説明

炊飯器

【課題】温度検知部と鍋に異物が挟まったことを検知して加熱制御できる炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯器本体の内部に収納される鍋1と、鍋1の底部を加熱する加熱装置3と、鍋1の温度を検知する鍋温度検知部4と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部2と、鍋温度検知部4で検知した温度から加熱装置3を制御して炊飯動作を行う制御部5とを備え、制御部5は、炊飯開始直後に行われる吸水工程における所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、鍋温度検知部4の検知温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、炊飯終了後に表示部2に表示を行うことにより、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知できるため検知時の鍋内にはまだ米と水の状態であり、沸騰させることなく焦げや異常発熱を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器はマイクロコンピュータを使用し、調理物の温度を測定しながら温度の変化を検知し、センサの異常を検知した場合、ヒータ等の動作を制御し安全にご飯が炊けるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の炊飯器のブロック図を示すものである。
【0004】
図7に示すように、米と水とを入れる鍋201と、鍋201を加熱する加熱手段202と、鍋201内の温度を検知する温度検知手段203と、鍋201内の水の沸騰を検知する沸騰検知手段204と、加熱手段202を制御し通常炊飯の動作を行わせる行程を記憶している第1の制御記憶手段205と、炊飯動作が異常な場合に加熱手段202を制御する行程を記憶している第2の制御記憶手段206と、行程切り替え手段207から構成されている。
【0005】
行程切り替え手段207は、沸騰検知手段204からの入力を受け、鍋201内の水が沸騰した後に温度検知手段203の検知温度が所定の温度を下回ったときに炊飯動作の行程を第1の制御記憶手段205から第2の制御記憶手段206へ移し、一定の弱い火力にするか火力を停止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−308571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、鍋内の水が沸騰した後に温度検知手段の検知温度が所定の温度を下回ったときに、火力を停止または炊き上げ温度まで一定の弱い火力にすることで黒焦げを防止し安全に炊くということはできるが、沸騰検知した後でしか異物を検知することができず焦げ防止や安全性に課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、鍋温度検知部と鍋の間に異物が介在して温度検知が上手く働かなくても鍋内の水が沸騰する前に異物の検知を行うことにより、安全な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋の底部を加熱する加熱装置と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知部と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部と、前記鍋温度検知部で検知した温度から前記加熱装置を制御して炊飯動作を行う制御部とを備え、前記制御部は、炊飯開始直後に行われる吸水工程における所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、炊飯終了後に前記表示部に表示を行うとしたものである。
【0010】
これによって、鍋温度検知部と鍋の間に異物が介在していることを炊飯直後の吸水工程
において検知することができ、鍋温度検知部の異物により温度検知が上手く働かなくても鍋内の水が沸騰する前に異物の検知ができ、焦げや異常発熱を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炊飯器は、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知できるため検知時の鍋内にはまだ米と水の状態であり、沸騰させることなく焦げや異常発熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器のシーケンスを示す図
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器のシーケンスを示す図
【図5】本発明の実施の形態3における炊飯器のシーケンスを示す図
【図6】本発明の実施の形態4における炊飯器のシーケンスを示す図
【図7】従来の炊飯器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋の底部を加熱する加熱装置と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知部と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部と、前記鍋温度検知部で検知した温度から前記加熱装置を制御して炊飯動作を行う制御部とを備え、前記制御部は、炊飯開始直後に行われる吸水工程における所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、炊飯終了後に前記表示部に表示を行うことにより、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知できるため検知時の鍋内にはまだ米と水の状態であり、沸騰させることなく焦げや異常発熱を防止することができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、所定第2の吸水温度に保つ加熱制御を行うことにより、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から鍋検知温度を補正した温度で吸水工程を実施することができるため、焦げや異常発熱を防止するとともにおいしく炊くために必要な最適の火力を与えてご飯を炊くことができる。
