炊飯器

【課題】安全性を確保しながらコンパクト化を実現した炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯器本体1の上面開口部3aを形成した上枠3と、上面開口部3aをヒンジ部28に軸支されて開閉する蓋体12と、制御基板18とを備え、制御基板18は上枠3のヒンジ部28略直下に位置し、上枠3のヒンジ部28にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、ヒンジバネ29係止用の貫通穴31をヒンジ軸部30下方に設け、上枠3裏面に断面コの字状で平面固着させ、本体内側壁2aに向っての一端をヒンジ軸部30下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面34とし、貫通穴31の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具33を備えたことにより、上枠3のヒンジ部強度を保ちつつ、上枠3の薄型を実現してコンパクト化を実現すると共に、上枠3のヒンジ部28から炊飯器本体1内部に水が侵入しても、制御基板18に水が付着することがなく安全性が確保できる。
【解決手段】炊飯器本体1の上面開口部3aを形成した上枠3と、上面開口部3aをヒンジ部28に軸支されて開閉する蓋体12と、制御基板18とを備え、制御基板18は上枠3のヒンジ部28略直下に位置し、上枠3のヒンジ部28にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、ヒンジバネ29係止用の貫通穴31をヒンジ軸部30下方に設け、上枠3裏面に断面コの字状で平面固着させ、本体内側壁2aに向っての一端をヒンジ軸部30下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面34とし、貫通穴31の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具33を備えたことにより、上枠3のヒンジ部強度を保ちつつ、上枠3の薄型を実現してコンパクト化を実現すると共に、上枠3のヒンジ部28から炊飯器本体1内部に水が侵入しても、制御基板18に水が付着することがなく安全性が確保できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、炊飯器本体をコンパクト化するために、炊飯器本体内の制御基板等の構造部品を、後方下部に纏めて設置している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された従来の炊飯器の一部破断側面図を示すものである。図6に示すように、上枠3と、内鍋4と、底誘導加熱コイル6と、制御基板18と、ヒートシンク23と、ファンモータ24と、保護枠75とから構成されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来の炊飯器は、本体外郭を構成する上枠3と、上枠3の後方部下方に、まず、内鍋4の加熱手段である底誘導加熱コイル6が付属する難燃性部材で構成された保護枠75を設置し、更に保護枠75の下方に、底誘導加熱コイル6を制御する制御基板18をその部品面及び半田面が略鉛直方向になるように設置し、その下方に、制御基板18を冷却するためのヒートシンク23と、ファンモータ24を設置したものである。
【0005】
この構成をとることにより、炊飯器本体内の前方部及び幅方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0006】
また、上記構成は、炊飯器本体の安全性も配慮されており、制御基板の上方の上枠に製品の落下等の異常事態でクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が炊飯器本体内部に浸入した場合にも、保護枠が制御基板の上方を覆うように構成されているので、制御基板に水が付着することを防止することができる。
【0007】
更には、部品面及び半田面が略鉛直方向になるように制御基板を設置する構成は、上枠だけでなく制御基板上方の保護枠にもクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が制御基板に浸入してきた場合においても、侵入してきた水が制御基板上に停滞することなく、下方に流れ落ちるように配慮し構成しているもので、制御基板上の大電流部のショートの可能性を少なくする構成である。
【0008】
また、保護枠を難燃性部材で構成することは、制御基板が破損し、発火した場合を想定したもので、保護枠が炎の障壁となり炊飯器の拡大延焼を防止するものである。
【0009】
以上のように、上記特許文献1に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【0010】
また、炊飯器の内鍋収納部の下方に基板等の構造部品を設置しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
図7は、特許文献2に記載された従来の炊飯器の斜視断面図を示すものである。図7に示すように、制御基板18と、基板ベース19と、水受け部19aと、水流し部19bと、貫通穴70と、内鍋収納部71とから構成されている。
【0012】
上記特許文献2に記載された従来の炊飯器は、底センサーセット用の貫通穴70、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を底面に有する内鍋収納部71と、内鍋収納部の下方に内鍋収
納部の底面と対向する面に水受け部19aと水流し部19bを有する基板ベース19と、基板ベース19の水受け部19aと水流し部19bを有する面の背面に制御基板18の部品面及び半田面が略水平方向になるように設置したものである。
