説明

炭化水素ワックスと極性油とを含むパーソナルケア組成物

一実施形態では、油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物は、炭化水素ワックスと極性油と非乳化シリコーンエラストマーとを含み得る。別の実施形態では、油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物は、炭化水素ワックスと極性油とを含み得る。炭化水素の極性油に対する重量比率は、約0.01〜約0.5である。パーソナルケア組成物により、以前は実現できなかった水準の極性油及び/又は水相を油中水型エマルション内に含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素ワックスと極性油と非乳化シリコーンエラストマーとを含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有害な紫外線(UV)から皮膚及び他のケラチン組織が損傷を受けるのを防ぐパーソナルケア組成物を提供することが現在必要とされている。パーソナルケア組成物のUVブロック効果を改善することが大きな注目を集めている。この研究の大部分は、組成物中の日焼け止め活性物質の有効性及び安定性を改善することに集中している。この研究により保護力は著しく改善されたが、パーソナルケア組成物のUVブロック効果に影響を与える他の因子も存在する。適切な保護をもたらすために、これらのパーソナルケア組成物は、定期的にかつ必要な量で適用されなければならない。したがって、例えば、油っぽくない又は不安定でない、心地よい感触を有することにより、頻繁な使用及び十分な使用を奨励するパーソナルケア組成物が必要とされている。
【0003】
有効性の高い日焼け止め剤の大部分は、油状又は油溶性である。これらの日焼け止め剤は、UVブロックのために必要であるが、不快な、重く油っぽい皮膚感触を有し、製品の安定性、及び、他の成分との適合性などの、製剤の難しさを呈する。日焼け止め組成物に関連する重く油っぽい皮膚感触に対処するために、このような製品は、一般的にエマルションとして製剤される。このようなエマルションの大部分は、水相(ほとんどの場合、主に水である)が高分子増粘剤で増粘されている水中油型エマルションである。逆エマルション(油中水型)の形態の日焼け止め組成物はほとんど存在しない。逆エマルションは、外相が例えば、鉱油及び脂肪族アルコールといった従来のゲルネットワーク構造を用いて構築される場合には、脂状で重い感触がする傾向を有する。あるいは、シリコーン系材料が主要な油相成分として選択された場合には、日焼け止め剤の溶解度特性及び製品安定性などの他の問題が重大な意味を持つようになる。市販の材料で油連続相を増粘し、それでも消費者が必要とする肌触りを提供することは、困難な課題である。
【0004】
組成物を増粘し、良好な肌触りを提供する一方法は、シリコーンエラストマーを使用することである。しかしながら、シリコーンエラストマーは、高価であり、非効率的である。シリコーンエラストマーは、典型的には、極性日焼け止め油が存在すると崩壊し、究極的には、シネレシスの形態で製品不安定性をもたらす。この不安定化は、製品内に含まれ得る極性油の量に制限を付与する。極性油が日焼け止めである場合、製品は、UV保護効果が低下する又は制限される恐れがある。極性油が高濃度であっても、シネレシスが油中水型エマルション中で生じない構造化シャーシを開発する要望が存在する。
【0005】
様々なタイプのワックス状材料を使用して油相を増粘及び安定化することが可能であり得るが、得られるエマルションは、多くの場合、審美的に不利であり、並びに/又は、高温で不安定である。典型的には、ワックスを配合した油中水型エマルションは、室温で固体である。消費者は、顔又は首に固体スティックを使用することを審美的に望ましくないと考えている。更に、高温では、ワックスの有意な部分は溶解し、例えば、シネレシス、成分沈降又は実質的な粘性増加といった製品の組成又は審美的特性を損なう製品粘性/レオロジーにおける変化を導く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに、好適な粘性及び安定性を維持しながらシリコーンエラストマーの十分なUV保護及び望ましい肌触り特性を提供する油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、炭化水素ワックスと極性油と非乳化シリコーンエラストマーとを含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物に関する。炭化水素ワックスを有するパーソナルケア組成物は、高い安定性を示し、かつ製剤に高い柔軟性を提供する。この予想外の安定性利点により、高濃度の消費者有益成分を有する油中水型エマルションの形成が可能になる。特定の実施形態では、油中水型エマルションは、高濃度の極性油、高濃度の水、又は高濃度の極性油及び水の両方を含み得る。「比較例」で分かるように、高濃度の極性油及び/又は水相は、従来の材料及び方法ではこれまで達成不可能であったか又は望ましくなかった。
【0008】
一実施形態では、本発明は、約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、約10%超の極性油と、約1%〜約8%の非乳化シリコーンエラストマーと、を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物に関し、ここで、極性油に対するワックスの重量比率は約0.01〜約0.5である。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、約10%超の極性油と、を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物に関し、ここで、極性油に対するワックスの重量比率は約0.1〜約0.5である。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、約4%〜約6%の炭化水素ワックスと、約20%超の極性油と、約5%〜約7%の非乳化シリコーンエラストマーと、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質と、を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物に関し、ここで、極性油に対するワックスの重量比率は約0.1〜約0.3である。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、約10%超の極性油と、約1%〜約8%の非乳化シリコーンエラストマーと、を含む安定なパーソナルケア組成物を調製する工程を含む、油中水型エマルション中での極性油の安定性を改善するための方法に関し、ここで、極性油に対するワックスの重量比率は約0.01〜約0.5である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
