説明

炭入り多孔性焼成物とこれを使用した炭入り発泡合成樹脂製製品

【課題】本発明は炭入り多孔性焼成物及び炭入り発泡合成樹脂製製品に適量の炭粉3を配合すると共に、多空隙構造化を達成し、且つ同多孔性焼成物及び発泡合成樹脂製製品を増量し、且つ軽量化を達成する。
【解決手段】炭粉3と鉱物質充填材4の混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライト5を配合して焼成した炭入り多孔性焼成物を提供する。
又炭粉3と鉱物質充填材4の混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライト5を配合し焼成して炭入り多孔性焼成物を得、該炭入り多孔性焼成物を合成樹脂材に混合して発泡させて成る炭入り発泡合成樹脂製製品1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹炭又は木炭の吸着性能を有効に発揮せしめる炭入り多孔性焼成物とこれを使用した炭入り発泡合成樹脂製製品に関する。
【背景技術】
【0002】
竹炭、木炭は環境から臭気成分、有害ガス、湿分等を吸着する吸着性能を有することが知られており、空気の浄化材等として多用されている。
【0003】
又竹炭、木炭はバクテリア着床性能に優れ、土壌改良材、水質浄化材として有用であり、又電磁波遮蔽効果等を有し、その効用を利用した各種製品への展開が図られている。
【0004】
而して上記炭粉利用材として、特許文献1は粉末状炭70〜90重量部、陶磁器用粘土30重量部、その他麦飯石、トルマリン等を混練し、該混練物を成形し焼成して成る多孔性焼成物を提供している。
【0005】
他方特許文献2は竹炭又は木炭を合成樹脂材に混合して発泡させて成る炭入り発泡合成樹脂製製品、又はコンクリート材に炭粉を混合して発泡させて成る炭入り発泡コンクリート製壁材を開示している。
【特許文献1】特開2002−167287号公報
【特許文献2】特開2002−30219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の多孔性焼成物に配合する粘土は、成形性を付加するためと増量の目的で配合されたものであるが、これが炭の多孔性能を減殺する恐れがあることからその配合量は限定され、炭の富配合が必要となる。
【0007】
又麦飯石は多孔性物質であり、上記焼成物に吸着性能を富加する作用を有するが、焼成発泡性(焼成膨大性)を有せず、焼成によって多孔性焼成物を増量し、且つ多空隙構造にし、且つ軽量化する作用に欠ける。
【0008】
又特許文献2の炭入り発泡合成樹脂製製品、炭入り発泡コンクリート製壁材においては必要以上の炭の配合が強いられ、配合量を抑えると炭の多孔構造による作用効果が減殺され、高価となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は炭粉に増量材として炭酸カルシウム、珪石、滑石、クレー等の鉱物質充填材(無機充填材)を混合した混合材を主成分とする炭入り多孔性焼成物であり、該炭粉と鉱物質充填材の混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合し焼成した炭入り多孔性焼成物を提供するものである。
【0010】
又本発明は炭粉と鉱物質充填材の混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合し焼成して炭入り多孔性焼成物を得、該炭入り多孔性焼成物を合成樹脂材に混合して発泡させて成る炭入り発泡合成樹脂製製品を提供する。
【0011】
上記炭入り多孔性焼成物は上記炭粉と鉱物質充填材とバーミキュライト又は/及びゼオライトの加水混練材をそのまま焼成する場合と、該混練材を板状又はシート状に成形した後、上記焼成を行う場合を含む。
【0012】
又炭入り発泡合成樹脂製製品においては多孔性焼成物を粉体状態で合成樹脂材に混合し、発泡剤を混ぜて発泡せしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は炭粉と鉱物質充填材を混合した混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合して焼成し炭入り多孔性焼成物を提供する。
【0014】
又本発明は炭粉と鉱物質充填材を混合した混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合し焼成して炭入り多孔性焼成物を得、該炭入り多孔性焼成物を合成樹脂材に混合して発泡させて成る炭入り発泡合成樹脂製製品を提供する。
【0015】
炭粉は竹炭粉又は木炭粉であり、既知のように竹又は木材を炉内で400℃から1200℃程度の高温で乾留することにより製造され、この粉体を上記炭酸カルシウムに代表される鉱物質充填材の粉体と混合する。
【0016】
上記無機充填材(鉱物質充填材)は炭酸カルシウム、滑石、クレー、珪石であり、該炭酸カルシウム等は顔料、塗料、製紙、歯磨き粉、医薬品等の充填材(増量材)として汎用されており、その粉体を充填材として炭粉に富配合する。
【0017】
この炭酸カルシウム等は炭粉を増量する増量目的に使用し、同時に加水混練して任意の形状に成形する成形性を付与する。
【0018】
上記バーミキュライト(蛭石)及びゼオライト(沸石)は何れも加熱により著しく膨大し、体積を増加する。即ち富発泡性を有し、多孔構造を有して吸着性能に優れる。この粒体を上記炭酸カルシウムに代表される鉱物質充填材と炭粉との混合材中に配合する。
【0019】
上記焼成バーミキュライト又は焼成ゼオライトは鉱物質充填材及び炭粉より粒度が大きい粒体である。
【0020】
本発明は炭入り多孔性焼成物、又はこの炭入り多孔性焼成物を使用した炭入り発泡合成樹脂製製品であり、この多孔性焼成物の焼成時にその焼成を利用して上記バーミキュライト又はゼオライトを発泡せしめる。
【0021】
又は焼成バーミキュライト又は焼成ゼオライトを用意し、即ち発泡バーミキュライト又は発泡ゼオライトを用意し、これを炭粉と炭酸カルシウム等の混合材に配合し、更に焼成する。バーミキュライト及びゼオライトは何れも400℃以上の加熱にて著しい発泡性(膨大性)を示す。
【0022】
炭入り多孔性焼成物の焼成温度は800℃から1200℃程度であり、この焼成温度を利用して上記バーミキュライト又はゼオライトを発泡せしめることができる。
