説明

炭水化物ラクトン重合体

【解決手段】 本発明は新規な炭水化物ラクトン系官能化脂肪族ポリエステル及びそれから形成され共重合体,更に再生可能な資源からの作製のためのプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な炭水化物ラクトン系官能化脂肪族ポリエステル及びそれから形成された共重合体,更に再生可能な資源からこれらを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能資源,特にバイオマス(生物学的資源から誘導される物質)は,多くの応用における使用において,例えば,化学的および重合物の生産用の租物質としての使用のための石油化学物質の魅力的代替物である。再生可能資源は,石油化学供給,価格,環境へのインパクト,及び持続可能性についての問題点を克服することが求められる。更に,生体由来物は,しばしば生体適合性があり,生体吸収可能であり,さらに生体消化可能である。そのような生体由来の物質の例は,バイオマス,例えばコ−ン又はショ糖ビ−トから誘導される乳酸の開環重合化によって製造されるポリ乳酸塩である。乳酸塩は良好な機械的及び物理的特質を有し,専門化された医薬品のみならず,パッケージング物質を製造する際に使用され得る。かくして,乳酸塩は,重合体の生産のための石油化学製品の使用のためにより環境的に健全で且つ持続可能な代替物としてのバイオマスの潜在能力に脚光を浴びせることとなる。しかしながら,乳酸塩は高いガラス転移温度(Tg)を有し,さらに化学的官能基を欠いており,その結果疎水性で劣化が遅く,これがその応用を限定し,更に廃棄を複雑化する。又,乳酸塩を適用する際,乳酸塩はその高い結晶度,脆弱性,全体の吸収の欠如,及び熱的安定性を有するため適切ではない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
官能化された脂肪族ポリエステルを用いることで,有用な乳酸塩を特定する可能性が広がった。しかしながら,官能化された脂肪族ポリエステルは,現在広く入手可能でない。官能化されたラクトンの環開重合化は,その工程を良く制御できるため,官能化された脂肪族はポリエステルの作製のために有益であると考えられる方法である。官能化されたラクトンの作製及び重合化に取り組む以前の報告は,錯体,マルチステップラクトン合成,および適度な収率によって,妨げられてきた。また,これらの以前の試みにおいては,ラクトン単量体環状歪は重合体を生産するには不十分であった。これらの例において,官能化されたラクトン単量体は,高い歪環に共重合化され,結果的に得られる共重合体における官能化された基の一体化は低い(マルシンシノ−バ−ベナブディラフ等,保護されたD−グルコニック酸で位置3で置換された1,4−ジオキサン−2,5−ダイオンズに関するバイオマクロ分子2001,2,1279−1284;クマ−ル等,テトラ−メチル−D−グルコノ−1,6ラクトンに関するマクロ分子2002,35,6835−6844;及びピニ−ラ等,D−キシロ−スから誘導された環状カーボネート単量体に関する炭水化物Res.2003,338,549−555)。更に,再生可能な資源から誘導された官能化されたラクトンの開環重合化の例はほとんど存在しない。
【0004】
カーボネート1,5ラクトンは再生可能な資源,低価格及び安全(低毒性)から誘導される開環重合化のための魅力的な単量体としての潜在能力を有している。しかしながら,それらの重合化への言及は非常に限定されている。1927年,ハワ−スは,わずかなアセチル塩化物を含む密封した容器内で数週間の間放置された時,トリ−O−D−アラビノ−1,5−ラクトンが「ポリメライド」と名付けられた見かけ上アモルファスマスである固体を形成すべく反応したことを観察した(ドリュウ,H.D.K.等,化学学会誌報 1927,775−779)。10年の後,スタ−チおよび金属錯体によって触媒化された開環重合体から生産されたテトラ(2−,3−,4−,6−)置換D−ブルコノラクトンの生産物が報告された(JP 2002167430)。両者のリポ−トにおいて,生産物の特徴は限定されている。また,最近の仕事はテトラ(2−,3−,4−,6−)置換D−ブルコノラクトンへの限定を強調した。特定的にテトラ−O−アセチル−D−グルコノラクトンを重合化する試みは成功せず,その代わりに3量体の生産によくても導かれた(ハイダ−およびウイリアムズ重合体学会誌報. 2008,46(8,2891−2896)。また,多くの金属錯体(例えば亜鉛又はアルミニュウム化合物に基づく金属錯体)は,重合化へと言うよりむしろラクトンの分解に導いた。錫触媒を用いた時のみ3量体が獲得され,さらに3量体の生産物が亜鉛種の存在の下で安定していなかった。テトラ−O−メチル−D−グルコノラクトンは,金属錯体の存在の下で分解されることも判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ故,この技術分野において,低いガラス転移温度を有すると共に,急速に劣化可能である重合体の生産を可能にする再生可能な資源からの生体由来のポリマーの生産のための改善されたプロセスを提供する必要が生ずる。従って,本発明は容易に入手可能な炭水化物から生産できると共に,制御された開環重合化反応により得ることが可能であり,生体由来の重合体として有用である官能化されたポリエステル又は共重合体を形成する官能化されたラクトン化合物を提供する。
【0006】
従って,最初の側面において本発明は,単量体から形成される重合体(ポリマー)を提供するもので,ここで各単量体は式(I)のラクトン化合物を含む。
【0007】
【化1】