全ての百分率は、特に記載のない限り、パーソナルケア組成物の重量による。特に別段の指定がない限り、比率は全て、重量比率である。全ての数範囲はより狭い範囲を包含し、表現された上方及び下方範囲の限界値は互換可能であって、明示されていない範囲を更に作り出す。有効数字の数は、指示されている量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、約25℃及び周囲条件で行われると理解され、ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%という条件を意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」は、哺乳類のケラチン組織上への局所適用に好適な組成物を意味する。本発明の組成物は、スキンケア、化粧及びヘアケア製品に使用され得る。その非限定的用途としては、制汗剤、脱臭剤、ローション(例えば、ハンドローション及びボディローション)、スキンケア製品(例えば、フェイス及びネックローション、美容液、スプレー)、サンレスタナー、化粧品(例えば、ファウンデーション、コンシーラー、ブラシ、リップスティック、リップグロス)、脱毛剤、シャンプー、コンディショニングシャンプー、ヘアコンディショナー、毛髪染料、ボディウォッシュ、加湿ボディウォッシュ、シャワーゲル、皮膚クレンザー、クレンジングミルク、ヘア及びボディウォッシュ、インシャワーボディモイスチャー、ペットシャンプー、剃毛調剤、アフターシェーブ、かみそり加湿/潤滑ストリップ、かみそりシェーブゲルバー、固形石鹸、洗浄製品、女性用ケア製品、口腔ケア製品及び乳児ケア製品が挙げられる。上記組成物の使用方法もまた、パーソナルケア組成物の意味の中に含まれる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「ケラチン組織」は、皮膚、毛髪及び爪が挙げられるが、これらに限定されない哺乳類の最も外側の保護カバーとして配置されるケラチン含有層を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「安定」及び「安定性」は、輸送、保管及び使用において付されることが合理的に予期される条件、例えば約0℃〜約40℃の温度で少なくとも30日間などの条件に曝された際に、化学的状態、物理的均一性及び/又は色が実質的に不変である組成物を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「誘導体」は、関連化合物のエステル、エーテル、アミド及び/又は塩誘導体を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「極性」は、7.4(カロリー/cm30.5以上〜約11(カロリー/cm30.5の溶解度パラメーターを有する物質を意味する。本明細書で使用するとき、「非極性」は、7.4(カロリー/cm30.5未満の溶解度パラメーターを有する物質を意味する。溶解度パラメーターは、C.D.Vaughan「The Solubility Parameter:What is it?」(Cosmetics & Toiletries vol.106、1991年11月、pp.69〜72)によって、より詳細に論じられている。溶解度パラメーターは、Barton,AFM(1991),Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,2nd edition.CRC Pressで論じられている手順に従って測定又は算出され得る。
【0018】
「背景技術」で論じているように、油中水型エマルション中での極性油の保持は困難な課題であり、特により高いSPF保護を供給するために極性油の濃度を上昇させるほど困難になる。このような組成物は、シネレシスの形態の不安定性を呈する傾向を有する。不安定性を相殺するために、従来のアプローチは、ワックスを使用して固体スティックを作り、それにより油を捕捉すること、又は、高濃度の高価かつ非効率的なシリコーンエラストマーを使用して外相を増粘及び支持することを含んでいた。どちらのアプローチも、製剤全体の柔軟性(例えば、極性油容量に対する制限、水相体積など)及び肌触り審美性の点で欠点を有する。
【0019】
油中水型エマルション中の高濃度の極性油を適度に安定化させ、かつ製剤柔軟性を維持させるという困難な課題を克服するために、特定の炭化水素ワックスを含ませると、安定性における予想外かつ有意な向上を導けることが判明した。油を捕捉するためにワックス結晶網状組織を含有する固体製品とは異なり、これらの炭化水素ワックスについて得られる安定性利点は、結晶間の連結の程度に関係なく持続し、すなわち、結晶網状組織は油を含有する必要がない。油相内の分離性ワックス結晶は、ローション及びクリームを作るための安定性利点及び柔軟性を提供する。この発見は、固体からクリーム、そしてローションに至るまでの一定の範囲の安定な製品の審美性を向上させる。
【0020】
この安定性利点は、特定のワックス−炭化水素ワックス、特に飽和かつ直鎖であるもの−についてのみ観察される。このカテゴリーの外にあるワックスは、シネレシスを回避しないか、あるいは、第二のタイプの製品不安定性−温暖な温度での粘性増加−にさらされるか、のいずれかである。この望ましくない制御不能な粘性増加は、製品性能及び審美性を変化させる。したがって、油相中の炭化水素ワックスの存在により、日焼け止め極性油を含む油中水型エマルションの製剤柔軟性は大きく向上する。適切なワックスを選択することに加えて、安定性利点及び審美性効果を得るために、極性油に対するワックスの比率は、特定の範囲内に維持すべきである。
【0021】
I.パーソナルケア組成物
本発明のパーソナルケア組成物は、油中水型エマルションである。パーソナルケア組成物は、約5,000cps(センチポアズ)〜約1,000,000cps、あるいは約10,000cps〜約500,000cps、あるいは約15,000cps〜約200,000cpsの粘度を有し得る。
【0022】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約5%の水相を含み得る。パーソナルケア組成物の固有の態様は、極性油及びシリコーンなどの他の成分のための十分な製剤スペースを提供しながら、より高荷重の水相を得ることができるものである。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、約5%〜約50%の水相又は約10%〜約25%の水相を含み得る。エマルション中で、水相は、内相又は不連続相である。
【0023】
水相は、典型的には、水を含む。水相は、完全に水から構成されてもよい。他の実施形態では、水相は、ケラチン組織に高い効果を付与するために、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の成分(すなわち、非水成分)を含み得る。一実施形態では、パーソナルケア組成物の水相は、グリセリン及び/又は他のポリオールなどの湿潤剤を含む。水相は、実質的に一切水を含まなくてもよい。
【0024】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約15%の油相を含み得る。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、約20%〜約90%の油相又は約40%〜約90%の油相を含む。エマルション内で、油相は外相又は連続相である。油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油、エステル、エーテル、これらに類するものなど)及びこれらの混合物を含み得る。一実施形態では、油相は、シリコーン油、極性炭化水素油及びこれらの混合物を含む。
