説明

炭化水素装入原料の水素化分解触媒および水素化分解法

【課題】マクロ細孔量が少なく、水素化分解方法において改善された触媒機能を有する水素化分解触媒の調製。
【解決手段】周期表のVIB族およびVIII族の元素からなる群から選択した少なくとも1つの脱水素元素、10重量%よりも多く80重量%以下の量のシリカを含むシリカ・アルミナ・ベースの非ゼオライト担体、水銀細孔率測定法で測定して20〜140Åの平均細孔径、水銀細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、窒素細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、150〜500m/gの範囲のBET比表面積、水銀細孔率測定法で測定して140Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、水銀細孔率測定法で測定して160Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、を有する触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコアルミン酸担体、触媒および上記触媒を使用する水素化分解法に関する。
【0002】
本発明の目的は、本質的に、中間蒸留物の調製、即ち、少なくとも150℃の初期沸点および残渣の初期沸点の前まで達する、例えば、340℃よりもまたは更に370℃よりも低い最終沸点を有する留分の調製にある。
【背景技術】
【0003】
重油留分の水素化分解は、極めて重質で低揮発性の装入原料から、所要の構造に調製を適合させるために精油技術者が要望するようなより軽質の留分(例えば、ガソリン、ジェット燃料および軽油)を調製できる極めて重要な精製法である。若干の水素化分解法の場合、同じく、オイルのために優れたベースを供給できる高度に精製された残渣を得ることができる。接触分解に比して、接触水素化分解の利点は、極めて高品質の中間蒸留物、ジェット燃料および軽油が得られる点にある。逆に、生成されたガソリンは、接触分解から得られるオクタン価よりも遥かに低いオクタン価を有する。
【0004】
水素化分解は、3つの基本的要素、即ち、使用した操作条件、使用した触媒のタイプおよび炭化水素装入原料の水素化分解を1工程または2工程で実施できるという事実からフレキシビリティを引出す方法である。
【0005】
水素化分解法において使用される水素化分解触媒は、何れも、酸基を水素発生基と組合せる二官能基タイプである。酸基は、表面積が150〜800m/gの範囲にあり且つ表在酸度を有する担体、例えば、ハロゲン化アルミナ(好ましくは、塩化またはフッ化アルミナ)、酸化ホウ素と酸化アルミニウムとの組合せ、非晶質のシリカ・アルミナおよびゼオライトによって与えられる。水素発生基は、元素の周期表のVIII族の1つまたは複数の金属によって、あるいは、周期表のVIB族の少なくとも1つの金属とVIII族の少なくとも1つの金属との組合せによって与えられる。
【0006】
2つの基、即ち、酸基と水素発生基との間の平衡は、触媒の活性および選択性を決定するパラメータの1つである。低い酸基および強い水素発生基は、概ね高温(390〜400℃以上の温度)において且つ低い空間供給速度(触媒単位容積当りおよび時間当りの被処理装入原料の容積で表現したVVHは、概ね、2以下である)で作用する低活性であるが、中間蒸留物の極めて良好な選択性を有する触媒を与える。逆に、強い酸基および低い水素発生基は、活性であるが、中間蒸留物(ジェット燃料および軽油)の劣った選択性を有する触媒を与える。
【0007】
通常のタイプの水素化分解触媒は、中程度の酸性を有する非晶質担体(例えば、シリカ・アルミナ)をベースとする。上記系は、良品質の中間蒸留物の調製に使用され、場合によっては、更に、オイルベースの調製に使用される。上記触媒は、例えば、2工程方法において使用される。
【0008】
上記触媒の機能は、その物理化学的特性に、更に詳細に云えば、その構造特性に密接に関連する。従って、一般的に、シリカ・アルミナを含む触媒(例えば、特許文献1に記載の触媒)中のマクロ細孔の存在は、不都合である。マクロ細孔とは、500Åを越える径を有する細孔を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5370788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題を解決する意図において、マクロ細孔量が少なく、水素化分解方法において改善された触媒機能を有する水素化分解触媒の調製に至った。
【0011】
更に詳細に云えば、本発明は、水素化分解触媒、上記触媒の調製に使用される担体および上記触媒を使用する水素化分解法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の以下の説明において、比表面積とは、定期刊行物“The Journal of American Society”,60,309,(1938)に記載のBRUNAUER−EMMETT−TELLER法から確立されたASTM規格D3663−78に基づき窒素吸収によって求めた比表面積B.E.T.を意味する。
【0013】
本発明の以下の説明において、担体および触媒の水銀容積とは、484dyn/cmの表面張力およびシリカ・アルミナ担体について140°の接触角を利用して、最大圧力4000barにおいて、ASTM規格D4284−83に記載の水銀細孔率計で測定した水銀貫入容積を意味する。平均水銀径は、36Å〜1000Åの範囲の径であって、この径よりも小さい寸法の細孔が細孔容積(VHg)の50%になるような径と定義される。細孔分布を定義する基本として好ましくは担体を利用する理由の1つは、水銀の接触角が、金属および水銀の含浸後、金属の性質およびタイプに依存して変化するという事実に集約される。濡れ角度は、Jean CharpinおよびBernard Rasneurが発表した報告“Techniques de l’ingenieur,traite analyse et caracterisation,P1050-5”の推奨に基づき140°に等しくとる。
【0014】
より良い精度を得るため、以下の説明に記載の水銀容積の数値(単位:ml/g)は、試料について測定した全水銀容積の数値(単位:ml/g)から30psi(約2bar)に対応する圧力において同一試料について測定した水銀容積の数値(単位:ml/g)を減算した数値に対応する。更に、平均水銀径は、全水銀細孔容積の50%をなす全細孔の寸法よりも大きい径と定義する。
【0015】
細孔分布特性の改善のため、更に、水銀法細孔分布の下記の基準を定める:容積V1は、30Å以下の平均径よりも小さい径の細孔に含まれる容積に対応する。容積V2は、30Å以下の平均径以上で30Å以上の平均径よりも小さい径の細孔に含まれる容積に対応する。容積V3は、30Å以上の平均径以上の径の細孔に含まれる容積に対応する。容積V4は、15Å以下の平均径よりも小さい径の細孔に含まれる容積に対応する。容積V5は、15Å以下の平均径以上で15Å以上の平均径の細孔に含まれる容積に対応する。容積V6は、15Å以上の平均径以上の平均径の細孔に含まれる容積に対応する。
【0016】
窒素吸着によって測定される細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルによって求めた。BJHモデルにもとづく窒素の吸着−脱着等温式は、E.P.Barrett,L.G.JoynerおよびP.P.Halendaによって定期刊行物“The Journal of American Society”,73,373,(1951)に記載されている。本発明の以下の説明において、窒素吸着容積は、窒素による細孔の完全充填が認められる圧力においてP/Po=0.99について測定された容積を意味する。窒素脱着平均径は、窒素等温曲線の脱着ブランチにおいて測定された細孔容積(Vp)の50%をなす全細孔の径よりも大きい径として定義される。
【0017】
吸着表面積とは、吸着等温曲線のブランチにおいて測定された表面積を意味する。例えば、A.Leclouxの論文“Memoires Societe Royale des Sciences de Liege,6th serie,TomeI,FASC.4,p169〜209(1971)”を参照されたい。
【0018】
ナトリウム含量は、原子吸収分光法によって測定した。
【0019】
X線回折は、本発明に係る担体および触媒の特徴づけのために利用できる技術である。以下の説明において、X線解析は、後部モノクロメータを装備した反射式X線回折計 Philips PW1830によってCoKalpha放射線(λKα1=1.7890Å、λKα2=1.793Å、強度比Kα1/Kα2=0.5)を使用して粉体に対して実施した。
【0020】
γ−アルミナのX線回折図については、データベースICDD、カード10−0425を参照されたい。特に、最も強い2つのピークは、1.39〜1.40Åの範囲のdに対応する位置および1.97Å〜2.00Åの範囲のdに対応する位置にある。ブラッグ条件(2d(hkl)×sin(θ)=n×λ)を利用して角度位置から演繹した格子面間隔をdと呼ぶ。以下の説明において、γ−アルミナとは、特に、例えば、立方晶系γ−アルミナ、擬立方晶系γ−アルミナ、正方晶系γ−アルミナ、結晶度の低いγ−アルミナ、大面積のγ−アルミナ、小面積のγ−アルミナ、粗なベーマイトから得られたγ−アルミナ、結晶化ベーマイトから得られたγ−アルミナ、結晶度の低いベーマイトから得られたγ−アルミナ、ベーマイト結晶および非晶質ゲルの混合物から得られたγ−アルミナ、非晶質ゲルから得られたγ−アルミナ、δへの変化によって得られたγ−アルミナからなるグループに含まれるアルミナを意味する。ε−アルミナ、δ−アルミナおよびθ−アルミナの回折ピークの位置について、Physical and Chemical aspects of adsorbent and catalysts,E.G.Linsen(Ed.),Academic Press,London.1970,p171〜211のB.C.Lippens,J.J.Steggerdaの論文を挙げることができる。
【0021】
本発明に係る担体および触媒について、X線回折(XRD)図には、非晶質シリカの存在の特徴である幅の広いピークが明示されている。
【0022】
他方、以下の説明の全体において、アルミナ化合物は、XRD技術によって始めて検知できる非晶質フラクションを含むことができる。従って、結果として、本明細書において使用したまたは記載したアルミナ化合物は、非晶質または低結晶度のフラクションを含むことができるということが暗示される。
【0023】
Bruker社の分光計によって4mmゾンデを使用して27Alの固体マジック角度回転法(MAS)NMR方式で、本発明に係る担体および触媒を分析した。試料の回転速度は、おおよそ11kHzである。潜在的に、アルミニウムのNMRによって、3つのタイプのアルミニウムを特定できる。これらタイプの化学シフトを以下に示す:
100〜40ppmの範囲、4配位タイプのアルミニウム、AlIVと呼ぶ、
40〜20ppmの範囲、5配位タイプのアルミニウム、Alと呼ぶ、
20〜100ppmの範囲、6配位タイプのアルミニウム、AlVIと呼ぶ。
【0024】
アルミニウム原子は、4極核である。ある種の分析条件(低無線周波数:30kHz、小衝撃角度:π/2および水で飽和した試料)において、マジック角度回転法(MAS)NMR技術は、定量技術である。NMR MASスペクトルの分解によって、異なる種の量を直接に得ることができる。スペクトルは、1M硝酸アルミニウム溶液に対する化学シフトにおいて固定される。アルミニウムの信号は、ゼロppmにある。この場合、AlIVおよびAlについて100〜200ppmの間で(エリア1に対応)且つAlVIについて20〜100ppmの間で(エリア2に対応)信号を積分する方式を選択した。
【0025】
本発明の以下の説明において、6配位AlVIの割合とは、下記の比を意味する:エリア2/(エリア1+エリア2)
本発明に係る担体および触媒の使用可能な特徴づけ法は、透過電子顕微鏡法(MET)である。このため、X線解析のためのエネルギ分散分光計(EDS)(例えば、TracorまたはEdax)を装備した電子顕微鏡(タイプJeol 2010または場合によっては走査式のPhillps Tecnai20F)を使用する。検知器EDSは、軽い元素を検知できなければならない。これら2つの手段、即ち、METおよびEDSの共働によって、映像および局部的化学分析と良好な空間分解能とを組合せることができる。
【0026】
このタイプの分析のために、乳鉢内で試料を微細に乾式粉砕した。次いで、厚さ約70nmの超微細薄片を構成するため、粉体を樹脂内に導入した。支持用穴を有する非晶質カーボン被膜を被覆したCu格子上に上記薄片を捕集した。次いで、2次真空下の観察および分析のため、上記格子を顕微鏡内に導入した。かくして、映像において、試料ゾーンと樹脂ゾーンとを容易に区別できる。次いで、工業的試料の各種ゾーンにおいて若干数の、最少10(好ましくは、15〜30)の分析を行う。(被検ゾーンの大きさをほぼ決定する)ゾーン分析のための電子束の大きさ、即ち、最大径は、50nm(好ましくは、20nm、更に好ましくは、10,5,2または1nm)である。走査モードにおいて、被検ゾーンは、走査ゾーンの大きさに依存し、一般に減少された電子束の大きさとは無関係である。
【0027】
分光計EDSによって収集したX線スペクトルの半定量処理によって、各被検ゾーンについて、AlおよびSiの相対濃度(原子%)およびSi/Al比を得ることができる。かくして、上記測定群の平均値Si/Alおよび偏差タイプσを計算できる。
【0028】
本発明の以下の説明の非限定的実施例において、評価の矛盾なく本発明に係る担体および触媒の特徴づけに使用されるゾンデは、50nmゾンデである。
【0029】
J. F. Le Page, J. Cosyns, P. Courty, E. Freund, J-P. Franck, Y. Jacquin, B. Juguin, C. Marcilly, G. Martino, J. Miquel, R. Montarnal, A. Sugier, H. Van Landeghemの“Applied Heterogenous Catalysis”,Technip.Paris,1987の論文に記載の方法で、タッピング充填密度を測定した。妥当な寸法の目盛付きシリンダに、触媒を漸次的に充填した。各充填の間に、一定容積になるまでシリンダを振って、触媒を詰込んだ。上記測定は、一般に、高さ/径比がほぼ5:1になるようシリンダに詰込んだ触媒1000cmについて実施した。この測定は、好ましい態様で、自動装置(例えば、Quantachrome(登録商標)から市販されているAutotap(登録商標))で実施できる。
【0030】
マトリックスの酸度は、赤外分光法(IR)で測定した。IRスペクトルは、Nexus−670タイプのNicolet干渉計に、Happ−Genselタイプの分解による4cm−1の解像度で記録した。試料(20mg)を自立性ペレットの形にプレスし、次いで、インシトゥ(in-situ)の分析セル内に設置した(25℃〜550℃、赤外線ビーム外に置かれた炉、10−6mbarの2次真空)。ペレットの径は、16mmである。
【0031】
物理的吸着水を除去し、触媒表面を部分的に脱水素処理し、かくして、作用中の触媒の酸度を示す映像を得るため、試料を下記の如く前処理した:
−温度を3時間で25℃から300℃に上昇
−300℃に10時間保持
−温度を3時間で300℃から25℃に降下。
【0032】
次いで、25℃において、塩基性ゾンデ(ピリジン)を飽和状態に加圧吸着処理し、次いで、下記段階に基づき熱脱着処理した:
−2次真空下で25℃に2時間
−2次真空下で100℃に1時間
−2次真空下で200℃に1時間
−2次真空下で300℃に1時間。
【0033】
前処理終了時および各脱着段階において、25℃において100s(秒)の集積時間で透過モードでスペクトルを記録した。スペクトルは、等質量(従って、等厚と考えられる)に帰着される(正確に20mg)。ルイス・サイトの数は、最大値が1450cm−1の近傍にあるピークの面積に比例し、すべてのショルダ(肩部)が含まれる。ブレンステッド・サイトの数は、最大値が1545cm−1の近傍にあるピークの面積に比例する。ルイス・サイトの数に対するブレンステッド・サイトの数の比(B/L)は、上記の2つのピークの面積の比に等しいと判断される。一般に、25℃におけるピーク面積を使用する。この比B/Lは、一般に、前処理終了時に25℃において記録したスペクトルから計算する。
【0034】
