説明

炎症性疾患治療用の選択的TACE阻害剤としての4−アルコキシ−N−(2−ヒドロキシカルバモイル−2−ピペリジニル−エチル)ベンズアミド化合物

本発明は、以下の一般式(I)に対応する構造を有する新規ベンゼン-カルボキサミド化合物、並びにそれらの合成方法及び医学又は獣医学その他におけるそれらの使用を目的とする医薬組成物へのそれらの使用又は化粧品組成物へのそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(I):
【0002】
【化1】

【0003】
に対応する新規ベンゼン-カルボキサミド化合物、並びにそれらの合成方法及び医学又は獣医学における使用を目的とする医薬組成物へのそれらの使用に関する。
【0004】
本発明の化合物は、TACEとしても知られるTNFα-変換酵素の阻害剤として作用する。したがって、それらは、TNFα産生の低減が非常に有益な疾患の治療に有用である。
【0005】
本発明はまた、一般式(I)に対応する化合物の、化粧品組成物中への使用に関する。
【背景技術】
【0006】
アダマライシン(「ADAM」又はAディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)は、亜鉛メタロエンドペプチダーゼ酵素のサブファミリーである。これらの外部ドメインは、活性化が亜鉛依存性であるプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン及びシステインリッチドメインを含む。今日まで、少なくとも30種の異なるADAMが同定されており、そのうち、最初に特性決定されたのは、TACE(TNFα-変換酵素)としても知られるADAM17であった[Gueydan Cら、Med.Sci 1997年、13巻、83〜88頁;Black R.Aら、Nature 1997年、385巻:729〜733頁;Mossら、Nature 1997年、385巻:733〜736頁]。TACE mRNAは、多くの組織、より具体的には、単球、マクロファージ及びTリンパ球中に存在するが、例えばケラチノサイト中にも存在する。
【0007】
TACEは、生物活性のある17kDaタンパク質である可溶性TNFαの放出をもたらすように、26kDa膜タンパク質であるプロ-TNFαの開裂を担っている[Schlondorffら、Biochem.J.2000年、347巻、131〜138頁]。細胞によって放出された可溶性TNFαは、合成部位から非常に離れた部位で作用することができる。TNFαは、多数の炎症誘発性の生物学的プロセスに関与する[Aggarwalら、Eur.Cytokine Netw.、1996年、7巻:93〜124頁]。いくつかの薬理試験及び臨床試験は、特異抗体又は抗-TNFα生物学的薬剤(エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ)によるTNFα効果の遮断が、関節リウマチ[Feldmanら、Lancet、1994年、344巻、1105頁]、インスリン非依存性糖尿病[Lohmander L.Sら、Arthritis Rheum、1993年、36巻、1214〜1222頁]、及びクローン病[MacDonaldら、Clin.Exp.Immunol.1990年、81巻、301頁]などの自己免疫疾患の治療に有益であることを明白に示している。
【0008】
TNFαはまた、乾癬病変で誘発される炎症事象において基本的な役割を果たしている。血清中TNFα濃度は、乾癬患者において高く[Mussi Aら、J.Biol.Regul.Homeost Agents、1997年、11巻、115〜118頁];TNFα濃度は、実際の乾癬プラークにおいても高い[Bonifati C.ら、Clin.Exp.Dermatol.、1994年、19巻、383〜387頁]。乾癬の生理病理学において重要な細胞は、ケラチノサイト、樹状細胞及びいくつかのTリンパ球である。これらの細胞ファミリー間の相互作用によって、TNFαの放出を伴う乾癬に特徴的な病変を誘発する炎症性カスケードがもたらされる[Kupper TS、N.Engl.J.Med、2003年、349巻、1987〜1990頁]。抗-TNFα生物学的薬剤(エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ)による中等度から重度のプラーク乾癬の治療に関する臨床試験は、乾癬病変及び患者の生活の質に対するそれらの効果を実証している[Ortonne JP、Annales de dermatologie et de venereologie、2005年、132(8〜9 pt2)、4S6〜9及び2005年、132、9S01〜9S70]。
【0009】
したがって、TNFα産生を阻害する化合物は、炎症性疾患及びTNFα放出が関与する疾患の治療に非常に有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO00/44709;251頁、表10、実施例61
【特許文献2】WO99/37625
【特許文献3】WO00/044730
【特許文献4】WO03/055856
【特許文献5】EP01/301989
【特許文献6】WO98/15525
【特許文献7】WO00/059874
【特許文献8】WO02/030873
【特許文献9】WO04/062601
【特許文献10】WO08/154642
【特許文献11】WO01/070734
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Gueydan Cら、Med.Sci 1997年、13巻、83〜88頁
【非特許文献2】Black R.Aら、Nature 1997年、385巻:729〜733頁
【非特許文献3】Mossら、Nature 1997年、385巻:733〜736頁
【非特許文献4】Schlondorffら、Biochem.J.2000年、347巻、131〜138頁
【非特許文献5】Aggarwalら、Eur.Cytokine Netw.、1996年、7巻:93〜124頁
【非特許文献6】Feldmanら、Lancet、1994年、344巻、1105頁
【非特許文献7】Lohmander L.Sら、Arthritis Rheum、1993年、36巻、1214〜1222頁
【非特許文献8】MacDonaldら、Clin.Exp.Immunol.1990年、81巻、301頁
【非特許文献9】Mussi Aら、J.Biol.Regul.Homeost Agents、1997年、11巻、115〜118頁
【非特許文献10】Bonifati C.ら、Clin.Exp.Dermatol.、1994年、19巻、383〜387頁
【非特許文献11】Kupper TS、N.Engl.J.Med、2003年、349巻、1987〜1990頁
【非特許文献12】Ortonne JP、Annales de dermatologie et de venereologie、2005年、132(8〜9 pt2)、4S6〜9及び2005年、132、9S01〜9S70
【非特許文献13】Curr Opin Investig Drugs.2006年11月;7巻(11号)、1014〜9頁
【非特許文献14】Protein Eng Des Sel、2006年、19巻、155〜161頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、TACE酵素(TNFα-変換酵素)を阻害し、その結果、細胞による可溶性TNFα(TNFαの活性型)の分泌を阻害する新規分子を対象とする。したがって、これらの新規分子は、TNFα産生の低減又は阻害に作用する、病態の治療のための潜在的な有効成分である。
【0013】
非限定的な例として、これらの病態は、例えば、敗血性ショック、血行動態ショック、マラリア、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、炎症性骨疾患、マイコバクテリウム感染症、髄膜炎、線維性疾患、心疾患、虚血性発作、移植片拒絶反応、癌、アテローム性動脈硬化症、肥満症、血管新生事象を伴う疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、多発性硬化症、HIV、インスリン非依存性糖尿病、アレルギー性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼炎症、炎症性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎及び乾癬性関節炎である。
【0014】
これらの分子はまた、TNFα産生の低減が非常に有益であろう、炎症性の神経学的病態の治療のための潜在的な有効成分である。これらの病態の非限定的例を列挙すると、例えば以下の通りである:アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン病様障害(Parkinsonian disorders)、筋萎縮性側索硬化症、神経系の自己免疫疾患、神経系の自律神経性疾患、背部痛、脳浮腫、脳血管疾患、認知症、神経系の神経線維脱髄性自己免疫疾患、糖尿病性ニューロパシー、脳炎、脳脊髄炎、てんかん、慢性疲労症候群、巨細胞性動脈炎、ギラン-バレー症候群、頭痛、多発性硬化症、神経痛、末梢神経系疾患、多発ニューロパシー、多発神経根筋障害、神経根障害、呼吸麻痺、脊髄疾患、トゥレット症候群、中枢神経系血管炎、ハンチントン病及び脳発作(cerebral attack)。
【0015】
下記に示すような種々のTACE阻害剤が、既に知られている。しかし、これらの阻害剤の多くは、ADAM及び/又はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)のファミリーの他の酵素と比べて、TACE酵素に選択的に作用しない。
【0016】
一方、これらの酵素ファミリーの非選択的な阻害は、インビボで観察される不所望な副作用を誘発する。例えば、MMP-1(コラゲナーゼ-1)の阻害は、筋骨格毒性の問題と関連している。
【0017】
非選択的阻害剤として、関節リウマチの治療に関するフェーズ2臨床試験において試験された既知の阻害剤であるアプラタスタット(Apratastat)に言及することもできる(Curr Opin Investig Drugs.2006年11月;7巻(11号)、1014〜9頁)。この阻害剤は、ある種のMMP(WO00/44709;251頁、表10、実施例61)と比べて、TACE酵素に対して選択的ではない。
【0018】
ある種の環状β-アミドヒドロキサム誘導体は、WO99/37625、WO00/044730、WO03/055856及びEP01/301989にマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤及び/又はTACE阻害剤として既に記載されている。他の特許(WO98/15525、WO00/059874、WO02/030873)は、非環状アミド誘導体をマトリックスメタロプロテイナーゼ及び/又はTNFα及び/又はアグリカナーゼの阻害剤として特許請求している。他の非環状β-アミドヒドロキサム誘導体が、特許WO04/062601及びWO08/154642に抗細菌剤として記載されている。特許WO01/070734は、β-アミノ酸誘導体を、非常に広範な一般的構造で、TACE酵素に対して生物学的結果を示すことないマトリックスメタロプロテアーゼ及びTNFαの阻害剤として特許請求している。
【課題を解決するための手段】
【0019】
しかしながら、本出願人は今回、予想外に且つ驚くべきことに、一般式(I)の新規化合物が、非常に良好なTACE阻害活性を有し、特に、他のADAM及びMMPと比べて非常に選択的にTACE酵素を阻害することを発見した。
【0020】
したがって、本発明は、下記一般式(I)の化合物:
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、
R1及びR2は、同一又は異なり、アルキル基を表すか又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し;
R3は、水素原子又は低級アルキル基であり;
R4は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xは、酸素原子、-CH2-基、-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)、硫黄原子、SO基又はSO2基を表し;
R5及びR6は、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり;
mは、0又は1の値をとることができ;
nは、0、1、2又は3の値をとることができ;
pは、0、1又は2の値をとることができる]、
並びに一般式(I)の化合物と薬学的に許容される酸との付加塩、一般式(I)の化合物と薬学的に許容される塩基との付加塩及び一般式(I)の化合物のエナンチオマーに関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般式(I)の化合物と薬学的に許容される酸との付加塩としては、好ましくは、有機酸又は無機酸との塩を挙げることができる。
【0026】
適当な無機酸は、例えば、塩酸又は臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸である。
【0027】
適当な有機酸は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、コハク酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、カンファースルホン酸及びフマル酸である。
【0028】
一般式(I)の化合物と薬学的に許容される塩基との付加塩としては、好ましくは、有機塩基又は無機塩基との塩を挙げることができる。
【0029】
適当な無機塩基は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩である。これらの塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムを挙げることができる。
【0030】
適当な有機塩基としては、アミン及びアミノ酸を挙げることができる。アミンとしては、例えば、脂肪族又は芳香族、第1級、第2級又は第3級アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンの4つの異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジエタノールフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン及びイソキノリンを挙げることができる。
【0031】
アミノ酸としては、例えば、リジン、アルギニン及びオルニチンを挙げることができる。
【0032】
本発明によれば、「低級アルキル基」という表現は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0033】
本発明によれば、「アルキル基」という表現は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0034】
本発明によれば、「アルケニル基」という表現は、1つ又は複数の二重結合を含む炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖不飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0035】
本発明によれば、「アルキニル基」という表現は、1つ又は複数の三重結合を含む炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖不飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0036】
本発明によれば、「置換アルキル基」という表現は、ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されている、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0037】
本発明によれば、「置換アルケニル基」という表現は、ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されている、1つ又は複数の二重結合を含む炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖不飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0038】
