炊飯器
【課題】より小型で、蒸気とおねばの分離性能が高い蒸気分離ユニットを備えた炊飯器を得る。
【解決手段】蒸気分離ユニット30は、内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器40と、おねば受け容器40の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋50と、略円柱状の内部空間を有し、容器蓋50が閉じられた状態においておねば受け容器40と容器蓋50との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室72とを備え、分離室72には、分離室72の筒軸方向の一端側に設けられ、内蓋排出口22からの混合気を分離室の内部に流入させる混合気流入口73と、分離室72の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を分離室72の内部から流出させる蒸気流出口77と、おねばを分離室72の内部から流出させるおねば流出口74とが開口している。
【解決手段】蒸気分離ユニット30は、内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器40と、おねば受け容器40の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋50と、略円柱状の内部空間を有し、容器蓋50が閉じられた状態においておねば受け容器40と容器蓋50との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室72とを備え、分離室72には、分離室72の筒軸方向の一端側に設けられ、内蓋排出口22からの混合気を分離室の内部に流入させる混合気流入口73と、分離室72の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を分離室72の内部から流出させる蒸気流出口77と、おねばを分離室72の内部から流出させるおねば流出口74とが開口している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、より詳しくは、炊飯時に生じるおねばの吹きこぼれを抑制することのできる炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、炊飯器の蓋に「蒸気口ユニット」を設け、この「蒸気口ユニット」において、内釜から発生するおねばを含む蒸気を、おねばと蒸気とに分離するものがある。この従来の炊飯器では、「おねばを含む蒸気は、案内筒15を出てから第1の上障壁29、第4の上障壁35、第2の上障壁32、下障壁21及び第3の上障壁34に衝突し、蛇行しながら流れるため案内筒15と蒸気口28間の距離がさらに長くなり、より確実に分離される。」という作用がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3820541号公報(第5頁−第6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のものにおいては、案内筒から蒸気口に至る空間に障壁を設けて蒸気とおねばとを蛇行させることにより、蒸気とおねばとが蒸気口ユニット内を流れる距離を長くして、蒸気とおねばとをより確実に分離できるようにしていた。
しかしながら、蒸気とおねばとが流れる距離を長くするためには、水平方向の経路を長くしたり障壁を高くしたりする必要がある。そうすると、蒸気口ユニットが大型化してしまうこととなる。特に、おいしいご飯を炊くために高火力での沸騰時間を長くした炊飯器においては、加熱手段への入力電力を大きくすると単位時間当たりのおねばと蒸気の発生量も増えるため、蒸気とおねばとが流れる距離をさらに長くする必要があり、蒸気口ユニットはさらに大型化してしまう。このように蒸気口ユニットが大型化すると、材料の使用量が増えて製造コストの増加につながり、また、使用者による取り扱い性も悪くなってしまう。また、炊飯器全体に対して蒸気口ユニットが占める体積の割合も大きくなり、設計的、デザイン的な制約も大きかった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、より小型で、蒸気とおねばの分離性能が高い蒸気分離ユニットを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、前記炊飯器本体の上部開口部を覆い、蒸気を外部に排出するための蓋体排出口を備えた蓋体と、前記蓋体の下面に着脱可能に装着されて前記内釜の上部開口部を覆うとともに、前記内釜内の蒸気を排出するための内蓋排出口を備えた内蓋と、前記内釜を加熱する加熱手段と、前記内蓋排出口からの蒸気とおねばの混合気を前記蓋体排出口へと導く蒸気分離ユニットとを備え、前記蒸気分離ユニットは、前記内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器と、前記おねば受け容器の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋と、略円柱状の内部空間を有し、前記容器蓋が閉じられた状態において前記おねば受け容器と前記容器蓋との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室とを備え、前記分離室には、前記分離室の筒軸方向の一端側に設けられ、前記内蓋排出口からの前記混合気を前記分離室の内部に流入させる混合気流入口と、前記分離室の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を前記分離室の内部から流出させる蒸気流出口と、おねばを前記分離室の内部から流出させるおねば流出口とが開口しており、前記混合気流入口から前記分離室の内壁面の接線方向に前記混合気を流入させ、前記分離室内に流入した混合気から、前記分離室の内部空間において遠心力によりおねばを分離させ、分離させたおねばを前記おねば流出口から流出させて前記おねば受け容器に導くとともに、蒸気を前記蒸気流出口から流出させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、分離室において遠心力により蒸気とおねばとを分離するので、蒸気とおねばの分離性能がよい。また、従来よりも蒸気とおねばの分離経路の直線距離を短くできるので、蒸気分離ユニットを小型化することができる。また、おねば受け容器に対して開閉可能に設けた容器蓋に分離室を設け、この分離室のおねば流出口からおねば受け容器におねばを導くようにした。おねば受け容器を清掃する際には、容器蓋を開けることでおねば受け容器を露出させることができるので、おねばで汚れうるおねば受け容器を容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係る炊飯器の断面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る炊飯器の断面図である。
【図3】実施の形態に係る炊飯器の上面図である。
【図4】実施の形態に係る炊飯器の蓋体と内蓋の斜視図であり、蓋体から内蓋を取り外した状態を示している。
【図5】実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図である。
【図6】実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図であり、容器蓋を開けた状態を示している。
【図7】実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面斜視図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面図である。
【図10】図9の要部拡大図である。
【図11】実施の形態に係る蒸気分離ユニットを説明する要部断面模式図である。
【図12】実施の形態に係る内蓋を蓋体へ取り付ける動作を説明する図である。
【図13】実施の形態に係る蒸気分離ユニット近傍の要部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態.
以下、本発明の炊飯器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[炊飯器の全体構成]
図1は実施の形態に係る炊飯器の断面斜視図、図2は実施の形態に係る炊飯器の断面図、図3は実施の形態に係る炊飯器の上面図である。なお、以降の説明において、便宜上、図1、図2における紙面上方向を「上」、紙面下方向を「下」と称する場合がある。
図1〜図3において、炊飯器100は、上部に開口部を有する炊飯器本体1と、炊飯器本体1の上部開口部を開閉自在に覆う蓋体10とを備える。
【0011】
炊飯器本体1には、水、米などが入れられる有底筒状で上面が開口した内釜2が着脱自在に収容される。この内釜2は、電磁誘導コイルや電気ヒータ等の加熱手段3により加熱され、これによって内釜2内の米が炊飯されるようになっている。蓋体10の下面側(図1、図2における蓋体10の紙面下側)には、内蓋20が着脱可能に取り付けられている。内蓋20の周縁部には、蓋体10を閉じたときに内釜2の上端部外周に設けられたフランジ2aに密接する環状の内蓋パッキン28が設けられている。
【0012】
炊飯器本体1の底部中央の内部には、例えばサーミスタからなる鍋底温度センサー8が設けられている。鍋底温度センサー8は、バネ等の弾性手段によって上方に付勢されており、炊飯器本体1内に収容された内釜2の底面に接するように構成されている。鍋底温度センサー8が検知した内釜2の温度に関する情報は、図示しない制御手段に出力される。
【0013】
蓋体10の上面側には、操作ボタン5と表示パネル6とが設けられている。操作ボタン5は、炊飯や保温の開始を指示する入力ボタン、炊き上がりの硬さや米の種類など炊飯動作に関する設定を行うための入力ボタン、炊飯予約に関する設定を行うための入力ボタンなどを含んでいる。表示パネル6は、例えば液晶表示パネルからなり、時刻、操作ボタン5による設定内容、炊飯動作に関する情報などを表示する。
【0014】
蓋体10は、ヒンジ部17により炊飯器本体1に軸支されており、炊飯器本体1の上部開口部を開閉自在に覆っている。
蓋体10の上面には、炊飯中に発生した蒸気を炊飯器100の外部に放出するための蓋体排出口16が開口している。
【0015】
蓋体10の骨格は、大まかには、最上面を構成する意匠天板11と、意匠天板11の下側に設けられた蓋上面部材12と、蓋上面部材12の下側に設けられ蓋体10の下面を構成する蓋下面部材13とによって構成されている。意匠天板11と蓋上面部材12との間に設けられた空間には、操作ボタン5、表示パネル6の動作を制御する回路が実装された制御基板7が収容されている。蓋上面部材12と蓋下面部材13との間に設けられた空間には、例えば電気ヒータからなる蓋体加熱手段4が設けられている。
【0016】
[蓋体に対する内蓋の取り付け構造]
図4は、実施の形態に係る炊飯器の蓋体と内蓋の斜視図であり、蓋体から内蓋を取り外した状態を示している。
