説明

炎症性疾患および癌の処置のためのチエノピリミジノン

本発明は、式(1)の化合物:


を提供し、式(1)において、Q、QおよびQのうちの1つはSであり、そしてQ、QおよびQのうちの他の2つは-CR-であり、これらの化合物は、PI3K−δのインヒビターである。これらの化合物は、PI3K−δにより媒介される状態(例えば、造血癌、免疫障害、および骨吸収障害)の処置のために有用である。本発明は、式(1)の化合物を含有する薬学的組成物、ならびにPI3K−δにより媒介される状態を処置するためにこれらの化合物および組成物を使用する方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、PI3Kδの選択的インヒビターであり、そして造血細胞の異常な増殖に関連する状態、および炎症により特徴付けられる種々の状態を処置および/または予防するために有用な、新規化合物に関する。より特定すると、本発明は、特定の癌(特に、白血病などの血液の癌)、ならびに種々の炎症性障害および免疫障害(慢性関節リウマチおよび喘息が挙げられる)を処置および/または予防するための、組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
3’−リン酸化ホスホイノシチドを介してシグナル伝達する細胞は、種々の細胞プロセス(例えば、悪性形質転換、増殖因子シグナル伝達、炎症、および免疫)に関与している(概説について、非特許文献1を参照のこと)。これらのリン酸化シグナル伝達産物の生成を担う酵素であるホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI 3−キナーゼ;PI3K)は、もともと、ウイルス性癌タンパク質および増殖因子レセプターチロシンキナーゼに関連する活性として同定されていた。チロシンキナーゼは、ホスファチジルイノシトール(PI)およびそのリン酸化誘導体を、イノシトール環の3’−ヒドロキシルにおいてリン酸化する(非特許文献2)。
【0003】
現在、3つのクラスのPI3−キナーゼ(PI3K)酵素が、これらの基質特異性に基づいて区別されている。クラスIのPI3Kは、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトール4−リン酸、およびホスファチジルイノシトール4,5−二リン酸(PIP2)をリン酸化して、それぞれホスファチジルイノシトール3−リン酸(PIP)、ホスファチジルイノシトール3,4−二リン酸、およびホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸を生成し得る。クラスIIのPI3Kは、PIおよびホスファチジルイノシトール4−リン酸をリン酸化し、一方で、クラスIIIのPI3Kは、PIをリン酸化し得るのみである。
【0004】
PI3−キナーゼの最初の精製および分子クローニングは、PI3−キナーゼがp85およびp110サブユニットからなるヘテロ二量体であることを明らかにした(非特許文献3;非特許文献4)。それ以来、4つの異なるクラスI PI3Kが同定され、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、およびPI3Kδで表され、各々が、別々の110kDaの触媒サブユニットおよび調節サブユニットからなる。より具体的には、これらの触媒サブユニットのうちの3つ、すなわち、p110α、p110β、およびp110δは、各々、同じ調節サブユニットp85と相互作用し、一方で、p110γは、別の調節サブユニットp101と相互作用する。以下に記載されるように、ヒト細胞および組織におけるこれらのPI3Kの各々の発現パターンもまた異なる。
【0005】
PI3−キナーゼのp110δアイソフォームの同定は、Chantryら,J Biol Chem(1997)272:19236−19241に記載されている。ヒトp110δアイソフォームは、組織を制限された様式で発現されることが観察された。ヒトp110δアイソフォームは、リンパ球およびリンパ組織において高レベルで発現し、このタンパク質が、免疫系においてPI 3−キナーゼ媒介シグナル伝達において役割を果たし得ることを示唆する。p110δアイソフォームに関する詳細は、米国特許第5,858,753号;同第5,822,910号;および同第5,985,589号に見出され得る。VanhaesebroeckらProc Natl.Acad.Sci.USA(1997)94:4330−4335、および国際公開第97/46688号もまた参照のこと。
【0006】
PI3Kのデルタ(δ)アイソフォームは、主として、造血器官の細胞中で発現する。その結果、このアイソフォームの選択的インヒビターは、主として造血細胞に影響を与えると予測される。このような細胞は、血液の種々の機能の中心であり、その結果、これらの細胞は、炎症および免疫応答により特徴付けられる障害、ならびに血液および心血管系の障害に決定的に関与する。従って、選択的インヒビターは、PI3Kの他のアイソフォームにより媒介される他の系およびプロセスに対する影響は最小にして、このような障害の処置のために有用であると予測される。実際に、PI3Kδの選択的インヒビターは、動物モデルにおいて、気道のアレルギー性炎症を減少させ、そして喘息の動物モデルにおいて、過剰な反応性を減少させることが実証された。非特許文献5。選択的PI3Kδインヒビターはまた、正常な造血細胞の増殖には影響を与えずに、急性骨髄性白血病(AML)における異常な白血球の増殖を阻害することが示されている。非特許文献6。従って、他のアイソフォーム(具体的には、αアイソフォーム、βアイソフォームおよびγアイソフォーム)より高いδアイソフォームの選択性は、正常な造血細胞の機能および/または増殖を防止せずに、増殖細胞の過剰な蓄積、活性および酸性に関連する障害を処置するために有用な化合物を提供するための、重要な局面である。
【0007】
PI3Kδの選択的インヒビターは、例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3;および特許文献4、ならびに特許文献5および特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,518,277号明細書
【特許文献2】米国特許第6,667,300号明細書
【特許文献3】米国特許第6,949,535号明細書
【特許文献4】米国特許第6,800,620号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0106038号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/113554号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ramehら,J.Biol.Chem.(1999)274:8347−8350
【非特許文献2】Panayotouら,Trends Cell Biol.(1992)2:358−360
【非特許文献3】Otsuら,Cell(1991)65:91−104
【非特許文献4】Hilesら,Cell(1992)70:419−429
【非特許文献5】Lee,K.S.ら,FASEB Journal(2006)20:455−465
【非特許文献6】Sujobert,P.ら,Blood(2005)106:1063−1066
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
しかし、増殖性障害(例えば、癌)、ならびに過剰免疫反応または破壊的免疫反応(例えば、喘息、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、および狼瘡)を処置するために有用なさらなる治療剤が、なお必要とされている。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、PI3Kδの強力なインヒビターであり、そしてδアイソフォームに対する選択性が高く、そしてPI3Kの他のアイソフォームに対しては活性がかなり低い、新規化合物を提供する。これらの化合物は、造血細胞(特に、リンパ球および白血球)の過剰な活性、蓄積または産生に関連する障害(リンパ腫、白血病、および過剰免疫応答障害が挙げられるがこれらに限定されない)の処置のために有用である。
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、PI3Kδ活性を選択的または特異的に阻害し、従って、PI3Kδを発現する細胞の過剰な活性、蓄積または産生を被験体が経験する障害の処置のために治療的と予防的との両方で有用な、新規化合物を提供する。本発明は、血液学的悪性疾患、炎症、自己免疫障害、アレルギー性反応、および心血管疾患の処置のための化合物、薬学的組成物、ならびにこれらの化合物および組成物を投与する方法を包含する。この方法は、症状もしくは病理がPI3Kδの発現もしくは活性により媒介される任意の状態、またはPI3Kδを発現する細胞の過剰な産生、活性もしくは蓄積により特徴付けられる任意の状態に苦しむヒトまたは動物を処置する際に、使用され得る。本発明の組成物および方法は、血液学的癌(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、および多発性骨髄腫(MM));自己免疫障害(例えば、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、ギヤン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、グレーヴズ病、炎症性腸疾患(IBD:クローン病、潰瘍性大腸炎)、脈管炎、溶血性貧血、血小板減少症、乾癬、I型(インスリン依存性)糖尿病、および全身性エリテマトーデス(SLE));ならびに過剰な免疫系反応(例えば、喘息およびアレルギー性鼻炎)の処置のために特に有用である。
【0013】
本発明は、式(1)の化合物および式(1)の化合物を含有する薬学的組成物、ならびにこれらの化合物および組成物を使用する方法を提供する。本発明の化合物は、この式
【0014】
【化1】

を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩である。この式において、
、QおよびQのうちの1つはSであり、そしてQ、QおよびQのうちの他の2つは-CR-であり;
ここで各Rは独立して、H、ハロ、OR、NR、NROR、NRNR、SR、SOR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CF、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、もしくはNOであるか、
またはRは、C1〜C8アルキル基、C2〜C8ヘテロアルキル基、C2〜C8アルケニル基、C2〜C8ヘテロアルケニル基、C2〜C8アルキニル基、C2〜C8ヘテロアルキニル基、C1〜C8アシル基、C2〜C8ヘテロアシル基、C6〜C10アリール基、C5〜C12ヘテロアリール基、C7〜C12アリールアルキル基、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキル基からなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり得、
ここで各Rは独立して、HまたはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、もしくはC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して3員〜8員の環を形成し得、該環は、必要に応じて、1個または2個のN、OまたはSを環のメンバーとして含み;
そしてここで、H以外の各R基、および2つのR基が一緒に結合することにより形成された各環は、必要に応じて置換されており;
Zは結合であるか、またはO、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンであり、O、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンの各々は、2個までのC1〜C6アルキル基もしくはC2〜C6ヘテロアルキル基で必要に応じて置換されており、ここで該アルキル基もしくはへテロアルキル基のうちの2つは、必要に応じて環化して、O、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含む3員〜7員の環を形成し得;
は、3個までのRで各々が必要に応じて置換されている、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであるか、
あるいはRは、Zが結合ではない場合にはHであり得;
Lは、−C(R−、−C(R−C(R−、−C(R−NR−、および−C(R−S(O)−からなる群より選択され、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C2〜C6アルケニル、およびC2〜C6アルキニルから選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、そしてnは0〜2であり;
そして2つのRが、L上に存在する場合、環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含み得る3員〜7員の環を形成し得;
Hetは、単環式環系または二環式環系であり、該環系において、少なくとも2つの環原子はNであり、そして少なくとも1つの環は芳香族であり、そしてHetは、R、N(R、S(O)、OR、ハロ、CF、CN、NROR、NRN(R、SR、SOR、SO、SON(R、NRSO、NRCON(R、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CON(R、OOCR、COR、またはNOから選択される3個までの置換基で必要に応じて置換されており、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して、N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜8員の環を形成し得;
ここで各必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、ヘテロアシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル上の任意の置換基は、C1〜C4アルキル、ハロ、CF、CN、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOから選択され、
ここで各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜12アリールアルキル、またはC6〜12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々は、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1個以上の基で必要に応じて置換されており;
そしてここで、同じ原子上または隣接する原子上の2つのR’は、結合して、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜7員の環を形成し得;そして
pは0〜2である。
【0015】
本発明は、造血細胞の異常な増殖を処置および/または予防するための方法を提供し、この方法は、式(1)の化合物またはその薬学的組成物を投与することによって、造血細胞におけるホスホイノシチド3−キナーゼδ(PI3Kδ)活性を選択的に阻害する工程を包含する。1つの局面において、この方法は、造血細胞のPI3Kδ活性を阻害するために有効な、式(1)のPI3Kδの選択的インヒビターを投与する工程を包含する。別の局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、造血細胞におけるAktリン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、造血細胞においてFOXO3aリン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、造血細胞においてGAB1リン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、造血細胞においてGAB2リン酸化を阻害するために有効な量で投与される。
【0016】
1つの局面において、これらの方法は、PI3Kδを式(1)の化合物と接触させることによって、エキソビボで実施される。別の局面において、これらの方法は、式(1)の化合物または式(1)の化合物を含有する組成物の、PI3Kδを発現する造血細胞型の望ましくない増殖または活性または蓄積に関連する状態を有すると診断された被験体への投与によって、インビボで実施される。これらの方法は、一般に、リンパ系細胞および/または骨髄前駆細胞の異常な増殖を包含する任意の適応症を処置するために使用され得る。1つの局面において、この適応症は、急性リンパ芽球白血病;急性骨髄性白血病;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;毛様細胞白血病;真性赤血球増加症;慢性突発性骨髄線維症;本態性血小板血症;不応性貧血;白輪鉄赤芽球を伴う不応性貧血;過剰の芽球を伴う不応性貧血;不応性貧血変態中の過剰の芽球(excess blasts in transformation)を伴う;ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;びまん性細胞型リンパ腫;濾胞性リンパ腫;免疫芽球性大細胞型リンパ腫;リンパ芽球リンパ腫;マントル細胞リンパ腫;菌状息肉腫;移植後リンパ球増殖性障害;小型非分割細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;または形質細胞新生物であり得る。これらの方法は、PI3K経路が造血細胞において連続的に活性化される場合に、特に有効である。
【0017】
本発明は、哺乳動物標的に、ラパマイシン(mTOR)インヒビターを投与する工程をさらに包含し得る。この実施形態の1つの局面において、mTORインヒビターは、ラパマイシン、FK506、シクロスポリンA(CsA)、およびエベロリムス(everolimus)から選択される。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、白血病細胞においてホスホイノシチド3−キナーゼδ(PI3Kδ)活性を選択的に阻害することによって、白血病を処置および/または予防するための方法を提供する。1つの局面において、これらの方法は、白血病細胞のPI3Kδ活性を阻害するために有効な量のPI3Kδの選択的インヒビターを投与する工程を包含する。別の局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、白血病細胞においてAktリン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、白血病細胞においてFOXO3aリン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、白血病細胞においてGAB1リン酸化を阻害するために有効な量で投与される。さらなる局面において、PI3Kδの選択的インヒビターは、白血病細胞においてGAB2リン酸化を阻害するために有効な量で投与される。
【0019】
PI3−キナーゼはまた、白血球活性化の多数の局面に関与するようである。p85に関連するPI3−キナーゼ活性は、CD28の細胞質ドメインと物理的に関連することが示されている。CD28は、抗原に応答してのT細胞の活性化のために重要なコスティミュラトリー分子である(Pagesら,Nature(1994)369:327−329;Rudd,Immunity(1996)4:527−534)。CD28によるT細胞の活性化は、抗原による活性化のための閾値を低下させ、そして増殖応答の規模および持続時間を増加させる。これらの効果は、多数の遺伝子(重要なT細胞増殖因子であるインターロイキン−2(IL2)が挙げられる)の転写の増加に関連している(Fraserら,Science(1991)251:313−316)。CD28がPI3−キナーゼともはや相互作用し得ないようなCD28の変異は、IL2産生の開始の失敗をもたらし、T細胞活性化におけるPI3−キナーゼの決定的な役割を示唆する。
【0020】
本発明の化合物はまた、白血球機能を妨害するために有用である。従って、本発明はまた、白血球を、白血球においてホスファチジルイノシトール 3−キナーゼδ(PI3Kδ)活性を選択的に阻害する化合物と接触させることにより、白血球機能を妨害するための方法を提供する。この方法によれば、白血球は、好中球、Bリンパ球、Tリンパ球、または好塩基球であり得る。
【0021】
例えば、白血球が好中球である場合、この方法は、少なくとも1つの好中球機能(例えば、刺激されたスーパーオキシドの放出、刺激されたエキソサイトーシス、または化学走性による移動)を妨害する工程を包含し得る。好ましくは、この方法は、好中球による細菌食菌作用または細菌殺傷を実質的に妨害しない。白血球がBリンパ球である場合、この方法は、Bリンパ球の増殖、またはBリンパ球による抗体産生を妨害する工程を包含し得る。白血球がTリンパ球である場合、この方法は、Tリンパ球の増殖を妨害する工程を包含し得る。白血球が好塩基球である場合、この方法は、好塩基球によるヒスタミン放出を妨害する工程を包含し得る。
【0022】
PI3Kδはまた、炎症組織における好中球の蓄積に関与し、そしてPI3Kδの選択的インヒビターは、気管において炎症を誘導するためにリポ多糖類を使用する動物モデルにおいて、この影響を遮断する。Puri,K.L.,Curr.Enz.Inhib.(2006)2:147−161。さらに、選択的PI3Kδインヒビターはまた、動物モデルにおいて、アレルギー性反応を阻害した。同書。さらに、この選択的インヒビターは、動物モデルにおいて、抗高血圧活性を示した。同書。従って、PI3Kδの選択的インヒビターは、種々の医学的状態を処置するために有用であることが公知であり、そして本発明の選択的PI3Kδインヒビターは、罹患組織における好中球の蓄積を減少させることによって炎症を処置するために有用であり、そしてアレルギー性反応の重篤度を低下させるため、および高血圧症を処置するために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、示された数の炭素原子、およびアルキル基が基体分子に付着する開いた原子価を含む、直鎖および/または分枝鎖の炭化水素基と定義される。代表的な例としては、メチル基、エチル基、ならびに直鎖および分枝鎖のプロピル基およびブチル基が挙げられる。炭化水素基は、他に特定されない限り、16までの炭素原子を含み得、そしてしばしば、1個〜8個の炭素原子を含む。用語「アルキル」は、シクロアルキルおよび「有橋アルキル」(すなわち、C6〜C16の二環式または多環式の炭化水素基であり、例えば、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、またはデカヒドロナフチル)を包含する。用語「シクロアルキル」は、環式のC3〜C8炭化水素基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、およびシクロペンチル)と定義される。
【0024】
用語「アルケニル」は、アルキル基が少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、その結果として、アルケニル基の最小サイズがC2であることを除いて、「アルキル」と同じに定義される。「アルキニル」は、アルキニル基が少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むことを除いて、同様に定義される。
【0025】
「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が環内に存在することを除いて、シクロアルキルと同様に定義される。
【0026】
用語「アルキレン」は、別の基が付着する第二の開いた原子価を有するアルキル基と定義される。すなわち、アルキレンは、他の2つの部分構造を接続しなければならない。例えば、用語「アリール−C1〜C3−アルキレン」は、1個〜3個の炭素原子を含み、そして1つの原子価においてアリール基で置換されており、基体分子に接続する点として、この基のアルキレン部分の残りの1つの原子価を残している、アルキレン基をいう。
【0027】
用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、および「ヘテロアルキレン」とは、本明細書中で使用される場合、「ヘテロ」形態が、対応するアルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアルキレン部分の炭素のうちの1つを置き換えるものとして、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのへテロ原子を含むことを除いて、用語アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルキレンと同様に定義される。これらのヘテロ形態において、Sは、S=Oまたは-SO−にさらに酸化され得る。すなわち、Sは、1つ以上の=O置換基を有し得る。これらの基は、少なくとも1つの炭素原子を含み、そして代表的に、基体分子へは、ヘテロ原子よりむしろ炭素原子を介して結合する。ヘテロアルキルの例としては、例えば、メトキシメチルおよびジメチルアミノエチルが挙げられ、そして-CH−SO−CH−は、ヘテロアルキレンの例である。
【0028】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書中で、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を含むと定義される。頻繁に、フルオロまたはクロロが、式(1)および(2)の化合物において好ましい。
【0029】
用語「アリール」は、単独または組み合わせで、本明細書中で、単環式または多環式の芳香族基(例えば、フェニルまたはナフチル)として定義される。他に示されない限り、「アリール」基は、非置換であっても、例えば、1個以上、特に1個〜3個の置換基で置換されていてもよい。本発明のアリール基の好ましい置換基としては、ハロ、アルキル、フェニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ニトロ、およびアミノが挙げられる。例示的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、クロロフェニル、フルオロフェニル、アミノフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ニトロフェニル、カルボキシフェニルなどが挙げられる。フルオロ基、クロロ基、CF基、CN基、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、アミノ基、ならびにアミン置換アルキル基およびアミン置換ヘテロアルキル基が、アリール基が単一の環であっても、別のアリール環、非アリール環、またはヘテロアリール環に縮合していても、アリール環の置換基として適切な代表的な例である。
【0030】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で、単環式または二環式の環系であって、1個または2個の芳香族環を含み、そして芳香族環の環のメンバーとして少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を含む、単環式または二環式の環系として定義される。ヘテロアリールは、非置換であっても、例えば、1個以上、特に、1個〜3個の置換基で置換されていてもよい。この置換基は、ハロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ニトロ、およびアミノなどである。F、Cl、NH、MeNH(メチルアミン)、OMe、Me、およびCF、ならびにアミン置換アルキル基またはアミン置換ヘテロアルキル基が、しばしば、本発明のヘテロアリール基の好ましい置換基である。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられる。
【0031】
「薬学的に受容可能な塩」とは、処方物の他の成分と適合性であり、そしてこの処方物のレシピエントに対して有害ではない限り、生理学的に受容可能な任意の塩をいう。いくつかの具体的な好ましい例は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、およびシュウ酸塩であり、これらは、化合物が塩基性の(プロトン化可能な)特徴を有する場合に形成され得る。同様に、本発明の化合物が酸性の(脱プロトン可能な)特徴を有する場合、薬学的に受容可能な塩としては、塩基負荷生成物が挙げられる。脱プロトンされた本発明の化合物の対イオンの非限定的な例としては、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、および類似の陽イオンが挙げられる。
【0032】
「炎症性障害」とは、本明細書中で使用される場合、過剰または調節されない炎症性反応が、過剰な炎症症状、宿主組織の損傷、または組織機能の損失をもたらす、任意の疾患、障害、または症候群をいい得る。「炎症性障害」はまた、白血球および/または好中球の化学走性の流入により媒介される病理状態をいう。これらの障害としては、過剰な免疫活性が起こる状態(例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、およびアレルギー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「炎症」とは、本明細書中で使用される場合、組織の破壊により惹起される、損傷性因子と損傷した組織との両方を破壊、希釈または隔離(分離)するように働く局在した保護応答をいう。炎症は、白血球および/または好中球の化学走性の流入と顕著に関連する。炎症は、病原性生物およびウイルスの感染から、ならびに非感染性手段(例えば、心筋梗塞または脳卒中後の外傷または再灌流、外来抗原に対する免疫応答、および自己免疫応答)から生じ得る。従って、本発明で扱える炎症性障害は、特異的な防御系の反応、および非特異的な防御系の反応に関連する障害を包含する。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「特異的な防御系」とは、特異性抗原の存在に対して反応する、免疫系の成分をいう。特異的な防御系の応答から生じる炎症の例としては、外来抗原に対する古典的応答、自己免疫疾患、およびT細胞により媒介される遅延型の過敏性応答が挙げられる。慢性炎症性疾患、固形の移植組織および器官(例えば、腎臓および骨髄の移植物)の拒絶、ならびに対宿主性移植片病(GVHD)は、特異的な防御系の炎症性反応のさらなる例である。
【0035】
用語「非特異的な防御系」とは、本明細書中で使用される場合、免疫記憶が不可能な白血球(例えば、顆粒球およびマクロファージ)により媒介される炎症性障害をいう。非特異的な防御系から少なくとも部分的に生じる炎症の例としては、成人(急性)呼吸窮迫症候群(ARDS)または多臓器損傷症候群などの状態に関連する炎症;再灌流障害;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症成分を伴う皮膚病;急性化膿性髄膜炎または他の中枢神経系の炎症性障害(例えば、脳卒中);熱傷;炎症性腸疾患;顆粒球の輸血に関連する症候群;およびサイトカインにより誘導される毒性が挙げられる。
【0036】
「選択的に阻害する」とは、本明細書中で使用される場合、PI3Kの1つのアイソフォーム(通常は、δアイソフォーム)に対する阻害活性が、他のアイソフォームのうちの少なくとも1つに対して有する阻害活性よりも大きい化合物をいう。選択的なPI3Kδインヒビターが使用される本発明の方法において、この化合物は、細胞ベースのアッセイにおいて、他のタイプI PI3Kアイソフォーム(α、βおよびγ)のうちの少なくとも1つと比較して、PI3Kδの阻害に対して少なくとも約10倍選択性であることが好ましい。より好ましくは、この化合物は、細胞ベースのアッセイにおいて、他のタイプI PI3Kアイソフォームと比較して、PI3Kδの阻害に対して少なくとも約20倍選択性である。なおより好ましくは、この化合物は、生化学アッセイにおいて、他のタイプI PI3Kアイソフォームと比較して、PI3Kδの阻害について少なくとも約50倍活性である。従って、PI3Kδの選択的インヒビターである化合物は、「非選択的PI3Kインヒビター」であるウォルトマンニンおよびLY294002などの従来のPI3Kインヒビターよりも、PI3Kδに選択的である。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「異常な増殖」とは、正常な経過、適切な経過、または予測される経過から外れた細胞増殖を意味する。例えば、異常な細胞増殖は、DNAまたは他の細胞成分が損傷または欠損した細胞の、不適切な増殖を誘導し得る。異常な細胞増殖は、その特徴が、不適切に高レベルの細胞分裂、不適切に低レベルのアポトーシス、またはこれらの両方により、引き起こされるか、媒介されるか、またはこれらを生じる適応症に関連する細胞増殖を誘導し得る。このような適応症は、例えば、癌性であれ非癌性であれ、良性であれ悪性であれ、細胞、細胞の群、または組織の、単数の位置または複数の位置での局所的な異常増殖により特徴付けられ得る。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「造血細胞」とは、一般に、リンパ球性前駆細胞、骨髄前駆細胞、ナチュラルキラー細胞、T細胞、B細胞、形質細胞、赤血球、巨核球、単球、マクロファージ、ならびに顆粒球(例えば、好中球、好酸球、および好塩基球)が挙げられるが、これらに限定されない、血液細胞をいう。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「有効な量」または「有効量」とは、所望の効果または記載される効果を生じるために充分な投薬量を意味する。
【0040】
「自己免疫疾患」とは、本明細書中で使用される場合、組織の損傷がその身体自体の構成要素に対する体液媒介応答または細胞媒介応答に関連する障害の群のいずれかをいう。慢性関節リウマチ、多発性硬化症、および狼瘡(SLE)が、具体的な例である。
【0041】
「アレルギー性疾患」とは、本明細書中で使用される場合、過剰なアレルギー性反応から生じる、任意の症状、組織損傷、または組織機能の損失をいう。喘息は、しばしば、このようなアレルギー性反応の結果である。「関節性疾患」とは、本明細書中で使用される場合、種々の病因が原因である、関節の炎症性傷害により特徴付けられる任意の疾患をいう。「皮膚炎」とは、本明細書中で使用される場合、種々の病因が原因である皮膚の炎症により特徴付けられる、皮膚の疾患の大きいファミリーのいずれかをいう。「移植拒絶」とは、本明細書中で使用される場合、移植される組織および周囲の組織の機能の損失、疼痛、膨潤、白血球増加症、ならびに血小板減少症により特徴付けられる、移植される組織(例えば、器官または細胞(例えば、骨髄))に対する任意の免疫反応をいう。
【0042】
「処置」とは、本明細書中で使用される場合、障害に罹りやすいがその障害を有するとはまだ診断されていない動物において、障害が起こることを予防すること;障害を抑止すること、すなわち、この障害の発症を止めること;障害を軽減すること、すなわち、この障害の回復を引き起こすこと;または障害を改善すること、すなわち、この障害に関連する症状の重篤度を低下させることをいう。「障害」は、医学的障害、疾患、状態、症状などを包含することが意図され、これらに限定されない。
【0043】
本発明の選択的PI3Kδインヒビターは、式(1)の化合物:
【0044】
【化2】