本発明によれば、「置換アルキニル基」という表現は、ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されている、1つ又は複数の三重結合を含む炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖不飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0039】
本発明によれば、「シクロアルキル」という用語は、炭素数3〜7の環式飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0040】
本発明によれば、「置換シクロアルキル」という表現は、ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されている、炭素数3〜7の環式飽和炭化水素系鎖を意味する。
【0041】
本発明によれば、「アリール基」という表現は、芳香族炭化水素系環又は2つの縮合された芳香族炭化水素系環を意味する。好ましいアリール基は、フェニル及びナフチル基から選択される。
【0042】
本発明によれば、「置換アリール基」という表現は、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されている、芳香族炭化水素系環又は2つの縮合された芳香族炭化水素系環を意味する。
【0043】
本発明によれば、「アラルキル基」という表現は、アリールで置換されているアルキルを意味する。
【0044】
本発明によれば、「置換アラルキル基」という表現は、置換アリールで置換されているアルキルを意味する。
【0045】
本発明によれば、「複素環基」という表現は、O、S及びNから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の、環式又は多環式炭化水素系鎖を意味する。
【0046】
本発明によれば、「置換複素環基」という表現は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されている複素環基を意味する。
【0047】
本発明によれば、「ヘテロアリール基」という表現は、芳香族複素環基、即ち、O、S及びNから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む芳香族、環式又は多環式の炭化水素系鎖を意味する。
【0048】
本発明によれば、「置換ヘテロアリール基」という表現は、例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているヘテロアリール基を意味する。
【0049】
本発明によれば、「ヘテロアラルキル基」という表現は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基を意味する。
【0050】
本発明によれば、「置換ヘテロアラルキル基」という表現は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているヘテロアラルキル基を意味する。
【0051】
本発明によれば、「アルコキシ基」という表現は、アルキル基で置換されている酸素原子を意味する。
【0052】
本発明によれば、「ハロゲン原子」という表現は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0053】
本発明の範囲内である一般式(I)の化合物としては、特に以下の化合物を挙げることができる:
1. 4-ブタ-2-イニルオキシ-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
2. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
3. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
4. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
5. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
6. 4-(4-シアノベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
7. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンズアミド
8. 4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
9. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
10. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンズアミド
11. N-((S)-2-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
12. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
13. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(3-メチルベンジルオキシ)ベンズアミド
14. N-((R)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
15. N-((R)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
16. N-((S)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
17. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-[1,4]オキサゼパン-4-イルエチル)-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
18. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-チオモルホリン-4-イルエチル)-4-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
19. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-チオモルホリン-4-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
20. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
21. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(2-トリフルオロメチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
22. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-トリフルオロメチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
23. N-[(S)-2-(1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(4-フルオロベンジルオキシ)ベンズアミド
24. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)-N-プロピルベンズアミド
25. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-プロポキシベンズアミド
26. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(キノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
27. N-((S)-2-アゾカン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(3-メチル-1H-ピラゾール-4-イルメトキシ)ベンズアミド
28. 4-(3,5-ジメチルベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-[1,4]オキサゾカン-4-イルエチル)ベンズアミド
29. 4-(2,6-ジメチルピリジン-4-イルメトキシ)-N-[(S)-2-(エチルプロピルアミノ)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]ベンズアミド
30. N-((R)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
31. N-[(S)-2-(4-エチルアミノピペリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
32. N-[(S)-2-(3-アミノピロリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
33. N-[(S)-2-(3-ジメチルアミノメチルピロリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
34. N-[(S)-2-(4-ベンジルアミノピペリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド、及び
35. N-[(S)-2-(4-ジメチルアミノメチルアゼパン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチル-1H-インドール-3-イルメトキシ)ベンズアミド
【0054】
R1及びR2が環を形成する一般式(I)の化合物は、以下に示す図1の反応スキームに従って調製する。
【0055】
図1によれば、ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンなどの有機第3級塩基の存在下で60〜120℃の温度においてアミノ酸(1)H-DAP(Boc)-OMe.HCl又はH-(D)-DAP(Boc)-OMe.HClと化合物(2)(市販又は予め調製)との反応によって、化合物(3)を得る。従来の方法に従って、例えば、塩酸のイソプロパノール中溶液を使用して、化合物(3)のアミン官能基を脱保護することによって、化合物(4)を得る。
【0056】
ジクロロメタン中、例えばトリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下における、化合物(4)とベンジル基(6)でO-保護された4-ヒドロキシベンゾイルクロリドとの反応により、化合物(7)を生成させる。次いで、DMFなどの溶媒中、例えば水素化ナトリウムなどの塩基の存在下におけるハロゲン化アルキルとの反応によってアミド官能基をN-アルキル化させて、誘導体(8)を得ることができる。フェノール官能基を脱保護するための当業者に知られている方法に従って脱保護することにより、化合物(9)を得る。アセトン中、例えば炭酸セシウムなどの塩基の存在下におけるハロゲン化アルキルとの反応による、又は例えばトリフェニルホスフィン及びジイソプロピルアゾジカルボキシレートの存在下における第1級アルコール誘導体との光延反応による、化合物(9)のフェノール官能基のアルキル化によって、化合物(10)を得る。水及びテトラヒドロフランの存在下における水酸化リチウムなどの塩基の存在下での鹸化反応によって、化合物(11)を得る。最終ステップにおいて、従来のペプチドカップリング条件下で、ジクロロメタン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中で、例えば、カップリング剤として1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、ヒドロキシベンゾトリアゾール又はTBTUを及び塩基としてトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンを用いて、例えばO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンと誘導体(11)とのカップリングによって、化合物(12)を得る。化合物(12)は、中間で形成されたシリル化ヒドロキサム酸の脱保護をその場で又は酸性水溶液での洗浄によって行うことによって得る。
【0057】
化合物(12)を得るための別の選択肢を、以下の図2に示す。
【0058】
図2の合成スキームによれば、例えばジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムなどの塩基及びハロゲン化アルキルの存在下において、誘導体(3)を任意選択でアルキル化させて、化合物(13)を生成できる。アミンを脱保護するための従来の方法に従って、例えば、塩酸のイソプロパノール中溶液を使用して、化合物(13)から化合物(14)を得る。
【0059】
例えば炭酸カリウムなどの塩基の存在下におけるR4CH2Br誘導体による4-ヒドロキシ安息香酸メチルのアルキル化によって、化合物(15)を得る。化合物(15)の鹸化後、得られた誘導体(16)を例えば塩化チオニル中に入れることによって、誘導体(17)を得る。
【0060】
例えばジクロロメタン中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下における化合物(14)と化合物(17)との反応によって、誘導体(10)を得る。
【0061】
次いで、図1に示したのと同一の反応経路に従って、誘導体(10)から化合物(12)を得る。
【0062】
R1及びR2が、同一又は異なり、アルキル基である一般式(I)の化合物は、後に示す図3の反応スキームに従って調製する。
【0063】
図3によれば、ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンなどの有機第3級塩基の存在下において60℃から120℃の温度でアミノ酸(1)H-DAP(Boc)-OMe.HCl又はH-(D)-DAP(Boc)-OMe.HClとハロゲン化アルキルとの反応によって、化合物(18)を得る。例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下において脂肪族アルデヒドを用いる還元的アミノ化によって、誘導体(19)を得ることができる。
【0064】
アミン官能基の脱保護後、化合物(20)を得る。次いで、これをp-アルコキシベンゾイルクロリド(17)(図2のスキームに従って調製)と縮合させることによって、誘導体(21)を得る。R3が低級アルキル基である場合には、次に、溶媒(例えば、DMF)中で塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下においてハロゲン化アルキルと反応させることによって、スルホンアミド官能基をN-アルキル化させて、誘導体(22)を得る。例えば、水及びテトラヒドロフランの存在下における水酸化リチウムなどの塩基の存在下での鹸化反応によって、化合物(23)を得る。最終ステップにおいて、従来のペプチドカップリング条件下で、ジクロロメタン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中で、例えば、カップリング剤として1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、ヒドロキシベンゾトリアゾール又はTBTUを及び塩基としてトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンを用いて、例えばO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンと誘導体(23)とのカップリングによって、化合物(24)を得る。化合物(24)は、シリル化ヒドロキサム酸の脱保護をその場で又はわずかに酸性の水溶液での洗浄によって行うことによって得る。
【0065】
本発明によれば、好ましい一般式(I)の化合物は、
R1及びR2が、同一又は異なり、アルキル基を表すか又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0066】
【化4】

