説明

炭化珪素半導体装置の製造方法

【課題】炭化珪素半導体装置に含まれる炭化珪素層の側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に、主表面が設けられた炭化珪素層19が形成される。炭化珪素層19の主表面の一部を覆うマスク17が形成される。主表面に対して傾斜した側面SSが炭化珪素層19に設けられるように、マスク17が形成された炭化珪素層19の主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングが行われる。熱エッチングを行う工程は、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関し、より特定的には、傾斜した側面を有する炭化珪素層を含む炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の材料として炭化珪素(SiC)を用いることが提案されている。たとえば、炭化珪素を用いてトレンチゲート型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を形成することが提案されている(特開2008−235546号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
この公報では、ゲート絶縁膜の耐圧を向上させるため、ゲートトレンチの側壁をテーパ状にすることが提案されている。具体的には、開口パターンを有するエッチングマスクを用いて炭化珪素からなる半導体層を異方性エッチングにより部分的に除去した後、等方性エッチングを行うことで、半導体層に形成されるゲートトレンチの側壁をテーパ状にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この公報に開示されているようにゲートトレンチの側壁(側面)の形成が等方性エッチングにより行われる場合、側面の面方位を、特定の結晶面に十分に近いものとすることが困難であった。側面の面方位を特定の結晶面に近づけることができれば、様々な利点が得られ得る。たとえば、電子の移動度が高い結晶面が選択されれば、チャネル移動度を高めることで、低いオン抵抗を有するMOSFETを得ることができる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、その目的は、炭化珪素半導体装置に含まれる炭化珪素層の側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に従う炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の工程を有する。基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層が形成される。炭化珪素層の主表面の一部を覆うマスクが形成される。主表面に対して傾斜した側面が炭化珪素層に設けられるように、マスクが形成された炭化珪素層の主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングが行われる。熱エッチングを行う工程は、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。
【0008】
上記一の局面に従う製造方法によれば、熱エッチングが、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0009】
上記一の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は減圧雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0010】
上記一の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる。これにより、エッチングされる面が化学的に活性化されるので、この面におけるエッチングによる塩素系ガスの消費量が大きくなる。よって、エッチングされる面上に存在する、エッチング能力を有する塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0011】
本発明の他の局面に従う炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の工程を有する。基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層が形成される。炭化珪素層の主表面の一部を覆うマスクが形成される。主表面に対して傾斜した側面が炭化珪素層に設けられるように、マスクが形成された炭化珪素層の主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングが行われる。熱エッチングを行う工程は減圧雰囲気下で行われる。
【0012】
上記他の局面に従う製造方法によれば、熱エッチングが、減圧雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0013】
上記他の局面に従う製造方法において好ましくは、減圧雰囲気は大気圧の1/10以下の圧力を有する。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が十分に抑えられる。