【0017】
内蓋20には、内蓋20の上面から上方に突出するようにして蒸気分離ユニット30が一体に設けられている。蒸気分離ユニット30は、おねば受け容器40と、おねば受け容器40の上部を覆う容器蓋50と、容器蓋50に設けられた排出口シール材60とを備える。
【0018】
蓋体10の蓋下面部材13の下面には、内蓋20の外形に沿って蓋上面部材12側に向かって凹ませて構成された内蓋取付凹部18が設けられている。この内蓋取付凹部18には、内蓋20が取り付けられる。内蓋取付凹部18の一部には、さらに蓋上面部材12側に向かって凹ませて構成された蒸気分離ユニット収容部14が設けられている。この蒸気分離ユニット収容部14には、内蓋20に一体に設けられた蒸気分離ユニット30が着脱自在に収容される。
【0019】
蒸気分離ユニット収容部14は、蒸気分離ユニット30の外形にほぼ沿う平面形状を有している。本実施の形態では、ほぼ角丸矩形の平面形状を有する蒸気分離ユニット30と、同じくほぼ角丸矩形の平面形状(内周の平面形状)を有する蒸気分離ユニット収容部14を例示しているが、これらの外形を限定するものではない。
【0020】
内蓋20の外周部を構成する内蓋外枠26には係止爪27が設けられ、蓋体10にはこの係止爪27に対応した内蓋係合部15が設けられている。そして、係止爪27を内蓋係合部15に係合させることによって、蓋体10に対して内蓋20が取り付けられる。また、蓋体10に取り付けられた内蓋20を使用者が手前側に向かって引き寄せることで、係止爪27と内蓋係合部15との係合状態が解除され、内蓋20を蓋体10から取り外すことができる。なお、蓋体10に対する内蓋の取り付け構造は、図示のものに限定されず、着脱可能な任意の取り付け構造を採用することができる。
【0021】
蓋体加熱手段4は、蒸気分離ユニット収容部14の外周側に設けられている。すなわち、上面から見た場合において、蒸気分離ユニット収容部14と重ならない位置に、蓋体加熱手段4が配置されている。図4では、蓋体10に設けられた蓋体加熱手段4の大まかな加熱範囲を破線で示している。
【0022】
蓋体10は、最大限に開放された状態において、図4に例示する程度に起立した状態が保たれる。このように起立した状態の蓋体10に対し、内蓋20を取り付け、あるいは取り外すことができる。
【0023】
[蒸気分離ユニット]
図5は実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図、図6は実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図であり、容器蓋を開けた状態を示している。
【0024】
蒸気分離ユニット30は、炊飯中に内釜2内から発生する蒸気とおねばの混合気を、蒸気とおねばとに分離するためのものである。蒸気分離ユニット30は、内蓋20の上面に一体に取り付けられたおねば受け容器40と、おねば受け容器の上部を覆う容器蓋50と、容器蓋50をおねば受け容器40に対して回動可能に軸支する回動軸80とを備える。容器蓋本体51の内面側には、分離機構70が一体的に設けられている。分離機構70は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、蒸気とおねばとに分離するための機構である。容器蓋50を閉じると、分離機構70はおねば受け容器40内に収容される。
【0025】
おねば受け容器40の容器本体41は、底板42と側壁43とによって平面形状がほぼ角丸矩形状に形成されており、その内部に収容空間を有している。容器本体41の底板42の一部には下面開口部44が開口しており、下面開口部44には内蓋20に一体に設けられた凹状枠21が取り付けられている(後述の図7〜図10参照)。また、底板42からは下障壁45が起立し、この下障壁45には下障壁おねば戻し口46が開口している。
【0026】
容器蓋50の容器蓋本体51は、天板52と側壁53とによって平面形状がほぼ角丸矩形状に形成されている。容器蓋本体51は、容器本体41よりもやや大きい外形を有し、容器本体41の上面開口部を覆うことができるようになっている。容器蓋本体51の内面側の内周縁には、環状の容器蓋パッキン56が取り付けられている。容器蓋パッキン56は、おねば受け容器40と容器蓋50との間をシールするためのものであり、弾性変形可能な例えばシリコンゴムの如き材料からなる。容器蓋50が閉められた状態において、おねば受け容器40の側壁43の上端部が、容器蓋パッキン56に当接して容器蓋パッキン56を圧縮し、これによっておねば受け容器40と容器蓋50との間が密閉される。
【0027】
容器蓋本体51には、容器蓋排出口55が開口しており、容器蓋排出口55には排出口シール材60が取り付けられている。容器蓋排出口55は、蒸気分離ユニット30から外部へと蒸気を排出するための開口部である。容器蓋排出口55は、蒸気分離ユニット30を蓋体10に取り付けた状態において、蓋体排出口16の直下に設けられている。
【0028】
排出口シール材60は、容器蓋排出口55と蓋体排出口16との間をシールするための部材であり、弾性変形可能な例えばシリコンゴムの如き材料からなる。本実施の形態の排出口シール材60は、容器蓋排出口55に挿入される環状の装着部61と、装着部61の上端から斜め上方に向かって延びる面を有する傾斜部62と、傾斜部62の上端から傾斜部62の傾斜面とは反対側に延びて蓋体排出口16に当接する当接部63とを有する。傾斜部62の内部には、蓋体排出口16から容器蓋排出口55に向かって流路断面積が狭まるようすり鉢状に形成された流路が形成されている。蒸気分離ユニット30が蒸気分離ユニット収容部14に取り付けられた状態においては、当接部63が蓋体排出口16の内面側に当接し、排出口シール材60が圧縮されることによって弾性変形し、容器蓋排出口55と蓋体排出口16との間の密閉性が確保される。
【0029】
容器蓋本体51の内面側には、下方に向かって延びる上障壁58が設けられている。上障壁58は、蒸気の分離機構70よりも蒸気流れ下流側に配置されている。
【0030】
おねば受け容器40にはロック機構を備えたラッチロック47が設けられ、容器蓋50にはラッチロック47を係合するためのラッチ係合部57が設けられている。容器蓋50を閉じてラッチロック47をラッチ係合部57に係合させることで、容器蓋50を閉じた状態がより強固に保持される。
【0031】
次に、蒸気分離ユニット30と内蓋2との配置関係について説明する。
蒸気分離ユニット30は、平面視ほぼ円形の内蓋20の中心Oから放射線方向Xにずらした位置に配置されている。本実施の形態では、内蓋20を蓋体10に取り付けたときに(図1、図2参照)、蒸気分離ユニット30とヒンジ部17との距離が短くなる方向に、蒸気分離ユニット30を配置している。さらに、容器蓋50をおねば受け容器40に軸支する回動軸80は、放射線方向X上であって、蒸気分離ユニット30において内蓋20の中心から遠い側に設けられている。内蓋20の中心Oから放射線X方向にずらした位置に蒸気分離ユニット30を配置することにより、内蓋20には蒸気分離ユニット30と対向する位置に広い面積を確保できるので、使用者は、内蓋20を着脱する際にはこの広い面積部分を把持することができ、取り扱い性がよい。さらに、回動軸80を上記のような配置としたことにより、内蓋20を把持する使用者の手とは反対側に容器蓋50が開く。このため、容器蓋50を開いた際に、内蓋20を把持している使用者の手に容器蓋50がぶつかることがなく、容器蓋50を開閉する際の取り扱い性がよい。
【0032】
[分離機構]
図7は実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面斜視図、図8は図7の要部拡大図である。図8では、混合気、蒸気、及びおねばの大まかな流れを矢印で示している。また、図9は実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面図、図10は図9の要部拡大図である。また、図11は、実施の形態に係る蒸気分離ユニットを説明する要部断面模式図である。なお、図11は、分離室72の軸方向に直交する面における断面を示している。
以下、図5〜図11を参照して、蒸気の分離機構について説明する。
【0033】
分離機構70は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、遠心分離作用によって蒸気とおねばとに分離するための機構である。
分離機構70は、容器蓋50の下面に取り付けられ、内部にほぼ円筒状の流路を形成する周壁71を備える。図11に示すように、本実施の形態では、容器蓋本体51の天板52の内面の一部に、上方に向かって凹となる断面ほぼ円弧状の円弧面54(凹形状部)が形成されており、この円弧面54と周壁71の内壁とに囲まれた空間が、ほぼ円筒状となるよう構成されている。また、周壁71の軸方向両側の端部に位置する壁面を、それぞれ、上流壁71a、下流壁71bと称する場合がある。円弧面54、周壁71(上流壁71a、下流壁71bを含む)に囲まれたほぼ円筒状の部屋を、分離室72と称する。分離室72は、蒸気とおねばの混合気が流れる流路となる。なお、分離室72は、その内壁面に沿って蒸気とおねばの混合気が旋回しながら流れるよう構成すればよく、厳密に円筒状であることを要さない。
【0034】
周壁71の下部には、混合気流入口73が開口している。混合気流入口73は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、分離室72に流入させるための開口部である。図11に示すように、混合気流入口73は、ほぼ円筒状に構成された分離室72の内壁を軸方向に直交する面で切断した場合の接線方向に、開口している。
なお、本実施の形態では、後述するように混合気流入口73に混合気案内筒23が挿入される例を示しており、混合気流入口73の開口位置及び開口方向と、混合気案内筒23の接続位置及び接続方向とにより、ほぼ円筒状の分離室72の内壁の接線方向に混合気が流入するように両者を構成する。
この混合気流入口73は、周壁71の円筒軸方向の一端側(本実施の形態における上流壁71a側)に開口している。
【0035】
周壁71の下部であって、周壁71の円筒軸方向の他端側(混合気流入口73とは反対側)には、おねば流出口74a、74b(おねば流出口74と総称する場合がある)が設けられている。おねば流出口74は、分離室72において蒸気とおねばの混合気から分離されたおねばを、分離室72の外部に流出させるための開口部である。本実施の形態では、2つのおねば流出口74a、74bを設ける例を示しているが(図6参照)、おねば流出口74の数を限定するものではない。おねばによって一のおねば流出口74が塞がれた場合でも他のおねば流出口74からおねばを排出できるようにするためには、複数のおねば流出口74を設けることが好ましく、また、この場合には互いの設置高さを異ならせるのが好ましい。
【0036】
下流壁71bには、蒸気流出口77が開口している。蒸気流出口77の開口位置は、分離室72に形成されるほぼ円筒状流路の、流路断面ほぼ中央である。分離室72内において混合気から分離された蒸気が進行方向に進むと、この蒸気が蒸気流出口77から分離室72の外部へと流出する。