【0013】
この構成をとることにより、炊飯器本体の左右方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0014】
また、基板ベースの水受け部と水流し部の構成は、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合を想定したもので、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合においても、制御基板に水が付着することを防止するものである。
【0015】
以上のように、特許文献2に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−56606号公報
【特許文献2】特開2007−312845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の構成では、保護枠は、その前方部に内鍋を加熱するための誘導加熱コイルを有し、その後方部には制御基板を設置する構成とその制御基板を設置する構成の直ぐ上方に制御基板に水が付着するのを防止する水受け構成を備えており、炊飯器本体の中層部を全域に跨る大きな部品であるため、成形時の反り対策(反り対策リブの配設、基本肉厚の増加)を講じていた。
【0018】
更には、炊飯器の下層部を構成するボディと直接ネジ締め構成で連結しているため、製品の落下時に、ボディが床面から受ける衝撃を受けやすい部品でもあり、落下時の衝撃対策(連結ボスの補強、基本肉厚増加)を講じていた。
【0019】
更には、底誘導加熱コイルの電気絶縁性、制御基板の難燃性の両方を確保する必要があり、一般樹脂材料より材料単価の高い材料で形成されていた。
【0020】
上記理由で、保護枠は、部品体積および重量が大きく、また、材料費も高い部品であるという課題を有していた。
【0021】
更には、上述のように保護枠が下方からの衝撃を受けやすい部品であったため、保護枠に設置した制御基板に衝撃が伝わり破損してしまうことがないようにするため、下方からの衝撃対策として、保護枠と制御基板との鉛直方向の隙間を、上方から落下により発生する反力対策として制御基板を設置する部位近傍の保護枠と上枠の鉛直方向の隙間を設ける必要性があったため、炊飯器本体の高さ方向が増加してしまい、炊飯器本体のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0022】
一方、前記特許文献2に記載された従来の構成では、内鍋収納部の下方に制御基板等の構成部品を設置するため、前記特許文献1に記載された従来の炊飯器の構成と同様に、製品の高さ方向のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0023】
更には、内鍋収納部の底面下方に底センサーセット用の貫通穴、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を有するため、誤って内鍋内の米や水を内鍋収納部に溢してしまうと、内鍋収納
部の下方に容易に水が浸入すると共に、制御基板の部品面及び半田面が略水平方向になるように構成されているため、製品の落下等の異常事態で基板ベースの水受け部と水流し部にクラックが発生した場合においては、基板ベースのクラックから侵入した水が制御基板上に停滞してしまい、制御基板の大電流部をショートしてしまう可能性が高い構成であった。
【0024】
更には、前述のように制御基板の大電流部がショートし、制御基板が破損し、その結果として制御基板が発火した場合においても、基板ベースが難燃性部材で構成されていないため、炊飯器への拡大延焼を引き起こす可能性がある構成であった。
【0025】
以上のような理由で、特許文献2に記載された従来の炊飯器の構成では、異常事態の安全性に課題を有していた。
【0026】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯器本体の安全性を確保しながら、炊飯器本体のコストを削減し、コンパクト化を実現した炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けたもので、前記貫通穴の下側を塞ぎつつ、穴から侵入した水を本体外側に導くべく、ヒンジ部直下から本体内側壁に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面を備え、かつ上枠裏面に固着される取付け平面部両端を断面コの字状としたヒンジ補強金具を設けることにより、上枠のヒンジ部強度を保ちつつ、従来上枠の補強のために多数のリブを上枠裏面のヒンジ部周辺に設けていたものを廃止することが可能となり、炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠のヒンジバネ係止部から炊飯器本体内部に水が侵入した場合でも、ヒンジ補強金具に水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。
【0028】
以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保しながら、低コストで、製品のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図2】本発明の実施の形態1における同炊飯器の基板ベースに制御基板を設置した状態の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態1における同炊飯器のヒンジ補強金具を設置した状態の底面側からの斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における(a)は同ヒンジ補強金具の単品斜視図(b)は水の流れを示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における同ヒンジ補強金具取付け状態を示す要部断面図