更に詳細に云えば、本発明は、周期表のVIB族およびVIII族の元素から形成されたグループから選択された少なくとも1つの脱水素元素と、5重量%よりも多く且つ95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含むシリカ・アルミナ・ベースの非ゼオライト担体とを含む触媒に関する。上記触媒は、下記特性を有する:
−水銀細孔率測定法で測定して、20〜140Åの範囲の平均細孔径、
−水銀細孔率測定法で測定して、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲の全細孔容積、
−窒素細孔率測定法で測定して、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲の全細孔容積、
−100〜550m/gの範囲のBET比表面積、
−水銀細孔率測定法で測定して、140Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、160Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、200Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、500Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.01ml/gよりも小さい細孔容積、
−α−,ρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むX線回折図。
【0035】
触媒のタッピング充填密度は、一般に、0.85g/cmよりも大きく、好ましくは、0.95g/cmよりも大きく、特に好ましくは、1.025g/cmよりも大きく、更に好ましくは、1.1g/cmよりも大きい。
【0036】
更に詳細に云えば、本発明は、5重量%よりも多く且つ95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含むシリカ・アルミナ・ベースの非ゼオライト担体に関する。この担体は、下記を特徴とする:
−水銀細孔率測定法で測定して、20〜140Åの範囲の平均細孔径、
−水銀細孔率測定法で測定して、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲の全細孔容積、
−窒素細孔率測定法で測定して、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲の全細孔容積、
−100〜550m/gの範囲のBET比表面積、
−水銀細孔率測定法で測定して、140Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、160Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、200Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、500Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.01ml/gよりも小さい細孔容積、
−ρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むX線回折図。
【0037】
焼成後の担体のタッピング充填密度は、一般に、0.65g/cmよりも大きく、好ましくは、0.72g/cmよりも大きく、特に好ましくは、0.75g/cmよりも大きく、更に好ましくは、0.78g/cmよりも大きい。
【0038】
上記担体を含む触媒は、同じく、本発明に含まれる。
【0039】
本発明は、更に、水素化分解法および/または水素化転化法および上記触媒を使用する炭化水素装入原料の水素化処理法に関する。
【0040】
本発明は、下記を含む水素化分解触媒に関する:
−シリカ(SiO)含量が5重量%よりも多く且つ95重量%以下である、好ましくは、10〜80重量%の範囲にある、好ましくは、シリカ含量が20重量%よりも多く且つ80重量%よりも少ない、更に好ましくは、25重量%よりも多く且つ75重量%よりも少ない、有利には、シリカ含量が10〜50重量%の範囲にあるシリカ・アルミナ・ベースの(即ち、シリカおよびアルミナを含む)非ゼオライト担体、
−好ましくは、0.1重量%よりも少ない、好ましくは、0.05重量%よりも少ない、更に好ましくは、0.025重量%よりも少ないカチオン不純物含量(ここで、カチオン不純物含量とは、全アルカリ含量を意味する)、
−好ましくは、1重量%よりも少ない、好ましくは、0.5重量%よりも少ない、更に好ましくは、0.1重量%よりも少ないアニオン不純物含量。
【0041】
本発明に係る方法において使用されるシリカ・アルミナが、カチオン不純物(例えば、Na)の含量が0.1重量%よりも少なく、好ましくは、0.05重量%よりも少なく、更に好ましくは、0.025重量%よりも少なく、アニオン不純物(例えば、SO2−、Cl)の含量が、1重量%よりも少なく、好ましくは、0.5重量%よりも少なく、更に好ましくは、0.1重量%よりも少ない、マイクロメータ規模の均一なシリカ・アルミナであれば好ましい。
【0042】
従って、カチオン不純物(例えば、Na)の含量を少なくとも0.1重量%に減少でき、好ましくは、0.05重量%よりも少ない、更に好ましくは、0.025重量%よりも少ない含量に減少でき、アニオン不純物(例えば、SO2−、Cl)の含量を少なくとも1重量%に、更に好ましくは、0.05重量%よりも少ない含量に減少でき、マイクロメータ規模の均一なシリカ・アルミナを生ずる、当業者に公知のすべてのシリカ・アルミナ合成法は、本発明の対象の担体を調製するのに適する。
【0043】
−周期表のVIB族およびVIII族の元素から形成されたグループから選択した少なくとも1つの脱水素元素、
−好ましくは、1〜50重量%の範囲、好ましくは、1.5〜35重量%の範囲、更に好ましくは、1.5〜30重量%の範囲の、金属の形または酸化物の形のVIB族の1つまたは複数の金属の含量、
−好ましくは、0.1〜30重量%の範囲、好ましくは、0.2〜25重量%の範囲、更に好ましくは、0.2〜20重量%の範囲の、金属の形または酸化物の形のVIII族の金属の含量、
−場合によっては、リン、ホウ素およびケイ素から形成されたグループから選択して触媒上に担持させた少なくとも1つのドーピング元素。酸化物の形のリン、ホウ素、ケイ素の含量は、0.1〜15重量%の範囲、好ましくは、0.1〜10重量%の範囲、更に有利には、0.1〜5重量%の範囲にある。ドーピング元素とは、上記のシリカ・アルミナ担体の調製後に導入される元素を意味する、
−場合によっては、酸化物の形の化合物または金属の0〜20重量%の範囲、好ましくは、0〜10重量%の範囲の含量の、VIIB族の少なくとも1つの元素(例えば、好ましくはマンガン)、
−場合によっては、酸化物の形の化合物または金属の0〜40重量%の範囲、好ましくは、0〜20重量%の範囲の含量の、VB族の少なくとも1つの元素(例えば、好ましくはネオジウム)、
−水銀細孔率測定法で測定して、20〜140Åの範囲、好ましくは、40〜120Åの範囲、更に好ましくは、50〜100Åの範囲の平均細孔径、
−好ましくは、0.6よりも大きい、好ましくは、0.7よりも大きい、更に好ましくは、0.8よりも大きい、水銀細孔率測定法で測定したDmean−30Å(30Å以下の平均径)とDmean+30Å(30Å以上の平均径)との間にある容積V2の、同じく水銀細孔率測定法で測定した全細孔容積に対する比、
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定して、Dmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる、0.1ml/gよりも小さい、好ましくは、0.06ml/gよりも小さい、更に好ましくは、0.04ml/gよりも小さい容積V3、
−好ましくは、0.6よりも大きい、好ましくは、0.7よりも大きい、更に好ましくは、0.8よりも大きい、水銀細孔率測定法で測定したDmean−15Å(15Å以下の平均径)とDmean+15Å(15Å以上の平均径)との間にある容積V5の、水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2に対する比、
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åより大きい径の細孔に含まれる、0.2ml/gよりも小さい、好ましくは、0.1ml/gよりも小さい、更に好ましくは、0.05ml/gよりも小さい容積V6、
−水銀細孔率測定法で測定した0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲、好ましくは、0.20ml/g〜0.50ml/gの範囲の、更に好ましくは、0.20ml/gよりも大きい全細孔容積、
−窒素細孔率測定法で測定した0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲、好ましくは、0.2ml/g〜0.50ml/gの範囲の全細孔容積、
−100〜550m/gの範囲、好ましくは、150〜500m/gの範囲のBET比表面積、
−好ましくは、吸着表面積、例えば、吸着表面積とBET表面積との比は、0.5よりも大きい、好ましくは、0.65よりも大きい、更に好ましくは、0.8よりも大きい、
−水銀細孔率測定法で測定して、140Åよりも大きい径の細孔に含まれる、0.1ml/gよりも小さい、好ましくは、0.05ml/gよりも小さい、更に好ましくは、0.03ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、160Åよりも大きい径の細孔に含まれる、0.1ml/gよりも小さい、好ましくは、0.05ml/gよりも小さい、更に好ましくは、0.025ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、200Åよりも大きい径の細孔に含まれる、0.1ml/gよりも小さい、好ましくは、0.05ml/gよりも小さい、更に好ましくは、0.025ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して、500Åよりも大きい径の細孔に含まれる、0.01ml/gよりも小さい細孔容積、
−ρ−,χ−,κ−,η−,γ−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含む、好ましくは、γ−,η−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むことを特徴とする、更に好ましくは、少なくとも、γ−,η−アルミナの固有スペクトル線を含むことを特徴とする、更に好ましくは、1.39〜1.40Åの範囲のピークaおよびdおよび1.97〜2.00Åの範囲のピークaおよびdを含むことを特徴とするX線回折図。
【0044】
担体および触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜110ppmの間にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。本発明の担体および触媒について、AlVI八面体の割合が、50%よりも、好ましくは、60%よりも、更に好ましくは、70%よりも大きければ有利である。
【0045】
本発明の実施例に基づき、触媒は、少なくとも2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む担体を含む。上記ゾーンは、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比よりも大きいまたは小さいSi/Al比を有する。従って、0.5に等しいSi/Al比を有する担体は、例えば、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを有し、1つのゾーンは、METによって測定した0.5よりも小さいSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定した0.5〜2.5の範囲のSi/Al比を有する。
【0046】
本発明の他の実施例に基づき、触媒は、唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む担体を含み、上記ゾーンは、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比に等しく2.3よりも小さいSi/Al比を有する。
【0047】
本発明に係る担体の酸度は、本発明の枠を限定することなく、有利な態様で、ピリジンの熱脱着の連続IRによって測定できる。一般に、本発明に係る担体の上記のB/L比は、0.05〜1の範囲、好ましくは、0.05〜0.7の範囲、特に好ましくは、0.06〜0.3の範囲、更に好ましくは、0.075〜0.15の範囲にある。
【0048】
調製法
本発明に係る触媒は、当業者に周知のすべての方法に基づき調製できる。
【0049】
本発明に係る触媒の好ましい調製法は、下記工程を含む:
好ましい調製法に基づき、前駆体は、シリカ・アルミナ単独の直接的成形によってまたは少なくとも1つの結合剤とともにシリカ・アルミナを成形することによって構成し、次いで、乾燥、焼成できる。VIB族および/またはVIII族の元素および、場合によっては、リン、ホウ素、ケイ素から選択した元素および、場合によっては、VB族およびVIIB族の元素は、場合によっては、前駆体または触媒の成形の前後および焼成の前後に、当業者に周知のすべての方法によって導入される。
【0050】
水素添加元素は、すべての調製工程において、好ましくは、混合時にまたは特に好ましくは、成形後に導入できる。成形に続いて焼成を行う。水素添加元素は、この焼成の前後に導入することもできる。調製は、250〜600℃における焼成で終わる。本発明に係る方法の他の好ましい方法の場合、結合剤を含まないシリカ・アルミナを、その混練後に焼成し、次いで、かくして得られたペーストを押出ダイスに通過させて、0.4〜4mmの範囲の径の押出物を形成する。水素添加基は、混練時点に、部分的に(VIB族およびVIII族の金属の酸化物の組合せの場合)または全体的に導入できる。水素添加基は、VIII族から選択した金属の前駆体塩を含む溶液を使用して、少なくとも1つのシリカ・アルミナ(場合によっては、結合剤とともに成形したシリカ・アルミナ)からなる焼成担体上で1回または複数回のイオン交換操作によって導入できる。水素添加基は、更に、VIB族の金属(特に、モリブデンまたはタングステン)の酸化物の前駆体を担体混練時にあらかじめ導入した場合は、VIII族の金属(特に、コバルトおよびニッケル)の酸化物の前駆体の溶液による、成形、焼成した担体の1回または複数回の含浸操作によって導入できる。水素添加基は、更に、特に好ましくは、VI族および/またはVIII族の金属の酸化物の前駆体を含む溶液による、本発明に係るシリカ・アルミナおよび、場合によっては、少なくとも結合剤からなる焼成担体の1回または複数回の含浸操作によって導入できる。VIII族の金属の酸化物の前駆体は、VIB族の導入後またはVIB族と同時に導入するのが好ましい。
【0051】
担体に水溶液を含浸するのが好ましい。担体の含浸は、当業者に周知の、いわゆる“乾式”含浸法によって実施するのが好ましい。含浸は、最終の触媒の全構成要素を含む溶液によって1工程で実施できる。
【0052】
従って、本発明の触媒は、VIII族の少なくとも1つの元素(例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金)を含むことができる。VIII族の金属のうち、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、ルテニウムから形成されたグループから選択した金属を使用するのが好ましい。本発明に係る触媒は、更に、VIB族の少なくとも1つの元素(好ましくは、タングステンおよびモリブデン)を含むことができる。下記の金属組合せを使用するのが有利である:ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、鉄−モリブデン、鉄−タングステン、ニッケル−タングステン、コバルト−タングステン、白金−パラジウム。好ましい組合せは、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、コバルト−タングステンであり、更に、白金−パラジウムおよびニッケル−タングステンが有利である。更に、3つの金属の組合せ(例えば、ニッケル−コバルト−モリブデン、ニッケル−コバルト−タングステン)を使用することもできる。下記の金属組合せを使用するのが有利である:ニッケル−ニオビウム−モリブデン、コバルト−ニオビウム−モリブデン、鉄−ニオビウム−モリブデン、ニッケル−ニオビウム−タングステン、コバルト−ニオビウム−タングステン、鉄−ニオビウム−タングステン。好ましい組合せは、ニッケル−ニオビウム−モリブデン、コバルト−ニオビウム−モリブデンである。更に、4つの金属の組合せ(例えば、ニッケル−コバルト−ニオビウム−モリブデン)を使用することもできる。更に、貴金属を含む組合せ(例えば、ルテニウム−ニオビウム−モリブデンまたはルテニウム−ニッケル−ニオビウム−モリブデン)を使用することもできる。