【0037】
混合気流入口73と蒸気流出口77は、それぞれ、ほぼ円筒状流路を構成する分離室72の、流れ方向の一端側と他端側に配置されている。混合気流入口73が流れ方向の上流側、蒸気流出口77が流れ方向の下流側に配置される。混合気流入口73と蒸気流出口77との間の距離は、混合気流入口73から流入した混合気から蒸気とおねばを分離することができるよう、分離室72の内径等を考慮して設定する。混合気流入口73から流入した混合気から蒸気とおねばを分離することができるよう混合気流入口73と蒸気流出口77との間の距離を設ければよく、分離室72の端部に設けることを要しない。
【0038】
蒸気流出口77には、おねば流出方向に向かって延びる蒸気案内筒78が接続されている。蒸気案内筒78は、容器蓋50を閉めた状態において、下障壁45と上障壁58の蒸気流れ上流側の近傍まで延びている。蒸気案内筒78から流出する蒸気におねばが含まれていた場合に発生する泡が、下障壁45または上障壁58によってつぶされるような位置関係となるように、蒸気案内筒78の長さを設定するとよい。また、蒸気案内筒78の端部は、容器蓋50に設けられた容器蓋排出口55に対して蒸気流れ上流側に位置しており、蒸気案内筒78の端部から流出した蒸気が、容器蓋排出口55を通って蒸気分離ユニット30の外部へ流出するようになっている。
【0039】
[内蓋からの混合気排出機構とおねば戻し機構]
次に、図7〜図10を参照して、内釜から混合気を排出する機構と、内釜内におねばを戻す機構について説明する。
内蓋20には、取付穴29が開口している。この取付穴29に対し、内蓋20の上面側からは、おねば受け容器40の底板42に設けられた開口部外周に起立する取付枠48が嵌合されている。また、この取付穴29に対し、内蓋20の下面側からは、内蓋20の一部を構成する凹状枠21が嵌合されている。内蓋20の取付穴29に対しておねば受け容器40の取付枠48を嵌合させた構造により、内蓋20とおねば受け容器40とが一体構成されている。なお、内蓋20とおねば受け容器40とを一体化するための構造はこれに限定されない。また、使用者がおねば受け容器40を内蓋20から着脱不能な構成としてもよいし、着脱可能な構成としてもよいが、炊飯中に内釜2内が高圧となった場合でも、内蓋20に対するおねば受け容器40の取り付け状態が保持されるよう構成する。
【0040】
凹状枠21は、内蓋20の下面から下側に向かって凹となる凹部を構成している。凹状枠21は、おねば受け容器40からのおねばを内部に一次的に溜めることができるようになっている。
【0041】
凹状枠21の底板には、内蓋排出口22が開口している。内蓋排出口22は、内釜2内の混合気を内釜2の外に排出するための開口部である。
内蓋排出口22からは、上側に向かって混合気案内筒23が起立している。混合気案内筒23は、内蓋排出口22からの混合気を、分離機構70の分離室72内に導くための中空の円柱である。混合気案内筒23の上端部は、混合気流入口73から分離室72内へと挿入されている。混合気案内筒23を分離室72内へ挿入する長さは、混合気案内筒23の上端部から流出した混合気が、ほぼ円筒状の分離室72の内壁の接線方向(内壁を軸方向に直交する面で切断した場合の接線方向)に流入するようにして設定する。分離室72の内壁の接線方向に混合気を流入させることができる構成であれば、必ずしも混合気案内筒23を分離室72内に挿入する必要はなく、混合気流入口73の内周に接続される構成としてもよい。また、分離室72の内壁の接線方向に混合気を流入させることができる構成であれば、混合気流入口73の開口位置及び開口方向と、混合気案内筒23の接続位置及び接続方向を任意に採用することができる。
本実施の形態では、図6に示す容器蓋50を開けた状態では、混合気案内筒23の上端部はおねば受け容器40の容器本体41内に露出しているが、容器蓋50を閉めると、図7〜図10に示すように混合気案内筒23の上端部が分離室72内に挿入される。
【0042】
また、凹状枠21の底板には、おねば戻し口24が開口している。おねば戻し口24は、凹状枠21内と内釜2内とを連通させる開口部である。おねば戻し口24には、上下動可能に設けられた開閉弁25が取り付けられている。
開閉弁25は、内釜2内の内圧が低いときには下降して、おねば戻し口24を開口状態に保持する。また、炊飯中、すなわち内釜2の内圧が高いときにはこの内圧により開閉弁25が上昇し、おねば戻し口24を塞ぐ。なお、開閉弁25は、耐熱性を有し、経年変化しにくい例えばシリコンゴムの如き材料からなる。
【0043】
[内蓋の蓋体への取り付け]
図12は、実施の形態に係る内蓋を蓋体へ取り付ける動作を説明する図である。図12では、取り付け前の内蓋20及び蒸気分離ユニット30を実線で記し、取り付け後の内蓋20及び蒸気分離ユニット30を破線で示している。
図4、図12を参照して、内蓋20の蓋体10への取り付け動作の一例を説明する。
【0044】
まず、蒸気分離ユニット30の容器蓋50が閉じられた状態における内蓋20の取り付け動作を説明する。
使用者は、蒸気分離ユニット収容部14に蒸気分離ユニット30が対面するようにして、内蓋20を把持する。ここで、図4、図12に示すように、開いた状態の蓋体10の上側(図4、図12の紙面上側)に、内蓋係合部15が設けられている。このため、図12に示すように、内蓋20の蒸気分離ユニット30側の端部を、内蓋取付凹部18のヒンジ部17側の端部に突き合わせ、この突き合わせた部位(以下、支点P)を支点として内蓋20を回転させるという取り付け動作が、使用者に対して促される。このような動作を使用者が行うと、内蓋20に設けられた係止爪27が、蓋体10に設けられた内蓋係合部15に係合され、内蓋取付凹部18に内蓋20が取り付けられる。このとき、蒸気分離ユニット30は、蒸気分離ユニット収容部14内に収容される。また、蒸気分離ユニット30の上面に設けられた排出口シール材60は、蓋体10の蓋体排出口16に内面側から密着し、蓋体排出口16の内面側におけるシール性が確保される。
【0045】
蒸気分離ユニット30からの蒸気の出口である容器蓋排出口55と、蓋体10の蓋体排出口16とを結ぶ蒸気の経路を、高さの低い排出口シール材60により構成したので、上述のように支点Pにより内蓋20を回転させながら内蓋20を取り付ける動作において、排出口シール材60が回転の妨げになることがない。
また、内蓋20の係止爪27と対向する側の端部近傍に、排出口シール材60を配置したので、内蓋20を回転させながら内蓋20を取り付ける際の支点Pは、排出口シール材60の近傍に位置する。このように、回転させる際の支点Pと排出口シール材60との距離は相対的に近いため、排出口シール材60によるシール性が高い。すなわち、回転させる際の支点Pと排出口シール材60との距離が離れると、回転させる過程においてズレが生じやすく排出口シール材60と蓋体排出口16とのシール性が低下しうるが、本実施の形態のように構成することでシール性の低下を抑制できる。
【0046】
次に、蒸気分離ユニット30の容器蓋50が開けられた状態(図6に示す状態)における内蓋20の取り付け動作を説明する。蒸気分離ユニット30の容器蓋50が開けられた状態である場合には、内蓋20を蓋体10の内蓋取付凹部18に取り付けようとしても、開けられた容器蓋50が妨げとなって蒸気分離ユニット30を蒸気分離ユニット収容部14に収容することができない。すなわち、容器蓋50が開けられた状態の蒸気分離ユニット30を内蓋20の上面から見た場合の投影形状は、蒸気分離ユニット収容部14の平面形状に対して一部が突出するように構成されている。このように、容器蓋50が開いた状態では内蓋20を蓋体10に取り付けることができないように構成することで、容器蓋50を閉め忘れたまま内蓋20を蓋体10に取り付けるのを防ぐことができる。
【0047】
図13は、実施の形態に係る蒸気分離ユニット近傍の要部断面模式図である。図13では、おねば受け容器40と容器蓋50との間をシールする容器蓋パッキン56のつぶし代を、つぶし代aとして示している。また、内蓋20を蓋体10に正常に取り付けた場合における、蒸気分離ユニット収容部14の下面と、おねば受け容器40の側壁43の上端との距離を、距離bとして示している。そして、本実施の形態では、内蓋20を蓋体10に正常に取り付けた状態において、側壁43の上端が容器蓋パッキン56を適正なつぶし代aだけ押し潰すよう、距離bが設定されている。このように構成することで、内蓋20を蓋体10に取り付けることで、容器蓋パッキン56がつぶれて弾性変形し、おねば受け容器40と容器蓋50とのシール性を確保することができる。本実施の形態では、容器蓋50が閉じられた状態を保持するロック機構(ラッチロック47とラッチ係合部57)を設けているが、このような機構を設けなくとも、容器蓋パッキン56のつぶし代aがクリアランスbよりも大きくなるよう構成することで、おねば受け容器40と容器蓋50との密閉性を確保することができる。
【0048】
[蒸気分離ユニットの作用]
次に、本実施の形態に係る炊飯器100により炊飯する場合の、蒸気分離ユニット30の作用について、図8と図11を参照して説明する。
使用者が、水と米を入れた内釜2を炊飯器本体1内に収容して蓋体10を閉じ、操作ボタン5を操作すると、加熱手段3の作用によって内釜2が加熱される。内釜2内の水が沸騰すると、おねばを含んだ蒸気(混合気)が発生する。このとき、内釜2の内圧が上昇しているため、おねば戻し口24に設けられた開閉弁25は、押し上げられておねば戻し口24を閉塞する。このため、おねばを含む蒸気は、内蓋排出口22と混合気案内筒23を通り、混合気流入口73に挿入された混合気案内筒23の端部から分離室72内へと導かれる。
【0049】
混合気案内筒23から出たおねばを含む蒸気(混合気)は、ほぼ円筒状に形成された分離室72の内壁の接線方向から分離室72の内部に流入し、分離室72の内壁面に沿って旋回しながら流れる。この旋回に伴う遠心力で、比重の異なる蒸気とおねばとが分離される。そして、分離室72において分離されたおねばは、分離室72の内壁に沿って下方に流れ、おねば流出口74を通って分離機構70から出て、おねば受け容器40内に落下する。おねば受け容器40の底板42は、下面開口部44に向かって下降するよう傾斜しており、おねば受け容器40内のおねばは、下面開口部44から凹状枠21内へと進み、凹状枠21内に溜まる。
【0050】
一方、分離室72おいて分離された蒸気は、分離室72の下流壁71bに設けられた蒸気流出口77から蒸気案内筒78内へと進み、蒸気案内筒78から出る。ここで、分離しきれなかったおねばが泡として蒸気案内筒78から出てきた場合でも、蒸気案内筒78の出口側には下障壁45と上障壁58が設けられているので、泡はこれらの障壁に衝突してつぶれ、おねばは下障壁おねば戻し口46を通っておねば受け容器40の底板42上を流れ、下面開口部44を通って凹状枠21内に溜まる。そして、蒸気案内筒78から出た蒸気は、容器蓋排出口55に取り付けられた排出口シール材60を通り、蓋体排出口16から炊飯器100の外部に放出される。
【0051】
