説明

炎症性疾患の処置

本発明は、一般に、末梢神経系の炎症性疾患の分野に関する。より詳細には、本発明は、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプター活性を調節することにより、末梢神経系の炎症性疾患を処置する方法に関する。1つの実施形態では、本発明は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)またはその他の自己免疫ニューロパシーをもつ被験体を処置する方法を提供し、この被験体に有効量のFTY720を投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、2006年8月17日に出願された米国仮特許出願番号第60/838,222号の利益を主張し、この仮特許出願の内容の全体の内容は、参考として本明細書中に詳細に援用される。本発明は、National Institute of Healthによって与えられた認可番号NS049014−02の下、政府支援でなされた。
【0002】
A.発明の分野
本発明は、一般に、末梢神経系の炎症性疾患の分野に関する。より詳細には、本発明は、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプター活性を調節することにより、末梢神経系の炎症性疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
末梢神経系(PNS)は、免疫攻撃の一般的な標的である。慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)は、ときどき、中枢神経系に影響する多発性硬化症(MS)のPNS同等物と称され、これは、病気の経過(再発 対 進行)、病巣脱髄の存在および種々の程度の軸索損失、ならびに免疫媒介異常病態生理学に関してこれら2つの疾患の間の類似性に起因する。CIDPにおける炎症性浸潤物は、主にT細胞およびマクロファージからなり、ミエリン抗原に向かうT細胞媒介反応が、CIDPにおける組織損傷の予想される原因であることを示唆する。静脈内γグロブリン、血漿搬出およびステロイドのような、CIDPに対して利用可能な治療は、患者の2/3で有効であるが、合併症または長く持続する寛解の誘導の失敗をともなう(非特許文献1)。従って、単独または現存する処置様式と組み合わせて用いられ得る新たな処置方法および薬剤を開発する差し迫った必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ropper、Neurol.,60:S16−S22,2003
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、炎症性障害および自己免疫障害のための療法を提供する。1つの実施形態では、本発明は、末梢神経系の自己免疫障害を有する被験体を処置する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。別の実施形態では、本発明は、被験体における末梢神経系の自己免疫障害の徴候を軽減する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。さらなる実施形態において、本発明は、被験体における末梢神経系の自己免疫障害の再発する時間を延長する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、筋肉の自己免疫障害を有する被験体を処置する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含し、ここで、上記末梢神経系の自己免疫障害が処置される。別の実施形態では、本発明は、被験体における筋肉の自己免疫障害の徴候を軽減する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。さらなる実施形態では、本発明は、被験体において筋肉の自己免疫障害の再発する時間を延長する方法を提供し、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、神経筋接合部の自己免疫障害を有する被験体を処置する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含し、ここで、神経筋接合部の自己免疫障害が処置される。別の実施形態では、本発明は、被験体における神経筋接合部の自己免疫障害の徴候を軽減する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。さらなる実施形態では、本発明は、被験体における神経筋接合部の自己免疫障害の再発する時間を延長する方法を提供し、この被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含する。
【0008】
1つの実施形態では、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、末梢神経系障害の処置において用いられる。特定の局面では、この末梢神経系障害は、ギヤン‐バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、抗体媒介性ニューロパシー、または血管ニューロパシーである。いくつかの実施形態では、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、筋肉に影響する自己免疫症状(例えば、筋炎)または神経筋接合部に影響する自己免疫症状(例えば、筋無力症)の処置で用いられる。
【0009】
末梢神経系の炎症性障害または自己免疫障害の徴候は、例えば、うずきまたはしびれ感(代表的には足指および指で始まる)、腕の衰弱、脚の衰弱、深部腱反射の消失(無反射症)、疲労、および異常感覚を含む。筋肉の炎症性障害または自己免疫障害の徴候は、例えば、筋肉衰弱、筋萎縮症、筋肉痛、全身疲労、および嚥下障害(飲み込み困難)を含む。神経筋接合部の炎症性または自己免疫障害の徴候は、例えば、筋肉衰弱、非対称下垂症(一方または両方の瞼の垂れ下がり)、眼の動きを制御する筋肉の衰弱に起因する複視(二重視角)、不安定歩行または動揺歩行(waddling gait)、腕、手、指、脚および首の衰弱、顔表情の変化、嚥下障害(飲み込み困難)、息切れ、および構音障害(発語障害)を含む。これら徴候のうちの1つ以上が、本発明の方法によって軽減され得る。語句「末梢神経系の炎症性障害の徴候を軽減する」は、この徴候が、より重篤でなくなるか、またはより耐えられることを意味する。
【0010】
本発明の特定の局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、FTY720、FTY720−P、AAL(R)、AFD(R)、またはSEW2871である。本発明のいくつかの局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターのダウンレギュレーターである。本発明のその他の局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターのアゴニストである。このスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターは、例えば、S1P1、S1P2、S1P3、S1P4、および/またはS1P5レセプターであり得る。
【0011】
