炊飯器

【課題】蓋パッキンによる内釜フランジ部のシール性を向上させることができるとともに、蓋パッキンの結露量を減少させることができ、また蓋を閉める力が重くならないようにする。
【解決手段】蓋4と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキン21を、蓋側に取り付けられる基部22と、基部22から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞24が形成される下揺動片26と、下揺動片26よりも小さく形成され、基部22から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞23が形成される上揺動片25とを備え、蓋開時ではこれら上下揺動片25,26の先端間に隙間gが形成され、蓋閉時では下揺動片26の先端が上揺動片25の先端に当接する構成とする。
【解決手段】蓋4と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキン21を、蓋側に取り付けられる基部22と、基部22から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞24が形成される下揺動片26と、下揺動片26よりも小さく形成され、基部22から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞23が形成される上揺動片25とを備え、蓋開時ではこれら上下揺動片25,26の先端間に隙間gが形成され、蓋閉時では下揺動片26の先端が上揺動片25の先端に当接する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体内に収納される内釜と蓋との間をシールする環状の蓋パッキンを有する炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器は、本体と、フランジを有し本体に着脱自在に収納した内釜と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、蓋と内釜のフランジとの間をシールする環状の蓋パッキンを有する。蓋パッキンとしては、蓋側に取り付けられる基部と、基部から外周側に向け延出し、外周側から下方内周側に折り返されて、折り返し部の先端側が上向きに延設され、その先端が相対する蓋下面に当接する構成としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−087123号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓋パッキンの折り返し部の先端側が上向きに延設され、その先端が相対する蓋下面に当接する構成としたものにあっては、蓋パッキンの内釜のフランジとの接触部の態様が線接触となり、内圧が上昇すると、延設片は内釜フランジ部から離れる方向に力が働き、接触部の尖っていた部分が押し上げられてフランジから離れ、隙間が発生し、シール性が悪化するという問題があった。
【0005】
また、蓋パッキンの折り返し部の先端のラップ部(蓋下面に当てる部分)を大きくすると、蓋を閉じるときに蓋パッキンをつぶす重さが必要となり、蓋を閉じる力が重たくなるという難点があった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、蓋パッキンによる内釜フランジ部のシール性を向上させることができるとともに、蓋パッキンの結露量を減少させることができ、また蓋を閉める力が重くならない炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、本体と、フランジを有し本体に着脱自在に収納した内釜と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、蓋と内釜のフランジとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキンとを有する炊飯器において、蓋パッキンは、蓋側に取り付けられる基部と、基部から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞が形成される下揺動片と、下揺動片よりも小さく形成され、基部から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞が形成される上揺動片とを備え、蓋開時ではこれら上下揺動片の先端間に隙間が形成され、蓋閉時では下揺動片の先端が上揺動片の先端に当接する構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器においては、蓋パッキンの上揺動片が内向きに常時開放するリップ状に形成されているので、内釜の内圧(蒸気圧)が上昇すると、上揺動片がその圧力を受けて下揺動片を内釜のフランジに圧接する方向に作用する。このため、蒸気圧力を利用して蓋パッキンによる蓋と内釜のフランジとの間のシール性を向上させることができる。
また、蓋パッキンの上揺動片は下揺動片よりも小さく形成されて下揺動片の内周側に配置されているので、蓋パッキンの蒸気にさらされている面積を小さくすることができる。このため、蓋パッキンへの結露量を減少させることができる。
また、蓋パッキンの上揺動片及び下揺動片からなる二段揺動片構造を採用し、蓋を閉じたときに、下揺動片が内釜のフランジに押し付けられて撓み、下揺動片の先端が上揺動片の先端と当接する構成としたので、蓋を閉める力が軽くてすむ。さらに、制作誤差を吸収させることができて、歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る炊飯器の側方より見た縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。