【図6】従来の炊飯器の一部破断側面図
【図7】従来の炊飯器の斜視断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けた炊飯器であって、前記上枠裏面に断面コの字状で平面固着させ、前記本体内側面に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面とし、前記貫通穴の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具を設けることにより、上枠のヒンジ部強度を保ちつつ、従来上枠の補強のために多数のリブを上枠裏面のヒンジ部周辺に設けていたものを廃止することが可能となり、コスト削減および炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠のヒンジバネ係止部から炊飯器本体内部に水が侵入した場合において、ヒンジ補強金具に水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【0032】
第2の発明は、特に、第1の発明の排水構成を、ヒンジ補強金具の下り排水傾斜面の両側端を断面コの字状に折り曲げて立上り部を設けたもので、ヒンジバネ係止部から浸入した水の流路を本体内側壁に限定することができ、制御基板に水が付着することを防止できるとともに、ヒンジ補強金具の強度も向上させることができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の側断面図、図2は、本発明の第1の実施の形態における同炊飯器の基板ベースに制御基板を設置した状態の要部断面図、図3は、本発明の第1の実施の形態における同炊飯器のヒンジ補強金具を設置した状態の底面側からの斜視図、図4は、本発明の第1の実施の形態における(a)は同ヒンジ補強金具の単品斜視図、(b)は水の流れを示す斜視図、図5は、本発明の第1の実施の形態における同ヒンジ補強金具取付け状態を示す要部断面図を示すものである。
【0035】
図1において、炊飯器本体1は、ボディ2及び上面開口部3aを有する上枠3から構成されており、その内部に、内鍋4を収納する保護枠5を設け、保護枠5の下方には、内鍋4を加熱する内鍋加熱手段である底誘導加熱コイル6と、内鍋4の温度を検知する内鍋温度検知手段である底センサー7を設置している。保護枠5は、下方をボディ2とネジ締め構成で連結し、上方を上枠3とネジ締め構成で連結している。
【0036】
保護枠5の炊飯器本体1での構成領域は、内鍋4の下方とボディ2および上枠3との連結部近傍でとどまり、炊飯器本体1の後方部(図1においては右側部)まで至っていない。内鍋4は、上枠3上に内鍋フランジ部15で載置され、底誘導加熱コイル6との距離を保っている。内鍋4の側面部には、内鍋4の側面を加熱する内鍋側面部加熱手段である側
面誘導加熱コイル9を設置している。
【0037】
蓋体12は、炊飯器本体1の上部を形成すると共に上枠3の上面開口部3aを自在に開閉する。蓋体12が閉じている状態では、フックレバー10との掛合により炊飯器本体1に支持されている。蓋体12の下部には、蓋加熱板11を設置し、内部には、蓋体12を加熱する蓋加熱板加熱手段である蓋誘導加熱コイル14と、蓋温度検知手段である蓋センサー13を、上部には、炊飯器本体1の入力装置である操作部40をそれぞれ配設している。
【0038】
蓋加熱板11には、内鍋フランジ部15と当接する内鍋シールパッキン16を設置し、内鍋4内の調理物17が加熱されることにより発生する蒸気等が漏れないようシールしている。
【0039】
制御基板18は、底センサー7、蓋センサー13の温度情報を基に各加熱手段への電流供給量を制御し、内鍋4への加熱量を調整する制御装置(図示せず)を備え、この制御基板18より発せられる信号を基に、内鍋4内の調理物17を、炊飯及び保温を行っている。なお、調理物17とは、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。なお、各加熱手段は、ヒーターであっても良い。
【0040】
図1、2、3に示すように、基板ベース19は、難燃性部材で成形され、1面が開口した角柱形状であり、開口面が略鉛直面となるように炊飯器本体1の後方の上枠3の直ぐ下方に保護枠5に固定されている。
【0041】
制御基板18は、半田面側20が、基板ベース19の制御基板設置面21と対向するように設置されている。また、制御基板18の半田面側20と基板ベース19との間には、一定の空間22が設けられており、この一定の空間22は、制御基板18に載せられた基板部品のリード端子(図示せず)やパターン(図示せず)と基板ベース19が直接接触するのを防止する役割を果たしている。
【0042】
制御基板18の設置は、制御基板18が、基板ベース19の制御基板設置面21に浮き等なく確実に固定するために、爪嵌合、フックへの引っ掛け、ネジ固定等で確実に固定している。前記構成は、水の付着、基板割れ等の異常事態により制御基板18が発火した場合においても、制御基板18の半田面側20から炊飯器本体1への拡大延焼を防止する意図で取られている。
【0043】
また、制御基板18は、その下方に基板部品を冷却するためのヒートシンク23と、ヒートシンク23の直ぐ下方に炊飯器本体1の外部の空気を炊飯器本体1内部に送り込むためのファンモータ24を備えている。ファンモータ24の回転を制御する制御基板25は、ファンモータ24の略中央部に設けられている。
【0044】
以上のように、制御基板18、基板ベース19、ヒートシンク23、ファンモータ24、制御基板25は、一体に纏まった状態で炊飯器本体1の後方部で、上枠3のヒンジ部28(後述する)の略直下に設置されている。