【0008】
式(I)
ここで,Rは水素,アルキル,ハロアルキル,アシル,エステル,アリール,ヘテロアリール,アルキルアリール,アルキルへテロアリール,シリル,スルフォニル,薬剤分子又はペプチドから選択され;
は水素又はOR1’であり;
はメチル又はCHOR1”であり;
ここで,R1’およびR1”は双方ともRに対して定義されたと同一の基から選択されるものであり,さらにR,R1’およびR1”はそれぞれ同じであっても異なってもよい。
【0009】
好ましくは,アルキルはMe,Et又はiPrである;アルキルアリールはベンジルである;アシルは−C(O)CH又はC(O)CFである;エステルはC(O)OBu又はC(O)OC1511(Fmoc);アリールはフェニルである;シリルはSiMeである;スルフォニルはトシル(CSO)である。
【0010】
好ましくは,Rがメチルであるとき,RはOR1’でない。
【0011】
好ましい実施の態様において,Rは水素であり,Rがは−CHOR1”である。好ましくは,RおよびR1”はアシルである;より好ましくは,Rは−C(O)CHである;Rは水素及びRは−CHOC(O)CHである。
【0012】
他の好ましい実施の態様においては,Rは水素であり,更にRはメチルである。好ましくは,Rはアシルである。より好ましくは,Rは−C(O)CHである。
【0013】
なお他の好ましい実施の態様においては,R,はOR1’およびRは−CHOR1”である。好ましくは,R,R1’およびR1”はアシルである。より好ましくは,R,R1’およびR1”は−C(O)CHである。
【0014】
式1のラクトン単量体間で生ずる重合化反応は,線状重合体と環状ポリマー(マクロサイクル)との双方の形成に繋がることが出来る平衡反応であってもよい。本発明のラクトン化合物の重合化が一度平衡状態に達すると重合体に対する単量体の%転化率に依存して環状体線状の正確な比率で,混合物内の線状重合体の比率よりも環状重合体の比率が大きいことが決定された。線状重合体及び環状重合体は,溶媒を用いた分留により分離することが可能である。このことは沈殿物としての環状重合体の単離を可能とする。
【0015】
かくして,好ましい実施の態様においては,前記重合体は環状重合体と線状重合体の混合物として提供され,ここで前記線状重合体及び環状重合体はそれぞれ以下の構造式を有する。
【0016】
【化2】

【0017】
ここでnは1と60の間の数であり,R,RおよびRは前記で定義したと同じであり,星印(*)によって示される線状重合体の端末はOH又はORであり,Rはアルキル又はアルキルアリールである。前記OR末端基は重合化プロセスにおいて使用される重合化開始剤によって提供され,前記重合体を形成するようにしてもよい。
【0018】
より好ましい実施の態様においては,前記混合物は(重量%で)線状重合体より環状重合体のより大きな比率を含む。
【0019】
好ましくは,前記重合体は平均分子量Mnが700から13,000である。他の実施の態様においては,前記重合体は,700から800のMnを有するオリゴマー生産物である。
【0020】
他の実施の態様においては,本発明は単離された環状重合体を提供する。この環状重合体に対しては,nは好ましくは3と24の間の数(例えば7)である。
【0021】
他の実施の態様においては,本発明は以下の式の前記線状重合体を提供する。
【0022】
【化3】