上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、上記末梢神経系の自己免疫障害の徴候の発症の前に被験体に投与されても、この末梢神経系の自己免疫障害の徴候の発症後に被験体に投与されてもよい。本発明の特定の局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、上記末梢神経系の自己免疫障害の徴候の寛解の間に被験体に投与される。本発明の特定の実施形態では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、上記自己免疫障害の徴候の発症の前後の両方で被験体に投与される。上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、当業者に公知の任意の経路により投与され得る。特定の実施形態では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、経口投与、または注射により投与される。経口投与には、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、液体、カプセル、または錠剤のような経口投与に適切な任意の薬学的組成物で提供され得る。注入には、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、注入に適する任意の薬学的組成物(例えば、注射可能な液体)で提供され得る。この注射は、例えば、静脈内注射、動脈内注射、筋肉内注射、または皮下注射であり得る。
【0012】
本発明の特定の局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、1日に1回、1日に2回、または1日に3回投与される。いくつかの実施形態では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、約4時間毎、6時間毎、8時間毎、12時間毎、24時間毎、48時間毎、または72時間毎に投与される。本発明の特定の局面では、ヒト被験体に投与されるスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターの毎日の投薬量は、約0.1mg〜20mg、0.5mg〜10mg、0.5mg〜5mg、1mg〜5mg、1.25mg〜5mg、1.5mg〜3mg、0.1mg〜1mgの間、またはその中で誘導可能な任意の範囲である。本発明のいくつかの局面では、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、隔日、3日毎、4日毎、5日毎、隔週、または毎月投与される。本発明の組成物の投与の責任のある実践者は、適切な投薬量、投与の経路、および投与の頻度を、被験体の身体的および生理学的要因(例えば、体重、性別、症状の重篤度)、ならびに以前または同時の治療的介入を評価することにより決定し得る。
【0013】
上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、第2の治療剤と組み合わせて投与され得ることがまた企図される。例えば、上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターは、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA、シクロスポリンG、FK−506、ABT−281、ASM981、ラパマシイン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノレートモフェチル、または15−デオキシスペルグアリン)、ステロイド(例えば、プレドニゾンまたはヒドロコルチゾン)、免疫グロブリン、または1型インターフェロンと組み合わせて投与され得る。上記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターおよび上記第2の治療剤は、同時または連続して投与され得る。このスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターおよび第2の治療剤が同時に投与される場合、それらは、単一組成物または別個の組成物で処方され得る。
【0014】
本明細書中に記載される任意の方法または組成物は、本明細書中に記載される任意のその他の方法または組成物に関して実施され得ることが企図される。
【0015】
請求項における用語「または」の使用は、代替物のみを言及することが明瞭に示されない限り、または代替物が互いに排他的でない限り、本開示は、代替物のみ、そして「および/または」に言及する定義を支持しているが、「および/または」を意味するために用いられる。
【0016】
本出願全体で、用語「約」は、値は、この値を決定するために用いられるデバイスまたは方法についての標準偏差を含むことを示すために用いられる。
【0017】
長年に渡る特許法に従い、単数形の語は、請求項または明細書中で語「包含する」と組み合わせて用いられるとき、具体的に述べられない限り、1以上を示す。
【0018】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示す一方で、例示のみによって与えられることが理解されるべきである。なぜなら、本発明の思想および範囲内で種々の変更および改変が、この詳細な説明から当業者に明らかになるからである。
【0019】
本明細書の以下の図面形式部分は、本発明の特定の局面をさらに示すために含められる。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上へを参照することでより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】FTY720および関連化合物の化学構造。図1は、スフィンゴシン、スフィンゴシン−1−ホスフェート、FTY720、FTY720−P、AAL(R)、AFD(R)、およびSEW2871の化学構造を提供する。
【図2】複合筋肉作用電位(CMAP)。図2は、野生型およびB7−2−/−NODマウスにおける座骨神経刺激からのCMAPの例を提供する。
【図3】座骨神経からの掻き裂かれた線維調製物。掻き裂かれた線維調製物は、野生型NODマウスと比較したとき、B7−2−/−NODマウス中で、不規則厚みのミエリン鞘をともなう分節的脱髄および短縮化された結節間部を示した。
【図4】シュヴァン細胞(SC)中のサイトカインで誘導されるセラミド蓄積。TNF−αおよびIFN−γは、不死化SCにおいて、NOS誘導およびセラミド蓄積を経由して相乗的に作用し、細胞生存率を低減した。図4は、TNF−α(100g/ml)+IFN−γ(200U/ml)、L−NAME(NOSインヒビター)、またはTNF−α(100g/ml)+IFN−γ(200U/ml)+L−NAMEで誘導された、SC中のコントロールの%として、セラミドレベルを示す。サイトカイン誘導は、24時間であった。アスタリスク(*)は、p<0.0001を示す。
【図5A】B7−2欠損NODマウスの臨床スコアおよび握り強度に対するFTY720の影響。動物を3群に分割した:(1)水(n=11);(2)0.3mg/kgのFTY720(n=5);および(3)1.0mg/kgのFTY720(n=10)。毎日の処置は、7ヶ月齢で開始し、そして4週間続けた。図5Aは、7ヶ月(処置前)およびビヒクル(水)、0.3mg/kgのFTY720、または1.0mg/kgのFTY720を投与されたマウスについては8ヶ月(処置後)でB7−2欠損NODマウスについての臨床スコアを示す。アスタリクス(*)は、p<0.0001を示す。対照的に、FTY720(1.0mg/kg)で処置されたマウスの臨床スコアは、より悪くならなかった。4週の処理の終わりに、後脚と前脚の握り強さが握り強度メーター(Columbus Instruments)で測定された。