【0045】
図5に示すように、上枠3のヒンジ部28は開蓋方向に付勢するヒンジバネ29がヒンジ軸部30に軸支されて設けられ、ヒンジバネ29の一端を係止させるため、上枠3にはヒンジバネ29の係止用の貫通穴31がヒンジ軸部30の下方に設けられている。
【0046】
ヒンジバネ29係止用の貫通穴31の下側には、貫通穴31を囲むようにリブ壁32を、貫通穴31の側壁の延伸方向に略垂直下方に設け、リブ壁32下方側の開口を塞ぐよう
にヒンジ補強金具33を配する構成としている。
【0047】
また、図4および図5に示すように、ヒンジ補強金具33は上枠3のヒンジ部28下面にあって、内鍋4の近傍から貫通穴31近くまでを断面コの字形状の平面部37とし、上枠3に2本のネジで平面固着されている。
【0048】
ヒンジ補強金具33は、本体内側壁2aに向っての一端をヒンジ軸部30下側、即ち貫通穴31直下付近から折り曲げて下り傾斜の排水傾斜面34とし、炊飯器本体1内側面に向って延長することによって、貫通穴31下のリブ壁32下方側を塞ぐようにし、リブ壁32との間で排水通路を構成している。
【0049】
ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の両サイドを立ち上げて断面コの字形状とすることにより、金具の強度の向上とともに排水樋としての役割も図ることができる。
【0050】
ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の最下端部には垂直立ち上がり部38を設け、上枠3下部に設けた嵌入部3bに掛合させ、固定される。また、最下端部の両サイドに切り欠き35を設けて、排水通路を構成している。
【0051】
以上のように構成された炊飯器について、炊飯器の開蓋時などに振動や扱い方で、万一、上枠3のヒンジバネ係止用の貫通穴31から水が浸入した場合の動作、作用を以下に説明する。
【0052】
上枠3の貫通穴31に浸入した水は、直接或いは貫通穴31を囲むように貫通穴31の側壁方向に延伸されたリブ壁32を伝って、ヒンジ補強金具33に滴下する。
【0053】
ヒンジ補強金具33はヒンジ部直下から下り斜面の排水傾斜面34になっているため、図4(b)の矢印で示すように、滴下した水は排水傾斜面34に沿って本体内側壁2a方向に導かれる。ヒンジ補強金具33の切り欠き35から本体内側壁2aを伝って本体下面に設けた穴(図示せず)から排出され、制御基板18等に水が付着することがない。
【0054】
本体内側壁2aの当該部分には垂直方向の水のガイドリブなどを設けるとさらに効果的である。
【0055】
以上のように、上枠3のヒンジバネ係止用の貫通穴31から万一水が浸入した場合でも、制御基板18、ファンモータ24などの電気部品に付着することなく、安全に炊飯器本体1の外側に排出される。
【0056】
一方、図1及び図5で示して上述したように、上枠3のヒンジ部28に設けられたヒンジバネ29によって、蓋体12は開蓋方向に付勢されている。蓋体12が閉じている状態では、フックレバー10との係合により、ヒンジバネ29の付勢力に反して、蓋体12は閉蓋しているが、その間、ヒンジバネ29の一端を係止させるために設けられた、上枠3の貫通穴31に反力がかかる。
【0057】
また、閉蓋状態からフックレバー10との掛合を開放すると、蓋体12はヒンジバネ29によって開蓋方向に付勢され、ヒンジバネ29の解放状態で停止するが、その際、蓋体12の開蓋方向への慣性力がヒンジバネ29を通して貫通穴31にかかる。
【0058】
これらの力が貫通穴31を有する上枠3に繰り返し付与されることで、経年変化により、上枠3が反ってしまい、蓋体12とフックレバー10との掛合ができなくなり蓋体12が勝手に開いてしまったり、閉まりが悪くなってしまうことがある。
【0059】
そこで、蓋の開閉時に最も外力が加わって変形しやすく、また経年変化でも最も変形しやすいヒンジ部28の直下から内鍋4側に延ばしたヒンジ補強金具33の平面部37の断面をコの字形状の平面固着部とすることで、従来上枠の一部に設けていた多数の補強リブを廃止したり、リブの高さを低くすることが可能となり、高さ方向の寸法圧縮ができて、炊飯器本体1のコンパクト化がさらに実現できる。
【0060】
さらに、ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の両サイドを断面コの字状に壁を形成し、樋状にすることにより、金具としての強度アップと排水樋の効果をも得られるものである。
【0061】
以上のように本実施の形態においては、万一、上枠3のヒンジ部の貫通穴31から水が浸入した場合においても、制御基板18およびファンモータ24の制御基板25等に水が付着することがなく製品としての安全性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化が可能となるので、その他の調理機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 炊飯器本体
2 ボディ
2a 本体内側壁
3 上枠
3a 上面開口部
3b 嵌入部
4 内鍋
5 保護枠
6 底誘導加熱コイル
7 底センサー
9 側面誘導加熱コイル
10 フックレバー
11 蓋加熱板
12 蓋体
13 蓋センサー
14 蓋誘導加熱コイル
15 内鍋フランジ部
16 内鍋シールパッキン
17 調理物
18 制御基板
19 基板ベース
20 半田面側
21 制御基板設置面
22 一定の空間
23 ヒートシンク
24 ファンモータ
25 制御基板
28 ヒンジ部
29 ヒンジバネ
30 ヒンジ軸部
31 貫通穴
32 リブ壁
33 ヒンジ補強金具
34 排水傾斜面
35 切り欠き
37 平面部