【図8】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。図2は本発明の実施形態1に係る炊飯器の側方より見た縦断面図である。図3は本発明の実施形態1に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
本発明の実施形態1の炊飯器は、図1乃至図3のようにフランジ2aを有する内釜2が着脱自在に収容される本体1と、調理中に発生する蒸気を本体外に放散させるための蒸気口3を有し本体1の後部にヒンジ結合されて内釜2の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋4と、内釜2と蒸気口3との間に介在して調理中に内釜2内の被加熱物から発生する蒸気を蒸気口3に導く蒸気通路5とを有している。本体1の正面には、蓋4の係合解除ボタン6が設けられている。本体1内の内釜2の下方には、内釜2を誘導加熱する加熱コイル7が備えられている。また、本体1内の底部中央には、上方に付勢されて内釜2の底面に接触して中央部付近の発熱温度を検出する温度センサー8が取り付けられている。蓋4は、内面側が内蓋組立体11により構成されている。内蓋組立体11には、仕切板14に取り付けられた蓋ヒーター12により加熱される内蓋13が設けられている。蓋ヒーター12の加熱は、ご飯の炊飯・保温時に、内蓋13に露が結露するのをさけるために行うものである。内蓋組立体11の内蓋13の外周には、蓋4と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキン21が取り付けられている。
【0011】
図4は本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。図5は本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。図6は本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
内蓋組立体11に取り付けられた蓋パッキン21は、図4乃至図6のように蓋側に取り付けられる基部22と、基部22から蓋4の外周側に向け延出し、外周側から下方内周側にリップ状に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞すなわち空洞24が形成される下揺動片26と、下揺動片26よりも小さく形成され、基部22から蓋4の外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側にリップ状に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞すなわち空洞23が形成される上揺動片25とを備えている。すなわち、上揺動片25は、下揺動片26の内周側に配置されている。また上揺動片25と下揺動片26の先端間には隙間gが形成されており、蓋閉時に、下揺動片26が内釜2のフランジ2aに押し付けられて撓み、下揺動片26の先端が上揺動片25の先端と当接する(図6)ようになっている。なお、図6では下揺動片26の先端が上揺動片25の先端より内側と当接しているが、これは上揺動片25そのものも撓むため、下揺動片26がスライドしたからである。また、内釜2として、肉厚が厚めのものを例に挙げているためであり、内釜2として、それよりも肉厚が薄めのものを用いた場合には、図6の状態よりも先端側で下揺動片26と上揺動片25が当接する。このように蓋パッキン21に上揺動片25及び下揺動片26からなる二段揺動片構造を採用することで、蓋パッキン21に汎用性を持たせることができる。
【0012】
図7及び図8はいずれも本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。すなわち、図7のようにフリー状態にあるときの下揺動片26のリップ状の高さ寸法をA、上揺動片25と下揺動片26の先端間の隙間gの寸法をC、図8のように圧縮状態にあるときの下揺動片26のリップ状の高さ寸法をBとしたとき、蓋閉時の下揺動片26の圧縮ストローク(A−B)が(A−B)≧Cとなるように設定されている。
【0013】
以上のように、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25が内向きに常時開放するリップ状に形成されているので、内釜2の内圧(蒸気圧)が上昇すると、上揺動片25がその圧力を受けて下揺動片26を内釜2のフランジ2aに圧接する方向に作用する。このため、蒸気圧力を利用して蓋パッキン21による蓋4と内釜2のフランジ2aとの間のシール性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25が下揺動片26よりも小さく形成されて下揺動片26の内周側に配置されているので、蓋パッキン21の蒸気にさらされている面積を小さくすることができる。このため、蓋パッキン21への結露量を減少させることができる。
【0015】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25及び下揺動片26からなる二段揺動片構造を採用し、蓋4を閉じたときに、下揺動片26が内釜2のフランジ2aに押し付けられて撓み、下揺動片26の先端が上揺動片25の先端と当接する構成としたので、従来の蓋下面(固定部)への蓋パッキンの先端の突き当て方式のように、蓋パッキンをつぶす必要が無くなり、蓋4を閉める力が軽くてすむ。さらに、制作誤差を吸収させることができて、歩留りが向上する。
【0016】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25と下揺動片26の内側にそれぞれ空洞23,24を設け、蓋開時に上揺動片25と下揺動片26の間に隙間gが形成されるようにしているので、蓋4を開けたときに上揺動片25から露が溢れて垂れてきた時もこの露を下揺動片26で受けることができ、本体への露ダレを防止することができる。
【0017】
実施形態2.