【図5B】図5Bは、ビヒクル(水)、0.3mg/kgのFTY720、または1.0mg/kgのFTY720を投与されたマウスについて後脚および前脚の握り強さの結果を示す。アスタリスク(*)は、p<0.01を示す。誤差バーは、SEMを表す。
【図6A】B7−2欠損NODマウス中の遠位潜伏期、伝導速度、および座骨複合筋肉作用電位の大きさに対するFTY720の影響。電気生理学的研究が、1.0mg/kgのFTY720で、またはビヒクル(水)で処置されたマウスに対する座骨神経機能を評価するために実施された。遠位潜伏期(DL)、伝導速度(CV)、および座骨複合筋肉作用電位(CMAP)が評価された。この図は、1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウスが、ビヒクルで処置されたマウスと比較したとき、改善されたDLおよびCVを示したが、座骨CMAPの改善された大きさを示さなかったことを示す。図6Aは、座骨CMAPの例を示す。
【図6B】図6Bは、ビヒクル処置されたマウスの12の神経および1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウスの14の神経から収集されたデータの要約を示す。アスタリスク(*)は、p<0.02を示し;2つのアスタリスク(**)は、p<0.01を示す。
【図7】B7−2欠損NODマウスの座骨神経切片中の炎症性細胞浸潤に対するFTY720の影響。組織学的評価が、ビヒクル(水、n=6)で、または1.0mg/kgのFTY720(n=7)で処置されたB7−2欠損NODマウスに対して実施された。炎症性細胞浸潤は、定量的方法により、および半定量的方法により測定された。この図は、炎症性細胞浸潤が、ビヒクル処理マウスからの座骨神経切片と比較したとき、FTY720処理されたマウスからの座骨神経切片中で低減されたことを示す。アスタリスク(*)は、p<0.02を示し;2つのアスタリスク(**)は、p<0.003を示す。
【図8】B7−2欠損NODマウス中の脱髄および髄鞘を有する線維の損失に対するFTY720の影響。ビヒクル(水、n=6)で、または1.0mg/kgのFTY720(n=7)で処置されたB7−2欠損NODマウスからのエポン切片が分析された。髄鞘を有する線維の損失は、定量的方法によって測定され、そして脱髄は、半定量的方法によって測定された。この図は、脱髄および髄鞘を有する線維の損失が、ビヒクル処置マウスと比較したとき、FTY処置マウスにおいて低減したことを示す。アスタリスク(*)は、p<0.015を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(例示の実施形態の説明)
A.慢性炎症性髄鞘除去多発性神経障害(ニューロパシー)の病因
慢性炎症性脱髄性多発(CIDP)は、末梢神経系(PNS)の炎症性疾患である。病気の経過は、再発性または進行性であり得、そして病巣脱髄の存在、種々の程度の軸索損失、および免疫媒介性病態生理学によって特徴付けられる。CIDP神経中の炎症性浸潤物は主にT細胞およびマクロファージから構成され、ミエリン抗原に向かうT細胞媒介性反応がCIDPにおける組織損傷の予想される原因であることを示唆している。しかし、異常なT細胞応答の抗原標的は特定されていない。CIDPに対する現在の処置は、プレドニゾンのようなコルチコステロイドを含み、これは、単独で、または免疫抑制薬物;血漿搬出;および静脈内免疫グロブリンと組み合わせて用いられ得る。理学療法は、筋肉の強度、機能、および移動度を改善し得、そして筋肉および腱の収縮および関節のゆがみを最小にする。
【0022】
T細胞の完全な活性化は、T細胞レセプターを経由する抗原特異的シグナル伝達に加え、同時刺激性分子B7−1およびB7−2を経由するシグナル伝達を必要とする。B7−1の存在下の抗原提示は、インターロイキン−2、IFN−γおよびTNF−αの発現とともに、Th1表現型へのT分化を引き起こし、その一方、B7−2をともなう提示は、IL−4の優勢発現をともなうTh2表現型を誘導する(Karandikarら、1998;Kuchrooら、1995)。上記の概念に一致して、CIDP神経においてB7−1の優先的上方制御が存在する(Kieferら、2000)。CD28ノックアウトマウスにおける研究は、CD28が実験的アレルギー性神経炎(EAN)、ギヤン‐バレー症候群(GBS)の動物モデルの発症に必要であることを示す(Zhuら、2001b)。NODマウスでは、糖尿病は、抗B7−2抗体での処置によるか、またはB7−2発現をなくすことにより防がれ得るが、これらの操作は、自発性自己免疫多発ニューロパシー(SAP)を誘因し、これは、臨床的、組織学的、および電気生理学的にCIDPによく似ている(Salmonら、2001)。このモデルにおける進行性経過はEANにおける進行性経過(通常、ほんの少数の例外はあるが自然回復とともなう単相性である)とは異なる。EANでは、動物は、末梢ミエリンまたはP0、P2、PMP22、またはMAGのような精製ミエリンタンパク質で免疫化される(Constantinescuら、1996;Kimら、1994;Stollら、1993;Zhuら、2001b)。
【0023】
活性化されたリンパ球は、血液神経関門(BNB)を横切って移動し、これは、リンパ球上の分子と内皮細胞上の接着分子との間の相互作用に依存する。一旦、十分な単核の浸潤があると、末梢神経損傷および髄鞘脱落が複数の機構によって生じ得る。TNF−αのような細胞障害性化合物およびサイトカインを産生することとは別に、マクロファージは、外見上無傷のミエリン鞘を貫通し、そして軸索表面からミエリンを剥ぎ得る(PrineasおよびMcLeod、1976)。TNF−αおよびIFN−γのようなThlサイトカインは相乗的に作用し、iNOS誘導およびセラミド蓄積を介してSchwann細胞(SC)生存率を低下させる(Naganoら、2001)。その他は、これらサイトカインがSC増殖を阻害し、そしてミエリン会合糖タンパク質の発現を下方制御することを見出した(Chandrossら、1996;Schneider−Schauliesら、1991)。
【0024】
Schwann細胞は、炎症性ニューロパシーにおいて多数の機能を果たしており、抗原提示細胞、免疫攻撃の標的、および神経栄養因子として作用する。これら細胞は、S1P2およびS1P3レセプターを発現し;後者は、アデニレートシクラーゼアクティベーターフォルスコリンによって上方制御される(Berminghamら、2001;Weinerら、2001)。cAMPを高める薬剤はEANに対して保護的であり、そしてサイトカイン誘導細胞死に対するSCの感受性を低減する(Kimら、1994;Naganoら、2001)。cAMPの保護的効果は、SC上のS1Pレセプターの発現を調節することによって一部媒介され得、そしてスフィンゴリピドシグナル伝達は、SC生存および分化において重要な役割を演じ得る。免疫応答の終了 対 持続に至る因子は、完全に理解されていない。FasL発現Schwann細胞は、自己反応性T細胞の排除に寄与し得る(Wohllenbenら、2000)。寛解は、一般に、IL−4、IL−10およびTGF−βの増加した産生をともなう。
【0025】
(B.リンパ球およびグリア細胞におけるスフィンゴリピドシグナル伝達)