38 垂直立ち上がり部
40 操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、炊飯器本体をコンパクト化するために、炊飯器本体内の制御基板等の構造部品を、後方下部に纏めて設置している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された従来の炊飯器の一部破断側面図を示すものである。図6に示すように、上枠3と、内鍋4と、底誘導加熱コイル6と、制御基板18と、ヒートシンク23と、ファンモータ24と、保護枠75とから構成されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来の炊飯器は、本体外郭を構成する上枠3と、上枠3の後方部下方に、まず、内鍋4の加熱手段である底誘導加熱コイル6が付属する難燃性部材で構成された保護枠75を設置し、更に保護枠75の下方に、底誘導加熱コイル6を制御する制御基板18をその部品面及び半田面が略鉛直方向になるように設置し、その下方に、制御基板18を冷却するためのヒートシンク23と、ファンモータ24を設置したものである。
【0005】
この構成をとることにより、炊飯器本体内の前方部及び幅方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0006】
また、上記構成は、炊飯器本体の安全性も配慮されており、制御基板の上方の上枠に製品の落下等の異常事態でクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が炊飯器本体内部に浸入した場合にも、保護枠が制御基板の上方を覆うように構成されているので、制御基板に水が付着することを防止することができる。
【0007】
更には、部品面及び半田面が略鉛直方向になるように制御基板を設置する構成は、上枠だけでなく制御基板上方の保護枠にもクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が制御基板に浸入してきた場合においても、侵入してきた水が制御基板上に停滞することなく、下方に流れ落ちるように配慮し構成しているもので、制御基板上の大電流部のショートの可能性を少なくする構成である。
【0008】
また、保護枠を難燃性部材で構成することは、制御基板が破損し、発火した場合を想定したもので、保護枠が炎の障壁となり炊飯器の拡大延焼を防止するものである。
【0009】
以上のように、上記特許文献1に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【0010】
また、炊飯器の内鍋収納部の下方に基板等の構造部品を設置しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
図7は、特許文献2に記載された従来の炊飯器の斜視断面図を示すものである。図7に示すように、制御基板18と、基板ベース19と、水受け部19aと、水流し部19bと、貫通穴70と、内鍋収納部71とから構成されている。
【0012】
上記特許文献2に記載された従来の炊飯器は、底センサーセット用の貫通穴70、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を底面に有する内鍋収納部71と、内鍋収納部の下方に内鍋収
納部の底面と対向する面に水受け部19aと水流し部19bを有する基板ベース19と、基板ベース19の水受け部19aと水流し部19bを有する面の背面に制御基板18の部品面及び半田面が略水平方向になるように設置したものである。
【0013】
この構成をとることにより、炊飯器本体の左右方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0014】
また、基板ベースの水受け部と水流し部の構成は、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合を想定したもので、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合においても、制御基板に水が付着することを防止するものである。
【0015】
以上のように、特許文献2に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−56606号公報
【特許文献2】特開2007−312845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の構成では、保護枠は、その前方部に内鍋を加熱するための誘導加熱コイルを有し、その後方部には制御基板を設置する構成とその制御基板を設置する構成の直ぐ上方に制御基板に水が付着するのを防止する水受け構成を備えており、炊飯器本体の中層部を全域に跨る大きな部品であるため、成形時の反り対策(反り対策リブの配設、基本肉厚の増加)を講じていた。
【0018】
更には、炊飯器の下層部を構成するボディと直接ネジ締め構成で連結しているため、製品の落下時に、ボディが床面から受ける衝撃を受けやすい部品でもあり、落下時の衝撃対策(連結ボスの補強、基本肉厚増加)を講じていた。
【0019】
更には、底誘導加熱コイルの電気絶縁性、制御基板の難燃性の両方を確保する必要があり、一般樹脂材料より材料単価の高い材料で形成されていた。
【0020】
上記理由で、保護枠は、部品体積および重量が大きく、また、材料費も高い部品であるという課題を有していた。
【0021】
更には、上述のように保護枠が下方からの衝撃を受けやすい部品であったため、保護枠に設置した制御基板に衝撃が伝わり破損してしまうことがないようにするため、下方からの衝撃対策として、保護枠と制御基板との鉛直方向の隙間を、上方から落下により発生する反力対策として制御基板を設置する部位近傍の保護枠と上枠の鉛直方向の隙間を設ける必要性があったため、炊飯器本体の高さ方向が増加してしまい、炊飯器本体のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0022】