【0015】
第3の発明は、特に、第2の発明の前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、前記所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変させたことにより、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から鍋検知温度を、異物による鍋温度検知部の検知温度のズレ幅を細かく検知し補正することで、より正確にした吸水温度で吸水工程を実施することができるため、焦げや異常発熱を防止するとともにおいしく炊くために必要な最適の火力を与えてご飯を炊くことができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第3の発明の前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、前記所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変さ
せるとともに、炊き上げ温度を正常時に比べ低くした温度で炊き上げ動作を行うことにより、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から鍋検知温度を、異物による鍋温度検知部の検知温度のズレ幅を細かく検知し補正することで、より正確にした吸水温度で吸水工程を実施することができるとともに、炊き上げ温度を低くすることで焦げや異常発熱を防止するとともにおいしく炊くために必要な最適の火力を与えてご飯を炊くことができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器のブロック図、図2は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。
【0019】
図1に示すように、米と水を入れる鍋1を加熱装置3により加熱し、鍋1の温度を鍋温度検知部4により検知するとともに、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部2をそなえ、制御部5によって加熱装置3を駆動制御して所定火力で炊飯動作を行う。
【0020】
図2は炊飯器の断面図を示したもので、炊飯器本体の内部に鍋1が収納されている。鍋1の底部を加熱する加熱装置3として底ヒータ103、鍋1の温度を検知する鍋温度検知部4として底温度センサ104が鍋1底部に配されている。底温度センサ104は、上下自在に動くように鍋1底面に当接して配されている。また、鍋1を開閉自在に覆う蓋102の温度を検知する蓋温度センサ105が蓋102内部に配されている。
【0021】
底温度センサ104、蓋温度センサ105はともに温度の変化量を抵抗値に変換する温度抵抗素子からなっている。蓋温度センサ105は、間接的に鍋1内の水(水蒸気)の温度変化を検知する。
【0022】
蓋102表面には、炊飯メニュー選択キーや入切キー等の入力装置106aと、炊飯状態を表示する液晶表示素子101とをそなえている。液晶表示素子101は、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部2としても用いられる。
【0023】
蓋102内部の制御装置106及び本体内部の側面に取り付けられた制御装置107は、底温度センサ104、蓋温度センサ105で検知した温度や、入力装置106aから入力された指示に応じて、底ヒータ103を駆動する駆動装置を制御して鍋1を加熱し炊飯動作を行うマイクロコンピュ−タ等の回路基板に組み込まれて構成されている。
【0024】
制御装置106、107は、炊飯開始直後に行われる吸水工程において、所定の第1の吸水温度に保つために加熱装置3(底ヒータ103)のON−OFFの加熱制御を行い、鍋温度検知部4(底温度センサ104)で検知した温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が介在していると判定し、炊飯終了後に表示部2(液晶表示素子101)にその旨、表示を行う。
【0025】
以上のように構成された炊飯器について、図3を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器のシーケンスを示す図である。
【0027】
炊飯開始直後に行われる吸水工程では、鍋1内の温度を約45℃で15分間維持するよ
うに加熱制御することで米に水が吸水され米に芯が残らないように糊化させることができる。
【0028】
そこでまず、吸水工程において、制御装置106、107は、鍋1内の底温度センサ104が所定の第1の吸水温度、約45℃に維持されるように、底ヒータ103を連続加熱(ヒータON)させる。
【0029】
制御装置106、107は、底温度センサ104が45℃に達したならば底ヒータ103の通電を切る(ヒータOFF)。このとき底ヒータ103の通電を切っても底温度センサ104は少しの間オーバーシュートを起こし温度の上昇が起きる。
【0030】