またはその薬学的に受容可能な塩であり、式(1)において、
、QおよびQのうちの1つはSであり、そしてQ、QおよびQのうちの他の2つは-CR-であり;
ここで各Rは独立して、H、ハロ、OR、NR、NROR、NRNR、SR、SOR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CF、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、もしくはNOであるか、
またはRは、C1〜C8アルキル基、C2〜C8ヘテロアルキル基、C2〜C8アルケニル基、C2〜C8ヘテロアルケニル基、C2〜C8アルキニル基、C2〜C8ヘテロアルキニル基、C1〜C8アシル基、C2〜C8ヘテロアシル基、C6〜C10アリール基、C5〜C12ヘテロアリール基、C7〜C12アリールアルキル基、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキル基からなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり得、
ここで各Rは独立して、HまたはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、もしくはC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して3員〜8員の環を形成し得、該環は、必要に応じて、1個または2個のN、OまたはSを環のメンバーとして含み;
そしてここで、H以外の各R基、および2つのR基が一緒に結合することにより形成された各環は、必要に応じて置換されており;
Zは結合であるか、またはO、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンであり、O、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンの各々は、2個までのC1〜C6アルキル基もしくはC2〜C6ヘテロアルキル基で必要に応じて置換されており、ここで該アルキル基もしくはへテロアルキル基のうちの2つは、必要に応じて環化して、O、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含む3員〜7員の環を形成し得;
は、3個までのRで各々が必要に応じて置換されている、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであるか、
あるいはRは、Zが結合ではない場合にはHであり得;
Lは、−C(R−、−C(R−C(R−、−C(R−NR−、および−C(R−S(O)−からなる群より選択され、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C2〜C6アルケニル、およびC2〜C6アルキニルから選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、そしてnは0〜2であり;
そして2つのRが、L上に存在する場合、環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含み得る3員〜7員の環を形成し得;
Hetは、単環式環系または二環式環系であり、該環系において、少なくとも2つの環原子はNであり、そして少なくとも1つの環は芳香族であり、そしてHetは、R、N(R、S(O)、OR、ハロ、CF、CN、NROR、NRN(R、SR、SOR、SO、SON(R、NRSO、NRCON(R、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CON(R、OOCR、COR、またはNOから選択される3個までの置換基で必要に応じて置換されており、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して、N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜8員の環を形成し得;
ここで各必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、ヘテロアシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル上の任意の置換基は、C1〜C4アルキル、ハロ、CF、CN、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOから選択され、
ここで各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜12アリールアルキル、またはC6〜12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々は、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1個以上の基で必要に応じて置換されており;
そしてここで、同じ原子上または隣接する原子上の2つのR’は、結合して、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜7員の環を形成し得;そして
pは0−2である。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、QはSであり、そしてQおよびQは各々CRを表す。本発明の他の実施形態において、QはSであり、そしてQおよびQは各々CRを表す。なお他の実施形態において、QはSであり、そしてQおよびQは各々CRを表すQ、QおよびQのうちの少なくとも1つは、しばしば、CHであり、そしてこれらの実施形態のうちのいくつかにおいて、これらのうちの2つがCHである。Q、QまたはQにおけるRがH以外である場合、このRは頻繁に、C1〜C4アルキル、CF、CN、もしくはハロであるか、またはこのRは、以下に記載されるような、アミン置換アルキル基もしくはアミン置換ヘテロアルキル基であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、チオフェン環上のRは、アミン置換アルキル基またはアミン置換ヘテロアルキル基(例えば、-(CH-NR’または-O-(CH-NR’または-NR’-(CH-N(R’))を表し、ここでpは1〜4であり、そして各R’はHまたはC1〜C4アルキルであり、そしてここで、1つのN上に存在する2つのR’は、環化して、3員〜8員の環を形成し得、この環は、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を必要に応じて含み得る。これらのアミン置換アルキル基およびアミン置換ヘテロアルキル基の具体的な例としては、
【0047】
【化3】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態において、Zは結合を表す。他の実子形態においてZは(CH1〜4を表す。Zが結合である場合、Rはしばしば、アリール環またはヘテロアリール環を表す。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、Rは、必要に応じて置換されたフェニル環またはピリジル環である。これらの実施形態において、Rはしばしば、少なくとも1つの置換基で置換されており、この置換基は、Zへのアリール環の結合点に対してオルトまたはメタである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、Rは、1個〜3個の置換基(例えば、ハロ、CN、メチル、CF、またはRについて上に記載されたようなアミン置換アルキルもしくはアミン置換ヘテロアルキル)で置換される。Zが結合である場合、Rは頻繁に、フェニル、ハロ置換フェニル、ジハロフェニル、またはシアノフェニルである。他の実施形態において、Zは、結合または(CH1〜2であり、そしてRは、シクロアルキル基(これは、置換されていてもよい)を表す。
【0049】
式(1)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、Lは、C(RまたはC(RNHまたはC(RSであり、ここで各Rは独立して、HまたはC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニルもしくはC2〜C4アルキニルである。特定の実施形態において、Lは、CH(R)またはCH(R)NHまたはCH(R)Sであり、ここでRは、メチルまたはエチルまたは必要に応じて置換されたC1〜C6アルキル基を表すか、あるいはRは、Rについて上に記載されたようなアミン置換アルキル基であり得る。Lの一方の末端がヘテロ原子である場合、Lはしばしば、このヘテロ原子を介してHetに結合し、そしてLのヘテロ原子は、代表的に、Hetの炭素原子に結合する。
【0050】
多くの実施形態において、「L」の中心CH(R)はキラルであり、そして頻繁に、この立体中心のSエナンチオマーが好ましい。他の実施形態において、この立体中心は、Rエナンチオマーである。代表的に、LがCH(R)NHまたはCH(R)Sである場合、このNまたはSは、Hetに結合しており、そしてCH(R)は、ピリミジノン環に直接結合している。なお他の実施形態において、Lは-CH(R)-NR-であり、ここで2つのR基は、結合して環を形成し、この環は、しばしば、5個〜6個の原子の環である。これらの環状リンカーにおいて、キラル中心がCH(R)にもまた存在し、そしてこの中心は、R配置またはS配置のいずれであってもよい。Sエナンチオマーがしばしば好ましい。
【0051】
Hetは、必要に応じて置換された単環式環または二環式環であり、そしてHetの少なくとも1つの環は、代表的に、環のメンバーとして少なくとも2つの窒素原子を含むヘテロアリール環である。多くの実施形態において、Hetは、二環式芳香族複素環である。式(1)の化合物の特定の実施形態において、Hetは、プリン環を表し、このプリン環は、C1〜C4アルキル基、C6〜C10アリール基、C5〜C10ヘテロアリール基、ハロ、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、あるいはRについて上に記載されたようなアミン置換アルキル基またはアミン置換ヘテロアルキル基で置換され得る。他の実施形態において、Hetは、ピラゾロピリミジン環またはピロロピリミジン環を表しこれらの各々は、同様に置換され得る。なお他の実施形態において、Hetは、ピリミジン環またはトリアジン環を表し、これらもまた、同様に置換され得る。
【0052】
Hetが二環式基を表す場合、この二環式基は、Hetの任意の利用可能な環部分において、Lに結合し得る。多くの実施形態において、Lは、この二環式基の両方の環により共有される原子に隣接する、炭素原子または窒素原子に結合する。多くの実施形態において、Hetは、6,5−二環式へテロ芳香族基を表し、そしてLは、5員環または6員環のいずれに結合してもよい。いくつかの実施形態において、Hetはプリン環であり、プリン環について、以下の原子の番号付けの規則が使用される。
【0053】
【化4】

Hetのいくつかの具体的な例は、その範囲を限定せずに、[L]が、Hetがリンカー「L」に結合する点を示し、そして-Xが、置換基が存在する場合にこの置換基のための好ましい結合点を表すものが挙げられる。いくつかの実施形態において、H以外の置換基は存在しない(各XがHを表す)。他の実施形態において、1つより多くのXが示される場合、少なくとも1つのXはHである。多くの実施形態において、Hではない各Xは、アミンまたは置換アミン、アルキル基またはアリール基、あるいはハロゲンを表す。Xについてのいくつかの好ましい基としては、NH、F、Cl、Me、CF、およびフェニルが挙げられる。
【0054】
Lが、プリンまたはプリンアナログ(例えば、以下に記載される複素環)のN−9(環がプリンアナログである場合でさえも、簡単にするために、プリンの番号付けスキームを使用する)に結合する場合、Lは、CHまたはCH(R)を表す。Lが、プリンまたはプリンアナログ(例えば、本明細書に記載される複素環)のC−6に結合する場合、Lは、頻繁に、CH(R)−NH、CH(R)−SまたはCH(R)−N(R)であり、そしてHetにより表される複素環は、代表的に、これらの実施形態におけるLのヘテロ原子に結合する。これらの実施形態の多くにおいて、リンカーLの炭素原子上のRは、メチルまたはエチルであり、そしてRがこのリンカーの窒素上にある場合、Rは、しばしばHである。
【0055】
【化5】

式(1)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたフェニルを表し、そしてZは結合である。特に好ましいフェニル基としては、非置換フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、および2,6−ジフルオロフェニルが挙げられる。
【0056】
式(1)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、−L−Hetは、-CH−Het、−CH−NH−Het、−CH−S−Het、−CHMe−Het、−CHMe−S−Het、−CHMe−NH−Het、−CHEt−Het、−CHEt−S−Het、または-CHEt−NH−Hetを表す。
【0057】
式(1)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、Hetは、6位でLに結合したプリンを表す。他の好ましい実施形態において、-L−Hetが-CH−Het、−CHMe−Het、または−CHEt−Hetである場合、Hetは、プリンの9位でLに結合したプリンである。Hetがプリン環である場合、このプリン環は時々、アミノ、フルオロ、メチルまたはCFで置換され、そして時々、このプリン環は非置換である。他の好ましい実施形態において、Hetは、ピラゾロピリミジンであり、そして環の位置に番号を付ける目的でピラゾロピリミジンのピリミジン環とプリンのピリミジン環とを重ねた場合に、プリン環の6位または9位に対応する位置において、Lに結合する。
【0058】
上に記載された好ましい特徴の任意の組み合わせを有する式(1)の化合物は、時々、特に好ましい。
【0059】
頻繁に、PI3Kδの選択的インヒビターは、式(2a)もしくは(2b)もしくは(2c)を有する化合物
【0060】
【化6】

またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり得、これらの式において、
各Jおよび各Yは独立して、F、Cl、Br、CN、Me、CF、OMe、CONR、COOR、NMe、NH、NHMe、−Q−(CH−OR、および−Q−(CH−N(Rからなる群より選択され、ここでqは0〜4であり、そしてQは存在しないか、またはO、SおよびNRから選択され;
mは0〜2であり、そしてkは0〜3であり;
Lは、-C(R-、-C(R−NR-、および-C(R−S-から選択され、
各Rは独立して、Hまたは必要に応じて置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、もしくはC2〜C4アルキニル、または必要に応じて置換されたC2〜C4ヘテロアルキルであり;
そして2つのRは、1つの原子上または隣接する原子上に存在する場合、環化して3員〜7員の環を形成し得、この環は、必要に応じて置換されており、そして環のメンバーとしてN、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含み得;
Hetは、
【0061】
【化7】