一方、前記特許文献2に記載された従来の構成では、内鍋収納部の下方に制御基板等の構成部品を設置するため、前記特許文献1に記載された従来の炊飯器の構成と同様に、製品の高さ方向のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0023】
更には、内鍋収納部の底面下方に底センサーセット用の貫通穴、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を有するため、誤って内鍋内の米や水を内鍋収納部に溢してしまうと、内鍋収納
部の下方に容易に水が浸入すると共に、制御基板の部品面及び半田面が略水平方向になるように構成されているため、製品の落下等の異常事態で基板ベースの水受け部と水流し部にクラックが発生した場合においては、基板ベースのクラックから侵入した水が制御基板上に停滞してしまい、制御基板の大電流部をショートしてしまう可能性が高い構成であった。
【0024】
更には、前述のように制御基板の大電流部がショートし、制御基板が破損し、その結果として制御基板が発火した場合においても、基板ベースが難燃性部材で構成されていないため、炊飯器への拡大延焼を引き起こす可能性がある構成であった。
【0025】
以上のような理由で、特許文献2に記載された従来の炊飯器の構成では、異常事態の安全性に課題を有していた。
【0026】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯器本体の安全性を確保しながら、炊飯器本体のコストを削減し、コンパクト化を実現した炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けたもので、前記貫通穴の下側を塞ぎつつ、穴から侵入した水を本体外側に導くべく、ヒンジ部直下から本体内側壁に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面を備え、かつ上枠裏面に固着される取付け平面部両端を断面コの字状としたヒンジ補強金具を設けることにより、上枠のヒンジ部強度を保ちつつ、従来上枠の補強のために多数のリブを上枠裏面のヒンジ部周辺に設けていたものを廃止することが可能となり、炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠のヒンジバネ係止部から炊飯器本体内部に水が侵入した場合でも、ヒンジ補強金具に水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。
【0028】
以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保しながら、低コストで、製品のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図2】本発明の実施の形態1における同炊飯器の基板ベースに制御基板を設置した状態の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態1における同炊飯器のヒンジ補強金具を設置した状態の底面側からの斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における(a)は同ヒンジ補強金具の単品斜視図(b)は水の流れを示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における同ヒンジ補強金具取付け状態を示す要部断面図
【図6】従来の炊飯器の一部破断側面図
【図7】従来の炊飯器の斜視断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けた炊飯器であって、前記上枠裏面に断面コの字状で平面固着させ、前記本体内側面に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面とし、前記貫通穴の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具を設けることにより、上枠のヒンジ部強度を保ちつつ、従来上枠の補強のために多数のリブを上枠裏面のヒンジ部周辺に設けていたものを廃止することが可能となり、コスト削減および炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠のヒンジバネ係止部から炊飯器本体内部に水が侵入した場合において、ヒンジ補強金具に水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【0032】
第2の発明は、特に、第1の発明の排水構成を、ヒンジ補強金具の下り排水傾斜面の両側端を断面コの字状に折り曲げて立上り部を設けたもので、ヒンジバネ係止部から浸入した水の流路を本体内側壁に限定することができ、制御基板に水が付着することを防止できるとともに、ヒンジ補強金具の強度も向上させることができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の側断面図、図2は、本発明の第1の実施の形態における同炊飯器の基板ベースに制御基板を設置した状態の要部断面図、図3は、本発明の第1の実施の形態における同炊飯器のヒンジ補強金具を設置した状態の底面側からの斜視図、図4は、本発明の第1の実施の形態における(a)は同ヒンジ補強金具の単品斜視図、(b)は水の流れを示す斜視図、図5は、本発明の第1の実施の形態における同ヒンジ補強金具取付け状態を示す要部断面図を示すものである。
【0035】
