説明

炎症の治療に有用なピラゾール化合物

、R、R及びRが明細書に記載された意味を有する式(I)の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩であって、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患の治療、特に炎症を治療するのに有用である化合物が提供される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規な薬学的に有用な化合物に関する。さらに本発明は、15-リポキシゲナーゼの阻害、よって炎症性疾患及び一般的に炎症の治療に有用な化合物に関する。また本発明は、医薬としてのこのような化合物の使用、それらを含む薬学的組成物、及びそれらの製造のための合成経路に関する。
【0002】
(背景)
その性質が炎症性である多くの疾患/障害がある。炎症症状の現存する治療に伴う主要な問題の一つは効能の欠落及び/又は副作用(実際の又はそのように感じられるもの)の発生である。
喘息は、先進工業国の成人人口の6%〜8%で発症している慢性の炎症性疾患である。子供において、発生率はさらに高く、最も多い国では10%に近い。喘息は、15才以下の子供の入院原因の最も一般的なものである。
喘息の治療法は症状の深刻度に基づく。軽度の症例では治療しないか、又はβ-アゴニストの吸入によって治療されるだけである。さらに重症の喘息を患っている患者は、通常は定期的に抗炎症性化合物で治療される。
【0003】
現在の維持療法(主としてコルチコステロイド類の吸入)には、少なくともある程度のリスクがあると思われるため、治療不十分な喘息がかなりある。これらには、子供の成長遅延及び骨塩量の損失という危険性が含まれ、結果として不要な罹患及び死亡に帰する。ステロイド類の代替として、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が開発されている。これらの薬剤は経口的に投与され得るが、吸入されるステロイド類に比べてかなり効果が少なく、通常、気道炎症を満足にコントロールできない。
この要因の組合せにより、全ての喘息患者の少なくとも50%が不十分な治療しか受けられない事態に至っている。
【0004】
同様のパターンの治療不十分がアレルギー疾患に関して存在し、多くの一般的症状を治療する薬剤が利用できるが、明らかな副作用のために十分には使用されていない。鼻炎、結膜炎及び皮膚炎はアレルギー要素を有し得るが、根本のアレルギーがない場合でも生じるおそれがある。実際、このクラスの非アレルギー症状は、多くの場合、治療がより困難である。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界の人口の6%〜8%が罹患しているありふれた疾患である。該疾患は致死的となり得るおそれがあり、この病気の罹患率及び死亡率はかなりのものである。現在、COPDの経過の変えることができる薬物治療法は知られていない。
【0006】
挙げることのできる他の炎症性疾患には:
(a)肺線維症(これはCOPDほど一般的ではないが、非常に悪い予後を伴う重篤な疾患である。治療法は存在しない);
(b)炎症性大腸炎(高罹患率を有する疾患の群。今日、このような疾患には、対症療法だけが利用できる);及び
(c)関節リウマチ及び骨関節炎(関節のありふれた無能化炎症性疾患。現在、このような症状の管理に利用できる治癒的処置法はなく、中程度に効果的な対症療法だけが利用できる);
が含まれる。
【0007】
また、炎症は痛みの一般的な原因である。炎症痛は多くの理由、例えば感染、手術又は他の外傷により生じるおそれがある。さらに、いくつかの悪性腫瘍は、患者の総体的症状に加えて炎症要素を有することが知られている。
よって、新規及び/又は代替となる抗炎症治療法が、上述した患者群の全てにおいて有益となる。特に、実際の又は知覚される副作用を有さない、喘息等の炎症性疾患を治療できる有効な抗炎症剤に対して、真のかつ実質的に満たされていない臨床的必要性がある。
【0008】
哺乳類のリポキシゲナーゼは、アラキドン酸の酸素化を触媒する構造的に関連した酵素のファミリーである。3種類のヒトリポキシゲナーゼが知られており、これらは炭素位置5、12及び15での、アラキドン酸への分子酸素の挿入を触媒する。よって、その酵素は、それぞれ5-、12-及び15-リポキシゲナーゼと命名されている。
リポキシゲナーゼの作用後に形成されるアラキドン酸代謝産物は、炎症誘発効果を含む顕著な病態生理学的活性を有することが知られている。
例えば、アラキドン酸に対する5-リポキシゲナーゼ作用の主要産物は、多様な生理学的及び病態生理学的に重要な代謝産物に多数の酵素によりさらに転換される。これらの最も重要なものであるロイコトリエン類は強力な気管支収縮剤である。これらの代謝産物の作用、並びにそれらを形成する生物学的プロセスを阻害する薬剤を開発するために、多大な努力がなされている。このために開発された薬剤には、5-リポキシゲナーゼインヒビター、FLAP(5つのリポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及び上述したようなロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が含まれる。
【0009】
アラキドン酸を代謝する他のクラスの酵素はシクロオキシゲナーゼ類である。このプロセスにより生成されるアラキドン酸代謝産物には、プロスタグランジン類、トロンボキサン類、及びプロスタサイクリンが含まれ、それらの全ては生理学的又は病態生理学的活性を有する。特に、プロスタグランジンPGEは、熱及び痛みを誘発する強力な炎症誘発媒介物である。従って、「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症剤)及び「コキシブ(coxibs)」(選択的シクロオキシゲナーゼ-2インヒビター)を含む、PGEの形成を阻害する多くの薬剤が開発されている。これらのクラスの化合物は、主として一又は複数のシクロオキシゲナーゼの阻害を介して作用する。
よって、一般的に、アラキドン酸代謝産物の形成をブロック可能な薬剤は、炎症の治療に有用であると思われる。
【0010】
(従来技術)
国際公開第2004/080999号には、炎症の治療に使用される多くの1-置換ピラゾール誘導体が開示されている。前記文献に例証されているある種の化合物の合成に使用される化合物の一つは、1H-ピラゾール-3-カルボン酸ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルアミドである。後者の化合物の医薬としての使用は記載も示唆もされていない。
ピラゾール化合物は、ケモカインレセプター活性の調節因子としての使用について米国特許第5,919,776号に、抗癌剤としては国際公開第97/30034号に開示されている。これらの文献には、炎症の治療における化合物の用途については記載も示唆もされていない。
ここに記載されているものに構造的に関連するある種のピラゾール化合物は、商業的に入手可能である。しかしながら、出願人の知る限りでは、これらの化合物は何れの印刷出版物にも開示されておらず、それらに帰する有用性も明らかではない。
【0011】
国際公開第98/41518号には、抗痙攣剤として使用される、N-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)-4-トリフルオロメチル-ピラゾール-3-カルボキシアミドを含む種々の化合物が開示されている。この文献には、炎症の治療にこれらの化合物を使用することについては、記載も示唆もされていない。
国際公開第01/57024号には、電圧依存性ナトリウムチャンネルの封鎖に有用な種々のピラゾール類が開示されており、また国際公開第01/58869号及び国際公開第03/020217号には、カンナビノイドレセプターとして有用な、ピラゾール類を含む種々の窒素含有複素環が開示されている。これらの文献のいずれにも、このような化合物の炎症の治療における、及び/又はリポキシゲナーゼのインヒビターとしての使用は開示されていない。
国際公開第2005/016877号には、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ-1の阻害に有用でありうる(よってとりわけ糖尿病の治療の有用な)ピラゾール類が開示されている。この文献には、芳香族アミド基で3位が置換されたピラゾール類については、特に開示されていない。
【0012】
ここに記載の化合物と構造的に関連していないある種のピラゾールカルボン酸ヒドラジド類が、Tihanyiら, Eur. J. Med. Chem. - Chim. Ther., 1984, 19, 433, 及びGoelら, J. Chem. Inf. Comput. Sci. 1995, 35, 510に、抗炎症剤として開示されている。
国際公開第96/11917号には、炎症の治療に有用な種々の化合物が開示されている。この文献には、芳香族基により2位が、直接又はアルキルリンカー基を介して置換されたベンゾチアゾール類及びベンゾオキサゾール類についてのみ開示されている。
国際公開第03/037274号には、炎症痛の治療に有用であり得る種々のピラゾール類が開示されており、その機序は、ナトリウムチャンネルをブロックすることにより機能する。この文献には、アミド基により4位が置換されたピラゾール類及び/又はN置換されたピラゾール類のみが特に開示されている。
【0013】
また国際公開第03/068767号は、とりわけ、カリウムイオンチャンネルを開放することにより炎症痛を治療するのに有用なピラゾール含有化合物に関する。しかしながら、この文献には、ピリミジニルアミド化合物についてのみ開示されている。
Vertuaniら, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 74, No. 9 (1985)には、抗炎症及びアレルギー活性を有する種々のピラゾール類が開示されている。複素環式芳香族アミド基により3位が置換されたピラゾール類については、記載も示唆もされていない。
【0014】
(発明の開示)
本発明は、次の式I:
【化1】

