説明

炊飯器

【課題】内鍋を収納する内ケースに、電磁波シールド材等を混入または塗布することにより、炊飯器からの電磁波の漏洩を低減することができる安価な電磁波漏洩低減構造を提供することを目的とする。
【解決手段】容器本体と、前記容器本体上方の蓋部材と、前記容器本体内に設けられる内ケースと、前記内ケース内に収納される内鍋と、前記内ケースの下方に設けられる電磁誘導コイルとを有する炊飯器であって、前記内ケースに、粒子状の電磁波シールド材または金属小片からなる電磁波シールド材を、混入または塗布し、電磁波の漏洩を低減してなる炊飯器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、加熱手段として電磁誘導コイルを用いる炊飯器であって、特に、電磁誘導加熱により引き起こされる電磁波を外部へ漏洩する量を低減してなる炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の炊飯器は、多くの便利な機能が付加されている。例えば、加熱手段として電磁誘導コイル等からなる誘導加熱方式もその一つであり、効率的な炊飯制御並びにその後の長時間に亘る的確な保温制御を行うことができる等、非常に使い勝手の良い製品の一つとなっている。
【0003】
ところで、加熱手段として電磁誘導コイルからなる誘導加熱方式を採用する炊飯器は、緻密な炊飯制御並びにその後の長時間に亘る的確な保温制御が可能な反面、微小な電磁波が外部に漏れ、場合によっては、他の機器等に対して悪影響を及ぼす恐れがある。そのため、国内外ではそのような弊害を防止するための規定が設けられており、各製品は、電磁波の漏洩量を規定内に収まるよう求められており、そのためにいろいろな技術がすでに提案されている。
【0004】
このような一技術として図5に示すものが知られている。この炊飯器は、図に示すように、容器本体aと、該容器本体aに対し開閉自在な蓋部材bとにより構成され、容器本体aは、外壁を形成する外ケースc、内壁を形成する内ケースd、外ケースc及び内ケースdを連結する肩部材e、外ケースcに連結され、外底壁を形成する底部材f等を有し、前記内ケースd内には、飯米等の内容物を加熱調理する内鍋gが収納配置される。
【0005】
また、前記内ケースdの下方には、底コイルh及びコーナーコイルiからなる電磁誘導コイルが設けられ、調理時に、内鍋gに飯米等を入れ、内ケースdにセットすると、温度センサーjがオンし、前記電磁誘導コイルを高周波電源に通電可能にする。高周波電源に通電されると強い磁界が発生し、該磁界により表皮抵抗の大きいステンレス等からなる内鍋gの外表面近傍に渦電流が発生し、更にこの渦電流に起因したジュール熱が発生し、該ジュール熱により内鍋gが加熱され、内容物が加熱調理される。
【0006】
そして、この例のものでは、底コイルh及びコーナーコイルiからなる電磁誘導コイルと外ケースcとの間に電磁波をシールドする遮蔽板kが配置され、複数個のビスmにより該遮蔽板kを内ケースdに固定し、電磁誘導コイルで発生する電磁波が外部へ漏れるのを防止している。
【0007】
しかしながら、上記従来の電磁波漏洩低減構造は、遮蔽板k及び取付用ビスmという新たな部品を必要としたり、遮蔽板k及びビスmによる取付作業を必要とするため、それだけ生産コストが高騰したり、またその遮蔽板kの取付場所を確保する必要があり、場合によっては取付場所を確保するために炊飯器を大型化せざるを得ないという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平7−83732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の目的は、内鍋を収納する内ケースに、電磁波吸収材等を混入または塗布することにより、炊飯器からの電磁波の漏洩を低減することができる安価な電磁波漏洩低減構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0011】
請求項1に係る発明では、容器本体と、前記容器本体上方の蓋部材と、前記容器本体内に設けられる内ケースと、前記内ケース内に収納される内鍋と、前記内ケースの下方に設けられる電磁誘導コイルとを有する炊飯器であって、前記内ケースに、電磁波吸収材または電磁波シールド材を、混入または塗布する構成。
【0012】
請求項2に係る発明では、前記電磁波吸収材は、カーボンマイクロコイルを内包したビーズ状のものである構成。
【0013】
請求項3に係る発明では、前記電磁波吸収材または電磁波シールド材は、前記電磁誘導コイルの出力周波数帯域を除く20kHz以下及び50kHz以上の漏洩を低減する構成。
【0014】