その後、加熱が停止して内釜2の内圧が低下すると、開閉弁25は、自重及びおねばの重量によって下降し、凹状枠21の底面に設けられたおねば戻し口24を開口させる。これにより、凹状枠21内に溜まったおねばは、おねば戻し口24から内釜2内に落下する。おねばが内釜2内のご飯に戻ることにより、おねばに含まれるおいしさの成分がご飯に与えられて、つやや粘りのあるおいしいご飯を炊くことができる。
【0052】
また、排出口シール材60を通る過程において蒸気が凝縮して水滴となりうるが、この水滴は排出口シール材60のすり鉢状の傾斜部62に案内されて蒸気分離ユニット30内へと戻る。このため、排出口シール材60の内部には、水滴が溜まりにくくなっている。したがって、炊飯終了後に蓋体10が開けられた場合でも、蓋体10の蓋体排出口16から水滴が外部へ流出しにくい。また、例えば排出口シール材60内に水滴が溜まっていると、蓋体10を閉じたときに蓋体排出口16から出る空気の勢いでその水滴が飛び出しうるが、本実施の形態では排出口シール材60内に水滴が溜まりにくいので、蓋体10を閉めたときに蓋体排出口16から水滴が飛散することもない。
【0053】
また、蒸気分離ユニット30の周囲には蓋体加熱手段4が配置されている。さらに、蒸気分離ユニット30の内部に対して、容器蓋50の天板52、蓋下面部材13、蓋上面部材12、及び意匠天板11が順に重ねられた配置となっている。すなわち、容器蓋50の天板52、蓋下面部材13、蓋上面部材12、及び意匠天板11という4枚の壁が、蒸気分離ユニット30内部に対する断熱構造として機能する。蒸気分離ユニット30の内部に対して蓋体加熱手段4からの熱が伝わるとともに、断熱構造として機能する4枚の壁構造が設けられていて蒸気分離ユニット30内部の熱が逃げにくいので、炊飯終了後においても蒸気分離ユニット30内が比較的高温に維持される。このため、蒸気分離ユニット30内に残る水滴は蒸発しやすく、炊飯後に蒸気分離ユニット30内に残りにくい。したがって、使用者が清掃等のために内蓋20を蓋体10から取り外す場合でも、蒸気分離ユニット30から水滴が落下しにくく、衛生性に優れ、使い勝手もよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、蒸気とおねばの混合気がほぼ円筒状の分離室72の内壁面に沿って流れるように構成し、この過程において遠心分離の作用により蒸気とおねばとを分離するようにしたので蒸気とおねばの分離性能が高い。このため、高火力で加熱した場合や、沸騰を長く設定した場合でも、おねばの吹き溢れを抑制でき、おいしいご飯を炊くことができる。
【0055】
また、混合気が分離される際の流路は、ほぼ円筒状の分離室72の内壁面に沿った旋回流路であり、分離室72の軸方向の直線距離に対して長い距離を確保することができる。このため、直線的な経路により蒸気とおねばを分離するものよりも、分離機構70を小型化することができる。このように、分離機構70を小型化できるので、蒸気分離ユニット30も小型化できる。したがって、炊飯器100全体に占める蒸気分離ユニット30の体積を小さくでき、炊飯器100全体を小型化、軽量化することもできる。
【0056】
また、分離機構70を容器蓋50に設け、分離機構70で分離されたおねばをおねば受け容器40で受けるようにした。このため、おねばによって汚れやすいおねば受け容器40を清掃する際には、容器蓋50を開けることでおねば受け容器40の内部を露出させることができ、清掃性がよい。
【0057】
また、回動軸80によりおねば受け容器40を容器蓋50に回動可能に設け、両者を一体に構成した。おねば受け容器40と容器蓋50とが一体に構成されているので、一方を洗い忘れたり、取り付け忘れたりといったこともなく、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0058】
1 炊飯器本体、2 内釜、2a フランジ、3 加熱手段、4 蓋体加熱手段、5 操作ボタン、6 表示パネル、7 制御基板、8 鍋底温度センサー、10 蓋体、11 意匠天板、12 蓋上面部材、13 蓋下面部材、14 蒸気分離ユニット収容部、15 内蓋係合部、16 蓋体排出口、17 ヒンジ部、18 内蓋取付凹部、20 内蓋、21 凹状枠、22 内蓋排出口、23 混合気案内筒、24 おねば戻し口、25 開閉弁、26 内蓋外枠、27 係止爪、28 内蓋パッキン、29 取付穴、30 蒸気分離ユニット、40 おねば受け容器、41 容器本体、42 底板、43 側壁、44 下面開口部、45 下障壁、46 下障壁おねば戻し口、47 ラッチロック、48 取付枠、50 容器蓋、51 容器蓋本体、52 天板、53 側壁、54 円弧面、55 容器蓋排出口、56 容器蓋パッキン、57 ラッチ係合部、58 上障壁、60 排出口シール材、61 装着部、62 傾斜部、63 当接部、70 分離機構、71 周壁、71a 上流壁、71b 下流壁、72 分離室、73 混合気流入口、74 おねば流出口、74a、74b おねば流出口、77 蒸気流出口、78 蒸気案内筒、80 回動軸、100 炊飯器。
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、より詳しくは、炊飯時に生じるおねばの吹きこぼれを抑制することのできる炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、炊飯器の蓋に「蒸気口ユニット」を設け、この「蒸気口ユニット」において、内釜から発生するおねばを含む蒸気を、おねばと蒸気とに分離するものがある。この従来の炊飯器では、「おねばを含む蒸気は、案内筒15を出てから第1の上障壁29、第4の上障壁35、第2の上障壁32、下障壁21及び第3の上障壁34に衝突し、蛇行しながら流れるため案内筒15と蒸気口28間の距離がさらに長くなり、より確実に分離される。」という作用がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3820541号公報(第5頁−第6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のものにおいては、案内筒から蒸気口に至る空間に障壁を設けて蒸気とおねばとを蛇行させることにより、蒸気とおねばとが蒸気口ユニット内を流れる距離を長くして、蒸気とおねばとをより確実に分離できるようにしていた。
しかしながら、蒸気とおねばとが流れる距離を長くするためには、水平方向の経路を長くしたり障壁を高くしたりする必要がある。そうすると、蒸気口ユニットが大型化してしまうこととなる。特に、おいしいご飯を炊くために高火力での沸騰時間を長くした炊飯器においては、加熱手段への入力電力を大きくすると単位時間当たりのおねばと蒸気の発生量も増えるため、蒸気とおねばとが流れる距離をさらに長くする必要があり、蒸気口ユニットはさらに大型化してしまう。このように蒸気口ユニットが大型化すると、材料の使用量が増えて製造コストの増加につながり、また、使用者による取り扱い性も悪くなってしまう。また、炊飯器全体に対して蒸気口ユニットが占める体積の割合も大きくなり、設計的、デザイン的な制約も大きかった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、より小型で、蒸気とおねばの分離性能が高い蒸気分離ユニットを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、前記炊飯器本体の上部開口部を覆い、蒸気を外部に排出するための蓋体排出口を備えた蓋体と、前記蓋体の下面に着脱可能に装着されて前記内釜の上部開口部を覆うとともに、前記内釜内の蒸気を排出するための内蓋排出口を備えた内蓋と、前記内釜を加熱する加熱手段と、前記内蓋排出口からの蒸気とおねばの混合気を前記蓋体排出口へと導く蒸気分離ユニットとを備え、前記蒸気分離ユニットは、前記内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器と、前記おねば受け容器の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋と、略円柱状の内部空間を有し、前記容器蓋が閉じられた状態において前記おねば受け容器と前記容器蓋との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室とを備え、前記分離室には、前記分離室の筒軸方向の一端側に設けられ、前記内蓋排出口からの前記混合気を前記分離室の内部に流入させる混合気流入口と、前記分離室の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を前記分離室の内部から流出させる蒸気流出口と、おねばを前記分離室の内部から流出させるおねば流出口とが開口しており、前記混合気流入口から前記分離室の内壁面の接線方向に前記混合気を流入させ、前記分離室内に流入した混合気から、前記分離室の内部空間において遠心力によりおねばを分離させ、分離させたおねばを前記おねば流出口から流出させて前記おねば受け容器に導くとともに、蒸気を前記蒸気流出口から流出させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、分離室において遠心力により蒸気とおねばとを分離するので、蒸気とおねばの分離性能がよい。また、従来よりも蒸気とおねばの分離経路の直線距離を短くできるので、蒸気分離ユニットを小型化することができる。また、おねば受け容器に対して開閉可能に設けた容器蓋に分離室を設け、この分離室のおねば流出口からおねば受け容器におねばを導くようにした。おねば受け容器を清掃する際には、容器蓋を開けることでおねば受け容器を露出させることができるので、おねばで汚れうるおねば受け容器を容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係る炊飯器の断面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る炊飯器の断面図である。
【図3】実施の形態に係る炊飯器の上面図である。
【図4】実施の形態に係る炊飯器の蓋体と内蓋の斜視図であり、蓋体から内蓋を取り外した状態を示している。
【図5】実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図である。
【図6】実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図であり、容器蓋を開けた状態を示している。
【図7】実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面斜視図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面図である。
【図10】図9の要部拡大図である。
【図11】実施の形態に係る蒸気分離ユニットを説明する要部断面模式図である。
【図12】実施の形態に係る内蓋を蓋体へ取り付ける動作を説明する図である。
【図13】実施の形態に係る蒸気分離ユニット近傍の要部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態.