[上式中:
は、二環式の複素環基を表し、該基はBから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、また:
(a)窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子;
(b)5員又は6員の芳香環で、後者の必須-N(R)-基を介して式Iの化合物の残りの部分に結合する環;及び
(c)5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8員の非芳香環で、互いに隣接しており、双方の環に共通している2個の原子を介して他方に結合している環;
を含み;
はH又はC1−6アルキルを表し、後者の基は一又は複数のハロ基で置換されていてもよく;
は、-OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル(後者の基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)、-OR3x、-N(R3a)R3b、-C(O)R3c、-C(O)OR3d、-C(O)N(R3e)R3f、-N(R3g)C(O)R3h、-N(R3i)C(O)N(R3j)R3k、-N(R3m)S(O)4a、-S(O)4b、-OS(O)4c、-S(O)N(R3n)R3pを表すか、性質が芳香族性である環に結合していない場合には=Oを表し;
及びRは独立して、H、ハロ、シアノ、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ(該アルコキシ基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)又は-N(R3q)R3rを表し;
3aないしR3r及びR4bは独立して、H又はC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;
4a、R4c及びR3xは独立して、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;又は
3a、R3b、R3eないしR3r及びR4aの任意の対は、例えば同じ又は隣接する原子に存在する場合、共同して結合し、それらと共に又は他の関連する原子と共に、さらに1〜3(例えば1)のヘテロ原子及び/又は1〜3の不飽和を有していてもよい3員ないし8員(例えば5員ないし6員)環を形成してもよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;又は
が、互いに隣接する2つの-OR3x基により置換される場合、これらの基は連結して、それらが結合している酸素原子と共に、さらに1のヘテロ原子(例えば窒素)及び1の不飽和を有していてもよい5員又は6員環を形成してよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;及び
pは0、1又は2を表す]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を提供するものであり、但し、
及びRが双方ともHを表し:
(A)RがHを表す場合、Rはベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル基を表さず;
(B)Rがクロロを表す場合、Rはベンゾチアゾール-2-イル基を表さず;
(C)Rがヨードを表す場合、Rはベンゾチアゾール-2-イル、6-メトキシベンゾチアゾール-2-イル、又は1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル基を表さず;
(D)Rがブロモを表す場合、Rは5,6-ジヒドロ−4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-カルボン酸エチルエステル基を表さず;
(E)Rがトリフルオロメチルを表す場合、Rは2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル基を表さず;
(F)Rがヨードを表す場合、Rは2-メルカプト-4-オキソキナゾリン-3イル基を表さず;
また本化合物及び塩は、以下、「本発明の化合物」と称される。
【0015】
薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。そのような塩は従来からの手段、例えば、場合によっては溶媒、又は塩が不溶性である媒体中において、式Iの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態のものを、適切な酸又は塩基の一又は複数の等価物と反応させ、続いて標準的な技術(例えば真空中、凍結乾燥又は濾過)を使用して、前記溶媒又は前記媒体を除去することによって生成され得る。また塩は、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、他の対イオンと交換することによって調製することができる。
ここで使用される場合「不飽和」なる用語は、三重、又は好ましくは二重結合を意味する。
【0016】
本発明の化合物は二重結合を含んでいてもよく、よって各個々の二重結合についてE(entgegen 反対側)及びZ(zusammen 同じ側)幾何異性体として存在しうる。全てのそのような異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
また本発明の化合物はまた互変異性を示しうる。全ての互変異性形態とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0017】
本発明の化合物はまた一又は複数の不斉炭素原子を含んでいてもよく、従って光学的及び/又はジアステレオ異性を示しうる。ジアステレオ異性体は、従来からの技術、例えばクロマトグラフィー又は分別晶出を使用して分離することができる。様々な立体異性体は、例えば分別晶出又はHPLCのような従来からの技術を使用して化合物のラセミ又は他の混合物の分離によって単離することができる。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化又はエピマー化を引き起こさない条件で適切な光学的に活性な出発材料を反応させ(すなわち「キラルプール」法)、続いて適切な段階で除去可能な「キラル補助基」と適切な出発材料とを反応させ、例えばホモキラル酸で誘導体化させ(すなわち、動力学的分割を含む分割)、その後に従来からの手段、例えばクロマトグラフィーにより、もしくは当業者に知られている全ての条件下で、適切なキラル試薬又はキラル触媒と反応させることによりジアステレオ異性誘導体を分離させることにより作製され得る。全ての立体異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0018】
他に特定されない限り、ここで定義されるC1−qアルキル基及びC1−qアルコキシ(-OR3X基)基(ここで、qは範囲の上限である)は直鎖状鎖であり得、あるいは炭素原子の数が十分な場合(すなわち、適切であるならば最小2又は3)は分枝状鎖、及び/又は環状(そのようにして、C3−qシクロアルキル基又はC2−qシクロアルコキシ基を形成)であり得る。さらに、十分な数(すなわち、適切であるならば、最小3又は4)の炭素原子が存在する場合、このようなアルキル及びアルコキシ基は部分的に環状/非環状であってよい。このようなアルキル及びアルコキシ基は飽和であるか、又は十分な数の炭素原子(すなわち、最小2)の炭素原子が存在する場合は不飽和(例えば、アルキル基、C2−qアルケニル、又はC2-qアルキニル基のケースにおいて形成)であってよい。
疑念を避けるために、アルコキシ基は、その基の必須の酸素原子を介して、分子の残りの部分に結合している。
「ハロ」という用語は、ここで使用される場合は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
【0019】
疑念を避けるために、本発明の化合物における2又はそれ以上の置換基が同一でありうる場合には、各置換基の実際の同一性は何らの方法においても相互依存していない。例えば、R基における2又はそれ以上のB置換基がC1-6アルキルを表す状況では、当該問題におけるアルキル基は同一でも異なっていてもよい、すなわち2のB基の同一性は、相互依存しているとは見なされない。
【0020】
挙げることのできるR基には、環系の全原子数が9〜14(例えば10〜12)であるものが含まれる。この点において、R二環の全原子数は、9、10又は11である。さらに、R基におけるヘテロ原子の全数(すなわち、この基における可能な置換基を含まない)は、好ましくは1〜3である。
基における任意の非芳香環は、飽和又は不飽和で、一又は複数の二重及び/又は三重結合を有するものであってよい。
【0021】
挙げることのできる5員ないし6員の芳香環には、フェニル、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、及び1,3,4-オキサジアゾリルを含む)、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、及び1,3,4-チアジアゾリルを含む)、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル (1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、及び1,3,4-トリアゾリルを含む)等が含まれる。
【0022】
4員ないし8員の非芳香環は架橋していてもよい。それは、環の任意の2の非隣接原子が、アルキレン又はヘテロアルキレン鎖のいずれかにより連結していてもよいことである。この文章において「アルキレン」なる用語は、(-CH-)基を称し、ここでnは、適切であるならば1、2、3を表してよく、また「ヘテロアルキレン」なる用語は、少なくとも一の炭素原子がヘテロ原子(例えば酸素、硫黄又は窒素)で置き換えられているアルキレン基を意味する。
【0023】
このようなヘテロアルキレン鎖が窒素原子を有する場合、該原子は、そこに結合される原子価の規則のため、さらに置換されてもよいことを、当業者であれば理解しているであろう。従って、このような窒素原子はさらに水素原子に結合(すなわち未置換)してもよく、又は上に記載したような適切なB置換基(例えばここで記載したような、置換されていてもよいC1−6アルキル)で置換されていてもよい。また、このような窒素原子は未置換で、1の二重結合及び1の単結合を介して連結していてもよい(-N=結合を形成するように)。
【0024】
挙げることのできる4員ないし8員の非芳香環には、チオピラニル、テトラヒドロチオピラニル(S,S-ジオキソテトラヒドロチオピラニル)、ノルボルナニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.2.1]-オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、キヌクリジニル、トロパニル、又は好ましくはアゼチジニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクチニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピロリル(2,5-ジヒドロピロリルを含む)、ジオキソラニル(1,3-ジオキソラニルを含む)、ジオキサニル(1,3-ジオキサニル及び1.4-ジオキサニル)、ジチアニル(1.4-ジチアニルを含む)、ジチオラニル(1,3-ジチオラニルを含む)、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、オキセタニル(oxetanyl)、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピロリニル、スルホラニル、3-スルホエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピリジル、チエタニル、チイラニル(thiiranyl)、チオラニル、チオモルホリニル、トリチアニル(1,3,5-トリチアニルを含む)等が含まれる。
【0025】
挙げることのできる本発明の化合物には:
4bがC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;
が互いに隣接する2つの-OR3x基で置換されている場合、R3x基の適切な対が上述したように連結していない;
ものが含まれる。
【0026】
本発明の好ましい化合物には、-N(R)-に結合しているRの5員又は6員の芳香環が、3未満(例えば2未満)のヘテロ原子、最も好ましくは1もしくは0のヘテロ原子を有するものが含まれる。この環がヘテロ原子を有している例において、ヘテロ原子は、好ましくは窒素及び硫黄から選択される。よって好ましい環には、フェニル、ピリジル(例えば3-ピリジル、4-ピリジル、又はより好ましくは2-ピリジル)及びチエニル(例えば2-チエニル)環が含まれる。
【0027】
本発明の好ましい化合物には、他の必須の芳香環に結合している5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8の非芳香環が3未満のヘテロ原子を有しているものが含まれる。このような環が5員の芳香環である場合、それらは、好ましくは1又は2のヘテロ原子を有する。このような環が非芳香環である場合、それらは、好ましくは5員ないし7員である。これらの非芳香環が5員である場合、それらは、好ましくは0又は2のヘテロ原子を有しており、これらの基が7員である場合、それらは、好ましくはヘテロ原子を有さない。よって、好ましくは環には、イソチアゾリル、シクロペンチル、テトラヒドロチオピラニル(例えばテトラヒドロチオピラニル)、ノルボルナニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピラジニル、イミダゾリル、シクロヘプチル、又はより好ましくはピリジル、フェニル、ピロリル、ピリダジニル、シクロヘキシル、チアゾリル、ピラゾリル、ジオキソラニル(例えば1,3-ジオキソラニル)及びジオキサニル(例えば1.4-ジオキサニル)環が含まれる。
【0028】
よって、挙げることのできるR基には、シクロペンタピリジル、ジヒドロシクロペンタピリジル(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジルを含む)、チオピラノピリジル、テトラヒドロチオピラノピリジル(5,6,7,8-テトラヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-b]ピリジル(例えば6,6-ジオキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-6λ-チオピラノ[4,3-b]ピリド-3イル)を含む)、アザトリシクロウンデカトリエニル(3-アザトリシクロ-[6.2.1.02,7]ウンデカ-2(7),3,5-トリエニルを含む)、テトラヒドロナフチリジニル(5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジニルを含む)、ピラノピリジル、ジヒドロピラノピリジル(7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-b]ピリジルを含む)、シクロヘプタピリジル、テトラヒドロシクロ-ヘプタピリジル(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジルを含む)、チエノピリジル、ジヒドロチエノピリジル(4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピリジルを含む)、テトラヒドロシクロヘプタチエニル(5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタ[b]-チエニルを含む)、又は好ましくは ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソリル(1,3-ベンゾジオキソリルを含む)、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾモルホリニル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル(2,1,3-ベンゾチアジアゾリルを含む)、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル(2,1,3-ベンゾオキサジアゾリルを含む)、ベンゾオキサジニル(3,4-ジヒドロ-2H-1.4-ベンゾオキサジニル)、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロシクロペンタチエニル(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チエニルを含む)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、インダゾリル、インドリニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチオクロマニル、ナフチリジニル(1,6-ナフチリジニル、又は特に1,5-ナフチリジニル及び1,8-ナフチリジニルを含む)、フタラジニル、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル、キナゾリニル、キノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、テトラヒドロベンゾチエニル(4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチエニルを含む)、テトラヒドロシクロヘプタチエニル(5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタ[b]チエニルを含む)、テトラヒドロイソキノリニル(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル及び5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリニルを含む)、テトラヒドロキノリニル(1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル及び5,6,7,8-テトラヒドロキノリニルを含む)、チオクロマニル等が含まれる。
【0029】
基の結合点は、環においては、ヘテロ原子(例えば窒素原子)を有する必須芳香環(適切な場合には)の任意の原子を介してなされ得る。またR基はN-又はS酸化形態であってもよい。
【0030】
よって、Rの好ましい意義には、ベンゾチアジアゾリル(2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イルを含む)、テトラヒドロキノリニル(5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3イルを含む)、ジヒドロシクロペンタピリジル(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリド-3-イルを含む)、テトラヒドロチオピラノピリジル(6,6-ジオキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-6λ-チオピラノ[4,3-b]ピリド-3イルを含む)、アザトリシクロウンデカトリエニル(3-アザトリシクロ-[6.2.1.02,7]ウンデカ-2(7),3,5-トリエン-5-イルを含む)、テトラヒドロナフチリジニル(5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-3-イルを含む)、ジヒドロピラノピリジル(7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-b]ピリド-3イルを含む)、キノキサリニル(キノキサリン-5-イルを含む)、ベンゾイミダゾリル(ベンゾイミダゾール-5-イルを含む)、テトラヒドロシクロヘプタピリジル(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリド-3-イルを含む)、ジヒドロチエノピリジル(2-[4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピリジル]を含む)、テトラヒドロシクロヘプタチエニル(5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタ[b]チエン-2-イルを含む)、ナフチリジニル(1,6-ナフチリジン-3-イルを含む)、又はより好ましくはキノリニル(キノリン-4-イル、又は特にキノリン-2-イル、キノリン-3-イル、キノリン-5-イル、キノリン-6-イル及びキノリン-8-イルを含む)、イソキノリニル(イソキノリン-1-イル、イソキノリン-4-イル、イソキノリン-8-イル、又は特にイソキノリン-3-イル及びイソキノリン-5-イルを含む)、ベンゾジオキソリル(ベンゾ[1,3]ジオキソール-4-イル及びベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルを含む)、インドリル(インドール-4-イル及びインドール-5-イルを含む)、シンノリニル(シンノリン-5-イルを含む)、ベンゾジオキサニル (2,3-ジヒドロベンゾ[1.4]ジオキサン-6-イルを含む)、テトラヒドロベンゾチエニル(4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チエン-2-イルを含む)、ベンゾチアゾリル(ベンゾチアゾール-5-イル、又は特にベンゾチアゾール-6-イルを含む)、及びインダゾリル(インダゾール-5-イル、及び特にインダゾール-6-イルを含む)が含まれる。
【0031】
基における置換基は、適切であるならば、ヘテロ原子を有する環系の任意の原子に位置していてもよい。
【0032】
基における好ましい置換基には、C1−3アルコキシ(例えばメトキシ)、=O、-OH、-SH、-C(O)R3cで、R3cがC1−3アルキル(例えばメチル)を表すもの、2の隣接する-OR3x基が共に連結して、5員又は6員環(例えば1,3-ジオキソリル又は1,4-ジオキサニル環)を形成するものが含まれ、又はRにおける置換基は、好ましくはハロ(例えばクロロ、ブロモ、又は特にフルオロ)、一又は複数のハロ(例えばフッ素)原子で置換されていてもよいC1−4(例えばC1−3)アルキル(例えばtert-ブチル、又は特にメチル)(例えばトリフルオロメチル基を形成するように)、R3dがC1−4(例えばC1−3)アルキル(例えばtert-ブチル、又は特にエチル)を表すC(O)OR3d、及びシアノである。
【0033】
本発明の好ましい化合物には:
3a、R3b、R3eないしR3r及びR4aの任意の対が連結して環を形成する場合、そのように形成された環が、さらに1のヘテロ原子(例えば酸素)を有していてもよい未置換で飽和した5員又は6員環であるもの、例えばR3a及びR3b及び/又はR3q及びR3rが独立しており、連結して、各それぞれの対が結合している必須窒素原子と共に、モルホリニル、ピペリジニル又はピロリジニル基を形成してもよいもの;
2つのR3x基が結合している場合、さらなるヘテロ原子及び/又は不飽和を有さない5員又は6員の未置換環を形成(例えばジオキソリル又はジオキサニル基を形成)するもの;
pが1又は2を表す場合、R4bがC1−6アルキル(該アルキル基が一又は複数のハロ原子で置換されていてもよいもの)を表すもの;
が含まれる。
【0034】
本発明のさらに好ましい化合物には:
がHを表すもの;
及びRが独立して、ハロ(例えばブロモ、クロロ又はフルオロ)、又は特にH又はC1−3アルキル(例えばメチル)を表し、後者の基が一又は複数のハロ(例えばフルオロ)基で置換しているか(例えばトリフルオロメチル基を形成)、又は好ましくは未置換であるもの;
が含まれる。
例えば
はH、メチル、ブロモ又はフルオロを表してよく;
はH、メチル、トリフルオロメチル又はクロロを表してもよい。
【0035】
-N(R)-に結合しているRの5員又は6員の芳香環における置換基は、好ましくはメチル、シアノ、-C(O)O-エチル及び-OH(又はオキソ;例えば化合物が互変異性化している場合)から選択される。他方の必須の芳香環に結合している、Rの5員又は6員の芳香環又は4員ないし8員の非芳香環における置換基は、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、=O、-SH、-OH、-OCH、-C(O)O-tert-ブチル、-C(O)CH、1,3-ジオキソリル、及び1,4-ジオキサニルから選択される。
本発明の特に好ましい化合物は、以下に記載する実施例のものが含まれる。
【0036】
式Iの化合物は、例えば以下に記載するように、当該者によく知られている技術に従い製造され得る。
本発明のさらなる態様は、以下のようにして式Iの化合物を調製するための方法を提供する:
【0037】
(i)Rが先に記載したように置換されていてもよいC1−6アルキル又はハロを表す式Iの化合物に対しては、Rが水素を表す式Iの対応化合物と、適切な塩基(又は塩基の混合物)、例えばカリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、カリウム-tert-ブトキシド、又は有機リチウム塩基、例えばn-BuLi、s-BuLi、t-BuLi、リチウムジイソプロピルアミド、又はリチウム-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(有機リチウム塩基は、添加剤(例えばリチウム配位剤(co-ordinating agent)、例えばエーテル(特にジメトキシエタン)又はアミン(例えばテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、(-)スパルテイン又は1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)等)の存在下にあってもよい)とを反応させ、続いて適切な求電子試薬、例えば:
(a)Rが置換されていてもよいC1−6アルキル基を表す式Iの化合物に対しては、次の式II:
1a II
[上式中、RはC1−6アルキル(該アルキル基は、一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)を表し、L1aは適切な脱離基、例えばハロ(例えばヨード又はブロモ)又はスルホナート基(例えば-OSOCF、OSOCH及び-OSO2−アリール(例えば-O-トシル))を表す]
の化合物;又は
(b)Rがハロを表す式Iの化合物に対しては、ハロゲン化物イオン源を提供する求電子試薬、
を用いて急冷する。例えば臭化物イオン用の試薬には、N-ブロモスクシンイミド、臭素及び1,2-ジブロモテトラクロロエタンが含まれ、塩化物イオン用の試薬には、N-クロロスクシンイミド、塩素、一塩化ヨウ素、及びヘキサクロロエタンが含まれ、ヨウ化物イオン用に適した試薬には、ヨウ素、ジヨードエタン、及びジヨードテトラクロロエタンが含まれ、フッ化物イオン用の試薬には、ジフッ化キセノン、SELECTFLUOR(登録商標)([1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)])、CFOF、及びフッ化ペルクロリルが含まれる。
【0038】
当業者であれば、Rが水素を表す式Iの対応化合物は(上述した反応の実施時において)、ピラゾール環系の窒素原子が、好ましくは配向性メタル化基(directing metallation group)(例えばベンゼンスルホニル基)である保護基を用いて保護される必要があり得ることは理解しているであろう。反応は、適切な溶媒、例えば極性非プロトン性溶媒(特にテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル)の存在下、下周囲温度(sub-ambient temperatures)(例えば0℃〜−78℃)、不活性雰囲気下にて実施し、続いて(適切であるならば)、標準的な条件(例えば、ベンゼンスルホニル基が使用される場合、加水分解により)、N-保護基の脱保護がなされてよい。
【0039】
(ii)次の式III:
【化2】