【0053】
すべての調製レベルにおいて且つ当業者に公知のすべての技術に基づき、下記元素、即ち、ホウ素および/またはケイ素および/またはリンおよび、場合によっては、VIIB族およびVB族から選択した1つまたは複数の元素を触媒に導入できる。
【0054】
本発明に係る好ましい方法は、焼成したまたは未焼成の前駆体(好ましくは、焼成した前駆体)上に、選択した1つまたは複数のドーピング元素(例えば、ホウ素−ケイ素対)を被覆することからなる。このため、アルカリ媒体中で且つ過酸化水素の存在下で、少なくとも1つのホウ素塩(例えば、二ホウ酸アンモニウムまたは五ホウ酸アンモニウム)の水溶液を調製し、いわゆる乾式含浸を行い、例えば、ホウ素を含む溶液を前駆体の細孔容積に充填する。ケイ素も被覆する場合は、例えば、シリコーン・タイプのケイ素化合物の溶液またはシリコーンオイル・エマルジョンを使用する。
【0055】
ホウ素およびケイ素の被覆は、例えば、ホウ素塩およびシリコーン・タイプのケイ素化合物を含む溶液を使用して同時に実施することもできる。従って、例えば、前駆体がシリカ・アルミナ上に担持されたニッケル−タングステン・タイプの触媒である場合、二ホウ酸アンモニウム水溶液およびRhodia社のシリコーンRhodorsil E1Pで上記前駆体を含浸し、例えば、120℃において乾燥し、次いで、フッ化アンモニウム溶液で含浸し、例えば、120℃において乾燥し、次いで、好ましくは、流動床において空気中で、例えば、500℃において4時間、焼成する。
【0056】
ケイ素、ホウ素、リンおよびVIIB、VB族の元素から形成されたグループから選択したドーピング元素は、焼成した前駆体に過剰の溶液による1回または複数回の含浸操作によって導入できる。
【0057】
場合によって少なくとも1つのドーピング元素、即ち、Bおよび/またはPおよび/またはSiを導入した場合、その分布およびその位置は、Castaingのマイクロゾンデ(各元素の分布プロフィル)、触媒成分のX線解析と組合せた透過電子顕微鏡法などの技術によってまたは電子マイクロゾンデによる触媒中の元素の分布マップの作製によって求めることができる。この技術によって、本発明に係るシリカ・アルミナの合成後に添加された上記の外成元素の存在を確認できる。
【0058】
ホウ素源は、ホウ酸、好ましくは、オルトホウ酸HBO、二ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、酸化ホウ素、ホウ酸エステルであってよい。ホウ素は、例えば、ホウ酸と、過酸化水素、窒素を含む塩基性有機化合物(例えば、アンモニア、第1、第2アミン、環式アミン、ピリジンおよびキノリンのグループの化合物、ピロールグループの化合物)との混合物の形で導入できる。ホウ素は、例えば、水/アルコール混合物中のホウ酸溶液によって導入できる。
【0059】
好ましいリン源は、オルトリン酸HPOであるが、その塩およびエステル(例えば、リン酸アンモニウム)も適する。リンは、例えば、リン酸と窒素を含む塩基性有機化合物(例えば、アンモニア、第1、第2アミン、環式アミン、ピリジンおよびキノリンのグループの化合物、ピロールグループの化合物)との混合物の形で導入できる。
【0060】
多数のケイ素源を使用できる。即ち、オルトケイ酸エチルSi(OEt)、シロキサン、ポリシロキサン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、ハロゲン化シリケート(例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFまたはフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFを使用できる。シリコモリブデン酸、その塩、シリコタングステン酸、その塩は、同じく、有利に使用できる。ケイ素は、例えば、水/アルコール混合物に溶解したケイ酸エチルの含浸によって添加できる。ケイ素は、例えば、水に懸濁させたシリコーン・タイプの化合物またはケイ酸の含浸によって添加できる。
【0061】
本発明の触媒のVIB族およびVIII族の金属は、全体的にまたは部分的に、金属および/または酸化物および/または硫化物の形であってよい。
【0062】
例えば、モリブデン源およびタングステン源のうち、酸化物、水酸化物、モリブデン酸、タングステン酸、これらの塩、特に、アンモニウム塩(例えば、モリブデン酸アンモニウム、六モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム)、ホスホモリブデン酸、ホスホタングステン酸、これらの塩、シリコモリブデン酸、シリコタングステン酸およびこれらの塩を使用できる。
【0063】
使用できるVIII族の元素源は、当業者に良く知られている。例えば、非貴金属について、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物(例えば、塩化物、ホウ化物およびフッ化物)、カルボキシレート(例えば、酢酸塩および炭酸塩)を使用する。貴金属について、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、硝酸塩、酸(例えば、クロロ白金酸)、オキシ塩化物(例えば、ルテニウムのアンモニア性オキシ塩化物)を使用する。
【0064】
含浸時に導入されるハロゲン以外のハロゲンは、加えないのが好ましい。このハロゲンは、塩素が好ましい。
【0065】
担体の特性
かくして得られる触媒は、下記の特徴を有する担体から、当業者に周知のすべての技術によって調製される:
−シリカ(SiO)の含量は、5重量%よりも多く、95重量%以下であり、好ましくは、シリカ(SiO)の含量は、10〜80重量%の範囲にあり、好ましくは、シリカの含量は、20重量%よりも多く、80重量%よりも少なく、更に好ましくは、25重量%よりも多く、75重量%よりも少なく、有利には、シリカの含量は、10〜50重量%の範囲にあり、
−好ましくは、カチオン不純物含量は、0.1重量%よりも少なく、好ましくは、0.05重量%よりも少なく、更に好ましくは、0.025重量%よりも少ない。カチオン不純物含量とは、全アルカリ含量を意味する。
【0066】
−アニオン不純物含量は、1重量%よりも少なく、好ましくは、0.5重量%よりも少なく、更に好ましくは、0.1重量%よりも少ない。
【0067】
−水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、20〜140Åの範囲、好ましくは、40〜120Åの範囲、更に好ましくは、50〜100Åの範囲にある。
【0068】
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定したDmean−30Å(30Å以下の平均径)とDmean+30Å(30Å以上の平均径)との間にある容積V2の、同じく水銀細孔率測定法で測定した全細孔容積に対する比は、0.6よりも大きく、好ましくは、0.7よりも大きく、更に好ましくは、0.8よりも大きい。
【0069】
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.1ml/gよりも小さく、好ましくは、0.06ml/gよりも小さく、更に好ましくは、0.04ml/gよりも小さい。
【0070】
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定したDmean−15Å(15Å以下の平均径)とDmean+15Å(15Å以上の平均径)との間にある容積V5の、水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2に対する比は、0.6よりも大きく、好ましくは、0.7よりも大きく、更に好ましくは、0.8よりも大きい。
【0071】
−好ましくは、水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.2ml/gよりも小さく、好ましくは、0.1ml/gよりも小さく、更に好ましくは、0.05ml/gよりも小さい。
【0072】
−水銀細孔率測定法で測定した全細孔容積は、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲、好ましくは、0.20ml/g〜0.50ml/gの範囲にあり、更に好ましくは、0.20ml/gよりも大きい。
【0073】
−窒素細孔率測定法で測定した全細孔容積は、0.1ml/g〜0.6ml/gの範囲、好ましくは、0.20ml/g〜0.50ml/gの範囲にある。
【0074】
−BET比表面積は、100〜550m/gの範囲、好ましくは、150〜500m/gの範囲にある。
【0075】
−好ましくは、吸着表面積は、吸着表面積とBET表面積との比が、0.5よりも大きい、好ましくは、0.65よりも大きい、更に好ましくは、0.8よりも大きいよう定められている。
【0076】
−水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.1ml/gよりも小さく、好ましくは、0.05ml/gよりも小さく、更に好ましくは、0.03ml/gよりも小さい。
【0077】
−水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.1ml/gよりも小さく、好ましくは、0.05ml/gよりも小さく、更に好ましくは、0.025ml/gよりも小さい、
−水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.1ml/gよりも小さく、好ましくは、0.05ml/gよりも小さく、更に好ましくは、0.025ml/gよりも小さい、
−水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.01ml/gよりも小さい。
【0078】
−X線回折図は、α−,ρ−,χ−,κ−,η−,γ−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含み、好ましくは、γ−,η−,θ−,δ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むことを特徴とし、更に好ましくは、少なくとも、γ−,η−アルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むことを特徴とし、更に好ましくは、1.39〜1.40Åの範囲のピークaおよびdおよび1.97〜2.00Åの範囲のピークaおよびdを含むことを特徴とする。
【0079】
担体および触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜110ppmの間にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。本発明の担体および触媒について、AlVI八面体の割合が、50%よりも、好ましくは、60%よりも、更に好ましくは、70%よりも大きければ有利である。
【0080】
本発明の実施例に基づき、担体は、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比よりも大きいまたは小さいSi/Al比を有する少なくとも2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む。0.5に等しいSi/Al比を有する本発明に係る担体は、例えば、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含み、1つのゾーンは、METによって測定した0.5よりも小さいSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定した0.5〜2.5の範囲のSi/Al比を有する。
【0081】
本発明の他の実施例に基づき、担体は、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比に等しく2、3よりも小さいSi/Al比を有する唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む。
【0082】
本発明に係る担体の酸度は、本発明の枠を限定することなく、有利な態様で、ピリジンの熱脱着の連続IRによって測定できる。一般に、本発明に係る担体の上記のB/L比は、0.05〜1の範囲、好ましくは、0.05〜0.7の範囲、特に好ましくは、0.06〜0.3の範囲、更に好ましくは、0.075〜0.15の範囲にある。
【0083】
担体の調製
本出願人は、若干の工程において混合物から得られる、即ち、酸性媒体に部分的に可溶なアルミナ化合物と完全に可溶なシリカ化合物または完全に可溶なアルミナおよび水和シリカの組合せとの混合物を成形し、次いで、水熱処理または熱処理して、マイクロメータ尺度で、更には、ナノメータ尺度で均一化して得られるシリカ・アルミナ担体は、水素化分解方法において特に活性な触媒を得ることができることを発見した。酸性媒体に部分的な可溶性によって、完全に可溶なシリカ化合物または酸溶液(例えば、硝酸または硫酸)との組合せの完全な添加前にアルミナ化合物の接触がその部分的溶解を誘起すると考えられる。
【0084】
シリカ源
本発明に基づき使用するシリカ化合物は、ケイ酸、ケイ酸ゾル、水溶性ケイ酸アルカリ、ケイ素のカチオン塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム水和物、アンモニアの形またはアルカリの形のLudox(登録商標)、ケイ酸テトラアンモニウム)から形成されたグループから選択できる。シリカゾルは、当業者に周知の方法に基づき調製できる。脱カチオン・オルトケイ酸溶液は、樹脂イオン交換によって水溶性ケイ酸アルカリから調製するのが好ましい。
【0085】
完全可溶シリカ・アルミナ源
本発明に基づき使用する完全可溶のシリカ・アルミナ水和物は、制御された定常的操作条件(pH、濃度、温度、平均滞留時間)において、ケイ素を含む塩基性溶液(例えば、ケイ酸ナトリウムの形の溶液)と、選択的に、アルミニウムを含む塩基性溶液(例えば、アルミン酸ナトリウムの形の溶液)と少なくとも1つのアルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム)を含む酸性溶液との反応による真の共沈によって調製できる。場合によっては、反応媒体に、更に、少なくとも1つの炭酸塩またはCOを加えることができる。
【0086】
真の共沈によって、少なくとも1つの沈殿剤および/または共沈剤の存在下で、下記の塩基性または酸性媒体に完全に可溶な少なくとも1つのアルミニウム化合物、下記のケイ素化合物を、同時にまたは順次に接触させ、かくして、本質的にシリカ・アルミナ水和物からなり、場合によっては、内部撹拌、剪断、コロイド化粉砕またはこれらの単一操作の組合せによって均一化した混合相を得ることもできる。例えば、上記のシリカ・アルミナ水和物は、米国特許US2908635;US3423332,US3433747,US3451947,US3629152,US3650988の教示に基づき調製できる。
【0087】
シリカ化合物または組合せの完全な溶解は、下記の方法に基づき近似的に評定した。シリカ化合物またはその水和物組合せの一定量(15g)を所定pHの媒体中に導入する。サスペンジョン1リットル当りの固形物濃度は、0.2モル/lであるのが好ましい。分散溶液のpHは、少なくとも12であり、これは、アルカリ源の使用によって得られる。好ましくは、NaOHを使用するのが有利である。次いで、デフロキュレーション・タイプのタービン式撹拌機によって、800rpmで30分、機械的に、混合物を撹拌する。撹拌終了後、3000rpmで10分、混合物を遠心分離する。ケーキを上澄液から分離する。多孔度4、径19cmのフィルタで溶液を濾過する。次いで、乾燥し、次いで、2つのフラクションを1000℃において焼成する。傾瀉処理重量をサスペンジョン中の固形物重量で除して得られる比Rを定める。完全溶解とは、少なくとも0.9よりも大きい比Rを意味する。
【0088】
アルミナ源