からなる群より選択され、
ここで[L]は、Lが結合しているHetの原子を示し;そして
各Xは独立して、H、F、Cl、Br、Me、CF、OH、OMe、NH、NHAc、またはNHMeであり;
そして各必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、ヘテロアシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル上の任意の置換基は、C1〜C4アルキル、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOから選択され、
ここで各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜12アリールアルキル、またはC6〜12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々は、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1個以上の基で必要に応じて置換されており;
そしてここで、同じ原子上または隣接する原子上の2つのR’は、結合して、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜7員の環を形成し得;そして
pは0〜2である。
【0062】
式(2)の化合物(これは、式(2a)および式(2b)および式(2c)を含む)は、本発明の範囲内の好ましい化合物である。これらの化合物において、mは頻繁に、0または1であり、そしてJは、存在する場合、頻繁に、F、ClまたはCFである。各Yは、独立して選択され、そして少なくとも1つのYは、しばしば、Me、OMe、CN、CF、またはハロを表す。特定の実施形態において、Yは、F、MeまたはCNである。式(2)のHet基についての各Xは、独立して選択され、そして頻繁に、各Xは、H、F、Cl、Me、CF、フェニル、またはNHである。
【0063】
式(2)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、示されるフェニル環は、非置換フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、および2,6−ジフルオロフェニルから選択される。
【0064】
式(2)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、−L−Hetは、-CH−Het、−CH−NH−Het、−CH−S−Het、−CHMe−Het、−CHMe−S−Het、−CHMe−NH−Het、−CHEt−Het、−CHEt−S−Het、または-CHEt−NH−Hetを表す。
【0065】
式(2)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、Hetは、6位でLに結合したプリンを表す。他の好ましい実施形態において、-L−Hetが-CH−Het、−CHMe−Het、または−CHEt−Hetである場合、Hetは、プリンの9位でLに結合したプリンである。Hetがプリン環である場合、このプリン環は、時々非置換であり、そしてこのプリン環は、時々、アミノ、フルオロ、アリール、メチルまたはCFで置換されており、そして時々、非置換である。他の好ましい実施形態において、Hetは、ピラゾロピリミジンであり、そして環の位置に番号を付ける目的でピラゾロピリミジンのピリミジン環とプリンのピリミジン環とを重ねた場合に、プリン環の6位または9位に対応する位置において、Lに結合する。
【0066】
立体中心が式(1)または式(2)の化合物に存在する場合、これらの化合物および方法は、本発明の化合物のラセミ混合物またはいずれかの特定のエナンチオマーを含む。1つより多くの立体中心が存在する場合、異性体の任意の混合物(各個々のジアステレオマーのラセミ形態を含む)が使用され得る。立体中心が式(1)または式(2)において連結基「L」に存在する好ましい実施形態において、この立体中心のS−エナンチオマーがしばしば使用される。しかし、本発明の化合物および方法は、上記化合物の各可能な立体異性体および幾何異性体、ならびにこれらの化合物の2種以上の異性体を含む混合物を含む。
【0067】
特定の実施形態において、これらの化合物および方法は、例えば塩の形成を提供することによって溶解度特性を改善する、アミン置換アルキル基またはアミン置換ヘテロアルキル基を含む、式(1)または式(2)のPI3Kδの選択的インヒビターを含む。このアミン置換アルキル基またはアミン置換ヘテロアルキル基は、これらの化合物の環のうちのいずれか(式(1)におけるHetまたはリンカー「L」が挙げられる)に結合し得るか、あるいは式(1)におけるZ上またはR上に存在し得る。アミンで置換された基は、これらの化合物に改善された溶解度特性を提供し、従って、PI3Kのδアイソフォームに対するこれらの化合物の選択性に有害な影響を与えずに、これらの化合物の薬物速度論的特性を改善する。本発明の化合物の置換基として存在し得る、適切なアミンで置換された基としては、-(CH−NR’および-O-(CH-NR’が挙げられ、ここでpは1〜4であり、そして各R’は、HまたはC1〜C4アルキル(頻繁にはMe)であり、そして1つのN上に存在する2つのR’は、環化して、3員〜8員の環を形成し得、この環は、N、OまたはSなどのさらなるヘテロ原子を必要に応じて含み得る。
【0068】
本発明の化合物は、入手可能な出発物質から、当該分野において公知である方法を使用して、容易に調製される。式(1)および式(2)の化合物のチエノピリミジノン部分を構築するための方法の例は、例えば、PCT出願公開WO 03/050064に提供されている。この出願におけるスキームAは、式(2a)の化合物のチエノピリミジノン部分が調製され得る経路を提供し、そしてスキームB〜Gは、式(2b)の化合物のチエノピリミジノン部分が調製され得る経路を提供する。式(2c)の化合物は、化合物B1の適切なチオフェン異性体に対応する利用可能な出発物質から、同様に調製され得る。これらのチエノピリミジノン中間体のピリミジノン環の2位に結合した保護されたアミンを変換する方法は、当該分野において公知であり、そして例えば、米国特許第6,518,277号;同第6,667,300号;同第6,949,535号;および同第6,800,620号、ならびに米国特許出願公開第2006/0106038号、ならびにPCT出願公開WO 2005/113554に見出され得る。これらの引用文献はまた、これらの化合物の、PI3Kδのインヒビターとしての活性を決定するための方法を提供する。従って、これらの方法は当該分野において公知である。
【0069】
以下のスキームは、本発明の範囲内である選択された化合物の調製を説明する。
【0070】
(スキームI.IC491597の調製)
【0071】
【化8】

【0072】
(スキームII.本発明のさらなる化合物の調製)
【0073】
【化9】

(スキームIII.本発明のさらなる化合物の調製)
【0074】
【化10】

中間体B4、D5およびE5を使用して、種々の公知の物質をアルキル化し、他のHet基を導入し得る。この方法の例は、本明細書中で実施例16に提供されている。
【0075】
本発明の好ましい実施形態は、上記スキームおよび添付の実施例に記載されるものを包含する。例示的な化合物としては、(3a)および(3b)が挙げられ、これらの化合物について、(参照化合物(4a)および(4b)に対する)比較活性データが表Iに提供される:
【0076】
【化11】

これらの化合物のS−エナンチオマーが、特に好ましい実施形態である。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態において、式(1)または(2)の化合物において、Hetは、9位(プリンのN−9)または6位(プリンのC−6)のいずれかでLに結合したプリンである。化合物(3a)は、HetがプリンのN−9位で連結基に結合したプリンである、本発明の化合物の例であり、そして化合物(3b)は、HetがプリンのC−6位において連結基Lに結合したプリンである、化合物の例である。これらの化合物の各々は、以下の表に示されるように、活性が高く、そして各々が、他のPI3Kアイソフォームに対する活性と比較して、PI3Kδの阻害について非常に選択的である。この表において、これらの2つの化合物が、類似のプリン成分および連結成分を有する他のPI3Kインヒビター(参照化合物4aおよび4b)と比較されている。
【0078】
【表1】


