが、「沸騰工程」の米の状態は、前述のように米は吸水、糊化が促進されて膨張して米どうしが接続された状態となり、米の中を移動して底まで到達するには時間がかかる。この間に鍋底の加熱は進み、ごはんの乾燥や焦げができて食味を悪くしてしまう。
【0069】
そこで、図7の炊飯器の給水時の米と水の状態を示す側断面図に示すように、給水の投入口20を鍋肌近傍に配置することで、給水した水を米表層だけでなく鍋肌に沿わせて鍋底に到達させる。給水した水は、図7の矢印で示したように、米表層だけでなく鍋肌に沿って鍋底に到達し、鍋底中心に向かって浸透する。これによって鍋底近傍の米の乾燥、焦げを防ぎつつ米への加熱を促進する蒸気を発生させ、更に米表層の水は米に吸水されながら徐々に鍋2の下方へと移動していくことで、米飯全体の吸水と糊化を促進できる。
【0070】
また、図8に示すように、蓋3内にピストンやポンプといった圧力付加手段21は圧力経路22を通じて鍋2内に圧力を付加することができる構成とすることで、米の表層部に滞留している水を圧力によって確実に鍋底まで到達させることができる。
【0071】
また、給水時の給水速度を鍋2内の圧力を利用して変化させることができる。図9は「沸騰工程」の加熱手段のON/OFFと、鍋内の圧力の関係を示す図である。図9に示すように、沸騰状態の維持のために加熱手段をデューティー制御する場合において、加熱手段をONした場合には鍋2内の蒸気量が増加して圧力が増大する。このとき加熱手段をONしてから鍋2内の圧力が増大するまでの時間Δton経過してから給水を開始することで、給水の投入口20にも圧力がかかるために、給水速度は遅くなる。
【0072】
逆に加熱手段をOFFした場合には鍋2内の温度は下がり、蒸気が凝縮するなどして蒸気量が減少して圧力が小さくなる。このとき加熱手段をOFFしてから鍋2内の圧力が小さくなるまでの時間Δtoff経過してから給水を開始することで、給水の投入口20にも同じ圧力がかかるために、給水速度は速くなる。
【0073】
このように別の手段を追加することなく給水のタイミングのみで給水速度を変化させることができる。
【0074】
最後に、鍋2の底の水分が蒸発して鍋2の温度が水の沸点を大きく超えることで「むらし工程」へと遷移する。「むらし工程」ではごはんを焦がさないように弱い火力で加熱し、ごはんの温度としては100℃を保ち、糊化を進めながら余分な水分のみを飛ばしていく。「むらし工程」が終了することで炊飯を終了して保温に移行する。
【0075】
このように「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0076】
以上のように、本実施の形態においては貯留水を沸騰状態まで加熱して米が水面から露
出したタイミングを水量検知手段で検知して、給水手段17で給水することにより、露出した米に水分を供給して、浸透圧の差を利用して効率よく米への吸水促進ができて、「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0077】
(実施の形態2)
図10は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0078】
図10において本発明の第1の実施の形態と構成が同じところは説明を省略し、その差異について説明する。
【0079】
本実施の形態の蒸気筒24は、第1の実施の形態の蒸気筒10に相当し、内蓋4の上部に筒形状の蒸気筒24を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、内蓋4に設けられた蒸気口4b、蒸気筒24を通じて排出される。
【0080】
炊飯器本体1には蒸気筒24から貯留手段15へ連通する蒸気経路23を設け、鍋2内から貯留手段15が連通された構成である。尚、蒸気経路23は蒸気筒24を経由せずに内蓋3と連通して、鍋2内から貯留手段15が連通された構成であってもよい。
【0081】
また本実施の形態においては、給水温度センサ16を水量検知手段として用いる。
【0082】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0083】
基本的な動作、作用は本発明の第1の実施の形態と同様であるので省略し、その差異について説明する。
【0084】
図11は本実施の形態の炊飯器の本発明の実施の形態2における炊飯器の鍋、米、貯留水の温度変化と、排出蒸気量変化の遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度、点線は給水温度センサの検知温度、一点鎖線は内鍋4からの排出蒸気量を表す。
【0085】
図11に示すように、蒸気量は「沸騰工程」に多く発生するために、その蒸気が蒸気筒24、蒸気経路23を通って貯留手段15へと導かれて、貯留水を加熱し、また給水温度センサ16の検知温度も蒸気発生量に応じて上昇する。このとき蒸気の発生量と鍋2内の水量は反比例することから、給水温度センサ16の検知温度は鍋2内の水量に反比例することがわかる。すなわち、給水温度センサ16の検知温度によって鍋2内の水分量を知ることができるので、給水温度センサ16を水分量検知手段とすることができる。
【0086】
また貯留手段15にあらかじめセットする水量は給水前に発生する蒸気量で沸点まで加熱可能な量とすることで、排出蒸気のみによって給水時の必要温度(例えば98℃)まで貯留水を加熱することができ、新たに加熱手段を設けることがないために省エネすることができる。
【0087】
また貯留手段15にあらかじめセットする水量は給水時の必要水量よりも蒸気の貯留水への凝縮量だけ少ない量とする水位を指定することで、貯留水の加熱に必要なエネルギー量は減るために必要水量の加熱をより確実に行うことができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態においては貯留水を沸騰状態まで加熱して米が水面から露出したタイミングを水量検知手段で検知して、給水手段17で給水することにより、露出
した米に水分を供給して、浸透圧の差を利用して効率よく米への吸水促進ができて、「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0089】
さらには貯留水の加熱を鍋2内から貯留手段15に連通する蒸気経路23を通過する炊飯時の排出蒸気を利用して行うことで、別途加熱手段を必要とせず、大きく省エネすることができる。
【0090】
(実施の形態3)
図12は本発明の第3の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0091】
図12において本発明の第2の実施の形態と構成が同じところは説明を省略し、その差異について説明する。