[上式中、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物、又はそのN-保護及び/又はO-保護(例えばエステル)誘導体と、次の式IV:
HN(R)(R) IV
[上式中、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物とを、カップリング条件下、例えばほぼ室温又はそれ以上(例えば40-180℃まで)、場合によっては適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピロリジノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン、水酸化ナトリウム、N-エチルジイソプロピルアミン、N-(メチルポリスチレン)-4-(メチルアミノ)ピリジン、リチウム-ジイソプロピルアミド、ブチルリチウム(例えばn-、s-又はt-ブチルリチウム)又はそれらの混合物)、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、トリフルオロメチルベンゼン、ジオキサン、又はトリエチルアミン)、及び適切なカップリング剤(例えば、1,1'-カルボニルジイミダゾール、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(又はそれらの塩酸塩)、N,N'-ジスクシンイミジルカルボナート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ブロモ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロカルボナート)、1-シクロヘキシルカルボジイミド-3-プロピルオキシメチルポリスチレン)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、又はO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)の存在下で反応させる。または、まず式IIIの化合物を、適切な溶媒(例えばジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、THF、トルエン又はベンゼン)及び適切な触媒(例えばDMF)の存在下、適切な試薬(例えば塩化オキサリル、塩化チオニル等)で処理することにより活性化させ、それぞれ塩化アシルを形成させる。ついで、この活性化中間体を、例えば上述したような標準的な条件下で、式IVの化合物と反応させてよい。また、アゾジカルボキシラートを、当業者に知られているミツノボ(Mitsunobo)条件下で使用してもよい。当業者であるならば、式IVの化合物の性質が液体である場合、それらはこの反応において、溶媒及び反応物質の双方となりうることが分かるであろう。また、この工程を実施するための代替方法は、式IIIの化合物のO-保護誘導体(例えばエチルエステル)と、式IVの化合物とを反応させることを含み、後者の化合物は、例えば不活性雰囲気中、適切な溶媒(例えばジクロロメタン)の存在下で、トリメチルアルミニウムで、まず処理されてもよい。
【0040】
(iii)次の式V:
【化3】

[上式中、R、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物、又は(例えばピラゾール窒素での)そのN-保護誘導体と、次の式VI:
-L VI
[上式中、Lは適切な脱離基、例えばハロ(特にクロロ、ブロモ及びヨード)、-OSOCF、-B(OH)、-Sn(R)(ここでRはC1−6アルキル、好ましくはメチル又はブチルである)、又は-Bi(R)を表し、Rは上に記載の通りである]
の化合物とを、例えば好ましくはPd又はCuを含有する触媒、及び塩基の存在下、場合によっては溶媒及びリガンドの存在下で反応させる。挙げることのできる触媒には、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))が含まれ、挙げることのできる塩基には炭酸セシウムが含まれ、挙げることのできるリガンドには、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチルが含まれ、使用される溶媒にはトルエンが含まれる。このような反応は、不活性(例えばアルゴン)雰囲気下、高温(例えば約90℃)で実施されてよい。
【0041】
(iv)Rが水素を表し、Rが上に記載の通りである式Iの化合物に対しては、次の式VII:
【化4】

[上式中、Rは独立して、C1−6アルキル(例えばメチル又はイソプロピル)基又はアリール(例えばフェニル)基を表し、R、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物と、シリル基を除去するための適切な試薬、例えばハロゲン化物アニオンの供給源(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、フッ化水素、又はフッ化カリウム)とを、例えば適切な溶媒(特にテトラヒドロフラン)の存在下、室温で反応させる。
【0042】
(v)次の式VIII:
【化5】

[上式中、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物と、先に記載した式IVの化合物とを、例えば上述のプロセス工程(ii)に関して先に記載したようなカップリング条件下で反応させる。好ましい条件には、塩基、溶媒の存在下ではあるが、カップリング剤の不在下での反応が含まれる。このケースにおいて、式IVの化合物を過度に使用してもよい。
(vi)R又はRの一方が置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、他方がHを表す式Iの化合物に対しては、R又はRの一方がブロモ又はヨードを表し、他方がH(適切であるならば)を表す式Iの化合物の対応化合物と、適切なオルガノリチウム塩基(例えばt-BuLi、s-BuLi又はn-BuLi)とを、場合によっては添加剤(例えばプロセス工程(i)に関して先に記載したもの)の存在下で反応させ、続いて、先に記載したように、式IIの化合物を用いて急冷する。この反応は、不活性雰囲気下、低温(例えば−78℃〜−120℃)で、プロセス工程(i)に関して先に記載したような、適切な溶媒下で実施してもよい。
【0043】
(vii)R及び/又はRがC1−6アルコキシ(先に記載したように置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、関連置換基、R及び/又はR(適切であるならば)の代わりに、ヒドロキシ基が存在する式Iの化合物に対応する化合物と、RがC1−6アルキル(場合によっては一又は複数のハロ置換基で置換されていてもよい)を表す、先に記載した式IIの化合物、又は(R及び/又はRにメトキシ基を導入するために)ジアゾメタンとを反応させる。各反応は当業者に知られている標準的な条件下で実施されてよく、例えば前者は塩基(例えば水素化ナトリウム)と適切な溶媒(例えばジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフラン)の存在下で実施してよく、また後者は適切な溶媒(例えば芳香族炭化水素、例えばベンゼン又はジ(アルキル)エーテル、例えばジエチルエーテル)の存在下で実施されてよい。後者のケースにおいて、ジアゾメタンは、ジアザルド(Diazald)(登録商標)又はインシトゥーではトリメチルシリルジアゾメタンから調製され得る。
【0044】
(viii)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、R3q又はR3rの一方がHを表し、他方がメチル又はC2−6アルキル(後者の基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NHを表す式Iの対応化合物と、次の式IX:
3sC(O)H IX
[上式中、R3sはH又はC1−5アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)のいずれかを表す]
の化合物とを、置換されていてもよいC1−6アルキル基(すなわちR3q又はR3r、適切であるならば)が形成されるように反応させる。この反応は、当業者に知られている反応条件下で実施してよい。例えば、式Iの上述したアミンと式IXのアルデヒドとを縮合させて、イミンを形成させ(例えば脱水反応条件、例えばディーン-スターク(Dean-Stark)反応条件下、又は脱水化剤(例えば硫酸マグネシウム)の存在下で反応させる)、続いてイミン中間体を還元するか(例えば、ホウ化水素ナトリウム等の還元剤の存在下で反応させるか、又は水素化反応条件を使用して反応させる)、又は2つの工程(すなわち還元アミン化)を「ワンポット」で実施してもよい(例えば適切に化学選択された還元剤、例えばトリアセトキシホウ化水素ナトリウム又はシアノホウ化水素ナトリウムを使用する)。反応は、適切な溶媒、例えばアルコール(例えばメタノール又はエタノール)の存在下で実施されてよい。R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、R3q及びR3rがそれぞれ置換されていてもよいC1−6アルキル基を表す式Iの化合物において、窒素原子における第2のアルキル基は、プロセス工程(ix)に関して以下に記載しているような、当業者に知られている条件を使用して導入されてよい。
【0045】
(ix)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、少なくとも一のR3q及びR3rがC1−6アルキル(先に記載したように置換されていてもよい)を表し、他方がH又はC1−6アルキル(先に記載したように置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NH(適切であるならば)を表す式Iの対応化合物と、Rが一又は複数のハロ置換基で置換されていてもよいC1−6アルキルを表す式IIの化合物とを、プロセス工程(vii)に関して先に記載したような、当業者に知られている反応条件下で反応させる。当業者であれば、モノアルキル化のために、まずアミノ基を保護する必要があり、このケースにおいて、保護基をアルキル化に続いて除去する必要があると理解しているであろう。2のアルキル基が異なっている場合のジアルキル化では、当業者であれば、まずアミノ基をモノアルキル化しなければならないことを理解しているであろう。
【0046】
(x)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、R3q及びR3rが共に連結して3員ないし8員環を形成する式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NH(適切であるならば)を表す式Iの対応化合物と、次の式IXA:
1a−Z−L1a IXA
[上式中、ZはC2−7アルキレン鎖(該アルキレン鎖は1〜3のヘテロ原子及び/又は1〜3の不飽和を有していてもよく、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよい)を表し、L1aは上に記載の通りである(しかし、各L1a基の意義は相互依存しているとはみなされない)]
の化合物とを、例えばプロセス工程(vii)に関して先に記載したような反応条件下で反応させる。
【0047】
(xi)R及び/又はRがシアノ又は1-アルキニルを表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが(適切であるならば)ハロ(好ましくはヨード又はブロモ)を表す式Iの対応化合物と、シアノ基の導入のためにはシアノアニオン類(例えばナトリウム、カリウム、銅(I)又は亜鉛のシアン化物)の供給源である化合物と、又は1-アルキニル基の導入のためには1-アルキンと反応させる。後者の反応は、適切なカップリング触媒(例えばパラジウム及び/又は銅をベースにした触媒)及び適切な塩基(例えばトリ-(C1−6アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン)の存在下で実施してもよい。
【0048】
(xii)RがHを表す式Iの化合物に対しては、次の式IXB:
【化6】

[上式中、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物又はそのN-保護誘導体と、適切な塩基、例えば上述したプロセス工程(i)に記載したものとを反応させ、続いて式IXC:
−N=C=O IXC
[上式中、Rは上に記載の通りである]
の化合物と反応させ、さらに適切なプロトン供給源(例えば水又は飽和したNHCl水溶液)で急冷する。この反応はプロセス工程(i)で上述したものと類似した条件下で実施されてよい。当業者であれば、ピラゾール窒素が保護される必要があり得ると理解しているであろう。さらに当業者であれば、アミド基がピラゾール窒素原子の一つに対してαに導入されるであろう、よってRがHを表す場合、2の代替位置が存在すると、理解しているあろう。
【0049】
及び/又はRがアミノ基を表す式Iの化合物、並びにR及び/又はRがヒドロキシ基を表す以外は式Iの化合物に対応する化合物は、式IIIの化合物のR及び/又はR位に、アミノ又はヒドロキシ置換基を導入するために、先に記載したものに類似した反応により調製されてもよい。
【0050】
がH、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ(後者の2の基は先に記載したように置換されていてもよい)を表す式IIIの化合物(又はその誘導体)は、次の式X:
【化7】

[上式中、RはH、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し、Rは上に記載の通りである]
の化合物、又はそのエノールエーテル等価物、又はO-保護誘導体と、ヒドラジン(又はその水和物又は誘導体)とを、例えば適切なアルコール溶媒(例えばエタノール)の存在下、高温(例えば還流)で反応させることにより調製されてよい。
【0051】
又はRのいずれか一方がハロを表し、他方がH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ(後者の2の基は先に記載したように置換されていてもよい)又は-N(R3q)R3r(R3q及びR3rは上に記載の通りである)を表すか、又はR及びRの双方がハロを表す、式III、V又はVIIIの化合物は、R及びRの双方がHを表すか、又はRのRの一方がHを表し、他方が置換されていてもよいC1−6アルキル又はC1−6アルコキシ又は-N(R3q)R3r(適切であるならば)を表す式III、V又はVIIIの対応化合物(適切であるならば)と、プロセス工程(i)(b)に関して先に記載したような、ハロゲン化物イオン源を提供する求電子試薬とを、当業者に知られている反応条件下で反応させることにより調製されてよい。例えば、4-ハロ、5-ハロ又は4,5-ジハロ置換されたピラゾール類は、このような方式により調製され得る。
【0052】
又はRの一方がフルオロを表し、他方がHを表す式IIIの化合物は、当業者に知られている条件下、ニトロ基をフルオロ基に転換させるための適切な試薬(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、又はテトラブチルアンモニウムフルオリド)を使用することにより、4-ニトロピラゾール-3-カルボン酸又は5-ニトロピラゾール-3-カルボン酸(適切であるならば)から調製され得る。
【0053】
又はRの一方がアミノを表し、他方がHを表す式IIIの化合物は、(水素化等の任意の適切な還元条件を使用して)ニトロ基をアミノ基に転換させることにより、4-ニトロピラゾール-3-カルボン酸又は5-ニトロピラゾール-3-カルボン酸(適切であるならば)から調製され得る。
【0054】
又はRの一方がハロ又はシアノを表し、他方がHを表す式IIIの化合物、又はR又はRの一方がヒドロキシを表し、他方がHを表す式IIIの化合物に対応する化合物は、R又はRの一方がアミノを表し、他方がHを表す(適切であるならば)式IIIの化合物を反応させ、続いて(当業者に知られている試薬及び条件、例えば5℃でNaNO及びHClを使用して)アミノ基をジアゾニウム塩に転換させ、ついで適切な求核試薬を添加することにより、ハロ、シアノ又はヒドロキシ基に転換させることにより調製され得る。適切な求核試薬には、(ハロ基を導入するためには)カリウム、ナトリウム又は銅のハロゲン化物、(シアノ基を導入するためには)カリウム、ナトリウム又は銅のシアン化物、又は(ヒドロキシ基を導入するためには)水が含まれる。
【0055】
がヒドロキシル又はC1−6アルコキシ(先に記載したように置換されていてもよい)を表し、RがHを表す式IIIの化合物に対応する化合物は、次の式XI:
【化8】

の化合物と又はそのO-保護(例えば、置換されていてもよいC1−6アルキルエステル)誘導体と、ヒドラジン(又はその水和物又は誘導体)とを、当業者に知られている反応条件下で反応させることにより調製され得る。
【0056】
及びRが独立して、H、ハロ、シアノ、C1−6アルコキシ(先に記載したように置換されていてもよい)、又は-N(R3q)R3r(ここでR3q及びR3rは上に記載の通りである)を表す式IIIの化合物は、次の式XII:
【化9】

[上式中、R及びRは独立して、H、ハロ、シアノ、置換されていてもよいC1−6アルコキシ、又は-N(R3q)R3rを表す]
の化合物を、当業者に知られている酸化条件、例えば中程度又は強力な(特に過マンガン酸カリウムの水溶液を使用し、還流で加熱する)適切な酸化条件下で酸化させることにより調製され得る。
【0057】
がハロを表す式IIIの化合物は、次の式XIII:
【化10】