【0014】
上記他の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0015】
上記他の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる。これにより、エッチングされる面が化学的に活性化されるので、この面におけるエッチングによる塩素系ガスの消費量が大きくなる。よって、エッチングされる面上に存在する、エッチング能力を有する塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従う炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の工程を有する。基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層が形成される。炭化珪素層の主表面の一部を覆うマスクが形成される。主表面に対して傾斜した側面が炭化珪素層に設けられるように、マスクが形成された炭化珪素層の主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングが行われる。熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる。
【0017】
上記さらに他の局面に従う製造方法によれば、熱エッチングが1000℃以上で行われる。これにより、エッチングされる面が化学的に活性化されるので、この面におけるエッチングによる塩素系ガスの消費量が大きくなる。よって、エッチングされる面上に存在する、エッチング能力を有する塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0018】
上記さらに他の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量がより抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0019】
上記さらに他の局面に従う製造方法において好ましくは、熱エッチングを行う工程は、減圧雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層に形成される側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0020】
好ましくは、炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の工程をさらに有する。炭化珪素層の側面上にゲート絶縁膜が形成される。次にゲート絶縁膜を介して炭化珪素層の側面に対向するゲート電極が形成される。これにより、特定の結晶面により近い面方位を有する側面を、ゲート電極によって制御されるチャネル面として用いることができる。よってチャネル移動度のばらつきを抑えることができる。また上記特定の結晶面がチャネル移動度の高いものとされることで、安定的に高いチャネル移動度が得られる。
【0021】
好ましくは、炭化珪素半導体装置は、炭化珪素層の主表面と基板との間において炭化珪素層の厚さ方向に沿った電流経路を有するダイオードである。この場合、上記側面は、ダイオードの両端に対応する主表面側および基板側の間に位置する。よって、炭化珪素層の表面を経路とするリーク電流は、側面上を通る。側面が、上述したようにより特定の結晶面に近い面方位を有するものとされることで、側面上における電流の流れやすさを安定的に抑えることができる。これによりダイオードのリーク電流を安定的に低い値に抑えることができる。また上記特定の結晶面が界面準位密度の低いものとされることで、安定的にリーク電流を抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明によれば、炭化珪素半導体装置に含まれる炭化珪素層の側面の面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【図2】図1の炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の構成を概略的に示す部分平面図である。
【図3】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。
【図4】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。
【図5】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す部分平面図である。
【図6】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す部分断面図である。
【図7】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第4工程を概略的に示す部分断面図である。
【図8】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第5工程を概略的に示す部分平面図である。
【図9】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第5工程を概略的に示す部分断面図である。