本発明に基づき使用するアルミナ化合物は、酸性媒体に部分的に可溶である。アルミナ化合物は、全体的にまたは部分的に、一般式Al・nHOのアルミナ化合物のグループから選択する。特に、水和アルミナ化合物、例えば、ヒドラルギライト、ジプサイト、バイエライト、ベーマイト、疑似ベーマイト、非晶質なまたは本質的に非晶質なアルミナゲルを使用できる。更に、転移アルミナからなり、その結晶構造のオルガニゼーションによって本質的に区別されるρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−,δ−アルミナからなるグループに属する相の少なくとも1つを含む脱水形の上記化合物を使用できる。通常、コランダムと呼ばれるα−アルミナは、本発明に係る担体中に僅かな割合で組込み得るに過ぎない。
【0089】
この部分的溶解性は、本発明の所望の性質であり、この性質は、シリカの全体または一部を含む化合物の任意の添加前に、水和アルミナ粉体、水和アルミナ微粉、水和アルミナの分散液またはサスペンジョンまたはこれらの任意の組合せに適用される。
【0090】
アルミナ化合物の部分的溶解は、下記の方法に基づき近似的に評定した。粉体状態またはサスペンジョン状態のアルミナ化合物の正確な量を所定pHの媒体中に導入する。次いで、混合物を機械的に撹拌する。撹拌終了後、混合物を撹拌せずに24時間、放置する。サスペンジョン1リットル当りのAl固形物濃度は、0.5モル/lであるのが好ましい。分散溶液のpHは、2であり、HNOまたはHClまたはHClOの使用によって得られる。好ましくは、HNOを使用すれば有利できる。沈積フラクションおよび溶解フラクションの分布は、UV吸収によるアルミニウム定量によって追跡した。浮遊物は、限外濾過し(ポリエーテルスルホン膜、Millipore NMWL:30000)、高濃度酸中で消化させた。浮遊物中のアルミニウム量は、非沈積アルミナ化合物および溶解したアルミニウムに対応し、限外濾過フラクションは、溶解したアルミニウムのみに対応する。沈積粒子量は、(導入されたすべての固形物が分散されたことを考慮して)分散液中のアルミニウムの理論的濃度、実際に分散されたベーマイト量および溶液中のアルミニウムから演繹される。
【0091】
従って、本発明に基づき使用されるアルミナ前駆体は、真の共沈の場合に使用され酸性媒体に完全に溶解する前駆体、即ち、アルミナのカチオン塩(例えば、硝酸アルミニウム)とは区別される。本発明の部分をなす方法は、真の共沈とは区別される。なぜならば、元素の1つが、場合によっては、アルミニウム化合物が、部分的に溶解するからである。
【0092】
アルミナを使用する場合、一般式Al・nHOのすべてのアルミナ化合物を使用できる。その比表面積は、150〜600m/gの範囲にある。特に、水和アルミナ化合物、例えば、ヒドラルギライト、ジプサイト、バイエライト、ベーマイト、疑似ベーマイト、非晶質なまたは本質的に非晶質なアルミナゲルを使用できる。更に、転移アルミナからなり、その結晶構造のオーガニゼーションによって本質的に区別されるρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−,δ−,α−アルミナからなるグループに属する相の少なくとも1つを含む脱水形の上記化合物を使用できる。熱処理時、上記の各形態は、処理操作条件に依存する複雑な関連性に基づき、相互に転移できる。一般にコランダムと呼ばれるα−アルミナを、制限された割合で使用できる。
【0093】
より好ましい態様で使用されるアルミニウム水和物Al・nHOは、ベーマイト、疑似ベーマイト、非晶質なまたは本質的に非晶質なアルミナゲルである。上記材料の任意の組合せの混合物も使用できる。
【0094】
ベーマイトは、一般に、何れにせよ十分に定義される範囲で変化する水和度および形成度の材料の大きな連続体を実際に含む一般式Al・nHOのアルミニウム1水和物として記載されている。例として、2よりも大きいnを有する水和度の高いゼラチン状ベーマイト、nが1〜2の範囲にある疑似ベーマイトまたは微結晶ベーマイト、更に、結晶ベーマイト、nが1の近傍にある大きな結晶からなる結晶化の良好なベーマイトを挙げる。アルミニウム1水和物の形態は、著しく針状またはプリズム状のこれらの2つの形態の間の大きな範囲内で変化できる。これら2つの形態、即ち、鎖状、船形、交錯板状の間の可変の形態の全てを使用できる。
【0095】
アルミニウム水和物の調製および/または成形は、上記触媒の調製の第1工程を構成することになる。多数の特許が、アルミニウム1水和物から生じた転移アルミナをベースとする担体の調製および/または成形に関する。この種の特許を以下に示す:US3520654;US3630670;US3864461;US4154812;US4313923;DE3243193;US4371513。
【0096】
比較的高純度のアルミニウム1水和物は、非晶質粉体または結晶化粉体または非晶質部分を含む結晶化粉体の形で使用できる。アルミニウム1水和物は、更に、水性サスペンジョンまたは水性分散液の形で導入できる。本発明に基づき使用するアルミニウム1水和物の水性サスペンジョンまたは水性分散液は、ゲル化可能または凝固可能である。水性サスペンジョンまたは水性分散液は、更に、当業者に周知の如く、水中または酸性水中のアルミニウム1水和物のペプチゼーションによって得ることができる。
【0097】
アルミニウム1水和物の分散液は、当業者に周知のすべての方法によって、即ち、バッチ反応器、連続混合機、混練機、コロイド化粉砕機によって、調製できる。このような混合は、更に、ピストン押出形反応器において、特に、静的混合機において実施できる。Lightnin反応器を挙げることができる。
【0098】
更に、アルミナ源として、分散度を改善できる処理をあらかじめ実施したアルミナを使用できる。例えば、予備均一化処理によってアルミナ源の分散を改善できる。均一化法として、以下の説明に記載の均一化処理の少なくとも1つを利用できる。
【0099】
使用可能なアルミナ水性分散液または水性サスペンジョンは、特に、コロイド領域のサイズの粒子からなる微細なまたは超微細なベーマイトの水性分散液または水性サスペンジョンである。
【0100】
本発明に基づき使用する微細なまたは超微細なベーマイトは、特に、フランス特許FR−1261182およびFR−1381282またはヨーロッパ特許出願EP15196に基づき得ることができる。
【0101】
更に、疑似ベーマイト、非晶質アルミナゲル、水酸化アルミニウムゲルまたは超微細ヒドラルギライトから得られた水性サスペンジョンまたは水性分散液を使用できる。
【0102】
アルミニウム1水和物は、多様な市販のアルミナ源(例えば、特に、SASOL社から市販されているPURAL(登録商標)、CATAPAL(登録商標)、DISPERAL(登録商標)、DISPAL(登録商標)またはALCOAから市販されているHIQ(登録商標))から購入でき、あるいは、当業者に周知の如く、アルミニウム1水和物は、通常の方法によるアルミニウム3水和物の部分的脱水によって調製でき、あるいは、アルミニウム1水和物は、沈殿によって調製できる。上記アルミナがゲルの形である場合、ゲルを水または酸性水によって解こうする。沈殿の場合、酸源は、例えば、下記化合物の少なくとも1つから選択できる:塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム。塩基性アルミニウム源は、塩基性アルミニウム源(例えば、アルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウム)から選択できる。
【0103】
沈殿剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、苛性カリおよびアンモニアを使用できる。沈殿剤は、本発明に係るアルミナ源の如き材料から選択され、これら沈殿剤は、一緒に沈殿する。
【0104】
アルミニウム・ベースの出発化合物の酸性または塩基性の性質に基づき、例えば、塩化水素酸、硫酸、ソーダから選択した酸または塩基によってまたは上記の如き塩基性または酸性アルミニウム化合物によって、アルミニウム水和物を沈殿させる。2つの試薬は、硫酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウムであってよい。硫酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウムを使用するα−アルミニウム1水和物の調製の例として、特に、US4154812を参照できる。
【0105】
疑似ベーマイトは、特に、米国特許US3630670に記載の方法に基づき、アルミン酸アルカリ水溶液と無機酸溶液との反応によって調製できる。疑似ベーマイトは、フランス特許FR1357830に記載の如く調製できる。
【0106】
非晶質アルミナゲルは、特に、報告“Alcoa paper no.19(1972)p9〜12”に記載の方法に基づき、特に、アルミン酸の反応によってまたはアルミニウムアルコラートまたはアルミニウム塩の反応によってまたはアルミニウムアルコラートの加水分解によってまたは塩基性アルミニウム塩の加水分解によって調製できる。
【0107】
水酸化アルミニウムゲルは、特に、米国特許US3245919およびUS3268295に記載の方法に基づき調製した水酸化アルミニウムゲルであってよい。
【0108】
水酸化アルミニウムゲルは、特に、特許WO00/01617に記載の方法に基づき、酸性アルミニウム源と塩基との混合によってまたは塩基性アルミニウム源と酸との混合によってアルミニウム1水和物を沈殿させて調製される水酸化アルミニウムゲルであってよい。この方法は、下記の工程:
2.熟成
3.濾過
4.洗浄、および、
5.乾燥、
を含み、
第1工程の混合を再混合(レトロミックス)なく実施することを特徴とする。
【0109】
超微細ヒドラルギライトは、特に、特許US1371808に記載の方法に基づき、分子Alと考えられるアルミナに比して0.1の1価酸イオンを含むケーキの形のアルミナゲルを室温と60℃との間の範囲の温度において変化させることによって調製できる。
【0110】
更に、アルミン酸アルカリを無水カルボン酸と反応させてヒドロキシカルボン酸アルミニウムの非晶質沈殿物を形成し、濾過によって沈殿物を分離し、次いで、沈殿物を洗浄する形式の方法(この方法は、特に、米国特許US3268295に記載されている)に基づき調製した超微細なベーマイトまたは疑似ベーマイトの水性分散液を使用できる。
【0111】
次いで、
a)第1工程において、非晶質のヒドロキシカルボン酸アルミニウムの洗浄した沈殿物を酸溶液、塩基溶液または塩またはこれらの混合物と混合する;この混合は、ヒドロキシカルボン酸に溶液を注入することによって行い、かくして構成された媒体のpHは、11よりも低い。
【0112】
b)第2工程において、かくして構成された媒体を90℃よりも低い温度に少なくとも5分にわたって加熱する。
【0113】
c)第3工程において、第2工程から生じた媒体を90℃〜250℃の範囲の温度に加熱する。
【0114】
この方法に基づき得られたベーマイトおよび疑似ベーマイトの分散液またはサスペンジョンは、アルカリ金属酸化物/Al・重量比の形で表現して0.005%よりも少ないアルカリ含量を有する。
【0115】
極めて高純度の触媒担体を製造したい場合は、上記の方法に基づき得られた超微細なベーマイトまたは疑似ベーマイトのサスペンジョンまたは分散液、あるいは、米国特許US2892858に記載のタイプの方法に基づきアルミニウムアルコラートの加水分解から調製した水酸化アルミニウムゲルを使用するのが好ましい。
【0116】
総括して、アルミニウムアルコラートまたはアルコキシドの加水分解によるアルコール製造(チーグラー合成)の副生物として得られるベーマイトタイプのこの種の水酸化アルミニウムゲルを生ずる製造法について説明する。このチーグラー・アルコール合成反応は、特に、米国特許US2892858に記載されている。この方法に基づき、まず、アルミニウム、水素およびエチレンからトリエチルアルミニウムを調製する。反応は、トリエチルアルミニウムの部分的リサイクルによる2工程で行われる。
【0117】
重合工程においてエチレンを加え、次いで、得られた生成物をアルミニウムアルコラートに酸化する。アルコールは、加水分解によって得られる。
【0118】
水酸化アルミニウムゲルは、米国特許US4676928−AおよびUS6030599に記載の方法に基づき調製されるゲルであってよい。
【0119】
チーグラー反応の副生物として得られる水和アルミナは、特に、CONOCO社の1971年1月19日付の社内報に記載されている。
【0120】
アルミナ源をなすアルミナ粒子のサイズは、広い範囲に変化できる。サイズは、一般に、1〜100ミクロンの範囲にある。
【0121】
方法
担体は、有利には、下記の方法の1つによって調製できる。
【0122】
例えば、本発明の部分をなすシリカ・アルミナの調製法の場合、水溶性ケイ酸アルカリから、イオン交換によって脱カチオンしたオルトケイ酸(HSiO、HO)を調製し、次いで、制御された操作条件において、アルミニウム陽イオン塩溶液(例えば、硝酸塩)およびアンモニアに同時に添加するか、あるいは、オルトケイ酸溶液をアルミニウム陽イオン塩溶液に添加し、均一生成物が得られるよう制御した操作条件において、得られた溶液をアンモニアによって共沈させる。このシリカ・アルミナ・ヒドロゲルをアルミニウム水和物の粉体またはサスペンジョンと混合する。濾過、洗浄、乾燥後、成形し、次いで、回転炉で、高温において、アルミナとシリカとの間の相互作用を促進するのに十分な時間にわたって、好ましくは、空気中で、少なくとも2時間焼成すれば、本発明の特徴に合致する担体が得られる。
【0123】
本発明に係るシリカ・アルミナの他の調製法の場合、上記の如くアルミニウム水和物を沈殿させ、濾過、洗浄し、次いで、オルトケイ酸水溶液と混合してサスペンジョンを形成し、強い撹拌および剪断作用によってサスペンジョンを密に均一化する。タービンUltraturraxまたはタービンStaroを使用でき、更に、コロイド化粉砕機(例えば、コロイド化粉砕機Staro)を使用できる。次いで、均一なサスペンジョンを、上記の如く、噴霧乾燥し、次いで、500〜1200℃にて少なくとも3時間、焼成する。本発明に係る方法において使用できるシリカ・アルミナ担体が得られる。
【0124】
本発明の部分をなす他の方法の場合、上記の如く、オルトケイ酸の脱カチオン溶液を調製し、次いで、アルミナ化合物(例えば、アルミニウム水和物の粉体または酸性サスペンジョン)に同時にまたは順次に添加する。最終のシリカ・アルミナ担体の細孔径の増大のため、場合によっては、少なくとも1つの塩基性化合物を反応媒体に添加できる。撹拌によってサスペンジョンを十分に均一化し、場合によっては、濾過によって材料含量(乾燥状態の量)を調整し、次いで、場合によっては、再均一化した後、生成物を乾燥し、同時にまたは順次に成形し、次いで、上記の如く、焼成する。
【0125】
本発明の部分をなす他の方法の場合、アルミナ(例えば、アルミニウム1水和物)の水性サスペンジョンまたは分散液を調製し、次いで、シリカ化合物(例えば、ケイ酸ナトリウム)に同時にまたは順次に添加する。最終のシリカ・アルミナ担体の細孔径の増大のため、場合によっては、少なくとも1つの塩基性化合物を反応媒体に添加できる。濾過、洗浄(場合によっては、残存ナトリウムをイオン交換で抽出するためアンモニア溶液による洗浄)、乾燥、同時のまたは順次の成形によって、担体が得られる。乾燥、成形し、上記の如く焼成した後、本発明の特徴に合致する担体が得られる。本発明に係るシリカ・アルミナ担体の良好な均一化の達成のため、使用するアルミナ粒子のサイズは、1〜100ミクロンの範囲にあれば好ましい。
【0126】
シリカ・アルミナの中間細孔の径を増大するため、米国特許US4066574の教示の如く、アルミナ(例えば、アルミニウム1水和物)の水性サスペンジョンまたは分散液を調製し、次いで、塩基性溶液(例えば、アンモニア)によって中和し、次いで、シリカ化合物(例えば、オルトケイ酸の脱カチオン溶液)に同時にまたは順次に添加する。強い撹拌によってサスペンジョンを十分に均一化し、場合によっては、濾過によって材料含量(乾燥状態の重量)を調整し、次いで、場合によっては、再均一化した後、生成物を乾燥し、同時にまたは順次に成形し、次いで、上記の如く、焼成する。この方法も、本発明に基づき使用する方法の部分をなす。
【0127】
上記方法の説明に基づき、溶液中において固形物フラクション(例えば、サスペンジョン、粉体、濾過した沈殿物)を含む生成物の沈殿の減少のため、均一化を行い、次いで、強い撹拌によって分散させる。分散液の均一化は、当業者に良く知られた方法である。当該の均一化は、例えば、バッチ反応器、連続混合機、混練機において、当業者に周知のすべての方法によって実施できる。このような混合は、特に、ピストン押出形反応器において、特に、静的反応器において実施できる。Lightnin反応器を挙げることができる。タービンUltraturrax(登録商標)またはタービンStaro(登録商標)または、更に、コロイド化粉砕機(例えば、コロイド化粉砕機Staro)を使用できる。市販のコロイド化粉砕機IKA(登録商標)も使用できる。