[上式中、XはSi(R)又はSn(R)を表し、R、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物、又はそのN-保護及び/又はO-保護(例えばエステル)誘導体を、適切なハロゲン化試薬、例えばフッ化セシウム、フルオロキシ硫酸セシウム、又はプロセス工程(i)(b)に関して先に記載したものを使用し、場合によっては適切な溶媒(例えば、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、又は1,4-ジオキサン又はそれらの混合物)の存在下、当業者に知られている条件下で反応させることにより調製され得る。
【0058】
がHを表す式IVの化合物は:
(I)先に記載した式VIの化合物と、アンモニア、好ましくはその保護誘導体(例えばベンジルアミン)とを、式Iの化合物の調製(プロセス工程(iii))に関して先に記載したもの等の条件下で反応させ;
(II)次の式XIIIA:
−NO XIIIA
[上式中、Rは上に記載の通りである]
の化合物の標準的な反応条件下での還元、例えば触媒(例えばパラジウム炭)の存在下、(例えば、場合によっては溶媒(例えばアルコール性溶媒(例えばメタノール)の存在下での、水素源(例えば水素ガス又は発生水素(例えばギ酸アンモニウムからのもの))を用いる水素化による還元を行い;又は
(III)Rがさらに6,6-又は5,6-複素環式芳香族二環を表し、その双方の環がそれら自体、芳香族性の性質である式IVの化合物に対しては、式IVの化合物の必須アミノ基に結合している6員又は5員環が芳香族であり、この芳香環に結合しているRの他の必須の環が非芳香族である、式IVの対応化合物を芳香族化させることで調製され得る。この芳香族化反応条件には、適切な触媒(例えばPd/C)の存在下、場合によっては酸化剤(例えば空気)の存在下、溶媒(例えばメシチレン又はジグリム)中で加熱する、又は酸化剤、例えば2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)を用いて処理することが含まれる。
【0059】
式Vの化合物は、先に記載したような式IIIの化合物と、次の式XIV:
NR XIV
[上式中、Rは上に記載の通りである]
の化合物とを、例えば上述のプロセス工程(ii)に関して先に記載した条件下で反応させることにより調製され得る。
【0060】
式VIIの化合物は、先に記載した式IVの化合物と:
(I)次の式XV:
【化11】

[上式中、R及びRは上に記載の通りである]
の化合物;又は
(II)XがSi(R)であり、Rが上に記載の通りである、式XIIIの化合物(又はそのN-保護及び/又はO-保護(例えばエステル)誘導体);
のいずれかと、例えば上述のプロセス工程(ii)に関して先に記載したものに類似したカップリング条件下で反応させることにより調製され得る。
【0061】
式VIII及びXVの化合物は、式IIIの化合物及びXがSi(R)を表す式XIIIの化合物から、二量化条件、例えば塩化チオニルの存在下(場合によっては、プロセス工程(ii)に関して先に記載したような、適切な溶媒及び触媒の存在下)、還流にて調製され得る。他の二量化試薬には、場合によっては適切な塩基(例えば4-ジメチルアミノピリジン)の存在下での、カルボジイミド類、例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド又は1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDCI、又はその塩酸塩)が含まれる。
【0062】
がH又は先に記載したようなRを表す式XIIIの化合物(又はその誘導体)は、次の式XVI:
【化12】

[上式中、RはH又はRを表し、R及びXは上に記載の通りである]
の化合物と、次の式XVII:
2−C(H)−C(O)OH XVII
の化合物又はそのO-保護(例えばエステル)誘導体とを、例えば高温(特に80〜120℃)で1〜3日間、場合によっては不活性ガスの存在下、好ましくは溶媒を用いないで反応させることにより調製され得る。
【0063】
式II、VI、IX、IXA、IXB、IXC、X、XI、XII、XIIIA、XIV、XVI及びXVIIの化合物は商業的に入手可能であり、文献においても公知で、又は適切な試薬と反応条件を使用し、入手可能な出発物質から標準的な技術に従い、従来からの合成手順により、もしくはここに記載したプロセスに類似したようにして得てもよい。この点において、当業者は、とりわけ「Comprehensive Organic Synthesis」, B. M.Trost及びI. Fleming, Pergamon Press, 1991を参照してよい。
【0064】
先に記載したB、R及びRは、当業者によく知られている方法により、式Iの化合物の調製のために上述したプロセス後又はプロセス中に、一又は複数回修飾されてもよい。このような方法の具体例には、置換、還元、酸化、アルキル化、加水分解、エステル化、及びエーテル化が含まれる。さらにこれらの反応は同時に生じる可能性があり、例えばニトロ基のアミノ基への還元は、C-Br結合のC-H結合への還元と同時に生じる可能性がある。前駆体基は、異なったこのような基に、又は式Iに定義した基に、反応列の間の任意の時間で変化させることができる。R又はRがハロ基を表すケースにおいて、このようなハロ基は、式Iの化合物の調製のために上述したプロセス後又はプロセス中に、一又は複数回、他のハロ基に転換されてもよい。適切な試薬には、NiCl(クロロ基への転換用)又はNiBr(ブロモ基への転換用)が含まれる。この点において、当業者は、「Comprehensive Organic Functional Group Transformations」, A. R. Katritzky, O. Meth-Cohn及びC. W. Rees, Pergamon Press, 1995を参照してもよい。
【0065】
二環Rの合成は、標準的な複素環化学に従い、反応シーケンス中の任意の点で実施されてよい。この点において、当業者は、標準的な複素環化学テキスト(例えば、「Heterocyclic Chemistry」, J. A. Joule, K. Mills及びG. F. Smith, 3版, Chapman & Hallから出版、又は「Comprehensive Heterocyclic Chemistry II」, A. R. Katritzky, C. W. Rees及びE. F. V. Scriven, Pergamon Press, 1996)を参照してよい。例えば、二環がキノキサリニル又はキナゾリニル基である式IVの化合物の合成において、これらの二環は以下に記載する手順に従い調製され得る。
式Iの化合物は従来からの技術を使用して、それらの反応混合物から単離されてよい。
【0066】
当業者であれば、上述及び以下に記載するプロセスにおいて、中間化合物の官能基が、保護基により保護される必要があり得ると理解しているであろう。例えばピラゾール窒素又は(R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表す場合)-N(R3q)R3r基の窒素は、保護される必要があり得る。適切な窒素保護基には:
(i)カルバマート基(例えば、アルコキシ-又はアリールオキシ-カルボニル基);
(ii)アミド基(例えばアセチル基);
(iii)N-アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、又は好ましくはベンジル基);
(iv)N-スルホニル基(例えば、N-アリールスルホニル基);
(v)N-ホスフィニル及びN-ホスホリル基(例えば、ジアリールホスフィニル及びジアリールホスホリル基);又は
(vi)N-シリル基(例えばN-トリメチルシリル基);
を形成するものが含まれる。
【0067】
ピラゾール窒素のためのさらなる保護基にはメチル基が含まれ、メチル基は、例えば高温でピリジン塩酸塩を使用する、例えば200℃の密封容器にマイクロ波照射を使用する等の、標準的な条件下で脱保護されてよい。
官能基の保護及び脱保護は、上述したスキームにおいて、反応の前後に実施してよい。
保護基は当業者によく知られ以下に記載するような技術に従って取り除くことができる。例えば、ここで記載された保護化合物/中間体は標準的な脱保護技術を使用して非保護化合物に化学的に転換されてよい。
関連する化学のタイプにより、保護基の必要性、種類並びに合成を達成するためのシーケンスが決定されるであろう。
保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Chemistry」, J W F McOmie編, Plenum Press(1973)、及び「Protective Groups in Organic Synthesis」, 3版, T.W. Greene及びP.G.M. Wutz, Wiley-Interscience(1999)に十分に記載されている。
【0068】
医療及び薬学的用途
本発明の化合物は、薬学的活性を有しているために有用である。よって、このような化合物は薬剤として表示される。本発明のさらなる態様は、薬剤として及び/又は単離された(すなわちエクスビボ)形態で使用するための、先に記載した式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を提供するものであるが、但し書き(A)ないし(D)及び(F)を含まない。
【0069】
本発明の化合物は薬学的活性を有しているけれども、このような活性を有していないが、非経口的に又は経口的に投与された後、体内で代謝されて本発明の化合物を形成し得る、本発明の化合物のある種の薬学的に許容可能な(例えば「保護された」)誘導体も存在し得、又は調製され得る。(そのような活性が、代謝されて生じる「活性」化合物の活性よりもかなり低いという条件で、ある薬学的活性を持ちうる)そのような化合物は、従って本発明の化合物の「プロドラッグ」として記述されうる。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範疇に含まれる。
「本発明の化合物のプロドラッグ」に、我々は、経口又は非経口投与後に、予め定めた時間(例えば、約1時間)内に実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含める。
【0070】
本発明の化合物は、それらが、例えば以下に記載のテストに示されるように、リポキシゲナーゼ(特に15-リポキシゲナーゼ)の活性を阻害し得る、すなわち、それらが、15-リポキシゲナーゼ、又は15-リポキシゲナーゼ酵素が一部を形成する複合体の作用を防止するか、及び/又は15-リポキシゲナーゼ調節効果を引き出すために有用である。よって、本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの阻害が必要とされる症状の治療に有用である。
しかして、本発明の化合物は、炎症の治療に有用であることが予期される。
【0071】
「炎症」という用語は、先に記載したような身体外傷、感染、慢性疾患によって誘発されうる局所的又は全身性保護反応、及び/又は外部刺激に対する化学的及び/又は生理学的反応(例えばアレルギー反応の一部として)によって特徴付けられる任意の症状を含むと当業者に理解される。有害な薬剤と傷ついた組織の双方を破壊、希釈又は隔離する作用をするあらゆるそのような応答は、例えば発熱、腫れ、痛み、発赤、血管拡張及び/又は血流増加、白血球の罹患領域への侵入、機能喪失及び/又は炎症症状に伴うことが知られている任意の他の徴候に顕れうる。
【0072】
よって、「炎症」という用語は、任意の炎症性疾患、障害又は症状自体、それを伴う炎症要素を持つ任意の症状、及び/又はとりわけ急性、慢性、潰瘍、特異性、アレルギー性及び壊死性炎症、及び当業者に知られている炎症の他の形態を含む、徴候として炎症を特徴とする任意の症状を含むものとまた理解される。よって、その用語はまた本発明の目的に対して炎症痛及び/又は発熱を含む。
従って、本発明の化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、及び他の悪性腫瘍、及び炎症要素を伴う任意の他の疾患の治療に有用であり得る。
【0073】
また本発明の化合物は、主題における骨減少の低減等、炎症メカニズムに関連していない効果も有している。この関連において挙げることができる症状には、骨粗鬆症、骨関節炎、パジェット病及び/又は歯周病が含まれる。よって、式1の化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、主題における骨塩量の増加、並びに発症率の減少、及び/又は骨折の治癒にも有用であり得る。
本発明の化合物は、上述した症状の治療及び/又は予防処置の双方を示す。
【0074】
本発明のさらなる態様においては、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の阻害に関連した及び/又は調節可能な疾患の治療方法、及び/又はリポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患(例えば炎症)の治療方法を提供するものであり、該方法は、但し書きを含まない、先に記載した式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を治療的有効量、このような症状を患っている又は影響を受けやすい患者に投与することを含む。
【0075】
「患者」は哺乳動物(ヒトを含む)の患者を含む。
「有効量」という用語は、治療された患者に治療効果を付与する化合物の量を意味する。効果は客観的(すなわち、ある試験又はマーカーで測定可能)であり得るか、又は主観的(すなわち、主体が効果の顕れを示すか又は効果を感じる)であり得る。
本発明の化合物は通常、経口的、静脈内、皮下的、口腔的、経直腸的、経皮的、経鼻的、経気管的、経気管支的、舌下的に、任意の他の非経口経路によって又は吸入によって、薬学的に許容可能な投薬形態で投与される。
【0076】
本発明の化合物は単独で投与してもよいが、好ましくは、経口投与のための錠剤、カプセル剤又はエリキシル剤、直腸投与のための坐薬、非経口又は筋肉内投与のための滅菌液又は懸濁液等々を含む既知の薬学的製剤によって投与される。
そのような製剤は標準的な、及び/又は認められている薬学的実務に従って調製することができる。
【0077】
よって、本発明のさらなる態様においては、但し書き(A)ないし(D)及び(F)を含まない先に記載した式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩で、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤が提供される。
また本発明の化合物は、ここで定められる炎症の治療に有用な他の治療剤(例えば、NSAIDs、コキシブ、コルチコステロイド類、鎮痛剤、5-リポキシゲナーゼのインヒビター、FLAP(5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及びロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)、及び/又は炎症の治療に有用な他の治療剤)と組合せてもよい。
【0078】
本発明のさらなる態様では、
(A)但し書きを含まない、先に記載した式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩;及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤;
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品が提供される。
そのような組合せ品は他の治療剤との併用での本発明の化合物の投与をもたらし、よって、その製剤の少なくとも一つが本発明の化合物を含み、少なくとも一つが他の治療剤を含む別個の製剤として提供でき、あるいは組合せ調製品(すなわち、本発明の化合物と他の治療剤を含む単一製剤)として提供(製剤化)され得る。
【0079】
よって、さらに次のものが提供される:
(1)但し書きを含まない、先に記載した式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含む薬学的製剤;及び
(2)(a)但し書きを含まない、先に記載した式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤;及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤;
の成分を含むパーツのキットであって、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキット。
【0080】
本発明の化合物は様々な用量で投与されてよい。経口用量は、約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは約0.01から約10mg/kg/日、より好ましくは約0.1から約5.0mg/kg/日の範囲であり得る。例えば経口投与では、組成物は典型的には約0.01mgから約500mg、好ましくは約1mgから約100mgの活性成分を含む。経静脈的には、最も好ましい用量は一定速度の注入の間、約0.001から約10mg/kg/時間の範囲である。有利には、化合物は単一の毎日の用量で投与することができ、又は毎日の全用量を、毎日2回、3回又は4回の分割量で投与してもよい。
とにかく、医師又は当業者であれば、個々の患者に最も適し、投与経路、治療される症状のタイプと重症度、並びに治療される特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能及び応答によって変わり得る実際の用量を決定することができるであろう。上記の用量は平均的な場合の例であり;より高い又は低い用量範囲が有利となる個々の場合ももちろん有り得、それも本発明の範囲内である。
【0081】
本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの効果的及び/又は選択的なインヒビターであるという利点を有する。
また本発明の化合物は、それらが、述べた兆候に用いられるかどうかにかかわらず、従来技術で知られている化合物よりも、より効能があり、毒性が少なく、より長く作用し、より強力で、副作用が少なく、より吸収されやすく、及び/又はより良好な薬物動態学的特性を有し(例えばより高い経口バイオアベイラビリティ及び/又はより低いクリアランス)を持ち、及び/又は他の有用な薬理学的、物理的、又は化学的性質を有しうるという利点を持っている。
【0082】
生物学的試験
使用するアッセイでは、1.4-シス-ペンタジエン立体配置を有する多価不飽和脂肪酸を、対応するヒドロペルオキシ又はヒドロキシル誘導体に酸化させる、リポキシゲナーゼの能力を利用する。この特定のアッセイにおいて、リポキシゲナーゼは精製されたヒト15-リポキシゲナーゼであり、脂肪酸はアラキドン酸である。アッセイは室温(20-22℃)で実施され、続いて、次のものが96-ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加される:
a)35μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4);
b)インヒビター(すなわち化合物)又はビヒクル(0.5μlのDMSO);
c)10μLの、PBSに15-リポキシゲナーゼが入った10倍濃縮液;プレートを室温で5分間インキュベート;
d)5μlの、PBSに0.125mMのアラキドン酸が入ったもの;ついで、プレートを室温で10分間インキュベート;
e)100μlのメタノールを添加することにより、酵素反応を停止;及び
f)15-ヒドロペルオキシ-エイコサテトラエン酸又は15-ヒドロキシ-エイコサテトラエン酸の量を逆相HPLCにより測定。
【実施例】
【0083】
本発明を次の実施例によって例証するが、そこでは次の省略を用いうる:
EDCI 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリ

DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチル ウロニウムヘキサフルオロホスファート
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
rt 室温
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBTU O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム
テトラフルオロボラート
THF テトラヒドロフラン
以下に記載する合成において特定される出発材料と化学試薬は、例えばシグマ-アルドリッチファインケミカルズ社から商業的に入手可能である。
特に記載しない限りは、以下に記載する実施例の一又は複数の化合物の互変異性形態は、インシトゥーで調製されてもよいし、及び/又は単離されてもよい。以下に記載する実施例の化合物の全ての互変異性形態が、開示されているとみなすべきである。
【0084】
中間体の合成
(i)ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン
DMF(0.1mL、1.4mmol)をSOCl(40mL)にピラゾール-3-カルボン酸(5.0g、44.6mmol)が入った攪拌懸濁液に滴下した。混合物を還流にて48時間加熱し、冷却し、濃縮したところ、さらなる精製をすることなく使用される白色固形物として、副題の化合物が得られた。
【0085】
(ii)2,7-ジメチルジピラゾロ[1,5-a:1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン
(a)5-メチルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル
表題の化合物は商業的に入手可能であるが(メイブリッジ社(Maybridge))、次のようにして調製もされる(J. Med. Chem. 2002, 45, 1035):ヒドラジン一水和物(25.6g、162mmol)を無水EtOHに2,4-ジオキソ吉草酸エチル(7.85mL、162mmol)が入った溶液に添加した。混合物を還流にて2時間加熱し、濃縮したところ、黄色の油が得られた。EtOH:水(1:3)からの結晶化により、無色の針状体として表題の化合物(14.2g、57%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.2(br.s,1H)、6.47(s,1H)、4.22(q,2H)、2.23(s,3H)、1.25(t,3H)。
【0086】
(b)5-メチルピラゾール-3-カルボン酸
無水EtOH(80mL)に5-メチルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(4.94g、32.0mmol)が入った溶液に、NaOH(6.4g、160mmol)を添加した。混合物を還流にて1時間加熱し、20℃まで冷却した。混合物をHCl(2Mの水溶液、85mL、170mmol)で酸性化し、NaOH(2Mの水溶液)を用いて、pHを3に調節した。混合物をEtOAc(200mL)で抽出した。有機相をNaCl(飽和水溶液、50mL)で洗浄し、濃縮したところ、白色の固形物として表題の化合物(3.54g、88%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ12.83(br.s,1H)、6.43(s,1H)、2.22(s,3H)。
【0087】
(c)2,7-ジメチルジピラゾロ[1,5-a:1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン
SOCl(2.2mL、33.8mmol)を、トルエン(10mL)に5-メチルピラゾール-3-カルボン酸(1.44g、11.4mmol)が入った懸濁液に添加し、混合物を還流にて1時間加熱した。濃縮したところ、さらなる精製をすることなく使用される黄色固形物として、副題の化合物が得られた。
【0088】
(iii)5-クロロピラゾール-3-カルボン酸
中間体は2つの代替法により合成され得る:
方法A
(a)1-ベンゼンスルホニル-3-メチルピラゾール
3-メチルピラゾール(5g、60.9mmol)、ベンゼンスルホニルクロリド(8.55mL、67mmol)、トリエチルアミン(9.3mL、67mmol)及びアセトニトリルの混合物を還流にて2時間加熱し、放置して冷却させ、濃縮した。EtOAc(300mL)を添加し、溶液を濾過して濃縮し、固形物が提供され、これをEtOAcから再結晶させたところ、白色のパウダーとして表題の化合物が得られた(収率:7.92g、58%)。
H NMR(DMSO-d):δ8.35(d、1H)、7.97-7.94(m、2H)、7.78(tt,1H)、7.66(t,2H)、6.43(d,1H)、2.17(s,3H)。
【0089】
(b)5-クロロ-1-(2-クロロベンゼンスルホニル)-3-メチルピラゾール
BuLi(1.6M、9.45mmol)を、THF(50mL)に1-ベンゼンスルホニル-3-メチルピラゾール(4.5mmol;上の工程(a)を参照)が入った溶液に、アルゴン下、−78℃で添加した。ヘキサクロロエタン(3.7g、15.8mmol)を添加する前に、約30分、混合物を攪拌した。−78℃で攪拌した後、NHCl(飽和水溶液、50mL)を添加し、混合物を放置して室温にした。水(50mL)を添加し、相分離させ、水相をEtOAc(2x100mL)で抽出した。組合せた有機相を乾燥させ(NaSO)濃縮した。クロマトグラフィー(1:4 EtOAc/ヘプタン)で精製し、EtOAc/ヘプタンから再結晶させることにより、白色結晶として表題の化合物が得られた(収率:1.1g、84%)。
H NMR(DMSO-d):δ8.17(dd、1H)、7.87-7.67(m、4H)、2.15(s,3H)。
【0090】
(c)5-クロロ-3-メチルピラゾール
ナトリウムエトキシド(2.5M、16.1mL、40.3mmol)を、EtOH(50mL)に5クロロ-1-(2-クロロベンゼンスルホニル)-3-メチルピラゾール(6.9g、27mmol;上の工程(b)を参照)が入った攪拌溶液に添加した。室温で30分後、水(100mL)を添加し、混合物をHCl(2Mの水溶液)で中和し、EtOAc(3x100mL)で抽出した。組合せた抽出物を濃縮すると、完全に溶媒が除去される前に沈殿した。沈殿物を濾過し、濾液を濃縮したところ、そのままの状態で結晶化し、さらなる精製をすることなく使用される褐色油が得られた(収率:1.0g、33%)。
H NMR(DMSO-d):δ12.66(bs,1H)、6.03(d,1H)、2.20(s,3H)。
【0091】
(d)5-クロロピラゾール-3-カルボン酸
水(120mL)にKMnO(3.5g、22mmol)が入った溶液を、水(50mL)及びtert-ブタノール(1mL)に5-クロロ-3-メチルピラゾール(1.0g、8.8mmol;上の工程(c)を参照)が入った溶液に、70℃で5時間以上かけて、分けて添加した。混合物を70℃で一晩攪拌し、セライト(Celite)(登録商標)を通して濾過した。無色の濾液を濃縮し、HCl(2M)で酸性化させた。濾過により、さらなる精製をすることなく使用される白色パウダーとして、表題の化合物が得られた(収率:913mg、80%)。
H NMR(DMSO-d):δ13.65(br s,1H)、6.80(s,1H)、4.40(bs,1H)。
【0092】
方法B
(a)5-クロロ-3-メチルピラゾール
密閉容器において、5-クロロ-1,3-ジメチルピラゾール(0.34g、2.6mmol)とピリジン・ヒドロクロリド(1.51g、13.1mmol)の混合物を、マイクロ波照射を使用し、200℃で2時間加熱した。室温まで冷却した後、EtOAc(15mL)を添加し、混合物をHCl(2M、10mL)、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮したところ、白色固形物として副題の化合物が得られた(収率:210mg(67%))。
MS(M+H)m/z=117
H NMR(DMSO-d、400MHz):δ12.66(br s,1H)、6.03(m、1H)、2.19(s,3H)。
【0093】
(b)5-クロロピラゾール-3-カルボン酸
5-クロロ-3-メチルピラゾール(3.6mmol;上の工程(a)を参照)、水(6mL)、tert-ブタノール(1.2mL)及びKMnO(1.42g、9mmol)の混合物を75℃で一晩攪拌した。温混合物を濾過し、固形物を熱湯で洗浄した。組合せた濾液をEtOAcで2回抽出した。組合せた抽出物をNaCl(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮し、固形物が提供され、これをEtOAc/ヘキサン/ペンタンから結晶化させたところ、白色の結晶として表題の生成物が得られた(収率:350mg(67%))。
H NMR(DMSO-d、400MHz)、δ13.65(br s,1H)、6.80(s,1H)、4.40(bs,1H)。
【0094】
(iv)4-ブロモピラゾール-3-カルボン酸
臭素(800mg、5.0mmol)を、酢酸(20mL)にピラゾール-3-カルボン酸(500mg、4.5mmol)が入った溶液に添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、続いて水(100mL)を添加し、ジエチルエーテル(3x30mL)で抽出した。組合せた有機相を水(50mL)で洗浄し、濃縮したところ、淡黄色の固形物として表題の生成物(750mg、87%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ7.92(s,1H)。
【0095】
(v)5-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸
(a)1,1,1-トリフルオロ-4-メトキシペント-3-エン-2-オン
2-メトキシプロパン(7.7g、132mmol)とピリジン(9.7mL、120mmol)の混合物を、−30℃で冷却しつつ、トリフルオロ酢酸無水物(25.2g、120mmol)に滴下した。ジエチルエーテル(50mL)を添加し、混合物を室温で18時間放置した。濾過、濃縮により黄色の油が付与され、これをCHClに溶解させた。混合物をHCl(0.1Mの水溶液、50mL)、水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮したところ、任意のさらなる精製をすることなく次の工程で使用されるオレンジ色の油が23g得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ5.68(s,1H)、3.80(s,3H)、2.41(s,3H)。
【0096】
(b)3-メチル-5-トリフルオロメチルピラゾール
ヒドラジン水和物(4.0g、79mmol)を、EtOH(30mL)に1,1,1-トリフルオロ-4-メトキシペント-3-エン-2-オン(10.0g、59mmol)が入った溶液に滴下した。混合物を還流で2時間加熱し、冷却して濃縮した。残留物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、乾燥させた(NaSO)。濃縮したところ、さらなる精製をすることなく次の工程で使用される副題の化合物が得られた。収率:7.0g(79%)。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ6.15(s,1H)、2.29(s,3H)。
【0097】
(c)5-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸
3-メチル-5-トリフルオロメチルピラゾール(3.0g、20mmol)、KMnO(3.0g、19.0mmol)及び水(80mL)の混合物を、80℃で18時間加熱した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を2MのHCl(水溶液)で酸性化し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。組合せた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮したところ、さらなる精製をすることなく使用される黄色の結晶として、表題の化合物が得られた。収率:1.6g(44%)。
【0098】
二環アリールアミン類の合成
商業的に入手されない二環アリールアミン類を、例えば以下に記載する方法等、当業者に知られている手順に従い合成した。
3-アミノ-2-メチルキノリン、3-アミノ-6,8-ジブロモ-2-メチルキノリン、及び3-アミノ-6-クロロ-2-メチルキノリンを、文献の手順(Wang、Y.Dら. Tetrahedron 2004, 60, 2937-2942)に従い調製した。3-アミノ-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン、3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン、3-アミノ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン、及び3-アミノ-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-b]ピリジンを、文献の手順(Takada, Sら. J. Med. Chem. 1996, 39, 2844-2851;Tohda, Yら. Bull. Chem. Soc. Japan 1990, 63, 2820-2827)に従い調製した。3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-6-カルボン酸tert-ブチルエステル、及び3-アミノ-6-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジンを、文献の手順(Harling、J.Dら. Synthetic Communications, 2001, 31, 787-797)に従い調製した。5-アミノ-3-アザトリシクロ-[6.2.1.02,7]ウンデカ-2(7),3,5-トリエンを、国際公開第98/46572号(実施例22)に従い調製した。3-アミノ-7-メトキシキノリン、3-アミノ-5-メトキシキノリン、3-アミノ-6,7-ジメトキシキノリン、8-アミノ-2,3-ジヒドロ[1.4]ジオキサノ[2,3-g]キノリン、及び7-アミノ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリンを、対応するニトロ化合物のPd-触媒水素化を使用する、3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン用の文献(Takada, Sら, J. Med. Chem. 1996, 39, 2844-2851)に類似した手順により調製した。7-メトキシ-3-ニトロキノリンを、文献の手順(Krasavin I.Aら. Metody Polucheniya Khimicheskih Reaktivov i Preparatov, Moscow 1971, 23, 94-96)に従い調製した。他の関連するニトロ化合物は、同じようにして合成した(さらに、Morley J.S.及びSimpson J.C.E. J. Chem. Soc. 1948, 2024-2027を参照)。
【0099】
3-アミノ-6-tert-ブチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン
表題の化合物を、4-tert-ブチルシクロヘキサノンを使用し、3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン用に記載された文献の手順(Takada, Sら. J. Med. Chem. 1996, 39, 2844-2851)に従い調製した。化合物を、オフホワイト色の固形物として、収率49%で単離した。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ7.68(d,1H)、6.62(d,1H)、5.09(br.s,2H)、2.77-2.35(m,4H)、1.97-1.93(m,1H)、1.40-1.22(m,2H)、0.90(s,9H)。
【0100】
3-アミノ-6-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン
(a)3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5'H-スピロ[1,3]ジオキソラン-6,6'-キノリン
副題の化合物を、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オンから、3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン用に記載された文献の手順(Takada, Sら. J. Med. Chem. 1996, 39, 2844-2851)に従い調製した。化合物を、わずかにオレンジ色の結晶として、収率83%で単離した。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.12(d,1H)、8.33(d,1H)、3.97(s,4H)、3.12-3.07(m,4H)、2.03(t,2H)。
【0101】
(b)3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-キノリン-6-オン
3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5'H-スピロ[1,3]ジオキソラン-6,6'-キノリン(737mg、3.12mmol)、HCl(2Mの水溶液、6.6mL)、水(3.3mL)及びアセトン(10mL)の混合物を、還流にて45分加熱した。混合物を室温まで冷却し、N
aHCO(飽和水溶液、50mL)で中和し、EtOAc(3x20mL)で抽出した。組合せた有機相を乾燥させ(NaSO)、活性炭(200mg)と共に30分攪拌し、まずセライト(登録商標)、ついでシリカゲルを通して濾過した。濃縮したところ、黄色の固形物として副題の化合物が得られた(416mg、69%)。H NMRによれば、化合物は、対応するケト及びエノール形態の混合物(〜7:3)として存在している。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ10.12(s,0.3H)、9.18(d,0.7H)、8.79(d,0.3H)、8.45(d,0.7H)、7.97(d,0.3H)、5.69(s,0.3H)、3.83(s,1.4H)、3.30(t,1.4H)、3.06(t,0.7H)、2.60(t,1.4H)、2.51(t,0.7H)。
【0102】
(c)6-ヒドロキシ-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン
NaBH(173mg、4.58mmol)を、MeOH(50mL)に3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-キノリン-6-オン(220mg、1.14mmol)が入った溶液に、アルゴン下、−43℃で添加した。2時間攪拌した後、粉砕した氷で反応体を急冷し、温度を室温まで上昇させた。混合物を濃縮し、残留物をCHCl(3x10mL)で抽出した。組合せた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮したところ、黄色の固形物として副題の化合物が得られた(170mg、76%)。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.09(d,1H)、8.32(d,1H)、4.95(d,1H)、4.10-4.00(m,1H)、3.11-2.73(m,4H)、2.01-1.80(m,2H)。
【0103】
(d)3-アミノ-6-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン
6-ヒドロキシ-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン(156mg、0.803mmol)、パラジウム-活性炭(10% Pd、75mg)及びMeOH(10mL)の混合物を、周囲温度で水素化し、30分加圧した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮したところ、黄色の固形物として表題の化合物(131mg、99%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ7.68(d,1H)、6.60(d,1H)、5.2-4.8(br.s,2H)、4.73(d,1H)、3.93-3.80(m,1H)、2.84-2.44(m,4H)、1.93-1.82(m,1H)、1.73-1.60(m,1H)。
【0104】
3-アミノ-6,6-ジオキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-6λ-チオピラノ[4,3-b]ピリジン
(a)3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-b]ピリジン
副題の化合物を、国際公開第98/46572号(実施例25)に記載の手順に従い調製した。
(b)3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-b]ピリジン-6,6-ジオキシド
3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-b]ピリジン(127mg、0.65mmol)、 3-クロロ過安息香酸(335mg、1.94mmol)及びCHCl(10mL)の混合物を、室温で18時間攪拌した。水(5mL)にNaSO(245mg、1.94mmol)が入った溶液を添加し、混合物を室温で5分攪拌した。相分離させ、有機相をNaCO(1Mの水溶液、5mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗物質をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘプタン、2:1)で精製したところ、白色の固形物として表題の生成物(55mg、37%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.24(d,1H)、8.49(d,1H)、4.73(s,2H)、3.67-3.62(m,2H)、3.53(t,2H)。
【0105】
(c)3-アミノ-6,6-ジオキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-6λ-チオピラノ[4,3-b]ピリジン
MeOH:CHCl(1:1、10mL)に3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-b]ピリジン-6,6-ジオキシド(53mg、0.232mmol)が入ったものを、周囲温度で水素化し、パラジウム-活性炭(10% Pd、75mg)上で30分加圧した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮したところ、白色の固形物として表題の化合物(45mg、98%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ7.82(d,1H)、6.69(d,1H)、6.0-5.0(br.s,2H)、4.40(s,2H)、3.44(t,2H)、3.20(t,2H)。
【0106】
6-アセチル-3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン
(a)3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-[1,6]ナフチリジン-6-カルボン酸tert-ブチル エステル
副題の化合物を、文献の手順(Harling、J.Dら. Synthetic Communications, 2001, 31, 787-797)に従い調製した。
(b)3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-6-イウムトリフルオロアセタート
トリフルオロ酢酸(5mL)を、CHCl(25mL)に3-ニトロ-7,8-ジヒドロ-5H-[1,6]ナフチリジン-6-カルボン酸tert-ブチルエステル(283mg、1.01mmol)が入った溶液に滴下し、混合物を室温で75分攪拌した。濃縮すると、ジエチルエーテル(25mL)で粉砕されるオレンジ色の油が得られた。固形物を濾過し、EtOAc/MeOHから再結晶させたところ、白色の結晶として表題の化合物(189mg、64%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.38(s,2H)、9.24(d,1H)、8.60(d,1H)、4.47(s,2H)、3.55(t,2H)、3.21(t,2H)。
【0107】
(c)6-アセチル-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン
無水酢酸(0.191mL、2.03mmol)を、ピリジン(5mL)に3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-6-イウムトリフルオロアセタート(119mg、0.406mmol)が入った溶液に滴下した。混合物を室温で30分攪拌し、濃縮した。残留物をEtOAcから結晶化させたところ、白色の針状体として副題の化合物(57mg、63%)が得られた。H NMRによれば、化合物は回転異性体の混合物(〜2:3)として存在している。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.18-9.14(m,1H)、8.53(d,0.6H)、8.48(d,0.4H)、4.83(s,0.8H)、4.76(s,1.2H)、3.79(t,2H)、3.10(t,1.2H)、2.97(t,0.8H)、2.12(s,1.8H)、2.10(s,1.2H)。
【0108】
(d)6-アセチル-3-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン
MeOH(10mL)に6-アセチル-3-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン(52mg、0.235mmol)が入ったものを、周囲温度で水素化し、パラジウム-活性炭(10% Pd、50mg)上で30分加圧した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮したところ、黄色の油として表題の化合物(45mg、100%)が得られた。H NMRによれば、化合物は、シス及びトランスアミド形態の混合物(〜2:3)として存在している。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ7.74(m,1H)、6.69(d,1H)、5.50-5.00(br.s,2H)、4.52(s,0.8H)、4.47(s,1.2H)、3.70-3.63(m,2H)、2.75(t,1.2H)、2.63(t,0.8H)、2.07(s,1.8H)、2.06(s,1.2H)。
【0109】
4-アミノイソキノリン
(a)N-ベンジル-4-アミノイソキノリン
乾燥トルエン(40mL)に、4-ブロモイソキノリン(1.00g、4.81mmol)、ベンジルアミン(620mg、5.77mmol)、CsCO(7.83g、24.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(132mg、0.144mmol)、及び2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(90mg、0.144mmol)の混合物が入ったものを、アルゴン下、90℃で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾過し、EtOAcで洗浄した。組合せた液体を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘプタン)で精製したところ、黄色の固形物として副題の化合物(1.00g、89%)が得られた。
MS(M+H)m/z 235
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ8.49(s,1H)、8.27(d,1H)、7.92(d,1H)、7.68(t,1H)、7.62-7.56(m,2H)、7.41(d,2H)、7.30(t,2H)、7.21(t,1H)、7.03(t,1H)、4.52(d, 2H)。
【0110】
(b)4-アミノイソキノリン
N-ベンジル-4-アミノイソキノリン(1.00g、4.27mmol)、酢酸(30mL)及びHSO(濃、7.5mL)の混合物を、100℃で6時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応体をNaCO飽和水溶液(200mL)で急冷し、EtOAc(5×25mL)で抽出した。組合せた有機相を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(EtOAc)で精製したところ、黄色の固形物として表題の化合物(325mg、53%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ8.49(s,1H)、8.10(d,1H)、7.90(d,1H)、7.87(s,1H)、7.64-7.54(m,2H)、5.82(s,2H)。
【0111】
8-アミノイソキノリン
(a)5-ブロモ-8-ニトロイソキノリン
N-ブロモスクシンイミド(17.80g、100mmol)を、HSO(濃、100mL)にイソキノリン(11.00g、85mmol)が入った溶液に、15分以上かけて分けて添加し、25℃まで冷却した。室温で22時間攪拌した後、KNO(11.12g、110mmol)を添加し、混合物を70分攪拌した。混合物を粉砕した氷に注ぎ、NH(飽和水溶液、100mL)で中和した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。MeOHから結晶化させたところ、暗褐色の固形物として副題の生成物(9.27g、43%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ10.01(s,1H)、8.84(d,1H)、8.19(d,1H)、8.15(d,1H)、8.11(d,1H)。
【0112】
(b)8-アミノイソキノリン
MeOH(70mL)に5-ブロモ-8-ニトロイソキノリン(1.00g、3.95mmol)が入ったものを、周囲温度で水素化し、パラジウム-活性炭(10% Pd、200mg)上で18時間加圧した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘプタン)で精製したところ、帯緑褐色の固形物として表題の化合物(100mg、18%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.43(s,1H)、8.32(d,1H)、7.54(d,1H)、7.40(dd,1H)、6.99(d,1H)、6.72(d,1H)、6.22(s,2H)。
【0113】
5-アミノキノキサリン
(a)5-ニトロキノキサリン
グリオキサル(8.8Mの水溶液、2.6mL、22.8mmol)を、EtOH(16mL)に3-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン(1.163g、7.59mmol)が入った混合物に添加した。混合物を還流にて2時間加熱し、室温で3日間攪拌した。水(50mL)を添加し、得られた混合物をCHCl(3x20mL)で抽出した。組合せた抽出物を乾燥させ(MgSO)、濃縮するとオレンジ-赤色の固形物が付与され、水からの再結晶により淡黄色の針状体として副題の化合物(439mg、33%)が得られた。
H NMR(CDCl、400MHz)δ9.05(d,1H)、9.01(d,1H)、8.38(dd,1H)、8.20(dd,1H)、7.89(t,1H)。
【0114】
(b)5-アミノキノキサリン
密封バイアルにおいて、MeOH(25mL)に、5-ニトロキノキサリン(439mg、2.51mmol)、ギ酸アンモニウム(158mg、2.51mmol)、及びパラジウム-活性炭(10% Pd、50mg)が入った混合物を、100℃で18時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮すると、褐色の固形物が得られた。クロマトグラフィー(EtOAc:ヘプタン、1:2)により、帯黄褐色の固形物として表題の化合物(203mg、56%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ8.85(d,1H)、8.72(d,1H)、7.53(t,1H)、7.17(dd,1H)、6.92(dd,1H)、6.14(br.s,2H)。
【0115】
実施例1ないし40
一般的手順
関連する出発物質(すなわち、上述の(i)又は(ii);0.40mmol)と関連する二環アリールアミン(0.64mmol)を、ピリジン:DMFの混合物(9:1、3.0mL)に溶解させ、混合物を、表示時間、表示温度で加熱した。揮発性物質を真空で除去し、溶離液としてEtOAc/ヘプタンを使用するクロマトグラフィーにより、残留物を精製した。
【0116】
表1−実施例(Ex)1ないし40
【表1】