以下、本発明の炊飯器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[炊飯器の全体構成]
図1は実施の形態に係る炊飯器の断面斜視図、図2は実施の形態に係る炊飯器の断面図、図3は実施の形態に係る炊飯器の上面図である。なお、以降の説明において、便宜上、図1、図2における紙面上方向を「上」、紙面下方向を「下」と称する場合がある。
図1〜図3において、炊飯器100は、上部に開口部を有する炊飯器本体1と、炊飯器本体1の上部開口部を開閉自在に覆う蓋体10とを備える。
【0011】
炊飯器本体1には、水、米などが入れられる有底筒状で上面が開口した内釜2が着脱自在に収容される。この内釜2は、電磁誘導コイルや電気ヒータ等の加熱手段3により加熱され、これによって内釜2内の米が炊飯されるようになっている。蓋体10の下面側(図1、図2における蓋体10の紙面下側)には、内蓋20が着脱可能に取り付けられている。内蓋20の周縁部には、蓋体10を閉じたときに内釜2の上端部外周に設けられたフランジ2aに密接する環状の内蓋パッキン28が設けられている。
【0012】
炊飯器本体1の底部中央の内部には、例えばサーミスタからなる鍋底温度センサー8が設けられている。鍋底温度センサー8は、バネ等の弾性手段によって上方に付勢されており、炊飯器本体1内に収容された内釜2の底面に接するように構成されている。鍋底温度センサー8が検知した内釜2の温度に関する情報は、図示しない制御手段に出力される。
【0013】
蓋体10の上面側には、操作ボタン5と表示パネル6とが設けられている。操作ボタン5は、炊飯や保温の開始を指示する入力ボタン、炊き上がりの硬さや米の種類など炊飯動作に関する設定を行うための入力ボタン、炊飯予約に関する設定を行うための入力ボタンなどを含んでいる。表示パネル6は、例えば液晶表示パネルからなり、時刻、操作ボタン5による設定内容、炊飯動作に関する情報などを表示する。
【0014】
蓋体10は、ヒンジ部17により炊飯器本体1に軸支されており、炊飯器本体1の上部開口部を開閉自在に覆っている。
蓋体10の上面には、炊飯中に発生した蒸気を炊飯器100の外部に放出するための蓋体排出口16が開口している。
【0015】
蓋体10の骨格は、大まかには、最上面を構成する意匠天板11と、意匠天板11の下側に設けられた蓋上面部材12と、蓋上面部材12の下側に設けられ蓋体10の下面を構成する蓋下面部材13とによって構成されている。意匠天板11と蓋上面部材12との間に設けられた空間には、操作ボタン5、表示パネル6の動作を制御する回路が実装された制御基板7が収容されている。蓋上面部材12と蓋下面部材13との間に設けられた空間には、例えば電気ヒータからなる蓋体加熱手段4が設けられている。
【0016】
[蓋体に対する内蓋の取り付け構造]
図4は、実施の形態に係る炊飯器の蓋体と内蓋の斜視図であり、蓋体から内蓋を取り外した状態を示している。
【0017】
内蓋20には、内蓋20の上面から上方に突出するようにして蒸気分離ユニット30が一体に設けられている。蒸気分離ユニット30は、おねば受け容器40と、おねば受け容器40の上部を覆う容器蓋50と、容器蓋50に設けられた排出口シール材60とを備える。
【0018】
蓋体10の蓋下面部材13の下面には、内蓋20の外形に沿って蓋上面部材12側に向かって凹ませて構成された内蓋取付凹部18が設けられている。この内蓋取付凹部18には、内蓋20が取り付けられる。内蓋取付凹部18の一部には、さらに蓋上面部材12側に向かって凹ませて構成された蒸気分離ユニット収容部14が設けられている。この蒸気分離ユニット収容部14には、内蓋20に一体に設けられた蒸気分離ユニット30が着脱自在に収容される。
【0019】
蒸気分離ユニット収容部14は、蒸気分離ユニット30の外形にほぼ沿う平面形状を有している。本実施の形態では、ほぼ角丸矩形の平面形状を有する蒸気分離ユニット30と、同じくほぼ角丸矩形の平面形状(内周の平面形状)を有する蒸気分離ユニット収容部14を例示しているが、これらの外形を限定するものではない。
【0020】
内蓋20の外周部を構成する内蓋外枠26には係止爪27が設けられ、蓋体10にはこの係止爪27に対応した内蓋係合部15が設けられている。そして、係止爪27を内蓋係合部15に係合させることによって、蓋体10に対して内蓋20が取り付けられる。また、蓋体10に取り付けられた内蓋20を使用者が手前側に向かって引き寄せることで、係止爪27と内蓋係合部15との係合状態が解除され、内蓋20を蓋体10から取り外すことができる。なお、蓋体10に対する内蓋の取り付け構造は、図示のものに限定されず、着脱可能な任意の取り付け構造を採用することができる。
【0021】
蓋体加熱手段4は、蒸気分離ユニット収容部14の外周側に設けられている。すなわち、上面から見た場合において、蒸気分離ユニット収容部14と重ならない位置に、蓋体加熱手段4が配置されている。図4では、蓋体10に設けられた蓋体加熱手段4の大まかな加熱範囲を破線で示している。
【0022】
蓋体10は、最大限に開放された状態において、図4に例示する程度に起立した状態が保たれる。このように起立した状態の蓋体10に対し、内蓋20を取り付け、あるいは取り外すことができる。
【0023】
[蒸気分離ユニット]
図5は実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図、図6は実施の形態に係る内蓋と蒸気分離ユニットの斜視図であり、容器蓋を開けた状態を示している。
【0024】
蒸気分離ユニット30は、炊飯中に内釜2内から発生する蒸気とおねばの混合気を、蒸気とおねばとに分離するためのものである。蒸気分離ユニット30は、内蓋20の上面に一体に取り付けられたおねば受け容器40と、おねば受け容器の上部を覆う容器蓋50と、容器蓋50をおねば受け容器40に対して回動可能に軸支する回動軸80とを備える。容器蓋本体51の内面側には、分離機構70が一体的に設けられている。分離機構70は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、蒸気とおねばとに分離するための機構である。容器蓋50を閉じると、分離機構70はおねば受け容器40内に収容される。
【0025】
おねば受け容器40の容器本体41は、底板42と側壁43とによって平面形状がほぼ角丸矩形状に形成されており、その内部に収容空間を有している。容器本体41の底板42の一部には下面開口部44が開口しており、下面開口部44には内蓋20に一体に設けられた凹状枠21が取り付けられている(後述の図7〜図10参照)。また、底板42からは下障壁45が起立し、この下障壁45には下障壁おねば戻し口46が開口している。
【0026】
容器蓋50の容器蓋本体51は、天板52と側壁53とによって平面形状がほぼ角丸矩形状に形成されている。容器蓋本体51は、容器本体41よりもやや大きい外形を有し、容器本体41の上面開口部を覆うことができるようになっている。容器蓋本体51の内面側の内周縁には、環状の容器蓋パッキン56が取り付けられている。容器蓋パッキン56は、おねば受け容器40と容器蓋50との間をシールするためのものであり、弾性変形可能な例えばシリコンゴムの如き材料からなる。容器蓋50が閉められた状態において、おねば受け容器40の側壁43の上端部が、容器蓋パッキン56に当接して容器蓋パッキン56を圧縮し、これによっておねば受け容器40と容器蓋50との間が密閉される。
【0027】
容器蓋本体51には、容器蓋排出口55が開口しており、容器蓋排出口55には排出口シール材60が取り付けられている。容器蓋排出口55は、蒸気分離ユニット30から外部へと蒸気を排出するための開口部である。容器蓋排出口55は、蒸気分離ユニット30を蓋体10に取り付けた状態において、蓋体排出口16の直下に設けられている。
【0028】
排出口シール材60は、容器蓋排出口55と蓋体排出口16との間をシールするための部材であり、弾性変形可能な例えばシリコンゴムの如き材料からなる。本実施の形態の排出口シール材60は、容器蓋排出口55に挿入される環状の装着部61と、装着部61の上端から斜め上方に向かって延びる面を有する傾斜部62と、傾斜部62の上端から傾斜部62の傾斜面とは反対側に延びて蓋体排出口16に当接する当接部63とを有する。傾斜部62の内部には、蓋体排出口16から容器蓋排出口55に向かって流路断面積が狭まるようすり鉢状に形成された流路が形成されている。蒸気分離ユニット30が蒸気分離ユニット収容部14に取り付けられた状態においては、当接部63が蓋体排出口16の内面側に当接し、排出口シール材60が圧縮されることによって弾性変形し、容器蓋排出口55と蓋体排出口16との間の密閉性が確保される。
【0029】
容器蓋本体51の内面側には、下方に向かって延びる上障壁58が設けられている。上障壁58は、蒸気の分離機構70よりも蒸気流れ下流側に配置されている。
【0030】
おねば受け容器40にはロック機構を備えたラッチロック47が設けられ、容器蓋50にはラッチロック47を係合するためのラッチ係合部57が設けられている。容器蓋50を閉じてラッチロック47をラッチ係合部57に係合させることで、容器蓋50を閉じた状態がより強固に保持される。
【0031】
次に、蒸気分離ユニット30と内蓋2との配置関係について説明する。
蒸気分離ユニット30は、平面視ほぼ円形の内蓋20の中心Oから放射線方向Xにずらした位置に配置されている。本実施の形態では、内蓋20を蓋体10に取り付けたときに(図1、図2参照)、蒸気分離ユニット30とヒンジ部17との距離が短くなる方向に、蒸気分離ユニット30を配置している。さらに、容器蓋50をおねば受け容器40に軸支する回動軸80は、放射線方向X上であって、蒸気分離ユニット30において内蓋20の中心から遠い側に設けられている。内蓋20の中心Oから放射線X方向にずらした位置に蒸気分離ユニット30を配置することにより、内蓋20には蒸気分離ユニット30と対向する位置に広い面積を確保できるので、使用者は、内蓋20を着脱する際にはこの広い面積部分を把持することができ、取り扱い性がよい。さらに、回動軸80を上記のような配置としたことにより、内蓋20を把持する使用者の手とは反対側に容器蓋50が開く。このため、容器蓋50を開いた際に、内蓋20を把持している使用者の手に容器蓋50がぶつかることがなく、容器蓋50を開閉する際の取り扱い性がよい。