【0092】
本実施の形態の蒸気筒25は、第2の実施の形態の蒸気筒24に相当し、内蓋4の上部に筒形状の蒸気筒25を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、蒸気口4b、蒸気筒25を通じて排出される。
【0093】
貯留手段15から給水手段17によって鍋2内へ貯留水を搬送するための給水経路18の、鍋2内への投入口20を、蒸気経路23と連通する蒸気筒25に連通するように設ける。尚、投入口20を、蒸気経路23と連通する構成であってもよい。
【0094】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0095】
基本的な動作、作用は本発明の第2の実施の形態と同様であるので省略し、その差異について説明する。
【0096】
炊飯中、水に米の主成分のデンプンが溶け込んだ高濃度のデンプン溶液である「おねば」が沸騰することによって泡状となって蒸気筒25に到達する。この「おねば」はデンプンが分解した糖類や米に微量に含まれるたんぱく質が分解したアミノ酸などが含まれ、旨み成分となることが知られている。
【0097】
本実施の形態においては、給水経路18を蒸気経路23の少なくとも一部を共有するように構成することで、給水時には蒸気経路23や蒸気筒25などに付着した「おねば」を洗い流して鍋2内へと流し込むことで米の持つ甘み、旨み成分をすべて米に戻すことができ、食味の向上を図ることができる。即ち、炊飯中、「おねば」が沸騰することによって泡状となって蒸気筒25や蒸気経路23に到達・付着する。同時に「沸騰工程」に多く発生した蒸気が蒸気筒24、蒸気経路23を通って貯留手段15へと導かれて貯留水を加熱し、鍋2内の水量に反比例して上昇した貯留水の温度を給水温度センサ16で検知して鍋2内の水分量を推定し、沸騰状態まで加熱された貯留水を米が水面から露出したタイミングを検知して、給水手段17で給水する際に、投入口20が蒸気筒25や蒸気経路23と連通しているので、付着した「おねば」を洗い流して鍋2内へと流し込むことができる。
【0098】
さらに蒸気筒25を洗浄することで、ユーザの蒸気筒25のお手入れの手間を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、「沸騰工程」における効率のよい米への吸水促進が可能となるので、調理対象への吸水を必要とする調理機器の調理時間短縮等の用途
にも適用できる。
【符号の説明】
【0100】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 蓋
4 内蓋
4a 内蓋パッキン
4b 蒸気口
4c 蒸気口パッキン
5 加熱手段
5a 鍋底面加熱コイル
5b 鍋側面加熱コイル
5c 内蓋加熱コイル
6 制御手段
6a 加熱制御手段
6b 給水量制御手段
7 鍋温度センサ(水量検知手段)
10、24、25 蒸気筒
15 貯留手段
16 給水温度センサ
17 給水手段
18 給水経路
19 給水加熱手段
20 投入口
21 圧力付加手段
22 圧力経路
23 蒸気経路
【技術分野】
【0001】
本発明は被調理物の食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炊飯工程(時間)は大まかに分類すると、所定温度(たとえば鍋温度60℃)で所定時間(例えば20分)、米に水を吸収させる「吸水工程」と、該吸水温度(60℃)から沸騰状態(100℃)にまで加熱する「炊上工程」と、沸騰状態(100℃)を保持させる「沸騰工程」と、炊き上がったごはんを上記沸騰温度(100℃)と同等の温度(100℃)でむらす「むらし工程」とから成っている。
【0003】
図13は従来の炊飯器の通常炊飯の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。
【0004】
炊飯動作は、「吸水工程」、「炊上工程」、「沸騰工程」、「むらし工程」を含んでいる。
【0005】
炊飯器の理想的な加熱状況は、炊飯量により異なり、たとえば「沸騰工程」の長さや、同「沸騰工程」における鍋加熱手段への供給電力を炊飯量に対応して設定することによって美味しくごはんが炊けることが知られている。その一方で、「炊上工程」については、炊飯量によらずにほぼ一定の温度変化を行わせることによってごはんが美味しく炊けることもまた経験的に判っている。炊飯器は、これらの状況に適した加熱を行うように所定の炊飯シーケンスに従って加熱手段を制御する。
【0006】
一方、炊飯中に、炊飯量と炊上レベルに対応した任意の給水量制御を行い、ごはんの炊上状態(硬め・普通・軟らかめ)を所望の状態にコントロールするようにしている炊飯器は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載された従来の炊飯器は、「炊上工程」の途中の所定期間Δtにおいて、炊飯量(合数)の判定が行われ、炊き分けスイッチによって設定される炊上状態、軟らかめ〜硬めと炊上工程で判定された炊飯量(合数)に応じて、貯留水の供給量を適切に制御することにより、良好な炊き分け機能を実現するようになっている。
【0008】
また、炊飯時間を短縮するには、各工程での時間短縮を検討するのであるが、物理的に短縮が不可能な場合や、時間短縮をすることによって食味を損なう場合が存在する。
【0009】
ここで図14は従来の炊飯器の早炊時の鍋、米の温度変化遷移図である。図14に示すように一般的には「吸水工程」を短縮、もしくは無くすことによって時間短縮を実現している。しかしこのような炊飯を実施した場合には、米の吸水が充分でない内に「炊上工程」に進むために水分の蒸発量が増え、炊き上がった米飯は含水率が低く、また米の表面に水分が偏ることで芯が残り、食味の悪いものとなっている。
【0010】
これを解決するために、「吸水工程」を短縮した「早炊コース」を実施時には通常炊飯時に利用される通常水量目盛りより高水位を表示する早炊用目盛りを利用する炊飯器は既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
特許文献2に記載された従来の炊飯器は、通常水量目盛りよりも高水位とした早炊用の
水量目盛りを利用することで、過剰に蒸発する水分量を補い「炊上工程」、「沸騰工程」においても鍋内に水分が長く残留し、米の吸水を進めることができるものである。
【0012】
また、鍋内に過熱蒸気(例えば130℃程度)を投入する炊飯器において炊飯時の排出蒸気によって貯留水を加熱して蒸気を発生させて、その蒸気を蒸気加熱手段によって過熱蒸気にする炊飯器が既に知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特公平8−15456号公報