多くの細胞タイプにおいて、成長因子およびサイトカインは、細胞出力の重要な決定因子であるいわゆるセラミド/S1Pレオスタット(rheostat)の制御に関与する酵素の活性を調節することが示されている(Cuvillierら、1996;SpiegelおよびMilstien、2003)。TNF−αおよびインターロイキン−1のような前炎症性サイトカインはスフィンゴミエリナーゼを活性化するが、セラミダーゼは活性化せず、セラミドの蓄積を生じ、その一方、PDGFおよびFGFはスフィンゴミエリナーゼに加え、セラミダーゼを上方制御し、セラミドの減少およびスフィンゴシンの増加に至り、これは、次に、スフィンゴシン1−ホスフェート(S1P)に転換され得る(Coroneosら、1995)。
【0026】
活性化された血小板、単球、および肥満細胞は、血漿中にS1Pを分泌する(μM濃度までの範囲でもたらされる)ことが知られている(Murataら、2000;SpiegelおよびMilstien、1995)。それ故、S1Pは、潜在的に、細胞内メッセンジャーとしてか、またはGプロテイン結合レセプターS1P1〜S1P5(以前は、それぞれ、Edg1、Edg5、Edg3、Edg6、およびEdg8と呼ばれていた)に対する細胞外リガンドとしてかのいずれかで機能し得る。S1Pレセプターは、種々のGタンパク質に結合する。例えば、S1P1は、Gi/oおよびGiファミリーのその他のメンバーに結合するが、Gs、Gq、G12またはG13には結合しない。S1P1の活性化は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のリン酸化を刺激し、アデニレートシクラーゼを阻害し、そしてホスホリパーゼCを活性化し、増殖性応答または移動応答に至る(Windhら、1999;Zondagら、1998)。S1P1およびS1P3が最初に同定された内皮細胞では、S1Pは、DNA合成および細胞移動を刺激し、そして内皮障壁完全性を促進する(Liuら、2001;Schaphorstら、2003)。S1Pレセプターは多くの細胞型によって発現されるが、優勢なレセプターサブタイプは、ある程度の重複はあるが細胞毎に異なる。
【0027】
Tリンパ球によって発現されるS1Pレセプターのうちで、S1P1およびS1P4レセプターは優勢であるが、それらの発現はTCR依存活性化によって抑制される。低濃度(≦0.1μM)でのS1Pは、T細胞走化性を惹起し、その一方、高濃度は阻害的である(Graelerら、2002)。トランスフェクタントにおける初期研究は、S1P1レセプターがS1P誘導走化性のトランスデューサーであることを示したが、引き続く研究は、JurkatT細胞におけるS1P4の過剰発現が外因性S1Pの不在下で細胞運動性を誘導するに十分であることを示した(Gralerら、2003)。インビトロ研究は、S1PがポリクローナルT細胞増殖を阻害することを示すが、サイトカイン分泌に対するその影響に関する一致した意見はない。S1Pは、ヒトT細胞によるIL−2およびIFN−γの分泌を増大し、その一方、それは、IL−2に作用することなくマウスCD4+T細胞によるIFN−γおよびIL−4の分泌を低減する(Dorsamら、2003;Jinら、2003)。リンパ球は別として、マウスマクロファージおよび樹状細胞もまた、S1Pレセプター(S1P1、S1P2、S1P3およびS1P5)を発現する。S1Pでの成熟樹状細胞の処置は、Th2免疫応答の出現をともなう(Idzkoら、2002;Leeら、2002)。これ故、インビボにおける免疫応答の分極(Th1対Th2)に対するS1P作用の正味の結果は、明瞭にされるべきである。
【0028】
S1Pレセプターは、グリア細胞中で発現される。外因性S1Pは、稀突起神経膠細胞(OLG)におけるERKカスケードを活性化し、そしてCa2+信号を調節する(Hidaら、1998)。S1Pは、星状神経膠細胞における神経膠細胞株由来神経栄養因子のような成長因子の発現を誘導する(Satoら、1999;Yamagataら、2003)。OLG系統の細胞は、S1P1、S1P5を優先的に、そしておそらくはS1P2を発現し、その一方、Schwann細胞は、S1P2およびS1P3レセプターを発現する(Berminghamら、2001;Imら、2000;McGiffertおよびChun;2002;Teraiら、2003;Weinerら、2001)。その他のEdgレセプターに作用するリゾホスファチジン酸が、SCの生存および分化を促進し、そしてそれらの形態および接着を調節することが示された(Liら、2003;Weinerら、2001)。
【0029】
(C.スフィンゴシン1−ホスフェートレセプターのモジュレーター)
スフィンゴシン1−ホスフェート(S1P)レセプターは、リンパ球輸送(trafficking)の調節に関与している。S1Pレセプターは、神経膠細胞、マクロファージ、内皮細胞、およびSchwann細胞のような末梢神経系の炎症性疾患の病因に関与するいくつかの細胞型で発現される。本発明は、患者におけるS1Pレセプター活性を調節することにより、末梢神経系の炎症性疾患のような炎症性疾患を処置するための方法を提供する。
【0030】
FTY720(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオール)は、移植モデルにおいて有効であることが示された免疫調整剤である。それは、随伴する末梢血リンパ球減少症および標的組織へのT細胞移動の低減とともにリンパ器官におけるリンパ球を隔離する(Chibaら、1998;Pinschewerら、2000;Xieら、2003)。FTY720は、スフィンゴシンと構造的類似性を共有し、これは、それがS1Pレセプターを介して作用することを示唆している(Brinkmannら、2002;Suzukiら、1996)。FTY720自体は、T細胞走化性活性を欠くが、そのリン酸化形態(FTY720−P)は、個々のS1Pレセプターを発現するトランスフェクト細胞に対する[γ35−S]GTPγS結合アッセイによって検出されるように、S1P2を除くS1Pレセプターの強力なアゴニストである(Brinkmannら、2002;Mandalaら、2002)。FTY720は、インビボでFTY720−Pに頻繁に変換される(Brinkmannら、2002)。
【0031】
FTY720またはそのリン酸化形態によるS1P1発現の下方調節または不活性化は、S1P1のないマウスで観察されるものと類似のリンパ球隔離に対する説明を提供する(Matloubianら、2004)。別の提案されたモデルは、FTY720がS1P1アゴニスト活性によりリンパ球出口をブロックすることである(Brinkmannら、2002;Mandalaら、2002)。>3μMの濃度で、FTY720は、リンパ球アポトーシスを惹起する(Matsudaら、1998;Oyamaら、1998)。FTY720は、処置が、ウシ脊髄またはMBPでの免疫化の日に開始されるとき、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)において有効であることが示された(Brinkmannら、2002;Fujinoら、2003)。FTY720は、現在、多発性硬化症(MS)、中枢神経系(CNS)の炎症性障害および神経変性障害の処置について評価されている(「FTY720、新規な一日一度の経口薬物適用は、多発性硬化症の処置において有望な結果を示す。」Norvartis Media Release、novartispharma.at/download/presse/international/FTY720%20−%20ENGLISH%20−%20FINAL.pdf.におけるworld wide webから[オンライン]検索された)。しかし、CNS障害における成功した結果は、PNS障害における成功した結果に常に反映されるわけではない。例えば、インターフェロン−β(IFN−β)は、MS攻撃頻度を低減することにおいて効き目があるが、CIDPおよびその他の炎症性ニューロパシーの処置にそれを使用することは議論の余地があるままである。IFN−βを受けるCIDP患者の改善が、4つの研究のうち2つで報告された(Choudharyら、1995;Vallatら、2003;Kuntzerら、1999;Haddenら、1999)。