【0117】
表2−実施例1-40の化合物の物理的特性
【表2】





化合物は、シス及びトランスアミド形態の混合物(2:3)であった。
【0118】
実施例41-52
一般的手順
TBTU(0.48mmol)を、乾燥DMF(3mL)に、関連する出発物質(すなわち、3-ピラゾールカルボン酸又は上述の(iii)-(v);0.40mmol)、関連する二環アリールアミン(0.48mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.80mmol)が入った溶液を、アルゴン下で添加した。反応混合物を表示時間、表示温度で攪拌した。室温まで冷却した後、水(10mL)を添加し、混合物をEtOAc(3x10mL)で抽出した。組合せた有機相をNaCl(飽和水溶液)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残留物を、溶離液としてEtOAc:ヘプタンを用いるクロマトグラフィーにより精製した。
【0119】
表3−実施例(Ex)41ないし52
【表3】


【0120】
表4−実施例41-52の化合物の物理的特性
【表4】

【0121】
実施例53-55
一般的手順
リチウムジイソプロピルアミド(THFに1.6M、0.78mL、1.25mmol)を、1,4-ジオキサン(15mL)に関連する二環アリールアミン(0.50mmol)が入った攪拌溶液に滴下し、混合物を室温で1時間攪拌した。ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))を分けて添加し、混合物を表示時間、表示温度で攪拌した。室温まで冷却した後、混合物を真空で濃縮し、水(10mL)を添加した。混合物をEtOAc(3x15mL)で抽出し、組合せた有機相を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。溶離液としてEtOAc:ヘキサン(3:2)を用いるクロマトグラフィーの後、表題の化合物が得られた。
【0122】
表5−実施例(Ex)53ないし55
【表5】