【特許文献2】特許第3652482号公報
【特許文献3】特開2005−160917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、「炊上工程」、「沸騰工程」において水は米のデンプンが高濃度に溶け込んだ炊飯液として存在しており、浸透圧が米の内外で同等に保たれるために米中心部まで効率的に吸水を促進できるものではなく、炊き上がった米飯の食味を損なってしまうという課題を有していた。
【0015】
従って、単純に各工程の時間を短縮し、炊飯初期の加水量を増量して「炊上工程」、「沸騰工程」における残留水分量を増やすだけでは、食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮することは困難である。
【0016】
また、特許文献1に記載された従来の炊飯器は、良好な炊き分け機能を実現する為の発明であり、時間短縮よりも寧ろ食味の向上を実現するものである。実際、炊飯量と炊き分け設定に応じて、貯留水の給水量を適切に制御することから、炊飯初期の加水量に対して水量を加減するものであって、給水を行ったとしても時間短縮は実現せず、またその効果を想到するものでもない。
【0017】
また、特許文献3に記載された従来の炊飯器では、投入されるのが過熱蒸気であることから蒸気加熱手段による加熱によってエネルギーを多く消費するとともに、「吸水工程」を省略、または短縮したことによる米の吸水不足を補うには過熱蒸気では量的にも温度的にも充分なものではなく、またその効果を想到するものでもない。
【0018】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の発明者らは、前記従来の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
【0020】
即ち、本発明の発明者らは、「沸騰工程」において水分蒸発により米飯が水から露出した状態でさらに給水することによって、米粒の内外で浸透圧差が生じることにより米の吸水が促進されることから、本来「炊上工程」前に所定時間実施するべき「吸水工程」を省略、または短縮しても、「沸騰工程」に米の吸水を促進する効果が得られ、炊飯時間を短縮することができることを見出した。そして、この知見により本発明に想到した。
【0021】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、貯留手段に貯留された水を給水量制御手段によって給水量を適量に調節し、また鍋内の水分量検知手段によって検知され
た鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水が行える構成としたものである。
【0022】
これによって、「沸騰工程」においてもっとも効率よく米中心部まで吸水させることができるタイミング(水分蒸発によって米飯が水から露出した状態)を水分量検知手段によって検知し適量・適温の給水を行うことで、米粒の内外の浸透圧差を利用して「沸騰工程」において効率よく米の吸水を促進することが可能となり、つまりは充分に吸水されて含水率が適切に調整された食味の良い米飯を得ると共に、「吸水工程」を省略、または短縮することで炊飯時間を短縮することができる。
【0023】
さらには米が水面から露出するタイミングまでには鍋内の水が蒸発して蒸気を炊飯器の外側へ排出していることから、貯留水の加熱手段として炊飯時の蒸気を利用できることを見出し、炊飯時の排出蒸気を利用して貯留水を加熱することで、別途エネルギーを使用する加熱手段を設けることなく、省エネ性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の炊飯器は、「吸水工程」を短縮して「沸騰工程」において米の吸水を促進することで、被調理物の食味を損なうことなく、炊飯時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図2】本発明の実施の形態1における鍋内の給水前の米と水の状態を示す側断面図
【図3】本発明の実施の形態1における鍋、米の温度変化遷移図
【図4】本発明の実施の形態1における他の形態の鍋、米の温度変化遷移図
【図5】給水時の米と水の状態で(a)は鍋の断面を途切れなく満たした状態の側面図及び上面図(b)は鍋の断面を途切れなく満たせない状態の側面図及び上面図
【図6】給水時に沸点よりも低い温度の水を給水した場合の鍋、米の温度変化遷移図
【図7】本発明の実施の形態1における炊飯器の給水時の米と水の状態を示す側断面図
【図8】本発明の実施の形態1における他の形態の炊飯器の側断面図
【図9】本発明の実施の形態1における炊飯器の「沸騰工程」の加熱手段のON/OFFと、鍋内の圧力の関係を示す図
【図10】本発明の実施の形態2における炊飯器の側断面図
【図11】本発明の実施の形態2における鍋、米、貯留水の温度変化と、排出蒸気量変化の遷移図
【図12】本発明の実施の形態3における炊飯器の側断面図
【図13】従来の炊飯器の通常炊飯の鍋、米の温度変化遷移図
【図14】従来の炊飯器の早炊時の鍋、米の温度変化遷移図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明は炊飯器本体と、炊飯器本体に装備する鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度に応じて所定の炊飯シーケンスに従って前記加熱手段を制御する加熱制御手段を備え、水を貯留する貯留手段と、前記鍋内に前記貯留水を給水する給水手段と、前記給水手段からの給水量を制御する給水量制御手段と、前記鍋内の水分量を検知する水分量検知手段とを設け、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水することにより、吸水工程以降に浸透圧差を利用して露出した米の吸水を促進させることが可能となり本来の吸水工程を短縮できることによって、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0027】