【0067】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子又は低級アルキル基であり;
R4が、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基、-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)、硫黄原子、SO基又はSO2基を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表し;
mが、0又は1の値をとることができ;
nが、0、1又は2の値をとることができ;
pが、0、1又は2の値をとることができる
化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマーである。
【0068】
本発明によれば、特に好ましい一般式(I)の化合物は、
R1及びR2が、同一又は異なり、アルキル基を表すか又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0069】
【化5】

【0070】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子又は低級アルキル基であり;
R4が、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基又は-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表し;
mが、1の値をとり;
nが、0、1又は2の値をとることができ;
pが、0、1又は2の値をとることができる
化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマーである。
【0071】
発明によれば、より好ましい一般式(I)の化合物は、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0072】
【化6】

【0073】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子であり;
R4が、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基又は-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し;
mが、1の値をとり;
nが、1又は2の値をとり;
pが、0、1又は2の値をとることができる
化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマーである。
【0074】
本発明によれば、更により好ましい一般式(I)の化合物は、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0075】
【化7】

【0076】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し;
R3が、水素原子であり;
R4が、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子又は-CH2-基を示し;
nが、1の値をとる
化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマーである。
【0077】
本発明によれば、最も好ましい一般式(I)の化合物は、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【0078】
【化8】

【0079】
(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し;
R3が、水素原子であり;
R4が、ヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基であり;
Xが、酸素原子又は-CH2-基を示し;
mが、1の値をとり;
nが、1の値をとる
化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマーである。
【0080】
本発明による化合物は、非常に良好なTACE-阻害活性を有し、特に、他のADAM及びMMPと比べて選択的にTACE酵素を阻害する。このTACE酵素阻害活性は、実施例12に記載するようにして、酵素試験において測定し、IC50(TACE酵素の50%阻害を得るのに必要な阻害濃度)の測定によって数値化する。本発明の化合物は、TACEに対して、10μM以下、より詳しくは1μM以下のIC50を有する。有利には、本発明の化合物は、TACEに対して0.5μM以下のIC50を有する。
【0081】
有利には、これらの化合物はまた、他のADAM及びMMP(実施例13参照)と比較して、TACEに対して非常に選択的であり:これらの阻害活性は、TACEに対しては、他のADAM及びMMPよりも少なくとも10倍大きく(即ち、TACEに対するIC50値が、他のADAM及びMMPに対するIC50値よりも少なくとも10倍小さい低く)、より有利には、少なくとも100倍大きい。
【0082】
TACE(TNFα-変換酵素)は、特定の細胞の膜に結合した前駆体タンパク質(膜貫通TNFα)からの可溶性TNFαの形成を触媒する。TNFαは、炎症性を有する多くの病態に関与することが知られている炎症誘発性サイトカインである。
【0083】
したがって、本発明は、TNFα放出と関連する病態又は障害の治療への、前記で定義した一般式(I)の少なくとも1種の化合物の使用を対象としている。一般式(I)のTACE酵素阻害剤は、TNFα産生を低減する。その結果、これは、TNFα放出に関連付けられる病態の治療に有用である。
【0084】
本発明はまた、TACE酵素阻害活性を有する、前記で定義した一般式(I)の少なくとも1種の化合物の、医薬組成物又は化粧品組成物の調製への使用を対象とする。
【0085】
したがって、本発明は、TACE酵素の阻害により改善される病態又は障害の治療への、前記で定義した一般式(I)の少なくとも1種の化合物の使用を対象とする。
【0086】
本発明はまた、TACE阻害剤として、したがって、可溶性TNFα産生の阻害剤として一般式(I)の化合物を含む医薬組成物又は化粧品組成物の投与又は適用を含む、(ヒト又は動物の)治療方法又は化粧方法に関する。
【0087】
したがって、本発明は、TNFα産生に関連する病態又は障害の治療への、前記で定義した一般式(I)の少なくとも1種の化合物の使用に関する。
【0088】
本発明はまた、TNFα産生の低減が非常に有益であろう病態の治療を目的とする医薬品の調製への、前記で定義した一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0089】
具体的には、本発明によって使用される化合物は、以下に列挙するが限定的でない炎症性疾患などの障害/疾患の治療及び予防に特に適当である:例えば、敗血性ショック、血行動態ショック、マラリア、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、炎症性骨疾患、マイコバクテリウム感染症、髄膜炎、線維性疾患、心疾患、アテローム性動脈硬化症、肥満症、虚血性発作、移植片拒絶反応、癌、血管新生事象を伴う疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、多発性硬化症、HIV、インスリン非依存性糖尿病、アレルギー性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎及び乾癬性関節炎。
【0090】
これらの分子はまた、TNFα産生の低減が非常に有益であろう、炎症性の神経学的病態の治療のための潜在的な有効成分である。これらの病態の非限定的例を列挙すると、以下の通りである:アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン病様障害、筋萎縮性側索硬化症、神経系の自己免疫疾患、神経系の自律神経性疾患、背部痛、脳浮腫、脳血管疾患、認知症、神経系の神経線維脱髄性自己免疫疾患、糖尿病性ニューロパシー、脳炎、脳脊髄炎、てんかん、慢性疲労症候群、巨細胞性動脈炎、ギラン-バレー症候群、頭痛、多発性硬化症、神経痛、末梢神経系疾患、多発ニューロパシー、多発神経根筋障害、神経根障害、呼吸麻痺、脊髄疾患、トゥレット症候群、中枢神経系血管炎、ハンチントン病及び脳発作。
【0091】
本発明は、TNFαが関与する炎症性の病態の治療を目的とする医薬品の調製への、前記で定義した一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0092】
本発明はまた、炎症性皮膚疾患の治療、及び乾癬、アトピー性皮膚炎又は乾癬性関節炎の治療を目的とする医薬品の調製への、上記で定義した一般式(I)の化合物の使用に関する。
本発明の別の主題は、特に前述の苦痛(affliction)の治療を目的とする医薬組成物であって、この組成物に使用される投与方法に適合する薬学的に許容される担体中に、一般式(I)の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物である。一般式(I)のこの化合物はまた、そのエナンチオマー型の1つであってもよいし、その薬学的に許容される塩の1つの形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、R1及びR2が環を形成する一般式(I)の化合物の反応スキームを示す。
【図2】図2は、化合物(12)を得るためのスキームを示す。
【図3】図3は、R1及びR2が、同一又は異なり、アルキル基である一般式(I)の化合物の反応スキームを示す。
【0094】
本発明による式(I)の活性化合物の調製、並びにこのような化合物の生物活性の結果のいくつかの例を、以下に例として示すが、これらは限定的なものではない。
【実施例】
【0095】
一般式(I)の化合物を、Advanced 400MHz Bruker装置でのプロトンNMR分析によって特性決定する。
【0096】
(実施例1)
4-ブタ-2-イニルオキシ-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
1-1:メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
市販メチル(S)-2-アミノ-3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロパノエート塩酸塩1g(6.5mmol)のtert-ブタノール20ml中溶液に、トリエチルアミン1.8ml(6.5mmol)を加える。反応媒体を、40℃で30分間撹拌し、次いで濾過する。こうして得られた濾液に、1,5-ジブロモペンタン1.2ml(8.6mmol)を加え、反応媒体を60℃で3日間加熱する。不溶画分を濾過後、濾液を真空下で濃縮する。粗残渣(crude residue)を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離はヘプタン/酢酸エチル70/30混合物を用いて行う。メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート600mg(49%)を、無色油の形態で得る。
【0097】
1-2:メチル(S)-3-アミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート二塩酸塩
メタノール15ml及び濃度5〜6Nのイソプロパノール中塩酸3ml中の、メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート830mg(2.8mmol)の溶液を40℃で18時間撹拌する。真空下で濃縮後、残渣を酢酸エチル中に吸収させ、濾過し、真空下で乾燥させる。メチル(S)-3-アミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート二塩酸塩630mg(100%)を、黄色固体の形態で得る。
【0098】
1-3:メチル4-ブタ-2-イニルオキシベンゾエート
2-ブタノン250mlで希釈されたメチル4-ヒドロキシベンゾエート10g(65.7mmol)を含む溶液に、炭酸カリウム13.6g(98.5mmol)、次いで1-ブロモブタ-2-イン9.6g(65.7mmol)を加える。反応媒体を、還流させながら5時間、次いで周囲温度で18時間撹拌する。塩の濾過後、濾液を真空下で濃縮する。メチル4-ブタ-2-イニルオキシベンゾエート13.4g(100%)を、ライトイエロー色固体の形態で得る。
【0099】
1-4: 4-ブタ-2-イニルオキシ安息香酸
テトラヒドロフラン200ml及び水25mlで希釈されたメチル4-ブタ-2-イニルオキシベンゾエート13.4g(65.7mmol)の溶液に、濃度10Nの水酸化ナトリウム水溶液26ml(262mmol)を加える。反応媒体を、還流させながら5時間、次いで45℃において18時間撹拌する。反応媒体を加水分解し、酢酸エチルで希釈し、次いで、濃度1Nの塩酸水溶液を用いてpH=6にする。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を、水で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、濃縮する。
【0100】
4-ブタ-2-イニルオキシ安息香酸12.5g(100%)を、白色固体の形態で得る。
【0101】
1-5:メチル(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-シクロヘキシルプロパノエート
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール420mg(3.1mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩600mg(3.1mmol)を、4-ブタ-2-イニルオキシ安息香酸540mg(3.1mmol)のジメチルホルムアミド10ml中溶液に加える。反応媒体を周囲温度で15分間撹拌し、次いでジメチルホルムアミド10ml及びトリエチルアミン0.8ml(5.7mmol)中のメチル(S)-3-アミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート二塩酸塩630mg(2.8mmol)を加える。反応媒体を周囲温度で18時間撹拌する。有機相を、炭酸水素ナトリウム水溶液で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離は、ジクロロメタン/メタノール99/1混合物を用いて行う。メチル(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-シクロヘキシルプロパノエート580mg(58%)を、無色油の形態で得る。