【0032】
AAL(R)はFTY720のキラルメチルアナログであり、そしてAFD(R)はFTY720のリン酸エステルである(Kiuchiら、2000)。AFD(R)は、4つのS1Pレセプター(S1P1、S1P3、S1P4、およびS1P5)のアゴニストとして作用する(Brinkmannら、2002)。最近、AAL(R)は、髄質胸腺細胞における迅速な表現型変化を誘導し、2時間以内にCD69の下方制御をもたらすことが示された(Rosenら、2003)。SEW2871は、S1P1アゴニストとして作用する。これらの結果は、FTY720および関連化合物が、免疫系に対して多形質発現性作用を及ぼすことを示す。スフィンゴシン、スフィンゴシン1−ホスフェート、FTY720、FTY720−P、AAL(R)、AFD(R)、およびSEW2871の構造は、図1に提供される。
【0033】
(D.薬学的組成物)
本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解または分散された、有効量のS1Pレセプター活性の1つ以上のモジュレーターを含む。語句「薬学的または薬理学的に受容可能」は、例えば、ヒトのような動物に必要に応じて投与されるとき、有害な反応、アレルギー反応またはその他の都合の悪い反応を生成しない分子および組成物をいう。S1Pレセプター活性の少なくとも1つのモジュレーターを含む薬学的組成物の調製は、本開示を考慮して、そして「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」第21版、2005に例示されるように当業者に公知である。さらに、ヒト投与のためには、調製物は、FDA Office of Biological Standardsによって要求されるような滅菌度、発熱性、一般的安全性に合致すべきことが理解される。
【0034】
本明細書で用いられるとき、「薬学的に受容可能なキャリア」は、当業者に公知であるように、任意およびすべての溶媒、分散媒体、抗酸化剤、塩、コーティング、界面活性剤、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、溶液緩染剤(例えばパラフィン)、吸収剤(例えば、カオリン粘土、ベントナイト粘土)、薬物安定化剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、ゲル、バインダー(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギネート)、賦形剤(例えば、ラクトース、ミルクシュガー、ポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば、エージャー−エージャー、スターチ、ラクトース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸、ソルビトール、グリシン)、湿潤剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート)、潤滑剤、吸収加速剤(例えば、四級アンモニウム塩)、食用油(例えば、アーモンド油、ココナッツ油、油性エステルまたはプロピレングリコール)、甘味剤、芳香剤、着色剤、充填剤(例えば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸(slilcic acid))、錠剤化潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、グルコース、ラクトース、米粉、チョーク)、吸入のためのキャリア(例えば、炭化水素推進剤)、緩衝化剤、または同様の物質およびそれらの組み合わせを含む(例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」第21版、2005を参照のこと)。任意の従来のキャリアが活性成分と不適合である範囲を除いて、治療組成物または薬学的組成物におけるその使用が企図される。
【0035】
いずれの場合においても、上記組成物は、1つ以上の成分の酸化を遅延するための種々の抗酸化剤を含み得る。抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、レシチン、プロピル没食子酸、および−トコフェロールを含む。さらに、微生物の作用の予防は、制限されないで、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組み合わせを含む種々の抗細菌剤および抗真菌剤のような保存剤によってもたらされ得る。
【0036】
薬学的に受容可能な塩は、例えば、タンパク質組成物の遊離アミノ基酸と形成されるような、または、例えば、塩化水素、塩化臭素、またはリン酸のような無機酸;または酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、乳酸、リン酸(phosphorific acid)、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、ナフチル酸(napsylic acid)、クラブラン酸、ステアリン酸、またはマンデル酸のような有機酸と形成される付加塩を含む。遊離のカルボキシル基と形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムまたは水酸化鉄のような無機塩基;またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンまたはプロカインのような有機塩基由来であり得る。
【0037】
上記組成物が液体形態である実施形態では、キャリアは、制限されないで、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により;例えば、液体ポリオールまたは脂質のようなキャリア中の分散による必要な粒子サイズの維持により;例えば、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤の使用により維持され得る。多くの事例において、例えば、糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせのような等張剤を含むことが好ましい。
【0038】
本発明は、当業者に公知の任意の適切な方法によって投与され得る(例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」第21版、2005を参照のこと)。薬学的組成物の投与の経路は、例えば、経口、皮内、皮下、局所、注入、連続的注入、局在化灌流、標的細胞に直接浴することによるか、カテーテル、洗浄、または前述の組み合わせによるものを含む。
【0039】