請求項4に係る発明では、前記内ケースの表面に凹凸を設ける構成。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、内ケースに、電磁波吸収材、例えば粉末或いは粒子状のもの、または電磁波シールド材、例えば金属粉或いは金属小片のものを、一体成形により混入したり、或いは塗料に混ぜて塗布したりすることにより、炊飯器からの電磁波の漏洩量を低減することができるとともに、従来の遮蔽板を用いる電磁波漏洩低減構造に比べて生産コストの高騰を抑えることができる。
【0016】
また、電磁波吸収材として粒子状のもの、または電磁波シールド材として金属小片のものを用いることにより、内ケース表面に微小な凹凸が形成され、電磁波吸収材または電磁波シールド材の表面積をその分増大することができるようになり、電磁波の漏洩量をより低減することができる。
【0017】
更に、電磁波吸収材は、電磁波を熱エネルギに変えるものであり、そのような電磁波吸収材を内ケースに設けることにより、内ケースが暖められ、内鍋から外部への放熱を低減することができるようになり、特に保温工程時の省エネに資することができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、電磁波吸収材を、カーボンマイクロコイルを内包したビーズ状のものにすることにより、炊飯器からの電磁波の漏洩量をより低減することができるとともに、内ケース表面に微小なビーズ状の凹凸が形成され、その分電磁波吸収材の表面積を増大することができるため、電磁波の漏洩量を更に低減することができる。また、カーボンマイクロコイルは、電磁波を熱エネルギに変えるものであり、そのようなものを内ケースに設けることにより、内ケースが暖められ、内鍋から外部への放熱を低減することができるようになり、特に保温工程時の省エネに資することができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、電磁波吸収材または電磁波シールド材を、電磁誘導コイルの出力周波数帯域を除く20kHz以下及び50kHz以上の漏洩を低減することにより、炊飯時の炊飯加熱を阻害することなく、不要な電磁波の漏洩を重点的に低減することができる。
【0020】
請求項4に係る発明では、内ケースの表面に、例えば、複数のディンプル、文字の刻印等の凹凸を設けることにより、内鍋の外周を伝わって内ケースとの間に流れ出たツユやオネバを堰き止め、流れ出たツユやオネバが内ケースの内面を伝わって流下し、内ケースの底部中央に設けられるセンサ貫通孔より容器本体内に流出するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の炊飯器の全体断面図
【図2】本願発明の内ケースにディンプルの凹凸を設けた状態を示す平面図
【図3】本願発明の内ケースに文字の凹凸を設けた状態を示す平面図
【図4】1個のビーズ状のカーボンマイクロコイルの概略断面図
【図5】従来例の炊飯器の断面図。
【実施例】
【0022】
図1は、炊飯器に本願発明を適用した断面図を示し、図2、3は、内ケースにディンプルまたは文字の凹凸を設けた状態を示す平面図を示し、図4は、1個のビーズ状のカーボンマイクロコイルの概略断面図を示す。
【0023】
炊飯器1は、図1に示すように大別して、容器本体2と、該容器本体2の上方に設けられる蓋部材3とを有する。前記蓋部材3は、ポリプロピレン(PP)等からなる樹脂製で、上部材4、下部材5及び内カバー6を有する。そして上部材4及び下部材5間に形成される内部空間には断熱材7が設けられる。
【0024】
また、蓋部材3の中央部には、調圧蓋8が設けられる。調圧蓋8内には弁部材9が設けられ、内部の圧力が所定以上になると、弁部材9が解放され、内部の蒸気を調圧蓋8内に形成される蒸気通路10を介して蒸気口11より外部に放出する。更に、蓋部材3の後方側には、既に公知のバネ材を内在したヒンジ機構12が設けられ、炊飯器1の前方側上部に設けられるロック部材13を施錠ないし開錠することにより蓋部材3を容器本体2に対して開閉自在にしている。
【0025】
前記容器本体2は、外壁を形成する外ケース15、該外ケース15内にあり内壁を形成する内ケース16、それら内外ケース15、16の上端部を形成する肩部材17、及び炊飯器1の底部を形成する底部材18を有している。
【0026】
前記外ケース15は、ステンレス等の金属製で、上下開口の円筒状からなり、炊飯器1の胴部を形成している。前記肩部材17は、樹脂製等からなり、容器本体2の上端部を形成するとともに、その後方側にはヒンジ機構12が設けられ、その外周側部には取手19が設けられる。
【0027】