第2の発明は、特に、第1の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段から成ることにより、水分量検知を従来の炊飯器の構成で実現することができ、第2の発明の給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0028】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時に所定温度Tdに達したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することにより、所定温度Tdを閾値として設けるだけで水分量検知を実現することができ、給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0029】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時の検知温度から所定の温度差Δtだけ上昇したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することにより、温度差Δtを検知するだけで水分量検知を実現でき、給水のタイミングを簡単に検知することができる。また、温度値でなく温度の差分値とすることで気圧の変動などによる沸点の変動に対応することができる。
【0030】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の貯留水から、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出しないように給水することにより、給水時に米表面全体を水が行きわたり吸水ムラができ難くなり、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0031】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の貯留手段に貯留された貯留水を加熱する給水加熱手段を備え、前記給水加熱手段によって、前記鍋内の温度低下を抑制する温度に調節された前記貯留水を給水することにより、給水時に鍋内の温度状態を自在に制御でき、給水による温度下降を防ぐなどして、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0032】
第7の発明は、特に、第6の発明の貯留水を前記給水加熱手段によって沸騰状態にした後に給水することにより、沸騰時の給水による温度下降を防ぎ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0033】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の給水手段によって前記鍋の内側面に沿って給水することにより、米飯の表層部のみでなく鍋肌に沿って鍋底にも水を到達させることで、鍋肌に接する米飯の乾燥、焦げを防ぎつつ加熱量も増やすことができ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0034】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の鍋内に圧力を付加するための圧力付加手段を設けて、前記鍋内が沸騰状態に達した後に給水する場合には、給水後に前記圧力付加手段によって鍋内に圧力を付加することにより、米飯の表層部のみでなく圧力によって鍋底にも水を到達させることで、鍋肌に接する米飯の乾燥、焦げを防ぎつつ加熱量も増やすことができ、炊き上がった米飯の食味を損なうことなく炊飯時間を短縮することができる。
【0035】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか1つの発明の沸騰工程時における前記加熱手段のON/OFFをデューティー制御中に給水する場合に、前記加熱手段のON/OFFに対応して給水することにより、加熱に応じた鍋内部の圧力変動のタイミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも圧力を利用して給水速度を制御できる。
【0036】
第11の発明は、特に、第10の発明のデューティー制御中に、前記加熱手段がOFFしてから所定時間後に給水することにより、加熱を止めることで鍋内部が負圧になるタイ
ミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも負圧の引き込みを利用して給水を素早く行うことができる。
【0037】
第12の発明は、特に、第10または第11の発明のデューティー制御中に、前記加熱手段がONしてから所定時間後に給水することにより、加熱を開始することで鍋内部が正圧になるタイミングを見計らって給水を行うことができ、流量調節手段を設けなくとも正圧の押し出しを利用して給水をゆっくり行うことができる。
【0038】
第13の発明は、特に、第6〜9のいずれか1つの発明の鍋内に発生する蒸気を、前記貯留手段に導通する蒸気経路を設けて、前記給水加熱手段とすることにより、貯留水の加熱には炊飯時の排出蒸気を利用することによって、省エネをすることができる。
【0039】
第14の発明は、特に、第13の発明の貯留水の温度を検知する給水温度検知手段を設け、前記水分量検知手段は、前記給水温度検知手段による検知温度によって前記鍋内の水分量を検知することにより、炊飯時の蒸気による貯留水の加熱量と、鍋内の水分量が反比例することから、新たに水分量検知のための装置を追加することなく水分量検知を実現することができ、第1の発明の給水のタイミングを簡単に検知することができる。
【0040】
第15の発明は、特に、第13または第14の発明に、貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気で沸点温度まで加熱可能な量とすることにより、炊飯時の蒸気のみで貯留水を沸点まで加熱することが可能となり、新たに貯留水加熱のための装置を追加することなく、また該装置によってエネルギーを消費することがないために、簡単な構成で、かつ省エネしつつ、貯留水の確実な加熱をすることができる。
【0041】
第16の発明は、特に、第13〜15のいずれか1つの発明の貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気の前記貯留水への凝縮量を考慮した量とすることにより、炊飯中の限られた蒸気で必要水量の加熱をより確実に行うことができる。
【0042】
第17の発明は、特に、第13〜16のいずれか1つの発明の給水手段による前記鍋への給水経路は、前記蒸気経路と少なくとも一部を共有する構成とすることにより、「炊上工程」、「沸騰工程」で発生した高濃度の米デンプン水溶液である「おねば」が付着した蒸気経路を、給水によって洗浄してユーザによるお手入れの負担を少なくするとともに、旨みの元とされる「おねば」を鍋内に戻してやることによって米飯の食味を向上させることができる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0045】
