説明

炊飯器

【課題】過熱蒸気を発生させる過程において突沸した水が、鍋内に流入することを防止できる炊飯器を提供すること。
【解決手段】鍋22を加熱する鍋加熱手段28と、炊飯器本体21を覆う蓋23と、水を収納する蒸気容器25と、蒸気容器25を加熱し蒸気を発生させる容器加熱手段26と、蒸気容器25で発生した蒸気を鍋22へ導く蒸気通路36Aと、蓋23と蒸気容器25との間をシールするシールパッキン39を備え、シールパッキン39には蒸気容器25で発生した蒸気を蒸気通路36A側へ導く蒸気出口39aを有し、シールパッキン39の蒸気出口39aを蒸気通路36Aの入口に対向しない位置に設けたことにより、蒸気容器25で突沸した水が、鍋22内に流入することを防止できることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は過熱蒸気を生成する過熱蒸気発生装置を備える炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の過熱蒸気発生装置を備える炊飯器としては、種々の構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図3は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。図3において、炊飯器本体1は、内部に米と水を収納する着脱自在な鍋2と、鍋2の開口部を覆う蓋3と、蓋3の鍋2側に固定され鍋2を密閉する内蓋4と、蒸気を発生させる蒸気発生手段5と、発生した蒸気を鍋2まで誘導する蒸気通路6とからなっている。
【0003】
炊飯器本体1内には、鍋2を誘導加熱するための加熱コイルからなる加熱手段7と、鍋2の温度を測定するためにバネ(図示せず)により鍋2に付勢された鍋温度検知手段8とが設置されている。蓋3には鍋2内の余分な蒸気を炊飯器本体1外へと排出するための蒸気筒9が設置され、内蓋4を誘導加熱するための加熱コイルからなる蓋加熱手段10が設置されている。内蓋4には、蒸気発生手段5により発生した蒸気を鍋2へ投入する蒸気投入孔11を備えている。
【0004】
蒸気発生手段5は、水を貯溜する着脱可能な蒸気容器12と、蒸気容器12を誘導加熱する加熱コイルからなる容器加熱手段13からなる。蒸気容器12は誘導加熱するために磁性金属の板を絞り成形して作製されたものである。容器加熱手段13は蒸気容器12の側方を加熱するよう蒸気容器12の側方に配置されており、容器収納部14に固定されている。蒸気通路6は蓋3内に固定されており、蒸気発生手段5の蒸気容器12と鍋2とを連通接続している。また、蒸気通路6と蒸気容器12との接続部はシール用のパッキンによって密閉されており、蒸気通路6と内蓋4との接続部においてもシール用のパッキンによって密閉されているため、蒸気容器12で発生した蒸気は漏れることなく、蒸気投入孔11からすべて鍋2内に投入される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−110132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の炊飯器の構成では、蒸気容器12とシ−ル用のパッキンの上方空間が狭くなっており、蒸気出口と蒸気通路6の間を遮断するものがなく繋がっているため、蒸気発生時の水泡の鍋2内侵入を低減することはできるが、蒸気容器12内の水を沸騰させた時に水が突沸し、突沸した水が蒸気通路6から鍋2内に流入するおそれがあり、ご飯の白化やふやけ等の炊飯性能の低下を引き起こしてしまうという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蒸気容器内の水を沸騰させた時に水が突沸しても、突沸した水が蒸気通路から鍋内に流入することを防止できる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、上面が開口した炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体を開閉自在に覆う蓋と、水を収納する蒸気容器と、前記蒸気容器に収納された水を加熱し蒸気を発生させる容器加熱手段と、前記蒸気容器で発生した蒸気を前記鍋へ導く蒸気通路と、前記鍋加熱手段および前記容器加熱手段を制御する炊飯制御部と、前記蓋と前記蒸気容器との間をシールするシールパッキンを備え、前記シールパッキンには前記蒸気容器で発生した蒸気を前記蒸気通路側へ導く蒸気出口を有し、前記シールパッキンの前記蒸気出口を前記蒸気通路の入口に対向しない位置に設けたものである。
【0009】
これによって、蒸気容器内の水を沸騰させた時に水が突沸しても、シールパッキンの蒸気出口を蒸気通路の入口に対向しない位置に設けたことにより、突沸した水が蒸気通路の入口から流入することが無く、蒸気通路から鍋内に流入することを防止できることとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炊飯器は、蒸気容器内の水を沸騰させた時に水が突沸しても、突沸した水が蒸気通路の入口から流入することが無く、蒸気通路から鍋内に流入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器を示す模式断面図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器を示す要部拡大断面図
