説明

炎症性プロセスの治療におけるキナゾリンチロシンキナーゼ阻害剤の使用

本発明は、気道又は肺の疾患、さらに炎症性疾患の予防又は治療のための薬剤の製造における、キナゾリン、その互変異性体、立体異性体及び塩、特に無機又は有機の酸又は塩基とのこれらの生理学的に適合できる塩の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は以下のものからなる群より選ばれるキナゾリン、これらの互変異性体、立体異性体及び塩、特に無機又は有機の酸又は塩基によるこれらの生理学的に容認できる塩の使用であって、粘液の生成を増加又は変化させることを伴う気道及び肺の疾患、例えば急性気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息、気管支拡張症、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎、嚢胞性線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、又は咳、肺気腫、肺線維症又は過反応性気道のような気道の炎症性疾患の予防及び治療用医薬組成物を調製するための使用に関するものである:
(1) 4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(2) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(3) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N,N-ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(4) 4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{[4-(5,5-ジメチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-キナゾリン、
(5) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(6) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(7) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-6-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(8) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{2-[4-(2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ピペリジン-1-イル]-エトキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(9) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(10) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-アセチル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(11) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-メチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(12) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[trans-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(13) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-ジメチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(14) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-{N-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(15) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-3-メチル-イミダゾリジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(16) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-ヘキサヒドロピリミジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(17) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(18) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン及び
(19) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-シアノ-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン。
【0002】
また、前記化合物は、例えば消化管における胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び潰瘍又はポリポーシスのような急性又は慢性炎症性変化において見られるような又は分泌物の増加に関連した消化管の疾患(例えば、メネトリエ病、分泌性アデノーマ及びタンパク質喪失症候群)において生じ得るようなチロシンキナーゼの分裂活性に関連した消化管又は胆管及び胆嚢の炎症性疾患の治療、
及び関節の炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチ)、眼、皮膚の炎症性疾患、炎症性偽ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎又は腸壁嚢胞状気腫の治療にも適している。
好ましい適用分野は呼吸器官又は腸管の炎症性疾患(例えば、慢性気管支炎(COPD)、慢性副鼻腔炎、喘息、クローン病、潰瘍性大腸炎又は腸管のポリポーシス)である。
特に好ましい適用分野は慢性気管支炎(COPD)又は喘息のような気道又は肺の炎症性疾患である。
本発明は、さらに粘液の生成を増加又は変化させることを伴う気道及び肺の疾患、例えば急性気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息、気管支拡張症、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎、嚢胞性線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、又は咳、肺気腫、肺線維症及び過反応性気道のような気道の炎症性疾患を治療する方法、
例えば、消化管における胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎及び潰瘍又はポリポーシスのような急性又は慢性炎症性変化において見られるような又は分泌物の増加に関連した消化管の疾患(例えば、メネトリエ病、分泌性アデノーマ及びタンパク質喪失症候群)において生じ得るようなチロシンキナーゼの分裂活性に関連した消化管又は胆管及び胆嚢の炎症性疾患を治療する方法、
及び関節の炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチ)、眼、皮膚の炎症性疾患、炎症性偽ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎又は腸壁嚢胞状気腫を治療する方法に関するものであり、
有効量の1種以上の上記化合物(1)〜(19)又は必要によりその生理学的に容認できる塩の1つを前記治療を必要とする患者に投与することを含む。
【0003】
本発明の方法において、上記化合物は、体重1kg当たり0.001〜10mg、例えば0.5〜7.0mg、好ましくは0.01〜1.5mgの投与量で使用され、便宜上1日につき1〜3回投与される。
有効成分は、直腸又は局所的に、吸入のための噴霧によって、経口、頬側又は非経口経路によって投与されてもよい。それらは、皮下、静脈内及び筋肉内の注射及び注入技術によって非経口的に投与されてもよい。
有効成分に関して上記の製剤のような、従来の製剤はそれらを投与するために使用してもよい。プレーン又は被覆錠剤、カプセル、散剤、懸濁剤又は坐剤のような従来のガレヌス製剤を製造するために、例えば、必要に応じて他の有効成分、1つ以上の従来の不活性担体及び/又は希釈剤、例えばコーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセリン、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は固い脂肪又は適したそれらの混合物のような脂肪物質と共に、有効成分を製剤化してもよい。
有効成分は種々の異なる剤形で経口により与えられてもよく、すなわち、それらは種々の薬剤的に容認できる不活性担体とともに調製されて錠剤、カプセル、菱形の錠剤(pastilles)、トローチ剤(lozenges)、菓子、散剤、スプレー、水性懸濁液、エリキシル剤、シロップなどを生成してもよい。前記担体としては、固体の希釈剤又は賦形剤、無菌の水性媒体及び種々の非毒性有機溶剤が挙げられる。さらに、この種の経口医薬製剤は、適切に加糖され、又は味付けされてもよく、この目的のために従来から使用される種々の物質を使用してもよい。一般に、有効成分は、全組成物に対して、約0.5〜約90重量%の範囲の濃度で、所望の投与量単位を生成するのに十分な量で、この種の経口製剤中に存在する。有効成分のための他の適した剤形としては、徐放製剤及びデバイスが挙げられ、当業者はこれに精通している。