【図10】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第6工程を概略的に示す部分断面図である。
【図11】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第6工程を概略的に示す部分斜視図である。
【図12】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第7工程を概略的に示す部分断面図である。
【図13】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第8工程を概略的に示す部分断面図である。
【図14】図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第9工程を概略的に示す部分断面図である。
【図15】マスクの回転ずれについて説明するための平面図である。
【図16】比較例における炭化珪素層の側面の形状を概略的に示す部分平面図である。
【図17】本実施の形態における炭化珪素層の側面の形状を概略的に示す部分平面図である。
【図18】比較例における炭化珪素層の顕微鏡写真である。
【図19】実施例における炭化珪素層の顕微鏡写真である。
【図20】図1の変形例を概略的に示す部分断面図である。
【図21】本発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【図22】図21の変形例を概略的に示す部分断面図である。
【図23】炭化珪素層の側面の一例を概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。また角度の記載には、全方位角を360度とする系を用いている。
【0025】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、本実施の形態の炭化珪素半導体装置は、トレンチゲートを有する縦型のMOSFET101である。MOSFET101は、n型の導電型を有する基板1と、基板1の主表面MS上にエピタキシャルに形成された炭化珪素層19とを有する。炭化珪素層19は、n型の導電型を有する耐圧保持層2と、p型ボディ層3と、n型ソースコンタクト層4と、p型の導電型を有するコンタクト領域5とを含む。
【0026】
基板1は、六方晶系および立方晶系のいずれかの単結晶構造を有する炭化珪素から作られている。また基板1には、基準面から5度以内のオフ角を有する主表面MSが設けられている。基準面は、六方晶系の場合は{000−1}面であり、より好ましくは(000−1)面である。また基準面は立方晶系の場合は{111}面である。好ましくは、オフ角は0.5度以上である。
【0027】
炭化珪素層19は、基板1の主表面MSと実質的に平行な主表面TSを有する。トレンチ6は側面SSを有する。トレンチ6は、開口に向かって広がるようなテーパ形状を有し、よって主表面TSに対して側面SSは傾いている。側面SSのうちp型ボディ層3によって形成されている部分は、MOSFET101のチャネル面を構成している。側面SSは特定の結晶面を有する。具体的には、側面SSは、六方晶系の場合は実質的に{0−33−8}面および{01−1−4}面のいずれか一方を含み、立方晶系の場合は実質的に{100}面を含む。
【0028】
なおトレンチ6の存在は、逆の見方をすれば、主表面TSを頂面とするメサ構造の存在に対応している。好ましくはこの頂面の形状は、六方晶の場合、図2に示すように六角形であり、立方晶の場合、長方形または正方形である。
【0029】
また半導体装置は、ゲート絶縁膜8と、ゲート電極9と、層間絶縁膜10と、ソース電極12と、ソース配線電極13と、ドレイン電極14と、裏面保護電極15とを有する。
【0030】
次に半導体装置の詳細について説明する。耐圧保持層2は、基板1の一方の主表面上に形成されている。耐圧保持層2上にはp型ボディ層3が形成されている。p型ボディ層3上には、n型ソースコンタクト層4が形成されている。このn型ソースコンタクト層4に取囲まれるように、p型のコンタクト領域5が形成されている。n型ソースコンタクト層4、p型ボディ層3および耐圧保持層2を部分的に除去することにより、トレンチ6により囲まれたメサ構造が形成されている。
【0031】
トレンチ6の側面SSおよび底面上にはゲート絶縁膜8が形成されている。このゲート絶縁膜8はn型ソースコンタクト層4の上部表面上にまで延在している。このゲート絶縁膜8上であって、トレンチ6の内部を充填するように(つまり隣接するメサ構造の間の空間を充填するように)ゲート電極9が形成されている。ゲート電極9の上部表面は、ゲート絶縁膜8においてn型ソースコンタクト層4の上部表面上に位置する部分の上面とほぼ同じ高さになっている。
【0032】