【0102】
1-6:(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
濃度1Nの水酸化リチウム水溶液2.5ml(2.4mmol)を、メチル(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート0.6g(1.6mmol)のテトラヒドロフラン10ml中溶液に加える。次いで、反応媒体を周囲温度で18時間撹拌する。テトラヒドロフランを真空下で蒸発後、濃度1Nの塩酸水溶液2.4ml及び水を加え、次に反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、真空下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離は、ジクロロメタン/メタノール90/10混合物を用いて行う。(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸580mg(100%)を、白色固体の形態で得る。
【0103】
1-7:4-ブタ-2-イニルオキシ-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
(S)-3-(4-ブタ-2-イニルオキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸580mg(1.7mmol)のジメチルホルムアミド15ml中溶液に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール270mg(2.0mmol)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩390mg(2.0mmol)を連続的に加える。反応媒体を周囲温度で30分間撹拌し、次いでジメチルホルムアミド5ml中O-tert-ブチルジメチルシリルヒドロキシルアミン300mg(2.0mmol)を加える。周囲温度で18時間撹拌し、次いで5%クエン酸水溶液2mlを用いて加水分解した後、反応媒体を周囲温度で更に30分間撹拌し、次に酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル相を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離はジクロロメタン/メタノール98/2混合物を用いて行う。4-ブタ-2-イニルオキシ-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド80mg(13%)を、融点144℃の白色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.30〜1.50 (m, 6H); 1.80 (s, 3H); 2.47 (m, 2H); 2.55 (m, 2H); 3.19 (t, J=7.12 Hz, 1H); 3.40 (m, 1H), 3.48〜3.56 (m, 1H); 4.79 (s, 2H); 7.00 (d, J=8.9 Hz, 2H); 7.79 (d, J=8.9 Hz, 2H); 8.20 (t, J=5.6 Hz, 1H); 8.80 (s, 1H); 10.49 (s, 1H)。
【0104】
(実施例2)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
2-1:メチル4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾエート
テトラヒドロフラン50ml及びジメチルホルムアミド50ml中のメチル4ヒドロキシベンゾエート10g(65.7mmol)の溶液に、60%水素化ナトリウム3.2g(78.9mmol)を加える。反応媒体を周囲温度で20分間撹拌し、次いで2-メトキシエトキシメチルクロリド8.3g(72.3mmol)を加える。周囲温度で24時間撹拌後、混合物を水上に注ぎ、次いで酢酸エチルで抽出する。有機相を、水で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上に脱水し、濾過し、濃縮する。メチル4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾエート16g(100%)を、無色油の形態で得る。
【0105】
2-2:4-(2-メトキシエトキシメトキシ)安息香酸
テトラヒドロフラン250ml、水80ml及びメタノール30ml中のメチル4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾエート16g(75mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム粉末15g(375mmol)を加える。反応媒体を40℃で18時間撹拌し、次いで加水分解させ、酢酸エチルで希釈し、濃度1Nの塩酸水溶液を用いてpH=6にする。酢酸エチルで抽出後、有機相を水で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、次いで濃縮する。4-(2-メトキシエトキシメトキシ)安息香酸16g(95%)を、白色固体の形態で得る。
【0106】
2-3:メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
実施例1-5と同様にして、4-(2-メトキシエトキシメトキシ)安息香酸6.7g(29.7mmol)及びメチル(S)-3-アミノ-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート二塩酸塩(実施例12-2に記載したようにして調製)7g(27mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート9.6g(90%)を、無色油の形態で得る。
【0107】
2-4:メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
テトラヒドロフラン50ml及びメタノール50ml中のメチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート9.6g(24.3mmol)の溶液に、98%硫酸1.5mlを加える。次いで、反応媒体を35℃で18時間撹拌する。溶媒を真空下で80%まで濃縮し、次いで残渣を酢酸エチル中に吸収させ、加水分解させる。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を用いて、pHを8にする。生成物を、酢酸エチルで抽出する。有機相を、水で、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上に脱水し、濾過し、真空下で濃縮する。メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート6.9g(93%)を、白色固体の形態で得る。
【0108】
2-5:メチル(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート500mg(1.6mmol)の2-ブタノン15ml中溶液に、炭酸カリウム270mg(1.9mmol)、次いで4-クロロメチル-2-メチルキノリン380mg(1.9mmol)及びヨウ化カリウムの15mgを加える。反応媒体を80℃で18時間撹拌する。濾過後、濾液を真空下で濃縮する。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離は、ヘプタン/酢酸エチル50/50混合物中で行う。メチル(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート620mg(83%)を、黄色固体の形態で得る。
【0109】
2-6:(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート620mg(1.3mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸530mg(88%)を、ベージュ色固体の形態で得る。
【0110】
2-7:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸0.5g(1.2mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド150mg(28%)を、融点190℃の白色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.15 (m, 2H); 1.30 (m, 4H); 2.25 (m, 2H); 2.38 (m, 2H); 2.50 (s, 3H); 3.04 (t, J=6.8 Hz, 1H); 3.25 (m, 1H); 3.37 (m, 1H); 5.52 (s, 2H); 7.05 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.40 (s, 1H); 7.44 (t, J=7.3 Hz, 1H); 7.57 (t, J=6.8 Hz, 1H); 7.68 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.81 (d, J=8.3 Hz, 1H); 7.95 (d, J=8.3 Hz, 1H); 8.07 (m, 1H); 8.65 (s, 1H); 10.34 (s, 1H)。
【0111】
(実施例3)
4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
3-1:メチル(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)、(2,6-ジクロロピリジン-4-イル)メタノール320mg(1.8mmol)及びトリフェニルホスフィン850mg(3.3mmol)をテトラヒドロフラン15ml中に溶解させ、次いでアゾジカルボン酸ジエチル0.5ml(3.3mmol)を加える。反応媒体を周囲温度で18時間撹拌し、次いでアゾジカルボン酸ジエチル1ml(6.6mmol)を再び加える。30時間撹拌後、混合物を濃縮し、ジエチルエーテルを加える。濾過及び濾液の蒸発後、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離はヘプタン/酢酸エチル70/30混合物を用いて行う。メチル(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート200mg(26%)を、無色油の形態で得る。
【0112】
3-2:(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イル-メトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート200mg(0.4mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸164mg(86%)を、白色固体の形態で得る。
【0113】
3-3:4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-3-[4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸164mg(0.7mmol)を出発原料として、4-(2,6-ジクロロピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド600mg(36%)を、融点145℃のベージュ色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.33〜1.36 (m, 2H); 1.36〜1.50 (m, 4H); 2.48 (m, 2H); 2.55 (m, 2H); 3.19 (t, J=7.12 Hz, 1H); 3.36〜3.42 (m, 1H); 3.47〜3.60 (m, 1H); 5.29 (s, 2H); 7.09 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.62 (s, 2H); 7.82 (d, J=8.8Hz, 2H); 8.23 (t, J=5 Hz, 1H); 8.81 (s, 1H); 10.49 (s, 1H)。
【0114】
(実施例4)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
4-1:メチル(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
実施例3-1と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)及び(2-フェニルピリジン-4-イル)メタノール420mg(2.3mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート285mg(37%)を無色油の形態で得る。
【0115】
4-2:(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート285mg(0.6mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸120mg(44%)を白色固体の形態で得る。
【0116】
4-3:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-3-[4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸120mg(0.3mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド60mg(49%)を、融点177℃の白色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.24 (m, 2H); 1.34 (m, 4H); 2.30 (m, 2H); 2.45 (m, 2H); 3.07 (t, J=7.2 Hz, 1H); 3.25 (m, 1H); 3.40 (m, 1H); 5.21 (s, 2H); 7.00 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.20 (d, J=5.4 Hz, 1H); 7.30 (m, 1H); 7.40 (m, 2H); 7.70 (m, 2H); 7.90 (s, 1H); 8.00 (d, J=7.1 Hz, 2H); 8.10 (t, J=5.3 Hz, 1H); 8.56 (d, J=5 Hz, 1H); 8.68 (s, 1H); 10.38 (s, 1H)。