この上昇した温度がオーバーシュート後、ヒータOFFにより再び下降し45℃を切ったときに、制御装置106、107は、底ヒータ103の通電を再開する。このヒータON動作により底温度センサ104の温度が上昇をはじめる。
【0031】
このように鍋1内の温度を約45℃に維持するため、底温度センサ104の検知温度を約45℃に制御しようとしたとき、底ヒータ103のON−OFFの加熱制御では、タイムラグが発生し、所定の第1の吸水温度(約45℃)を挟んで、ある温度幅をもってばらつく。
【0032】
この底温度センサ104の上限値と下限値の差(温度ばらつき幅)は正常な場合、約10℃程度(室温が低温の場合10℃以上)の幅が確認できる。これは、底ヒータ103で加熱しても鍋1の底温度が上昇するだけで、底ヒータ103からの加熱を停止すると鍋1内の低い温度に下げられてしまうために起きる。
【0033】
この温度ばらつき幅が正常値よりも小さい場合(例えば、約4℃以下)、鍋1内の低い温度が十分伝わらず下げることができないと判断できる。つまり、底温度センサ104と鍋1の間に異物が介在していると判定できるため、加熱を停止した後、液晶表示素子101に「センサ異常」の表示を行う。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が介在していることを炊飯直後の吸水工程において検知することができ、鍋温度検知部4(底温度センサ104)に付着した異物により温度検知が上手く働かなくても、鍋1内の水が沸騰する前に異物の検知ができ、焦げや異常発熱を防止することができる。
【0035】
(実施の形態2)
本実施の形態における炊飯器のブロック図及び炊飯器の断面図は、実施の形態1と同様であるので、重複する説明は省略し、差異のみ説明する。
【0036】
制御装置106、107は、炊飯開始直後に行われる吸水工程において、所定の第1の吸水温度に保つために加熱装置3(底ヒータ103)のON−OFFの加熱制御を行い、鍋温度検知部4(底温度センサ104)で検知した温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が介在し、温度入力が正確にできていないと判定し、設定吸水温度を所定第1の吸水温度から所定第2の吸水温度へ変更した加熱制御を行う構成としている。
【0037】
以上のように構成された炊飯器について、図4を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0038】
図4は、本発明の第2の実施の形態の炊飯器のシーケンスを示す図である。
【0039】
炊飯開始直後に行われる吸水工程では、鍋1内の温度を約45℃で15分間維持するように加熱制御することで米に水が吸水され米に芯が残らないように糊化させることができる。
【0040】
そこでまず、吸水工程において、制御装置106、107は、鍋1内の底温度センサ104が所定の第1の吸水温度、約45℃に維持されるように、底ヒータ103を連続加熱(ヒータON)させる。
【0041】
制御装置106、107は、底温度センサ104が45℃に達したならば底ヒータ103の通電を切る(ヒータOFF)。このとき底ヒータ103の通電を切っても底温度センサ104は少しの間オーバーシュートを起こし温度の上昇が起きる。
【0042】
この上昇した温度がオーバーシュート後、ヒータOFFにより再び下降し45℃を切ったときに、制御装置106、107は、底ヒータ103の通電を再開する。このヒータON動作により底温度センサ104の温度が上昇をはじめる。
【0043】
このように鍋1内の温度を約45℃に維持するため、底温度センサ104の検知温度を約45℃に制御しようとしたとき、底ヒータ103のON−OFFの加熱制御では、タイムラグが発生し、所定の第1の吸水温度(約45℃)を挟んで、ある温度幅をもってばらつく。
【0044】
この底温度センサ104の上限値と下限値の差(温度ばらつき幅)は正常な場合、約10℃程度(室温が低温の場合10℃以上)の幅が確認できる。これは、底ヒータ103で加熱しても鍋1の底温度が上昇するだけで、底ヒータ103からの加熱を停止すると鍋1内の低い温度に下げられてしまうために起きる。
【0045】
この温度ばらつき幅が正常値よりも小さい場合(例えば、約6℃以下)、鍋1内の低い温度が十分伝わらず下げることができないと判断できる。つまり、底温度センサ104と鍋1の間に異物が介在していると判定できるため、吸水工程の底温度センサ104が所定第2の吸水温度(例えば、約38℃)に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0046】
底温度センサ104に介在している異物のために、異物のない正常なセンシングの加熱量より大きく加熱されてしまうため、吸水工程の制御温度を低く設定し直すことで吸水工程トータルの加熱量を補正している。吸水工程終了後は炊き上げ工程へ進む。
【0047】
以上のように、本実施の形態においては、鍋温度検知部4と鍋1の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から鍋検知温度を補正した温度で吸水工程を実施することができるため、焦げや異常発熱を防止するとともにおいしく炊くために必要な最適の火力を与えてご飯を炊くことができる。
【0048】
尚、本実施の形態における温度ばらつき幅の閾値は約6℃で、実施の形態1における閾値(約4℃)と異なっているが、同じ値でも構わない。
【0049】
(実施の形態3)
本実施の形態における炊飯器のブロック図及び炊飯器の断面図は、実施の形態1と同様であるので、重複する説明は省略し、差異のみ説明する。
【0050】