【0025】
A.極性油
一態様では、組成物は極性油を含む。一部の実施形態では、組成物は、約10%超の極性油を含み得る。他の実施形態では、組成物は、約20%超の極性油を含み得る。特定の実施形態では、極性油は、約7.4(カロリー/cm30.5〜約11(カロリー/cm30.5の溶解度パラメーターを有し得る。
【0026】
好適な極性油としては、エーテル、エステル、アミド、プロポキシレート、及びこれらの混合物が挙げられる。上述の油は、飽和、不飽和、脂肪族(直鎖又は分枝鎖)、脂環式、又は芳香族であり得る。
【0027】
好適な極性油としては、ブチル及びイソプロピルフタルイミド(Pelemol(商標)BIP)、安息香酸フェニルエチル(X−tend(商標)226)、炭酸ジカプリリル(Tegosoft(商標)DEC)、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル(Eldew(商標)SL 205)、オクチルサリチル酸ブチル(Hallbrite(商標)BHB)、リンゴ酸ジオクチル、マレイン酸ジカプリリル(Hallbrite(商標)DCM)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル(Cetiol B)、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリル酸プロピレングリコール、C12〜15アルコールベンゾエート(Finsolv TN)、PPG−11ステアリルエーテル並びにこれらの誘導体並びに混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
他の例示的な極性油としては、レチノール及びプロピオン酸レチニルなどのレチノイド、トコフェロール(すなわち、ビタミンE)、トコフェロールの誘導体及びアスコルビン酸テトラへキシルデシルが挙げられる。
【0029】
日焼け止め剤は、極性油の別の例である。例示的な日焼け止め剤としては、ベンゾフェノン−3、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシ−ベンゾイルヘキシルベンゾエート、エチルヘキシルトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルメトキシ−シンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ホモサラート、ポリシリコーン−15,2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー及びメンチルアントラニレートが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、1つ以上の日焼け止め剤を含む。
【0030】
一実施形態では、極性油は、市販の精製形態において、油溶性結晶質及び/又は固体化合物である少なくとも1つの油溶性日焼け止め剤を含む。油溶性結晶質及び/又は固体日焼け止め剤は、本発明のパーソナルケア組成物に実質的に溶解し、結晶形態を保たないことが理解される。例えば、好適な極性油は、ブチルメトキシジベンゾイルメタンとラウリルサルコシン酸イソプロピルなどの、油溶性結晶質日焼け止め剤と溶媒との組み合わせを含み得る。特に好適な結晶質日焼け止め剤としては、ベンゾフェノン−3、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシ−ベンゾイルヘキシルベンゾエート及びエチルヘキシルトリアゾンが挙げられる。
【0031】
B.炭化水素ワックス
一態様では、組成物は炭化水素ワックスを含む。本明細書で使用するとき、「炭化水素ワックス」は、室温にて固体であり、炭素元素及び水素元素からなる物質を意味する。炭化水素ワックスは、純粋な炭化水素反応物質から作られるので、ヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素)を実質的に含まない。炭化水素ワックス中に存在する任意のヘテロ原子は、意図されざる不純物である。炭化水素構造は、直鎖、分枝鎖又はナフテン系であり得、合成的に又は天然的に誘導され得る。供給源としては、フィッシャー・トロプシュ合成、アルケン重合、ペトロラタム及びミネラルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、又は、約1重量%〜約8重量%、又は、約4重量%〜約6重量%の炭化水素ワックスを含む。
【0032】
好適な炭化水素ワックスは、飽和炭化水素を含む。一実施形態では、約0.05未満であるアルキン:アルケン炭素比率を有することにより定義されるような直鎖炭化水素ワックスが好ましい。例としては、ポリエチレン、ポリメチレン及び同様の合成ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、組成物は、2種以上の炭化水素ワックスを含む。
【0033】
特定の実施形態では、炭化水素ワックスは、以下のうちの1つ以上を呈し得る:約90%超の飽和度;20〜100個の炭素原子又は25〜80個の炭素原子又は30〜70個の炭素原子;約0.05未満のアルキン:アルケン炭素比率;重量平均重合度を数平均重合度で除算することにより定義される、約1.1未満又は約1.05未満の分子量分布又は多分散指数の幅;約55℃〜約150℃又は約65℃〜約100℃の融点;25℃にてASTM 1321により測定される、約1dmm〜約45dmm又は約2dmm〜約15dmm又は約2dmm〜約10dmmの針入度。単位dmmは、ミリメートルの10倍を指す。
【0034】
極性油に対するワックスの重量比率が低過ぎる場合には、組成物は不安定及びシネレシスになることが判明している。逆に、極性油に対するワックスの重量比率が高過ぎる場合、組成物は固体スティックの形態を取る。固体スティックを作ることにより油及び/又はエマルションを安定させるために、様々なワックスが従来使用されてきた。本明細書で使用するとき、「固体」は、テキスチャー・アナライザーにより測定したときに、0.12ニュートン(N)以上の硬度(harness)を有する組成物を意味する。硬度は、Texture Expert Exceedソフトウェア(v.2.64)を用いてTA−XT2iテキスチャー・アナライザーを使用して、2mmの直径を有する円筒形測定子が0.1mm/秒の速度で組成物中に0.5mmの距離に侵入するのに要するN表示の力である。硬度を測定する前に、組成物は25±1℃にて平衡化される。固体スティックでは、連続ワックス網状組織が生じ、それにより油を捕捉する。しかしながら、固体スティックは消費者に魅力的ではない。固体スティックは、著しくワックス状であり、例えば、重く、粉末状の柔らかさに劣り、吸収に時間がかかる。これらの負の審美性は、顔及び首に適用される場合に、特に顕著であり、非常に望ましくない。これらの負の審美性は、顔及び首に適用される場合に、特に顕著であり、望ましくない。したがって、約0.01〜約0.5、又は、約0.1〜約0.5、又は、約0.1〜約0.3の極性油に対するワックスの重量比率が好適であることが判明している。