【0023】
ここでnは1から60の数であり,好ましくは3から60の数である。
【0024】
環状重合体は低いガラス転移温度を有する傾向があり,さらに(可塑剤としての)他の重合体との配合の為に好適である。
【0025】
前記開環重合化はよく制御される。このことは重合化の度合いと狭い多分散系指数(PDIs)でMn(分子量)における観測された線形的増加によって実証された。制御された重合化は,それがMnの正確な予測を可能にするため生体由来の重合体の応用及び前記重合化反応の化学量論からの重合体の性質にとって重要である。
【0026】
本発明の重合体はホモポリマーであってもよく,ここでこのホモポリマーは単量体から誘導され,この各単量体は式(I)の乳酸塩化合物である。そうでなければ,前記重合体は前記式(I)の1個又はそれ以上の乳酸塩及び1個又はそれ以上の単量体から形成される共重合体であってもよい。
【0027】
かくして,更に異なる実施の態様においては,本発明の前記重合体は,本発明の乳酸塩化合物,及び好ましくはラクチド,グリコライド,カプロラクトン,バレロラクトン,ブチロラクトン及びトリメチレン,カーボネートから選択された公知の乳酸塩又は環状カーボネートから形成された共重合体である。好ましくは,前記共重合体はブロックコ−ポリ(エステル)又はランダムコ−ポリ(エステル)である。
【0028】
前記共重合体は以下の式によって表現することが出来る。
【0029】
【化4】

【0030】
ここでモル分率xは0.5%から20%の間にあり,モル分率yは80%から99.5%の間にあり,さらにR,R,およびRは本発明の第1の側面に関して定義されたものと同一である。
【0031】
前記共重合体はランダム共重合体(すなわちxとyの繰り返し単位のランダムな繰り返しによって製造される)又は(架橋されたホモポリマーサブユニットすなわちx単量体を含むサブユニットとy単量体を含むサブユニットを含む)ブロック共重合体であってもよい。
【0032】
好ましくは,重合体は本明細書で定義されたように式(1)のラクトン化合物,およびラクトン酸塩(R−ラクトン酸塩),さらにラセミ体−ラクトン酸塩,より好ましくはS−ラクトン酸塩又はrac−ラクトン酸塩から形成された共重合体である。
【0033】
【化5】

【0034】
ここで前記ランダム共重合体内のモル分率xは0.5%と20%との間に存在し,モル分率yは80%と99.5%の間に存在する。ここでR,RおよびRは本発明の第1の側面について前記で定義され,さらに又*によって表現される共重合体の終端はオキソ(oxo)端(末端)におけるOH(前記したような構造式の右手側の端)にあり,ORはカーボネート末端にあり,ここでRはアルキル又はアルキルアリールである。前記OR末端基は重合化プロセスにおいて使用される重合化開始剤によって提供され,前記重合体を形成してもよい。好ましくは,前記共重合体はランダム共重合体である。
【0035】
前記共重合体内の全体の単量体繰り返し率すなわちxプラスyの総計は好ましくは少なくとも20,例えば20から740である。
【0036】
好ましくは,前記共重合体のMnは10,000から100,000である。
【0037】