ゲート絶縁膜8のうちn型ソースコンタクト層4の上部表面上にまで延在する部分とゲート電極9とを覆うように層間絶縁膜10が形成されている。層間絶縁膜10とゲート絶縁膜8の一部とを除去することにより、n型ソースコンタクト層4の一部とp型のコンタクト領域5とを露出するように開口部11が形成されている。この開口部11の内部を充填するとともに、p型のコンタクト領域5およびn型ソースコンタクト層4の一部と接触するようにソース電極12が形成されている。ソース電極12の上部表面と接触するとともに、層間絶縁膜10の上部表面上に延在するようにソース配線電極13が形成されている。また、基板1において耐圧保持層2が形成された主表面とは反対側の裏面上には、ドレイン電極14が形成されている。このドレイン電極14はオーミック電極である。このドレイン電極14において、基板1と対向する面とは反対側の面上に裏面保護電極15が形成されている。
【0033】
トレンチ6の側面SS(メサ構造の側壁)は、炭化珪素層19の結晶構造が六方晶の場合には実質的に{0−33−8}面となっている。具体的には、側面SSを構成する結晶面について、<1−100>方向における{0−33−8}面に対するオフ角が−3°以上3°以下の面、より好ましくは−1°以上1°以下の面となっている。このような側面SSは、安定な結晶面であるため、チャネル面として利用された場合、他の結晶面(たとえば(0001)面)が利用された場合に比して、高いチャネル移動度が得られるとともに、リーク電流が低減され、また高い耐圧が得られる。
【0034】
次にMOSFET101の製造方法について説明する。
まず炭化珪素から作られた基板1(図3)が準備される。基板1の主表面MSは、六方晶系の場合はほぼ{000−1}面であり、立方晶系の場合はほぼ{111}面である。
【0035】
図3に示すように、基板1上に、主表面TSが設けられた炭化珪素層19が形成される。具体的には、基板1の主表面MS上におけるエピタキシャル成長によって、導電型がn型である炭化珪素層19が形成される。このエピタキシャル成長は、たとえば原料ガスとしてシラン(SiH4)とプロパン(C38)との混合ガスを用い、キャリアガスとしてたとえば水素ガス(H2)を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により実施することができる。また、このとき炭化珪素層19にn型を付与するための不純物としてたとえば窒素(N)やリン(P)を導入することが好ましい。不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3以上5×1016cm-3以下とすることができる。
【0036】
図4に示すように、炭化珪素層19から、耐圧保持層2、p型ボディ層3およびn型ソースコンタクト層4が形成される。具体的には、炭化珪素層19の上部表面層にイオン注入を行なうことにより、p型ボディ層3およびn型ソースコンタクト層4が形成され、イオン注入がなされなかった部分が耐圧保持層2となる。p型ボディ層3を形成するためのイオン注入においては、たとえばアルミニウム(Al)などのp型を付与するための不純物イオンが注入される。このとき、注入するイオンの加速エネルギーを調整することによりp型ボディ層3が形成される領域の深さを調整することができる。またn型を付与するための不純物イオンを、p型ボディ層3が形成された耐圧保持層2へイオン注入することにより、n型ソースコンタクト層4が形成される。n型を付与するための不純物としては、たとえばリン(P)などを用いることができる。
【0037】
図5および図6に示すように、炭化珪素層19の主表面TSの一部を覆うマスク17が形成される。マスク17として、たとえばシリコン酸化膜などの絶縁膜を用いることができる。マスク17の形成方法としては、たとえば以下のような工程を用いることができる。すなわち、n型ソースコンタクト層4の上部表面上に、CVD法などを用いてシリコン酸化膜を形成する。そして、このシリコン酸化膜上にフォトリソグラフィ法を用いて所定の開口パターンを有するレジスト膜(図示せず)を形成する。このレジスト膜をマスクとして用いて、シリコン酸化膜をエッチングにより除去する。その後レジスト膜を除去する。この結果、開口パターンを有するマスク17が形成される。
【0038】
図7に示すように、基板1の主表面TSに対してほぼ垂直な側面を有する凹部16が形成される。具体的には、マスク17を用いて、n型ソースコンタクト層4、p型ボディ層3および耐圧保持層2の一部がエッチングされる。エッチングとしてはたとえば反応性イオンエッチング(RIE)またはイオンミリングを用いることができる。RIEとしては特に誘導結合プラズマ(ICP)RIEを用いることができる。具体的には、たとえば反応ガスとしてSF6またはSF6とO2との混合ガスを用いたICP−RIEを用いることができる。
【0039】
図8および図9に示すように、主表面TSに対して傾斜した側面SSが炭化珪素層19に設けられるように、トレンチ6が形成される。具体的には、マスク17が形成された炭化珪素層19の主表面TSに対して、熱エッチングが行われる。ここで熱エッチングとは、加熱されたエッチング対象へ反応性ガスを含むプロセスガス供給することによって生じる化学反応を用いて行われるエッチングである。本実施の形態においては、反応性ガスとして塩素系ガスが用いられ、好ましくは塩素ガスが用いられる。また熱エッチングは、好ましくは、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。また熱エッチングは、好ましくは、減圧雰囲気下で行われ、より好ましくは、減圧雰囲気は大気圧の1/10以下の圧力を有する。また熱エッチングは、好ましくは、炭化珪素層19が設けられた基板1の温度(熱処理温度)を1000℃以上とする条件で行われる。