【0123】
表6−実施例53-55の化合物の物理的特性
【表6】

【0124】
実施例56
2-[(ピラゾール-3-カルボニル)アミノ]-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-カルボン酸エチルエステル
リチウムジイソプロピルアミド(ヘプタン:THF:エチルベンゼンに1.8M、0.32mL、0.5mmol)を、THF(25mL)に2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェンカルボン酸エチルエステル(113mg、0.5mmol)が入った攪拌溶液に、−78℃で滴下した。混合物を放置して室温まで温め、再度−78℃まで冷却した。ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(94mg、0.5mmol)を分けて添加し、混合物を放置して室温まで温め、18時間攪拌した。黄色の沈殿物を収集し、水(25mL)とイソヘキサン(50mL)で洗浄し、DMF(3mL)から再結晶させたところ、淡黄色の固形物として表題の化合物(109mg、68%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ12.23(s,1H)、7.98(s,1H)、6.84(s,1H)、4.31(q,2H)、2.74(br.s,2H)、2.63(br.s,2H)、1.74(br.s,4H)、1.35(t,3H)。
13C NMR(DMSO-d、100MHz)δ165.7、159.0、146.6、145.0、132.0、131.2、126.6、111.8、106.5、60.9、26.4、24.3、23.0、22.9、14.7。
【0125】
実施例57
ピラゾール-3-カルボン酸(3,4-(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル)アミド
DMF(5mL)に、3,4-(ジフルオロメチレンジオキシ)アニリン(346mg、2.0mmol)とジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))が入った混合物を、120℃で18時間攪拌した。溶媒を真空で除去し、水(10mL)を残留物に添加した。混合物をEtOAc(3x10mL)で抽出し、組合せた抽出物をシリカゲルを通して濾過し、濃縮した。イソヘキサンを添加し、トルエン(10mL)から再結晶させることにより、表題の化合物が沈殿した。白色固形物としての収率:241mg(45%)。
MS(M+H)m/z=268
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ10.35(s,1H)、7.95(s,1H)、7.92(s,1H)、7.63(d,1H)、7.37(d,1H)、6.79(s,1H)。
13C NMR(DMSO-d、100MHz)δ161.2、146.9、143.0、138.9、136.2、131.9(t,J=252Hz)、131.1、116.3、110.4、106.4、103.4。
【0126】
実施例58
ピラゾール-3-カルボン酸ベンゾチアゾール−6−イルアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(100mg、0.53mmol)、ベンゾチアゾール-6-イルアミン(239mg、1.59mmol)、DMAP(65mg、0.53mmol)及びDMF(5mL)の混合物を、140℃で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、混合物を水に注ぎ、EtOAc(3x10mL)で抽出した。組合せた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。クロマトグラフィー(EtOAc:イソヘキサン 9:1)で精製し、 MeOH:水から再結晶させたところ、白色の結晶として表題の化合物(42mg、16%)が得られた。
MS(M+H)m/z=245
H NMR(CDOD、400MHz)δ9.15(s,1H)、8.68-8.62(m,1H)、8.06-7.98(m,1H)、7.84-7.72(m,2H)、6.94-6.85(m,1H)。
【0127】
実施例59
ピラゾール-3-カルボン酸キノリン-8-イルアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(522mg、2.77mmol)、8-アミノキノリン(200mg、1.39mmol)、DMAP(169mg、1.39mmol)及びDMF(5mL)の混合物を、140℃で2時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、濃縮した。クロマトグラフィー(ジエチルエーテル)で精製し、 MeOH:水から再結晶させたところ、白色の結晶として表題の化合物(213mg、64%)が得られた。
MS(M+H)m/z=239
H NMR(CDOD、400MHz)δ13.5(br.s,1H)、11.2(s,1H)、9.00-8.89(m,1H)、8.83-8.70(m,1H)、8.48-8.35(m,1H)、8.00-7.90(m,1H)、7.73-7.55(m,3H)、6.90-6.80(m,1H)。
【0128】
実施例60
ピラゾール-3-カルボン酸(2,3-(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル)アミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(100mg、0.53mmol)、2,3-(ジフルオロメチレンジオキシ)アニリン(276mg、1.59mmol)、DMAP(65mg、0.53mmol)及びDMF(5mL)の混合物を、140℃で18時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、濃縮した。クロマトグラフィー(EtOAc)及び分取LC-MSで精製したところ、白色の固形物として表題の化合物(34mg、12%)が得られた。
MS(M+H)m/z=268
H NMR(CDOD、400MHz)δ10.4(br s,1H)、7.75-7.60(m,1H)、7.50-7.30(m,1H)、7.15-6.65(m,3H)。
13C NMR(MeOH-d、100MHz)δ160.4、143.9、136.6、131.5(t,J=252 Hz)、124.7、122.1、121.0、107.1、106.5。
【0129】
実施例61
ピラゾール-3-カルボン酸(インダゾール-6-イル)アミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(1.41g、7.51mmol)、6-アミノインダゾール(1.06g、7.93mmol)、DMAP(0.46g、3.76mmol)及びクロロホルム(15mL)の混合物を、80℃で18時間攪拌した。濃縮し、クロマトグラフィー(ジエチルエーテル)で精製し、 ついで、EtOAc:イソヘキサンから再結晶させたところ、白色の結晶として表題の化合物(75mg、9%)が得られた。
MS(M+H)m/z=228
H NMR(CDOD、400MHz)δ8.38-7.95(m,2H)、7.90-7.43(m,4H)、7.05-6.80(m,1H)。
【0130】
実施例62
4-メチルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-8-イルアミド
(a)4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル
1-トリメチルシリル-1-プロピン(1.0g、8.93mmol)及びジアゾ酢酸エチル(1.0g、8.77mmol)の混合物を、80℃で1日間、100℃で2日間攪拌した。混合物を50%のEtOH水(10mL)で希釈し、沈殿物を収集し、乾燥したところ、淡黄色の固形物として副題の化合物が478mg(24%)得られた。
H NMR(CDCl、400MHz)δ10.36(br.s,1H)、4.30(q,2H)、2.34(s,3H)、1.25(t,3H)、0.30(s,9H)。
13C NMR(CDCl、100MHz)δ163.7、143.3、141.2、127.7、60.9、14.3、10.5、−1.5。
【0131】
(b)4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸
NaOH(1Mの水溶液、73mL、73mmol)を、EtOH(100mL)に4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(3.3g、14.6mmol)が入った溶液に添加した。混合物を80℃で15分加熱し、室温まで冷却し、塩酸で酸性化し、乾固近くまで濃縮した。残留物をEtOAc(3x100mL)で抽出し、組合せた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮したところ、淡紅色の固形物として副題の化合物が2.50g(86%)得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ11.80(br.s,1H)、2.27(s,3H)、0.30(s,9H)。
13C NMR(DMSO-d、100MHz)δ164.8、141.8、140.7、126.4、10.8、−0.5。
【0132】
(c)3,8-ジメチル-2,7-ビス-トリメチルシリルジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン
4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸(50mg、0.25mmol)、EDCI(73mg、0.38mmol)、DMAP(46mg、0.38mmol)及びドライCHCl(4mL)の混合物を、50℃で2日間攪拌した。溶液をCHCl(20mL)で希釈し、水(2x5mL)で洗浄し、シリカゲルを通して濾過し、濃縮した。イソヘキサンを添加したところ、白色の固形物として副題の化合物(31mg、75%)が得られた。
MS(M+H)m/z 361
H NMR(CDCl、400MHz)δ2.57(s,6H)、0.41(s,18H)。
13C NMR(CDCl、100MHz)δ162.9、149.5、136.9、130.4、10.7、−1.3。
【0133】
(d)4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-8-イルアミド
3,8-ジメチル-2,7-ビス-トリメチルシリルジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(500mg、1.39mmol)、8-アミノキノリン(1.0g、6.95mmol)及びDMAP(340mg、2.78mmol)の混合物を、アルゴン下、120℃で2.5時間加熱し、ついで、室温まで冷却した。EtOH(5mL)、水(15mL)及びN-ヘプタン(15mL)を添加し、沈殿物を濾過し、クロマトグラフィーで精製したところ、副題の化合物(220mg、25%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.07(br.s,1H)、11.28(s,1H)、8.95(dd,1H)、8.79(dd,1H)、8.44(dd,1H)、7.68-7.60(m,3H)、2.43(s,3H)、0.35(s,9H)。
【0134】
(e)4-メチルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-8-イルアミド
4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-8-イルアミド(220mg、0.67mmol)、TBAF(175mg、0.67mmol)及び乾燥THF(10mL)の混合物を、アルゴン下、室温で24時間攪拌した。水(10mL)を添加し、形成した沈殿物を濾過した。濾液の有機相を濃縮し、クロマトグラフィーで精製した。関心あるフラクションを最初の沈殿物と共にプールしたところ、表題の化合物(130mg、75%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.22(br.s,1H)、11.22(s,1H)、8.97(dd,1H)、8.80(dd,1H)、8.44(dd,1H)、7.78(s,1H)、7.69-7.60(m,3H)、2.34(s,3H)。
【0135】
実施例63
ピラゾール-3-カルボン酸(6-ブロモキノリン-4イル)アミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(94mg、0.50mmol)、4-アミノ-6-ブロモキノリン(112mg、0.50mmol)、 DMAP(61mg、0.50mmol)及びDMF(5mL)の混合物を、120℃で42時間攪拌した。溶液を室温まで冷却し、形成した沈殿物を濾過し、MeOH:水(4:1)で洗浄した。EtOH:水から結晶化させたところ、白色のパウダーとして表題の化合物(35mg、22%)が得られた。
MS(M+H)m/z 317
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.61(br.s,1H)、10.55(br.s,1H)、8.90(d,1H)、8.32(s,1H)、7.90-8.06(m,4H)、6.69(s,1H)。
【0136】
実施例64
ピラゾール-3-カルボン酸(6-トリフルオロメチルキノリン-4イル)アミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(中間体(i))(94mg、0.50mmol)、4-アミノ-6-トリフルオロメチルキノリン(106mg、0.50mmol)、DMAP(61mg、0.50mmol)及びDMF(5mL)の混合物を、120℃で42時間攪拌した。溶液を室温まで冷却し、水(5mL)を添加し、混合物をEtOAc(3x5mL)で抽出した。組合せた有機相を水(10mL)とNaCl(飽和水溶液)で洗浄した。溶媒を真空で除去し、残留物をEtOAc:ペンタンから結晶化させたところ、白色のパウダーとして表題の生成物(101mg、66%)が得られた。
MS(M+H)m/z 307
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.63(br.s,1H)、10.78(br.s,1H)、9.01(d,1H)、8.55(s,1H)、8.21(d,1H)、8.14(d,1H)、7.99-8.04(m,2H)、6.90(s,1H)。
【0137】
実施例65
4-メチルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-3-イルアミド
(a)4-メチルピラゾール-3-カルボン酸
実施例62(a)に従い調製された4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(3.3g、14.6mmol)をEtOH(100mL)に溶解させ、NaOH(1Mの水溶液、73mL、73mmol)を添加した。混合物を還流にて18時間加熱し、室温まで冷却し、塩酸(1M、100mL)で酸性化し、乾固近くまで濃縮した。残留物をEtOAc(3x100mL)で抽出し、組合せた有機相を(NaSO)で乾燥させ、濃縮したところ、副題の化合物(1.90g(99%))が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13(br.s,2H)、7.50(s,1H)、2.19(s,3H)。
【0138】
(b)4-メチルピラゾール-3-カルボン酸キノリン-3-イルアミド
4-メチルピラゾール-3-カルボン酸(100mg、0.80mmol)、3-アミノキノリン(137mg、0.95mmol)、ジイソプロピルアミン(161mg、1.59mmol)、HATU(361mg、0.95mmol)及びDMF(10mL)の混合物を、室温で18時間攪拌し、50℃で4時間加熱した。ジエチルエーテル(25mL)を添加し、相分離させ、有機相をCaCl(飽和水溶液)で洗浄し、濃縮した。クロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)で精製したところ、灰色のパウダーとして表題の化合物(70mg、30%)が得られた。
MS(M+H)m/z 253
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.21(s,1H)、10.44(s,1H)、9.17(s,1H)、8.87(s,1H)、7.92(t,1H)、7.71(s,1H) 7.65-7.53(m,2H)、2.29(s,3H)。
【0139】
実施例66
ピラゾール-3-カルボン酸(5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-3-イル)アミド
トリフルオロ酢酸:CHCl(1:5、5mL)に3-[(ピラゾール-3-カルボニル)アミノ]-7,8-ジヒドロ-5H-[1,6]ナフチリジン-6-カルボン酸tert-ブチルエステル(82mg、0.239mmol;実施例35を参照)が入った溶液を、室温で45分攪拌し、濃縮した。残留物をEtOAc(20mL)、及びNaCO(2M、10mL)、NaOH(4M、1mL)及びNaCl(飽和水溶液、5mL)の混合物で処理した。相分離させ、水相をEtOAc(4x5mL)で抽出した。組合せた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残留物をMeOHから結晶化させたところ、白色の固形物として表題の化合物(13mg、22%)が得られた。
MS(M+H)m/z 244
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.47(br.s,1H)、10.17(s,1H)、8.66(d,1H)、7.88-7.84(m,2H)、6.79(d,1H)、3.83(s,2H)、3.00(t,2H)、2.71(t,2H)。
【0140】
実施例67
ピラゾール-3-カルボン酸(6-ヒドロキシキノリン-3-イル)アミド
密封したバイアルにおいて、ピラゾール-3-カルボン酸(6-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3-イル)アミド(66mg、0.26mmol;実施例31を参照)、メシチレン(4mL)及びパラジウム-活性炭(10% Pd、90mg)の混合物を、アルゴン下、200℃で1時間加熱した。室温まで冷却した後、MeOH(20mL)を添加し、混合物をセライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を濃縮し、残留物をMeOHから結晶化させたところ、オフホワイト色の固形物として表題の化合物(13mg、21%)が得られた。
MS(M+H)m/z 255
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.47(s,1H)、10.43(s,1H)、9.95(s,1H)、9.95(d,1H)、8.58(d,1H)、7.92(d,1H)、7.77(d,1H)、7.17(dd,1H)、7.05(d,1H)、6.80(d,1H)。
【0141】
実施例68
4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸キノリン-3-イルアミド
(a)4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル
副題の化合物を、文献の手順(R.Storerら, Nucleosides & Nucleotides 18,203(1999)に従い、ピラゾール-3-カルボン酸エチルエステルから調製した。副題の化合物と未反応の出発物質の混合物(〜2:1)を得、さらなる精製をすることなく使用した。
【0142】
(b)4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸
水性NaOH(2M、18mmol、9mL)を、ジオキサン(9mL)に、4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸エチルエステルとピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(1.2g、〜8mmol;上の工程(a)を参照)の混合物(〜2:1)が入った溶液に、室温で添加し、16時間攪拌した。水性NaOH(2M、18mmol、9mL)の第二部分を添加し、混合物をさらに4時間混合した。混合物を水性HCl(2M、20mL)で酸性化し、濃縮し、MeOH(30mL)と共に攪拌して濾過した。濾液を濃縮し、残留物を水性HCl(0.01M)で結晶化させたところ、白色の固形物として、副題の化合物とピラゾール-3-カルボン酸の混合物(〜3:1)が得られた(収率:267mg(〜2mmol、〜25%))。この混合物をさらなる精製をすることなく使用した。
H NMR(DMSO-d)δ13.7-13.1(br s,1.3H)、7.9-7.7(m,1H)、7.73(d,0.3H)、6.70(d,0.3H)。
【0143】
(c)4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸キノリン-3-イルアミド
TBTU(242mg、0.75mmol)を、乾燥DMF(2mL)に、4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸とピラゾール-3-カルボン酸(85mg、0.69mmol;上の工程(b)を参照)の混合物(〜3:1)、3-アミノキノリン(128mg、0.89mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(239μL、1.37mmol)が入った溶液に添加した。混合物を室温で3日間、85℃で18時間攪拌した。付加的な量のTBTU(36mg、0.10mmol)を添加し、混合物を85℃でさらに18時間、室温で5時間攪拌した。水(10mL)を添加し、混合物をEtOAc(3x10mL)で抽出した。組合せた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(勾配:ヘプタンないしEtOAc:トリエチルアミン(49:1))で精製したところ、黄色の固形物として表題の化合物とピラゾール-3-カルボン酸キノリン-3-イルアミドの混合物(〜10:1、77mg、〜44%)が得られた。
MS(M+H)m/z 257
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.50(s,1H)、10.59(s,1H)、9.15(d,1H)、8.80(d,1H)、8.09-8.03(m,1H)、7.94(m,2H)、7.62(ddd,1H)、7.57(ddd,1H)。
【0144】
実施例69
ピラゾール-3-カルボン酸[1,6]ナフチリジン-3-イルアミド
(a)3-[(ピラゾール-3-カルボニル)アミノ]-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-6-イウムトリフルオロアセタート
CHCl(30mL)に、3-[(ピラゾール-3-カルボニル)アミノ]-7,8-ジヒドロ-5H-[1,6]ナフチリジン-6-カルボン酸tert-ブチルエステル(270mg、0.786mmol;実施例36を参照)とトリフルオロ酢酸(5.5mL)が入った溶液を、室温で1時間攪拌し、濃縮した。残留物をアセトニトリル:ジエチルエーテルから結晶化させたところ、ライトブラウン色の固形物として副題の化合物(147mg、52%)が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.54(s,1H)、10.39(s,1H)、9.25(s,2H)、8.79(d,1H)、8.14(d,1H)、7.88(d,1H)、6.80(s,1H)、4.34(s,2H)、3.48(br.s,2H)、3.04(t,2H)。
【0145】
(b)ピラゾール-3-カルボン酸[1,6]ナフチリジン-3-イルアミド
密封バイアルにおいて、3-[(ピラゾール-3-カルボニル)アミノ]-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,6]ナフチリジン-6-イウムトリフルオロアセタート(141mg、0.39mmol)、ピリジン(63μL)、メシチレン(3mL)及びパラジウム-活性炭(10% Pd、141mg)の混合物を、アルゴン下、200℃で50分加熱した。室温まで冷却した後、MeOH(20mL)を添加し、混合物をセライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘプタン)で精製したところ、黄色の固形物として表題の生成物(8mg、8%)が得られた。
MS(M+H)m/z 240
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.54(s,1H)、10.78(s,1H)、9.43(s,1H)、9.03(s,1H)、8.64(d,1H)、8.24(m,1H)、7.94(s,1H)、7.83(d,1H)、6.85(s,1H)。
【0146】
実施例70
4-メチルピラゾール-3-カルボン酸(2,3-(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル)アミド
(a)4-メチルピラゾール-3-カルボン酸
4-メチル-5-トリメチルシリルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(実施例62(a))(3.30g、14.6mmol)、NaOH(1Mの水溶液、73mL、73mmol)及びEtOH(100mL)の混合物を、還流にて18時間加熱した。混合物をHCl(1Mの水溶液、80mL)で酸性化し、濃縮した。残留物をEtOAc(3x100mL)で抽出し、組合せた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮したところ、定量的収率(1.90g)で副題の生成物が得られた。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.00(広範囲s,2H)、7.50(s,1H)、2.19(s,3H)。
【0147】
(b)4-メチルピラゾール-3-カルボン酸(2,3-(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル)アミド
EDCI(1.71g、8.90mmol)とDMAP(1.09g、8.90mmol)をドライCHCl(20mL)に、アルゴン下で溶解させた。2,3-(ジフルオロメチレンジオキシ)アニリン(1.55g、8.90mmol)、続いてDMF:CHCl(1:1、10mL)に4-メチルピラゾール-3-カルボン酸(750mg、5.95mmol)が入った溶液を添加し、混合物を還流にて18時間加熱した。混合物を乾固近くまで濃縮した。EtOAc(50mL)を添加し、有機相を収集し、CaCl(飽和水溶液、2x20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。生成物をヘプタン(30mL)の添加により沈殿させた。収率:白色の固形物で500mg(30%)。
H NMR(DMSO-d、400MHz)δ13.20(1H,s)、9.99(1H,s)、7.69(1H,s)、7.38(1H,dd)、7.21-7.16(2H,m)、2.25(3H,s)。
【0148】
実施例71
実施例の表題の化合物を、上述した生物学的試験で試験したところ、10μM以下のIC50を示すことが見出された。例えば、次の実施例の代表的化合物は、次のIC50値を示した:
実施例2: 330nM
実施例3: 843nM
実施例4: 72nM
実施例5: 970nM
実施例7: 420nM
実施例48:211nM
実施例56: 76nM
実施例59:465nM
実施例60:390nM
実施例63:682nM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式I:
【化1】