【0035】
C.非乳化シリコーンエラストマー
一態様では、組成物は、非乳化シリコーンエラストマーを含む。「非乳化シリコーンエラストマー」は、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン基を全く含まないことを意味する。パーソナルケア組成物は、組成物の約1重量%〜約8重量%、又は、約2重量%〜約8重量%、又は、約3重量%〜約7重量%の非乳化シリコーンエラストマーを含み得る。
【0036】
好適な非乳化シリコーンエラストマーとしては、CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,11th ed.)に指定されている、Dow Corning(商標)(DC 9506)、General Electric(商標)(SFE 839)、Shin Etsu(商標)(KSG 15及び16)、及びGrant Industries(GRANSIL(商標)RPS−NA)により供給されているようなジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、並びにShin Etsu(商標)から入手可能なKSG 18などのジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。他の例示的なシリコーンエラストマーとしては、Dow Corning(商標)(DC 9040、DC 9041、DC 9045)といったCTFA登録済みジメチコンクロスポリマーが挙げられる。非乳化シリコーンエラストマーは、溶媒で予め膨潤した状態で供給されてもよい。予め膨潤したエラストマーを用いる場合、上記重量パーセントは、エラストマー粒子のみのものである(溶媒の重量を除く)。
【0037】
非乳化シリコーンエラストマーは、炭化水素ワックスにより供給されたものに加えて構造化を提供するが、製品安定性に必須ではない。一実施形態では、組成物はエラストマーを含まない。非乳化エラストマーなしであっても、製品は、室温及び最大50℃にて油シネレシスに対して安定である。
【0038】
非乳化シリコーンエラストマー構造は低濃度の極性油を含有する油中水型エマルションを構造化するために使用され得るが、これらは、さほど効率的な構造剤ではない。これらの非効率性のために、低濃度の極性油を保持するためにさえ、多量の比較的高価な非乳化シリコーンエラストマーが必要とされる。これは、入手可能なSPF保護の水準及び追加成分のために残しておける容量の両方で限定的である。これは、極性油を含む油中水型製剤の全体的柔軟性を制限する。
【0039】
D.乳化剤
一態様では、組成物は、直鎖、分枝鎖及び/又は架橋性であり得る1つ以上の乳化剤を含む。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、全体で組成物の約0.05重量%〜約20重量%、又は、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤を含み得る。乳化剤の非限定例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition and International Edition,pages 235〜246(1993)に開示されている。
【0040】
乳化剤としては、乳化シリコーンエラストマーを挙げてもよい。好適な乳化シリコーンエラストマーとしては、少なくとも1つのポリアルキルエーテル単位を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーが挙げられる。これら架橋エラストマーはまた、共修飾されて、アルキル置換基を含み得る。特に有用な乳化ポリオキシエチレン架橋エラストマーとしては、Shin Etsu製KSG−21、KSG−210、KSG−24、KSG−240、KSG−31、KSG−310、KSG−32、KSG−320、KSG−33、KSG−330、KSG−34、及びKSG−340が挙げられる。
【0041】
直鎖又は分枝鎖型シリコーン乳化剤も、本出願で有用である。特に有用なポリエーテル又はポリグリセロール化修飾シリコーン乳化剤としては、Shin EtsuのKF−6100、KF−6104、KF−6105、KF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6043、KF−6028及びKF−6038が挙げられる。
【0042】
乳化剤は必要であるが、極性油を含む油中水型エマルションの安定化には十分ではない。十分な構造剤の支持なしでは、エマルションはすぐにシネレシスになる。
【0043】
II.任意成分
A.微粒子物質
特定の実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約40重量%、又は、約1重量%〜約30重量%、又は、5重量%〜約20重量%の1つ以上の微粒子物質を含む。好適な粉末の非限定例としては、無機粉末(例えば、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ)、有機粉末、複合粉末、光学的光沢剤粒子、及び前述のいずれかの混合物が挙げられる。これら微粒子は、例えば、小板形、球形、細長い形状若しくは針形、又は不規則形状、表面コーティング有り若しくは無し、有孔若しくは無孔、荷電若しくは非荷電であってよく、及び本組成物に粉末として又は予め分散させて添加することができる。一実施形態では、微粒子物質は、疎水性コーティングされている。
【0044】
好適な有機粉末微粒子物質としては、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球(例えば、Tospearl(商標)145A(東芝シリコーン))から選択される高分子粒子;ポリメチルメタクリレートの微小球(例えばMicropearl(商標)M 100(Seppic));架橋ポリジメチルシロキサンの球状粒子(例えば、Trefil(商標)E 506C又はTrefil(商標)E 505C(Dow Corning Toray Silicone);ポリアミドの球状粒子(例えばナイロン−12及びOrgasol(商標)2002D Nat C05(Atochem));ポリスチレン微小球(例えばDynospheres(商標)の名でDyno Particlesから販売)及びエチレンアクリレートコポリマー(FloBead(商標)EA209(Kobo)の名で販売);デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム(例えば、Dry Flo(商標)(National Starch));ポリエチレン微小球(例えば、Microthene(商標)FN510−00(Equistar)及びMicropoly(登録商標)220L(Micro Powders,Inc.));ポリプロピレンの微小球(例えば、Mattewax(商標)511(Micro Powders,Inc.);シリコーン樹脂;ポリメチルシルセスキオキサンシリコーンポリマー;L−ラウロイルリジンから製造される小板形状粉末;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