【0004】
非経口投与のために、有効成分のごま油又は落花生油溶液又はプロピレングリコール水溶液及び対応する薬剤的に容認できる塩の無菌水溶液を使用してもよい。この種類の水溶液は必要に応じて適した緩衝剤で処理されなければならず、希釈液は必要に応じて十分な塩又はグルコースによって等張性にされてもよい。これらの特定の水溶液は、特に静脈内、筋肉内、皮下注射に適している。この文脈において、使用される無菌水性媒体は、当業者によく知られた従来法によって容易に得ることができる。例えば、蒸留水は希釈液として通常使われ、最終製剤は適した細菌濾過器、例えば焼結ガラス、珪藻土又は素焼き磁器でできている濾過器に通される。このタイプの好ましい濾過器としては、ベルケフェルト、シャンベルラン及びアスベストディスク金属ザイツ濾過器が挙げられ、液体は吸引ポンプを用いて無菌容器に吸い込まれる。これらの注射可能な溶液を調製する全プロセスを通して、必要な工程は、無菌状態で最終生成物を得るためのような方法で常に行われなければならない。経皮投与のために、特定の化合物の製剤としては、例えば溶液、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、坐薬、長期にわたって放出速度が制限された製剤及びその製剤のためのデバイスが挙げられる。これらの製剤は、特定の化合物を含み、エタノール、水、浸透促進剤(penetration promoters)及び不活性担体、例えばゲル形成材料、鉱油、乳化剤、ベンジルアルコールなどを含んでもよい。
前記物質は、ラクトース及び他の賦形剤によって粉末製剤の形で、又はエアゾールとして水溶液の形で吸入によって投与されてもよい。
【0005】
本発明に従って使用されてもよい吸入可能な散剤は、有効成分又は有効成分の組合せを、そのままで、又は適した生理学的に容認できる賦形剤と混合して含んでもよい。有効成分又は有効成分の組合せは、生理学的に容認できる賦形剤との混合物中に含まれる場合、以下の生理学的に容認できる賦形剤を使用して本発明のこれらの吸入可能な散剤を調製してもよい:単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ及び多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の混合物。好ましくは、単又は二糖類が使用され、ラクトース又はグルコースの使用が好ましく、特にこれらの水和物の形態が好ましいが、これに限定されるものではない。本発明の目的のために、ラクトースは特に好ましい賦形剤であり、ラクトースの一水和物は最も特に好ましい。
本発明に従って使用され得る噴霧剤ガスを含む吸入エアゾールは、噴霧剤ガスに溶解した又は分散した形態で有効成分又は有効成分の組合せを含んでもよい。本発明の吸入エアゾールを調製するために使用してもよい噴霧剤ガスは従来技術から知られている。適した噴霧剤ガスは、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタンのような炭化水素及び好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ化誘導体のようなハロ炭化水素の中から選ばれる。上述の噴霧剤ガスは、それ自体で、又はそれらの混合物で使用してもよい。特に好ましい噴霧剤ガスは、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選ばれるフッ化アルカン誘導体である。
【0006】
また、本発明に従って使用され得る噴霧剤誘導吸入エアゾールは、共溶媒、安定化剤、界面活性剤(サーファクタント)、酸化防止剤、潤滑剤及びpH調整剤のような他の成分を含んでもよい。すべてのこれらの成分は技術的に公知である。
本発明の有効成分又は有効成分の組合せが噴霧剤を含まない溶液又は懸濁液の形態で吸入によって投与される場合、水性又はアルコール性、特にエタノール性(ethanolic)溶液を溶媒として使用してもよい。溶媒は、水のみ又は水とエタノールの混合物であってもよい。エタノールの水に対する組成比は制限されないが、最大限度は70容量%、さらに特に60容量%、最も好ましくは30容量%までである。容量の残りは水である。有効成分又は有効成分の組合せを含む溶液又は懸濁液は必要に応じて2〜7、好ましくは2〜5のpHに適した酸を用いて調整される。pHは無機又は有機酸から選ばれる酸を用いて調整してもよい。特に適した無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸などが挙げられる。特に適した有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸などが挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。有機酸の中でも、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望の場合には、上記の酸の混合物を使用してもよく、特にその酸性化特性に加えて、例えば調味料(flavourings)、酸化防止剤又は錯化剤(例えば、クエン酸又はアスコルビン酸)のような他の特性を有する酸の場合に使用してもよい。本発明によれば、pHを調整するために塩酸を使用することは好ましい。
【0007】
すでに前述したように、一般式(I)の化合物及びその塩は有用な特性、特に抗炎症作用を有する。
例えば、化合物A〜Eを以下のとおりに試験してその抗炎症作用を調べた。
A=4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン、
B=4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N,N-ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
C=4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
D=4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン及び
E=4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-6-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン
【0008】
試験1:肺組織における煙によって誘発された顆粒球の蓄積の抑制
肺適応:タバコの煙によって誘発された、好中球の肺組織への流入のEGF受容体キナーゼ阻害剤4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン(化合物A)による抑制。
方法:
250〜300gの重さがある雄のラット(系統:スピローグ-ドーリー)を1日につき8本のタバコからの煙に5日間曝露した。イソフルランで麻酔された、化合物Aで処置されたグループの動物に、煙への曝露の開始30分前に、毎日、0.05mlの容量で、0.03又は0.1mg/kgの化合物Aの気管内服用量を与えた。試験の最終日に、煙への最後の曝露の4時間後に動物を殺し、肺組織を取り出した。70〜200mgのサンプルを各肺から採取し、1mlの0.5%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムで調製された試験管に入れた。サンプルをUltraturraxを用いて15秒間均質化した。均質化されたサンプルを周囲温度で5分間エッペンドルフベンチ遠心分離機で15700gで遠心分離した。50mlの上澄みを取り出して、0.197mg/mlのO-ジアニシジン二塩酸塩を含む250mlのリン酸緩衝液(50mmol/l)と混合した。周囲温度で10分のインキュベーション後、吸収を450nmの波長で分光光度計で測定した。
MPO活性を50%阻害する投薬量(=ID50)を直線回帰によって測定した。
結果:
ラットにおけるたばこの煙への曝露は好中球の肺組織への流入をもたらした(組織におけるミエロペルオキシダーゼ(好中球に特有である)の含有量によって測定される)。EGFRキナーゼ阻害剤Aによる動物の気管内の処置は、煙によって誘導された顆粒球の蓄積の有意な(p<0.005)阻害を生じ、したがって抗炎症性作用を生じた。
さらなる結果を下記表に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物、これらの互変異性体、立体異性体及び塩、特に無機又は有機の酸又は塩基とのこれらの生理学的に容認できる塩からなる群より選ばれるキナゾリンの使用であって、
粘液の生成を増加又は変化させることを伴う気道及び肺の疾患、
チロシンキナーゼの分裂活性に関連した消化管又は胆管又は胆嚢の炎症性疾患、
関節の炎症性疾患、眼、皮膚の炎症性疾患、炎症性偽ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎又は腸壁嚢胞状気腫の予防及び治療用医薬組成物を調製するための使用:
(1) 4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(2) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(3) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N,N-ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(4) 4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{[4-(5,5-ジメチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-キナゾリン、