【0079】
本発明の方法は、動物被験体、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、なおより好ましくはヒトを処置する種々の様式を包含する。とりわけ、処置され得る哺乳動物は、例えば、イヌおよびネコを含む愛玩動物(ペット);ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギを含む家畜動物;ラット、マウス、ウサギ、モルモットおよび非ヒト霊長類を含む実験動物;ならびに、動物園の動物である。非哺乳動物としては、例えば、鳥類、魚類、爬虫類および両生類が挙げられる。
【0080】
先に記載したように、用語「PI3Kδ選択的インヒビター」は、一般に、PI3Kファミリーの他のアイソザイムよりも効率的にPI3Kδアイソザイムの活性を阻害する化合物を指す。酵素活性(または他の生物学的活性)のインヒビターとしての化合物の相対的な有効性は、各化合物が予め規定された程度まで活性を阻害する濃度を決定し、その後、その結果を比較することによって確立され得る。代表的には、好ましい決定は、生化学アッセイにおける活性の50%を阻害する濃度、すなわち、50%阻害濃度または「IC50」である。IC50の決定は、当該分野で公知の従来の技術を用いて達成され得る。一般に、IC50は、一定範囲の研究中のインヒビターの濃度の存在下で、所与の酵素の活性を測定することにより決定され得る。次いで、実験的に得られた酵素活性の値が、使用されるインヒビター濃度に対してプロットされる。(あらゆるインヒビターの非存在下での活性と比較して)50%の酵素活性を示すインヒビターの濃度が、IC50値として採用される。同様に、活性の適切な決定により、他の阻害濃度が規定され得る。例えば、いくつかの状況では、90%阻害濃度、すなわち、IC90などを確立することが望ましくあり得る。
【0081】
したがって、PI3Kδ選択的インヒビターは、代替的に、任意もしくは全ての他のクラスI PI3Kファミリーメンバーに対するIC50値よりも、少なくとも10倍低い、別の局面では少なくとも20倍低い、そして、別の局面では少なくとも30倍低い、PI3Kδに対する50%阻害濃度(IC50)を呈する化合物を指すものと理解され得る。本発明の代替的な実施形態では、用語PI3Kδ選択的インヒビターは、任意もしくは全ての他のPI3K クラスIファミリーメンバーに対するIC50値よりも、少なくとも50倍低い、別の局面では少なくとも100倍低い、さらなる局面では少なくとも200倍低い、そしてなお別の局面では少なくとも500倍低い、PI3Kδに対するIC50を呈する化合物を指すものと理解され得る。PI3Kδ選択的インヒビターは、代表的に、上記のようにPI3Kδ活性を選択的に阻害するような量で投与される。
【0082】
本発明の方法は、インビボまたはエキソビボで細胞集団に対して適用され得る。「インビボ」とは、動物もしくはヒトの体内のような、生きている個体の内部を意味する。この文脈において、本発明の方法は、以下に記載されるように、個体において治療的に使用され得る。方法はまた、本発明の方法によって処置可能な所与の徴候に関連する特定の危険因子が存在する場合、特に、2以上のこのような危険因子が存在する場合を含む場合に予防的にも使用され得るが、これらに限定されない。このような危険因子の多くは、個体の再発の危険性に関連している。再発の危険性が高い個体としては、第3染色体、第5染色体および/または第7染色体を含む染色体異常を有する個体が挙げられるがこれらに限定されない。他の危険因子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:造血細胞の異常増殖を伴う徴候を有すると診断された個体の近親者;ダウン症候群または異常な染色体により引き起こされる他の疾患を有すること;ベンゼンおよび/または他の有機溶媒への繰り返しもしくはかなりの曝露;高用量の電離放射線への曝露;特定の化学治療剤を含む処置を受けていること;妊娠中の診断用X線への曝露;ヒトT細胞白血病ウイルスの感染;ならびに、喫煙、および/または、噴煙へのかなりの曝露。予防的処置が許可されることを指示し得るさらなる危険因子は、当該分野で公知であるか、そして/または、主治医により容易に決定され得る。
【0083】
「エキソビボ」とは、生きている個体の外側を意味する。エキソビボ細胞集団の例としては、インビトロ細胞培養、および、生物学的サンプル(個体から得られた流体もしくは組織のサンプルが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。このようなサンプルは、当該分野で周知の方法によって得られ得る。例示的な生物学的流体サンプルとしては、血液、脳脊髄液、尿、唾液が挙げられる。例示的な組織サンプルとしては、腫瘍およびその生検が挙げられる。この文脈において、本発明は、治療目的および実験目的を含む種々の目的のために使用され得る。例えば、本発明は、所与の徴候、細胞型、個体および他のパラメータのために、PI3Kδ選択的インヒビターの最適な投与計画および/または投薬を決定するために、エキソビボで使用され得る。このような使用から収集された情報は、実験目的のため、または、病因においてインビボ処置のためのプロトコルを設定するために使用され得る。本発明が適合し得る他のエキソボ用途は、以下に記載されるか、または、当業者に明らかとなる。
【0084】
PI3Kδは、主に、造血細胞において発現される;結果として、PI3Kδの選択的インヒビターの直接的な作用は、造血細胞において最も明白である。造血細胞は、代表的に、リンパ球性前駆細胞または骨髄性前駆細胞のいずれかに分化し、この両方が、最終的には、種々の成熟細胞型(白血球を含むがこれに限定されない)へと分化する。1つの型の造血細胞の異常な増殖は、しばしば、他の造血細胞型の産生または生存と干渉し、不十分な免疫、貧血および/または血小板減少症を生じ得る。本発明の方法は、造血細胞の異常な増殖を阻害することによって、造血細胞の異常な増殖を処置および/または防止する。結果として、本発明の方法はまた、白血球もしくはリンパ球の全身性もしくは局所性の過剰なレベルのような、一次的な作用から生じる症状および二次的な状態を改善し得る。
【0085】
造血細胞の異常な増殖(リンパ球性前駆細胞由来の細胞および/または骨髄性前駆細胞由来の細胞の過剰な産生を含む)を伴う種々の疾患状態、障害および状態(本明細書中で、以降、徴候)としては、白血病、リンパ腫、骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群および形質細胞新生物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0086】
一局面では、本発明は、造血細胞の異常な増殖を処置および/または防止するための方法を提供し、この方法は、式(1)または式(2)の化合物を用いて、造血細胞におけるホスファチジルイノシトール3−キナーゼδ(PI3Kδ)活性を選択的に阻害する工程を包含する。したがって、一局面では、この方法は、造血細胞におけるPI3Kδ活性を阻害するのに有効な量のPI3Kδ選択的インヒビターを投与する工程を包含する。
【0087】
本発明の方法は、一般に、造血細胞の異常な増殖を伴う徴候を処置および/または防止するために使用され得る。したがって、本発明は、リンパ球性前駆細胞および/または骨髄性前駆細胞の異常な増殖を伴う徴候を処置および/または防止するために使用され得、この徴候としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病;慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、および毛様細胞性白血病);骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、慢性特発性骨髄線維症、および本態性血小板血症);骨髄異形成症候群(例えば、不応性貧血、白輪鉄赤芽球を伴う不応性貧血、過剰の芽球を伴う不応性貧血、および変態中の過剰の芽球(excess blasts in transformation)を伴う不応性貧血);リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、びまん性細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、菌状息肉腫、移植後リンパ球増殖性障害、小型非分割細胞リンパ腫、およびT細胞リンパ腫));ならびに、形質細胞新生物(例えば、骨髄腫)。
【0088】
一実施形態では、本発明は、白血病を処置および/または予防するための方法を提供し、この方法は、白血病性細胞におけるホスファチジルイノシトール 3−キナーゼδ(PI3Kδ)活性を選択的に阻害する工程を包含する。この実施形態の一局面では、この方法は、造血細胞のPI3Kδ活性を阻害するのに有効な量のPI3Kδ選択的インヒビターを投与する工程を包含する。
【0089】
本明細書中で使用される場合、用語「白血病」は、一般に、血液および/または骨髄における少なくとも一種の白血球および/または白血球前駆体の数の制御できない増加によって特徴付けられる癌を指す。白血病(急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);および毛様細胞性白血病が挙げられるがこれらに限定されない)が意図される。「白血病性細胞」とは、代表的に、上記白血病の細胞を含む。
【0090】
PI3K経路は、異常に増殖している造血細胞において構成的に活性化されている。この実施形態の一局面では、正常な造血細胞(すなわち、異常に増殖していない造血細胞)に比して、より高いレベルのリン酸化Aktタンパク質が未処置の異常に増殖している造血細胞において存在している。さらなる局面では、いずれの場合にも正常な造血細胞に比して、より高いレベルのリン酸化FOXO3aタンパク質が、未処置の造血細胞において存在し、そして/または、より高いレベルのリン酸化GAB1タンパク質またはリン酸化GAB2タンパク質が、未処置の造血細胞において存在する。
【0091】
したがって、一局面では、PI3Kδ選択的インヒビターは、異常に増殖している造血細胞においてAktのリン酸化を阻害するのに有効な量で投与される。別の局面では、PI3Kδ選択的インヒビターは、異常に増殖している造血細胞においてFOXO3aのリン酸化を阻害するのに有効な量で投与される。さらなる局面では、PI3Kδ選択的インヒビターは、異常に増殖している造血細胞におけるGAB1のリン酸化および/またはGAB2のリン酸化を阻害するのに有効な量で投与される。
【0092】
PI3Kδの選択的インヒビター(例えば、本発明の化合物)によって処置可能な造血細胞の異常な増殖を伴う上記徴候のいくつかの動物モデルとしては、例えば以下が挙げられる:ヒトALL細胞を注射した非肥満糖尿病性重症複合型免疫不全(NOD/scid)マウス(ALLモデル);ヒトALL細胞(例えば、HPB−ALL細胞)を注射した無胸腺(rnu/rnu)ヌードラット(ALLモデル);ヒトCML細胞を注射したNOD/scidマウス(CMLモデル);近交系Sprague−Dawley/Charles University Biology(SD/Cub)ラット(自然のT細胞リンパ腫/白血病モデル);Emu−最初期応答遺伝子X−1(IEX−1)マウス(T細胞リンパ腫モデル);cynomogulus−エプスタイン−バーウイルスを注射したウサギ(T細胞リンパ腫モデル);ヘルペスウイルスpapioを注射したウサギ(T細胞リンパ腫モデル);p210bcr/ablを発現するトランスジェニックマウス(ファウンダーマウス、ALLモデル;子孫マウス、CMLモデル);U266細胞を注射したNOD/scid/gammac null(NOG)マウス(多発性骨髄腫モデル);および5T33細胞を注射したC57B1/KaLwRijマウス(多発性骨髄腫モデル)。
【0093】
異常な細胞増殖は、正常な経過、適切な経過または予想される経過から逸脱する細胞の増殖である。異常な細胞増殖は、癌の特質である。癌は、一般に、臓器および/または結合組織(骨および軟骨を含むがこれらに限定されない)を冒す固形腫瘍と、造血細胞から生じる血液学的悪性疾患とに分けられ得る。造血細胞は、代表的に、リンパ球性前駆細胞または骨髄性前駆細胞のいずれかに分化し、この両方が、最終的には、種々の成熟細胞型(白血球を含むがこれに限定されない)へと分化する。リンパ球性前駆細胞由来の細胞としては、ナチュラルキラー細胞、T細胞、B細胞および形質細胞が挙げられるがこれらに限定されない。骨髄性前駆細胞由来の細胞としては、赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、巨核球(血小板産生細胞)、単球、マクロファージ、および顆粒球(例えば、好中球、好酸球および好塩基球)が挙げられるがこれらに限定されない。上述の白血球は、身体の免疫系の一部を成す構成要素であるので、造血細胞の異常な増殖は、個体の感染と闘う能力を損ね得る。さらに、1つの型の造血細胞の異常な増殖は、しばしば、他の造血細胞型の産生または生存と干渉し、貧血および/または血小板減少症を生じ得る。したがって、造血細胞の異常な増殖の阻害は、造血細胞の癌に関連し得る他の状態の処置のためにも有益である。
【0094】
白血病は、一般に、血液および/または骨髄における少なくとも1つの型の白血球および/または白血球前駆体の数の制御できない増加によって特徴付けられる癌である。白血病は、一般に、急性または慢性のいずれかとして分類され、臨床的な経過の速さおよび白血球の分化の程度の両方と相関している。急性白血病では、冒される細胞系統(通常は、芽球と呼ばれる)は、ほとんど分化を示さないか、または全く分化を示さない。一方、慢性白血病では、冒される細胞系統は、代表的には、より十分に分化しているが、免疫学的には無能である。白血病はまた、さらに、細胞系統に従って、骨髄性(骨髄性前駆細胞由来の細胞が冒される場合)またはリンパ球性(リンパ球性前駆細胞由来の細胞が冒される場合)のいずれかとして分類される。さらに、放射線、アルキル化剤およびエピポドフィロトキシンのような細胞傷害性因子で処置された患者において、続発性の白血病が発症し得る。PI3Kδのインヒビターは、これらの造血細胞の産生速度を低下させ、したがって、少なくとも、その種々の形態の白血病の進行を遅らせる。式(1)の化合物のような選択的インヒビターは、代表的には、PI3Kの他のアイソフォームを利用する他の型の細胞の機能の破壊を最小限に留めて、この作用を達成する。
【0095】
リンパ腫は、リンパ球性組織のリンパ球(リンパ節、骨髄、脾臓および免疫系の他の臓器が挙げられるがこれらに限定されない)に起源を持つ癌であり、そして、リンパ球産生の制御できない増加によって特徴付けられる。リンパ腫には、ホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫という2つの基本的な分類があり、ホジキンリンパ腫は、リード−スターンバーグ細胞と呼ばれる特徴的な細胞型の存在によって特徴付けられるもので、非ホジキンリンパ腫は、広い多様なリンパ球性癌の群を包含する。非ホジキンリンパ腫は、一般に、リンパ球の細胞系統(B細胞、T細胞およびナチュラルキラー細胞が挙げられるがこれらに限定されない)に従って分類され、そして、さらに、遅進性の(ゆっくり進行する、または、低いグレードの)経過を有する癌と、攻撃的な(急速に進行する、または、中程度もしくは高いグレードの)経過を有する癌とに分割され得る。非ホジキンリンパ腫としては、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、びまん性細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、菌状息肉腫、移植後リンパ球増殖性障害、小型非分割細胞リンパ腫およびT細胞リンパ腫が挙げられるがこれらに限定されない。ここでも、PI3Kδの選択的インヒビターは、造血細胞に対するその選択的な活性によってリンパ腫の増殖速度を低下させる。
【0096】
骨髄増殖性障害もまた、骨髄中の特定の型の血液細胞の過剰な産生を伴う。骨髄増殖性障害としては、真性赤血球増加症、慢性特発性骨髄線維症および本態性血小板血症が挙げられるがこれらに限定されない。真性赤血球増加症では、赤血球は、骨髄中で過剰産生され、そして、血流中で形成する。慢性特発性骨髄線維症では、骨髄性前駆細胞由来の細胞の異常な増殖は、骨髄における線維症につながり、そして最終的には、骨髄不全(すなわち、骨髄性前駆細胞由来の細胞の過少産生)につながる。本態性血小板血症では、血小板の数が過剰産生されるが、血中の他の細胞は正常である。PI3Kδの選択的インヒビターは、これらの造血細胞の過剰産生を低下させ、したがって、これらの状態を改善する。
【0097】
骨髄異形成症候群(時折、前白血病状態または「くすぶり」白血病とも呼ばれる)は、骨髄が正常に機能しないさらなる徴候であり、いわゆる「無効造血(ineffective hematopoiesis)」である。未熟な芽球は、適切に成熟せず、過剰産生されるようになり、機能する成熟な血液細胞の欠如につながる。骨髄異形成症候群は、他の疾患のための薬物もしくは放射線療法の後に発症し得るか、または、任意の既知の原因なしに発症し得る。骨髄異形成症候群は、顕微鏡により映し出される骨髄および血液細胞の外観に基づいて分類される。骨髄異形成症候群としては、不応性貧血、白輪鉄赤芽球を伴う不応性貧血、過剰の芽球を伴う不応性貧血、および変態中の過剰の芽球を伴う不応性貧血が挙げられるがこれらに限定されない。
【0098】
骨髄腫を含むがこれに限定されない形質細胞新生物は、白血病に似た骨髄の形質細胞の悪性疾患である。他に骨髄腫細胞としても知られる悪性の形質細胞は、骨髄中に蓄積し、そして、典型的な白血病とは異なる、ほとんど血流に入らない。骨髄内への骨髄腫細胞のこの進行性の蓄積は、正常な骨髄機能を破壊し(最も一般的には、貧血により反映される)、白血球および血小板の数を減らし、周囲の骨への損傷を引き起こし、そして、正常な免疫機能を抑制する(有効な免疫グロブリンのレベルの低下および感染に対する感受性の増加によって反映される)。骨髄腫細胞は、通常、局所的な腫瘍(形質細胞腫)の形成において増殖する。このような形質細胞腫は、単数であっても複数であってもよく、そして、骨髄および骨内に閉じ込められても(髄質形質細胞腫)、軟部組織の骨の外側(髄質外の形質細胞腫)で発症されてもよい。骨の内外に複数の形質細胞腫が存在する場合、徴候はまた多発性骨髄腫とも呼ばれる。
【0099】
このような徴候は、代表的に、1種以上の治療(外科手術、放射線治療、化学療法、免疫療法、ならびに、骨髄および/または幹細胞移植が挙げられるがこれらに限定されない)で処置される。しばしばこれらの治療の組合せが利用され、そして、本発明の化合物は、外科手術、放射線、免疫療法、ならびに、骨髄および/または幹細胞移植法と組み合わせて使用され得る。
【0100】
外科手術は、罹病した組織の大部分の除去を伴う。外科手術は、特定の腫瘍(例えば、乳房、結腸および皮膚)を除去するために有効に使用され得るが、外科医がアクセスできない領域に位置する腫瘍を処置するためには使用され得ない。さらに、外科手術は代表的に、非局在性の癌性徴候(白血病および骨髄腫が挙げられるがこれらに限定されない)を処置するためには、首尾よく使用され得ない。
【0101】
放射線治療は、癌性細胞のような急速に分裂する細胞を殺傷し、そして、腫瘍を縮小するために、X線、γ線、中性子および他の源(「放射線」)からの高エネルギー放射線を用いることを必要とする。放射線治療は、当該分野で周知である(Hellman,Cancer:Principles and Practice of Oncology,248−275,第4版,vol.1(1993))。放射線治療は、身体外から施され得る(「外部ビーム放射線治療」)。あるいは、放射線治療は、腫瘍内もしくは腫瘍付近、または、癌性細胞付近の領域に、放射線を生じ得る放射性物質を配置することによって施され得る。全身性の放射線治療は、放射性物質(身体全体を循環し得るか、または、身体の特定の領域もしくは臓器に局在化し得る放射性標識モノクローナル抗体が挙げられるがこれに限定されない)を用いる。近接照射療法は、腫瘍の近くに放射性の「種」を配置することを必要とする。放射線治療は、非特異的であり、そしてしばしば、あらゆる曝露された組織に損傷を引き起こす。さらに、放射線治療は、頻繁に、個体に副作用(例えば、悪心、疲労、低白血球数など)を経験させ、これは、その生活の質にかなりの悪影響を与え得、そして、放射線治療プロトコルの継続的なコンプライアンスに影響を与え得る。
【0102】
化学療法は、しばしば、(例えば、DNA代謝、DNA合成、DNA転写もしくは微小管紡錘体の機能を破壊するか、または、DNAの損傷を導入することで染色体構造の完全性を乱すことによって)細胞の複製または細胞の代謝を破壊することによって作用する化学療法剤を投与することを必要とする。化学療法は、しばしば、腫瘍細胞と同様に正常で健康な細胞にも悪影響を与えるという点で非特異的である。DNAの完全性の維持は、正常な細胞における細胞の生存に必須である。化学療法剤は、正常な細胞に過剰な損傷を引き起こすことなく、癌性細胞を殺傷するのに十分な程度に強力でなくてはならない。したがって、抗癌剤は代表的に、非常に低い治療指数を有する。すなわち、有効量と過度の毒性用量との間の有効血中濃度投与量が極度に狭くあり得る。なぜなら、薬物は、腫瘍細胞と同様に正常細胞にも高い確率で損傷を引き起こすからである。さらに、化学療法により誘導される副作用は、処置を必要とする個体の生活の質にかなりの悪影響を与え、したがって、頻繁に、個体の化学療法プロトコルの継続的なコンプライアンスに影響を与える。
【0103】
したがって、本発明の化合物および方法は、これらの状態を制御するために必要とされる放射線、免疫療法または化学療法の量を減らすため、そして、これらの従来の治療の制限のいくつかを克服するために使用され得る。
【0104】
造血細胞の異常な増殖を伴う多くの徴候において、2つの主要な処置期が存在する:寛解誘導および寛解後処置。寛解後処置は、地固め療法と呼ばれ得る。頻度は低いが、長期かつ低用量の化学療法(維持療法)を含む第3の治療期も存在する。維持療法は再発の可能性を低下させ得るが、一般的な大多数の意見は、この利点は、長期にわたり維持療法が行われると、処置に関連した死亡の危険の増加がこれを上回る。
【0105】
寛解誘導は、血液および/または骨髄からあらゆる検出可能な癌性細胞を取り除くために、2種以上の薬物を組み合わせて使用する患者の多くで達成される。寛解誘導は、本質的に、癌である急性骨髄性白血病(AML)のサブタイプである急性前骨髄球性白血病(APL)を有する患者を除き、全ての患者にとって標準的である。寛解誘導は、通常、薬物シタラビンの、必要に応じてアントラサイクリン(ダウノルビシン、ミトザントロンまたはイダルビシンを含むがこれに限定されない)と組み合わせた投与を必要とする。ときどき、エトポシドまたはチオグアニンのような第3の薬物も投与される。治療の強度は、代表的に、重篤な骨髄抑制を引き起こす。骨髄性コロニー刺激因子(G−CSFおよびGM−CSF)は、骨髄性前駆細胞の産生を誘導し、そして、誘導治療後の顆粒球減少0....症の期間を短縮するために投与され得る。急性前骨髄球性白血病(M3段階)については、白血病性細胞の最終的な分化を誘導するため(すなわち、増殖性の未熟な細胞の、非増殖性で特殊化された成熟細胞への分化を誘導するため)に、トレチノイン(オール−トランス−レチン酸、ATRA)が使用され得る。
【0106】
血液および骨髄からの検出可能な癌性細胞の消失は、必ずしも、身体内の全ての悪性細胞が殺傷されたことを意味しない。したがって、しばしば、同じ用量もしくはより少ない用量の、寛解誘導時に使用したものと同じかもしくは同様の薬物を用いたさらなる処置が、寛解期の完了直後に施される。いくつかの処置プロトコルにおいて、地固め療法は、シタラビンを用いることによって強められる。
【0107】
一局面では、本発明の方法は、炎症性障害を有するか、または炎症性障害に供され得る被験体を治療的または予防的に処置するために使用され得る。本発明の一局面は、炎症プロセスの中間的な局面におけるPI3Kδの関与に由来する。いかなる理論にも束縛されることは意図しないが、炎症は、代表的には白血球(例えば、好中球、リンパ球など)の活性化および化学走性による遊出によって媒介されるプロセスを伴い、そして、PI3Kδがこのような現象を媒介し得るので、PI3Kδのアンタゴニストは、炎症を伴う損傷を抑制するために使用され得るとの仮説が立てられる。
【0108】
本発明の治療法は、炎症性細胞の活性化に伴う障害の処置のための方法を含む。「炎症性細胞の活性化」とは、炎症性細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(すなわち、多形核白血球(例えば、好中球、好塩基球および好酸球))、肥満細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞および内皮細胞が挙げられるがこれらに限定されない)における、増殖性細胞応答の刺激(サイトカイン、抗原または自己抗体が挙げられるがこれらに限定されない)、可溶性メディエーターの産生(サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド、または血管作用性アミンが挙げられるがこれらに限定されない)、または、新しいメディエーターもしくは増大する数のメディエーターの細胞表面発現(主要組織適合性抗原または細胞接着分子が挙げられるがこれらに限定されない)による誘導を指す。これらの細胞におけるこれらの表現型のうちの1つまたは組合せの活性化は、炎症性障害の開始、持続または悪化に寄与し得ることが当業者により理解される。
【0109】
本発明の化合物は、好中球によるスーパーオキシドの放出を阻害することが分かっている。スーパーオキシドは、細胞殺傷の機構として、感染シグナルを含む種々の刺激のいずれかに応答して好中球から放出される。例えば、スーパーオキシドの放出は、リポ多糖類(LPS)のような細菌細胞壁成分との接触の際に、マクロファージ、肥満細胞およびリンパ球によって放出される腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)により誘導されることが知られる。TNFαは、炎症プロセスの非常に強力でかつ無差別なアクチベーターであり、好中球および種々の他の細胞型の活性化、白血球/内皮細胞の接着、発熱、MHCクラスI産生の増強、ならびに、新脈管形成の刺激に関与している。あるいは、スーパーオキシドの放出は、ホルミル−Met−Leu−Phe(fMLP)、または、N末端がホルミル化メチオニンでブロックされた他のペプチドによって刺激され得る。このようなペプチドは、真核生物においては通常見られないが、原則的に細菌に特徴的であり、そして、免疫系に細菌の存在を知らせる。fMLPレセプターを発現する白血球(例えば、好中球およびマクロファージ)は、増加するこれらのペプチドの勾配に従って感染の病巣に向かって移動するように刺激される(すなわち、化学走性)。本明細書中で実証されるように、本発明の化合物は、TNFαまたはfMLPのいずれかに応答した好中球によるスーパーオキシド放出の刺激を阻害する。好中球の他の機能(エキソサイトーシスの刺激および化学走性による移動の指向を含む)もまた、本発明のPI3Kδインヒビターによって阻害されることが示されている。したがって、本発明の化合物は、任意もしくは全てのこれらの好中球機能によって媒介される障害(例えば、炎症性障害)の処置に有用であることが期待され得る。
【0110】
本発明は、以下に挙げるような関節炎疾患のような疾患を処置する方法を可能にする:慢性関節リウマチ、単関節性関節炎(monoarticular arthritis)、変形性関節症、痛風性関節炎、脊椎炎;ベーチェット病;敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、グラム陽性敗血症、および毒性ショック症候群;敗血症、外傷または出血に対する続発性の多臓器傷害症候群(multiple organ injury syndrome);眼の障害(例えば、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、ブドウ膜炎および甲状腺に関連する眼障害);好酸球性肉芽腫;肺もしくは呼吸器の障害(例えば、喘息、慢性気管支炎、アレルギー性鼻炎、ARDS、慢性肺炎症性疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、珪肺症、肺類肉腫症、胸膜炎、肺胞炎、脈管炎、気腫、肺炎、気管支拡張症、および肺酸素毒性);心筋層、脳または四肢における再灌流傷害;線維症(例えば、嚢胞性線維症);ケロイド形成または瘢痕組織の形成;アテローム性動脈硬化症;自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎、糖尿病のいくつかの形態、およびレーノー症候群);および移植拒絶障害(例えば、GVHDおよび同種移植拒絶);慢性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(例えば、慢性炎症性腸疾患(CIBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎および壊死性腸炎);炎症性皮膚病(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬またはじんま疹);感染に起因する発熱および筋肉痛;中枢神経系または末梢神経系の炎症性障害(例えば、髄膜炎、脳炎、および、軽微な外傷に起因する脳または脊髄の傷害;シェーグレン症候群;白血球漏出を伴う疾患;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;抗原−抗体複合体により媒介される疾患;循環血液量減少性ショック;I型糖尿病;急性および遅延型の過敏症;白血球の悪液質および転移に起因する疾患状態;熱による傷害;顆粒球輸血関連症候群(granulocyte transfusion−associated syndrome);ならびにサイトカインが誘導する毒性。
【0111】
この方法は、再灌流傷害、すなわち、組織もしくは臓器が虚血期間を経験した後に再灌流を受ける状況から生じる傷害を有するかまたはこれに供され得る被験体の処置における有用性を有し得る。用語「虚血」とは、動脈血の流入の妨害に起因する局所的な組織貧血を指す。一過性の虚血とその後の再灌流は、特徴的に、悪影響を受けた領域の血管の内皮を通した好中球の活性化および遊出を生じる。活性化された好中球の蓄積は、次いで、反応性酸素代謝物の生成をもたらし、この反応性酸素代謝物が冒された組織または臓器の構成成分を損傷する。この「再灌流傷害」という現象は、一般に、血管の卒中(全身性および限局性の虚血を含む)、出血性ショック、心筋虚血もしくは心筋梗塞、臓器移植および脳血管攣縮のような状態に伴う。例を挙げると、再灌流傷害は、心臓バイパス処置の終了時、または、一度血液の流入を妨害された心臓が再灌流し始める際の心停止中に生じる。PI3Kδ活性の阻害は、このような状況における再灌流傷害の量の減少をもたらすことが期待される。
【0112】
神経系に関して、全身性の虚血は、一定の期間にわたり脳全体への血流が中断されるときに生じる。全身性の虚血は、心停止から生じ得る。限局性の虚血は、脳の一部がその正常な血液供給を奪われるときに生じる。限局性の虚血は、脳血管の血栓塞栓性閉塞、外傷性心傷害、浮腫または脳腫瘍から生じ得る。一過性だとしても、全身性および限局性の虚血の両方は、広範囲に及ぶ神経の損傷を引き起こし得る。神経組織の損傷は、虚血の発症後数時間または数日にわたり生じるが、脳への血流の中断後の最初の数分で、いくらかの永続的な神経組織の損傷が生じ得る。
【0113】
虚血はまた、心筋梗塞、および、アテローム性動脈硬化症、血栓または攣縮の結果として冠状動脈が遮られる他の心臓血管障害の心臓において生じ得る。したがって、本発明はまた、心臓組織の損傷、特に、心臓虚血から生じる損傷または哺乳動物における再灌流傷害により引き起こされる損傷の処置に有用である。
【0114】
別の局面では、PI3Kδ活性の選択的インヒビター(例えば、本発明の化合物)は、骨の疾患、特に、破骨細胞の機能が異常であるかもしくは好ましくない疾患の処置方法において使用され得る。PI3Kδの選択的インヒビターは、インビトロにおいて破骨細胞の機能を阻害することが示されている。例えば、米国特許第6,800,620号を参照のこと。したがって、本発明のPI3Kδ選択的インヒビターは、破骨細胞機能の低下が望まれる、骨小孔形成、パジェット病、および、関連の骨再吸収障害の処置において価値があり得る。
【0115】
さらなる局面では、本発明は、造血細胞起源の癌性細胞、具体的にはリンパ球起源の癌性細胞、より具体的にはBリンパ球またはBリンパ球の前駆体に関連するかもしくはこれに由来する癌細胞の成長または増殖を阻害するために選択的なPI3Kδ阻害化合物を使用する方法を包含する。本発明の方法を用いた処置になじむ癌としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫などのようなリンパ球および網内皮系組織の悪性新生物);多発性骨髄腫;ならびに、白血病(例えば、リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病など)。好ましい実施形態では、PI3Kδ阻害化合物は、慢性骨髄性白血病細胞の成長または増殖を阻害または制御するために使用され得る。
【0116】
別の局面では、本発明は、好塩基球および/または肥満細胞の機能を抑制するための方法を包含し、それにより、過剰もしくは望ましくない好塩基球および/または肥満細胞の活性によって特徴付けられる疾患または傷害の処置を可能にする。この方法によれば、本発明の化合物は、好塩基球および/または肥満細胞におけるホスファチジルイノシトール 3−キナーゼδ(PI3Kδ)の発現または活性を選択的に阻害するために使用され得る。好ましくは、この方法は、好塩基球および/または肥満細胞によるヒスタミン放出の刺激を阻害するのに十分な量で、式(1)または(2)のPI3Kδインヒビターを用いる。したがって、このようなPI3Kδ選択的インヒビターの使用は、ヒスタミン放出により特徴付けられる疾患、すなわち、アレルギー性障害(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、ARDS、気腫のような障害および関連の障害を含む)の処置において価値があり得る。
【0117】
本発明に従う方法は、PI3Kδ選択的インヒビターを、インヒビターの活性を増強するか、または、処置におけるその活性もしくは使用を引き立たせる1以上の他の因子と共に投与する工程を包含し得る。このようなさらなる因子および/または薬剤は、PI3Kδ選択的インヒビターと共に投与されたときに、増大されたか、もしくは、相乗作用的でさえもある作用をもたらし得るか、または、副作用を最小限にし得る。
【0118】
一実施形態では、本発明の方法はさらに、ラパマイシンインヒビターの哺乳動物標的(mTOR)を投与する工程を包含する。この実施形態の一局面では、mTORインヒビターはラパマイシンである。使用され得る他のmTORインヒビターとしては、FK506、シクロスポリンA(CsA)およびエベロリムスが挙げられる。
【0119】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の選択的PI3Kδインヒビターを、特定のサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓崩壊性因子もしくは抗血栓因子、または、抗炎症性因子と共に含有する処方物を、PI3Kδ選択的インヒビターの投与前、投与中または投与後に投与する工程を包含し得る。当業者は、特定のサイトカイン、リンホカイン、造血因子、血栓崩壊性因子もしくは抗血栓因子、および/または抗炎症性因子が、処置において、PI3Kδ選択的インヒビターの活性または使用を増強または引き立てるかどうかを容易に決定し得る。
【0120】
より具体的には、限定はされないが、本発明の方法は、PI3Kδ選択的インヒビターを、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子およびエリスロポエチンのうちの1以上と共に投与する工程を包含し得る。本発明に従う組成物はまた、以下を含み得る:他の公知のアンジオポエチン(例えば、Ang−2、Ang−4およびAng−Y)、増殖因子(例えば、骨形成タンパク質−1、骨形成タンパク質−2、骨形成タンパク質−3、骨形成タンパク質−4、骨形成タンパク質−5、骨形成タンパク質−6、骨形成タンパク質−7、骨形成タンパク質−8、骨形成タンパク質−9、骨形成タンパク質−10、骨形成タンパク質−11、骨形成タンパク質−12、骨形成タンパク質−13、骨形成タンパク質−14、骨形成タンパク質−15、骨形成タンパク質レセプターIA、骨形成タンパク質レセプターIB、脳由来神経栄養因子、線毛神経栄養因子、線毛神経栄養因子レセプターα、サイトカイン誘導性好中球化学走性因子1、サイトカイン誘導性好中球化学走性因子2α、サイトカイン誘導性好中球化学走性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、上皮由来好中球誘引物質、繊維芽細胞増殖因子4、繊維芽細胞増殖因子5、繊維芽細胞増殖因子6、繊維芽細胞増殖因子7、繊維芽細胞増殖因子8、繊維芽細胞増殖因子8b、繊維芽細胞増殖因子8c、繊維芽細胞増殖因子9、繊維芽細胞増殖因子10、繊維芽細胞増殖因子(酸性)、繊維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα1、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα2、成長関連タンパク質(growth related protein)、成長関連タンパク質α、成長関連タンパク質β、成長関連タンパク質γ、ヘパリン結合表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子レセプター、インシュリン様増殖因子I、インシュリン様増殖因子レセプター、インシュリン様増殖因子II、インシュリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子レセプターα、神経増殖因子、神経増殖因子レセプター、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子レセプターα、血小板由来増殖因子レセプターβ、プレ−B細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子レセプター、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在性形質転換増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、腫瘍壊死因子レセプターI型、腫瘍壊死因子レセプターII型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲナクチベーターレセプター)、ならびに、これらのキメラタンパク質、および、生物学的もしくは免疫学的に活性な断片。
【0121】
さらに、限定はされないが、本発明の方法は、1種以上の化学療法剤と共にPI3Kδ選択的インヒビターを投与する工程を包含し得、この化学療法剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルキル化剤、挿入剤(intercalating agent)、代謝拮抗薬、天然の生成物、生物学的応答修飾物質、異種異質混成因子(miscellaneous agent)、ならびに、ホルモンおよびアンタゴニスト。本発明の方法において使用するためのアルキル化剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランおよびクロラムブシル)、ニトロソ尿素類(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)およびセムスチン(メチル−CCNU))、エチレンイミン/メチルメラミン(例えば、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレンチオホスホラミド(チオテパ)およびヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)、スルホン酸アルキル類(例えば、ブスルファン)、およびトリアジン(例えば、ダカルバジン(DTIC))。代謝拮抗薬としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:葉酸アナログ(メトトレキサート、トリメトレキサートおよびペメトレキシド二ナトリウム(pemetrexed disodium)を含む)、ピリミジンアナログ(5−フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジンおよび2,2−ジフルオロデオキシシチジンを含む)、およびプリンアナログ(6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2’−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA)を含む)。本発明の方法において使用するための挿入剤としては、エチジウムブロマイドおよびアクリジンが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の方法において使用するための天然の生成物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗有糸分裂薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンを含む)、タキソテール、エストラムスチンおよびリン酸エストラムスチン)。本発明の方法において使用するためのさらなる天然の生成物としては、以下が挙げられる:エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド)、抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プロカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびアクチノマイシンD)、および酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)。本発明の方法において使用するための生物学的応答修飾物質としては、インターフェロン−α、IL−2、G−CSFおよびGM−CSFが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の方法において使用するための異種異質混成因子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:白金配位錯体(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン)、アントラセンジオン類(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素類(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、N−メチルヒドラジン(MIH)およびプロカルバジン)および副腎皮質抑制剤(例えば、ミトーテン(o,p−DDD)およびアミノグルテチミド)。本発明の方法において使用するためのホルモンおよびアンタゴニストとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:副腎皮質ステロイド/アンタゴニスト(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンおよびアミノグルテチミド)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロンおよび酢酸メゲストロール)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール)、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモンアナログおよびロイプロリド)および非ステロイド性抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド)。
【0122】
一局面では、化学療法は、DNA損傷性化学療法である。本発明の方法において使用することが企図される特定のタイプのDNA損傷性化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤および挿入剤が挙げられる。
【0123】
本発明の方法はまた、さらに、光力学療法(photodynamic therapy)プロトコルと組み合わせてPI3Kδ選択的インヒビターを投与する工程をさらに包含し得る。代表的には、光感作物質は、経口的、静脈内または局所的に投与され、次いで、外部光源により活性化される。本発明の方法において使用するための光感作物質としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ソラレン、ルテチウムテキサフィリン(LuTex)、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)(例えば、VerteporfinおよびPhotofrinポルフィマーナトリウム(PH))、フタロシアニンおよびこれらの誘導体。光感作物質を活性化するためには、代表的には、レーザが使用される。発光ダイオード(LED)および蛍光光源もまた使用され得るが、これらは、実際に、より長い処置時間をもたらす。
【0124】
さらに、限定はされないが、本発明の方法は、少なくとも1種の抗脈管形成因子と共にPI3Kδ選択的インヒビターを投与する工程を包含し得、この抗脈管形成因子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:プラスミノーゲンの断片(例えば、アンギオスタチンおよびエンドスタチン);脈管新生抑制ステロイド(例えば、スクアラミン);マトリクスメタロプロテイナーゼインヒビター(例えば、Bay−129566);抗脈管内皮増殖因子(抗VEGF)アイソフォーム抗体;抗VEGFレセプター抗体;VEGFアイソフォームおよびそのレセプターを標的とするインヒビター;増殖因子(例えば、VEGF、PDGF、FGF)レセプターチロシンキナーゼ触媒活性のインヒビター(例えば、SU11248);FGF産生のインヒビター(例えば、インターフェロンα);メチオニンアミノペプチダーゼ−2のインヒビター(例えば、TNP−470);銅減少療法(例えば、テトラチオモリブデート(tetrathiomolybdate));FGF誘因性脈管形成のインヒビター(例えば、サリドマイドおよびそのアナログ);血小板因子4;およびトロンボスポンジン。
【0125】
さらに、本発明の方法は、さらに、骨髄移植(BMT)および/または末梢血幹細胞移植(PBSCT)処置を包含し得る。移植は、あるいは、自家移植、同系移植または同種異系移植であり得る。
【0126】
本発明の方法は、以下の式(1):
【0127】
【化12】