【0117】
(実施例5)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
5-1:メチル(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート
実施例2-5と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)及び4-クロロメチルピリジン塩酸塩320mg(1.9mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート530mg(81%)を無色油の形態で得る。
【0118】
5-2:(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート530mg(1.3mmol)を出発原料として、(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸550mg(100%)をベージュ色固体の形態で得る。
【0119】
5-3:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル]-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-2-ピペリジン-1-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸510mg(1.3mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル]-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド70mg(13%)を、融点190℃のベージュ色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.20 (m, 2H); 1.30 (m, 2H); 1.45 (m, 2H); 2.51 (m, 2H); 2.57 (m, 2H); 3.23 (m, 1H); 3.50〜3.60 (m, 2H); 5.29 (s, 2H); 7.10 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.47 (d, J=4.3 Hz, 2H); 7.84 (d, J=8.7 Hz, 2H); 8.25 (s, 1H); 8.62 (m, 2H); 8.85 (m, 1H); 10.56 (s, 1H)。
【0120】
(実施例6)
4-(4-シアノベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
6-1:メチル(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
実施例2-5と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)及び4-ブロモメチルベンゾニトリル350mg(1.8mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート680mg(98%)を白色固体の形態で得る。
【0121】
6-2:(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート680mg(1.6mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸590mg(91%)を白色固体の形態で得る。
【0122】
6-3:4-(4-シアノベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-3-[4-(4-シアノベンジルオキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸590mgを出発原料として、4-(4-シアノベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド100mg(16%)を、融点134℃の白色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.35 (m, 2H); 1.45 (m, 4H); 2.48 (m, 2H); 2.55 (m, 2H); 3.19 (t, J=6.9 Hz, 1H); 3.40 (m, 1H); 3.52 (m, 1H); 5.29 (s, 2H); 7.07 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.65 (d, J=8.2 Hz, 2H); 7.80 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.88 (d, J=8.2 Hz, 2H); 8.21 (s, 1H); 8.80 (s, 1H); 10.49 (s, 1H)。
【0123】
(実施例7)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンズアミド
7-1:メチル(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
実施例19-1と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)及び1-クロロメチル-4-メチルナフタレン370mg(1.9mmol)を出発原料ととして、メチル(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート700mg(93%)を白色固体の形態で得る。
【0124】
7-2:(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート700mg(1.5mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸645mg(95%)を白色固体の形態で得る。
【0125】
7-3:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-3-[4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸645mg(1.4mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンズアミド60mg(10%)を、融点123℃の白色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.34 (m, 2H); 1.45 (m, 4H); 2.48 (m, 2H); 2.54 (m, 2H); 2.67 (s, 3H); 3.20 (m, 1H); 3.39 (m, 1H); 3.55 (m, 1H); 5.57 (s, 2H); 7.15 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.37 (d, J=7.2 Hz, 1H); 7.57〜7.63 (m, 3H); 7.82 (d, J=8.7 Hz, 2H); 8.07〜8.10 (m, 2H); 8.21 (m, 1H); 8.80 (s, 1H); 10.50 (s, 1H)。
【0126】
(実施例8)
4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
8-1:メチル(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート
実施例3-1と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート(実施例2-4に記載したようにして調製)500mg(1.6mmol)及び(2-ブロモピリジン-4-イル)メタノール340mg(1.8mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート500mg(40%)を白色固体の形態で得る。
【0127】
8-2:(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパノエート500mg(1.1mmol)を出発原料として、(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸185mg(25%)を白色固体の形態で得る。
【0128】
8-3:4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
(S)-3-[4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-ピペリジン-1-イルプロパン酸185mg(0.4mmol)のジメチルホルムアミド10ml中溶液に、O-(ベンゾトリアゾル-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート130mg(0.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン0.2ml(1.2mmol)を加える。周囲温度で20分間撹拌後、ジメチルホルムアミド3mlで希釈されたO-tert-ブチルジメチルシリルヒドロキシルアミン65mg(0.4mmol)を加える。反応媒体を周囲温度で18時間撹拌し、次いで5%クエン酸水溶液1ml及び水2mlを用いて加水分解する。周囲温度で1時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を用いて混合物をpH=8にし、次いで酢酸エチルで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上に脱水し、濾過し、真空下で濃縮する。得られた粗生成物をヘプタン/酢酸エチル8/2混合物中で沈殿させ、次いで濾過する。得られた残渣を、酢酸エチル中で再結晶させる。4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド20mg(10%)を、融点150℃のペールイエロー色固体の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 1.35 (m, 2H); 1.45 (m, 4H); 2.48 (m, 2H); 2.58 (m, 2H); 3.19 (t, J=7.2 Hz, 1H); 3.40 (m, 1H); 3.53 (m, 1H); 5.27 (s, 2H); 7.08 (d, J=8.6 Hz, 2H); 7.49 (d, J=4.9 Hz, 1H); 7.71 (s, 1H); 7.81 (d, J=8.6 Hz, 2H); 8.22 (m, 1H); 8.40 (d, J=5 Hz, 1H); 8.81 (m, 1H); 10.50 (m, 1H)。
【0129】
(実施例9)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
9-1:メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-モルホリン-4-イルプロパノエート
Schlenk管中で、メチル(S)-2-アミノ-3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロパノエート塩酸塩10g(39.3mmol)及び1-クロロ-2-(2-クロロエトキシ)エタン5.6g(39.3mmol)の、N,N-ジイソプロピルエチルアミン65ml中溶液を、激しく撹拌しながら127℃において18時間加熱する。水の添加後、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を合し、水洗し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、真空下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離は、ヘプタン/酢酸エチル50/50混合物中で行う。メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)プロパノエート5.6g(39%)を、黄色油の形態で得る。
【0130】
9-2:メチル(S)-3-アミノ-2-モルホリン-4-イルプロパノエート二塩酸塩
実施例1-2と同様にして、メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-モルホリン-4-イルプロパノエート5.6g(19.4mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-アミノ-2-モルホリン-4-イルプロパノエート二塩酸塩4.3g(97%)をベージュ色固体の形態で得る。
【0131】
9-3:メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-モルホリン-4-イルプロパノエート
実施例1-5と同様にして、メチル(S)-3-アミノ-2-モルホリン-4-イルプロパノエート二塩酸塩2.3g(8.8mmol)及び4-(2-メトキシエトキシメトキシ)安息香酸(実施例2-2に記載したようにして調製)2.2g(9.7mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-モルホリン-4-イルプロパノエート2.7g(79%)を黄色油の形態で得る。
【0132】
9-4:メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-モルホリン-4-イルプロパノエート
実施例2-4と同様にして、メチル(S)-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-モルホリン-4-イルプロパノエート2.7g(6.9mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-モルホリン-4-イルプロパノエート1.8g(86%)を白色固体の形態で得る。