好ましくは,前記共重合体内のラクトン化合物のロ−ディングは(重量)で25%に達する。より好ましくは,前記共重合体内のラクトン化合物のロ−ディングは20%から25%である。このロ−ディングは前記共重合体のH NMRスペクトルの積分によって,特定的に,例えば第2のラクトン又は環状カーボネートからのピ−クで環状開放ラクトンから生ずる重合体の各ピ−クの積分値を除算することによって決定することが出来る。
【0038】
更に異なる実施の態様において,本発明は本発明のラクトン化合物の重合化から形成された重合体バックボーン,および前記ラクトン単量体上に存在する官能基に接合された第2の重合体を含むグラフト共重合体を提供する。このグラフト共重合体は,たとえばグラフト コポリエステル,グラフト コポリ(エステル−アクリレート),又はグラフト コポリ(エステル ペプチド)であってもよい。
【0039】
前記第2のラクトンが乳酸塩である前記で記述した共重合体の実施の態様の特徴は,グリコライド,カプロラクトン,バレロラクトン,ブチロラクトン又は環状カーボネート,好ましくはトリメチレンカーボネートから選択されたラクトンで前記式(I)のラクトン化合物の共重合体にも適用される。
【0040】
第2の側面では,本発明は前記式(I)のラクトン化合物の重合化のためのプロセスを提供し,ここでこのプロセスは前記式(I)のラクトン化合物を金属の開始剤にさらし,次いで開環重合体反応を生じさせる。
【0041】
ある好適な実施の態様においては,前記開始剤配位挿入構造を経由して前記ラクランの環状開放を引き起こすことによって重合化を開始するルイス酸性金属アルコキシド錯体である。このラクトンは前記ルイス酸性金属アルコキシド錯体を配位づけして,前記カルボニル炭素におけるラクトンを活性化すると共に攻撃する錯体となる。アシル結合の開烈は次いでサイクルが再開始できる新たな金属アルコシド種の環状開放および生成となる。好ましくは,前記開始剤は錫(II)アルコキシド錯体および錫(II)カルボキシレ−ト錯体+アルコール(例えばSn(II)オクタノエ−トおよびアルコールの2個の等価物又はジオール基の1個の等価物(例えば,メタノ−ル,ベンジル アルコール,ブタネ ジオール〕又はSn(ONa));亜鉛アルコキシド錯体(リガンドを含む錯体およびリガンドを含まない錯体(ホモレプテック錯体);アルミニウム アルコキシド錯体;チタン アルコキシド錯体;ジルコ二ウム アルコキシド錯体;アルカリ土類アルコキシド錯体;イットリウムアルコキシド錯体;ランタンアルコキシド錯体;およびカルシウム アルコキシド錯体から構成される基から選択される。
【0042】
好ましくは,開始剤は,例えば式Sn(OR)の錫アルコシド開始剤又は式LZnORの錫アルコシド錯体であり,ここでRはアルキル又はアルキルアリールであり,更にLは亜鉛配位リガンドである。好ましくは,Rはエチル,イソプロピル,ブチル,メチル又はベンジルである。かくして,前記亜鉛アルコシド錯体は,例えば亜鉛エトキシド,亜鉛イソプロポキシド,亜鉛メソキシド,又は亜鉛ベンジロキシドを含むことが出来る。より好ましくは,前記亜鉛アルコキシド錯体は式LZnORであり,ここでこの式のRはアルキルであり,さらにLは亜鉛配位リガンドである。
【0043】
【化6】