を有するPI3Kδ選択的インヒビターまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を企図しており、上記式において、Q、Q、Q、Z、R、LおよびHetは、上に規定されたとおりである。
【0128】
本発明のインヒビターは、キャリア分子と共有結合性もしくは非共有結合性に関連付けられ得、このキャリア分子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:直鎖状ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリリジン、デキストランなど)、分枝鎖ポリマー(米国特許第4,289,872号および同第5,229,490号;PCT公開番号WO 93/21259を参照のこと)、脂質、コレステロール群(例えば、ステロイド)、または、炭水化物もしくはオリゴ糖。本発明の薬学的組成物において使用するためのキャリアの特定の例としては、以下が挙げられる:炭水化物ベースのポリマー(例えば、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、乳糖、ソルビトール、デキストラン(例えば、シクロデキストラン)、セルロースおよびセルロース誘導体)。また、リポソーム、マイクロカプセルもしくはミクロスフェア、包摂錯体、または他のタイプのキャリアの使用が企図される。
【0129】
他のキャリアとしては、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号および同第4,179,337号に記載されるような、ポリオキシエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのような1以上の水溶性ポリマー付加物(attachment)が挙げられる。当該分野で公知のなお他のキャリアポリマーとしては、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびに、これらのポリマーの混合物が挙げられる。
【0130】
この方法は、インヒビターの投与を必要とする個体への、インヒビター単独、または、本明細書中に記載されるような組合せでのインヒビターの投与を包含し、そして、各場合において、必要に応じて、1種以上の適切な希釈剤、充填剤、塩、崩壊剤、結合剤、潤滑剤(lubricant)、滑沢剤(glidant)、湿潤剤、制御放出マトリクス、着色料/矯味矯臭薬、キャリア、賦形剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、当該分野で周知の他の物質、およびこれらの組合せを包含する。
【0131】
薬学的ビヒクル、薬学的賦形剤または薬学的媒体として機能する、あらゆる薬学的に受容可能な(すなわち、無菌かつ非毒性の)液体、半固体または固体の希釈剤が使用され得る。例示的な希釈剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、鉱油、カカオ脂(cocoa butter)、およびカカオ脂(oil of theobroma)、メチルヒドロキシ安息香酸およびプロピルヒドロキシ安息香酸、滑石、アルギン酸塩、糖質、特にマンニトール、α−乳糖、無水乳糖、セルロース、ショ糖、デキストロース、ソルビトール、修飾されたデキストラン、アカシアゴム、およびデンプン。いくつかの市販の希釈剤は、Fast−Flo(登録商標)、Emdex(登録商標)、STA−Rx 1500(登録商標)、Emcompress(登録商標)およびAvicel(登録商標)である。このような組成は、PI3Kδインヒビター化合物の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランスの速度に影響を与え得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版、pp.1435−1712(1990)、これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0132】
薬学的に受容可能な充填剤としては、例えば、乳糖、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、デキストロース、マンニトールおよび/またはショ糖が挙げられ得る。
【0133】
三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む無機塩もまた、薬学的組成物における充填剤として使用され得る。薬学的組成物の緩衝性処方物における使用のように、アミノ酸が使用され得る。
【0134】
崩壊剤は、インヒビターの固体投薬処方物中に含められ得る。崩壊剤として使用される物質としては、市販のデンプンベースの崩壊剤であるExplotab(登録商標)を含む、デンプンが挙げられるがこれに限定されない。グリコール酸ナトリウムデンプン、Amberlite(登録商標)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、中性スポンジおよびベントナイトは全て、薬学的組成物における崩壊剤として使用され得る。他の崩壊剤としては、不溶性のカチオン性交換樹脂が挙げられる。アガー(agar)、カラヤゴムまたはトラガントゴムのような粉末状ゴムを含む粉末状ゴムは、崩壊剤として、そして、結合剤として使用され得る。アルギン酸およびそのナトリウム塩もまた、崩壊剤として有用である。
【0135】
結合剤は、治療剤を一緒に保持して硬い錠剤を形成するために使用され得、そして、これらとしては、アカシアゴム、トラガントゴム、デンプンおよびゼラチンのような天然生成物に由来する物質が挙げられる。他には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は共に、治療成分の造粒を容易にするためにアルコール性溶液中で使用され得る。
【0136】
減摩剤(antifrictional agent)は、調合プロセス中のスティッキングを防止するために、治療成分の処方物中に含められ得る。潤滑剤(lubricant)は、治療成分とダイの壁との間の層として使用され得、そして、これらとしては、以下が挙げられ得るがこれらに限定されない:ステアリン酸(そのマグネシウム塩およびカルシウム塩を含む)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油および蝋。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、種々の分子量のポリエチレングリコール、Carbowax(登録商標)4000および6000のような可溶性の潤滑剤もまた使用され得る。
【0137】
調合の間に治療成分の流動特性を改善し得、そして、圧縮の間に再配列を助けるための滑沢剤(glidant)が添加され得る。適切な滑沢剤としては、デンプン、滑石、発熱性シリカ、およびアルミン酸シリカ水和物が挙げられる。
【0138】
水性環境中への治療薬の溶解を補助するために、湿潤剤として界面活性剤が添加され得る。天然または合成の界面活性剤が使用され得る。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、およびジオクチルナトリウムスルホネート)が挙げられ得る。塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムのようなカチオン性界面活性剤が使用され得る。薬学的処方物において使用され得る非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる:ラウロマクロゴール(lauromacrogol)400、ポリオキシル(polyoxyl)40ステアレート、水素化ポリオキシエチレンひまし油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロース。これらの界面活性剤は、単独で、または、種々の割合の混合物として、本発明の薬学的組成物中に存在し得る。
【0139】
制御放出処方物が所望され得る。本発明のインヒビターは、拡散または浸出機構のいずれかによる放出を可能にする不活性マトリクス(例えば、ゴム)中に組み込まれ得る。ゆっくりと崩壊するマトリクス(例えば、アルギン酸塩、多糖類)もまた、薬学的処方物中に組み込まれ得る。制御放出の別の形態は、Oros(登録商標)治療システム(Alza Corp.)をベースとした方法であり、すなわち、薬物が、浸透圧の作用により、単一の小さな開口部を通って水が入り、インヒビター化合物を押し出すことを可能にする半透膜中に封入される。いくつかの腸溶性コーティングもまた、遅延放出作用を有する。
【0140】
着色料および矯味矯臭剤もまた、薬学的組成物中に含められ得る。例えば、本発明のインヒビターは、(例えば、リポソームまたはマイクロスフェアカプセル化により)調合され、次いで、さらに、食用の製品(例えば、着色料および矯味矯臭剤を含む飲料)中に含められ得る。
【0141】
治療剤はまた、フィルムコーティング錠で提供され得る。薬学的組成物をコーティングする際に使用するための非腸溶性物質としては、以下が挙げられる:メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ナトリウムカルボキシ−メチルセルロース、ポビドンおよびポリエチレングリコール。薬学的組成物をコーティングする際に使用するための腸溶性物質としては、フタル酸のエステルが挙げられる。最適なフィルムコーティングを提供するために、物質の混合物が使用され得る。フィルムコーティングの製造は、パンコーティング装置(pan coater)中、流動床中、または、圧縮コーティングによって行われ得る。
【0142】
組成物は、固体、半固体、液体または気体の形態で投与され得るか、あるいは、凍結乾燥形態のような乾燥粉末であり得る。薬学的組成物は、送達に簡便な形態(例えば、カプセル、サシェー剤(sachet)、カシェー剤(cachet)、ゼラチン、紙、錠剤、カプセル剤、坐剤、ペレット、丸剤、トローチ、舐剤(lozenge)、または当該分野で公知の他の形態でパッケージ化され得る。パッケージのタイプは、一般に、所望される投与経路に依存する。経皮処方物のように、埋め込み可能な持続性放出処方物もまた企図される。
【0143】
本発明に従う方法において、インヒビター化合物は、種々の経路により投与され得る。例えば、薬学的組成物は、例えば、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射、乳房内注射、腹腔内注射、くも膜下腔内注射、眼内注射、眼球後注射、肺内注射(例えば、エアロゾル化された薬物)または皮下注射によるもの(長時間放出のためのデポー投与、例えば、脾臓莢膜下、脳、または角膜内に埋め込まれたものを含む);舌下、経肛門、経膣によるもの、または、外科的移植によるもの(例えば、脾臓莢膜下、脳、または角膜内に埋め込まれたもの)を含め、注射、または、経口、経鼻、経皮、または、他の投薬形態のためのものであり得る。処置は、単一用量またはある期間にわたる複数用量から構成され得る。一般に、本発明の方法は、上記のように、薬学的に受容可能な希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/またはキャリアと共に、本発明のインヒビターの有効量を投与する工程を包含する。
【0144】
一局面では、本発明は、本発明の薬学的組成物の経口投与のための方法を提供する。経口固体投薬形態は、一般に、上掲のRemington’s Pharmaceutical Sciencesの89章に記載される。固体投薬形態としては、錠剤、カプセル、丸剤、トローチまたは舐剤、および、カシェー剤またはペレットが挙げられる。また、リポソームまたはプロテイノイドの被包は、組成物を調合するために使用され得る(例えば、米国特許第4,925,673号において報告されたプロテイノイドマイクロスフェアなど)。リポソーム被包は、種々のポリマーで誘導体化されたリポソームを含み得る(例えば、米国特許第5,013,556号)。一般に、処方物は、本発明の化合物と、胃内での分解に対して保護し、そして、腸での生物学的に活性な物質の放出を可能にする不活性成分とを含む。
【0145】
インヒビターは、粒子サイズ約1mmの顆粒またはペレットの形態で、微細な多微粒子物(multiparticulates)として処方物中に含められ得る。カプセル投与のための物質はまた、粉末、軽く圧縮された栓子として、または、さらには錠剤として調合され得る。カプセルは、圧縮により調製され得る。
【0146】
また、本発明に従うPI3Kδインヒビターの肺送達も本明細書中で企図される。本発明のこの局面によれば、インヒビターは、適切な組成物の吸入により哺乳動物の肺に送達され、そして、PI3Kδインヒビターは、肺上皮内層を横切って血流へと移る。
【0147】
本発明の実施における使用が企図されるのは、治療用製品の肺送達のために設計された広範囲の機械式デバイスであり、これらとしては、噴霧器、定用量吸入器および粉末吸入器が挙げられるがこれらに限定されず、そして、これらは全て、当業者によく知られている。本発明の実施に適した市販のデバイスのいくつかの特定の例は、UltraVentTM噴霧器(Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,Mo.製);Acorn II(登録商標)噴霧器(Marquest Medical Products,Englewood,Colorado製);Ventolin(登録商標)定用量吸入器(Glaxo Inc.,Research Triangle Park,North Carolina製);およびSpinhaler(登録商標)粉末吸入器(Fisons Corp.,Bedford,Mass製)である。
【0148】
このようなデバイスは全て、本発明の化合物を分配するのに適した処方物の使用を必要とする。代表的には、各処方物は、使用されるデバイスのタイプに特有であり、そして、希釈剤、アジュバントおよび/または、治療に有用なキャリアに加え、適切な噴霧体物質の使用を伴い得る。
【0149】
肺投与法において使用される場合、本発明のインヒビターは、末端の肺への最も効率的な送達のためには、10μm(すなわちミクロン)未満(例えば、0.5〜5μm)の平均粒子径を持つ微粒子形態で調製されることが最も有益である。
【0150】
ジェット式または超音波式のいずれかの噴霧器と共に使用するために適切な処方物は、代表的には、溶液1mLにつき約0.1〜100mgのインヒビター、溶液1mLにつき1〜50mgのインヒビター、または、溶液1mLにつき5〜25mgのインヒビターの濃度範囲で、水中に溶解された本発明の化合物を含む。処方物はまた緩衝液を含み得る。噴霧器用処方物はまた、エアロゾルの形成において、溶液の噴霧によって引き起こされるインヒビターの表面誘発性の凝集を低減または防止するために、界面活性剤を含み得る。
【0151】
定用量吸入デバイスと共に使用するための処方物は、一般に、界面活性剤の助けにより、噴霧体中に懸濁された本発明のインヒビターを含む、微細に分割された粉末を含む。噴霧体は、この目的のために用いられる任意の従来の物質(例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボンもしくは炭化水素(トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む)またはこれらの組合せ)であり得る。適切な界面活性剤としては、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが挙げられる。オレイン酸もまた、界面活性剤として有用であり得る。
【0152】
粉末吸入デバイスから分配するための処方物は、本発明の化合物を含有する微細に分割された乾燥粉末を含み、そしてまた、デバイスからの粉末の分散を容易にする量(例えば、処方物の重量による50〜90重量%)の、増量剤(bulking agent)または希釈剤(例えば、乳糖、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはキシリトール)を含み得る。
【0153】
本発明の化合物の経鼻送達もまた企図される。経鼻送達は、肺中の製品の沈着の必要性を伴うことなく、治療用製品の鼻への投与の直後のインヒビターの血流中への通過を可能にする。経鼻送達のための処方物は、デキストランまたはシクロデキストランを含み得る。他の粘膜を横切る輸送を介した送達もまた企図される。
【0154】
PI3Kδ選択的化合物の毒性および治療効率は、例えば、LD50(集団の50%までに致死性の用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的処置により決定され得る。さらに、この情報は、他の治療(放射線、化学療法剤、光力学療法、高周波焼灼、抗血管新生因子、およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない)でさらに処置された細胞培養または実験動物において決定され得る。
【0155】
本発明の方法の実施において、薬学的組成物は、一般に、一日用量、または、より長いかもしくはより短い(例えば、1日おき、週2回、週1回、または、1日2回もしくは1日3回)間隔の等価な用量で、体重1kgあたり1pg〜1000mgの化合物、0.01mg〜100mgの化合物、0.1mg〜20mgの化合物の範囲の用量で提供される。インヒビター組成物は、最初にボーラスで、その後、循環血中に治療レベルの薬物製品を維持するための連続注入により投与され得る。当業者は、良質の医療のための原則(good medical practice)および処置される個体の臨床状態によって決定される、有効投薬量および投与レジメンを容易に最適化する。投薬の頻度は、薬剤の薬物動態パラメータおよび投与経路に依存する。
【0156】
最適な薬学的処方物は、投与経路および所望される投薬量に依存して、当業者により決定される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、最新版(この開示は本明細書により参考として援用される)を参照のこと)。このような処方物は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランスの速度に影響を与え得る。投与経路に依存して、適切な用量は、体重、体表面積または臓器の大きさに応じて計算され得る。上述の処方物の各々を伴う処置に適切な投薬量を決定するために必要とされる計算のさらなる精緻は、特に、本明細書中に開示される投薬量の情報およびアッセイ、ならびに、ヒトの臨床治験において観察された薬物動態データを考慮すれば、過度の実験を伴うことなく、当業者により慣用的になされる。適切な投薬量は、血中投薬量レベルを決定するための確立されたアッセイの使用を、適切な医師が考慮する薬物の作用(例えば、薬物の比活性、適応症の重篤度、ならびに、個体の応答性、個体の年齢、状態、体重、性別および食事、投与時間、ならびに、他の臨床上の要因)を変更する種々の要因とを組み合わせることにより、確定され得る。研究が行われると、造血細胞の異常な増殖を伴う種々の適応症に対する、適切な投薬量レベルおよび処置期間に関するさらなる情報が明らかになる。
【実施例】
【0157】
以下の実施例は、単に、本発明を説明するために提供されるのであり、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0158】
(実施例1)
(IC491691: 6−ブロモ−3−フェニル−2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0159】
【化13】