【0133】
9-5:メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート
実施例2-5と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-モルホリン-4-イルプロパノエート300mg(1.0mmol)及び4-(クロロメチル)ピリジンクロリド176mg(1.1mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート241mg(62%)を黄色油の形態で得る。
【0134】
9-6:(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート234mg(0.6mmol)を出発原料として、(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸154mg(68%)を白色固体の形態で得る。
【0135】
9-7:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-2-モルホリン-4-イル-3-[4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸158mg(0.4mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド90mg(23%)をベージュ色粉末の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 2.54〜2.60 (m, 4H); 3.21 (m, 1H); 3.39 (m, 1H); 3.53 (m, 4H); 3.70 (m, 1H); 5.26 (s, 2H); 7.08 (d, J=8.7 Hz, 2H); 7.44 (d, J=4 Hz, 2H); 8.30 (m, 2H); 8.59 (d, J=5.4 Hz, 2H); 8.87 (s, 1H); 10.59 (s, 1H)。
【0136】
(実施例10)
N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-[2-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンズアミド
10-1:[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イル]メタノール
トルエン30ml中に2-ブロモピリジン-4-メタノール2.0g(0.1mmol)及び2-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸2.2g(0.1mmol)を含む溶液に、窒素流下で、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液16.5ml(0.3mmol)及び1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)二塩酸塩0.4g(0.1mmol)を加える。混合物を80℃で5時間撹拌し、次いで水20mlを加える。酢酸エチルで抽出後、有機相を硫酸ナトリウム上に脱水し、濾過し、蒸発させる。得られた残渣を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離は、ヘプタン/酢酸エチル60/40混合物で行う。[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イル]メタノール2.3g(85%)を、黄色油の形態で得る。
【0137】
10-2:メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパノエート
実施例3-1と同様にして、メチル(S)-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-2-モルホリン-4-イルプロパノエート(実施例9-4に記載したようにして調製)400mg(0.9mmol)及び[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イル]メタノール228mg(0.9mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパノエート344mg(49%)を白色固体の形態で得る。
【0138】
10-3:(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパン酸
実施例1-6と同様にして、メチル(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパノエート343mg(0.6mmol)を出発原料として、(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパン酸313mg(94%)をペールイエロー色固体の形態で得る。
【0139】
10-4:N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-[2-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンズアミド
実施例1-7と同様にして、(S)-2-モルホリン-4-イル-3-{4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンゾイルアミノ}プロパン酸153mg(0.3mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-[2-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンズアミド108mg(69%)を、融点151℃の白色粉末の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 2.56 (m, 4H); 3.20 (t, J=7 Hz, 1H); 3.40 (m, 1H); 3.55 (m, 5H); 5.33 (s, 2H); 7.10 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.49 (d, J=5 Hz, 1H); 7.54 (m, 2H); 7.68 (m, 1H); 7.81 (m, 4H); 8.29 (t, J=5.6 Hz, 1H); 8.66 (d, J=5 Hz, 1H); 8.87 (s, 1H); 10.59 (s, 1H)。
【0140】
(実施例11)
N-((S)-2-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
11-1:メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-エチルアミノプロパノエート
実施例1-1と同様にして、メチル(S)-2-アミノ-3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロパノエート塩酸塩500mg(2mmol)及びヨードエタン870mg(6.3mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-エチルアミノプロパノエート192mg(40%)を黄色油の形態で得る。
【0141】
11-2:メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート
テトラヒドロフラン5ml中メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-エチルアミノプロパノエート369mg(1.5mmol)に、アセトアルデヒド150μl(2.4mmol)を加え、次いで周囲温度で30分間撹拌する。0℃に冷却後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム189mg(3mmol)を加え、反応媒体を周囲温度で36時間撹拌する。水を加え、媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で脱水し、濾過し、次いで濃縮する。粗残渣を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。溶離はヘプタン/酢酸エチル70/30混合物を用いて行う。メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート150mg(38%)を無色油の形態で得る。
【0142】
11-3:メチル(S)-3-アミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート塩酸塩
実施例2-3と同様にして、メチル(S)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート189mg(0.7mmol)を出発原料として、メチル(S)-3-アミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート塩酸塩283mg(定量的収量)を白色固体の形態で得る。
【0143】
11-4:メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート
実施例4-3と同様にして、メチル(S)-3-アミノ-2-ジエチルアミノプロパノエート塩酸塩283mg(0.7mmol)及び4-(2-メトキシエトキシメトキシ)安息香酸(実施例4-2に記載したようにして調製)156mg(0.7mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート136mg(52%)を黄色油の形態で得る。
【0144】
11-5:メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)プロパノエート
実施例4-4と同様にして、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メトキシエトキシメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート136mg(0.4mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)プロパノエート95mg(90%)を黄色油の形態で得る。
【0145】
11-6:メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート
実施例19-1と同様にして、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)プロパノエート95mg(0.3mmol)及び4-クロロメチル-2-メチルキノリン68mg(0.4mmol)を出発原料として、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート90mg(62%)をオレンジ色固体の形態で得る。
【0146】
11-7:(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸
実施例2-5と同様にして、メチル(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパノエート90mg(0.2mmol)を出発原料として、(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸97mg(100%)をライトオレンジ色固体の形態で得る。
【0147】
11-8:N-((S)-2-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
実施例27-3と同様にして、(S)-2-ジエチルアミノ-3-[4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンゾイルアミノ]プロパン酸97mg(0.2mmol)を出発原料として、N-((S)-2-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド75mg(75%)をベージュ色粉末の形態で得る。
1H NMR (δ, DMSO): 0.96 (t ,J=7.2 Hz, 6H); 2.47 (m, 2H); 2.67 (s, 3H); 2.71 (m, 2H); 3.41 (m, 2H); 3.49 (m, 1H); 5.68 (s, 2H); 7.21 (d, J=8.8 Hz, 2H); 7.58 (m, 2H); 7.75 (t, J=6.7 Hz, 1H); 7.84 (d, J=8.7 Hz, 2H); 7.97 (d, J=8.5 Hz, 1H); 8.12 (d, J=8.3Hz, 1H); 8.21 (m, 1H); 8.80 (m, 1H); 10.45 (m, 1H)。
【0148】
(実施例12)
TACE阻害の酵素試験
試験の説明
生成物を溶解させて、DMSO中10mMの濃度を得る。3倍連続希釈法を10ステップにわたって実施することにより、10μMから0.5nMの最終濃度までの濃度範囲を得る。
【0149】
TACE酵素は、体内産生物(internal production)である(刊行物「Protein Eng Des Sel、2006年、19巻、155〜161頁」に従って産生される)。これを、37℃において2時間にわたって、バックグランドノイズの6倍に相当するシグナルが得られるように加える。反応は、緩衝媒体:トリス(Tris)50mM、4%グリセロール(pH7.4)中で行う。螢光基質は、MCA-Pro-Leu-Ala-Val-(Dpa)-Arg-Ser-Ser-Arg-NH2(R&D系参照記号:ES003)である。基質を、酵素によってアラニンとバリンとの間で切断し、それによって螢光ペプチド(励起:320nm、発光:420nm)を放出する。基質は、40μMで使用する。反応は、384ウェル低容量プレート(Corning参照記号:3676)中で最終容量10μl(阻害剤4μl、基質4μl、酵素2μl)中で実施する。プレートを周囲温度で2時間インキュベートし、次いでPherastar(BMG labtech)を用いて螢光モードで読み取る。IC50値を、数学的処理ソフトウェア(XLfit)を用いて求める。
【0150】
【表1】