【0032】
[分離機構]
図7は実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面斜視図、図8は図7の要部拡大図である。図8では、混合気、蒸気、及びおねばの大まかな流れを矢印で示している。また、図9は実施の形態に係る蓋体、内蓋、及び蒸気分離ユニットの断面図、図10は図9の要部拡大図である。また、図11は、実施の形態に係る蒸気分離ユニットを説明する要部断面模式図である。なお、図11は、分離室72の軸方向に直交する面における断面を示している。
以下、図5〜図11を参照して、蒸気の分離機構について説明する。
【0033】
分離機構70は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、遠心分離作用によって蒸気とおねばとに分離するための機構である。
分離機構70は、容器蓋50の下面に取り付けられ、内部にほぼ円筒状の流路を形成する周壁71を備える。図11に示すように、本実施の形態では、容器蓋本体51の天板52の内面の一部に、上方に向かって凹となる断面ほぼ円弧状の円弧面54(凹形状部)が形成されており、この円弧面54と周壁71の内壁とに囲まれた空間が、ほぼ円筒状となるよう構成されている。また、周壁71の軸方向両側の端部に位置する壁面を、それぞれ、上流壁71a、下流壁71bと称する場合がある。円弧面54、周壁71(上流壁71a、下流壁71bを含む)に囲まれたほぼ円筒状の部屋を、分離室72と称する。分離室72は、蒸気とおねばの混合気が流れる流路となる。なお、分離室72は、その内壁面に沿って蒸気とおねばの混合気が旋回しながら流れるよう構成すればよく、厳密に円筒状であることを要さない。
【0034】
周壁71の下部には、混合気流入口73が開口している。混合気流入口73は、内釜2内で発生した蒸気とおねばの混合気を、分離室72に流入させるための開口部である。図11に示すように、混合気流入口73は、ほぼ円筒状に構成された分離室72の内壁を軸方向に直交する面で切断した場合の接線方向に、開口している。
なお、本実施の形態では、後述するように混合気流入口73に混合気案内筒23が挿入される例を示しており、混合気流入口73の開口位置及び開口方向と、混合気案内筒23の接続位置及び接続方向とにより、ほぼ円筒状の分離室72の内壁の接線方向に混合気が流入するように両者を構成する。
この混合気流入口73は、周壁71の円筒軸方向の一端側(本実施の形態における上流壁71a側)に開口している。
【0035】
周壁71の下部であって、周壁71の円筒軸方向の他端側(混合気流入口73とは反対側)には、おねば流出口74a、74b(おねば流出口74と総称する場合がある)が設けられている。おねば流出口74は、分離室72において蒸気とおねばの混合気から分離されたおねばを、分離室72の外部に流出させるための開口部である。本実施の形態では、2つのおねば流出口74a、74bを設ける例を示しているが(図6参照)、おねば流出口74の数を限定するものではない。おねばによって一のおねば流出口74が塞がれた場合でも他のおねば流出口74からおねばを排出できるようにするためには、複数のおねば流出口74を設けることが好ましく、また、この場合には互いの設置高さを異ならせるのが好ましい。
【0036】
下流壁71bには、蒸気流出口77が開口している。蒸気流出口77の開口位置は、分離室72に形成されるほぼ円筒状流路の、流路断面ほぼ中央である。分離室72内において混合気から分離された蒸気が進行方向に進むと、この蒸気が蒸気流出口77から分離室72の外部へと流出する。
【0037】
混合気流入口73と蒸気流出口77は、それぞれ、ほぼ円筒状流路を構成する分離室72の、流れ方向の一端側と他端側に配置されている。混合気流入口73が流れ方向の上流側、蒸気流出口77が流れ方向の下流側に配置される。混合気流入口73と蒸気流出口77との間の距離は、混合気流入口73から流入した混合気から蒸気とおねばを分離することができるよう、分離室72の内径等を考慮して設定する。混合気流入口73から流入した混合気から蒸気とおねばを分離することができるよう混合気流入口73と蒸気流出口77との間の距離を設ければよく、分離室72の端部に設けることを要しない。
【0038】
蒸気流出口77には、おねば流出方向に向かって延びる蒸気案内筒78が接続されている。蒸気案内筒78は、容器蓋50を閉めた状態において、下障壁45と上障壁58の蒸気流れ上流側の近傍まで延びている。蒸気案内筒78から流出する蒸気におねばが含まれていた場合に発生する泡が、下障壁45または上障壁58によってつぶされるような位置関係となるように、蒸気案内筒78の長さを設定するとよい。また、蒸気案内筒78の端部は、容器蓋50に設けられた容器蓋排出口55に対して蒸気流れ上流側に位置しており、蒸気案内筒78の端部から流出した蒸気が、容器蓋排出口55を通って蒸気分離ユニット30の外部へ流出するようになっている。
【0039】
[内蓋からの混合気排出機構とおねば戻し機構]
次に、図7〜図10を参照して、内釜から混合気を排出する機構と、内釜内におねばを戻す機構について説明する。
内蓋20には、取付穴29が開口している。この取付穴29に対し、内蓋20の上面側からは、おねば受け容器40の底板42に設けられた開口部外周に起立する取付枠48が嵌合されている。また、この取付穴29に対し、内蓋20の下面側からは、内蓋20の一部を構成する凹状枠21が嵌合されている。内蓋20の取付穴29に対しておねば受け容器40の取付枠48を嵌合させた構造により、内蓋20とおねば受け容器40とが一体構成されている。なお、内蓋20とおねば受け容器40とを一体化するための構造はこれに限定されない。また、使用者がおねば受け容器40を内蓋20から着脱不能な構成としてもよいし、着脱可能な構成としてもよいが、炊飯中に内釜2内が高圧となった場合でも、内蓋20に対するおねば受け容器40の取り付け状態が保持されるよう構成する。
【0040】
凹状枠21は、内蓋20の下面から下側に向かって凹となる凹部を構成している。凹状枠21は、おねば受け容器40からのおねばを内部に一次的に溜めることができるようになっている。
【0041】
凹状枠21の底板には、内蓋排出口22が開口している。内蓋排出口22は、内釜2内の混合気を内釜2の外に排出するための開口部である。
内蓋排出口22からは、上側に向かって混合気案内筒23が起立している。混合気案内筒23は、内蓋排出口22からの混合気を、分離機構70の分離室72内に導くための中空の円柱である。混合気案内筒23の上端部は、混合気流入口73から分離室72内へと挿入されている。混合気案内筒23を分離室72内へ挿入する長さは、混合気案内筒23の上端部から流出した混合気が、ほぼ円筒状の分離室72の内壁の接線方向(内壁を軸方向に直交する面で切断した場合の接線方向)に流入するようにして設定する。分離室72の内壁の接線方向に混合気を流入させることができる構成であれば、必ずしも混合気案内筒23を分離室72内に挿入する必要はなく、混合気流入口73の内周に接続される構成としてもよい。また、分離室72の内壁の接線方向に混合気を流入させることができる構成であれば、混合気流入口73の開口位置及び開口方向と、混合気案内筒23の接続位置及び接続方向を任意に採用することができる。
本実施の形態では、図6に示す容器蓋50を開けた状態では、混合気案内筒23の上端部はおねば受け容器40の容器本体41内に露出しているが、容器蓋50を閉めると、図7〜図10に示すように混合気案内筒23の上端部が分離室72内に挿入される。
【0042】
また、凹状枠21の底板には、おねば戻し口24が開口している。おねば戻し口24は、凹状枠21内と内釜2内とを連通させる開口部である。おねば戻し口24には、上下動可能に設けられた開閉弁25が取り付けられている。
開閉弁25は、内釜2内の内圧が低いときには下降して、おねば戻し口24を開口状態に保持する。また、炊飯中、すなわち内釜2の内圧が高いときにはこの内圧により開閉弁25が上昇し、おねば戻し口24を塞ぐ。なお、開閉弁25は、耐熱性を有し、経年変化しにくい例えばシリコンゴムの如き材料からなる。
【0043】
[内蓋の蓋体への取り付け]
図12は、実施の形態に係る内蓋を蓋体へ取り付ける動作を説明する図である。図12では、取り付け前の内蓋20及び蒸気分離ユニット30を実線で記し、取り付け後の内蓋20及び蒸気分離ユニット30を破線で示している。
図4、図12を参照して、内蓋20の蓋体10への取り付け動作の一例を説明する。
【0044】
まず、蒸気分離ユニット30の容器蓋50が閉じられた状態における内蓋20の取り付け動作を説明する。
使用者は、蒸気分離ユニット収容部14に蒸気分離ユニット30が対面するようにして、内蓋20を把持する。ここで、図4、図12に示すように、開いた状態の蓋体10の上側(図4、図12の紙面上側)に、内蓋係合部15が設けられている。このため、図12に示すように、内蓋20の蒸気分離ユニット30側の端部を、内蓋取付凹部18のヒンジ部17側の端部に突き合わせ、この突き合わせた部位(以下、支点P)を支点として内蓋20を回転させるという取り付け動作が、使用者に対して促される。このような動作を使用者が行うと、内蓋20に設けられた係止爪27が、蓋体10に設けられた内蓋係合部15に係合され、内蓋取付凹部18に内蓋20が取り付けられる。このとき、蒸気分離ユニット30は、蒸気分離ユニット収容部14内に収容される。また、蒸気分離ユニット30の上面に設けられた排出口シール材60は、蓋体10の蓋体排出口16に内面側から密着し、蓋体排出口16の内面側におけるシール性が確保される。
【0045】
蒸気分離ユニット30からの蒸気の出口である容器蓋排出口55と、蓋体10の蓋体排出口16とを結ぶ蒸気の経路を、高さの低い排出口シール材60により構成したので、上述のように支点Pにより内蓋20を回転させながら内蓋20を取り付ける動作において、排出口シール材60が回転の妨げになることがない。