D2: 2−アセチルアミノ−チオフェン−3−カルボン酸フェニルアミド。市販の2−アセチルアミノ−チオフェン−3−カルボン酸(200mg,1.08mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(426mg,1.12mmol)、DIEA(376μL,2.16mmol)、およびアニリン(148μL,1.62mmol)の、DMF(2mL)中の溶液を、室温で16時間攪拌した。次いで、この反応混合物をHO(7mL)で処理し、5分間攪拌すると、褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を、濾紙で濾過することにより収集した。次いで、この沈殿物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、そして3N HCl(2×15mL)で洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そしてロータリーエバポレーションにより濃縮して、さらに精製せずに生成物を得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 261(MH+)。
【0160】
【化14】

D3: 2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3,d]ピリミジン−4−オン。2−アセチルアミノ−チオフェン−3−カルボン酸フェニルアミド(115mg,0.442mmol)のオキシ塩化リン(5mL)中の溶液を、密封管内で125℃で48時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、次いで濃縮して、残渣を得た。次いで、この残渣を酢酸エチル(5mL)に溶解し、そして飽和水性重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で洗浄した。その有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そしてロータリーエバポレーションにより濃縮して、さらに精製せずに生成物を緑色の粘性残渣として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 243(MH+)。
【0161】
【化15】

D4: 6−ブロモ−2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3,d]ピリミジン−4−オン。IC−A7について記載された一般手順に従う。2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3,d]ピリミジン−4−オン(118mg,0.487mmol)の酢酸(3mL)中の溶液を酢酸カリウム(72mg,0.731mmol)で処理し、続いて臭素(38μL,0.731mmol)を添加した。シリカゲルクロマトグラフィー(9:1ヘキサン/酢酸エチル)による精製により、生成物を得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 323(MH+)。
【0162】
【化16】

D5: 6−ブロモ−2−ブロモメチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン。6−ブロモ−2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3,d]ピリミジン−4−オン(90mg,0.280mmol)の四塩化炭素(3mL)中の溶液をN−ブロモスクシンイミド(84mg,0.476mmol)で処理し、続いて過酸化ベンゾイル(68mg,0.280)を添加した。得られた混合物を7.5時間加熱還流し、次いで室温まで冷却し、そしてシリカゲルで濾過した。このシリカゲルプラグを酢酸エチル(20mL)でフラッシュし、そして合わせた濾液をロータリーエバポレーションにより濃縮して、粗製生成物(80mg)を得た。HPLC(C−18 Vydacカラム5.0×25cm,10〜20% CHCN/HO(0.05% CHCOHを含む))による精製および引き続く凍結乾燥により、精製された生成物を白色固体として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 401(MH+)。
【0163】
【化17】

IC491691: 6−ブロモ−3−フェニル−2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン。DMF(500μL)中の6−ブロモ−2−ブロモメチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン(18mg,0.045mmol)を6−メルカプトプリン一水和物(8mg,0.045mmol)で処理し、続いて炭酸カリウム(8mg,0.045mmol)を添加した。得られた混合物を室温で16時間攪拌し、次いで飽和水性塩化ナトリウム溶液(5mL)を添加することによりクエンチし、これにより、白色沈殿物が得られた。濾過後、生成物が白色固体として得られた。粗製反応混合物をHPLC(C−18 Lunaカラム1×18mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))により精製し、生成物を凍結乾燥後にふわふわした白色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.52(s,1H),8.44(s,1H),7.59(s,1H),7.48(m,5H),4.37(s,2H);LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z(MH+)473。
【0164】
(実施例2)
(IC491693: 2−(6−アミノ−プリン−9−イルメチル)−6−ブロモ−3−フェニル−3H−チエノ−[2,3−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0165】
【化18】

IC491693: 6−ブロモ−3−フェニル−2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン。IC491691について記載された一般手順に従う。6−ブロモ−2−ブロモメチル−3−フェニル−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン(18mg,0.045mmol)のDMF(500μL)中の攪拌溶液をアデニン(6.5mg,0.048mmol)で処理し、続いて炭酸カリウム(6.5mg,0.047mmol)を添加した。粗製反応混合物をHPLC(C−18 Lunaカラム1×18mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))により精製し、生成物を凍結乾燥後にふわふわした白色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 8.20(s,1H),8.15(s,1H),7.58(m,6H),5.05(s,2H);LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z456(MH+)。
【0166】
(実施例3)
(IC491791: 2−[1−(4−アミノ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0167】
【化19】

E2: (2−フェニルカルバモイル−チオフェン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル。3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−チオフェン−2−カルボン酸(1.5g,6.17mmol)のDMF(15mL)中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(2.14mL,12.3mmol)、アニリン(0.844mL,9.26mmol)、およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(2.68g.,7.04mmol)を添加し、室温で3時間攪拌した。次いで、この反応混合物をHO(30mL)で処理した。酢酸エチル(75mL)を添加し、続いて飽和水性炭酸ナトリウムの溶液を添加し、そしてその有機層を洗浄した。次いで、この有機層を再度、HO(60mL)、飽和水性炭酸ナトリウムの溶液(1×60mL)、HO(60mL)、1N HCl(1×60mL)、およびHO(60mL)で順番に洗浄した。次いで、その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、生成物を金色油状物として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z319(MH+)。
【0168】
【化20】

E3: 3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド。(2−フェニルカルバモイル−チオフェン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルのトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(1:1)中の溶液を、室温で3時間攪拌した。この反応混合物を濃縮して残渣にした。この残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、次いで飽和炭酸ナトリウムの溶液(1×50mL)で洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、さらに精製せずに生成物を得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z219(MH+)。
【0169】
【化21】

E4: 3−(2−クロロ−プロピオニルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド。3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド(1.25g,5.73mmol)の溶液に0℃で、2−クロロプロピオニルクロリド(0.477mL,4.81mmol)を添加し、そして1時間攪拌した。次いで、反応混合物をHO(20mL)で処理した。その水層をジクロロメタン(1×25mL)で抽出した。その有機層を合わせ、そして硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、さらに精製せずに、生成物を淡白色固体として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z309(MH+)。
【0170】
【化22】

E5: 2−(1−クロロ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。3−(2−クロロ−プロピオニルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド(600mg,1.94mmol)のオキシ塩化リン(15mL)中の溶液を、密封管内で125℃で48時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、次いで濃縮して、残渣を得た。次いで、この残渣を酢酸エチル(25mL)に溶解し、そしてHO(2×25mL)で洗浄した。その有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そしてロータリーエバポレーションにより濃縮して、さらに精製せずに生成物を緑色の粘性残渣として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 291(MH+)。
【0171】
【化23】

IC491791: 2−[1−(4−アミノ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。2−(1−アミノ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(47mg,0.162mmol)のDMF中の溶液に、アデニン(26mg,0.194)を添加し、続いて炭酸カリウム(22mg,0.162mmol)を添加した。次いで、得られた混合物を、油浴中で125℃で5分間加熱した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却し、次いでHO(10mL)で処理して、沈殿物を得た。この沈殿物を収集し、そして真空オーブン中で乾燥させて、粗製生成物を得た。HPLC(C−18 Lunaカラム250×21.20mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))による精製により、生成物を凍結乾燥後にふわふわした白色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.37(s,1H),8.25(d,J=5.2Hz,1H),8.16(s,1H),7.67(d,J=8.0Hz,1H),7.58(m,1H),7.44(m,2H),7.36(m,1H),7.17(d,J=8.0Hz,1H),5.49(q,J=6.8Hz,1H),1.75(d,J=6.4Hz,3H)。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 390(MH+)。
【0172】
注記:中間体E5はまた、以下の方法により、遊離アミンE6に変換され得る。E6は、本発明の範囲内であるさらなる化合物の調製のために有用である。例えば、実施例6を参照のこと。
【0173】
【化24】

E6: 2−(1−アミノ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。2−(1−クロロ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(564mg,1.94mmol)の7N NH/MeOH中の溶液を、密封管内で85℃で48時間加熱し、次いで室温まで冷却し、そして濃縮して、生成物を得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 272(MH+)。
【0174】
(実施例4)
(IC491793: 3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルスルファニル)−エチル]−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0175】
【化25】

IC491793: 3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルスルファニル)−エチル]−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。2−(1−クロロ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(47mg,0.162mmol)(E5、調製は上に示される)のDMF中の溶液に、6−メルカプトプリン(33mg,0.194)を添加し、続いて炭酸カリウム(22mg,0.162mmol)を添加した。得られた混合物を室温で18時間攪拌した。次いで、この反応混合物をHO(3mL)で処理し、そしてその水層を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。次いで、その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗製生成物を得た。次いで、その粗製物質をHPLC(C−18 Lunaカラム250×21.20mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))により精製して、凍結乾燥後に生成物を得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.40(d,J=8.0Hz,2H),8.26(d,J=5.2Hz,1H),7.54(m,3H),7.34(m,2H),7.13(t,J=7.6Hz,1H),5.11(q,J=7.2Hz,1H),1.68(d,J=6.8Hz,3H)。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 407(MH+)。
【0176】
(実施例5)
(IC491835: 3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−エチル]−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0177】
【化26】

IC491835: 3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−エチル]−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。2−(1−アミノ−エチル)−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(125mg,0.461mmol)(E6、調製は上に示される)のエタノール(10mL)中の溶液に、6−ブロモプリン(292mg,1.47mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.361mL,2.07mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を密封管内で85℃で4日間加熱し、次いで室温まで冷却し、そして濃縮した。次いで、その粗製残渣をHPLC(C−18 Lunaカラム250×21.20mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))により精製して、凍結乾燥後に生成物を淡黄色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.66(br s,1H),8.36(br s,2H),8.23(d,J=5.2Hz,1H),7.60(m,3H),7.46(m,3H),4.88(m,1H),1.46(d,J=7.2Hz,3H)。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 390(MH+)。
【0178】
(実施例6)
(IC491597: 3−フェニル−2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンの調製)
【0179】
【化27】

B2: 3−アセチルアミノ−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド。一般手順。市販の3−アセチルアミノ−チオフェン−2−カルボン酸(3.0g,16.2mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(9.24g,24.3mmol)、DIEA(7.05mL,40.5mmol)、およびアニリン(2.21mL,24.3mmol)の、ジクロロメタン(65mL)中の混合物を、室温で16時間攪拌した。次いで、この反応混合物をロータリーエバポレーションにより濃縮して、濃厚な粘性残渣を得た。この残渣を酢酸エチル(25mL)で希釈し、次いで飽和水性重炭酸ナトリウム溶液(2×50mL)、HO(1×50mL)、1N HCl(2×50mL)、およびHO(1×50mL)で洗浄した。次いで、その有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗製生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(1:1ヘキサン/酢酸エチル)による精製により、精製された生成物を得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 261(MH+)。
【0180】
【化28】

B3: 2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。3−アセチルアミノ−チオフェン−2−カルボン酸フェニルアミド(358mg,1.38mmol)のオキシ塩化リン(7.5mL)中の溶液を、密封管内で105℃で1.5時間加熱した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却すると、沈殿物が形成された。この反応混合物をロータリーエバポレーションにより濃縮して、残渣を得た。この残渣を酢酸エチル(15mL)に溶解し、そして飽和重炭酸ナトリウム(2×20mL)で洗浄した。次いで、その有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、さらに精製せずに生成物を褐橙色油状物として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 243(MH+)。
【0181】
【化29】

B4: 2−ブロモメチル−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。IC−A7について記載された一般手順に従う。2−メチル−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(100mg,0.413mmol)の酢酸(3mL)中の攪拌溶液を酢酸カリウム(61mg,0.620mmol)で処理し、続いて臭素(32μL)を添加した。この粗製生成物(123mg)のHPLC(C−18 Vydacカラム5.0×25cm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))による精製、および引き続く凍結乾燥により、精製された生成物を白色固体として得た。LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 323(MH+)。
【0182】
【化30】

IC491597: 3−フェニル−2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン。この化合物を、実施例1について記載された手順により調製した。2−ブロモメチル−3−フェニル−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(6mg,0.0186mmol)のDMF(100μL)中の攪拌溶液を6−メルカプトプリン一水和物(5mg,0.0294mmol)で処理し、続いて炭酸カリウム(3mg,0.06mmol)を添加した。粗製反応混合物をHPLC(C−18 Lunaカラム1×18mm,10−20% CHCN/HO(0.05% CFCOHを含む))により精製し、生成物を凍結乾燥後にふわふわした白色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.46(見かけ上はっきりしたd,J=1.8Hz,1H),8.34(s,1H),8.22(dd,J=2.2Hz,5.1Hz,1H),7.49(m,6H),6.56(s,1H),4.40(見かけ上はっきりしたd,J=1.8Hz);LC/MS(AP−ESI,CHCOH 0.05%)m/z 393(MH+)。
【0183】
(実施例7)
(3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ−[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0184】
【化31】