【図3】従来の炊飯器を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体を開閉自在に覆う蓋と、水を収納する蒸気容器と、前記蒸気容器に収納された水を加熱し蒸気を発生させる容器加熱手段と、前記蒸気容器で発生した蒸気を前記鍋へ導く蒸気通路と、前記鍋加熱手段および前記容器加熱手段を制御する炊飯制御部と、前記蓋と前記蒸気容器との間をシールするシールパッキンを備え、前記シールパッキンには前記蒸気容器で発生した蒸気を前記蒸気通路側へ導く蒸気出口を有し、前記シールパッキンの前記蒸気出口を前記蒸気通路の入口に対向しない位置に設けたことにより、蒸気容器内の水を沸騰させた時に水が突沸しても、シールパッキンの蒸気出口を蒸気通路の入口に対向しない位置に設けたことにより、突沸した水が蒸気通路の入口から流入することが無く、蒸気通路から鍋内に流入することを防止できることとなる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明において、シールパッキンは蒸気容器と反対方向に突出した凸部を有し、前記凸部を形成する側部の最下点に蒸気出口が形成されたことにより、突沸した水が蒸気出口から流出した場合でも、蒸気出口がある傾斜面の最下点に流れ、シールパッキン内である蒸気容器側に逆戻りし、蒸気通路の入口から流入することが無いものである。
【0014】
第3の発明は、特に、第2の発明において、シールパッキンの蒸気出口は、蒸気通路の入口より蒸気容器側に配されたことにより、突沸した水が蒸気出口から流出した場合でも、蒸気出口が蒸気通路の入口より蒸気容器側である下方位置に位置することとなり、蒸気通路の入口から流入することが無いものである。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、シールパッキンと蒸気容器とを密着するように固定させる押さえリブを更に有し、前記押さえリブは、前記蒸気容器を介して鍋と反対方向の位置に配されたことにより、突沸した水が発生し、シールパッキンと蒸気容器との密着を解除しようと圧力が加わったとしても、突沸した水は押さえ
リブが配されていない方向である鍋側に誘導されることとなり、炊飯器本体から外に突沸時の水が飛び出すことを防止することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1を用いて、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の模式断面図を示すものである。
【0018】
図1において、本実施形態にかかる炊飯器は、内部に鍋収納部21aが形成された略有底筒状の炊飯器本体21と、鍋収納部21aに収納され、米と水が入れられる鍋22とを備えている。炊飯器本体21の上部には、炊飯器本体21の上部開口部を開閉可能な中空構造の蓋23が取り付けられている。蓋23の内側(鍋22の開口部を覆う側)には、鍋22の上部開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋(加熱板ともいう)24が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
炊飯器本体21の鍋収納部21aは、上枠21bとコイルベース21cとで構成されている。上枠21bは、収納された鍋22の側壁に対して所定の隙間が空くように配置される筒状部分21baと、筒状部分21baの上部から外方に突出し炊飯器本体21の上部開口部の内周部に嵌合するフランジ部21bbとを備えている。また、フランジ部21bbには、蒸気容器25を収納する蒸気容器収納部21bcが形成されている。
【0020】
蒸気容器25は、蒸気を生成するための水を入れる有底筒状の容器である。蒸気容器収納部21bcの外周面には、蒸気容器25を加熱(誘導加熱)する容器加熱手段の一例である蒸気容器加熱コイル26が取り付けられている。なお、蒸気容器加熱コイル26に代えて、ヒータにより蒸気容器25を加熱するように構成されてもよい。
【0021】
蒸気容器加熱コイル26が蒸気容器25を加熱することにより、蒸気容器25内の水が沸騰して、約100℃の蒸気が生成される。また、蒸気容器収納部21bcの側部には開口が設けられている。当該開口部分には、蒸気容器25の温度を測定するための蒸気容器温度センサ27が、蒸気容器収納部21bcに収納された蒸気容器25の側部に当接可能に配置されている。
【0022】