また、内蓋20の係止爪27と対向する側の端部近傍に、排出口シール材60を配置したので、内蓋20を回転させながら内蓋20を取り付ける際の支点Pは、排出口シール材60の近傍に位置する。このように、回転させる際の支点Pと排出口シール材60との距離は相対的に近いため、排出口シール材60によるシール性が高い。すなわち、回転させる際の支点Pと排出口シール材60との距離が離れると、回転させる過程においてズレが生じやすく排出口シール材60と蓋体排出口16とのシール性が低下しうるが、本実施の形態のように構成することでシール性の低下を抑制できる。
【0046】
次に、蒸気分離ユニット30の容器蓋50が開けられた状態(図6に示す状態)における内蓋20の取り付け動作を説明する。蒸気分離ユニット30の容器蓋50が開けられた状態である場合には、内蓋20を蓋体10の内蓋取付凹部18に取り付けようとしても、開けられた容器蓋50が妨げとなって蒸気分離ユニット30を蒸気分離ユニット収容部14に収容することができない。すなわち、容器蓋50が開けられた状態の蒸気分離ユニット30を内蓋20の上面から見た場合の投影形状は、蒸気分離ユニット収容部14の平面形状に対して一部が突出するように構成されている。このように、容器蓋50が開いた状態では内蓋20を蓋体10に取り付けることができないように構成することで、容器蓋50を閉め忘れたまま内蓋20を蓋体10に取り付けるのを防ぐことができる。
【0047】
図13は、実施の形態に係る蒸気分離ユニット近傍の要部断面模式図である。図13では、おねば受け容器40と容器蓋50との間をシールする容器蓋パッキン56のつぶし代を、つぶし代aとして示している。また、内蓋20を蓋体10に正常に取り付けた場合における、蒸気分離ユニット収容部14の下面と、おねば受け容器40の側壁43の上端との距離を、距離bとして示している。そして、本実施の形態では、内蓋20を蓋体10に正常に取り付けた状態において、側壁43の上端が容器蓋パッキン56を適正なつぶし代aだけ押し潰すよう、距離bが設定されている。このように構成することで、内蓋20を蓋体10に取り付けることで、容器蓋パッキン56がつぶれて弾性変形し、おねば受け容器40と容器蓋50とのシール性を確保することができる。本実施の形態では、容器蓋50が閉じられた状態を保持するロック機構(ラッチロック47とラッチ係合部57)を設けているが、このような機構を設けなくとも、容器蓋パッキン56のつぶし代aがクリアランスbよりも大きくなるよう構成することで、おねば受け容器40と容器蓋50との密閉性を確保することができる。
【0048】
[蒸気分離ユニットの作用]
次に、本実施の形態に係る炊飯器100により炊飯する場合の、蒸気分離ユニット30の作用について、図8と図11を参照して説明する。
使用者が、水と米を入れた内釜2を炊飯器本体1内に収容して蓋体10を閉じ、操作ボタン5を操作すると、加熱手段3の作用によって内釜2が加熱される。内釜2内の水が沸騰すると、おねばを含んだ蒸気(混合気)が発生する。このとき、内釜2の内圧が上昇しているため、おねば戻し口24に設けられた開閉弁25は、押し上げられておねば戻し口24を閉塞する。このため、おねばを含む蒸気は、内蓋排出口22と混合気案内筒23を通り、混合気流入口73に挿入された混合気案内筒23の端部から分離室72内へと導かれる。
【0049】
混合気案内筒23から出たおねばを含む蒸気(混合気)は、ほぼ円筒状に形成された分離室72の内壁の接線方向から分離室72の内部に流入し、分離室72の内壁面に沿って旋回しながら流れる。この旋回に伴う遠心力で、比重の異なる蒸気とおねばとが分離される。そして、分離室72において分離されたおねばは、分離室72の内壁に沿って下方に流れ、おねば流出口74を通って分離機構70から出て、おねば受け容器40内に落下する。おねば受け容器40の底板42は、下面開口部44に向かって下降するよう傾斜しており、おねば受け容器40内のおねばは、下面開口部44から凹状枠21内へと進み、凹状枠21内に溜まる。
【0050】
一方、分離室72おいて分離された蒸気は、分離室72の下流壁71bに設けられた蒸気流出口77から蒸気案内筒78内へと進み、蒸気案内筒78から出る。ここで、分離しきれなかったおねばが泡として蒸気案内筒78から出てきた場合でも、蒸気案内筒78の出口側には下障壁45と上障壁58が設けられているので、泡はこれらの障壁に衝突してつぶれ、おねばは下障壁おねば戻し口46を通っておねば受け容器40の底板42上を流れ、下面開口部44を通って凹状枠21内に溜まる。そして、蒸気案内筒78から出た蒸気は、容器蓋排出口55に取り付けられた排出口シール材60を通り、蓋体排出口16から炊飯器100の外部に放出される。
【0051】
その後、加熱が停止して内釜2の内圧が低下すると、開閉弁25は、自重及びおねばの重量によって下降し、凹状枠21の底面に設けられたおねば戻し口24を開口させる。これにより、凹状枠21内に溜まったおねばは、おねば戻し口24から内釜2内に落下する。おねばが内釜2内のご飯に戻ることにより、おねばに含まれるおいしさの成分がご飯に与えられて、つやや粘りのあるおいしいご飯を炊くことができる。
【0052】
また、排出口シール材60を通る過程において蒸気が凝縮して水滴となりうるが、この水滴は排出口シール材60のすり鉢状の傾斜部62に案内されて蒸気分離ユニット30内へと戻る。このため、排出口シール材60の内部には、水滴が溜まりにくくなっている。したがって、炊飯終了後に蓋体10が開けられた場合でも、蓋体10の蓋体排出口16から水滴が外部へ流出しにくい。また、例えば排出口シール材60内に水滴が溜まっていると、蓋体10を閉じたときに蓋体排出口16から出る空気の勢いでその水滴が飛び出しうるが、本実施の形態では排出口シール材60内に水滴が溜まりにくいので、蓋体10を閉めたときに蓋体排出口16から水滴が飛散することもない。
【0053】
また、蒸気分離ユニット30の周囲には蓋体加熱手段4が配置されている。さらに、蒸気分離ユニット30の内部に対して、容器蓋50の天板52、蓋下面部材13、蓋上面部材12、及び意匠天板11が順に重ねられた配置となっている。すなわち、容器蓋50の天板52、蓋下面部材13、蓋上面部材12、及び意匠天板11という4枚の壁が、蒸気分離ユニット30内部に対する断熱構造として機能する。蒸気分離ユニット30の内部に対して蓋体加熱手段4からの熱が伝わるとともに、断熱構造として機能する4枚の壁構造が設けられていて蒸気分離ユニット30内部の熱が逃げにくいので、炊飯終了後においても蒸気分離ユニット30内が比較的高温に維持される。このため、蒸気分離ユニット30内に残る水滴は蒸発しやすく、炊飯後に蒸気分離ユニット30内に残りにくい。したがって、使用者が清掃等のために内蓋20を蓋体10から取り外す場合でも、蒸気分離ユニット30から水滴が落下しにくく、衛生性に優れ、使い勝手もよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、蒸気とおねばの混合気がほぼ円筒状の分離室72の内壁面に沿って流れるように構成し、この過程において遠心分離の作用により蒸気とおねばとを分離するようにしたので蒸気とおねばの分離性能が高い。このため、高火力で加熱した場合や、沸騰を長く設定した場合でも、おねばの吹き溢れを抑制でき、おいしいご飯を炊くことができる。
【0055】
また、混合気が分離される際の流路は、ほぼ円筒状の分離室72の内壁面に沿った旋回流路であり、分離室72の軸方向の直線距離に対して長い距離を確保することができる。このため、直線的な経路により蒸気とおねばを分離するものよりも、分離機構70を小型化することができる。このように、分離機構70を小型化できるので、蒸気分離ユニット30も小型化できる。したがって、炊飯器100全体に占める蒸気分離ユニット30の体積を小さくでき、炊飯器100全体を小型化、軽量化することもできる。
【0056】
また、分離機構70を容器蓋50に設け、分離機構70で分離されたおねばをおねば受け容器40で受けるようにした。このため、おねばによって汚れやすいおねば受け容器40を清掃する際には、容器蓋50を開けることでおねば受け容器40の内部を露出させることができ、清掃性がよい。
【0057】
また、回動軸80によりおねば受け容器40を容器蓋50に回動可能に設け、両者を一体に構成した。おねば受け容器40と容器蓋50とが一体に構成されているので、一方を洗い忘れたり、取り付け忘れたりといったこともなく、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0058】
1 炊飯器本体、2 内釜、2a フランジ、3 加熱手段、4 蓋体加熱手段、5 操作ボタン、6 表示パネル、7 制御基板、8 鍋底温度センサー、10 蓋体、11 意匠天板、12 蓋上面部材、13 蓋下面部材、14 蒸気分離ユニット収容部、15 内蓋係合部、16 蓋体排出口、17 ヒンジ部、18 内蓋取付凹部、20 内蓋、21 凹状枠、22 内蓋排出口、23 混合気案内筒、24 おねば戻し口、25 開閉弁、26 内蓋外枠、27 係止爪、28 内蓋パッキン、29 取付穴、30 蒸気分離ユニット、40 おねば受け容器、41 容器本体、42 底板、43 側壁、44 下面開口部、45 下障壁、46 下障壁おねば戻し口、47 ラッチロック、48 取付枠、50 容器蓋、51 容器蓋本体、52 天板、53 側壁、54 円弧面、55 容器蓋排出口、56 容器蓋パッキン、57 ラッチ係合部、58 上障壁、60 排出口シール材、61 装着部、62 傾斜部、63 当接部、70 分離機構、71 周壁、71a 上流壁、71b 下流壁、72 分離室、73 混合気流入口、74 おねば流出口、74a、74b おねば流出口、77 蒸気流出口、78 蒸気案内筒、80 回動軸、100 炊飯器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、
前記炊飯器本体の上部開口部を覆い、蒸気を外部に排出するための蓋体排出口を備えた蓋体と、
前記蓋体の下面に着脱可能に装着されて前記内釜の上部開口部を覆うとともに、前記内釜内の蒸気を排出するための内蓋排出口を備えた内蓋と、
前記内釜を加熱する加熱手段と、
前記内蓋排出口からの蒸気とおねばの混合気を前記蓋体排出口へと導く蒸気分離ユニットとを備え、