(7a. [2−(アニリノカルボニル)−3−チエニル]カルバミン酸tert−ブチルの合成)
N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(7.648g,20.12mmol)を、[A]3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(4.078g,16.76mmol)、アニリン(2.29mL,25.1mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.84mL,33.5mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(40.0mL)中の攪拌溶液に、窒素下で少しずつ添加した。90分後、酢酸エチル(500ml)を添加し、次いで水(250ml)、飽和NaHCO(200ml)、水(300ml)、0.1N.HCl(400ml)およびブライン(150ml)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、褐色油状物を得た。これを120gのSiOで1500mlの10%酢酸エチル−ヘキサンで溶出してクロマトグラフィーで分離した。生成物を、白色固体として得た(4.95g,92%)。
【0185】
(7b. 3−アミノ−N−フェニルチオフェン−2−カルボキサミドの合成)
トリフルオロ酢酸(10.0mL)を、約1分間かけて、[2−(アニリノカルボニル)−3−チエニル]カルバミン酸tert−ブチル(4.95g,15.5mmol;)の塩化メチレン(40.0mL)中の攪拌溶液に添加し、次いで1時間攪拌した。次いで、その溶媒をエバポレートして、淡黄色の固体を得、これを酢酸エチル(250ml)に溶解し、そして飽和NaHCO(125ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。その有機溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、生成物を琥珀色のゴム状物として得(3.44g,100%)、これは静置すると固化した。
【0186】
(7c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−フェニルチオフェン−2−カルボキサミドの合成)
2−クロロブタノイルクロリド(2.12mL,15.8mmol)を、氷−アセトン浴中で−15℃に冷却した3−アミノ−N−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド(3.44g,15.8mmol)およびトリエチルアミン(3.29mL,23.6mmol)の塩化メチレン(40.0mL)中の撹拌溶液に、3分〜4分間かけて滴下した。60分後、この冷却浴を除き、そして水(50ml)を添加し、次いでCHCl(100ml)を添加した。その有機層を1N.HCl(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより暗琥珀色のゴム状物を得、これを120gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。10〜15%酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、生成物を淡黄色固体として得た(3.48g,68%)。C1515ClNSについてのMS(ESI−)m/z 321.1(M−H)
【0187】
(7d. 2−(1−クロロプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
塩化ホスホリル(50mL,500mmol)を、加圧フラスコ中の3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド(3.48g,10.8mmol)に、窒素下で添加した。チューブを密封して油浴に入れ、そして120℃で16時間加熱した。その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc(250ml)に溶解し、次いで飽和NaHCO(150ml)と一緒に15分間攪拌した。その有機層をブライン(75ml)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより褐色油状物を得、これを120gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。5〜15%のEtOAc−ヘキサンでの溶出により、粗製生成物を得、これをヘキサンで洗浄して、クリーム色の固体を得た(2.28g,69%)。C1513ClNOSについてのMS(ESI+)m/z 305.1(M+H)
【0188】
(7e. 2−(1−アミノプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
2−(1−クロロプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(1.783g,5.850mmol)を、窒素下で加圧フラスコに入れ、そしてメタノール中7Mのアンモニア(40mL)を添加した。チューブを密封し、そして85℃で48時間加熱した。固体を濾過し、そして廃棄した。その濾液をエバポレートし、そしてその残渣を90gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜15%MeOH−EtOAcでの溶出により、生成物を白色固体として得た(0.911g,54%)。C1515OSについてMS(ESI+)m/z 286.2(M+H)
【0189】
(7f. 3−フェニル−2−{1−[9−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イルアミノ]−プロピル}−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンの合成)
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL,0.82mmol)を、加圧チューブ内の、2−(1−アミノプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.039g,0.14mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.098g,0.41mmol)の、無水エタノール(3.0mL)中の攪拌懸濁物に、窒素下で添加した。このチューブを密封し、そして85℃で3日間加熱した。次いで、その溶媒をエバポレートして、琥珀色のゴム状物/ガラス状物を得、これをEtOAc(20ml)に溶解した。この溶液を水(10ml)およびブライン(10ml)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより琥珀色のガラス状物/ゴム状物を得、これを40gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜4%MeOH−EtOAcで溶出して、生成物を透明なガラス状物として得た(0.039g,58%)。C2525SについてMS(ESI+)m/z 488.2(M+H)
【0190】
(7g. 3−フェニル−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
トリフルオロ酢酸(0.30mL,3.9mmol)を、3−フェニル−2−{1−[9−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イルアミノ]−プロピル}−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(37mg,0.076mmol)の乾燥塩化メチレン(2.00mL)中の攪拌溶液に添加し、次いで1時間攪拌した。次いで、その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣の琥珀色のゴム状物をEtOAc(20ml)に溶解し、飽和NaHCO (5ml)およびブライン(7ml)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより淡琥珀色のゴム状物/ガラス状物を得た。少量のEtOAcを添加すると、固体が形成された。濾過により、生成物をオフホワイトの固体として得た(19mg,62%)。C2017OSについてMS(ESI+)m/z 404.1(M+H)
【0191】
(実施例8)
(3−(2−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0192】
【化32】

(8a. {2−[(2−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1aの手順に従って、3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(2.500g,10.28mmol)および2−メチルアニリン(1.64mL,15.4mmol)で開始して、生成物がゴム状物として得られ(2.658g,77%)これは静置すると結晶化した。
【0193】
(8b. 3−アミノ−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1bの手順に従って、{2−[(2−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(2.641g,7.945mmol)で開始して、生成物がベージュ色の固体として得られた(1.954g,100%)。C1212OSについてMS(ESI−)m/z 231.2(M−H)
【0194】
(8c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1cの手順に従って、2−クロロブタノイルクロリド(1.11mL,8.26mmol)および3−アミノ−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.918g,8.256mmol)で開始して、生成物がゴム状物として得られ、これは静置すると結晶化した(1.754g,63%)。C1617ClNSについてMS(ESI−)m/z 335.2(M−H)
【0195】
(8d. 2−(1−クロロプロピル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1dの手順に従って、塩化ホスホリル(20mL,200mmol)および3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.749g,5.192mmol)を使用して、生成物がクリーム色の固体として得られた(1.44g,87%)。C1615ClNOSについてMS(ESI+)m/z 319.1(M+H)
【0196】
(8e. 2−(1−アミノプロピル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1eの手順に従って、2−(1−クロロプロピル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(1.44g,4.52mmol)を使用して、生成物が黄色ゴム状物として得られた(0.346g,25%)。C1617OSについてMS(ESI+)m/z 300.2(M+H)
【0197】
(8f. 3−(2−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1fの手順に従って、2−(1−アミノプロピル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.335g,1.12mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.534g,2.24mmol)を使用して、生成物が白色泡状物として得られた(0.340g,60%)。C2627SについてMS(ESI+)m/z 502.2(M+H)
【0198】
(8g. 3−(2−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1gの手順に従って、3−(2−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.337g,0.672mmol)を使用して、生成物がオフホワイトの固体として得られた(0.180g,64%)。C2119OSについてMS(ESI+)m/z 418.1(M+H)
【0199】
(実施例9)
(3−(3−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0200】
【化33】

(9a.{2−[(3−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1aの手順に従って、3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(2.500g,10.28mmol)を使用して、生成物が白色固体として得られた(3.21g,94%)。
【0201】
(9b. 3−アミノ−N−(3−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1bの手順に従って、{2−[(3−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(3.21g,9.66mmol)を使用して、生成物が琥珀色のゴム状物として得られた(2.33g,100%)。C1212OSについてMS(ESI+)m/z 233.2(M+H)
【0202】
(9c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
1cの手順に従って、3−アミノ−N−(3−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(2.330g,10.03mmol)を使用して、生成物が黄色固体として得られた(2.248g,66%)。C1617ClNSについてMS(ESI−)m/z 335.2(M−H)
【0203】
(9d. 2−(1−クロロプロピル)−3−(3−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1dの手順に従って、3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(2.243g,0.006659mol)を使用して、生成物が暗クリーム色の固体として得られた(1.47g,69%)。C1615ClNOSについてMS(ESI+)m/z 319.1(M+H)
【0204】
(9e. 2−(1−アミノプロピル)−3−(3−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1eの手順に従って、2−(1−クロロプロピル)−3−(3−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(1.47g,0.00461mol)を使用して、生成物が褐色固体として得られた(0.48g,34%)。C1617OSについてMS(ESI+)m/z 300.2(M+H)
【0205】
(9f. 3−(3−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1fの手順に従って、2−(1−アミノプロピル)−3−(3−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.466g,1.56mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.743g,3.11mmol)を使用して、生成物が白色泡状物として得られた(0.619g,79%)。C2627SについてMS(ESI+)m/z 502.2(M+H)
【0206】
(9g. 3−(3−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1gの手順に従って、3−(3−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.611g,1.22mmol)を使用して、生成物が白色固体として得られた(0.443g,87%)。C2119OSについてMS(ESI+)m/z 418.1(M+H)
【0207】
(実施例10)
(3−(4−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0208】
【化34】

(10a. {2−[(4−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1aの手順に従って、3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(2.000g,8.221mmol)およびp−トルイジン(1.32g,12.3mmol)を使用して、生成物が白色固体として得られた(2.61g,95%)。
【0209】
(10b. 3−アミノ−N−(4−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1bの手順に従って、{2−[(4−メチルフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(2.598g,7.815mmol)を使用して、生成物が琥珀色のゴム状物として得られた(1.82g,100%)。
【0210】
(10c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(4−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1cの手順に従って、2−クロロブタノイルクロリド(1.05mL,7.83mmol)および3−アミノ−N−(4−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.82g,7.83mmol)を使用して、生成物が黄色ゴム状物として得られ、これは、静置するとゆっくりと結晶化した(1.914g,72%)。C1617ClNSについてMS(ESI−)m/z 335.1(M−H)
【0211】
(10d. 2−(1−クロロプロピル)−3−(4−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1dの手順に従って、3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(4−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.906g,5.66mmol)を使用して、生成物が黄色泡状物として得られた(1.487g,82%)。C1615ClNOSについてMS(ESI+)m/z 319.1(M+H)
【0212】
(10e. 2−(1−アミノプロピル)−3−(4−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1eの手順に従って、2−(1−クロロプロピル)−3−(4−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(1.41g,4.42mmol)を使用して、生成物が淡黄色固体として得られた(0.344g,26%)。C1617OSについてMS(ESI+)m/z 300.2(M+H)
【0213】
(10f. 3−(4−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1fの手順に従って、2−(1−アミノプロピル)−3−(4−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.343g,1.14mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.547g,2.29mmol)を使用して、生成物が白色泡状物として得られた(0.492g,85%)。C2627SについてMS(ESI+)m/z 502.2(M+H)
【0214】
(10g. 3−(4−メチルフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1gの手順に従って、3−(4−メチルフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.487g,0.971mmol)を使用して、生成物がクリーム色の固体として得られた(0.348g,85%)。C2119OSについてMS(ESI+)m/z 418.1(M+H)
【0215】
(実施例11)
(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0216】
【化35】

(11a. {2−[(3,5−ジフルオロフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1aの手順に従って、3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(2.000g,8.221mmol)および[B]3,5−ジフルオロアニリン(2.65g,20.5mmol)を使用して、6日間かけて、生成物が黄色固体として得られた(1.447g,49%)。
【0217】
(11b. 3−アミノ−N−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1bの手順に従って、{2−[(3,5−ジフルオロフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(1.435g,4.049mmol)を使用して、生成物が濃黄色固体として得られた(1.012g,98%)。C11OSについてMS(ESI−)m/z 253.2(M−H)
【0218】
(11c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1cの手順に従って、3−アミノ−N−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.01g,3.97mmol)を使用して、生成物が黄色固体として得られた(0.976g,68%)。C1513ClFSについてMS(ESI−)m/z 357.1(M−H)
【0219】
(11d. 2−(1−クロロプロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
クロロトリメチルシラン(6.00mL,47.3mmol)を、加圧フラスコ内の、3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(0.913g,2.54mmol)のアセトニトリル(30.0mL)およびトリエチルアミン(18.00mL,129.1mmol)中の黄色溶液に、窒素下で添加した。密封したフラスコを油浴に入れ、そして85℃で3.5時間加熱した。冷却後、その溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、そしてその残渣を水(50ml)とクロロホルム(50ml)との間で分配した。その有機層をブライン(25ml)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより褐色固体を得、これを90gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。10〜20%酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、生成物を白色固体として得た(0.660g,76%)。C1511ClFOSについてMS(ESI+)m/z 341.0(M+H)
【0220】
(11e. 2−(1−アミノプロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
2−(1−クロロプロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.650g,1.91mmol)を窒素下で加圧フラスコに入れ、そしてメタノール中7Mのアンモニア(25mL)を添加した。このフラスコを密封し、そして85℃に予熱した油浴に入れ、そして3日間攪拌した。次いで、その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をクロロホルム(25ml)と一緒に攪拌した。この懸濁物を濾過し、そしてその濾液を90gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜10%のMeOH−EtOAcで溶出して、生成物を淡黄色固体として得た(0.307g,50%)。C1513OSについてMS(ESI+)m/z 322.1(M+H)
【0221】
(11f. 3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.656mL,3.76mmol)を、小型の加圧チューブ内の2−(1−アミノプロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.242g,0.753mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.359g,1.51mmol)のエタノール(7.0mL)中の攪拌懸濁物に、窒素下で添加した。チューブを密封し、そして85℃の油浴に22時間入れた。次いで、その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc(75ml)に溶解し、水(30ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、琥珀色のゴム状物を得た。0〜4%のMeOH−EtOAcで溶出する90gのSiOでのクロマトグラフィーにより、生成物を淡黄色の泡状物として得た(0.385g,97%)。C2523SについてMS(ESI+)m/z 524.2(M+H)
【0222】
(11g. 3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
トリフルオロ酢酸(2.0mL)を、5秒〜10秒かけて、3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.376g,0.718mmol)の塩化メチレン(10.0mL)中の淡黄色の攪拌溶液に添加し、次いで75分間攪拌した。次いで、その溶媒をエバポレートし、そしてその暗色の残渣をEtOAc(100mL)と飽和NaHCO(50mL)との間で分配し、ブライン(30mL)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより生成物をオフホワイトの固体として得た(0.250g,79%)。C2015OSについてMS(ESI+)m/z 440.1(M+H)H NMR(CDCl/CDOD)δ0.93(t,3H),1.95(m,2H),5.00(m,1H),6.95(m,1H),7.00(m,1H),7.20(m,1H),7.30(d,1H),7.85(d,1H),7.91(s,1H),8.19(s,1H)。
【0223】
(実施例12)
(3−(3−メトキシフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0224】
【化36】

(12a. {2−[(3−メトキシフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1aの手順に従って、3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(2.000g,8.221mmol)および3−メトキシアニリン(1.38mL,12.3mmol)を使用して、生成物が白色固体として得られた(2.636g,92%)。
【0225】
(12b. 3−アミノ−N−(3−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1bの手順に従って、トリフルオロ酢酸(5.0mL,65mmol)および{2−[(3−メトキシフェニル)カルバモイル]−3−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(2.63g,7.55mmol)を使用して、生成物が琥珀色のゴム状物として得られ(1.99g,100%)、これはゆっくりと固化した。
【0226】
(12c. 3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
実施例1cの手順に従って、2−クロロブタノイルクロリド(1.06mL,7.93mmol)および3−アミノ−N−(3−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.97g,7.93mmol)を使用して、生成物が淡黄色のゴム状物として得られ(1.743g,62%)、これは静置すると結晶化した。C1617ClNSについてMS(ESI−)m/z 315.2(M−H)
【0227】
(12d. 2−(1−クロロプロピル)−3−(3−メトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例5dの手順に従って、3−[(2−クロロブタノイル)アミノ]−N−(3−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.635g,4.634mmol)を使用して、生成物がクリーム色の固体として得られた(0.919g,59%)。C1615ClNSについてMS(ESI+)m/z 335.1(M+H)
【0228】
(12e. 2−(1−アミノプロピル)−3−(3−メトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1eの手順に従って、2−(1−クロロプロピル)−3−(3−メトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.915g,2.73mmol)を使用して、生成物がライムイエローの泡状物として得られた(0.309g,35%)。C1617SについてMS(ESI+)m/z 316.2(M+H)
【0229】
(12f. 3−(3−メトキシフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1fの手順に従って、2−(1−アミノプロピル)−3−(3−メトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.306g,0.970mmol)および6−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.463g,1.94mmol)を使用して、生成物が白色泡状物として得られた(0.450g,89%)。C2627SについてMS(ESI+)m/z 518.2(M+H)
【0230】
(12g. 3−(3−メトキシフェニル)−2−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1gの手順に従って、3−(3−メトキシフェニル)−2−(1−{[9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.449g,0.867mmol)を使用して、生成物が白色固体として得られた(0.229g,61%)。C2119SについてMS(ESI+)m/z 434.1(M+H)H NMR(CDCl)δ0.91(m,3H),1.86(m,1H),2.07(m,1H),3.80(s,1.8H),3.89(s,1.2H),5.29(m,1H),6.64(m,1H),6.90(m,0.4H),6.97(m,0.6H),7.09(m,2H),7.35(m,1H),7.52(m,1H),7.81(m,1H),7.99(s,1H),8.33(s,1H),12.93(s,1H)。
【0231】
(実施例13)
(2−{1−[(2−アミノ−9H−プリン−6−イル)アミノ]プロピル}−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0232】
【化37】

2−(1−アミノプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.100g,0.350mmol)および6−ブロモ−9H−プリン−2−アミン(0.112g,0.526mmol)の、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.366mL,2.10mmol)を含むイソプロピルアルコール(4.00mL)中の攪拌懸濁物を、160℃のマイクロ波反応器に2時間入れた。冷却して、この懸濁物を濾過し、そしてエバポレートした。その残渣をEtOAc(50ml)と水(15ml)との間で分配した。その有機層をブライン(15ml)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションにより白色固体を得、これを0〜6%のMeOH(10%水性濃NHOHを含む)−CHClで溶出する40gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。生成物をオフホワイトの固体として得た(0.098g,67%)。C2018OSについてMS(ESI+)m/z 419.1(M+H)H NMR(CDCl/CDOD)δ0.79(t,3H),1.74(m,1H),1.85(m,1H),4.98(m,1H),7.29(m,2H),7.39(m,1H),7.54(m,4H),7.79(d,1H)。
【0233】
(実施例14)
(2−{1−[(2−フルオロ−9H−プリン−6−イル)アミノ]プロピル}−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0234】
【化38】

(14a. 2−(1−{[2−フルオロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.763mL,4.38mmol)を、小型の加圧フラスコ内の2−(1−アミノプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.250g,0.876mmol)および6−クロロ−2−フルオロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン(0.337g,1.31mmol)の、無水エタノール(7.00mL)中の攪拌懸濁物に、窒素下で添加した。このフラスコを密封し、そして85℃で15時間加熱した。その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc(75ml)に溶解し、次いで水(35ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、透明な油状物を得、これを90gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜5%のMeOH−EtOAcで溶出して、生成物を白色泡状物として得た(0.429g,96%)。C2524FNSについてMS(ESI+)m/z 506.1(M+H)
【0235】
(14b. 2−{1−[(2−フルオロ−9H−プリン−6−イル)アミノ]プロピル}−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例1aの手順に従って、2−(1−{[2−フルオロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−イル]アミノ}プロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.423g,0.837mmol)を使用して、生成物がオフホワイトの固体として得られた(0.270g,76%)。C2016FNOSについてMS(ESI+)m/z 422.1(M+H)H NMR(CDCl/CDOD)δ0.82(t,3H),1.83(m,2H),4.78(m,1H),7.23(d,1H),7.26(m,1H),7.52(m,3H),7.61(m,1H),7.77(d,1H),7.85(s,1H)。
【0236】
(実施例15)
(2−[(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル]−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0237】
【化39】