コイルベース21cは、鍋22の下部の形状に対応して有底筒状に形成され、その上部が上枠21bの筒状部分21baの下端部に取り付けられている。コイルベース21cの外周面には、鍋22を加熱(誘導加熱)する鍋加熱手段の一例である鍋底加熱ユニット28が取り付けられている。鍋底加熱ユニット28は、底内加熱コイル28aと底外加熱コイル28bとで構成されている。底内加熱コイル28aは、コイルベース21cを介して鍋22の底部の中央部周囲に対向するように配置されている。底外加熱コイル28bは、コイルベース21cを介して鍋22の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0023】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられている。当該開口部分には、鍋22の温度を測定するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサ29が、鍋収納部21aに収納された鍋22の底部に当接可能に配置されている。鍋22の温度は鍋22内の被炊飯物の温度と略同じであるので、鍋温度センサ29が鍋22の温度を検知することで、鍋22内の被炊飯物の温度を知ることができる。
【0024】
蓋23は、蓋23の外郭を構成する上外郭部材23aと下外郭部材23bとを備えてい
る。また、蓋23は、ヒンジ軸23Aを備えている。ヒンジ軸23Aは、蓋23の開閉軸であり、炊飯器本体21の上枠21bに両端部を回動自在に固定されている。蓋23には、その中央部付近を蓋23の厚み方向に貫通するように貫通穴23cが設けられ、当該貫通穴23cに蒸気筒30が着脱可能に取り付けられている。蒸気筒30の上壁及び底壁には、鍋22内の余分な蒸気を炊飯器の外部に排出できるように、蒸気逃がし孔30a,30bが設けられている。蓋23の内蓋24側の貫通穴23cの周囲には、環状のパッキン31が取り付けられている。パッキン31は、内蓋24が蓋23に取り付けられたときに、内蓋24に設けられた蒸気逃がし孔24aの周囲に密着するように設けられている。
【0025】
また、蓋23には、内蓋24の温度を検知する内蓋温度検知部の一例である内蓋温度センサ32が取り付けられている。蓋23の底壁となる下外郭部材23bの内面(蓋内側)には、内蓋24を誘導加熱する内蓋加熱装置の一例である内蓋加熱コイル33が取り付けられている。
【0026】
内蓋24は、誘導加熱が可能なステンレスなどの磁性体金属で構成されている。内蓋24の外周部の鍋22側の面には、環状のパッキン34が取り付けられている。パッキン34は、蓋23が閉状態にあるときに鍋22のフランジ部に密着するように設けられている。
【0027】
また、蓋23の内部には、鍋22内に100℃を超える過熱蒸気を投入するための過熱蒸気発生装置35が設けられている。過熱蒸気発生装置35は、蒸気容器25で発生した約100℃の蒸気を加熱して過熱蒸気を生成可能に構成されている。過熱蒸気発生装置35には、蒸気供給管36と過熱蒸気投入管37とが接続されている。
【0028】
また、過熱蒸気発生装置35には、過熱蒸気発生装置35で生成された過熱蒸気の温度を検知する過熱蒸気温度検知部の一例である過熱蒸気投入温度センサ38が当接している。
【0029】
蒸気供給管36は、蓋23が閉状態にあるときに蒸気容器25内と連通し、蒸気容器25内で発生した蒸気を過熱蒸気発生装置35へ導くように設けられている。
【0030】
蒸気供給管36の蒸気容器25側の端部には、シールパッキン39が取り付けられている。シールパッキン39は、蓋23が閉状態にあるときに蒸気容器25の蒸気容器フランジ部25aに密着するように設けられている。
【0031】
過熱蒸気投入管37は、蓋23が閉状態にあるときに内蓋24に設けられた過熱蒸気投入孔24bを通じて鍋22内と連通し、過熱蒸気発生装置35で生成された過熱蒸気を鍋22内へ投入するように設けられている。過熱蒸気投入管37の鍋22側の端部には、環状のパッキン40が取り付けられている。パッキン40は、蓋23が閉状態にあるときに内蓋24の過熱蒸気供給孔24bの周囲に密着するように設けられている。
【0032】
また、蓋23には、炊飯コース、炊飯時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部41と、白米コースや玄米コース、白米(柔らかめ)コースなどの複数の炊飯コースの中から特定の炊飯コースを選択可能な炊飯コース選択部の一例である操作部42とが設けられている。操作部42は、炊飯コースの選択の他、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示できるように、炊飯開始ボタンなどの複数のボタンで構成されている。使用者は、表示部41の表示内容を参照しつつ、操作部42にて特定の炊飯コースを選択し、炊飯開始を指示することができる。
【0033】
炊飯器本体21の内部には、炊飯制御部43が搭載されている。炊飯制御部43は、米
を炊飯するための炊飯シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「炊飯シーケンス」とは、予熱、昇温、沸騰維持、蒸らしの主として4つの工程からなり、各工程を順に行うにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。各炊飯シーケンスは、複数の炊飯コースのいずれかにそれぞれ対応している。炊飯制御部43は、操作部42にて選択された炊飯コース及び各温度センサ27,29,及び32の検知温度に基づいて、各部及び各装置の駆動を制御し、炊飯工程を実行する。また、炊飯制御部43は、操作部42にて選択された炊飯コース及び過熱蒸気投入温度センサ38の検知温度に基づいて、過熱蒸気を過熱蒸気発生装置35に生成させる。