【0044】
ここでRは水素,アルキル(例えばtBu,Me),アルコキシ(例えば,OMe),ハロゲン(例えばF,Cl,Br),NO,NH,アルキラミン,又はジアルキラミン(例えばMMe)であり;更に各Rは独立的に水素,アルキル(例えばMe,Et,iPr),アルキルアリール(例えばベンジル)又は(例えばフェニル)である。
【0045】
好ましくは,RはtBuであり,そして前記におけるそれぞれのRはMeである。
【0046】
より好ましくは,前記開始剤は式LZnOEtを有する亜鉛エトキシド錯体であり,好ましくはここでLは前記に示す式を有する。
【0047】
好ましくは,前記重合体化開始剤は前記重合体のカルボニル基に隣接した,この重合体の末端基を提供し,前記開始剤によって提供される−C(O)OR,ORで前記重合体を終端させる。
【0048】
好ましくは,前記重合化は,穏やかな条件の下で,すなわち25から100°Cの温度において塩素化溶媒(例えばCDCl),エ−テル溶媒(例えばTHF)又は芳香族溶媒(例えばトルエン)内のラクトン化合物の濃度0.5Mから2Mで行われる。そうでなければ,前記重合化は溶媒の存在なしで25から100°Cで実施されてもよい。
【0049】
好ましくは,前記重合化は25°CでCDClにおけるラクトン化合物1M濃度で実行される。
【0050】
有益的には,穏やかな重合化条件の使用は商業的なプロセスにとって有益であり,低いエネルギ−入力を要すると共に,取り扱いおよびサンプリングの容易さも促進する。また,穏やかな重合化条件は厳しい条件で観察されるであろうよりも重要なことであるが重合体のより少ない劣化となる。また,前記重合化は平衡反応であるため,より高いMnの重合体は低い温度を使用して可能である。最後に,例えばここで使用される穏やかな条件は高感度な分子(例えば薬剤,ペプチド,細胞成長因子)の一体化を可能にする。前記重合化が厳しい条件を要求した場合,この重合化は前記重合体構造式の中で有用ではあるが高感度の分子を含むように実行可能ではないであろう。
【0051】
好ましい実施の態様においては,式(I)のラクトン単量体の分子量をベ−スとして,その比率は,開始剤が130:1から20:1であり,好ましくは130:1から30:1であり,また好ましくは70:1から20:1であり,より好ましくは65:1から30:1である。
【0052】
好ましい実施の態様においては,前記プロセスは式(I)のラクトン化合物および第2のラクトン化合物,又は環状カーボネートを金属開始剤に露出させ,さらに共重合化を生じさせることである。
【0053】
好ましくは,共重合化の前記プロセスは,式(I)のラクトン化合物の混合物を第2のラクトン化合物又は環状カーボネートを用いて提供し,この混合物を金属開始剤に露出させ,開環重合体反応を生じさせてランダムな共重合体を生産することからなる。好ましくは,前記ラクトン化合物は(ラクチド,グリコライド,カプロラクトン,バレロラクトン,ブチロラクトンから選択される。好ましくは,前記環状カーボネートはトリメチレンカーボネートである。好ましくは,第2のラクトン化合物はラクチド(R−ラクチド,S−ラクチド,メソ−ラクチド(R,S−ラクチド)又はrac−ラクチド,より好ましくはS−ラクチド又はrac−ラクチド)である。
【0054】
他の好ましい実施の態様においては,共重合化のための前記プロセスは式(I)のラクトン化合物を金属開始剤に露出させ,ブロック共重合体を生産すべく第2のラクトン化合物,又は環状カーボネートの添加に続いて開環重合化反応を生じさせることからなる。好ましくは,前記第2のラクトン化合物はラクチド,グリコライド,カプロラクトン,バレロラクトン,ブチロラクトンから選択される。好ましくは,前記環状カーボネートはトリメチレンカーボネートである。好ましくは,前記第2のラクトン化合物はラクチド(R−ラクチド,S−ラクチド,メソ−ラクチド(R,S−ラクチド)又はrac−ラクチド,より好ましくはS−ラクチド又はrac−ラクチド)である。
【0055】
前記重合化プロセスが共重合化であるところでは,好ましい実施の態様において,式(I)のラクトン単量体,すなわち第2のラクトン又は環状カーボネートのモル比率が1:1から1:1000である。
【0056】
好ましい実施の態様において,式(I)のラクトン化合物は,以下に示すように,発明の第3の側面のプロセスに従って生産される。
【0057】
本発明は上述した重合プロセスによって生産される重合体を包含する。
【0058】
第3の側面において,本発明は上述したような式(I)のラクトン化合物を提供する。このラクトン化合物は,容易に入手可能な生物学的資源(炭水化物)から生産可能であり,かくして本発明のラクトン及び重合体はバイオ物質(生物学的資源から誘導された物質)であり得る。
【0059】
第4の側面において,本発明は式(I)のラクトン化合物の作製のためのプロセスを提供し,このプロセスは:
a)式IIのテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ,式IIIa又は式IIIbの化合物を形成する。
【0060】
【化7】