経口投与されるとき、S1Pレセプターのモジュレーターは、錠剤、カプセル、サシェ、バイアル、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成可能粉末、または液体調製物の形態であり得る。滅菌注入可能な溶液は、必要な量の活性化合物を、必要に応じて上記で列挙された種々のその他の成分とともに適切な溶媒中に取り込むことにより調製され、ついで濾過滅菌される。一般に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を、基礎分散媒体および/またはその他の成分を含む滅菌ビヒクル中に取り込むことによって調製される。滅菌注射可能な溶液、懸濁物またはエマルジョンの調製のための滅菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は、減圧乾燥または凍結乾燥技法であり、これらは、先に滅菌濾過されたその液体媒体から、活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる。この液体媒体は、必要に応じて適切に緩衝化され、そして液体希釈物は、まず、十分な生理食塩水またはグルコースで注入の前に等張にされる。直接注入のための高度に濃縮された組成物の調製がまた企図され、そこでは、溶媒としてDMSOの使用が想定され、極度に迅速な小領域への高濃度の活性成分の迅速な浸透、送達を生じる。
【0040】
患者に投与される本発明の組成物の実際の投薬量は、体重、性別、症状の重篤度、処置される疾患のタイプ、先または同時の治療介入、患者の突発性疾患、投与の時間、特定化合物の排出の速度、および投与の経路のような身体的および生理学的因子によって決定され得る。投与を行う実践者は、いずれにしても、組成物中の活性成分の濃度、および個々の被験体のために適切な投薬量を決定する。
【0041】
特定の実施形態では、注射可能な組成物の持続された吸収が、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはそれらの組み合わせのような吸収を遅延する作用剤の組成物における使用によりもたらされ得る。
【実施例】
【0042】
(E.実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含められる。当業者によって、以下の実施例に開示される技法は、本発明の実施において良好に機能するために本発明者によって発見された技法を呈示し、そしてそれ故、その実施のための好ましい様式を構成すると考えられ得ることが認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示を考慮して、開示される特定の実施形態において多くの変更がなされ得、そしてなお、本発明の思想および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果が得られることを認識すべきである。
【0043】
(実施例1)
(B7.2欠損NODマウスにおける自発性自己免多発ニューロパシー)
NODマウス中の同時刺激信号の役割を調べる努力の際に、B7−2発現が無くなることが、これらマウス中の高血糖症の発症を防いだことが発見された。しかし、これらマウスは、24週齢で開始する対称後脚不全麻痺(Salomonら、2001)を発症した。インビボで座骨神経に対して実施された神経伝導研究は、図2に示されるように、遠位潜伏期間の延長、伝導速度の顕著な遅延、および複合筋肉作用電位(CMAP)の分散を示した。遠位運動潜伏期間は、wt NODで1.1±0.1ms(n=8)、そしてB7.2−/−NODマウスで2.7±0.4ms)(p<0.005)であった。伝導速度は、wt NODで50.5±3.8ms、そしてB7.2−/−NODマウスで17.9±3.2ms)(p<0.00001)であった。CMAP振幅は、wt NODで10.8±1.5mV、そしてB7.2−/−NODマウスで3.0±0.6mV)(p<0.005)であった。近位 対 遠位刺激で振幅の30%減少として規定される部分的伝導ブロックは、すべてではないが、いくらかの動物で観察され、おそらくは、研究された神経の限られた数に関係する。これらの電気生理学的知見は、層を成した軸索損失にともなう髄鞘除去プロセスについて古典的である。
【0044】
組織学的評価は、後根神経節(DRG)および座骨神経における炎症性浸潤物の存在を示したが、B7.2−/−NODマウスのCNS中にはなかった。大直径軸索の顕著な損失および座骨神経切片上に薄く髄鞘を有する線維の証拠が存在した。顕微鏡検査用に細かく切られた線維調製物は、進行中のミエリン修復と一致するミエリン鞘の不規則厚みとともに、分断された髄鞘除去および短縮化結節間部を示した(図3)。生じるそのいくらかの再髄鞘形成は、このプロセスの潜在的な可逆性を指摘する。自発性自己免疫多発ニューロパシー(SAP)は、罹患した動物から単離されたCD4+T細胞によってNOD−SCIDマウス中で誘導されたが、罹患動物からの血清を用いる受動移入研究では誘導されなかった。これらの研究は、B7−2欠損NODマウスが、ヒト疾患CIDPに似る自発性自己免疫ニューロパシーの最初のモデルを構成し;しかも、自己免疫傾向の個体は、同時刺激性環境に依存して明確な疾患実体を顕示し得る免疫不全を有することを示す。
【0045】
(実施例2)
(SCおよび後根神経節(DRG)−SC同時培養に対する前炎症性サイトカインの相乗効果)
TNF−αおよびIFN−γ(サイトカインとして標識される)は、相乗的に作用して、不死化SCにおいて、NOS誘導およびセラミド蓄積を介して細胞生存率を低減した(図4)(Naganoら、2001)。いずれのサイトカインも単独では細胞死を誘導しなかった。これらサイトカインはまた、新生児DRG−SC同時培養における、処置の3日後に明らかである、髄鞘形成に対する相乗的阻害作用を奏した。50〜300U/mlのIFN−γまたは低濃度のTNF−α(10ng/ml)では髄鞘形成に対する影響は観察されないが、中程度の阻害作用が、100ng/mlのTNF−αで観察された。SCおよびニューロンに影響するサイトカイン誘導細胞死が、7日間処置された同時培養中で観察された。
【0046】
(実施例3)
(B7−2欠損NODマウスにおけるSAPの重篤度に対するFTY720の影響)
FTY720は、リンパ器官からのリンパ球遊出を阻害することが示されており、そしてそのリン酸化形態は、4つのS1Pレセプターの強力なアゴニストであることが示されている(Brinkmannら、2002;GralerおよびGoetzl、2004;Matloubianら、2004)。最近の研究は、インビボにおけるこれら薬物の影響が、FTY720またはそのリン酸化形態によるS1Pレセプターの下方制御に起因し得ることを示唆している(Brinkmannら、2002;GralerおよびGoetzl、2004;Matloubianら、2004)。これら薬剤の主要な結果は、二次的リンパ器官におけるリンパ球隔離であるが、より高い濃度ではアポトーシスが観察された(Brinkmannら、2002;Mandalaら、2002;Nagaharaら、2000)。FTY720の経口投与は、免疫化の時に与えられるとき、EAEを防ぐ(Brinkmannら、2002;Fujinoら、2003)。しかし、FTY720またはそのキラルアナログAAL(R)が疾患発症後投与されるとき、有効であるか否かは以前には不明確であった。
【0047】
CIDPへのその類似性のため、このB7−2欠損NODマウスは、疾患進行を止め得るか、または自己免疫ニューロパシーにおける回復を増大し得る薬剤を研究する特有の機会を提供する。自発性自己免疫ニューロパシーのこのモデルでは、徴候の発症は24〜28週の間で起こる。処置されないままでは、マウスは、32週までに四肢不全麻痺の点まで悪化する。
【0048】