(5) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(6) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(7) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-6-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(8) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{2-[4-(2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ピペリジン-1-イル]-エトキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(9) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(10) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-アセチル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(11) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-メチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(12) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[trans-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(13) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-ジメチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(14) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-{N-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(15) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-3-メチル-イミダゾリジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(16) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-ヘキサヒドロピリミジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(17) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(18) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン及び
(19) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-シアノ-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン。
【請求項2】
上及び下呼吸器官又は腸の治療のための、請求項1記載の使用。
【請求項3】
疾患がCOPD、慢性副鼻腔炎、喘息、嚢胞性線維症、クローン病、潰瘍性大腸炎又は腸のポリポーシスである、請求項2記載の使用。
【請求項4】
疾患がCOPD、喘息又は嚢胞性線維症である、請求項3記載の使用。
【請求項5】
粘液の生成を増加又は変化させることを伴う気道及び肺の疾患、
チロシンキナーゼの分裂活性に関連した消化管又は胆管又は胆嚢の炎症性疾患、
関節の炎症性疾患、眼、皮膚の炎症性疾患、炎症性偽ポリープ、深在性嚢胞性大腸炎又は腸壁嚢胞状気腫の治療方法であって、以下の化合物、これらの互変異性体、立体異性体及び塩、特に無機又は有機の酸又は塩基とのこれらの生理学的に容認できる塩からなる群より選ばれる有効量のキナゾリンを前記治療を必要とする患者に投与することを含む治療方法:
(1) 4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(2) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(3) 4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N,N-ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(4) 4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{[4-(5,5-ジメチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-キナゾリン、
(5) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(6) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(7) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-6-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(8) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{2-[4-(2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ピペリジン-1-イル]-エトキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(9) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(10) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[cis-4-(N-アセチル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(11) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-メチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(12) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[trans-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、
(13) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-ジメチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(14) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(trans-4-{N-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、
(15) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-3-メチル-イミダゾリジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(16) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソ-ヘキサヒドロピリミジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、
(17) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(18) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン及び
(19) 4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-シアノ-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン。
【請求項6】
上及び下呼吸器官又は腸の治療である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
疾患がCOPD、慢性副鼻腔炎、喘息、嚢胞性線維症、クローン病、潰瘍性大腸炎又は腸のポリポーシスである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
疾患がCOPD、喘息又は嚢胞性線維症である、請求項7記載の方法。

【公表番号】特表2007−500156(P2007−500156A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521478(P2006−521478)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008185
【国際公開番号】WO2005/011701
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】