制御装置106、107は、炊飯開始直後に行われる吸水工程において、所定の第1の吸水温度に保つために加熱装置3(底ヒータ103)のON−OFFの加熱制御を行い、鍋温度検知部4(底温度センサ104)で検知した温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が介在し、温度入力が正確にできていないと判定し、設定吸水温度を所定第1の吸水温度から所定第2の吸水温度へ変更し、所定第2の温度はその温度ばらつき幅に応じて可変させた加熱制御を行う構成としている。
【0051】
以上のように構成された炊飯器について、図5を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0052】
図5は、本発明の第3の実施の形態の炊飯器のシーケンスを示す図である。
【0053】
炊飯開始直後に行われる吸水工程では、鍋1内の温度を約45℃で15分間維持するように加熱制御することで米に水が吸水され米に芯が残らないように糊化させることができる。
【0054】
そこでまず、吸水工程において、制御装置106、107は、鍋1内の底温度センサ104が所定の第1の吸水温度、約45℃に維持されるように、底ヒータ103を連続加熱(ヒータON)させる。
【0055】
制御装置106、107は、底温度センサ104が45℃に達したならば底ヒータ103の通電を切る(ヒータOFF)。このとき底ヒータ103の通電を切っても底温度センサ104は少しの間オーバーシュートを起こし、温度の上昇が起きる。
【0056】
この上昇した温度がオーバーシュート後、ヒータOFFにより再び下降し45℃を切ったときに、制御装置106、107は、底ヒータ103の通電を再開する。このヒータON動作により底温度センサ104の温度が上昇をはじめる。
【0057】
このように鍋1内の温度を約45℃に維持するため、底温度センサ104の検知温度を約45℃に制御しようとしたとき、底ヒータ103のON−OFFの加熱制御では、タイムラグが発生し、所定の第1の吸水温度(約45℃)を挟んで、ある温度幅をもってばらつく。
【0058】
この底温度センサ104の上限値と下限値の差(温度ばらつき幅)は正常な場合、約10℃程度(室温が低温の場合10℃以上)の幅が確認できる。これは、底ヒータ103で加熱しても鍋1の底温度が上昇するだけで、底ヒータ103からの加熱を停止すると鍋1内の低い温度に下げられてしまうために起きる。
【0059】
この温度ばらつき幅が正常値よりも小さい場合(例えば、約8℃以下)、鍋1内の低い温度が十分伝わらず下げることができないと判断できる。つまり、底温度センサ104と鍋1の間に異物が介在していると判定できるため、吸水工程の底温度センサ104が所定第2の吸水温度に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0060】
その際、所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変させる。例えば、温度ばらつき幅が6℃以上8℃以下の場合、所定第2の吸水温度を約42℃と設定し、吸水工程の底温度センサ104が約42℃に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0061】
また、温度ばらつき幅が4℃以上6℃未満の場合、所定第2の吸水温度を約38℃と設定し、吸水工程の底温度センサ104が約38℃に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0062】
更に、温度ばらつき幅が4℃未満の場合、補正しきれない大きさの異物があるとして加熱を停止した後、液晶表示素子101に「センサ異常」の表示を行う。
【0063】
以上のように、本実施の形態においては、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から、異物による鍋温度検知部4(底温度センサ104)の検知温度のズレ幅を細かく補正することで、より正確にした吸水温度で吸水工程を実施することができるため、焦げや異常発熱を防止するとともにおいしく炊くために必要な最適の火力を与えてご飯を炊くことができる。
【0064】
(実施の形態4)
本実施の形態における炊飯器のブロック図及び炊飯器の断面図は、実施の形態1と同様であるので、重複する説明は省略し、差異のみ説明する。
【0065】
制御装置106、107は、炊飯開始直後に行われる吸水工程において、所定の第1の吸水温度に保つために加熱装置3(底ヒータ103)のON−OFFの加熱制御を行い、鍋温度検知部4(底温度センサ104)で検知した温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が介在し、温度入力が正確にできていないと判定し、設定吸水温度を所定第1の吸水温度から所定第2の吸水温度へ変更し、所定第2の温度はその温度ばらつき幅に応じて可変させた加熱制御を行うとともに、炊き上げ温度を正常時に比べ低くした温度で炊き上げ動作を行う構成としている。
【0066】
以上のように構成された炊飯器について、図6を参照しながら以下その動作、作用を説明する。
【0067】
図6は、本発明の第4の実施の形態の炊飯器のシーケンスを示す図である。
【0068】
炊飯開始直後に行われる吸水工程では、鍋1内の温度を約45℃で15分間維持するように加熱制御することで米に水が吸水され米に芯が残らないように糊化させることができる。
【0069】
そこでまず、吸水工程において、制御装置106、107は、鍋1内の底温度センサ104が所定の第1の吸水温度、約45℃に維持されるように、底ヒータ103を連続加熱(ヒータON)させる。
【0070】
制御装置106、107は、底温度センサ104が45℃に達したならば底ヒータ103の通電を切る(ヒータOFF)。このとき底ヒータ103の通電を切っても底温度センサ104は少しの間オーバーシュートを起こし、温度の上昇が起きる。