図1において、炊飯器本体1は、上面が開口する略円筒状に形成しており、この炊飯器本体1の内部に鍋収納部である保護枠9を配設し、この保護枠9内には内周面に描かれた水位線を有する鍋2を着脱自在に配設している。保護枠9の外側で鍋2の底面外側には鍋2を加熱する鍋底面加熱コイル5aを、鍋2の側面外側には鍋側面加熱コイル5bを配設している。鍋底面加熱コイル5aおよび鍋側面加熱コイル5bは加熱コイルに代えてヒータであってもよい。
【0046】
炊飯器本体1の上部に蓋3を開閉自在に取り付けている。蓋3は、保護枠9の後部にヒンジ軸3aを介して回動自在に支持し、回動バネ3bにより付勢されている。蓋3のもう一端には、保護枠9の前方にフックボタン1aを配設し蓋3の開放を抑止する。フックボタン1aが蓋3へ嵌合しているときには、蓋3は開放することなくフックボタン1aに保持され、閉蓋状態となっており、フックボタン1aとの嵌合が解除されると、回動バネ3bの付勢により蓋3はヒンジ軸3aを支点に開放されて開蓋する。
【0047】
保護枠9から露出して設置された鍋温度センサ7が、鍋2の底の略中心部に接触して熱伝導によって鍋2の温度を検知する。特に蓋3が閉蓋状態のとき、鍋2全体が略断熱されている状態となるので、鍋2の底に接触することで鍋2全体の温度を検知することができる。
【0048】
蓋3の下部に、鍋2の開口部を閉塞する内蓋4を配設し、内蓋4には炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気を排出する蒸気口4bを有する。内蓋4の上部には内蓋4を加熱する内蓋加熱コイル(ヒータ)5cと炊飯器本体1外部と連通している筒形状の蒸気筒10を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、蒸気口4b、蒸気筒10を通じて炊飯器本体1外部へ排出される。
【0049】
蒸気筒10と内蓋4の間に蒸気口パッキン4cを配設し、蒸気が蓋3の内部に流入するのを防止している。また、内蓋4の外周部に、鍋2のフランジ部2aの上面と当接する内蓋パッキン4aを配設しており、炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気が蒸気口4b以外から外部に流出するのを防止している。
【0050】
水を貯留する貯留手段15から鍋2に導通する給水経路18には貯留水を鍋2に給水するための給水手段17(ポンプなど)を配設している。また貯留手段15に隣接して設けた、貯留水を加熱するための給水加熱手段19と給水温度を検知する給水温度センサ16によって、貯留水の温度を調節することができる。尚、本実施の形態では、貯留手段15に貯留する水を加熱したり、温度検知しているが、給水経路18において水を加熱したり、温度検知してもよい。
【0051】
水量検知手段によって鍋2内の米が水から露出したことを検知して給水手段17によって給水する。本実施の形態においては、鍋温度センサ7の出力情報を水量検知手段として用い、詳細は後述する。他にもカメラで水面を監視する、水面までの距離を計測するセンサを蓋3に設ける、などの水量検知手段を別途設けてもよい。
【0052】
給水手段17の流量、駆動時間などを制御する給水量制御手段6bによって、鍋2への給水量を制御可能である。
【0053】
尚、本実施の形態では貯留手段15は炊飯器本体1側に設置して、給水手段17はポンプとしているが、蓋3に貯留手段15を設けることで給水手段17を電磁弁などとして重力落下により投入してもよい。
【0054】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
まず、所定量の米と水を洗米処理の後に鍋2に入れて炊飯器本体1にセットして炊飯開始する。本発明の炊飯器においては、後の工程で給水手段17によって給水することから、あらかじめ通常炊飯に比べて少ない水量で炊飯開始でき、使用者の便宜のために少ない水位となる専用の炊飯用目盛りを備え、使用する。
【0056】
最初に、鍋2内の温度を米の糊化温度以下の温度(例えば60℃)に昇温して米の吸水
を促進する「吸水工程」が開始する。本発明においては米への吸水促進を後工程で継続するために「吸水工程」を短縮、もしくは省略して行う。
【0057】
次に、沸騰状態(100℃)にまで加熱する「炊上工程」に移る。この工程でも米への吸水は促進されるが充分なものではない。
【0058】
次いで、鍋2の温度を鍋温度センサ7などで検知して鍋2内の水を沸騰状態に維持する「沸騰工程」に遷移する。ここでは米の吸水と、糊化のための吸熱を促進する。ここで一般的な早炊きにおいては「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているために米に充分な吸水がなされておらず、米の芯に吸水されるべき水分は米に入ることなく蒸発して芯が残る。
【0059】
そこで本実施の形態では、鍋2内の米が水面から露出したことを水量検知手段として、鍋温度センサ7の出力情報を利用して水量を検知し、給水手段17によって給水する。
【0060】
図2は、「沸騰工程」の鍋2内の給水前の米と水の状態を示す側断面図である。沸騰を維持することで米は吸水、糊化が促進されて膨張し、逆に水は米への吸水と蒸発によって量が減り、米が水面から露出している。
【0061】
図3は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。一点鎖線の円で抜き出した拡大部分は図2のように水分が無くなって鍋2の温度が100℃を超えて上昇を開始した時点をしめす。このとき例えば水量検知温度Tdを閾値として設定して、Tdを超えたことを検知して給水手段17によって給水することで、露出した米に再び水分を与えることができる。
【0062】
しかも給水前に米の周りにあった、デンプンの溶け出した水では米の内外で浸透圧が同等となって吸水が効率よく促進されなかったのに比べて、米外部の給水と米内部では、浸透圧に差ができるために米の中に効率よく吸水される。
【0063】
また、米が水面から露出したタイミングで吸水することで浸透圧による吸水促進効果は最大限発揮できるが、水面が米よりも上にある水量で吸水しても、米の周りのデンプン水溶液が薄くなることで浸透圧に差ができて、吸水促進効果を期待することができる。
【0064】
図4は、本発明の炊飯器の他の形態の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。水量検知温度Tdを閾値とした、温度の絶対値を利用せず、例えば「沸騰工程」で維持している沸騰時検知温度から、水量検知温度差Δtだけ鍋2の温度が上昇した場合に給水を開始するようにした方法である。相対的な温度差を利用することで、気圧の変動などによる沸点の変動に対応することができる。
【0065】