【0034】
次に図2を用いて、蓋と蒸気容器をシールする構成について詳細を説明する。図2は、本発明の実施の形態1における炊飯器の図1の要部断面図を示すものである。
【0035】
図2において、蓋23が閉状態にあるときに蒸気供給管36は、蒸気容器25内と連通し、蒸気供給管36の蒸気容器25側の端部には、シールパッキン39が取り付けられている。シールパッキン39は、蓋23が閉状態にあるときに蒸気容器25の蒸気容器フランジ部25aに密着するように設けられている。これにより、シールパッキン39は、蓋23と蒸気容器25との間をシールすることとなる。
【0036】
シールパッキン39と蒸気容器25の上方空間は、従来例の2倍以上を確保し、シールパッキン39には蒸気容器25で発生した蒸気を蒸気通路36A側へ導く蒸気出口39aを有している。シールパッキン39の蒸気出口39aを蒸気通路36Aの入口に対向しない位置に設けている。本実施の形態では、出口と入口が同一方向を向いているが、これに限定されるものではなく、出口と入口が対向しない位置であればよいものである。
【0037】
シールパッキン39の天面39bを傾斜させ、天面39bより凸にしたところに蒸気出口39aを設け、さらに蒸気出口39aが傾斜面の最下点39cになるように構成している。つまり、シールパッキン39は蒸気容器25と反対方向に突出した凸部を有し、凸部を形成する側部の最下点39cに蒸気出口39aが形成されるものである。そして、シールパッキン39の蒸気出口39aは、蒸気通路36Aの入口より蒸気容器25側に配されている。換言すれば、蒸気出口39aの高さ方向の位置は蒸気通路36Aの入口の位置より低い位置に形成されている。
【0038】
シールパッキン39と蒸気容器25とを密着するように固定させるため、シールパッキン39と蒸気容器25のシ−ル部を押さえる押さえリブ23aを蓋23に設け、蓋23の製品外側になる範囲にのみ配設している。換言すれば、押さえリブ23aは、蒸気容器25を介して鍋22と反対方向の位置に配されたこととなる。
【0039】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0040】
まず、蒸気を発生させる場合には、炊飯制御部43は容器加熱手段26を動作させ、蒸気容器25を誘導加熱して蒸気を発生させる。こうして蒸気容器25から発生した蒸気は、シールパッキン39の蒸気出口39aから蒸気供給管36、蒸気通路36Aを通って、過熱蒸気発生装置35にてさらに加熱され、過熱蒸気投入管37を通って鍋22に供給される。
【0041】
ここで、蒸気容器25内の水を加熱する際、突沸などで跳ね上げられた水が、シールパッキン39の蒸気出口39aから蒸気供給管36に入り込み、水滴のまま蒸気通路36Aから過熱蒸気発生装置35や過熱蒸気投入管37をつたわって、蒸らし工程や保温工程において鍋22内に浸入すると、過熱蒸気投入管37の直下のご飯に水滴が接触し、ご飯の
熱を奪って不均一な加熱状態となり、最終的に過熱蒸気投入管37の直下のご飯を白化させたり、ふやけさせたりしてご飯の食味を低下してしまう恐れがある。
【0042】
そこで、シールパッキン39の蒸気出口39aを蒸気通路36Aの入口に対向しない位置に設けることにより、突沸した水がシールパッキン39の蒸気出口39aから流出した場合でも、突沸した水は、蒸気供給管36の側部に衝突し、流速が遅くなり、一旦流れが止められ、蒸気通路36Aへ直接流入するのを防止することができる。
【0043】
これによって、蒸気容器25内の水を沸騰させた時に水が突沸しても、シールパッキン39の蒸気出口39aを蒸気通路36Aの入口に対向しない位置に設けたことにより、突沸した水が蒸気通路36Aの入口から流入することが無く、蒸気通路36Aから鍋22内に流入することを防止できることとなる。
【0044】
シールパッキン39の天面39bを傾斜させ、天面39bより凸にしたところに蒸気出口39a部を設け、蒸気出口39aを傾斜面の最下点39cに設けることにより、突沸した水が蒸気出口39aから流出した場合でも、蒸気出口39aがある傾斜面の最下点39cに流れ、シールパッキン39内に逆戻りし、蒸気供給管36内に溜まることはない。
【0045】
つまり、シールパッキン39は蒸気容器25と反対方向に突出した凸部を有し、凸部を形成する側部の最下点39cに蒸気出口39aが形成されたことにより、突沸した水が蒸気出口39aから流出した場合でも、蒸気出口39aがある傾斜面の最下点39cに流れ、シールパッキン39内である蒸気容器25側に逆戻りし、蒸気通路36Aの入口から流入することが無いものである。
【0046】