図1において、炊飯器本体1は、ボディ2及び上面開口部3aを有する上枠3から構成されており、その内部に、内鍋4を収納する保護枠5を設け、保護枠5の下方には、内鍋4を加熱する内鍋加熱手段である底誘導加熱コイル6と、内鍋4の温度を検知する内鍋温度検知手段である底センサー7を設置している。保護枠5は、下方をボディ2とネジ締め構成で連結し、上方を上枠3とネジ締め構成で連結している。
【0036】
保護枠5の炊飯器本体1での構成領域は、内鍋4の下方とボディ2および上枠3との連結部近傍でとどまり、炊飯器本体1の後方部(図1においては右側部)まで至っていない。内鍋4は、上枠3上に内鍋フランジ部15で載置され、底誘導加熱コイル6との距離を保っている。内鍋4の側面部には、内鍋4の側面を加熱する内鍋側面部加熱手段である側
面誘導加熱コイル9を設置している。
【0037】
蓋体12は、炊飯器本体1の上部を形成すると共に上枠3の上面開口部3aを自在に開閉する。蓋体12が閉じている状態では、フックレバー10との掛合により炊飯器本体1に支持されている。蓋体12の下部には、蓋加熱板11を設置し、内部には、蓋体12を加熱する蓋加熱板加熱手段である蓋誘導加熱コイル14と、蓋温度検知手段である蓋センサー13を、上部には、炊飯器本体1の入力装置である操作部40をそれぞれ配設している。
【0038】
蓋加熱板11には、内鍋フランジ部15と当接する内鍋シールパッキン16を設置し、内鍋4内の調理物17が加熱されることにより発生する蒸気等が漏れないようシールしている。
【0039】
制御基板18は、底センサー7、蓋センサー13の温度情報を基に各加熱手段への電流供給量を制御し、内鍋4への加熱量を調整する制御装置(図示せず)を備え、この制御基板18より発せられる信号を基に、内鍋4内の調理物17を、炊飯及び保温を行っている。なお、調理物17とは、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。なお、各加熱手段は、ヒーターであっても良い。
【0040】
図1、2、3に示すように、基板ベース19は、難燃性部材で成形され、1面が開口した角柱形状であり、開口面が略鉛直面となるように炊飯器本体1の後方の上枠3の直ぐ下方に保護枠5に固定されている。
【0041】
制御基板18は、半田面側20が、基板ベース19の制御基板設置面21と対向するように設置されている。また、制御基板18の半田面側20と基板ベース19との間には、一定の空間22が設けられており、この一定の空間22は、制御基板18に載せられた基板部品のリード端子(図示せず)やパターン(図示せず)と基板ベース19が直接接触するのを防止する役割を果たしている。
【0042】
制御基板18の設置は、制御基板18が、基板ベース19の制御基板設置面21に浮き等なく確実に固定するために、爪嵌合、フックへの引っ掛け、ネジ固定等で確実に固定している。前記構成は、水の付着、基板割れ等の異常事態により制御基板18が発火した場合においても、制御基板18の半田面側20から炊飯器本体1への拡大延焼を防止する意図で取られている。
【0043】
また、制御基板18は、その下方に基板部品を冷却するためのヒートシンク23と、ヒートシンク23の直ぐ下方に炊飯器本体1の外部の空気を炊飯器本体1内部に送り込むためのファンモータ24を備えている。ファンモータ24の回転を制御する制御基板25は、ファンモータ24の略中央部に設けられている。
【0044】
以上のように、制御基板18、基板ベース19、ヒートシンク23、ファンモータ24、制御基板25は、一体に纏まった状態で炊飯器本体1の後方部で、上枠3のヒンジ部28(後述する)の略直下に設置されている。
【0045】
図5に示すように、上枠3のヒンジ部28は開蓋方向に付勢するヒンジバネ29がヒンジ軸部30に軸支されて設けられ、ヒンジバネ29の一端を係止させるため、上枠3にはヒンジバネ29の係止用の貫通穴31がヒンジ軸部30の下方に設けられている。
【0046】
ヒンジバネ29係止用の貫通穴31の下側には、貫通穴31を囲むようにリブ壁32を、貫通穴31の側壁の延伸方向に略垂直下方に設け、リブ壁32下方側の開口を塞ぐよう
にヒンジ補強金具33を配する構成としている。
【0047】
また、図4および図5に示すように、ヒンジ補強金具33は上枠3のヒンジ部28下面にあって、内鍋4の近傍から貫通穴31近くまでを断面コの字形状の平面部37とし、上枠3に2本のネジで平面固着されている。
【0048】
ヒンジ補強金具33は、本体内側壁2aに向っての一端をヒンジ軸部30下側、即ち貫通穴31直下付近から折り曲げて下り傾斜の排水傾斜面34とし、炊飯器本体1内側面に向って延長することによって、貫通穴31下のリブ壁32下方側を塞ぐようにし、リブ壁32との間で排水通路を構成している。
【0049】
ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の両サイドを立ち上げて断面コの字形状とすることにより、金具の強度の向上とともに排水樋としての役割も図ることができる。
【0050】
ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の最下端部には垂直立ち上がり部38を設け、上枠3下部に設けた嵌入部3bに掛合させ、固定される。また、最下端部の両サイドに切り欠き35を設けて、排水通路を構成している。
【0051】
以上のように構成された炊飯器について、炊飯器の開蓋時などに振動や扱い方で、万一、上枠3のヒンジバネ係止用の貫通穴31から水が浸入した場合の動作、作用を以下に説明する。
【0052】
上枠3の貫通穴31に浸入した水は、直接或いは貫通穴31を囲むように貫通穴31の側壁方向に延伸されたリブ壁32を伝って、ヒンジ補強金具33に滴下する。
【0053】