図9は本発明の実施形態2に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。図10は本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。図11は本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。各図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付してある。なお、説明にあたっては前述の図1乃至図3を参照するものとする。
本発明の実施形態2の炊飯器は、図9乃至図11のように蓋4を閉じたときに、蓋パッキン21Aの上揺動片25と下揺動片26が当接する当接部の周方向の複数箇所(ここでは上揺動片25の周方向の複数箇所)に、密着防止用凸部27を設けたものである。なお、密着防止用凸部27は、下揺動片26側に設けてもよいものである。それ以外の構成は、前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1の持つ機能と同等の機能を有しているものである。
【0018】
本発明の実施形態2に係る炊飯器においては、蓋パッキン21Aそのものの有する粘着性により、上揺動片25と下揺動片26が密着するのを、密着防止用凸部27によって防ぐことができる。このため、蓋4を開けたときに上揺動片25から露が溢れて垂れてきた時もこの露を確実に下揺動片26で受けることができ、本体への露ダレを防止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 本体、2 内釜、2a フランジ、3 蒸気口、4 蓋、5 蒸気通路、6 係合解除ボタン、7 加熱コイル、8 温度センサー、11 内蓋組立体、12 蓋ヒーター、13 内蓋、14 仕切板、21,21A 蓋パッキン、22 基部、23,24 空洞、25 上揺動片、26 下揺動片、g 隙間、27 密着防止用凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体内に収納される内釜と蓋との間をシールする環状の蓋パッキンを有する炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器は、本体と、フランジを有し本体に着脱自在に収納した内釜と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、蓋と内釜のフランジとの間をシールする環状の蓋パッキンを有する。蓋パッキンとしては、蓋側に取り付けられる基部と、基部から外周側に向け延出し、外周側から下方内周側に折り返されて、折り返し部の先端側が上向きに延設され、その先端が相対する蓋下面に当接する構成としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−087123号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓋パッキンの折り返し部の先端側が上向きに延設され、その先端が相対する蓋下面に当接する構成としたものにあっては、蓋パッキンの内釜のフランジとの接触部の態様が線接触となり、内圧が上昇すると、延設片は内釜フランジ部から離れる方向に力が働き、接触部の尖っていた部分が押し上げられてフランジから離れ、隙間が発生し、シール性が悪化するという問題があった。
【0005】
また、蓋パッキンの折り返し部の先端のラップ部(蓋下面に当てる部分)を大きくすると、蓋を閉じるときに蓋パッキンをつぶす重さが必要となり、蓋を閉じる力が重たくなるという難点があった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、蓋パッキンによる内釜フランジ部のシール性を向上させることができるとともに、蓋パッキンの結露量を減少させることができ、また蓋を閉める力が重くならない炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、本体と、フランジを有し本体に着脱自在に収納した内釜と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、蓋と内釜のフランジとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキンとを有する炊飯器において、蓋パッキンは、蓋側に取り付けられる基部と、基部から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞が形成される下揺動片と、下揺動片よりも小さく形成され、基部から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞が形成される上揺動片とを備え、蓋開時ではこれら上下揺動片の先端間に隙間が形成され、蓋閉時では下揺動片の先端が上揺動片の先端に当接する構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器においては、蓋パッキンの上揺動片が内向きに常時開放するリップ状に形成されているので、内釜の内圧(蒸気圧)が上昇すると、上揺動片がその圧力を受けて下揺動片を内釜のフランジに圧接する方向に作用する。このため、蒸気圧力を利用して蓋パッキンによる蓋と内釜のフランジとの間のシール性を向上させることができる。
また、蓋パッキンの上揺動片は下揺動片よりも小さく形成されて下揺動片の内周側に配置されているので、蓋パッキンの蒸気にさらされている面積を小さくすることができる。このため、蓋パッキンへの結露量を減少させることができる。
また、蓋パッキンの上揺動片及び下揺動片からなる二段揺動片構造を採用し、蓋を閉じたときに、下揺動片が内釜のフランジに押し付けられて撓み、下揺動片の先端が上揺動片の先端と当接する構成としたので、蓋を閉める力が軽くてすむ。さらに、制作誤差を吸収させることができて、歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る炊飯器の側方より見た縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。