【0151】
前記の酵素TACE試験で得られた結果によれば、本発明において特許請求する化合物は、TNFα-変換酵素(TACE)阻害剤であり、したがって、TNFα産生の低減が非常に有益である病態の治療のための潜在的活性成分であることができる。
【0152】
(実施例13)
選択性試験
試験原理:
異なる基質(MMP R&D系参照記号:P126-990及びADAM R&D系参照記号:ES003)を用いる以外は実施例28においてTACE酵素に関して記載したのと同一プロトコールに従って、分子を以下の酵素:MMP1、MMP3、MMP9、ADAM9及びADAM10について用量反応試験で試験する。
【0153】
酵素は、Calbiochemから購入する。
【0154】
【表2】

【0155】
前記の選択性試験で得られた結果によれば、これらの化合物はまた、他のADAM及びMMPと比較して、TACEに対する選択性が高い。即ち、これらの化合物のIC50値は、他のADAM及びMMPに対しては、TACEに対して得られるIC50値より少なくとも10倍大きく、より有利には少なくとも100倍大きい。
【0156】
これらの他の酵素と比較したTACEの選択的阻害は、TNFα産生の低減が非常に有益であろう病態の治療のためのこれらの分子の投与時における不所望な副作用を低減できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

[式中、
R1及びR2は、同一又は異なり、アルキル基を表すか又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化2】