(15a. 3−[(クロロアセチル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミドの合成)
クロロアセチルクロリド(0.642mL,8.08mmol)を、2分〜3分かけて、氷−アセトン浴中で−15℃に冷却した3−アミノ−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.876g,8.076mmol)およびトリエチルアミン(1.24mL,8.88mmol)の塩化メチレン(25.0mL)中の淡琥珀色の攪拌溶液に滴下した。1時間後、水(25ml)を添加し、続いて塩化メチレン(100ml)を添加した。その有機層を1N.HCl(50ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションによりくすんだ黄色の固体を得、これを少量のエーテルで洗浄して、褐色固体を得た(2.000g,80%)。
【0238】
(15b. 2−(クロロメチル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例5dの手順に従って、3−[(クロロアセチル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.00g,3.24mmol)を使用して、生成物が琥珀色のゴム状物として得られた(0.240g,25%)。C1411ClNOSについてMS(ESI+)m/z 291.1(M+H)
【0239】
(15c. 2−[(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル]−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)をアデニン(0.0820g,0.607mmol)および水素化ナトリウム(60:40,水素化ナトリウム:鉱油,0.0362g)の攪拌混合物に、窒素下で添加し、そしてこの混合物を75℃で20分間加熱した。次いで、2−(クロロメチル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.234g,0.805mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)中の溶液を添加し、そして約0.5mlのさらなる乾燥DMFですすいだ。この反応物の色は、濃マゼンタ色になった。1時間後、この反応物を冷却し、そしてEtOAc(100ml)を添加した。この溶液を水(4×50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションによりくすんだ褐色の固体を得た。0〜10%のMeOH−EtOAcで溶出する40gのSiOでのクロマトグラフィーにより、生成物をベージュ色の固体として得た(0.090g,38%)。C1915OSについてMS(ESI+)m/z 390.1(M+H)H NMR(CDCl)δ2.22(s,3H),4.95(d,1H),5.07(d,1H),5.63(s,2H),7.25(m,2H),7.42(m,1H),7.48(m,2H),7.81(d,1H),7.83(s,1H),8.28(s,1H)。
【0240】
(実施例16)
(2−[1−(4−アミノ−3−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)プロピル]−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0241】
【化40】

N,N−ジメチルホルムアミド(1.00mL)を、3−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(0.0462g,0.219mmol)および鉱油中水素化ナトリウム(60:40,水素化ナトリウム:鉱油,0.0155g)の固体攪拌混合物に窒素下で添加した。この攪拌混合物を油浴中75℃で30分間加熱し、次いで2−(1−クロロプロピル)−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.100g,0.328mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.50mL)中の溶液を添加し、そしてさらに0.2mlのDMFですすいだ。この加熱した反応物を4時間攪拌し、次いで冷却した。EtOAc(25ml)を添加し、次いで水(4×15ml)およびブライン(15ml)で洗浄した。この溶液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、エバポレートし、そしてその残渣を40gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜2%のMeOH−EtOAcで溶出して、生成物をオフホワイトの固体(0.053g,50%)として得た。C2621OSについてMS(ESI+)m/z 480.1(M+H)H NMR(CDCl)δ0.91(t,3H),2.53(m,2H),5.55(s,2H),5.80(m,1H),6.48(d,1H),6.91(t,1H),7.23(t,1H),7.35(d,1H),7.46(d,1H),7.54(m,4H),7.65(m,2H),7.84(d,1H),8.06(s,1H)。
【0242】
(実施例17)
(2−[(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル]−3−(2−メチルフェニル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オンの調製)
【0243】
【化41】

(17a. 2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−3−カルボン酸メチルの合成)
実施例1aの手順に従って、2−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル(5.00g,31.8mmol)を使用して、生成物が無色の粘性油状物として得られた(5.768g,70%)。
【0244】
(17b. 2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−3−カルボン酸の合成)
水中1.000Mの水酸化リチウムの溶液(23.5mL)を2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−3−カルボン酸メチル(5.866g,22.80mmol)のテトラヒドロフラン(130.0mL)中の無色の攪拌溶液に添加した。この反応物を窒素下で油浴に入れ、そして75℃で48時間加熱し、次いで冷却した。ほとんどのTHFは、35℃で蒸発した。水(100ml)を添加し、次いでエーテル(2×100ml)で洗浄した。その水層を氷中で冷却し、激しく攪拌し、そして濃HSOをpH2になるまで添加した。その沈殿物を濾過し、そして水(65ml)で洗浄した。乾燥後、白色固体(4.688g,84%)が得られた。
【0245】
(17c. {3−[(2−メチルフェニル)カルバモイル]−2−チエニル}カルバミン酸tert−ブチルの合成)
実施例1cの手順に従って、2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]チオフェン−3−カルボン酸(2.001g,8.225mmol)を使用して、生成物が淡桃色固体として得られた(2.483g,90%)。C1720SについてMS(ESI+)m/z 331.1(M+H)
【0246】
(17d. 2−アミノ−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−3−カルボキサミド塩酸塩の合成)
1,4−ジオキサン中4.00Mの塩化水素の溶液(10.0mL)を、{3−[(2−メチルフェニル)カルバモイル]−2−チエニル}カルバミン酸tert−ブチル(1.040g,3.128mmol)に添加しそして得られた無色の溶液を、室温で攪拌した。5分後、白色固体が沈殿し始め、そしてこの反応物は、ゆっくりと、淡青緑色になった。1.5時間後、エーテル(50ml)を添加し、そしてその反応物を濾過して、生成物を淡緑/青色の固体として得た(0.902g,100%)。
【0247】
(17e. 2−[(クロロアセチル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−3−カルボキサミドの合成)
2−アミノ−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−3−カルボキサミド塩酸塩(0.900g,3.35mmol)を、窒素下で、乾燥塩化メチレン(12.0mL)中で攪拌して、淡青緑色の懸濁物を得た。この攪拌混合物を氷−アセトン浴中で−15℃に冷却し、そしてトリエチルアミン(1.634mL,11.72mmol)を添加した。即座に、全てが溶液になり、そして色が淡桃褐色に変化した。クロロアセチルクロリド(0.2663mL,3.349mmol)を添加し、そして即座に沈殿と共に淡灰/緑色になった。30分後にこの反応物を冷却浴から除き、この時点で、その色はくすんだ緑色であった。水(10ml)を添加し、30分後にCHCl(50ml)を加えた。さらなる水(20ml)およびCHCl(50ml)を添加し、そしてその有機層を1N.HCl(50ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。MgSOで乾燥させた後に、その溶液を濾過し、そしてエバポレートした。その残渣を、10−25%EtOAc−ヘキサンで溶出する90gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。生成物をオフホワイトの固体として得た0.498g,48%)。C1413ClNSについてMS(ESI−)m/z 307.2(M−H)
【0248】
(17f. 2−(クロロメチル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
実施例5dの手順に従って、2−[(クロロアセチル)アミノ]−N−(2−メチルフェニル)チオフェン−3−カルボキサミド(0.250g,0.810mmol)を30分間75℃で使用して、生成物が透明なゴム状物として得られた(0.202g,85%)。C1411ClNOSについてMS(ESI+)m/z 291.1(M+H)
【0249】
(17g. 2−[(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル]−3−(2−メチルフェニル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オンの合成)
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2.50mL)を、アデニン(0.139g,1.03mmol)および水素化ナトリウム(60:40,水素化ナトリウム:鉱油,0.055g)の攪拌混合物に、窒素下で添加し、そしてそのフラスコを75℃の油浴中で加熱し、午前8時13分までに75℃に達した。30分後、2−(クロロメチル)−3−(2−メチルフェニル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン(0.200g,0.688mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)中の溶液を添加し、そして約0.5mlのさらなる乾燥DMFですすいだ。この反応物の色は、濃マゼンタ色になった。30分後、この反応物を冷却し、EtOAc(100ml)を添加した。この溶液を水(4×50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションによりくすんだ褐色のゴム状物を得、これを40gのSiOでクロマトグラフィーで分離した。0〜10%のMeOH−EtOAcで溶出して、生成物をベージュ色の固体として得た(0.077g,29%)。C1915OSについてMS(ESI+)m/z 390.1(M+H)H NMR(CDCl)δ2.22(s,3H),4.93(d,1H),5.06(d,1H),5.61(s,2H),7.24(d,1H),7.29(m,1H),7.42(m,1H),7.50(m,3H),7.82(s,1H),8.29(s,1H)。
【0250】
以下の番号付けされた実施形態は、本発明の範囲を限定せずに、本発明の種々の局面をさらに説明する:
1.式(1)の化合物:
【0251】
【化42】

またはその薬学的に受容可能な塩であって、式(1)において、
、QおよびQのうちの1つはSであり、そしてQ、QおよびQのうちの他の2つは-CR-であり;
ここで各Rは独立して、H、ハロ、OR、NR、NROR、NRNR、SR、SOR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CF、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、もしくはNOであるか、
またはRは、C1〜C8アルキル基、C2〜C8ヘテロアルキル基、C2〜C8アルケニル基、C2〜C8ヘテロアルケニル基、C2〜C8アルキニル基、C2〜C8ヘテロアルキニル基、C1〜C8アシル基、C2〜C8ヘテロアシル基、C6〜C10アリール基、C5〜C12ヘテロアリール基、C7〜C12アリールアルキル基、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキル基からなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり得、
ここで各Rは独立して、HまたはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、もしくはC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して3員〜8員の環を形成し得、該環は、必要に応じて、1個または2個のN、OまたはSを環のメンバーとして含み;
そしてここで、H以外の各R基、および2つのR基が一緒に結合することにより形成された各環は、必要に応じて置換されており;
Zは結合であるか、またはO、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンであり、O、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンの各々は、2個までのC1〜C6アルキル基もしくはC2〜C6ヘテロアルキル基で必要に応じて置換されており、ここで該アルキル基もしくはへテロアルキル基のうちの2つは、必要に応じて環化して、O、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含む3員〜7員の環を形成し得;
は、3個までのRで各々が必要に応じて置換されている、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであるか、
あるいはRは、Zが結合ではない場合にはHであり得;
Lは、−C(R−、−C(R−C(R−、−C(R−NR−、および−C(R−S(O)−からなる群より選択され、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C2〜C6アルケニル、およびC2〜C6アルキニルから選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、そしてnは0〜2であり;
そして2つのRが、L上に存在する場合、環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含み得る3員〜7員の環を形成し得;
Hetは、単環式環系または二環式環系であり、該環系において、少なくとも2つの環原子はNであり、そして少なくとも1つの環は芳香族であり、そしてHetは、R、N(R、S(O)、OR、ハロ、CF、CN、NROR、NRN(R、SR、SOR、SO、SON(R、NRSO、NRCON(R、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CON(R、OOCR、COR、またはNOから選択される3個までの置換基で必要に応じて置換されており、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して、N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜8員の環を形成し得;
ここで各必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、ヘテロアシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル上の任意の置換基は、C1〜C4アルキル、ハロ、CF、CN、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’およびNOから選択され、
ここで各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜12アリールアルキル、またはC6〜12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々は、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1個以上の基で必要に応じて置換されており;
そしてここで、同じ原子上または隣接する原子上の2つのR’は、結合して、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜7員の環を形成し得;そして
pは、0〜2である。
【0252】
2.QがSである、実施形態1に記載の化合物。
【0253】
3.QがSである、実施形態1に記載の化合物。
【0254】
4.QがSである、実施形態1に記載の化合物。
【0255】
5.Zが結合であり、そしてRが必要に応じて置換されたアリールである、実施形態1〜4のいずれかに記載の化合物。
【0256】
6.Hetが、一緒に縮合した2つの芳香族環からなる、必要に応じて置換された二環式基であり、該2つの芳香族環の各々が、環のメンバーとして少なくとも1つのNを含む、実施形態5に記載の化合物。
【0257】
7.Hetがプリン環系を表す、実施形態6に記載の化合物。
【0258】
8.Hetがピラゾロピリミジン環系を表す、実施形態6に記載の化合物。
【0259】
9.Hetがピロロピリミジン環系を表す、実施形態6に記載の化合物。
【0260】
10.LがCHRである、実施形態6〜9のいずれかに記載の化合物。
【0261】
11.Lが−CHR−NR−である、実施形態6〜9のいずれかに記載の化合物。
【0262】
12.Lが−CHR−S(O)−であり、そしてnが0または2である、実施形態6〜9のいずれかに記載の化合物。
【0263】
13.LがS立体化学配置であるキラル中心を含む、実施形態10〜12のいずれかに記載の化合物。
【0264】
14.実施形態1〜11のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【0265】
15.血液学的癌を処置する方法であって、血液学的癌を有すると診断された被験体に、有効量の実施形態1〜14のいずれかの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【0266】
16.前記血液学的癌が白血病である、実施形態15に記載の方法。
【0267】
17.前記白血病が、急性リンパ芽球白血病;急性骨髄性白血病;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;または毛様細胞白血病である、実施形態16に記載の方法。
【0268】
18.炎症性障害または免疫障害を処置する方法であって、炎症性障害または免疫障害を有すると診断された被験体に、有効量の実施形態1〜14のいずれかの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【0269】
19.前記炎症性障害または免疫障害が、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、喘息、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、重症筋無力症、ギヤン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、グレーヴズ病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、脈管炎、溶血性貧血、血小板減少症、乾癬、I型(インスリン依存性)糖尿病、またはアレルギー性鼻炎である、実施形態18に記載の方法。
【0270】
20.高血圧症を処置する方法であって、高血圧症を有すると診断された被験体に、有効量の実施形態1〜14のいずれかの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【0271】
21.少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤と混合された、実施形態1〜14のいずれかに記載の化合物を含有する、薬学的組成物。
【0272】
22.経口投与のための固体投薬形態である、実施形態21に記載の薬学的組成物。
【0273】
23.医薬の製造のための、実施形態1〜14のいずれかに記載の化合物の使用。
【0274】
24.前記医薬が、血液学的癌または免疫障害または高血圧症の処置のための医薬である、実施形態23に記載の使用。
【0275】
上記実施例は、例示的であるのみであり、本発明の範囲を限定することを意図されない。本明細書中に記載された各刊行物は、明白に本明細書中に参考として援用される。種々の刊行物に対して本明細書中でなされた参照は、このような参考文献を先行技術であることを示すのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物:
【化43】

またはその薬学的に受容可能な塩であって、式(1)において、
、QおよびQのうちの1つはSであり、そしてQ、QおよびQのうちの他の2つは-CR-であり;
ここで各Rは独立して、H、ハロ、OR、NR、NROR、NRNR、SR、SOR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CF、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、もしくはNOであるか、
またはRは、C1〜C8アルキル基、C2〜C8ヘテロアルキル基、C2〜C8アルケニル基、C2〜C8ヘテロアルケニル基、C2〜C8アルキニル基、C2〜C8ヘテロアルキニル基、C1〜C8アシル基、C2〜C8ヘテロアシル基、C6〜C10アリール基、C5〜C12ヘテロアリール基、C7〜C12アリールアルキル基、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキル基からなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり得、
ここで各Rは独立して、HまたはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、もしくはC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して3員〜8員の環を形成し得、該環は、必要に応じて、1個または2個のN、OまたはSを環のメンバーとして含み;
そしてここで、H以外の各R基、および2つのR基が一緒に結合することにより形成された各環は、必要に応じて置換されており;
Zは結合であるか、またはO、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンであり、O、NR、C1〜C6アルキレンもしくはC1〜C6ヘテロアルキレンの各々は、2個までのC1〜C6アルキル基もしくはC2〜C6ヘテロアルキル基で必要に応じて置換されており、ここで該アルキル基もしくはへテロアルキル基のうちの2つは、必要に応じて環化して、O、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含む3員〜7員の環を形成し得;
は、3個までのRで各々が必要に応じて置換されている、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであるか、
あるいはRは、Zが結合ではない場合にはHであり得;
Lは、−C(R−、−C(R−C(R−、−C(R−NR−、および−C(R−S(O)−からなる群より選択され、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C2〜C6アルケニル、およびC2〜C6アルキニルから選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、そしてnは0〜2であり;
そして2つのRが、L上に存在する場合、環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環のメンバーとして含み得る3員〜7員の環を形成し得;
Hetは、単環式環系または二環式環系であり、該環系において、少なくとも2つの環原子はNであり、そして少なくとも1つの環は芳香族であり、そしてHetは、R、N(R、S(O)、OR、ハロ、CF、CN、NROR、NRN(R、SR、SOR、SO、SON(R、NRSO、NRCON(R、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CON(R、OOCR、COR、またはNOから選択される3個までの置換基で必要に応じて置換されており、
ここで各Rは独立して、Hであるか、またはC1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、およびC6〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択される必要に応じて置換されたメンバーであり、
そしてここで同じ原子上または隣接する原子上の2つのRは、結合して、N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜8員の環を形成し得;
ここで各必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、ヘテロアシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル上の任意の置換基は、C1〜C4アルキル、ハロ、CF、CN、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOから選択され、
ここで各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜12アリールアルキル、またはC6〜12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々は、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1個以上の基で必要に応じて置換されており;
そしてここで、同じ原子上または隣接する原子上の2つのR’は、結合して、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を必要に応じて含む3員〜7員の環を形成し得;そして
pは0−2である、
化合物。
【請求項2】
がSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Zが結合であり、そしてRが必要に応じて置換されたアリールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Hetが、一緒に縮合した2つの芳香族環からなる、必要に応じて置換された二環式基であり、該2つの芳香族環の各々が、環のメンバーとして少なくとも1つのNを含む、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Hetがプリン環系を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Hetがピラゾロピリミジン環系を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
Hetがピロロピリミジン環系を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
LがCHRである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
Lが−CHR−NR−である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Lが−CHR−S(O)−であり、そしてnが0または2である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
LがS立体化学配置であるキラル中心を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項15】
血液学的癌を処置する方法であって、血液学的癌を有すると診断された被験体に、有効量の請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
血液学的癌が白血病である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記白血病が、急性リンパ芽球白血病;急性骨髄性白血病;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;または毛様細胞白血病である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
炎症性障害または免疫障害を処置する方法であって、炎症性障害または免疫障害を有すると診断された被験体に、有効量の請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記炎症性障害または免疫障害が、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、喘息、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、重症筋無力症、ギヤン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、グレーヴズ病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、脈管炎、溶血性貧血、血小板減少症、乾癬、I型(インスリン依存性)糖尿病、またはアレルギー性鼻炎である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
高血圧症を処置する方法であって、高血圧症を有すると診断された被験体に、有効量の請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤と混合された請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項22】
経口投与のための固体投薬形態である、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
医薬の製造のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
前記医薬が、血液学的癌または免疫障害または高血圧症の処置のための医薬である、請求項23に記載の使用。
またはその薬学的に受容可能な塩.←これほしくない。

【公表番号】特表2010−509373(P2010−509373A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536542(P2009−536542)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/084582
【国際公開番号】WO2008/064018
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】