【0040】
次に熱エッチングの詳細の一例について、以下に説明する。
プロセスガスとしては、酸素ガスと塩素ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度をたとえば700℃以上1200℃以下としたエッチングを行なう。熱処理温度は、好ましくは700℃以上1200℃以下である。1200℃以下の場合、熱処理のための装置に石英部材を用いることができる。温度の上限は、より好ましくは1100℃、さらに好ましくは1000℃である。温度の下限は、より好ましくは800℃、さらに好ましくは900℃である。この場合、上記{0−33−8}面、{01−1−4}面または{100}面を含む面を形成する熱エッチング工程でのエッチング速度を十分実用的な値とすることができるので、当該工程の処理時間を十分短くすることができる。
【0041】
ここで、上記熱エッチング工程の条件については、SiC+mO+nCl→SiCl+CO(ただし、m、n、x、yは正の数)と表される反応式において、0.5≦x≦2.0、1.0≦y≦2.0というxおよびyの条件が満たされる場合に主な反応が進み、x=4、y=2という条件の場合が最も反応(熱エッチング)が進む。ただし上記mおよびnは、実際に反応している酸素ガスおよび塩素ガスの量を表しており、プロセスガスとして供給される量とは異なる。本発明者らは、この熱エッチングにおいて供給される塩素の流量に対する酸素の流量の比率が0.1以上2.0以下となることが好ましく、より好ましくはこの比率の下限は0.25である。この場合、上記{0−33−8}面、{01−1−4}面または{100}面を含む面を確実に形成することができる。
【0042】
なお、反応ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、たとえば窒素(N)ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどを用いることができる。そして、上述のように熱処理温度を700℃以上1000℃以下とした場合、SiCのエッチング速度はたとえば70μm/hr程度になる。また、この場合にマスク17として酸化珪素(SiO)を用いると、SiOに対するSiCの選択比を極めて大きくすることができるので、SiCのエッチング中にSiO2からなるマスク17は実質的にエッチングされない。
【0043】
なお六方晶系の場合、側面SSにおいて露出する結晶面は実質的に{0−33−8}面となってもよい。つまり、上述した条件のエッチングにおいては、エッチング速度の最も遅い結晶面である{0−33−8}面がトレンチ6の側面SSとして自己形成される。この結果、図9に示すような構造を得る。なお側面SSを構成する結晶面は{01−1−4}面となってもよい。また立方晶系である場合には、側面SSを構成する結晶面は{100}面であってもよい。
【0044】
次にマスク17(図8および図9)がエッチングなど任意の方法により除去される。
図10および図11に示すように、コンタクト領域5および電界緩和領域7が形成される。具体的には、まず、トレンチ6の内部からn型ソースコンタクト層4の上部表面上にまで延在するように、所定のパターンを有するレジスト膜(図示せず)が、フォトリソグラフィ法を用いて形成される。レジスト膜としては、トレンチ6の底部およびn型ソースコンタクト層4の上部表面の一部に開口パターンが形成されているものを用いる。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、p型を付与するための不純物イオンを注入することにより、トレンチ6の底部に電界緩和領域7が形成され、またn型ソースコンタクト層4の一部領域にp型のコンタクト領域5が形成される。その後レジスト膜が除去される。
【0045】
なお図11から分かるように、トレンチ6の平面形状は、単位胞(1つのメサ構造を取り囲む環状のトレンチ6)の平面形状が六角形状である網目形状となっている。また、p型のコンタクト領域5は、図11に示すようにメサ構造の上部表面におけるほぼ中央部に配置されている。また、p型のコンタクト領域5の平面形状は、メサ構造の上部表面の外周形状と同じであって、六角形状となっている。
【0046】
次に、上述したイオン注入により注入された不純物を活性化するための活性化アニール工程を実施する。この活性化アニール工程においては、炭化珪素からなるエピタキシャル層の表面上(たとえばメサ構造の側壁上)に特にキャップ層を形成することなくアニール処理を実施する。ここで、発明者らは、上述した{0−33−8}面については、キャップ層などの保護膜を表面に形成することなく活性化アニール処理を行なっても表面性状が劣化することがなく、十分な表面平滑性を維持できることを見出した。このため、従来必要と考えられていた活性化アニール処理前の保護膜(キャップ層)の形成工程を省略して、直接活性化アニール工程を実施している。なお、上述したキャップ層を形成したうえで活性化アニール工程を実施してもよい。また、たとえばn型ソースコンタクト層4およびp型のコンタクト領域5の上部表面上のみにキャップ層を設けた構成として、活性化アニール処理を実施してもよい。
【0047】