【0071】
この上昇した温度がオーバーシュート後、ヒータOFFにより再び下降し45℃を切ったときに、制御装置106、107は、底ヒータ103の通電を再開する。このヒータON動作により底温度センサ104の温度が上昇をはじめる。
【0072】
このように鍋1内の温度を約45℃に維持するため、底温度センサ104の検知温度を約45℃に制御しようとしたとき、底ヒータ103のON−OFFの加熱制御では、タイ
ムラグが発生し、所定の第1の吸水温度(約45℃)を挟んで、ある温度幅をもってばらつく。
【0073】
この底温度センサ104の上限値と下限値の差(温度ばらつき幅)は正常な場合、約10℃程度(室温が低温の場合10℃以上)の幅が確認できる。これは、底ヒータ103で加熱しても鍋1の底温度が上昇するだけで、底ヒータ103からの加熱を停止すると鍋1内の低い温度に下げられてしまうために起きる。
【0074】
この温度ばらつき幅が正常値よりも小さい場合(例えば、約8℃以下)、鍋1内の低い温度が十分伝わらず下げることができないと判断できる。つまり、底温度センサ104と鍋1の間に異物が介在していると判定できるため、吸水工程の底温度センサ104が所定第2の吸水温度に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0075】
その際、所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変させる。例えば、温度ばらつき幅が6℃以上8℃以下の場合、所定第2の吸水温度を約42℃と設定し、吸水工程の底温度センサ104が約42℃に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0076】
また、温度ばらつき幅が4℃以上6℃未満の場合、所定第2の吸水温度を約38℃と設定し、吸水工程の底温度センサ104が約38℃に維持されるように設定吸水温度を変更して加熱制御を行う。
【0077】
更に、温度ばらつき幅が4℃未満の場合、補正しきれない大きさの異物があるとして加熱を停止した後、液晶表示素子101に「センサ異常」の表示を行う。
【0078】
吸水工程が終了すると炊き上げ工程へ進み、底温度センサ104に異物の付着がない正常時の温度(約130℃)に対し、15℃低い約115℃として炊き上げ動作を行う。
【0079】
底温度センサ104が炊き上げ温度に達したら蒸らし工程へ進み、15分間蒸らした後炊飯を終了する。
【0080】
以上のように、本実施の形態においては、鍋温度検知部4(底温度センサ104)と鍋1の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、炊飯直後の吸水工程で異物の介在を検知し、炊飯の初めの工程である吸水工程の途中から鍋温度検知部4(底温度センサ104)の温度を、異物による鍋温度検知部4(底温度センサ104)の検知温度のズレ幅を細かく補正することで、より正確にした吸水温度で吸水工程を実施することができる、そして炊き上げ温度を正常時に比べ低くすることにより炊き上げ温度のズレも補正することでご飯の焦げを防止しつつ、おいしく炊くために必要な最適の火力と炊き上げ温度でご飯を炊くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、鍋温度検知部と鍋の間に異物が入り込み検知温度が正確に検知できなくなった場合においても、沸騰前に検知することで焦げや異常発熱の低減が可能となるので、加熱調理器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 鍋
2 表示部
3 加熱装置
4 鍋温度検知部
5 制御部
101 液晶表示素子
102 蓋
103 底ヒータ
104 底温度センサ
105 蓋温度センサ
106 制御装置
106a 入力装置
107 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋の底部を加熱する加熱装置と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知部と、炊飯が正常に終了しなかった場合に表示を行う表示部と、前記鍋温度検知部で検知した温度から前記加熱装置を制御して炊飯動作を行う制御部とを備え、前記制御部は、炊飯開始直後に行われる吸水工程における所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が所定の温度幅より小さい場合、炊飯終了後に前記表示部に表示を行うものとした炊飯器。
【請求項2】
前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、所定第2の吸水温度に保つ加熱制御を行う請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、前記所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変させた請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御部は、前記吸水工程における前記所定の第1の吸水温度に保つ加熱制御時に、前記鍋温度検知部の検知温度のばらつき幅が前記所定の温度幅より小さい場合、前記所定第2の吸水温度をその温度ばらつき幅に応じて可変させるとともに、炊き上げ温度を正常時に比べ低くした温度で炊き上げ動作を行う請求項3に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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