【0128】
上記のすべての方法において、場合によっては、任意の調製工程の間に、ジルコンおよびチタンから形成されたグループから選択した少なくとも1つの安定化元素を僅かな割合で添加するのが望ましい。安定化元素は、可溶な塩の形で添加するのが好ましい。
【0129】
担体および触媒の成形
担体は、当業者に周知のすべての技術によってシリカ・アルミナの成形によって得ることができる。成形は、例えば、押出によって、塊状化によって、滴状凝固法(オイル・ドロップ)によって、回転板における顆粒化によってまたは当業者に良く知られている他の方法によって実施できる。
【0130】
成形は、更に、触媒の各成分存在の下で、得られた無機混練体の押出、塊状化、顆粒製造装置またはドラムにおける球体成形、滴状凝固、オイル・ドロップ、オイル・アップまたはアルミナおよび場合によっては下記のグループから選択した他の成分を含む粉体の他の公知の塊状化法によって実施できる。
【0131】
本発明に基づき使用される触媒は、球体または押出物の形状を有する。触媒は、0.5〜5mm(好ましくは、0.7〜2.5mm)の範囲の径の押出物の形状であれば有利である。形状は、円筒形(中空または中実であってよい)、ラセン円筒形、多葉形(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つの葉)、環形である。円筒形を使用するのが好ましいが、他のすべての形状も使用できる。
【0132】
更に、本発明に基づき使用される上記担体は、当業者に良く知られている如く、成形の容易化および/またはシリカ・アルミナ担体の最終の機械的性質の改善のため、添加物によって処理できる。添加物の例として、特に、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、タール油、キサンチンゴム、界面活性剤、凝集剤(例えば、ポリアクリルアミド)、カーボンブラック、アミドン、ステアリン酸、ポリアクリルアルコール、ポリビニルアルコール、バイオポリマー、グルコース、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
【0133】
本発明の担体の特徴的な細孔率の調節は、担体粒子の上記成形工程において部分的に行う。
【0134】
成形は、当業者に周知の触媒成形技術(例えば、押出、顆粒成形、噴霧乾燥または塊状化)を使用することによって実施できる。
【0135】
押出すべき混練体の粘度の調節のため、水の添加または抜出を行うことができる。
【0136】
押出可能なよう、押出すべきの固形材料含量を調節するため、更に、大半が固形物である化合物、好ましくは、酸化物および水和物を加えることができる。水和物を使用するのが好ましく、アルミニウム水和物を使用すれば更に好ましい。上記水和物の強熱ロスは、15%よりも大きい。
【0137】
成形前の混合物に加える酸量は、合成に関与するシリカ無水物およびアルミナの30重量%よりも少なく、0.5〜20重量%の範囲にあれば好ましい。
【0138】
押出は、市販の通常の任意の工具によって実施できる。混練から得られたケーキを、例えば、ピストンまたは押出単一ネジまたはダブルネジによって、ダイスを介して押出す。この押出工程は、当業者に周知のすべての方法によって実施できる。
【0139】
本発明に係る担体の押出物は、一般に、少なくとも70N/cmの、好ましくは、100N/cm以上の剪断強度を有する。
【0140】
担体の焼成
乾燥は、当業者に周知のすべての技術によって実施する。
【0141】
本発明の担体を得るため、酸素分子の存在下で、例えば、空気掃過(sweep)を実施して、1100℃以下の温度において焼成を行うのが好ましい。調製工程の任意の1つの工程の後に、少なくとも1回の焼成を実施できる。この処理は、例えば、流動床においてまたは静的雰囲気において実施できる。例えば、使用する炉は、回転炉であってよく、あるいは、半径方向横断層を有する立型炉であってよい。焼成条件、即ち、温度および時間は、基本的に、触媒の最高使用温度に依存する。好ましい焼成条件は、200℃における1時間以上の焼成から1100℃における少なくとも1時間の焼成の範囲にある。焼成は、水蒸気の存在下で操作できる。最終焼成は、場合によっては、酸性または塩基性蒸気の存在下で実施できる。例えば、焼成は、アンモニア分圧下で実施できる。
【0142】
合成後の処理
合成後の処理は、担体の性質、特に、上記の如く定義した担体均一度が改善されるよう、実施できる。
【0143】
本発明に基づき、場合によっては、更に、閉じた雰囲気において、担体を水熱処理できる。閉じた雰囲気における水熱処理とは、水の存在下および大気温度よりも高い温度におけるオートクレーブ内の滞留処理を意味する。
【0144】
水熱処理中、成形されたシリカ・アルミナを多様な態様で処理できる。即ち、オートクレーブ内処理に先立って、シリカ・アルミナに酸を含浸する。シリカ・アルミナのオートクレーブ処理は、蒸気相または液相中で行う。オートクレーブの上記蒸気相または液相は、酸性または非酸性であってよい。オートクレーブ処理に先立つこの含浸は、酸性または非酸性であってよい。オートクレーブ処理に先立つこの含浸は、乾式でまたは酸水溶液にシリカ・アルミナを浸漬することによって実施できる。乾式含浸とは、処理したアルミナの全細孔容積以下の溶液容積とアルミナとの接触を意味する。含浸は乾式で行うのが好ましい。
【0145】
オートクレーブが、特許出願EP−A−0387109に記載の如き回転バスケット形オートクレーブであれば好ましい。
【0146】
オートクレーブ処理中の温度は、30分〜3時間の範囲の期間において、100−250℃の範囲であってよい。
【0147】
水素化分解法
本発明は、本発明に係る水素化分解触媒を水素化分解法に関する。この方法は、穏やかな水素化分解から高圧の水素化分解までの圧力領域および転化領域をカバーする。穏やかな水素化分解とは、概ね、2MPa〜6MPaの範囲の低圧で機能し、概ね、40%よりも低い中程度の転化を生ずる水素化分解を意味する。一般に、本発明に係る触媒は、炭化水素フラクションの処理に使用される。本発明に係る触媒は、炭化水素フラクションの水素化分解および/または水素化転化に使用するのが有利である。
【0148】
本発明に係る触媒は、1つまたは複数の反応器の固定床からなる1つまたは複数の触媒床において、いわゆる、1工程の水素化分解方式の場合、場合によっては、未転化の反応液のリサイクルを行って、単独に、場合によっては、本発明の触媒の上流に設けた水素化分解触媒と組合せて使用できる。
【0149】
本発明の触媒は、沸騰床からなる1つまたは複数の触媒床において、いわゆる、1工程の水素化分解方式の場合、場合によっては、未転化の反応液のリサイクルを行って、単独に、場合によっては、本発明の触媒の上流に設けた水素化分解触媒と組合せて使用できる。
【0150】
沸騰床は、安定な触媒活性の保持のために、毎日、消耗した触媒を引出し且つ新しい触媒を追加して、操作する。
【0151】
2つの反応ゾーンを中間的に分離した、いわゆる、2工程の水素化分解方式の場合、所与の1つの工程において、本発明の触媒を、1つまたは2つの反応器内で、場合によっては、本発明の触媒の上流に設けた水素化分解触媒と組合せて、使用できる。
【0152】
いわゆる1工程法
いわゆる1工程の水素化分解の場合、一般に、まず、触媒がゼオライトを含む場合には特に、本来の水素化分解触媒上に原料を装入する前に、原料の強力な水素化脱窒および脱硫の実現を意図して水素化精製を行う。原料の強力なこの水素化精製は、より僅かなフラクションで原料の限られた不十分な転化(conversion)を行うに過ぎず、従って、より活性の水素化分解触媒で転化を完全化する必要がある。しかしながら、ここで付言するが、2つのタイプの触媒の間では分離は全く行わない。反応器出口の全排出液は、本来の水素化分解触媒上に注入され、次いで、始めて、形成された生成物の分離が行われる。水素化分解のこのバージョンは、“Once Through(単流操作)”と呼ばれ、原料のより強力な転化のため反応器への未転化フラクションのリサイクルを行う方式を有する。
【0153】
(実施態様:固定床における、いわゆる、1工程法)
シリカ含量の少ない触媒の場合、触媒の組成の一部をなす担体のシリカ含量は、5〜30重量%(好ましくは、5〜20重量%)の範囲にある。シリカ含量の多い触媒の場合、触媒の組成の一部をなす担体のシリカ含量は、20〜80重量%(好ましくは、30〜60重量%)の範囲にある。
【0154】
水素化分解ゼオライト触媒(例えば、ゼオライトY・ベース触媒)の上流において本発明に係る触媒を使用する場合、上記の如く低シリカ含量を有する触媒を使用するのが有利である。更に、この触媒は、水素化精製触媒と組合せて使用するのが有利であり、この場合、水素化精製触媒は、本発明の触媒の上流に設ける。
【0155】
別個の触媒床または別個の反応器のシリカ・アルミナ・ベースまたはゼオライト・ベースの水素化分解触媒の上流に本発明に係る触媒を使用した場合、転化は、一般に(または好ましくは)、50重量%(好ましくは、40重量%)よりも低い。
【0156】
(実施態様:沸騰床における、いわゆる、1工程法)
本発明に係る触媒は、1つの反応器においてのみまたは複数の反応器において使用する。
【0157】
このような方法の枠内において、有利には、複数の直列の反応器を使用できまたは固定床または沸騰床に少なくとも1つの水素化精製触媒を含む1つまたは複数の反応器に先行する本発明に係る触媒を含む沸騰床からなる1つまたは複数の反応器を使用できる。
【0158】
水素化精製触媒の下流に本発明に係る触媒を使用した場合、上記水素化精製触媒によって惹起された原料フラクションの転化は、一般に(または好ましくは)、30重量%(好ましくは、25重量%)よりも低い。
【0159】
(実施態様:熱フラッシュによる固定床における、いわゆる、1工程法)
更に、本発明に係る触媒は、水素化精製ゾーン、例えば、熱フラッシュによって、アンモニアを部分的に除去できるゾーンおよび水素化分解触媒を含むゾーンを含む、いわゆる、1工程の水素化分解法において使用できる。中間蒸留物および場合によるベースオイルの生成のための1つの工程における炭化水素原料のこの水素化分解法は、水素化精製を含む少なくとも1つの第1反応ゾーンと、第1反応ゾーンから出た排出液の少なくとも一部を水素化分解する少なくとも1つの第2反応ゾーンとを含む。この方法は、更に、第1ゾーンから出た排出液のアンモニアの不完全な分離を含む。この分離は、中間の熱フラッシュによって実施するのが有利である。第2反応ゾーンにおいて行われる水素化分解は、原料中に存在する窒素量よりも少ない、好ましくは、1500ppmよりも少ない、より好ましくは、1000ppmよりも少ない、更により好ましくは、800ppmよりも少ない量のアンモニアの存在下で実施する。本発明の触媒は、場合によっては、本発明の触媒の上流に設けた水素化精製触媒と組合せて、水素化分解反応ゾーンにおいて使用するのが好ましい。
【0160】
本発明に係る触媒は、転化前処理の第1反応ゾーンにおいて単独にまたは従来の水素化精製触媒と組合せて使用でき、1つまたは複数の触媒床において使用でき、1つまたは複数の反応器において使用できる。
【0161】
(実施態様:低酸度触媒における前水素化精製を伴う、いわゆる、1工程の水素化分解法)
本発明に係る触媒は、下記を含む水素化分解法において使用できる:
−標準活性テストにおいて10重量%よりも低いメチルシクロヘキサン転化率を有する少なくとも1つの水素化精製触媒と原料を接触させる第1水素化精製反応ゾーン。
【0162】
−標準活性テストにおいて10重量%よりも高いメチルシクロヘキサン転化率を有する本発明に係る少なくとも1つの非ゼオライト水素化分解触媒と水素化精製工程から来る排出液の少なくとも一部を接触させる第2水素化分解反応ゾーン。
【0163】
水素化精製触媒の触媒容積の割合は、全触媒容積の20〜45%をなす。
【0164】
第1反応ゾーンから来る排出液は、その少なくとも一部が、好ましくは、全体が、上記方法の第2反応ゾーンに導入される。ガスの中間的分離を実施できる。
【0165】
第2反応ゾーンから来る排出液に対して、ガス分離のため、(例えば、真空蒸留または、場合による、大気圧蒸留によって)最終分離処理を行う。本質的に、概ね340℃よりも高い沸点を有する生成物を含む少なくとも1つの残存液フラクションが得られる。この場合、上記生成物の少なくとも一部は、中間蒸留物の生成を意図して、本発明に係る方法の第2反応ゾーンの上流に、好ましくは、シリカ・アルミナ・ベースの水素化分解触媒の上流にリサイクルされる。
【0166】
340℃よりも低いまたは更に370℃よりも低い沸点を有する生成物の転化率は、少なくとも50重量%である。
【0167】
標準活性テストは、下記の操作条件におけるメチルシクロヘキサン転化時の触媒の活性を測定することを目的とする。
【0168】
アニリン0.5重量%と二硫化ジメチル1.5重量%とメチルシクロヘキサン98重量%とを含む、いわゆる、反応混合物によって、圧力60bar、350℃において、4時間、触媒をあらかじめ硫化する。次いで、同一の反応流量において、下記操作条件、即ち、60barの圧力、1h−1の空間速度VVh、水素1000Nl/反応液混合物l(Nl=標準状態のリットル)の水素/反応混合物・比において、380℃の反応温度に漸次的に昇温する。
【0169】
上記の操作条件において、触媒が、10重量%よりも低い、好ましくは、5重量%よりも低いメチルシクロヘキサン転化率を結果する場合、この触媒は、低酸度を有すると考えられる。
【0170】
試薬メチルシクロヘキサンの転化は、メチルシクロヘキサンから炭素原子数が7の異性体(例えば、ジメチルシクロヘキサン)、開環生成物および分解生成物への転化として定義される。従って、定義の如きメチルシクロヘキサンの転化は、メチルシクロヘキサンのすべての各生成物を考慮する。上記生成物のすべてを得るには、触媒に何れにせよ強い酸基の存在が必要である。
【0171】
(実施例:いわゆる、2工程法)
2工程の水素化分解は、“1工程”法の場合と同様、原料の水素化精製の実現を目的とするが、概ね40〜60%の原料転化の達成を目的とする第1工程を含む。次いで、第1工程から来る排出液に対して、未転化フラクションから転化生成物を分離することを目的とする、概ね、中間分離とよばれる(蒸留)分離処理を行う。2工程の水素化分解法の第2工程において、第1工程時の未転化原料フラクションのみを処理する。2工程水素化分解法において、この分離は、1工程法の場合よりも高度に中間蒸留物(ケロシン+ディーゼル)に対して選択的である。実際、転化生成物の中間分離によって、水素化分解触媒による第2工程においてナフサおよびガスへの“過分解”が避けられる。更に、付言するが、第2工程で処理した原料の未転化フラクションは、一般に、極めて少量のNHおよび一般に20ppm(重量)以下の、更には、10ppm(重量)以下の有機窒素化合物を含む。
【0172】
いわゆる、2工程方式の第1工程に、固定床または沸騰床からなる同一構造の触媒床を使用でき、この場合、触媒は、単独でまたは従来の水素化精製触媒とともに使用される。
【0173】
いわゆる、1工程法について且つ2工程水素化分解法の第1工程について、本発明に係る好ましい触媒は、VIII族の非貴金属元素ベースの触媒、更に好ましくは、ニッケル・ベース触媒およびタングステン・ベース触媒である。
【0174】
2工程の水素化分解法の第2工程において使用される触媒は、VIII族の貴金属元素をベースとする触媒であれば好ましく、白金・ベース触媒および/またはパラジウム・ベース触媒であれば更に好ましい。
【0175】
本発明に係る上記の水素化分解法によって、極めて多様な装入原料を処理でき、この種の装入原料は、一般に、340℃以下で沸騰する、少なくとも20容量%、概ね、80容量%の化合物を含む。
【0176】
装入原料は、LCO(light cycle oil)、大気圧蒸留物、真空蒸留物(例えば、原油の直接蒸留または転化ユニット(転化装置)(例えば、FCC、コーカーまたはビスブレーキング)から来るガスオイル)および潤滑油ベースの芳香族抽出ユニットから来るまたは潤滑油ベースの溶媒脱ろうから来る成分またはRAT(大気圧蒸留残渣)および/またはRSV(真空下蒸留残渣)および/または脱ろうオイルの固定床または沸騰床における脱硫法または水素化転化法から生ずる蒸留物であってよく、更に、原料は、脱ろうオイルまたは上記装入原料の混合物であってよい。上記のリストは、限定されるものではない。Fischer−Tropsch法から得られるパラフィンは、除外される。一般に、装入原料は、340℃よりも高い、更には、370℃よりも高い沸点を有し、即ち、装入原料中の化合物の95%は、340℃よりも高い、更には、370℃よりも高い沸点を有する。
【0177】