特定の実施形態では、組成物は、疎水変性干渉顔料などの干渉顔料を含む。本明細書において、「干渉顔料」とは、厚さが制御された2つ以上の層を有する薄い板状の層状粒子を意味する。層は、異なる屈折率を有し、これによって、板状粒子の異なる層からの典型的には2つの、ただし時折それ以上の光反射の干渉によって特有の反射色が生じる。干渉顔料の一例は、約50〜300nmのTiO2、Fe23、シリカ、酸化スズ、及び/又はCr23フィルムと共に層化された雲母であり、真珠光沢顔料を含む。干渉顔料は、例えば、Rona(Timiron(商標)及びDichrona(商標))、Presperse(Flonac(商標))、Englehard(Duochrome(商標))、Kobo(Interfine、Interval、SK−45−R及びSK−45−G)、BASF(Sicopearls(商標))及びEckart(Prestige(商標))といった広範な供給元から市販されている。一実施形態では、干渉顔料の個々の粒子の最も長い側面の平均直径は、約75マイクロメートル未満、あるいは約50マイクロメートル未満である。
【0046】
微粒子はまた、着色剤も含み得る。好適な着色剤の非限定例としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、及び酸化クロム、フタロシアニンブルー、及びグリーン顔料、カプセル化染料、無機白色顔料、例えば、TiO2、ZnO、又はZrO2、FD&C染料、D&C染料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
B.不溶性日焼け止め剤
特定の実施形態では、組成物は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、又は、約0.1重量%〜約5重量%の不溶性日焼け止め剤を含む。好適な不溶性日焼け止め剤の非限定例としては、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル−フェノール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛セリウム、酸化亜鉛及びこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0048】
C.スキンケア活性物質
特定の実施形態では、組成物は1つ以上のスキンケア活性物質を含む。好適なスキンケア活性物質としては、ビタミン、ペプチド、糖アミン、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮活性物質、ミネラル、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗カビ剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらのスキンケア活性物質及びその他は、米国特許出願公開第2006/0275237(A1)号、同第2004/0175347(A1)号及び同第2006/0263309(A1)号に更に詳細が提供されている。
【0049】
特に好適な皮膚活性物質としては、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0050】
【化1】

式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前述のいずれかの塩である。本明細書で使用するとき、「糖アミン」は、その異性体及び互変異性体、並びにその塩(例えば、HCl塩)及びその誘導体を包含する。糖アミンの例としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体(例えば、立体異性体)、及びこれらの塩(例えば、HCl塩)が挙げられる。本明細書で使用する時、「ペプチド」は10以下のアミノ酸を含有するペプチド及びその誘導体、異性体、並びに金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウムなど)のような他の種との錯体を指す。本明細書で使用するとき、「ヘキサミジン化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0051】
【化2】

式中、R1及びR2は任意であるか、又は、有機酸(例えば、スルホン酸など)及びその塩及び誘導体である。
【0052】
更に好適なスキンケア活性物質としては、白茶抽出物、緑茶抽出物、朝鮮人参及び他の天然又は植物性化合物が挙げられる。
【0053】
D.非極性皮膚軟化剤
特定の実施形態では、組成物は、約10%〜約70%、あるいは30%〜約50%の非極性皮膚軟化剤を含む。好適な非極性皮膚軟化剤の非限定例としては、シリコーン油、炭化水素油、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で有用な非極性皮膚軟化剤としては、天然、合成、飽和、不飽和、直鎖、分枝鎖、線状、環状、芳香族、揮発性、及び不揮発性、非極性皮膚軟化剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
好適な非極性炭化水素油の非限定例としては、鉱油及び分枝鎖炭化水素(例えば、商品名Permethyl(商標)(Permethyl Corporation(商標))及びIsopar(商標)(Exxon(商標))として市販されている)が挙げられる。好適な非極性シリコーン油の非限定例としては、シクロメチコン(シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン)、ジメチコン及びこれらの混合物といった直鎖及び環状ポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのタイプのシリコーンの市販例としては、Dow Corning 200シリーズ、Dow Corning 344及びDow Corning 345(全てDow Corning(商標)Corp.から入手可能);及びSF1202、SF1204、及びViscasil(商標)シリーズ(全て、G.E.Silicones(商標)から入手可能)が挙げられる。更なる非極性シリコーン油としては、アルキル(例えば、炭素数2〜30)、及びアリール(例えば、フェニル又はスチレニル)置換シリコーンが挙げられ、例えば、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルエチルジメチコン、ヘキシルジメチコン、ラウリルジメチコン、セチルジメチコン、ステアリルジメチコン、ビス−ステアリルジメチコン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、非極性皮膚軟化剤は低粘性であり、これは50cst未満の粘度を意味する。
【0055】
油中水型エマルションの外相中に非極性皮膚軟化剤を有する場合には、十分な構造剤なしにシネレシスを回避することが困難である。
【0056】
III.方法