【0023】
例えば炭粉、鉱物質充填材、未焼成バーミキュライト又は/及び未焼成ゼオライトを加水混練し、板状等の任意の形状に成形し、これを上記温度で焼成することによって成形物自身が均一に発泡する。
【0024】
上記焼成バーミキュライト(発泡バーミキュライト)又は焼成ゼオライト(発泡ゼオライト)は、多孔性焼成物及び発泡合成樹脂製製品に多空隙構造を付与し、且つ多孔性焼成物及び発泡合成樹脂製製品を増量し、且つ軽量化する。
【0025】
上記多空隙構造とは焼成バーミキュライト又は焼成ゼオライト間に形成される無数の連通空隙であり、多孔構造とは炭粉、バーミキュライト又はゼオライト自身が有する連通気孔である。
【0026】
上記バーミキュライト又はゼオライトは目的物の空隙構造度、多孔構造度、増量度、軽量度に応じ、その混合割合を広範囲に選択できる。
【0027】
即ち炭粉の混合比は20%から60%の範囲で選択し、同様に炭酸カルシウムに代表される上記鉱物質充填材の混合比は20%から60%の範囲で選択する。
【0028】
他方バーミキュライト又はゼオライトの混合比は10%から30%の範囲で選択する。上記混合比は何れも重量比である。
【0029】
以下に炭粉と炭酸カルシウム等とバーミキュライト又は/及びゼオライトの配合例を示す。
【0030】
<配合例1>
竹炭粉又は木炭粉 40%
炭酸カルシウム(鉱物質充填材) 50%
焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト 10%
【0031】
<配合例2>
竹炭粉又は木炭粉 30%
炭酸カルシウム(鉱物質充填材) 50%
焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト 20%
【0032】
<配合例3>
竹炭粉又は木炭粉 50%
炭酸カルシウム(鉱物質充填材) 40%
焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト 10%
【0033】
上記配合例は何れも重量比であり、この配合割合を任意に変更し目的とする機械的性質を得ることができる。
【0034】
又上記配合材を基本にしてこれに特許文献1等に示す麦飯石、酸化チタン、合成樹脂製製品の粉砕粉、パルプ、紙紛、木粉等を混合し焼成することを妨げない。
【0035】
次に上記炭入り多孔性焼成物を使用した炭入り発泡合成樹脂製製品について説明する。
【0036】
合成樹脂材はポリウレタン、ポリスチレン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエチレン等である。これら合成樹脂材に上記炭入り多孔性焼成物の粉末を10〜70重量%(合成樹脂材は30〜90重量%)混合し、更に発泡剤を混ぜ、既知の方法によって発泡させる。
【0037】
この炭入り発泡合成樹脂製製品は目的とする製品に応じ、発泡型により板状又は異形立体形状に型成形するか、又は型を用いずに発泡せしめて任意の形状に切断し目的物を得る。
【0038】
上記発泡合成樹脂製製品1は図1の拡大図に示すように、気泡構造を持ち、好ましくは連続気泡構造にし、クリーク状に連通した気泡2内に露出した無数の炭粉3及び焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト5の粒子を保有し、且つ全表面において露出した無数の炭粉粒子と、気泡2を取り巻く母材内に埋設された無数の炭粉3及び焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト5の粒子を保有している。
【0039】
そしてこれら3,5はクリーク状の通気路6によって外気と接触し、呼吸が可能である。よってその吸着性等を遺憾なく発揮させることができる。
【0040】
上記炭入り発泡合成樹脂製製品は例えば寝具用マット、畳の中芯等の敷物、建材等に有用であり、炭粉と焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライトの効用を生かす趣旨の発泡合成樹脂製製品に展開可能である。
【0041】
上記焼成バーミキュライト(発泡バーミキュライト)又は焼成ゼオライト(発泡ゼオライト)は、多孔性焼成物及び発泡合成樹脂製製品における炭粉の適量配合と多空隙構造化を達成し、且つ多孔性焼成物及び発泡合成樹脂製製品を増量し、且つ軽量化できる。又多孔性焼成物、発泡合成樹脂製製品のコストダウンを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】炭入り発泡合成樹脂製製品の構造を説明する拡大断面図。
【符号の説明】
【0043】
1…炭入り発泡合成樹脂製製品、2…気泡、3…炭粉、4…鉱物質充填材(無機充填材)、5…焼成バーミキュライト又は/及び焼成ゼオライト、6…通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭粉と鉱物質充填材の混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合して焼成したことを特徴とする炭入り多孔性焼成物。
【請求項2】
炭粉と鉱物質充填材の混合材を主成分とし、該混合材中にバーミキュライト又は/及びゼオライトを配合し焼成して炭入り多孔性焼成物を得、該炭入り多孔性焼成物を合成樹脂材に混合して発泡させて成る炭入り発泡合成樹脂製製品。
【請求項3】
上記バーミキュライト、ゼオライトが焼成バーミキュライト、焼成ゼオライトであることを特徴とする請求項1記載の炭入り多孔性焼成物又は請求項2記載の炭入り発泡合成樹脂製製品。
【請求項4】
上記鉱物質充填材が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載の炭入り多孔性焼成物又は請求項2記載の炭入り発泡合成樹脂製製品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−45009(P2006−45009A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229689(P2004−229689)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(599122570)
【出願人】(500333257)
【Fターム(参考)】