[上式中:
は、二環式の複素環基を表し、該基はBから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、また:
(a)窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子;
(b)5員又は6員の芳香環で、後者の必須-N(R)-基を介して式Iの化合物の残りの部分に結合する環;及び
(c)5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8員の非芳香環で、互いに隣接しており、双方の環に共通している2個の原子を介して他の環に結合している環;
を含み;
はH又はC1−6アルキルを表し、後者の基は一又は複数のハロ基で置換されていてもよく;
は、-OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル(後者の基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)、-OR3x、-N(R3a)R3b、-C(O)R3c、-C(O)OR3d、-C(O)N(R3e)R3f、-N(R3g)C(O)R3h、-N(R3i)C(O)N(R3j)R3k、-N(R3m)S(O)4a、-S(O)4b、-OS(O)4c、-S(O)N(R3n)R3pを表すか、性質が芳香族性の環に結合していない場合は=Oを表し;
及びRは独立して、H、ハロ、シアノ、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ(該アルコキシ基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)又は-N(R3q)R3rを表し;
3aないしR3r及びR4bは独立して、H又はC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;
4a、R4c及びR3xは独立して、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;又は
3a、R3b、R3eないしR3r及びR4aの任意の対は、例えば同じ又は隣接する原子に存在する場合、共同して結合し、それらと共に又は他の関連する原子と共に、さらに1〜3のヘテロ原子及び/又は1〜3の不飽和を有していてもよい3員ないし8員環を形成してもよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;又は
が、互いに隣接する2つの-OR3x基により置換される場合、これらの基は連結して、それらが結合している酸素原子と共に、さらに1のヘテロ原子及び1の不飽和を有していてもよい5員又は6員環を形成してよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;及び
pは0、1又は2を表す]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩で、
但し、R及びRが双方ともHを表し:
(A)RがHを表す場合、Rはベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル基を表さず;
(B)Rがクロロを表す場合、Rはベンゾチアゾール-2-イル基を表さず;
(C)Rがヨードを表す場合、Rはベンゾチアゾール-2-イル、6-メトキシベンゾチアゾール-2-イル、又は1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル基を表さず;
(D)Rがブロモを表す場合、Rは5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-カルボン酸エチルエステル基を表さず;
(E)Rがトリフルオロメチルを表す場合、Rは2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル基を表さず;
(F)Rがヨードを表す場合、Rは2-チオール-4-オキソ-4H-キナゾリン-3イル基を表さない化合物。
【請求項2】
薬剤として使用される、次の式I:
【化2】

[上式中:
は、二環式の複素環基を表し、該基はBから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、また:
(a)窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子;
(2)5員又は6員の芳香環で、後者の必須-N(R)-基を介して式Iの化合物の残りの部分に結合する環;及び
(3)5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8員の非芳香環で、互いに隣接しており、双方の環に共通している2個の原子を介して他方に結合している環;
を含み;
はH又はC1−6アルキルを表し、後者の基は一又は複数のハロ基で置換されていてもよく;
は、-OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル(後者の基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)、-OR3x、-N(R3a)R3b、-C(O)R3c、-C(O)OR3d、-C(O)N(R3e)R3f、-N(R3g)C(O)R3h、-N(R3i)C(O)N(R3j)R3k、-N(R3m)S(O)4a、-S(O)4b、-OS(O)4c、-S(O)N(R3n)R3pを表すか、性質が芳香族性の環に結合していない場合は=Oを表し;
及びRは独立して、H、ハロ、シアノ、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ(該アルコキシ基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)又は-N(R3q)R3rを表し;
3aないしR3r及びR4bは独立して、H又はC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;
4a、R4c及びR3xは独立して、C1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表し;又は
3a、R3b、R3eないしR3r及びR4aの任意の対は、例えば同じ又は隣接する原子に存在する場合、共同して結合し、それらと共に又は他の関連する原子と共に、さらに1〜3のヘテロ原子及び/又は1〜3の不飽和を有していてもよい3員ないし8員環を形成してもよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;又は
が、互いに隣接する2つの-OR3x基により置換される場合、これらの基は連結して、それらが結合している酸素原子と共に、さらに1のヘテロ原子及び1の不飽和を有していてもよい5員又は6員環を形成してよく、ここで該環はそれ自身、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の置換基により置換されていてもよく;及び
pは0、1又は2を表す]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩で、但し、
がトリフルオロメチルを表し、R及びRが双方ともHを表す場合、Rは2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イルを表さない化合物。
【請求項3】
4bがC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が互いに隣接する2つの-OR3x基で置換されている場合、R3x基の適切な対が、請求項1に記載されたように連結していない、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
-N(R)-に結合している5員又は6員の芳香環が、1のヘテロ原子を有するか、もしくはヘテロ原子を有さない、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
-N(R)-に結合している5員又は6員の芳香環が、フェニル、ピリジル又はチエニルである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
他の必須の芳香環に結合している5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8の非芳香環が、3未満のヘテロ原子を有している、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
5員又は6員の芳香環、又は4員ないし8の非芳香環が、イソチアゾリル、シクロペンチル、テトラヒドロチオピラニル、ノルボルナニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピラジニル、イミダゾリル、シクロヘプチル、ピリジル、フェニル、ピロリル、ピリダジニル、シクロヘキシル、チアゾリル、ピラゾリル、ジオキソラニル又はジオキサニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
環が、ピリジル、フェニル、ピロリル、ピリダジニル、シクロヘキシル、チアゾリル、ピラゾリル、1,3-ジオキソラニル、又は1,4-ジオキサニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、ベンゾチアジアゾリル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロシクロペンタピリジル、テトラヒドロチオピラノピリジル、アザトリシクロウンデカトリエニル、テトラヒドロナフチリジニル、ジヒドロピラノピリジル、キノキサリニル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロシクロヘプタピリジル、ジヒドロチエノピリジル、テトラヒドロシクロヘプタチエニル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、シンノリニル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、又はインダゾリルを表す、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、シンノリニル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、又はインダゾリルを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
基における任意の置換基が、C1−3アルコキシ、=O、-OH、-SH、-C(O)R3cで、R3cがC1−3アルキルを表すもの、2の隣接する-OR3x基で、互いに連結して5員又は6員環を形成するもの、ハロ、C1−4アルキル(一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)、R3dがC1−4アルキルを表すC(O)OR3d、及びシアノから選択される、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
任意の置換基が、ハロ、C1−3アルキル(一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)、R3dがC1−3アルキルを表すC(O)OR3d、及びシアノから選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
がHを表す、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
及びRが独立して、ハロ、H、又はC1−3アルキルを表す、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
及びRが独立して、H又はC1−3アルキルを表す、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項2、又は3ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤。
【請求項18】
但し書きを含まない、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の、リポキシゲナーゼの活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患を治療する医薬の製造のための使用。
【請求項19】
リポキシゲナーゼが15-リポキシゲナーゼである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
疾患が炎症であり、及び/又は炎症要素を有する、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
炎症性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、又は他の悪性腫瘍である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
リポキシゲナーゼの活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患の治療方法において、但し書きを含まない、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を、そのような症状を患っている、又は罹りやすい患者に投与することを含む方法。
【請求項23】
(A)但し書きを含まない、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩;及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤、
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品。
【請求項24】
但し書きを含まない、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含有する薬学的製剤を含む、請求項23に記載の組合せ品。
【請求項25】
(a)但し書きを含まない、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含有する薬学的製剤;及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含有する薬学的製剤、
の成分を含むパーツのキットを含み、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキットを含む、請求項23に記載の組合せ品。
【請求項26】
(i)Rが請求項1に記載したように置換されていてもよいC1−6アルキル又はハロを表す式Iの化合物に対しては、Rが水素を表す式Iの対応化合物を、適切な塩基と反応させ、続いて:
(a)Rが置換されていてもよいC1−6アルキル基を表す式Iの化合物に対しては、次の式II:
1a II
[上式中、RはC1−6アルキル(該アルキル基は、一又は複数のハロ又はC1−6アルコキシ基(該アルコキシ基はそれ自体、一又は複数のハロ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)を表し、L1aは適切な脱離基を表す]
の化合物;又は
(b)Rがハロを表す式Iの化合物に対しては、ハロゲン化物イオン源を提供する化合物、
を用いて急冷し;
(ii)次の式III:
【化3】

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物、又はそのN-保護及び/又はO-保護誘導体を、次の式IV:
HN(R)(R) IV
[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させ;
(iii)次の式V:
【化4】

[上式中、R、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物、又はそのN-保護誘導体を、次の式VI:
-L VI
[上式中、Lは適切な脱離基を表し、Rは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させ;
(vi)Rが水素を表し、Rが請求項1に記載した通りである式Iの化合物に対しては、次の式VII:
【化5】

[上式中、Rは独立して、C1−6アルキル基又はアリール基を表し、R、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物を、シリル基を除去するための適切な試薬と反応させ;
(v)次の式VIII:
【化6】

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物を、上述した式IVの化合物と反応させ;
(vi)R及びRの一方が置換されていてもよいC1−6アルキル基を表し、他方がHを表す式Iの化合物に対しては、R又はRの一方がブロモ又はヨードを表し、他方がH(適切であるならば)を表す対応化合物を、適切なオルガノリチウム塩基と反応させ、続いて、上述した式IIの化合物を用いて急冷し;
(vii)R及び/又はRがC1−6アルコキシ(請求項1に記載したように置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、関連置換基、R及び/又はR(適切であるならば)の代わりに、ヒドロキシ基が存在する式Iの化合物に対応する化合物を、RがC1−6アルキル(一又は複数のハロ置換基で置換されていてもよい)を表す、上述した式IIの化合物、又は(R及び/又はRにメトキシ基を導入するために)ジアゾメタンと反応させ;
(viii)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、R3q又はR3rの一方がHを表し、他方がメチル又はC2−6アルキル(後者の基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NHを表す式Iの対応化合物を、次の式IX:
3sC(O)H IX
[上式中、R3sはH又はC1−5アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)を表す]
の化合物と反応させ;
(ix)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、少なくとも一のR3q及びR3rがC1−6アルキル(請求項1に記載したように置換されていてもよい)を表し、他方がH又はC1−6アルキル(請求項1に記載したように置換されていてもよい)を表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NH(適切であるならば)を表す式Iの対応化合物を、Rが一又は複数のハロ置換基で置換されていてもよいC1−6アルキルを表す式IIの化合物と反応させ;
(x)R及び/又はRが-N(R3q)R3rを表し、R3q及びR3rが共に連結して3員ないし8員環を形成する式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが-NH(適切であるならば)を表す式Iの対応化合物を、次の式IXA:
1a−Z−L1a IXA
[上式中、ZはC2−7アルキレン鎖(該アルキレン鎖は1〜3のヘテロ原子及び/又は1〜3の不飽和を有していてもよく、ハロ及びC1−6アルキル(該アルキル基は一又は複数のハロ原子で置換されていてもよい)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよい)を表し、L1aは上述したものである]
の化合物と反応させ;
(xi)R及び/又はRがシアノ又は1-アルキニルを表す式Iの化合物に対しては、R及び/又はRが(適切であるならば)ハロを表す式Iの対応化合物を、シアノ基の導入のためにはシアノアニオン源である化合物と、又は1-アルキニル基の導入のためには1-アルキンと反応させ;又は
(xii)RがHを表す式Iの化合物に対しては、次の式IXB:
【化7】

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護誘導体を、適切な塩基と反応させ、続いて式IXC:
−N=C=O IXC
[上式中、Rは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させ、続いて適切なプロトン供給源で急冷する;
ことを含む、請求項1に記載の式Iの化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−513426(P2008−513426A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531830(P2007−531830)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003580
【国際公開番号】WO2006/032851
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507090719)バイオリポックス エービー (2)
【Fターム(参考)】