本発明において処理する装入原料の窒素含量は、通常、500ppmよりも多く、好ましくは、500〜5000ppmの範囲にあり、より好ましくは、700〜4000ppmの範囲にあり、更に好ましくは、1000〜4000ppmの範囲にあり、硫黄含量は、0.01〜5%の範囲にあり、一般に、0.2〜4%の範囲にある。
【0178】
本発明に係る方式で処理する装入原料のニッケルおよびバナジウムの合計含量は、1ppm(重量)よりも低いのが好ましい。
【0179】
装入原料装入に先立って、本発明に係る方法において使用する触媒に対して、被処理装入原料との接触前に金属種を硫化物に転化できる硫化処理を行う。硫化によるこの活性化処理は、当業者に周知であり、文献に既に記載のすべての方法によってインシトゥ(in situ)でまたはエクスシトゥ(ex situ)で実施できる。
【0180】
当業者に良く知られている硫化法の場合、一般に、流動床反応ゾーンにおいて、純硫化水素の存在下(または水素/硫化水素混合物流下)で150〜800℃の範囲、好ましくは、250〜600℃の範囲の温度に加熱する。
【0181】
水素化分解の操作条件(例えば、温度、圧力、水素のリサイクル速度、空間速度)は、
装入原料の性質、所望生成物の量および精製設備に依存して大きく変更できる。水素化分解触媒は、水素の存在下で、200℃よりも高い温度、概ね、250〜480℃の範囲の温度、有利には、320〜450℃の範囲の温度、好ましくは、330〜435℃の範囲の温度、1MPaよりも高い圧力、概ね、2〜25MPaの範囲の圧力、好ましくは、3〜20MPaの範囲の圧力、0.1〜20h−1の範囲の空間速度、好ましくは、0.1〜6h−1の範囲の空間速度、好ましくは、0.2〜3h−1の範囲の空間速度において、上記装入原料と接触され、水素導入量は、水素(リットル)/炭化水素(リットル)・容積比が80〜5000リットル/リットルの範囲、概ね、100〜2000リットル/リットルの範囲にあるよう、定める。
【0182】
本発明に係る方法において使用される上記操作条件は、340℃よりも低い、好ましくは、370℃よりも低い沸点を有する生成物への15%よりも大きい、更に好ましくは、20〜95%の範囲の1パス転化率を達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0183】
以下の実施例は、本発明を非限定的に説明するものである。
【0184】
(実施例1:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA1)の調製および成形)
当業者に周知の任意の技術によって調製しケイ酸ナトリウム溶液を加えた完全に可溶なシリカ・アルミナから本発明に係るシリカ・アルミナSA1を調製した。操作態様を以下に示す:第1工程において30%硫酸をケイ酸ナトリウム溶液に加えた。HSOの量は、一定の中和率で作業できるよう、定めた。添加は、600rpmの撹拌下で2分で行った。合成温度は、60℃とした。熟成時間は、30分に固定した。撹拌は、600rpmに維持し、温度は、先行工程の温度とした。次いで、Al(SO(500ml)を加えた。濃度は、所望のアルミナ含量によって定めた。pHは、調節せず、所望のアルミナ含量によって定めた。添加は、10分で行った。撹拌は、常に、600rpmに定め、温度は、先行工程の温度とした。次いで、アンモニアを加えた。得られたゲルを移動して濾過した。洗浄は、60℃において、ゲルに含まれる固形物1kg当り3kgの水で行った。次いで、60℃において、ゲル中に含まれる固形物1kg当り1.5リットルの硝酸アルミニウムNHNO(138.5g/リットル)による交換を実施した。更に、移動して、ゲルに含まれる固形物1kg当り3kgの水で補足洗浄を行った。この工程から来るゲルをベーマイトPuralの粉体と混合して、この合成段階において、50%Al−50%SiOに等しい無水生成物からなる混成担体の最終組成を得た。混練は、Z形アーム混練機で行った。押出は、径1.4mmの開口を備えたダイスに混練体を通過させることによって行った。かくして得られた押出物を、150℃において乾燥し、550℃において焼成し、次いで、水蒸気の存在下で700℃において焼成した。
【0185】
担体の特徴を以下に示す:
担体の組成は、50.12%Al−49.88%SiOである。
【0186】
BET比表面積は、254m/gである。
【0187】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.43ml/gである。
【0188】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、65Åである。
【0189】
水銀細孔測定法計で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.91である。
【0190】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径に含まれる容積V3は、0.03ml/gである。
【0191】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径に含まれる容積V6は、0.047ml/gである。
【0192】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.76である。
【0193】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.015ml/gである。
【0194】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.013ml/gである。
【0195】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.011ml/gである。
【0196】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0197】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0198】
担体の比B/Lは、0.12である。
【0199】
触媒のタッピング充填密度は、1.05g/cmである。
【0200】
ナトリウム原子の含量は、310±20ppmである。硫黄原子の含量は、1600ppmである。触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜110ppmの間にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、67%である。
【0201】
触媒は、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含み、上記ゾーンは、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比よりも大きいまたは小さいSi/Al比を有する。1つのゾーンは、METによって測定した0.7のSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定した0.98のSi/Al比を有する。
【0202】
(実施例2:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA2)の調製)
乾燥、焼成した押出物の形の担体SA1から、B.Beguin,E.Garbowski,M.Primetが“Journal of Catalysis”,p595,volume127,1991に発表した方法に基づき、TEOS(テトラエトキシシラン)の含浸によって、担体SA2を調製した。次いで、含浸ずみ押出物を、120℃において15時間、乾燥し、乾燥空気流下で530℃において2時間、焼成し、次いで、好ましくは、水蒸気下で700℃において焼成した。
【0203】
かくして得られた試料をSA2と命名する。
【0204】
かくして得られた押出物を150℃において乾燥し、次いで、550℃において焼成した。
【0205】
担体SA2の特徴を以下に示す:
担体の組成は、47.7%Al−52.3%SiOである。
【0206】
BET比表面積は、282m/gである。
【0207】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.41ml/gである。
【0208】
水銀細孔率計で測定した平均細孔径は、59Åである。
【0209】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.90である。
【0210】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径に含まれる容積V3は、0.035ml/gである。
【0211】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径に含まれる容積V6は、0.04ml/gである。
【0212】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.75である。
【0213】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.011ml/gである。
【0214】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.01ml/gである。
【0215】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.009ml/gである。
【0216】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0217】
担体の比B/Lは、0.13である。
【0218】
触媒のタッピング充填密度は、1.07g/cmである。
【0219】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0220】
ナトリウム原子の含量は、300±20ppmである。硫黄原子の含量は、1500ppmである。触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの間にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、67%である。
【0221】
触媒は、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含み、上記ゾーンは、蛍光X線によって測定したグローバルなSi/Al比よりも大きいまたは小さいSi/Al比を有する。1つのゾーンは、METによって測定した0.72のSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定した0.99のSi/Al比を有する。
【0222】
(実施例3:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA3)の調製および成形)
特許US3124418の教示に基づきアルミナ水和物を調製した。濾過後、新たに調製した沈殿物を、脱カチオン樹脂による交換によって調製したケイ酸溶液と混合した。最終担体に70%Al−30%SiOの組成が得られるよう、2つの溶液の割合を調整した。市販のコロイド化粉砕機において、粉砕機出口のサスペンジョンの硝酸含量がシリカ・アルミナ混成固形物の8%となるよう、硝酸の存在下で、上記混合物を迅速に均一化した。次いで、アトマイザーにおいて300℃〜60℃の通常方式で従来の如く、サスペンジョンを乾燥した。かくして調製した粉体を、無水生成物に対して8%の硝酸の存在下で、Z形アーム内で成形した。押出は、径1.4mmの開口を備えたダイスにケーキを通過させることによって行った。かくして得られた押出物を、150℃において乾燥し、550℃において焼成し、次いで、水蒸気の存在下で750℃において焼成した。
【0223】
担体SA3の特徴を以下に示す:
担体の組成は、69.5%Al−30.5%SiOである。
【0224】
BET比表面積は、250m/gである。
【0225】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.45ml/gである。
【0226】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、70Åである。
【0227】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.9である。
【0228】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径に含まれる容積V3は、0.021ml/gである。
【0229】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径に含まれる容積V6は、0.035ml/gである。
【0230】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.82である。
【0231】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.015ml/gである。
【0232】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.01ml/gである。
【0233】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.007ml/gである。
【0234】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0235】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0236】
担体の比B/Lは、0.11である。
【0237】
触媒のタッピング充填密度は、1.06g/cmである。
【0238】
ナトリウム原子の含量は、250±20ppmである。硫黄原子の含量は、2000ppmである。
【0239】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの間にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、69%である。
【0240】
触媒は、METマイクロゾンデによって測定した0.37のSi/Al比を有する唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む。
【0241】
(実施例4:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA4)の調製)
乾燥、焼成した押出物の形の担体SA3から、B.Beguin,E.Garbowski,M.Primetが“Journal of Catalysis”,p595,volume127,1991に発表した方法に基づき、TEOS(テトラエトキシシラン)の含浸によって、担体SA4を調製した。次いで、含浸した押出物を、120℃において15時間、乾燥し、乾燥空気流下で530℃において2時間、焼成し、次いで、700℃において焼成した:かくして得られた試料をSA4と命名した。
【0242】
担体SA4の特徴を以下に示す:
担体の組成は、67.5%Al−33.5%SiOである。
【0243】
BET比表面積は、280m/gである。
【0244】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.43ml/gである。
【0245】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、73Åである。
【0246】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.85である。
【0247】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.019ml/gである。
【0248】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.032ml/gである。
【0249】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.8である。
【0250】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.013ml/gである。
【0251】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.009ml/gである。
【0252】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.006ml/gである。