【図8】本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。図2は本発明の実施形態1に係る炊飯器の側方より見た縦断面図である。図3は本発明の実施形態1に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
本発明の実施形態1の炊飯器は、図1乃至図3のようにフランジ2aを有する内釜2が着脱自在に収容される本体1と、調理中に発生する蒸気を本体外に放散させるための蒸気口3を有し本体1の後部にヒンジ結合されて内釜2の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋4と、内釜2と蒸気口3との間に介在して調理中に内釜2内の被加熱物から発生する蒸気を蒸気口3に導く蒸気通路5とを有している。本体1の正面には、蓋4の係合解除ボタン6が設けられている。本体1内の内釜2の下方には、内釜2を誘導加熱する加熱コイル7が備えられている。また、本体1内の底部中央には、上方に付勢されて内釜2の底面に接触して中央部付近の発熱温度を検出する温度センサー8が取り付けられている。蓋4は、内面側が内蓋組立体11により構成されている。内蓋組立体11には、仕切板14に取り付けられた蓋ヒーター12により加熱される内蓋13が設けられている。蓋ヒーター12の加熱は、ご飯の炊飯・保温時に、内蓋13に露が結露するのをさけるために行うものである。内蓋組立体11の内蓋13の外周には、蓋4と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキン21が取り付けられている。
【0011】
図4は本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。図5は本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。図6は本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。
内蓋組立体11に取り付けられた蓋パッキン21は、図4乃至図6のように蓋側に取り付けられる基部22と、基部22から蓋4の外周側に向け延出し、外周側から下方内周側にリップ状に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞すなわち空洞24が形成される下揺動片26と、下揺動片26よりも小さく形成され、基部22から蓋4の外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側にリップ状に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞すなわち空洞23が形成される上揺動片25とを備えている。すなわち、上揺動片25は、下揺動片26の内周側に配置されている。また上揺動片25と下揺動片26の先端間には隙間gが形成されており、蓋閉時に、下揺動片26が内釜2のフランジ2aに押し付けられて撓み、下揺動片26の先端が上揺動片25の先端と当接する(図6)ようになっている。なお、図6では下揺動片26の先端が上揺動片25の先端より内側と当接しているが、これは上揺動片25そのものも撓むため、下揺動片26がスライドしたからである。また、内釜2として、肉厚が厚めのものを例に挙げているためであり、内釜2として、それよりも肉厚が薄めのものを用いた場合には、図6の状態よりも先端側で下揺動片26と上揺動片25が当接する。このように蓋パッキン21に上揺動片25及び下揺動片26からなる二段揺動片構造を採用することで、蓋パッキン21に汎用性を持たせることができる。
【0012】
図7及び図8はいずれも本発明の実施形態1に係る炊飯器の蓋パッキンの諸元の説明図である。すなわち、図7のようにフリー状態にあるときの下揺動片26のリップ状の高さ寸法をA、上揺動片25と下揺動片26の先端間の隙間gの寸法をC、図8のように圧縮状態にあるときの下揺動片26のリップ状の高さ寸法をBとしたとき、蓋閉時の下揺動片26の圧縮ストローク(A−B)が(A−B)≧Cとなるように設定されている。
【0013】
以上のように、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25が内向きに常時開放するリップ状に形成されているので、内釜2の内圧(蒸気圧)が上昇すると、上揺動片25がその圧力を受けて下揺動片26を内釜2のフランジ2aに圧接する方向に作用する。このため、蒸気圧力を利用して蓋パッキン21による蓋4と内釜2のフランジ2aとの間のシール性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25が下揺動片26よりも小さく形成されて下揺動片26の内周側に配置されているので、蓋パッキン21の蒸気にさらされている面積を小さくすることができる。このため、蓋パッキン21への結露量を減少させることができる。
【0015】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25及び下揺動片26からなる二段揺動片構造を採用し、蓋4を閉じたときに、下揺動片26が内釜2のフランジ2aに押し付けられて撓み、下揺動片26の先端が上揺動片25の先端と当接する構成としたので、従来の蓋下面(固定部)への蓋パッキンの先端の突き当て方式のように、蓋パッキンをつぶす必要が無くなり、蓋4を閉める力が軽くてすむ。さらに、制作誤差を吸収させることができて、歩留りが向上する。
【0016】
また、本発明の実施形態1に係る炊飯器は、上揺動片25と下揺動片26の内側にそれぞれ空洞23,24を設け、蓋開時に上揺動片25と下揺動片26の間に隙間gが形成されるようにしているので、蓋4を開けたときに上揺動片25から露が溢れて垂れてきた時もこの露を下揺動片26で受けることができ、本体への露ダレを防止することができる。
【0017】
実施形態2.