雌のB7−2欠損NODマウスが用いられた。なぜなら、それらは、それらの雄よりもSAPをより発症する傾向にあるからである(Salomonら、前述)。このマウスは、研究の開示時には7ヶ月齢であった。動物に、0.3mg/kgまたは1mg/kgの用量でFTY720(水性溶液)、またはビヒクル単独を、1ヶ月の間1日1回経口チューブ栄養補給によって与えた。これらの濃度は、末梢リンパ球の枯渇に関する用量応答研究、およびラットにおけるEAE研究からのデータ(Brinkmannら、2002;Fujinoら、2003)に基づき選択された。
【0049】
FTY720のB7−2欠損NODマウスの臨床スコアおよび握り強度に対する影響を決定するために、定性的および定量的評価の両方が、盲検実験室従事者によって実施された。定性的評価には、他の調査者(Zhuら、2001a)によって記載されている名目上のスケール(正常を0、そして死を5)を用いた。定量的評価には、後脚および前脚がの強度が、握り強度メーター(Columbus Instruments)を用いて測定された。1mg/kgのFTY720で1ヶ月間処置された動物(n=10)は、ビヒクル処置動物(n=11)または0.3mg/kgのFTY720で処置された動物(n=5)と比較したとき、より軽度な定性、そして定量的により大きな握り強度を示した(図5Aおよび5B)。7ヶ月と8ヶ月の水処置マウス間の臨床スコアの差異は、0.0007未満のp値で、統計学的に有意であった(図5a)。同様に、0.3mg/kgのFTY720で処置されたマウスの7ヶ月と8ヶ月の間の臨床スコアにおける差異は、0.03未満のp値で、統計学的に有意であった。ビヒクル処置されたマウスおよび0.3mg/kgのFTY720で処置されたマウスとは対照的に、1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウスの臨床スコアは、7ヶ月と8ヶ月の間で増加しなかった。類似の結果が、前脚および後脚強さが定量的に評価されたとき観察された。1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウスは、ビヒクルまたは0.3mg/kgのFTY720で処置されたマウスと比較したとき、増加した握り強度を示した(図5B)。これらの結果は、FTY720が、徴候の発症後に与えられるときでさえ、有益であり得ることを示す。
【0050】
FTY720の有効性はまた、末梢血リンパ球減少症の誘導によってモニターされた。末梢血リンパ球カウントは、FTY720(0.3mg/kg)(n=4)によりビヒクル処置のそれより50〜60%、そしてFTY720(1.0mg/kg)(n=3)により25〜30%まで低減された。
【0051】
電気生理学的研究が、研究動物のサブセットにおけるインビボの座骨神経機能に対するFTY720の影響を評価するために実施された。1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウスは、水処置コントロールマウスと比較したとき、改善された遠位潜伏期間(DL)および伝導速度(CV)を示したが、座骨複合筋肉作用電位(CMAP)の振幅の改善は示さなかった(表1)。図6は、同様に、FTY720処置が、DLおよびCLを改善することを示す(図6B、6匹の水処置マウスからの12の神経、および7匹のFTY720処置マウスからの14の神経に対して実施された実験からの結果の要約を示す)が、座骨CMAPの振幅は改善しなかった(図6A)。
【0052】
【表1】

B7−2欠損NODマウスに対するFTY720の影響をさらに評価するために、組織学的評価が、炎症性細胞浸潤を評価するために実施された。定量的または半定量的方法のいずれかを用い、1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウス(n=7)は、水で処置されたマウス(n=6)と比較したとき、減少した炎症性細胞浸潤を示した(図7)。これらの観察された差異は、水処置されたマウスをFTY720処置されたマウスと定量的方法で比較したとき0.02未満のp値で、そして半定量的方法を用いて比較をおこなったとき0.003未満のp値で統計学的に有意であった。定量的方法については、組織領域は、画像分析によって測定され、そして炎症性細胞の数が、×20倍率でカウントされた。結果は平均化され、そして細胞/mm組織切片として表された。半定量的方法については、炎症は:1、しばしば神経周膜下の少数の散在単核炎症性細胞;2、単核炎症性細胞とともに細静脈周囲の袖口様白血球集合(1つまたは2つの病巣);3、広い複数病巣の細静脈周囲の袖口様白血球集合および広範な神経内炎症としてグレード分けされた。
【0053】
FTY720処置はまた、脱髄および有髄化線維の損失を防いだ。エポン切片を、ビヒクル処置マウス(n=6)および1.0mg/kgのFTY720で処置されたマウス(n=7)から調製した。FTY720処置マウスは、有髄化線維損失および髄鞘脱落増加%の減少を示した(図8)。これらの差異は、0.015未満のp値で統計学的に異なっていた。エポン切片における有髄化線維の損失の%は、グリッドを用いて盲検観察者によって評価された。髄鞘脱落は以下のようにグレード分けされた:1、血管周囲または散在する隔離された脱髄軸索;2、血管周囲髄鞘脱落の多くの病巣;3、血管周囲および集密である広範な髄鞘脱落。
【0054】
(実施例4)
(血液神経関門の透過性に対するFTY720の影響を調査すること)
さらなる実験は、FTY720、およびS1P1アゴニストSEW2871のような関連化合物が、疾患発症後与えられるとき、血液神経関門(BNB)の破壊を減少し得るか否かを決定することである。BNBの透過性に対するFTY720の影響を調査するために、エバンスブルー(EBA)を、屠殺する1時間前にB7−2欠損NODマウス中に静脈注射した。ビヒクル処置マウスを、FTY720処置の1日目、およびFTY720処置の3日目のマウスと比較する。長軸方向の座骨神経切片のDIC造影でのEBA共焦点画像が、同様の条件(例えば、同じレンズ、レーザー出力、ピンホールサイズなど)を用いて撮影された。神経組織におけるEBA漏失がFTY720によって減少されるとき、この結果は、FTY720の治療効果が、少なくとも部分的に、BNBの破壊を軽減することによって媒介されることを示す。ネガティブな結果(すなわち、EBAのBNBを横切る能力に対して影響がない)は、SAPマウス中の座骨神経における炎症性浸潤物を減少するFTY720の能力が、内皮細胞によって発現されるS1P1および/またはS1P3レセプターに対する優勢的作用よりはむしろ、標的器官へのリンパ球移動における減少からの結果であることを示し得る。
【0055】
さらなる実験はまた、このマウスモデルでは、推定抗原に向かう脾細胞の免疫反応性が、FTY720および関連化合物によって改変されるか否かを決定することである。脾細胞が、ビヒクル、FTY720、またはFTY720関連化合物で処置されたSAPマウスから単離される。脾細胞増殖は、チミジンの取り込みによってモニターされる(例えば、H−チミジンアッセイ)。P0プロテインペプチド(180−199)(10〜20μg/ml)、P2プロテインペプチド(57−81)(10〜20μg/ml)、精製されたPNSミエリン(100μg/ml)、およびSC溶解物(100μg/ml)に応答するサイトカイン産生がまた、評価される。脾細胞増殖およびサイトカイン産生の減少は、T細胞活性化が、FTY720および関連化合物に応答して減衰することを示す。この結果は、これら化合物が、疾患の初期(プライミング)および後期(エフェクター)の両方で作用し得ることを示す。
【0056】
(実施例5)
(Schwann細胞(SC)中のS1Pレセプターの役割を調査すること)