本発明は、更に、極性油を含む油中水型エマルションの安定性を改善する方法に関する。一実施形態は、約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、約10%超の極性油と、約1%〜約8%の非乳化シリコーンエラストマーと、を含む安定なパーソナルケア組成物を調製する工程を含み、極性油に対するワックスの重量比率が約0.01〜約0.5である、油中水型エマルションの安定性を改善するための方法を目的とする。この方法により、以前は実現できなかった水準の極性油及び/又は水相を油中水型エマルション内に含むことができる。
【0057】
本発明は更に、紫外線の有害な影響からケラチン組織を保護する方法に関する。このような方法は、一般的に、ケラチン組織に達する紫外線の量を軽減する又は減少させることを伴う。特定の実施形態では、本明細書に記載のパーソナルケア組成物は、日焼け、乾燥又は毛髪の損傷及び皮膚の早期老化などの紫外線の有害な影響からのケラチン組織の保護を提供するための日焼け止め剤として使用するのに好適である。
【0058】
更なる態様では、パーソナルケア組成物は、ケラチン組織の状態を改善又は調節するために使用され得る。改善又は調節される状態としては、皮膚の明度又は「輝き(glow)」を増加させること、しわ及び粗く深い線、細い線、裂け目、突出、及び大きな毛穴の外観を減らすこと;ケラチン組織を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層を構築すること、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を減少させるために、爪及び毛幹の角質層に適用可能);真皮−表皮の境界でのよれを増やすこと(乳頭間隆起としても知られる);皮膚又は毛髪弾性の損失を防止すること、例えば損失、ダメージ及び/又は機能的皮膚エラスチンの不活性化に起因して、これらは結果的に弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の損失状態を生じる;セルライトの減少;皮膚、毛髪、又は爪の着色の変化、例えば目の下の円形、しみだらけの状態(すなわち、一様でない赤色の着色、例えば酒さに起因するもの)、血色の悪さ、毛細血管拡張症又はクモ状血管(spider vessels)によって引き起こされる変色、乾燥、もろさ、及び白くなりかけた髪のうち1つ以上が挙げられる。
【実施例】
【0059】
パーソナルケア組成物の非限定例について以下に記載する。報告する百分率は、パーソナルケア組成物の総重量の百分率として表される成分の重量を示す。各実施例は、本明細書に開示される量で1つ以上の任意成分を含んでもよい。「実施例」は以下のように調製され得る。
【0060】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせ、穏やかに混合しながら90℃に加熱する。別の容器内で、日焼け止め剤(例えば、エチルヘキシルサリチレート、ホモサラート、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3)、日焼け止め溶媒(例えば、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル)及びワックス(例えば、Cirebelle 303、Accumelt 72、Accumelt 82又はAccumelt 90)を組み合わせ、混合しながら90℃に加熱する。両方の溶液が裸眼では半透明であり、かつ、微粒子を含まない場合、温水相を日焼け止め剤混合物に注入し、次に直ちに、残りのシリコーン相成分を同じ容器に加える。生成物の温度をワックス融点よりも高く維持しながら、滑らかかつ均質になるまで激しく撹拌する。熱源から生成物を取り出し、一定撹拌しながら33℃に冷却する。容器の側面から掻き取り、頻繁に生成物が均質に剪断されているか確かめる。生成物を好適な容器に移す。
【0061】
あるいは、生成物は、冷却時に剪断せずに調製することもできる。この場合、熱源から取り出したら、ホットエマルションを直ちに好適な容器に注入し、室温まで放冷する。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

1 Dow Corning(商標)(Midland,MI)製のジメチコンクロスポリマー(約12%)及びシクロペンタシロキサン(約88%)。
2 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー及び鉱油。
3 Momentive(商標)Performance Materials,Inc.(Albany,NY)製のポリメチルシルセスキオキサン。
4 Micro Powders Inc.(Tarrytown,NY)製のポリプロピレン。
5 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリエチレン。
6 Cabot Corp製のヒュームドシリカ。
7 National Starch & Chemical Company(Bridgewater,NJ)製のDry−Flo PC。
8 Arch Chemicals,Inc.(South Plainfield,NJ)製のポリエチレンワックス。
9 The International Group Inc.(Toronto,Ontario)製の合成ワックス。
10 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
11 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
12 Carrubba,Inc.(Milford,CT)製の白茶抽出物。
13 Symrise(Teterboro,NJ)製の朝鮮人参。
14 Sederma,Inc.(Edison,NJ)製のアンチエイジングペプチド溶液。
【0064】
V.比較例
以下に本発明の範囲内にある実施例と、従来の材料を用いる比較例とを比較する。報告する百分率は、パーソナルケア組成物の総重量の百分率として表される成分の重量を示す。比較例は、本明細書にも開示される量の1つ以上の任意成分を含んでもよい。比較例は、以下の成分から、上記実施例の調製で用いられた方法により調製され得る。これらの比較例に示すデータは、上記調製方法を使用して得られたものであり、ここで、生成物を33℃に冷却するまで生成物は撹拌される。製品安定性は、油シネレシスの視覚的評価を介して、及び、ブルックフィールド粘度測定により、判定される。
【0065】
油シネレシスを判定するために、高さ38.1mm(1.5”)及び直径50.8mm(2.0”)の寸法を有する円筒形容器に、およそ50gの生成物を充填する。次に、容器を5日間にわたって40℃及び室温で置く。試料を温度にて視覚的にモニターして、液体がバルク生成物からシネレシスを起こし、徐々に表面から隆起するかどうかを判定する。いずれの温度でも全くシネレシスが生じない場合、製品安定性は「安定」とみなす。いずれかの温度でシネレシスが生じる場合、製品安定性は「不安定」とみなす。見通しのために、製品安定性が「不安定」である場合には、シネレシス化した油の量は、表面から注ぐ又はピペット移液可能な十分な多さであり得る。
【0066】