また、シールパッキン39の蒸気出口39aは、蒸気通路36Aの入口より蒸気容器25側に配されたことにより、突沸した水が蒸気出口39aから流出した場合でも、蒸気出口39aが蒸気通路36Aの入口より蒸気容器25側である下方位置に位置することとなり、蒸気通路36Aの入口から流入することが無いものである。
【0047】
蒸気容器25とシールパッキン39の上方空間を従来例の2倍以上確保することにより、シールパッキン39の蒸気出口39aまで上方に距離があるので、水泡や突沸した水が蒸気出口39aから流出するのを低減することができる。
【0048】
また、シールパッキン39と蒸気容器25のシ−ル部を押さえる押さえリブ23aを蓋23の製品外側の範囲に設けることにより、突沸時の水の外側への飛び出しを防止することができる。
【0049】
つまり、シールパッキン39と蒸気容器25とを密着するように固定させる押さえリブ23aを有し、押さえリブ23aは、蒸気容器25を介して鍋22と反対方向の位置に配されたことにより、突沸した水が発生し、シールパッキン39と蒸気容器25との密着を解除しようと圧力が加わったとしても、突沸した水は押さえリブ23aが配されていない方向である鍋22側に誘導されることとなり、炊飯器本体21から外に突沸時の水が飛び出すことを防止することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態においては、蓋23と蒸気容器25をシールするシールパッキン39とシール構成を改善することにより、蒸気容器25内の突沸した水がシールパッキン39の蒸気出口39aまで撥ね上がり、蒸気供給管36から蒸気通路36Aを通って、過熱蒸気発生装置35や鍋22内まで浸入することを防ぐことができ、ご飯の白化やふやけ、ベチャ等を低減し、炊飯性能を向上することが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態では、蒸気加熱手段として、ヒ−タ−を使用した過熱蒸気発生装置を用いたが、例えば、蒸気加熱コイルを動作させ、蒸気加熱板を加熱する蒸気加熱手段であっても、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、蒸気を発生させる過程において、蒸気容器内の水を沸騰させる時に水が突沸し、突沸した水が直接蒸気通路から鍋内に浸入することを防止し、炊飯性能を向上させることが可能となるので、家庭用又は業務用の炊飯器にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
21 炊飯器本体
21a 鍋収納部
22 鍋
23 蓋
23a 押さえリブ
23A ヒンジ軸
24 内蓋
25 蒸気容器
25a 蒸気容器フランジ部
26 蒸気容器加熱コイル(容器加熱手段)
27 蒸気容器温度センサ
28 鍋底加熱ユニット(鍋加熱手段)
29 鍋温度センサ(鍋温度検知部)
30 蒸気筒
31,34,40 パッキン
32 内蓋温度センサ(内蓋温度検知部)
33 内蓋加熱コイル(内蓋加熱手段)
35 過熱蒸気発生装置
36 蒸気供給管
36A 蒸気通路
37 過熱蒸気投入管
38 過熱蒸気投入温度センサ(過熱蒸気温度検知部)
39 シールパッキン
39a 蒸気出口
39b 天面
39c 最下点
41 表示部
42 操作部
43 炊飯制御部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、
前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、
前記炊飯器本体を開閉自在に覆う蓋と、
水を収納する蒸気容器と、
前記蒸気容器に収納された水を加熱し蒸気を発生させる容器加熱手段と、
前記蒸気容器で発生した蒸気を前記鍋へ導く蒸気通路と、
前記鍋加熱手段および前記容器加熱手段を制御する炊飯制御部と、
前記蓋と前記蒸気容器との間をシールするシールパッキンを備え、
前記シールパッキンには前記蒸気容器で発生した蒸気を前記蒸気通路側へ導く蒸気出口を有し、前記シールパッキンの前記蒸気出口を前記蒸気通路の入口に対向しない位置に設けた炊飯器。
【請求項2】
シールパッキンは蒸気容器と反対方向に突出した凸部を有し、前記凸部を形成する側部の最下点に蒸気出口が形成された請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
シールパッキンの蒸気出口は、蒸気通路の入口より蒸気容器側に配された請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
シールパッキンと蒸気容器とを密着するように固定させる押さえリブを更に有し、
前記押さえリブは、前記蒸気容器を介して鍋と反対方向の位置に配された請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−187175(P2012−187175A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51205(P2011−51205)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】