前記蒸気分離ユニットは、
前記内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器と、
前記おねば受け容器の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋と、
略円柱状の内部空間を有し、前記容器蓋が閉じられた状態において前記おねば受け容器と前記容器蓋との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室とを備え、
前記分離室には、
前記分離室の筒軸方向の一端側に設けられ、前記内蓋排出口からの前記混合気を前記分離室の内部に流入させる混合気流入口と、
前記分離室の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を前記分離室の内部から流出させる蒸気流出口と、
おねばを前記分離室の内部から流出させるおねば流出口とが開口しており、
前記混合気流入口から前記分離室の内壁面の接線方向に前記混合気を流入させ、前記分離室内に流入した混合気から、前記分離室の内部空間において遠心力によりおねばを分離させ、分離させたおねばを前記おねば流出口から流出させて前記おねば受け容器に導くとともに、蒸気を前記蒸気流出口から流出させる
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記容器蓋は、前記おねば受け容器に開閉可能に軸支されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記蓋体の下面に、前記蒸気分離ユニットの少なくとも一部を収容する凹状の蒸気分離ユニット収容部を備え、
前記内蓋が前記蓋体の下面に装着されると、前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に収容されるよう構成した
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蒸気分離ユニット収容部の内周の平面形状は、前記おねば受け容器に軸支された前記容器蓋が開放されている状態では前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に収容されない形状とした
ことを特徴とする請求項2に従属する請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記おねば受け容器と前記容器蓋との間をシールする弾性シール材を備え、
前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に取り付けられた状態において、前記弾性シール材を適正なつぶし代だけ押しつぶすよう、前記蒸気分離ユニット収容部の壁面と前記蒸気分離ユニットとの位置関係が設定されている
ことを特徴とする請求項3または請求項3に従属する請求項4記載の炊飯器。
【請求項6】
前記おねば受け容器は、平面視ほぼ円形の前記内蓋の中心から放射線方向にずらした位置に配置されており、
この放射線方向上であって、前記内蓋の中心から遠い側に、前記容器蓋を前記おねば受け容器に軸支する軸支部を設けた
ことを特徴とする請求項2または請求項2に従属する請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記容器蓋には、前記分離室の前記蒸気流出口から出た蒸気を前記容器蓋の外部に導く容器蓋排出口が形成されており、
前記容器蓋排出口と前記蓋体排出口との間をシールする排出口シール材を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記排出口シール材は、
前記蓋体排出口から前記容器蓋排出口に向かって流路断面積が狭まるようすり鉢状に形成された流路を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
前記分離室は、
前記容器蓋の上壁内面を上方に向かって凹ませた凹形状部と、この凹形状部と合わせて略円柱状の内部空間を構成する周壁とで区画形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記蓋体に設けられ、上面から見て前記蒸気分離ユニットの外周側に配置された蓋加熱手段を備え、
前記蓋体は、
蓋下面部材と、
前記蓋下面部材よりも上方に配置される蓋上面部材と、
前記蓋上面部材よりも上方に配置され、蓋体の外表面を構成する意匠天板とを備え、
前記蒸気分離ユニットの前記容器蓋の上方には、下から順に、前記蓋下面部材、前記蓋上面部材、及び意匠天板が配置される
ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項1】
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、
前記炊飯器本体の上部開口部を覆い、蒸気を外部に排出するための蓋体排出口を備えた蓋体と、
前記蓋体の下面に着脱可能に装着されて前記内釜の上部開口部を覆うとともに、前記内釜内の蒸気を排出するための内蓋排出口を備えた内蓋と、
前記内釜を加熱する加熱手段と、
前記内蓋排出口からの蒸気とおねばの混合気を前記蓋体排出口へと導く蒸気分離ユニットとを備え、
前記蒸気分離ユニットは、
前記内蓋の上面側に一体に設けられ、上面を開口したおねば受け容器と、
前記おねば受け容器の上面開口を開閉可能に覆う容器蓋と、
略円柱状の内部空間を有し、前記容器蓋が閉じられた状態において前記おねば受け容器と前記容器蓋との間に形成される空間内に配置されるように設けられた分離室とを備え、
前記分離室には、
前記分離室の筒軸方向の一端側に設けられ、前記内蓋排出口からの前記混合気を前記分離室の内部に流入させる混合気流入口と、
前記分離室の筒軸方向の他端側に設けられ、蒸気を前記分離室の内部から流出させる蒸気流出口と、
おねばを前記分離室の内部から流出させるおねば流出口とが開口しており、
前記混合気流入口から前記分離室の内壁面の接線方向に前記混合気を流入させ、前記分離室内に流入した混合気から、前記分離室の内部空間において遠心力によりおねばを分離させ、分離させたおねばを前記おねば流出口から流出させて前記おねば受け容器に導くとともに、蒸気を前記蒸気流出口から流出させる
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記容器蓋は、前記おねば受け容器に開閉可能に軸支されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記蓋体の下面に、前記蒸気分離ユニットの少なくとも一部を収容する凹状の蒸気分離ユニット収容部を備え、
前記内蓋が前記蓋体の下面に装着されると、前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に収容されるよう構成した
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蒸気分離ユニット収容部の内周の平面形状は、前記おねば受け容器に軸支された前記容器蓋が開放されている状態では前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に収容されない形状とした
ことを特徴とする請求項2に従属する請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記おねば受け容器と前記容器蓋との間をシールする弾性シール材を備え、
前記蒸気分離ユニットが前記蒸気分離ユニット収容部に取り付けられた状態において、前記弾性シール材を適正なつぶし代だけ押しつぶすよう、前記蒸気分離ユニット収容部の壁面と前記蒸気分離ユニットとの位置関係が設定されている
ことを特徴とする請求項3または請求項3に従属する請求項4記載の炊飯器。
【請求項6】
前記おねば受け容器は、平面視ほぼ円形の前記内蓋の中心から放射線方向にずらした位置に配置されており、
この放射線方向上であって、前記内蓋の中心から遠い側に、前記容器蓋を前記おねば受け容器に軸支する軸支部を設けた
ことを特徴とする請求項2または請求項2に従属する請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記容器蓋には、前記分離室の前記蒸気流出口から出た蒸気を前記容器蓋の外部に導く容器蓋排出口が形成されており、
前記容器蓋排出口と前記蓋体排出口との間をシールする排出口シール材を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記排出口シール材は、
前記蓋体排出口から前記容器蓋排出口に向かって流路断面積が狭まるようすり鉢状に形成された流路を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
前記分離室は、
前記容器蓋の上壁内面を上方に向かって凹ませた凹形状部と、この凹形状部と合わせて略円柱状の内部空間を構成する周壁とで区画形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記蓋体に設けられ、上面から見て前記蒸気分離ユニットの外周側に配置された蓋加熱手段を備え、
前記蓋体は、
蓋下面部材と、
前記蓋下面部材よりも上方に配置される蓋上面部材と、
前記蓋上面部材よりも上方に配置され、蓋体の外表面を構成する意匠天板とを備え、
前記蒸気分離ユニットの前記容器蓋の上方には、下から順に、前記蓋下面部材、前記蓋上面部材、及び意匠天板が配置される
ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−22284(P2013−22284A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160602(P2011−160602)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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