図12に示すように、炭化珪素層19の側面SS上にゲート絶縁膜8が形成される。具体的には、トレンチ6の内部からn型ソースコンタクト層4およびp型のコンタクト領域5の上部表面上にまで延在するようにゲート絶縁膜8が形成される。ゲート絶縁膜8としては、たとえば炭化珪素層19を熱酸化することにより得られる酸化膜(酸化珪素膜)を用いることができる。
【0048】
図13に示すように、ゲート絶縁膜8を介して炭化珪素層19の側面SSに対向するゲート電極9が形成される。具体的には、トレンチ6の内部を充填するように、ゲート絶縁膜8上にゲート電極9が形成される。ゲート電極9の形成方法としては、たとえば以下のような方法を用いることができる。まず、ゲート絶縁膜8上において、トレンチ6の内部およびp型のコンタクト領域5上の領域にまで延在するゲート電極となるべき導電体膜が、スパッタリング法などを用いて形成される。導電体膜の材料としては導電性を有する材料であれば金属など任意の材料を用いることができる。その後、エッチバックあるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing)法など任意の方法を用いて、トレンチ6の内部以外の領域に形成された導電体膜の部分が除去される。この結果、トレンチ6の内部を充填するような導電体膜が残存し、当該導電体膜によりゲート電極9が構成される。
【0049】
図14を参照して、ゲート電極9の上部表面、およびp型のコンタクト領域5上において露出しているゲート絶縁膜8の上部表面上を覆うように層間絶縁膜10が形成される。層間絶縁膜10としては、絶縁性を有する材料であれば任意の材料を用いることができる。そして、層間絶縁膜10上に、パターンを有するレジスト膜(図示せず)が、フォトリソグラフィ法を用いて形成される。当該レジスト膜にはp型のコンタクト領域5上に位置する領域に開口パターンが形成される。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、エッチングにより層間絶縁膜10およびゲート絶縁膜8が部分的にエッチングにより除去される。この結果、層間絶縁膜10およびゲート絶縁膜8には開口部11(図14参照)が形成される。この開口部11の底部においては、p型のコンタクト領域5およびn型ソースコンタクト層4の一部が露出した状態となる。
【0050】
その後、開口部11の内部を充填するとともに、上述したレジスト膜の上部表面上を覆うように導電体膜が形成される。その後、薬液などを用いてレジスト膜を除去することにより、レジスト膜上に形成されていた導電体膜の部分も同時に除去する(リストオフ)。この結果、開口部11の内部に充填された導電体膜によりソース電極12を形成できる。このソース電極12はp型のコンタクト領域5およびn型ソースコンタクト層4とオーミック接触したオーミック電極である。
【0051】
また、基板1の裏面側(耐圧保持層2が形成された主表面と反対側の表面側)に、ドレイン電極14が形成される。ドレイン電極14としては、基板1とオーミック接触が可能な材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0052】
再び図1を参照して、ソース電極12の上部表面に接触するとともに、層間絶縁膜10の上部表面上に延在するソース配線電極13と、ドレイン電極14の表面に形成された裏面保護電極15とがスパッタリング法などの任意の方法を用いて形成される。この結果、MOSFET101が得られる。
【0053】
本実施の形態によれば、熱エッチングが、塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層19に形成される側面SSの面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0054】
また熱エッチングが、減圧雰囲気下で行われる。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層19に形成される側面SSの面方位を特定の結晶面により近づけることができる。好ましくは、減圧雰囲気は大気圧の1/10以下の圧力を有する。これにより、エッチングされる面に供給される塩素系ガスの量が十分に抑えられる。
【0055】
また熱エッチングが1000℃以上で行われる。これにより、エッチングされる面が化学的に活性化されるので、この面におけるエッチングによる塩素系ガスの消費量が大きくなる。よって、エッチングされる面上に存在する、エッチング能力を有する塩素系ガスの量が抑えられる。この結果、化学的安定性が高い部分のエッチングの進行が抑えられ、化学的安定性の低い部分のエッチングが主に進行する。よってエッチングによって炭化珪素層19に形成される側面SSの面方位を特定の結晶面により近づけることができる。
【0056】
また炭化珪素層19の側面SS上にゲート絶縁膜8が形成され、ゲート絶縁膜8を介して炭化珪素層19の側面SSに対向するゲート電極9が形成される。これにより、特定の結晶面により近い面方位を有する側面SSを、ゲート電極9によって制御されるチャネル面として用いることができる。よってチャネル移動度のばらつきを抑えることができる。また上記特定の結晶面がチャネル移動度の高いものとされることで、安定的に高いチャネル移動度が得られる。
【0057】