更に、高温で製品安定性を評価するために、粘度測定値は、40℃への曝露の前後に得られる。各バッチについての複数の最初の粘度測定値(Vi)は、5rpmで回転するTバースピンドルを取り付けたBrookfield Helipath Stand上のBrookfield(商標)RVDV−II+粘度計においてバッチを完了した24時間後に得られる。粘度は、上述の不撹乱製品の中をスピンドルが下向きに移動するにつれて、複数の点で測定される。粘度測定値は、40℃で5日間を経過させ、次いで分析の24時間前に室温に戻した同じバッチからの不撹乱試料についても取られる。これらの粘度測定値をVtと呼ぶ。粘性増加(Vg)は、粘度の差(Vt−Vi)である。製品の供給系列及び貯蔵寿命を通して製品一体性を維持するためには、Vgは理想的には±10,000cpsであるべきである。一実施形態では、Vgは、<50,000cps又は<25,000cps又は<10,000cpsである。
【0067】
比較例1〜3は、好ましいワックスが本発明の中に収まる製剤(E1)に含まれる場合に得られる油シネレシス利点を強調する。同じ安定性利点は、ジメチコンクロスポリマー(DC9045)(C2及びC3)又はポリグリセロール架橋エラストマー(KSG−310)(C4)といった、等しい又は更には増加させた濃度の、非乳化又は乳化エラストマーでは得られない。C2〜C4は、本発明の範囲外である。
【0068】
【表3】

1 Dow Corning(商標)(Midland,MI)製のジメチコンクロスポリマー(約12%)及びシクロペンタシロキサン(約88%)。
2 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー及び鉱油。
3 Momentive(商標)Performance Materials,Inc.(Albany,NY)製のポリメチルシルセスキオキサン。
4 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリエチレン。
5 The International Group Inc.(Toronto,Ontario)製の合成ポリメチレンワックス。
6 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
7 Carrubba,Inc.(Milford,CT)製の白茶抽出物。
8 Symrise(Teterboro,NJ)製の朝鮮人参。
9 Sederma,Inc.(Edison,NJ)製のアンチエイジングペプチド溶液。
【0069】
比較例5〜8は、少量の好ましい炭化水素ワックスが製剤中に含まれるとき(E5及びE6、本発明の範囲内)に得られる製剤柔軟性を示す。この柔軟性は、良好な製品安定性を維持しながら、高濃度の水相及び極性油を収容することにより示される。同じ利点は、ジメチコンクロスポリマー(DC9045)(C7)又はポリグリセロール架橋エラストマー(KSG−310)(C8)といった、等しい又は更には増加させた濃度の、非乳化又は乳化エラストマーでは得られない。C7〜C8は、本発明の範囲外である。
【0070】
【表4】

1 Dow Corning(商標)(Midland,MI)製のジメチコンクロスポリマー(約12%)及びシクロペンタシロキサン(約88%)。
2 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー及び鉱油。
3 Momentive(商標)Performance Materials,Inc.(Albany,NY)製のポリメチルシルセスキオキサン。
4 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリエチレン。
5 The International Group Inc.(Toronto,Ontario)製の合成ポリメチレンワックス。
6 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
7 Carrubba,Inc.(Milford,CT)製の白茶抽出物。
8 Symrise(Teterboro,NJ)製の朝鮮人参。
9 Sederma,Inc.(Edison,NJ)製のアンチエイジングペプチド溶液。
【0071】
比較例9〜12は、少量の好ましい炭化水素ワックスが製剤中に含まれるとき(E9は本発明の範囲内)に得られる独特の製剤安定性利点を示す。同じ利点は、脂肪族アルコールワックス(ベヘニルアルコール)(C10)、脂肪酸エステルワックス(ステアリルベへネート)(C11)又は高度分枝鎖化した炭化水素微結晶ワックス(Microcrystalline Wax SP−96)(C12)といった、好ましい実施形態ではないワックスでは得られない。これらの比較例は、シネレシスの形態における不安定性及び40℃で5日経過後の粘性増加を呈する。C10〜C12は、本発明の範囲外である。
【0072】
【表5】

1 Dow Corning(商標)(Midland,MI)製のジメチコンクロスポリマー(約12%)及びシクロペンタシロキサン(約88%)。
2 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー及び鉱油。
3 Momentive(商標)Performance Materials,Inc.(Albany,NY)製のポリメチルシルセスキオキサン。
4 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリエチレン。
5 The International Group Inc.(Toronto,Ontario)製の合成ワックス。
6 Strahl & Pitsch製の微結晶ワックス。
7 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
8 Carrubba,Inc.(Milford,CT)製の白茶抽出物。
9 Symrise(Teterboro,NJ)製の朝鮮人参。
10 Sederma,Inc.(Edison,NJ)製のアンチエイジングペプチド溶液。
【0073】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0074】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本願に引用する全ての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらの全ての内容が本願に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0075】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、
b)約10%超の極性油と、
c)約1%〜約8%の非乳化シリコーンエラストマーと、