新生児ラット座骨神経からの精製されたSCを、TNF−α(100ng/ml)+IFN−γ(200U/ml)で、48〜72時間の間、血清を含まない条件下、FTY720−P(0.01〜1μM)有りまたは無しで処理される。述べられたTNF−αおよびIFN−γの投薬量は、先の研究(Naganoら、2001)に基づく。FTY720−PがSC死滅を減少し得るかを決定するために、細胞アポトーシスのレベルが、ヨウ化プロピジウムを介して、そしてトリパンブルーアッセイによる核染色に従ってアッセイされる。FTY720−Pが、SC死滅を低減する場合、siRNA法が、どのS1Pレセプターサブタイプがこの効果を媒介するのかを決定するために用いられる。このアプロチはまた、S1PまたはSEW2871のようなFTY720−P以外のS1PアゴニストがSC死滅を阻害し得るか否かを決定するために採用され得る。
【0057】
FTY720−Pまたはその他のS1Pレセプターアゴニストが、SC死滅を阻害する場合、さらなる実験が、細胞生存および増殖に関連するシグナル伝達分子であるERK1/2およびAktのリン酸化に対するFTY720−Pおよびその他のS1Pレセプターアゴニストの影響を調べるために実施される。生存、増殖およびリン酸化アッセイに対する影響が観察されない場合、この結果は、S1Pレセプターが、SCの生存、分化、または有髄化に重要ではないことを示す。上記の研究からのボジティブな結果は、S1Pレセプターが、神経膠保護薬剤の可能な標的として供され得ることを示す。
【0058】
本明細書中に開示され、そして請求項に記載される組成物および方法のすべては、本開示を考慮して過度の実験なくして作製および実施され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、改変物が、本発明の概念、思想および範囲から逸脱することなく本明細書中に記載される組成物および方法ならびに方法における工程または工程の順序に適用され得ることは、当業者に明らかである。より詳細には、化学的および生理学的両方に関連する特定の物質が、本明細書中に記載される物質を置換し得、その一方、同じまたは類似の結果が達成され得ることは明らかである。すべてのこのような当業者に明らかな類似の置換物および改変物は、添付の請求項によって規定されるような本発明の思想、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0059】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書中で呈示されるものを補足する例示の手順またはその他の詳細を提供する程度まで、参考として本明細書中に詳細に援用される。
【0060】
【表2−1】

【0061】
【表2−2】

【0062】
【表2−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
末梢神経系の自己免疫障害を有する被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含し、ここで、該末梢神経系の自己免疫障害が処置される、方法。
【請求項2】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、FYT720である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、FYT720−Pである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、AAL(R)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、AFD(R)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、SEW2871である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記末梢神経系の自己免疫障害が、ギヤン‐バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、抗体媒介性ニューロパシー、または血管ニューロパシーである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記末梢神経系の自己免疫障害が、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、前記末梢神経系の自己免疫障害の徴候の発症前に、前記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、前記末梢神経系の自己免疫障害の徴候の発症後に、前記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記被験体に、有効量の免疫抑制剤を投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記被験体に、有効量のコルチコステロイドを投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体に、有効量の免疫グロブリンを投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
被験体における末梢神経系の自己免疫障害の徴候を軽減する方法であって、該方法は、該被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含し、ここで、該末梢神経系の自己免疫障害の徴候が軽減される、方法。
【請求項16】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、FTY720、FTY720−P、AAL(R)、またはAFD(R)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記末梢神経系の自己免疫障害が、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
被験体における末梢神経系の自己免疫障害の再発する時間を延長する方法であって、該方法は、該被験体に、有効量のスフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターを投与する工程を包含し、ここで、該末梢神経系の自己免疫障害の再発する時間が延長される、方法。
【請求項19】
前記スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターが、FTY720、FTY720−P、AAL(R)、またはAFD(R)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記末梢神経系の自己免疫障害が、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)である、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−500995(P2010−500995A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524698(P2009−524698)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/018331
【国際公開番号】WO2008/021532
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503294773)ユニバーシティ オブ シカゴ (11)
【Fターム(参考)】