図5は、給水時の鍋2内の給水時の米と水の状態を示す側面図及び上面図を示し、(a)は鍋の断面を途切れなく満たせる場合であり、表層の米飯における吸水をムラ無く促進することが可能である。(b)は鍋の断面を途切れなく満たせない場合であり、当然表層の米飯の吸水状態にムラが生じる。本実施の形態では、(a)の鍋の断面を途切れなく満たせる状態、すなわち、鍋2内の米の上面を水が被包するように給水する。
【0066】
図6は、給水時に沸点よりも低い温度の水を給水した場合の鍋、米の温度変化遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度を表す。前述の給水タイミングで給水を行うことでごはん温度は98℃以下に低下してしまう。一般に米の
糊化には「98℃で20分」必要と言われており、ごはん温度が98℃以下に低下することでごはんの糊化状態にムラを生じて食味を悪くする。
【0067】
つまりは給水する水は「沸騰工程」の米温度と同等温度(沸点温度)にしておく必要があることから、給水加熱手段19によって給水タイミングに間に合うように加熱しておく。このとき、鍋2の加熱手段5への給電に影響しないようなタイミングで加熱を行うことで電力量増大による寸法、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0068】
また図3、図4にしめすように給水後に鍋2の温度が下がるのは、鍋2の底まで給水した水が到達するためであるが、「沸騰工程」の米の状態は、前述のように米は吸水、糊化が促進されて膨張して米どうしが接続された状態となり、米の中を移動して底まで到達するには時間がかかる。この間に鍋底の加熱は進み、ごはんの乾燥や焦げができて食味を悪くしてしまう。
【0069】
そこで、図7の炊飯器の給水時の米と水の状態を示す側断面図に示すように、給水の投入口20を鍋肌近傍に配置することで、給水した水を米表層だけでなく鍋肌に沿わせて鍋底に到達させる。給水した水は、図7の矢印で示したように、米表層だけでなく鍋肌に沿って鍋底に到達し、鍋底中心に向かって浸透する。これによって鍋底近傍の米の乾燥、焦げを防ぎつつ米への加熱を促進する蒸気を発生させ、更に米表層の水は米に吸水されながら徐々に鍋2の下方へと移動していくことで、米飯全体の吸水と糊化を促進できる。
【0070】
また、図8に示すように、蓋3内にピストンやポンプといった圧力付加手段21は圧力経路22を通じて鍋2内に圧力を付加することができる構成とすることで、米の表層部に滞留している水を圧力によって確実に鍋底まで到達させることができる。
【0071】
また、給水時の給水速度を鍋2内の圧力を利用して変化させることができる。図9は「沸騰工程」の加熱手段のON/OFFと、鍋内の圧力の関係を示す図である。図9に示すように、沸騰状態の維持のために加熱手段をデューティー制御する場合において、加熱手段をONした場合には鍋2内の蒸気量が増加して圧力が増大する。このとき加熱手段をONしてから鍋2内の圧力が増大するまでの時間Δton経過してから給水を開始することで、給水の投入口20にも圧力がかかるために、給水速度は遅くなる。
【0072】
逆に加熱手段をOFFした場合には鍋2内の温度は下がり、蒸気が凝縮するなどして蒸気量が減少して圧力が小さくなる。このとき加熱手段をOFFしてから鍋2内の圧力が小さくなるまでの時間Δtoff経過してから給水を開始することで、給水の投入口20にも同じ圧力がかかるために、給水速度は速くなる。
【0073】
このように別の手段を追加することなく給水のタイミングのみで給水速度を変化させることができる。
【0074】
最後に、鍋2の底の水分が蒸発して鍋2の温度が水の沸点を大きく超えることで「むらし工程」へと遷移する。「むらし工程」ではごはんを焦がさないように弱い火力で加熱し、ごはんの温度としては100℃を保ち、糊化を進めながら余分な水分のみを飛ばしていく。「むらし工程」が終了することで炊飯を終了して保温に移行する。
【0075】
このように「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0076】
以上のように、本実施の形態においては貯留水を沸騰状態まで加熱して米が水面から露
出したタイミングを水量検知手段で検知して、給水手段17で給水することにより、露出した米に水分を供給して、浸透圧の差を利用して効率よく米への吸水促進ができて、「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0077】
(実施の形態2)
図10は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0078】
図10において本発明の第1の実施の形態と構成が同じところは説明を省略し、その差異について説明する。
【0079】
本実施の形態の蒸気筒24は、第1の実施の形態の蒸気筒10に相当し、内蓋4の上部に筒形状の蒸気筒24を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、内蓋4に設けられた蒸気口4b、蒸気筒24を通じて排出される。
【0080】
炊飯器本体1には蒸気筒24から貯留手段15へ連通する蒸気経路23を設け、鍋2内から貯留手段15が連通された構成である。尚、蒸気経路23は蒸気筒24を経由せずに内蓋3と連通して、鍋2内から貯留手段15が連通された構成であってもよい。
【0081】
また本実施の形態においては、給水温度センサ16を水量検知手段として用いる。
【0082】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0083】
基本的な動作、作用は本発明の第1の実施の形態と同様であるので省略し、その差異について説明する。
【0084】
図11は本実施の形態の炊飯器の本発明の実施の形態2における炊飯器の鍋、米、貯留水の温度変化と、排出蒸気量変化の遷移図である。図の実線は鍋温度を検知するセンサの検知温度、破線は米の温度、点線は給水温度センサの検知温度、一点鎖線は内鍋4からの排出蒸気量を表す。
【0085】
図11に示すように、蒸気量は「沸騰工程」に多く発生するために、その蒸気が蒸気筒24、蒸気経路23を通って貯留手段15へと導かれて、貯留水を加熱し、また給水温度センサ16の検知温度も蒸気発生量に応じて上昇する。このとき蒸気の発生量と鍋2内の水量は反比例することから、給水温度センサ16の検知温度は鍋2内の水量に反比例することがわかる。すなわち、給水温度センサ16の検知温度によって鍋2内の水分量を知ることができるので、給水温度センサ16を水分量検知手段とすることができる。
【0086】
また貯留手段15にあらかじめセットする水量は給水前に発生する蒸気量で沸点まで加熱可能な量とすることで、排出蒸気のみによって給水時の必要温度(例えば98℃)まで貯留水を加熱することができ、新たに加熱手段を設けることがないために省エネすることができる。