次に、図15を参照して、マスク17(図5)の回転ずれが生じた場合について説明する。炭化珪素層19(図6)が六方晶の場合にマスク17の形状は好適には六角形とされる。この六角形の配置が、理想的な配置17iからずれた配置17rに、図中矢印に示すようにずれることがある。この場合、本実施の形態の熱エッチングの条件が用いられれば、特定の結晶面が自己形成される傾向が高いことにより、ある程度のずれがあっても所望の側面SSが得られる。
【0058】
次に側面SSの形状について説明する。化学的安定性の低い部分だけでなく化学的安定性の高い部分までもエッチングが顕著に進行するような、不適切な熱エッチング条件が用いられた場合(比較例の場合)、図16に示すように、平面視において直線性に乏しい側面SSzが形成されやすい。これに対して本実施の形態によれば、特定の結晶面が自己形成されることで、図17に示すように、平面視において直線性が高い側面SSを形成することができる。図18および図19のそれぞれに、比較例および実施例における炭化珪素層の顕微鏡写真を示す。
【0059】
なおMOSFET101のトレンチ6は平坦な底面を有するが、MOSFET101vのトレンチ6V(図20)のように、V字状のトレンチが設けられてもよい。この場合、MOSFETをより集積化することが可能である。
【0060】
(実施の形態2)
図21に示すように、本実施の形態の炭化珪素半導体装置としての、PiNダイオード102は、基板1と、n-エピタキシャル層42およびp+半導体層43を有する炭化珪素層とを有する。基板1はn型の導電型を有する。n-エピタキシャル層42は、n型の導電型を有し、基板1の導電型不純物の濃度よりも低い不純物濃度を有する。p+半導体層43は、n-エピタキシャル層42上に設けられている。上記炭化珪素層には、頂面としての主表面TSと、側面SSとを有するメサ構造44が形成されている。炭化珪素層は、このメサ構造44を取り囲むように、n-エピタキシャル層42からなる表面を有し、この表面上には、ガードリング45が設けられている。ガードリング45は、p型の導電型を有する。
【0061】
側面SSは、特定の結晶面(たとえば{03−3−8}面)により構成されている。つまり、メサ構造44は、上述した特定の結晶面({03−3−8}面)と等価な6つの面を有する。
【0062】
PiNダイオード102は、炭化珪素層の主表面TSと基板1との間において炭化珪素層の厚さ方向(図中、縦方向)に沿った電流経路を有する。この場合、側面SSは、PiNダイオード102の両端に対応する主表面TS側および基板1側の間に位置する。よって、炭化珪素層の表面を経路とするリーク電流は、側面SS上を通る。側面SSが、上述したようにより特定の結晶面に近い面方位を有するものとされることで、側面SS上における電流の流れやすさを安定的に抑えることができる。これによりダイオード102のリーク電流を安定的に低い値に抑えることができる。また上記特定の結晶面が界面準位密度の低いものとされることで、安定的にリーク電流を抑えることができる。
【0063】
次に、PiNダイオード102の製造方法について説明する。基板1が準備される。基板1としてはたとえば結晶型が六方晶の炭化珪素からなる基板が用いられ得る。この基板1の主表面上にエピタキシャル成長法を用いてn-エピタキシャル層42が形成される。このn-エピタキシャル層42の表側に、p型を付与するための不純物イオンが注入されることにより、p+半導体層43となるべきp型の半導体層が形成される。
【0064】
その後、メサ構造44となるべき領域に、シリコン酸化膜からなる島状のマスクパターンが形成される。このマスクパターンの平面形状はたとえば六角形状としてもよいが、他の任意の形状(たとえば丸や四角など)としてもよい。そして、このマスクパターンが形成された状態で、p+半導体層43およびn-エピタキシャル層42が部分的にエッチングにより除去される。この結果、マスクパターンの下にメサ構造44となるべき凸部が形成された状態となる(実施の形態1の図7に対応)。
【0065】
次に実施の形態1と同様の熱エッチングにより、凸部の側面をエッチングすることで、側面SSが形成される。その後、マスクパターンが除去される。次にイオン注入によってガードリング45が形成される。次に、活性化アニール処理が行なわれる。活性化アニール処理においては、少なくとも側面SSを覆うようなキャップ層を形成することなく加熱処理が行われてもよい。
【0066】
以上によりPiNダイオード102が得られる。
なお図22に示すように、JTE(Junction Termination Extension)領域46が設けられたPiNダイオード102vが用いられてもよい。JTE領域46はp型の導電型を有し、p+半導体層43につながるようにn-エピタキシャル層42上に配置されている。
【0067】
なお、本明細書において、側面SSが{03−3−8}面、{01−1−4}面および{100}面のいずれかを含む、という場合には、側面SSを構成する結晶面が複数存在し、それらの複数の結晶面が{03−3−8}面、{01−1−4}面および{100}面のいずれかを含む場合を含んでいる。以下、側面SSが{03−3−8}面と他の面とを含む場合を例にして具体的に説明する。
【0068】