容器本体2の内壁を形成する前記内ケース16は、内鍋25とほぼ同形状のW字状とされ、その底部中央には上方に突き出た突出部20が形成され、更に突出部20の中央には温度センサ21が突き出るためのセンサ貫通孔22が設けられる。
【0028】
また、内ケース16の外周上には、リング状の保温ヒータ23がアルミシートで張り付けられ、内部に収納される内鍋25を側部より保温する。そしてこれら外ケース15及び内ケース16は、肩部材17に対して図示しない係止片及び係止溝を用いた無理嵌め手段、及び図示しないビスによって強固に連結固定される。なお、内ケース16には、本願発明の主要部である電磁波漏洩低減材が混入または塗布されているが、詳細については後で述べる。
【0029】
炊飯器1の底部を形成する底部材18は、内ケース16同様の樹脂製で形成され、外ケース15に対して図示しない係止片及び係止溝を用いた無理嵌め手段によって取り付けられるとともに、その前方側には、複数の吸気口24が、その後方側には図示しない排気口が設けられる。
【0030】
内ケース16内には内鍋25が収納される。内鍋25は、内部に誘起される渦電流が大となる高磁性材料からなる鉄製、或いは磁性ステンレス等から形成するか、或いは、その全体を土鍋製とし、電磁誘導コイルの磁束が当たる底部にのみ表皮抵抗の大きい磁性ステンレスを圧着したり、鉄を溶着して形成したものを用いることができる。
【0031】
その全体は、内ケース16と同様の断面W字状を呈してなり、該内鍋25を内ケース16内に収納すると内鍋25の中央底面が、内ケース16の底部中央に形成されるセンサ貫通孔22を介して突出する温度センサ21の頂部を押圧する。すると該温度センサ21は、押し下げられ、制御回路を通電し、炊飯器1の加熱制御を可能にする。即ち、内鍋25を内ケース16内に収納しなければ、加熱制御が行われないように設定されている。
【0032】
温度センサ21は、公知のもので内鍋25のセット状態を検知する内鍋25の温度を検知するサーミスタからなる。内ケース16内に、飯米等の内容物を入れた内鍋25を収納し、その上方開口を蓋部材3で閉蓋し、電磁誘導コイルによる誘導加熱が行われる。
【0033】
前記内ケース16の下面底部及び側部には、それぞれ底部コイル26及びコーナーコイル27からなる電磁誘導コイルが配置され、これら底部コイル26及びコーナーコイル27はコイル台28により固定される。
【0034】
炊飯器1の前方側上方には、操作パネル29が設けられ、操作パネル29の下方近傍には、各種スイッチボタン30及び表示装置31等が配置される操作基板32が取り付けられている。
【0035】
また、炊飯器1の前方側下方には、電源基板33が立設する形態で取り付けられる。この電源基板33には、誘導加熱に必要なパワートランジスタ(IGBT)、各種駆動回路等の各種電子回路素子が取り付けられている。これら各種電子回路素子には、例えば前記IGBT等のように発熱する素子がある。そのため、電源基板33には、これら発熱素子の放熱を助けるためのヒートシンクとしての冷却フィン34及び該冷却フィン34を冷却するための冷却ファン35が取り付けられる。
【0036】
そしてこれらの操作装置、並びに各種電子回路素子により、前記底部コイル26、コーナーコイル27及び保温ヒータ23が制御され、最適な炊飯並びに保温制御が行われる。前記冷却ファン35は、各種電子回路素子等を最適な温度に維持するためのもので、底部材18の前方で冷却ファン35の下方に設けられる吸気口24から空気を吸引し、操作基板32、電源基板33及び底部コイル26、コーナーコイル27からなる電磁誘導コイル等を冷却する。
【0037】
ところで、底部コイル26及びコーナーコイル27からなる電磁誘導コイルで電磁誘導加熱を行なう場合、どうしても電磁波が外部に漏れるという問題が発生し、国内においても国外においても漏洩量を所定以下にする規定が設けられ、各製品とも例えば図5に示す手段を設ける等のそれなりの対策が施されている。
【0038】
本願発明は、従来のものに比べ簡単で安価な電磁波漏洩低減構造を提供するものである。具体的には、本願発明の電磁波漏洩低減構造は、内ケース16を成形する際、内ケース16の材料に電磁波吸収材または電磁波シールド材を混ぜて成形し、内ケース16内に電磁波吸収材または電磁波シールド材を混入したり、或いは、内ケース16を成形後、内ケース16の表面に電磁波吸収材または電磁波シールド材を混ぜた塗料を塗布するものである。なお、その他として、内ケース16を成形後、内ケース16の表面に電磁波吸収材または電磁波シールド材のシートを貼付したり等してもよい。
【0039】