(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3は、水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基であり;
R4は、炭素数1〜10のアルキル基;ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されているアルキル基;炭素数2〜10のアルケニル基;ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されているアルケニル基;炭素数2〜10のアルキニル基;ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されているアルキニル基;アリール基;アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているアリール基;アラルキル基;置換アラルキル基;複素環基;アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されている複素環基;シクロアルキル基;ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されているシクロアルキル基;ヘテロアリール基;例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているヘテロアリール基;ヘテロアラルキル基;アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル及びニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているヘテロアラルキル基であり;
Xは、酸素原子、-CH2-基、-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)、硫黄原子、SO基又はSO2基を表し;
R5及びR6は、同一であっても異なってもよく、水素原子;炭素数1〜10のアルキル基;ハロゲン原子、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数の基で置換されているアルキル基;アリール基;或いはアルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル又はニトロから選択される1つ又は複数の原子団で置換されているアリール基を表し;
mは、0又は1の値をとることができ;
nは、0、1、2又は3の値をとることができ;
pは、0、1又は2の値をとることができる]
の化合物、並びに一般式(I)の化合物と薬学的に許容される酸との付加塩、一般式(I)の化合物と薬学的に許容される塩基との付加塩及び一般式(I)の化合物のエナンチオマー。
【請求項2】
前記付加塩が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、コハク酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、カンファースルホン酸及びフマル酸からなる群から選択される薬学的に許容される酸を用いて得られることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記付加塩が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンの4つの異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジエタノールフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、リジン、アルギニン及びオルニチンからなる群から選択される薬学的に許容される塩基を用いて得られることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1及びR2が、同一又は異なり、アルキル基を表すか又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化3】

(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子又は低級アルキル基であり;
R4が、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基、-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)、硫黄原子、SO基又はSO2基を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表し;
mが、0又は1の値をとることができ;
nが、0、1又は2の値をとることができ;
pが、0、1又は2の値をとることができる
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマー。
【請求項5】
特に好ましい一般式(I)の化合物が、
R1及びR2が、同一又は異なっており、アルキル基又はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化4】

(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し;
R3が、水素原子又は低級アルキル基であり;
R4が、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基又は-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表し;
mが、1の値をとり;
nが、0、1又は2の値をとり;
pが、0、1又は2の値をとることができる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマー。
【請求項6】
特に好ましい一般式(I)の化合物が、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化5】

(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子であり;
R4が、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子、-CH2-基又は-CH-(CH2)p-NR5R6基(R5、R6及びpは下記の意味を有する)を表し;
R5及びR6が、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表し;
mが、1の値をとり;
nが、1又は2の値をとることができ;
pが、0、1又は2の値をとることができる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマー。
【請求項7】
更により好ましい一般式(I)の化合物が、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化6】

(式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する)
で表される環を形成し、
R3が、水素原子であり;
R4が、複素環基、置換複素環基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基又は置換ヘテロアラルキル基であり;
Xが、酸素原子又は-CH2-基を表し;
mが、1の値をとり;
nが、1の値をとる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマー。
【請求項8】
最も好ましい一般式(I)の化合物が、
R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、下記式:
【化7】

[式中、X、m及びnは下記に示す意味を有する]
で表される環を形成し;
R3が、水素原子であり;
R4が、ヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基であり;
Xが、酸素原子又は-CH2-基を表し;
mが、1の値をとり;
nが、1の値をとる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、並びに薬学的に許容される酸とのそれらの付加塩、薬学的に許容される塩基とのそれらの付加塩及び前記化合物のエナンチオマー。
【請求項9】
下記化合物:
1. 4-ブタ-2-イニルオキシ-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
2. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
3. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
4. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-フェニルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
5. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
6. 4-(4-シアノベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
7. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(4-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)ベンズアミド
8. 4-(2-ブロモピリジン-4-イルメトキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド
9. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
10. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-[2-(2-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン-4-イルメトキシ]ベンズアミド
11. N-((S)-2-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
12. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
13. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(3-メチルベンジルオキシ)ベンズアミド
14. N-((R)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
15. N-((R)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
16. N-((S)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
17. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-[1,4]オキサゼパン-4-イルエチル)-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
18. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-チオモルホリン-4-イルエチル)-4-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
19. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-チオモルホリン-4-イルエチル)-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
20. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
21. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-モルホリン-4-イルエチル)-4-(2-トリフルオロメチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
22. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(2-トリフルオロメチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルメトキシ)ベンズアミド
23. N-[(S)-2-(1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(4-フルオロベンジルオキシ)ベンズアミド
24. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-(2-メチルナフタレン-1-イルメトキシ)-N-プロピルベンズアミド
25. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピロリジン-1-イルエチル)-4-プロポキシベンズアミド
26. N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-ピペリジン-1-イルエチル)-4-(キノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
27. N-((S)-2-アゾカン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(3-メチル-1H-ピラゾール-4-イルメトキシ)ベンズアミド
28. 4-(3,5-ジメチルベンジルオキシ)-N-((S)-2-ヒドロキシカルバモイル-2-[1,4]オキサゾカン-4-イルエチル)ベンズアミド
29. 4-(2,6-ジメチルピリジン-4-イルメトキシ)-N-[(S)-2-(エチル-プロピルアミノ)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]ベンズアミド
30. N-((R)-2-アゼパン-1-イル-2-ヒドロキシカルバモイルエチル)-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
31. N-[(S)-2-(4-エチルアミノピペリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
32. N-[(S)-2-(3-アミノピロリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
33. N-[(S)-2-(3-ジメチルアミノメチルピロリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルキノリン-4-イルメトキシ)ベンズアミド
34. N-[(S)-2-(4-ベンジルアミノピペリジン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチルピリジン-4-イルメトキシ)ベンズアミド、及び
35. N-[(S)-2-(4-ジメチルアミノメチルアゼパン-1-イル)-2-ヒドロキシカルバモイルエチル]-4-(2-メチル-1H-インドール-3-イルメトキシ)ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
医薬品としての、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
TNFαの放出と関連する病態又は障害を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
TNFα産生阻害剤としての、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
TNFα-変換酵素(TACE)阻害剤としての、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
TACEが介在する障害又は病態を治療又は改善するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
敗血性ショック、血行動態ショック、マラリア、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、炎症性骨疾患、マイコバクテリウム感染症、髄膜炎、線維性疾患、心疾患、虚血性発作、移植片拒絶反応、癌、アテローム性動脈硬化症、肥満症、血管新生事象を伴う疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、多発性硬化症、HIV、インスリン非依存性糖尿病、アレルギー性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び眼炎症から選択される、TNFα産生が関与する疾患又は障害を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
炎症性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎及び乾癬性関節炎を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン病様障害、筋萎縮性側索硬化症、神経系の自己免疫疾患、神経系の自律神経性疾患、背部痛、脳浮腫、脳血管疾患、認知症、神経系の神経線維脱髄性自己免疫疾患、糖尿病性ニューロパシー、脳炎、脳脊髄炎、てんかん、慢性疲労症候群、巨細胞性動脈炎、ギラン-バレー症候群、頭痛、多発性硬化症、神経痛、末梢神経系疾患、多発ニューロパシー、多発神経根筋障害、神経根障害、呼吸麻痺、脊髄疾患、トゥレット症候群、中枢神経系血管炎、ハンチントン病及び脳発作から選択される、TNFα産生が関与する炎症性の神経学的病態を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505216(P2013−505216A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529267(P2012−529267)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063595
【国際公開番号】WO2011/033010
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】