【0087】
また貯留手段15にあらかじめセットする水量は給水時の必要水量よりも蒸気の貯留水への凝縮量だけ少ない量とする水位を指定することで、貯留水の加熱に必要なエネルギー量は減るために必要水量の加熱をより確実に行うことができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態においては貯留水を沸騰状態まで加熱して米が水面から露出したタイミングを水量検知手段で検知して、給水手段17で給水することにより、露出
した米に水分を供給して、浸透圧の差を利用して効率よく米への吸水促進ができて、「吸水工程」を短縮、もしくは省略しているにもかかわらず、「沸騰工程」に米への吸水を効率よく促進することによって、食味を劣化させること無く炊飯時間を短縮することができる。
【0089】
さらには貯留水の加熱を鍋2内から貯留手段15に連通する蒸気経路23を通過する炊飯時の排出蒸気を利用して行うことで、別途加熱手段を必要とせず、大きく省エネすることができる。
【0090】
(実施の形態3)
図12は本発明の第3の実施の形態における炊飯器の側断面図を示すものである。
【0091】
図12において本発明の第2の実施の形態と構成が同じところは説明を省略し、その差異について説明する。
【0092】
本実施の形態の蒸気筒25は、第2の実施の形態の蒸気筒24に相当し、内蓋4の上部に筒形状の蒸気筒25を配設している。炊飯および保温中に鍋2内に発生する蒸気は、蒸気口4b、蒸気筒25を通じて排出される。
【0093】
貯留手段15から給水手段17によって鍋2内へ貯留水を搬送するための給水経路18の、鍋2内への投入口20を、蒸気経路23と連通する蒸気筒25に連通するように設ける。尚、投入口20を、蒸気経路23と連通する構成であってもよい。
【0094】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0095】
基本的な動作、作用は本発明の第2の実施の形態と同様であるので省略し、その差異について説明する。
【0096】
炊飯中、水に米の主成分のデンプンが溶け込んだ高濃度のデンプン溶液である「おねば」が沸騰することによって泡状となって蒸気筒25に到達する。この「おねば」はデンプンが分解した糖類や米に微量に含まれるたんぱく質が分解したアミノ酸などが含まれ、旨み成分となることが知られている。
【0097】
本実施の形態においては、給水経路18を蒸気経路23の少なくとも一部を共有するように構成することで、給水時には蒸気経路23や蒸気筒25などに付着した「おねば」を洗い流して鍋2内へと流し込むことで米の持つ甘み、旨み成分をすべて米に戻すことができ、食味の向上を図ることができる。即ち、炊飯中、「おねば」が沸騰することによって泡状となって蒸気筒25や蒸気経路23に到達・付着する。同時に「沸騰工程」に多く発生した蒸気が蒸気筒24、蒸気経路23を通って貯留手段15へと導かれて貯留水を加熱し、鍋2内の水量に反比例して上昇した貯留水の温度を給水温度センサ16で検知して鍋2内の水分量を推定し、沸騰状態まで加熱された貯留水を米が水面から露出したタイミングを検知して、給水手段17で給水する際に、投入口20が蒸気筒25や蒸気経路23と連通しているので、付着した「おねば」を洗い流して鍋2内へと流し込むことができる。
【0098】
さらに蒸気筒25を洗浄することで、ユーザの蒸気筒25のお手入れの手間を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、「沸騰工程」における効率のよい米への吸水促進が可能となるので、調理対象への吸水を必要とする調理機器の調理時間短縮等の用途
にも適用できる。
【符号の説明】
【0100】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 蓋
4 内蓋
4a 内蓋パッキン
4b 蒸気口
4c 蒸気口パッキン
5 加熱手段
5a 鍋底面加熱コイル
5b 鍋側面加熱コイル
5c 内蓋加熱コイル
6 制御手段
6a 加熱制御手段
6b 給水量制御手段
7 鍋温度センサ(水量検知手段)
10、24、25 蒸気筒
15 貯留手段
16 給水温度センサ
17 給水手段
18 給水経路
19 給水加熱手段
20 投入口
21 圧力付加手段
22 圧力経路
23 蒸気経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、炊飯器本体に装備する鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度に応じて所定の炊飯シーケンスに従って前記加熱手段を制御する加熱制御手段を備え、水を貯留する貯留手段と、前記鍋内に前記貯留水を給水する給水手段と、前記給水手段からの給水量を制御する給水量制御手段と、前記鍋内の水分量を検知する水分量検知手段とを設け、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段から成ることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時に所定温度Tdに達したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時の検知温度から所定の温度差Δtだけ上昇したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記貯留水から、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出しないように給水することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記貯留手段に貯留された貯留水を加熱する給水加熱手段を備え、前記給水加熱手段によって、前記鍋内の温度低下を抑制する温度に調節された前記貯留水を給水することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記貯留水を前記給水加熱手段によって沸騰状態にした後に給水することを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記給水手段によって前記鍋の内側面に沿って給水することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記鍋内に圧力を付加するための圧力付加手段を設けて、前記鍋内が沸騰状態に達した後に給水する場合には、給水後に前記圧力付加手段によって鍋内に圧力を付加することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