電磁波吸収材は、例えば、カーボン粉末、ファイバー、フェライト等を用いることができる。電磁波吸収材は、電磁波を熱エネルギに変えて吸収し、外部への漏洩を低減する機能を有するものであり、この電磁波吸収材を内ケース16内に混入したり、或いは表面に塗布するとの簡単且つ安価な構造により、電磁波の外部への漏洩を低減することができるとともに、変換される熱エネルギにより内ケース16が暖められるため、炊飯器の特に保温工程においては保温効率が向上し、省エネに資することができるようになる。
【0040】
また、電磁波吸収材を粒子状にしたものを用いると、内ケース16の表面に多数の凹凸が形成され、全体の電磁波吸収材の表面積が増大し、その結果、電磁波吸収材の電磁波吸収効果がより高まるようになる。
【0041】
電磁波シールド材は、例えば、金属粉末等を用いることができる。電磁波シールド材は、電磁波を反射させて外部への漏洩を低減する機能を有するものであり、電磁波吸収材と同様に、この電磁波シールド材を内ケース16内に混入したり、或いは表面に塗布するとの簡単且つ安価な構造により、電磁波の外部への漏洩を低減することができる。
【0042】
また、電磁波シールド材として金属を細かく砕いた小片状のものを用いると、内ケース16の表面に多数の凹凸が形成され、全体の電磁波シールド材の表面積が増大し、その結果、電磁波シールド材の電磁波シールド効果がより高まるようになる。
【0043】
ところで、電磁波吸収材としてカーボンマイクロコイル(CMC)41を内包した直径1mm弱のビーズ状のもの(以下、CMCビーズという。)(シーエムシー技術開発株式会社製)が知られている。このCMCビーズ40は、図4にその概略断面図を示すように、複数個の直径数ミクロンの微少なコイル状炭素繊維をアクリル系のプラスチック樹脂(PMMA)に包んでビーズ状にしたものである。
【0044】
このCMC41は、導電性コイルであるため、それ自体でL−C−R共振回路を構成し、電磁波に共振し電磁波を効率的に熱エネルギに変換する機能等を有するものである。
【0045】
このCMCビーズ40を内ケース16内に混入したり、或いは表面に塗布するとの簡単且つ安価な構造により、電磁波の外部への漏洩をより確実に低減することができるとともに、変換される熱エネルギにより内ケース16が暖められるため、炊飯器1の特に保温工程における保温効率をより向上させることができる。CMCビーズ40は粒子状であり、内ケース16の表面に多数の凹凸が形成され、全体の電磁波吸収材の表面積を増大し、電磁波吸収効果をより高めることができるようになる。
【0046】
このCMCビーズ40は勿論のこと、電磁波吸収材または電磁波シールド材は、目的の周波数または周波数帯域を設定する電磁波吸収体の設計ができるものである。また、一般に、炊飯器1の電磁誘導コイルの出力周波数帯域は、20kHz乃至50kHzである。
【0047】
本発明者は、電磁波吸収材または電磁波シールド材の電磁波吸収周波数帯域を、炊飯器1の電磁誘導コイルの出力周波数帯域以外である20kHz以下及び50kHz以上にすることにより、炊飯器1の炊飯加熱能力を低下させることなく、それ以外の周波数帯域の電磁波の外部への漏洩を低減することができることを知見した。
【0048】
ところで、炊飯器1で炊飯を行なうと、内鍋25からツユやオネバがこぼれ落ちる場合があり、そのような場合、こぼれ落ちたツユやオネバは、内ケース16の側部内面を伝って底部に至り、底部中央に設けられるセンサ貫通孔22から容器本体2内の温度センサ21に流出する恐れが生じる。
【0049】
内ケース16のセンサ貫通孔22内周端部に、上方に突き出た突出部20を形成することにより、センサ貫通孔22からツユやオネバが排出することをある程度は防止することができる。しかし、ツユやオネバのこぼれ出る量が多くなると、突出部20のみでは十分といえない場合が生じる。このような場合であってもセンサ貫通孔22からツユやオネバが排出することを防止でき、且つ、電磁波の漏洩量をより低減できる例を以下に述べる。
【0050】
図2のものは、内ケース16の側部から底部にかけて複数のディンプル45を設けるものである。ディンプル45は円形で、側部ほど径が大きなものを配置し、底部に行くに従って径が小さなものを配置しているが、逆の配置でもよい。
【0051】
また、ディンプル45は、上から下に向けてへこんだ凹状のものでも、下から上に受けて突き出た凸状のものでもよく、凹状のものは、その中でツユやオネバを溜めて下流への流出を低減し、凸状のものは、その表面でツユやオネバをせき止めて下流への流出を低減する。
【0052】
この場合、凸状のものは、例えばリング状に設けるとともに、隣どおしの間隔を小さくして配置する必要があり、その数も必然的に多くなるが、凹状のものは、その中でツユやオネバを溜めることができるためその数及び大きさはいろいろ可変可能である。また、凹状のものの場合、内ケース16の側部より底部の穴の面積を大にするほどその中でツユやオネバを溜める効果は大になるため、図2と逆の配置、即ち、側部ほど径が小さなものを配置し、底部に行くに従って径が大きくなるようにするとよい。