図9は本発明の実施形態2に係る炊飯器の蓋パッキンが取り付けられた内蓋組立体を示す斜視図である。図10は本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜無し時(蓋開時と同様のパッキンフリー状態)の要部断面図である。図11は本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜有り時(蓋閉時と同様のパッキン圧縮状態)の要部断面図である。各図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付してある。なお、説明にあたっては前述の図1乃至図3を参照するものとする。
本発明の実施形態2の炊飯器は、図9乃至図11のように蓋4を閉じたときに、蓋パッキン21Aの上揺動片25と下揺動片26が当接する当接部の周方向の複数箇所(ここでは上揺動片25の周方向の複数箇所)に、密着防止用凸部27を設けたものである。なお、密着防止用凸部27は、下揺動片26側に設けてもよいものである。それ以外の構成は、前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1の持つ機能と同等の機能を有しているものである。
【0018】
本発明の実施形態2に係る炊飯器においては、蓋パッキン21Aそのものの有する粘着性により、上揺動片25と下揺動片26が密着するのを、密着防止用凸部27によって防ぐことができる。このため、蓋4を開けたときに上揺動片25から露が溢れて垂れてきた時もこの露を確実に下揺動片26で受けることができ、本体への露ダレを防止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 本体、2 内釜、2a フランジ、3 蒸気口、4 蓋、5 蒸気通路、6 係合解除ボタン、7 加熱コイル、8 温度センサー、11 内蓋組立体、12 蓋ヒーター、13 内蓋、14 仕切板、21,21A 蓋パッキン、22 基部、23,24 空洞、25 上揺動片、26 下揺動片、g 隙間、27 密着防止用凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、フランジを有し前記本体に着脱自在に収納した内釜と、前記本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記蓋と前記内釜の前記フランジとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキンとを有する炊飯器において、
前記蓋パッキンは、
蓋側に取り付けられる基部と、
該基部から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞が形成される下揺動片と、
前記下揺動片よりも小さく形成され、前記基部から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞が形成される上揺動片とを備え、
蓋開時ではこれら上下揺動片の先端間に隙間が形成され、
蓋閉時では前記下揺動片の先端が前記上揺動片の先端に当接する構成としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
蓋開時の前記下揺動片のリップ状の高さ寸法をA、蓋閉時の前記下揺動片のリップ状の高さ寸法をB、蓋開時の前記上下揺動片の先端間の隙間寸法をCとしたとき、
(A−B)≧Cとなるように設定したことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
蓋閉時に前記上揺動片と前記下揺動片が当接する当接部の周方向の複数箇所に、密着防止用凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項1】
本体と、フランジを有し前記本体に着脱自在に収納した内釜と、前記本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記蓋と前記内釜の前記フランジとの間をシールする可撓性を備えた環状の蓋パッキンとを有する炊飯器において、
前記蓋パッキンは、
蓋側に取り付けられる基部と、
該基部から外周側に向けて延出し、外周側から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に第1の空洞が形成される下揺動片と、
前記下揺動片よりも小さく形成され、前記基部から外周側に向けて延出した部分から分岐し、分岐位置から下方内周側に折り返され、その折り返し部分の内周側に常時内向きに開放された第2の空洞が形成される上揺動片とを備え、
蓋開時ではこれら上下揺動片の先端間に隙間が形成され、
蓋閉時では前記下揺動片の先端が前記上揺動片の先端に当接する構成としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
蓋開時の前記下揺動片のリップ状の高さ寸法をA、蓋閉時の前記下揺動片のリップ状の高さ寸法をB、蓋開時の前記上下揺動片の先端間の隙間寸法をCとしたとき、
(A−B)≧Cとなるように設定したことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
蓋閉時に前記上揺動片と前記下揺動片が当接する当接部の周方向の複数箇所に、密着防止用凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【公開番号】特開2013−34637(P2013−34637A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172648(P2011−172648)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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