図23に示すように、側面SSは、微視的には、たとえばトレンチ6の側面において、面方位{0−33−8}を有する面56aと、面56aにつながりかつ面56aの面方位と異なる面方位を有する面56bとが交互に設けられることによって構成された、化学的に安定な面であってもよい。ここで「微視的」とは、原子間隔の2倍程度の寸法を少なくとも考慮する程度に詳細に、ということを意味する。好ましくは面56bは面方位{0−11−1}を有する。また、図23における面56bの長さ(幅)は、たとえばSi原子(またはC原子)の原子間隔の2倍であってもよい。
【0069】
なお上記においては、MOSFETおよびPiNダイオードについて特に詳しく説明したが、炭化珪素半導体装置はこれらに限定されるものではなく、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。また上述した構成におけるp型とn型とが入れ替えられた構成が用いられてもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の特許請求の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 基板、2 耐圧保持層、3 p型ボディ層、4 n型ソースコンタクト層、5 コンタクト領域、6,6V トレンチ、7 電界緩和領域、8 ゲート絶縁膜、9 ゲート電極、10 層間絶縁膜、11 開口部、12 ソース電極、13 ソース配線電極、14 ドレイン電極、15 裏面保護電極、17 マスク、19 炭化珪素層、42 n-エピタキシャル層、43 p+半導体層、44 メサ構造、101 MOSFET(炭化珪素半導体装置)、102 PiNダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層を形成する工程と、
前記炭化珪素層の前記主表面の一部を覆うマスクを形成する工程と、
前記主表面に対して傾斜した側面が前記炭化珪素層に設けられるように、前記マスクが形成された前記炭化珪素層の前記主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングを行う工程とを備え、
前記熱エッチングを行う工程は、前記塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記熱エッチングを行う工程は、減圧雰囲気下で行われる、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層を形成する工程と、
前記炭化珪素層の前記主表面の一部を覆うマスクを形成する工程と、
前記主表面に対して傾斜した側面が前記炭化珪素層に設けられるように、前記マスクが形成された前記炭化珪素層の前記主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングを行う工程とを備え、
前記熱エッチングを行う工程は、減圧雰囲気下で行われる、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記減圧雰囲気は大気圧の1/10以下の圧力を有する、請求項4に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記熱エッチングを行う工程は、前記塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる、請求項4または5に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
基板上に、主表面が設けられた炭化珪素層を形成する工程と、
前記炭化珪素層の前記主表面の一部を覆うマスクを形成する工程と、
前記主表面に対して傾斜した側面が前記炭化珪素層に設けられるように、前記マスクが形成された前記炭化珪素層の前記主表面に対して、塩素系ガスを用いた熱エッチングを行う工程とを備え、
前記熱エッチングを行う工程は1000℃以上で行われる、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記熱エッチングを行う工程は、前記塩素系ガスの分圧が50%以下である雰囲気下で行われる、請求項8に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記熱エッチングを行う工程は、減圧雰囲気下で行われる、請求項8または9に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記炭化珪素層の前記側面上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記炭化珪素層の前記側面に対向するゲート電極を形成する工程とをさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記炭化珪素半導体装置は、前記炭化珪素層の前記主表面と前記基板との間において前記炭化珪素層の厚さ方向に沿った電流経路を有するダイオードである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−110243(P2013−110243A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253614(P2011−253614)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【Fターム(参考)】