【0053】
図2の例の場合であっても、内ケース16には電磁波吸収材または電磁波シールド材が混入または塗布されている。すると、内ケース16の凹凸面にも電磁波吸収材または電磁波シールド材が混入または塗布されることになる。してみると、電磁波吸収材または電磁波シールド材の表面積がより増大し、その結果、電磁波吸収効果または電磁波シールド効果がより高まることになる。
【0054】
図3に他の例を示す。図3のものは、内ケース16の側部から底部にかけて文字50を設けるものである。文字50は、注意喚起するもの等であり、上から下に向けてへこんだ凹状のものでも、下から上に受けて突き出た凸状のものでもよく、凹状のものは、その中でツユやオネバを溜めて下流への流出を低減し、凸状のものは、その表面でツユやオネバをせき止めて下流への流出を低減する。
【0055】
文字50の場合、凸状のものでは十分とは言えず、むしろ凹状のもののほうがよい。なお、文字は図3以外のものであってもよく、また、枠付き文字であってもよく、更には、文字以外のもの、例えば、柄、ブランドマーク等であってもよい。
【0056】
図3の例の場合であっても、内ケース16には電磁波吸収材または電磁波シールド材が混入または塗布されている。すると、内ケース16の凹凸面にも電磁波吸収材または電磁波シールド材が混入または塗布されることになる。してみると、図2のものと同様に、電磁波吸収材または電磁波シールド材の表面積がより増大し、その結果、電磁波吸収効果または電磁波シールド効果がより高まることになる。
【0057】
なお、図2及び図3に示すディンプル45及び文字50、更には柄、ブランドマーク等は、少なくとも内ケース16の底部に設けることが重要である。内ケース16の底部に設けることによりその効果を高めることができる。
【0058】
その他の例として、内ケース16の材料に空気層を持つ中空のガラス粒子を混ぜることにより、内ケース16の表面に凹凸を形成してもよい。この例の場合、ガラス粒子の空気層により断熱効果を高めることができる。このものにおいても電磁波吸収材または電磁波シールド材の表面積を増大することができ、その結果、電磁波吸収効果または電磁波シールド効果をより高めることができる。
【0059】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であり、例えば、凹凸を設ける手段としてディンプル45及び文字50等を説明したが、凹凸状のものであればどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 炊飯器 2 容器本体
3 蓋部材 4 上部材
5 下部材 6 内カバー
7 断熱材 8 調圧蓋
9 弁部材 10 蒸気通路
11 蒸気口 12 ヒンジ機構
13 ロック部材 15 外ケース
16 内ケース 17 肩部材
18 底部材 19 取手
20 突出部 21 温度センサ
22 センサ貫通孔 23 保温ヒータ
24 吸気口 25 内鍋
26 底部コイル 27 コーナーコイル
28 コイル台 29 操作パネル
30 スイッチボタン 31 表示装置
32 操作基板 33 電源基板
34 冷却フィン 35 冷却ファン
40 CMCビーズ 41 CMC
45 ディンプル 50 文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体上方の蓋部材と、前記容器本体内に設けられる内ケースと、前記内ケース内に収納される内鍋と、前記内ケースの下方に設けられる電磁誘導コイルとを有する炊飯器であって、
前記内ケースに、電磁波吸収材または電磁波シールド材を、混入または塗布することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記電磁波吸収材は、カーボンマイクロコイルを内包したビーズ状のものであることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記電磁波吸収材または電磁波シールド材は、前記電磁誘導コイルの出力周波数帯域を除く20kHz以下及び50kHz以上の漏洩を低減することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記内ケースの表面に凹凸を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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