沸騰工程時における前記加熱手段のON/OFFをデューティー制御中に給水する場合に、前記加熱手段のON/OFFに対応して給水することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項11】
前記デューティー制御中に、前記加熱手段がOFFしてから所定時間後に給水することを特徴とする請求項10に記載の炊飯器。
【請求項12】
前記デューティー制御中に、前記加熱手段がONしてから所定時間後に給水することを特徴とする請求項10または11に記載の炊飯器。
【請求項13】
前記鍋内に発生する蒸気を、前記貯留手段に導通する蒸気経路を設けて、前記給水加熱手段とすることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項14】
前記貯留水の温度を検知する給水温度検知手段を設け、前記水分量検知手段は、前記給水温度検知手段による検知温度によって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項13に記載の炊飯器。
【請求項15】
前記貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気で沸点温度まで加熱可能な量とすることを特徴とする請求項13または14に記載の炊飯器。
【請求項16】
前記貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気の前記貯留水への凝縮量を考慮した量とすることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項17】
前記給水手段による前記鍋への給水経路は、前記蒸気経路と少なくとも一部を共有する構成とすることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項1】
炊飯器本体と、炊飯器本体に装備する鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋温度検知手段の検知温度に応じて所定の炊飯シーケンスに従って前記加熱手段を制御する加熱制御手段を備え、水を貯留する貯留手段と、前記鍋内に前記貯留水を給水する給水手段と、前記給水手段からの給水量を制御する給水量制御手段と、前記鍋内の水分量を検知する水分量検知手段とを設け、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出する水分量となるタイミングで給水することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段から成ることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時に所定温度Tdに達したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記水分量検知手段は、前記鍋温度検知手段が沸騰工程時の検知温度から所定の温度差Δtだけ上昇したことを検知することによって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記貯留水から、前記鍋内の米飯の表層部が水から露出しないように給水することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記貯留手段に貯留された貯留水を加熱する給水加熱手段を備え、前記給水加熱手段によって、前記鍋内の温度低下を抑制する温度に調節された前記貯留水を給水することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記貯留水を前記給水加熱手段によって沸騰状態にした後に給水することを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記給水手段によって前記鍋の内側面に沿って給水することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記鍋内に圧力を付加するための圧力付加手段を設けて、前記鍋内が沸騰状態に達した後に給水する場合には、給水後に前記圧力付加手段によって鍋内に圧力を付加することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
沸騰工程時における前記加熱手段のON/OFFをデューティー制御中に給水する場合に、前記加熱手段のON/OFFに対応して給水することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項11】
前記デューティー制御中に、前記加熱手段がOFFしてから所定時間後に給水することを特徴とする請求項10に記載の炊飯器。
【請求項12】
前記デューティー制御中に、前記加熱手段がONしてから所定時間後に給水することを特徴とする請求項10または11に記載の炊飯器。
【請求項13】
前記鍋内に発生する蒸気を、前記貯留手段に導通する蒸気経路を設けて、前記給水加熱手段とすることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項14】
前記貯留水の温度を検知する給水温度検知手段を設け、前記水分量検知手段は、前記給水温度検知手段による検知温度によって前記鍋内の水分量を検知することを特徴とする請求項13に記載の炊飯器。
【請求項15】
前記貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気で沸点温度まで加熱可能な量とすることを特徴とする請求項13または14に記載の炊飯器。
【請求項16】
前記貯留手段に貯留される水量は、前記貯留手段に前記蒸気経路を通じて導入される蒸気の前記貯留水への凝縮量を考慮した量とすることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項17】
前記給水手段による前記鍋への給水経路は、前記蒸気経路と少なくとも一部を共有する構成とすることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−87615(P2011−87615A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241169(P2009−241169)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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