【0253】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0254】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0255】
ナトリウム原子の含量は、240±20ppmである。硫黄原子の含量は、1950ppmである。
【0256】
担体の比B/Lは、0.12である。
【0257】
触媒のタッピング充填密度は、1.08g/cmである。
【0258】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの範囲にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、69%である。
【0259】
触媒は、METマイクロゾンデによって測定した0.37のSi/Al比を有する唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む。
【0260】
(実施例5:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA5)の調製および成形)
特許WO00/01617に記載の方法に基づき、水素化アルミニウム粉体を調製した。レーザ粒度測定法によって測定した水素化アルミニウム粒子の平均粒径は、40ミクロンであった。この粉体を、脱カチオン樹脂による交換によって調製したシリカゾルと混合し、次いで、多孔樹脂2で濾過した。シリカゾル濃度および水素化アルミニウム粉体濃度は、60%Al−40%SiOの最終組成が得られるよう、調整した。成形は、無水生成物に対して15%の硝酸の存在下で実施した。混練は、Z形アームを備えた混練機で行った。押出は、径1.4mmの開口を備えたダイスにペーストを通過させることによって実施した。かくして得られた押出物を、150℃において乾燥し、次いで、550℃において焼成し、次いで、水蒸気の存在下で750℃において焼成した。
【0261】
担体の特徴を以下に示す:
担体の組成は、59.7%Al−40.3%SiOである。
【0262】
BET比表面積は、248m/gである。
【0263】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.46ml/gである。
【0264】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、69Åである。
【0265】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.9である。
【0266】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.022ml/gである。
【0267】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.031ml/gである。
【0268】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.83である。
【0269】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.012ml/gである。
【0270】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.0105ml/gである。
【0271】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.0065ml/gである。
【0272】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0273】
担体の比B/Lは、0.12である。
【0274】
触媒のタッピング充填密度は、1.08g/cmである。
【0275】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0276】
ナトリウム原子の含量は、200±20ppmである。硫黄原子の含量は、800ppmである。
【0277】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの範囲にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、70%である。
【0278】
触媒は、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを有する、上記ゾーンは、蛍光X線で測定してグローバルなSi/Al比よりも小さいまたは大きいSi/Al比を有する。1つのゾーンは、METによって測定して0.22のSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定して0.85のSi/Al比を有する。
【0279】
(実施例6:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA6)の調製)
押出、乾燥、焼成した形のSA5から担体SA6を調製した。冷却後、試料SA5をオルトケイ酸テトラエチルSi(OCのエタノール溶液と接触させた。この接触は、室温において2時間、撹拌しながら実施した。次いで、溶媒を減圧下で気化させた。次いで、含浸ずみ押出物を、120℃において15時間、乾燥し、次いで、乾燥空気流下で530℃において2時間、焼成し、次いで、水蒸気の存在下で700℃において焼成した。
【0280】
かくして得られた試料をSA6と命名した。
【0281】
かくして得られた押出物を、150℃において乾燥し、次いで、550℃において焼成した。
【0282】
担体の特徴を以下に示す:
担体の組成は、56.38%Al−43.62%SiOである。
【0283】
BET比表面積は、280m/gである。
【0284】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.405ml/gである。
【0285】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、60Åである。
【0286】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.9である。
【0287】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.02ml/gである。
【0288】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.027ml/gである。
【0289】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.8である。
【0290】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.011ml/gである。
【0291】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.01ml/gである。
【0292】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.006ml/gである。
【0293】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0294】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0295】
担体の比B/Lは、0.13である。
【0296】
触媒のタッピング充填密度は、1.09g/cmである。
【0297】
ナトリウム原子の含量は、200±20ppmである。硫黄原子の含量は、800ppmである。
【0298】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの範囲にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、70%である。
【0299】
触媒は、2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを有する、上記ゾーンは、蛍光X線で測定してグローバルなSi/Al比よりも小さいまたは大きいSi/Al比を有する。1つのゾーンは、METによって測定して0.23のSi/Al比を有し、他のゾーンは、METによって測定して0.86のSi/Al比を有する。
【0300】
(実施例7:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA7)の調製および成形)
下記の如くSA7を調製した。
【0301】
ケイ酸ナトリウムと水とを混合してシリカ・アルミナ・ゲルを調製し、この混合物をイオン交換樹脂上に送った。塩化アルミニウム・6水和物水溶液を脱カチオン・シリカゲルに加えた。ゲルを得るため、アンモニアを添加し、次いで、沈殿物を濾過し、洗浄水の導電率が一定になるまで、濃アンモニア水溶液で洗浄を行った。この合成段階において無水生成物の混成担体の最終組成が60%Al−40%SiOとなるよう、この工程から来るゲルをベーマイトPural粉体と混合した。このサスペンジョンを、硝酸の存在下でコロイド化粉砕機を通過させた。添加した硝酸の含量は、粉砕機出口の硝酸濃度が固体混成酸化物の重量に比して8%となるよう、調整した。次いで、混成ケーキの水量を減少するため、上記混合物を濾過した。次いで、10%硝酸の存在下でケーキを混練し、次いで、押出した。混練は、Z形アーム混練機において行った。押出は、径1.4mmの開口を備えたダイスにペーストを通過させることによって実施した。かくして得られた押出物を、150℃において乾燥し、次いで、550℃において焼成し、次いで、水蒸気の存在下で700℃において焼成した。
【0302】
担体SA7の特徴を以下に示す:
担体の組成は、60.7%Al−39.3%SiOである。
【0303】
BET比表面積は、258m/gである。
【0304】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.47ml/gである。
【0305】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、69Åである。
【0306】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.89である。
【0307】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.032ml/gである。
【0308】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.041ml/gである。
【0309】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.83である。
【0310】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.012ml/gである。
【0311】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.0082ml/gである。
【0312】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.0063ml/gである。
【0313】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0314】
担体の比B/Lは、0.11である。
【0315】
触媒のタッピング充填密度は、1.06g/cmである。
【0316】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0317】
ナトリウム原子の含量は、200±20ppmである。硫黄原子の含量は、800ppmである。
【0318】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの範囲にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、70%である。
【0319】
触媒は、マイクロゾンデMETで測定しての0.63のSi/Al比を有する唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを有する。
【0320】
(実施例8:本発明に係るシリカ・アルミナ(SA8)の調製)
押出、乾燥、焼成した形のSA7から担体SA8を調製した。冷却後、試料SA7をオルトケイ酸テトラエチルSi(OCのエタリール溶液と接触させた。この接触は、室温において2時間、撹拌しながら実施した。次いで、溶媒を減圧下で気化させた。次いで、含浸ずみ押出物を、120℃において15時間、乾燥し、次いで、乾燥空気流下で530℃において2時間、焼成した。かくして得られた試料をSA8と命名した。
【0321】
担体SA8の特徴を以下に示す:
担体の組成は、57.3%Al−42.7%SiOである。
【0322】
BET比表面積は、278m/gである。
【0323】
窒素吸収で測定した全細孔容積は、0.455ml/gである。
【0324】
水銀細孔率測定法で測定した平均細孔径は、64Åである。
【0325】
水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比は、0.87である。
【0326】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3は、0.03ml/gである。
【0327】
水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6は、0.037ml/gである。
【0328】
吸着表面積とBET表面積との比は、0.80である。
【0329】
水銀細孔率測定法で測定した140Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.011ml/gである。
【0330】
水銀細孔率測定法で測定した160Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.007ml/gである。
【0331】
水銀細孔率測定法で測定した200Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.005ml/gである。
【0332】
水銀細孔率測定法で測定した500Åよりも大きい径の細孔に含まれる細孔容積は、0.001ml/gである。
【0333】
担体の比B/Lは、0.12である。
【0334】
触媒のタッピング充填密度は、1.07g/cmである。
【0335】
X線回折図は、γ−アルミナの固有スペクトル線を含み、特に、1.39〜1.40Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含み、1.97Å〜2.00Åの範囲に含まれるピークaおよびdを含む。
【0336】
ナトリウム原子の含量は、200±20ppmである。硫黄原子の含量は、800ppmである。
【0337】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトルは、2群の明確なピークを示す。10ppmの近傍で共鳴する最大値を有する第1タイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間にある。最大値の位置は、この種が、本質的に、AlVIタイプ(八面体)であることを暗示する。60ppmの近傍で共鳴する最大値を有する少数の第2タイプのアルミニウムは、20〜100ppmの範囲にある。この群は、少なくとも2つの種に分解できる。この群の優勢な種は、原子AlIV(四面体)に対応する。AlVI八面体の割合は、70%である。
【0338】
触媒は、マイクロゾンデMETで測定しての0.65のSi/Al比を有する唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを有する。
【0339】
(実施例9:本発明に係る水素化分解触媒の調製(C1〜C9))
それぞれ実施例1、2、3、4、5、6、7および8に記載の態様で調製した押出物の形の担体SA1、SA2、SA3、SA4、SA5、SA6、SA7およびSA8に、それぞれ、タングステン塩およびニッケル塩を含む水溶液を乾式含浸して、触媒C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7およびC8を調製した。タングステン塩は、メタタングステン酸アルミニウム(NH1240・4HOであり、ニッケル塩は、硝酸ニッケルNi(NO・6HOである。水の飽和雰囲気中で室温において熟成した後、含浸ずみ押出物を120℃において一晩、乾燥し、次いで、乾燥空気下で500℃において焼成した。