ヒンジ補強金具33はヒンジ部直下から下り斜面の排水傾斜面34になっているため、図4(b)の矢印で示すように、滴下した水は排水傾斜面34に沿って本体内側壁2a方向に導かれる。ヒンジ補強金具33の切り欠き35から本体内側壁2aを伝って本体下面に設けた穴(図示せず)から排出され、制御基板18等に水が付着することがない。
【0054】
本体内側壁2aの当該部分には垂直方向の水のガイドリブなどを設けるとさらに効果的である。
【0055】
以上のように、上枠3のヒンジバネ係止用の貫通穴31から万一水が浸入した場合でも、制御基板18、ファンモータ24などの電気部品に付着することなく、安全に炊飯器本体1の外側に排出される。
【0056】
一方、図1及び図5で示して上述したように、上枠3のヒンジ部28に設けられたヒンジバネ29によって、蓋体12は開蓋方向に付勢されている。蓋体12が閉じている状態では、フックレバー10との係合により、ヒンジバネ29の付勢力に反して、蓋体12は閉蓋しているが、その間、ヒンジバネ29の一端を係止させるために設けられた、上枠3の貫通穴31に反力がかかる。
【0057】
また、閉蓋状態からフックレバー10との掛合を開放すると、蓋体12はヒンジバネ29によって開蓋方向に付勢され、ヒンジバネ29の解放状態で停止するが、その際、蓋体12の開蓋方向への慣性力がヒンジバネ29を通して貫通穴31にかかる。
【0058】
これらの力が貫通穴31を有する上枠3に繰り返し付与されることで、経年変化により、上枠3が反ってしまい、蓋体12とフックレバー10との掛合ができなくなり蓋体12が勝手に開いてしまったり、閉まりが悪くなってしまうことがある。
【0059】
そこで、蓋の開閉時に最も外力が加わって変形しやすく、また経年変化でも最も変形しやすいヒンジ部28の直下から内鍋4側に延ばしたヒンジ補強金具33の平面部37の断面をコの字形状の平面固着部とすることで、従来上枠の一部に設けていた多数の補強リブを廃止したり、リブの高さを低くすることが可能となり、高さ方向の寸法圧縮ができて、炊飯器本体1のコンパクト化がさらに実現できる。
【0060】
さらに、ヒンジ補強金具33の排水傾斜面34の両サイドを断面コの字状に壁を形成し、樋状にすることにより、金具としての強度アップと排水樋の効果をも得られるものである。
【0061】
以上のように本実施の形態においては、万一、上枠3のヒンジ部の貫通穴31から水が浸入した場合においても、制御基板18およびファンモータ24の制御基板25等に水が付着することがなく製品としての安全性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化が可能となるので、その他の調理機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 炊飯器本体
2 ボディ
2a 本体内側壁
3 上枠
3a 上面開口部
3b 嵌入部
4 内鍋
5 保護枠
6 底誘導加熱コイル
7 底センサー
9 側面誘導加熱コイル
10 フックレバー
11 蓋加熱板
12 蓋体
13 蓋センサー
14 蓋誘導加熱コイル
15 内鍋フランジ部
16 内鍋シールパッキン
17 調理物
18 制御基板
19 基板ベース
20 半田面側
21 制御基板設置面
22 一定の空間
23 ヒートシンク
24 ファンモータ
25 制御基板
28 ヒンジ部
29 ヒンジバネ
30 ヒンジ軸部
31 貫通穴
32 リブ壁
33 ヒンジ補強金具
34 排水傾斜面
35 切り欠き
37 平面部
38 垂直立ち上がり部
40 操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部略直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けた炊飯器であって、前記上枠裏面に断面コの字状で平面固着させ、前記本体内側面に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面とし、前記貫通穴の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記下り排水傾斜面を、断面コの字状の水受け部とした傾斜面で構成し、最下端部に水抜き隙間を形成させた請求項1に記載の炊飯器。
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部をヒンジ部に軸支されて自在にヒンジ開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板とを備え、前記制御基板は前記上枠の前記ヒンジ部略直下に位置し、前記上枠の前記ヒンジ部にはヒンジバネを開蓋方向に付勢すべく備えると共に、前記ヒンジバネ係止用の貫通穴をヒンジ軸部下方に設けた炊飯器であって、前記上枠裏面に断面コの字状で平面固着させ、前記本体内側面に向っての一端を前記ヒンジ軸部下側付近から折り曲げて下り排水傾斜面とし、前記貫通穴の下側を塞ぐよう形成させたヒンジ補強金具を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記下り排水傾斜面を、断面コの字状の水受け部とした傾斜面で構成し、最下端部に水抜き隙間を形成させた請求項1に記載の炊飯器。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【公開番号】特開2012−50493(P2012−50493A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193446(P2010−193446)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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