を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物であって、極性油に対するワックスの重量比率が約0.01〜約0.5である、安定なパーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記炭化水素ワックスが、ポリエチレン、ポリメチレン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記炭化水素ワックスが20〜100個の炭素原子を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記炭化水素ワックスが、約0.05未満のアルキン:アルケン炭素比率を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記炭化水素ワックスが、約1.1未満の多分散指数を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記炭化水素ワックスが約55℃〜約150℃の融点を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項7】
25,000cps未満の粘性増加(Vg)を更に含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記極性油が日焼け止め剤を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項9】
前記日焼け止め剤が、ベンゾフェノン−3、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシ−ベンゾイルヘキシルベンゾエート、エチルヘキシルメトキシ−シンナメート、エチルヘキシルサリチレート、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ホモサラート、ポリシリコーン−15及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記極性油が、ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、安息香酸フェニルエチル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、オクチルサリチル酸ブチル、リンゴ酸ジオクチル、マレイン酸ジカプリリル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリル酸プロピレングリコール、C12〜15アルコールベンゾエート、それらの誘導体及び混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記極性油が、
a)ベンゾフェノン−3、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイル−メタン、ジエチルアミノヒドロキシ−ベンゾイルヘキシルベンゾエート、エチルヘキシルメトキシ−シンナメート、エチルヘキシルサリチレート、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ホモサラート、ポリシリコーン−15及びこれらの混合物からなる群から選択される日焼け止め剤と、
b)ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、安息香酸フェニルエチル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、オクチルサリチル酸ブチル、リンゴ酸ジオクチル、マレイン酸ジカプリリル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリル酸プロピレングリコール、C12〜15アルコールベンゾエート、それらの誘導体及び混合物からなる群から選択される成分と、
を含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項12】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミン、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮活性物質、ミネラル、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、抗カビ剤並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項13】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項14】
微粒子物質を更に含む、請求項1に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項15】
a)約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、
b)約10%超の極性油と、
を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物であって、極性油に対するワックスの重量比率が約0.1〜約0.5である、安定なパーソナルケア組成物。
【請求項16】
前記炭化水素ワックスが、ポリエチレン、ポリメチレン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項17】
前記炭化水素ワックスが20〜100個の炭素原子を含む、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項18】
前記炭化水素ワックスが、約0.05未満のアルキン:アルケン炭素比率を含む、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項19】
前記炭化水素ワックスが、約1.1未満の多分散指数を含む、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項20】
前記炭化水素ワックスが約55℃〜約150℃の融点を含む、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項21】
25,000cps未満の粘性増加(Vg)を更に含む、請求項15に記載の安定なパーソナルケア組成物。
【請求項22】
a)約4%〜約6%の炭化水素ワックスと、
b)約20%超の極性油と、
c)約5%〜約7%の非乳化シリコーンエラストマーと、
d)ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質と、
を含む油中水型エマルションの形態の安定なパーソナルケア組成物であって、極性油に対するワックスの重量比率が約0.1〜約0.3である、安定なパーソナルケア組成物。
【請求項23】
約0.01%〜約10%の炭化水素ワックスと、約10%超の極性油と、約1%〜約8%の非乳化シリコーンエラストマーとを含む安定なパーソナルケア組成物を調製する工程を含み、極性油に対するワックスの重量比率が約0.01〜約0.5である、油中水型エマルションの安定性を改善するための方法。

【公表番号】特表2012−521356(P2012−521356A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500993(P2012−500993)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/027961
【国際公開番号】WO2010/108088
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】