【0340】
触媒のWOおよびNiOの最終含量を以下の表1に示した。
【0341】
【表1】

【0342】
触媒C9は、実施例5において調製した(押出物の形の)担体SA5にヘキサクロロ白金酸HPtCl溶液を乾式含浸によって得た。次いで、含浸ずみ押出物を乾燥空気下で550℃において焼成した。白金含量は、0.48重量%である。
【0343】
(実施例10:高圧工程における真空下蒸留物の水素化分解時の触媒C1〜C8の評価)
実施例9に記載の態様で調製した触媒C1〜C8を、下記の主特徴を有する真空下蒸留物の水素化分解の実施のために使用した:
装入物のタイプ 真空下蒸留物
15℃における比重 0.9219
硫黄重量% 2.52
窒素ppm 880
蒸留シミュレーション(DS)
DS:05%点℃ 367
DS:10%点℃ 380
DS:50%点℃ 443
DS:90%点℃ 520
DS:終留点℃ 690
本発明に基づき、連通(traverse)固定床を有する1つの反応器を含むパイロットユニットを利用して、触媒C1〜C8を使用した。流体は、下から上へ流れる(アップ・フロー)。
【0344】
水素化分解テストに先立って、DMDS2重量%を加えた直接蒸留ガスオイルによって120bar、350℃において、触媒を硫化した。
【0345】
硫化後、下記条件において触媒テストを実施した:
全圧力 14MPa T=400℃
空間速度(VVH)は、0.7h−1に等しい。
【0346】
370℃よりも低い沸点を有する生成物の正味転化率、150〜370℃フラクションの中間蒸留物の正味選択度および中間蒸留フラクション中のガスオイル収率/ケロシン収率・比によって、触媒の性能を表した。性能は、蒸留シミュレーションの結果から表現した。
【0347】
正味転化率CNは、下式に等しいとみなされる:
CN370℃=[(370℃排出物%)−(370℃装入物%)]/[(100−(370℃装入物%)]
式中、
370℃排出物%=排出物中の370℃よりも低い沸点を有する化合物の含量、および、
370℃装入物%=装入物中の370℃よりも低い沸点を有する化合物の含量
中間蒸留物の粗選択度SBは、下式に等しいとみなされる:
SB定義=[(150−370排出物フラクション)]/[(370℃排出物フラクション)]
中間蒸留フラクション中のガスオイル収率/ケロシン収率・比(Go./Ker.)は、下式に等しいとみなされる:
比Go./Ker.=排出物フラクション(250℃〜370℃)の収率/排出物フラクション(150℃〜370℃)の収率
得られた触媒の性能を以下の表2に示した。
【0348】
【表2】

【0349】
(実施例11:いわゆる2工程の水素化分解法の第2反応器の機能をシミュレートする条件における触媒C9の評価)
第2工程の装入物は、水素の存在下で395℃の温度、0.55h−1の空間速度において、Axensから市販されている水素化精製触媒上で真空下蒸留物を水素化処理することによって、調製した。380℃における生成物の転化率は、約50%であった。分離工程後、380℃+フラクションを回収し、第2工程のための装入物として使用した。この装入物の物理化学的特徴を表3に示した:
【0350】
【表3】

【0351】
上記装入物は、実施例9で調製した触媒C9を導入した装入原料上昇流動(アップ・フロー)式固定床反応器を含む第2工程の水素化分解テストユニットに装入した。装入原料の装入前に、450℃において2時間、水素中で触媒を還元した。
【0352】
テストユニットの操作条件を以下に示す:
全圧力 14Mpa
触媒 50ml
温度 370℃
空間速度(vvh)、h−1 1.1
上記条件における得られた触媒の性能を本実施例の表4に記載した。
【0353】
【表4】

【0354】
従って、先行の実施例10、11から、炭化水素装入物の水素化分解の実施のために本発明に係る触媒を使用するすべての利点が知られる。実際、装入物の高い転化率および有利な中間蒸留物選択度を達成できる。
【0355】
(実施例12:中程度の圧力の工程の真空蒸留物の水素化分解(穏やかな水素化分解)における触媒C1およびC5の評価)
実施例9に記載の態様で調製した触媒C1およびC5を、実施例10に記載の真空蒸留物の水素化分解を実施するのに使用した。
【0356】
本発明に基づき、連通(traverse)固定床を有する1つの反応器を含むパイロットユニットを利用して、触媒C1およびC5を使用した。流体は、下から上へ流れる(アップ・フロー)。水素化分解テストに先立って、DMDS2重量%を加えた直接蒸留ガスオイルによって120bar、350℃において、触媒を硫化した。
【0357】
硫化後、下記条件において触媒テストを実施した:
全圧力 5.5MPa T=405℃
グローバルなVVH 0.8h−1
空間速度(VVH)は、0.8h−1に等しい。
【0358】
370℃よりも低い沸点を有する生成物の正味転化率、150〜370℃フラクションの中間蒸留物の正味選択度および中間蒸留フラクション中のガスオイル収率/ケロシン収率・比によって、触媒の性能を表した。性能は、蒸留シミュレーションの結果から表現した。定義は、実施例10に記載の定義と同一である。
【0359】
得られた触媒の性能を以下の表5に示した。
【0360】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−周期表のVIB族およびVIII族の元素から形成されたグループから選択した少なくとも1つの脱水素元素、
−10重量%よりも多く80重量%以下の量のシリカ(SiO)を含むシリカ・アルミナ・ベースの非ゼオライト担体、
−水銀細孔率測定法で測定して20〜140Åの平均細孔径、
−水銀細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、
−窒素細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、
−150〜500m/gの範囲のBET比表面積、
−水銀細孔率測定法で測定して140Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して160Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して200Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して500Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.01ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2の全水銀容積に対する比が、0.6よりも大きく、−水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3が、0.1ml/gよりも小さく、−水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6が、0.2ml/gよりも小さい状態の細孔分布、
−α−,ρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−およびδ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうち少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むX線図、
を有し、
上記非ゼオライト担体が、
酸性媒体に部分的に可溶なアルミナ化合物と完全に可溶なシリカ化合物または完全に可溶なアルミナおよび水和シリカの組合せとを混合し、得られた混合物を成形し、次いで、水熱処理または熱処理して得られるものである、炭化水素装入原料の水素化分解法および/または水素化転化法または水素化処理法用の触媒。
【請求項2】
触媒の27Alの固体NMR MASのスペクトル分析によって求めたAlVI八面体の割合が、50%よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
ニッケルおよびタングステンをベースとする請求項1または2記載の触媒。
【請求項4】
白金およびパラジウムをベースとする請求項1または2記載の触媒。
【請求項5】
リン、ホウ素およびケイ素から形成されたグループから選択され触媒に被覆された少なくとも1つのドーピング元素を含む請求項1〜4の1つに記載の触媒。
【請求項6】
VIIB族の少なくとも1つの元素を含む請求項1〜5の1つに記載の触媒。
【請求項7】
VB族の少なくとも1つの元素を含む請求項1〜6の1つに記載の触媒。
【請求項8】
触媒のタッピング充填密度が0.85g/cmである請求項1〜7の1つに記載の触媒。
【請求項9】
10重量%よりも多く80重量%以下の量のシリカ(SiO)を含むシリカ・アルミナ・ベースの非ゼオライト担体において、下記、即ち、
−水銀細孔率測定法で測定して20〜140Åの平均細孔径、
−水銀細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、
−窒素細孔率測定法で測定して0.1ml/g〜0.6ml/gの全細孔容積、
−150〜500m/gの範囲のBET比表面積、
−水銀細孔率測定法で測定して140Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して160Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して200Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.1ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定して500Åよりも大きい径の細孔に含まれる0.01ml/gよりも小さい細孔容積、
−水銀細孔率測定法で測定したDmean−30ÅとDmean+30Åとの間にある容積V2と全水銀容積との比が、0.6よりも大きく、−水銀細孔率測定法で測定したDmean+30Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V3が、0.1ml/gよりも小さく、−水銀細孔率測定法で測定したDmean+15Åよりも大きい径の細孔に含まれる容積V6が、0.2ml/gよりも小さい状態の細孔分布、
−ρ−,χ−,η−,γ−,κ−,θ−およびδ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうち少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むX線図、
を特徴とし、
上記非ゼオライト担体が、
酸性媒体に部分的に可溶なアルミナ化合物と完全に可溶なシリカ化合物または完全に可溶なアルミナおよび水和シリカの組合せとを混合し、得られた混合物を成形し、次いで、水熱処理または熱処理して得られるものである、炭化水素装入原料の水素化分解法および/または水素化転化法または水素化処理法の触媒用の担体。
【請求項10】
カチオン不純物含量が、0.1重量%よりも少ないことを特徴とする請求項9の担体。
【請求項11】
カチオン不純物含量が、0.5重量%よりも少ないことを特徴とする請求項9または10記載の担体。
【請求項12】
X線図が、η−,θ−,δ−およびγ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むことを特徴とする請求項9〜11の1つに記載の担体。
【請求項13】
X線図が、η−アルミナおよびγ−アルミナからなるグループに含まれる転移アルミナのうちの少なくとも1つのアルミナの少なくとも固有スペクトル線を含むことを特徴とする請求項9〜12の1つに記載の担体。
【請求項14】
平均細孔径が、40〜120Åの範囲にある請求項9〜13の1つに記載の担体。
【請求項15】
蛍光X線で測定してグローバルなSi/Al比よりも小さいまたは大きいSi/Al比を有する少なくとも2つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む請求項9〜14の1つに記載の担体。
【請求項16】
蛍光X線で測定してグローバルなSi/Al比であって2.3よりも小さいSi/Al比を有する少なくとも唯一つのシリカ・アルミナ・ゾーンを含む請求項9〜15の1つに記載の担体。
【請求項17】
焼成後のタッピング充填密度が0.65g/cmである、請求項9〜16の1つに記載の担体。
【請求項18】
B/L比が0.05〜1である、連続IRで測定したピリジン熱脱着の酸度を有する請求項9〜17の1つに記載の担体。
【請求項19】
請求項1〜8の1つに記載の触媒または請求項9〜18の1つに記載の担体を含む触媒を使用する、炭化水素装入原料の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項20】
1工程法に基づき実施する請求項19の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項21】
−標準活性テストにおいて10重量%よりも少ない転化率を有する少なくとも1つの水素化分解触媒と装入原料を接触させる水素化精製第1反応ゾーンと、
−標準活性テストにおいて10重量%よりも低い転化率を有する少なくとも1つの非ゼオライト水素化分解触媒と、水素化精製工程から来る排出液の少なくとも一部を接触させる水素化分解第2反応ゾーンとを含み、
−および、水素化分解触媒の触媒容積割合が、全触媒容積の20〜45%であることを特徴とする請求項20の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項22】
少なくとも1つの水素化精製第1反応ゾーンと、第1ゾーンの排出液の少なくとも一部を水素化分解し、第1ゾーンから出る排出液のアンモニアを不完全に分離する少なくとも1つの第2反応ゾーンとを含む請求項19の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項23】
2工程法の請求項19の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項24】
水素の存在下、200℃よりも高い温度、1MPaよりも高い圧力、0.1〜20h−1の範囲の空間速度および水素容積(リットル)/炭化水素容積(リットル)・比が80〜5000リットル/リットルになる水素導入量において操作する請求項19〜23の1つに記載の方法。
【請求項25】
20〜60barの範囲の圧力において操作し、40%よりも低い転化率を生ずる請求項19〜24の1つに記載の水素化分解法および/または水素化転化法。
【請求項26】
固定床において操作する請求項19〜25の1つに記載の方法。
【請求項27】
沸騰床において操作する請求項19〜25の1つに記載の方法。
【請求項28】
触媒が、VIII族の少なくとも1つの貴金属元素をベースとすることを特徴とする請求項23の方法。
【請求項29】
触媒が、白金およびパラジウムをベースとすることを特徴とする請求項28の方法。
【請求項30】
請求項1〜8の1つに記載の触媒または請求項9〜18の1つに記載の担体を含む触媒を使用する、炭化水素装入原料の水素化処理法。
【請求項31】
水素化分解法の上流に置かれた請求項30の方法。
【請求項32】
水素化分解触媒が、ゼオライトをベースとすることを特徴とする請求項31の方法。
【請求項33】
水素化分解触媒が、シリカ・アルミナをベースとすることを特徴とする請求項31の方法。
【請求項34】
水素化分解触媒が、ニッケルおよびタングステンをベースとすることを特徴とする請求項19〜33の1つに記載の方法。
【請求項35】
LCO(light cycle oil)、大気圧蒸留物、真空下蒸留物、潤滑油ベースの芳香族抽出ユニットから来るまたは潤滑油ベースの溶媒脱ろうから生ずる成分またはRAT(大気圧蒸留残渣)および/またはRSV(真空下蒸留残渣)および/または脱ろうオイルの固定床または沸騰床における脱硫法または水素化転化法から生ずる蒸留物、脱ろうオイルまたは上記装入原料の混合物から炭化水素装入原料を選択したことを特徴とする請求項19〜34の1つに記載の方法。

【公開番号】特開2011−143408(P2011−143408A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89847(P2011−89847)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2003−369745(P2003−369745)の分割
【原出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】