【0061】
b)さらに,任意で,IIIaの化合物を塩基と反応させIVの化合物を形成してもよい。
【0062】
【化8】

【0063】
c)水素添加分解により,式IIIa又はIVの化合物を還元し,式(I)の化合物を形成する。
【0064】
【化9】

【0065】
ここでR,R1’,R1”,RおよびRは,本発明の第1の側面に関して定義されたと同様であり,更にRはRに対して定義されたと同様である。
【0066】
工程 a)において二重脱離反応は式(IIIa)の化合物に達するように生ずる可能性があり,又は単一の脱離が式(IIIb)の化合物に達するよう生ずることが出来る。単一又は二重の脱離が生ずるか否かは塩基の強度を制御することによって制御可能である。より穏やかな塩基の使用は,脱離反応が1つの基にのみ生ずることを確実にする。
【0067】
前記任意の工程 b)は式(I)の望ましい化合物において,Rがメチルであるところで実行される。この工程は,好ましくは,式IIIaの化合物をさらし,第3の脱離を生じさせるために過剰期間,塩基を過剰にする。
【0068】
かくして,ある実施の態様においては,式(I)のラクトン化合物の作成のためのプロセスが提供され,ここでRは−CHOR1”であり,さらにRは水素であり,このプロセスは:
a) 式IIのテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ式IIIaの化合物を形成し;
b) 水素添加分解による式IIIaの化合物を還元し,式Iの化合物を形成する工程を含み,ここでRは−CHOR1”であり,さらにRは水素である。
【0069】
択一的な実施の態様においては,式(I)のラクトン化合物の作成のためのプロセスが提供され,ここでRはメチルであり,さらにRは水素であり,このプロセスは:
a) 式IIのテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ,式IIIaの化合物を形成し;
b) 式IIIaの化合物をさらに塩基と反応させ,式IVの化合物を形成し;
c) 水素添加分解による式IVの化合物を還元し,式(I)の化合物を形成する工程を含み,ここでRはメチルであり,さらにRは水素である。
【0070】
好ましくは,前記工程b)は式IIIaの化合物を露出させ,延長された期間塩基を過剰化する。好ましくは,各工程a)およびb)は単一の反応工程に短縮され,ここで式IIIaの化合物は本来の場所における中間物として形成されるが,しかしながら単離されない。
【0071】
さらに他の択一的な実施の態様においては,式(I)のラクトン化合物の作成のためのプロセスが提供され,ここでRは−CHOR1”であり,さらにRは−CHOR1’であり,このプロセスは:
a) 式IIのテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを穏やかな塩基と反応させ式IIIbの化合物を形成し;
b) 水素添加分解による式IIIbの化合物を還元し,式Iの化合物を形成する工程を含み,ここでRは−CHOR1”であり,さらにR−CHOR1’である。
【0072】
好ましい実施の態様においては,式IIIa,IIIbおよびIVの化合物を形成すべく実行された前記脱離工程は溶媒を用いて,又は溶媒を用いることなく,塩基の存在の下で実行される。好ましくは,この塩基はトリメチルアミン又はピリジンである。溶媒が存在するところでは好ましくは,それはメチレン塩化物である。
【0073】
好ましくは,水素添加分解はH,Pd/C触媒および溶媒の存在の下で実行される。この溶媒は好ましくはエチル酢酸塩である。
【0074】
上述したプロセスはそのまま適用され,さらにラクトンの高い収率を導く。このことは多くの工程をしばしば含み,非常に低い全体の収率を有し,さらに前記ラクトンの困難で低い算出純化を含んでいる従来の合成法に対して有益である。また以前に官能化された重合体は再生可能な資源から共通に製造されていなかった。このプロセスは,まさに2個の反応工程を要求し,その双方は>90%に導くことが出来る。さらに,ラクトン化合物の純化はそのまま適用される。加えて,前記D−グルコノラクトン 開始物質は,比較的廉価で再生可能な資源(グルコ−ス)から誘導される。
【0075】
好ましい実施の態様においては,式IIのテトラ−O−置換(R)−グルコノラクトンはD−グルコノラクトンから誘導される。好ましくは,前記プロセスは更に式R*C(O)OC(O)R*(例えば酢酸無水物)の化合物でD−グルコノラクトンのアセチル化反応によって,グルコノラクトンから式IIの前記テトラ−O−置換(R)−グルコノラクトンを作製する工程を更に有し,ここでR*はアルキル,ハロアルキル,アリール又はヘテロアリールであり,好ましくはアルキル又はハロアルキルであり,より好ましくはアルキルである。好ましくは式R*C(O)OC(O)R*の化合物を備えたD−グルコノラクトンの反応は,式IIIa,IIIb又はIVの化合物を形成すべく実行された前記脱離工程で単一反応工程へ短縮され,この単一反応工程ではD−グルコノラクトンが塩基の存在下で式R*C(O)OC(O)R*の化合物と反応して式IIIの化合物を生成する。本発明の目的のために,反応工程の短縮化は連続的な反応工程と共に結合して実施され,各反応工程によって生産される化合物の単離を避ける。有益には,単一反応工程へのアセチル化および脱離の短縮はかなり収率を増加させる。
【0076】
それ故,好ましい実施の態様では,式(I)のラクトン化合物の作製のためのプロセスが提供され,ここでR,R1’およびR1”はアシルであり,このプロセスは:
a) D−グルコノラクトンを塩基の存在下で式RC(O)OC(O)Rの化合物と反応させ,中間的な本来の場所のテトラ−O−置換(R)−グルコノラクトンを経由して式IIIa又はIIIbの化合物を形成し;
b) 付随的に更に式IIIaの化合物を塩基と反応させIVの化合物を形成し;
c) 水素添加分解による式IIIa又はIVの化合物を還元し,式(I)の化合物を形成する工程を備えている。
【0077】
本発明のある実施の態様においては,前記プロセスは,式IVの化合物の生産物に続く更なる工程を要求し前記望ましいラクトン化合物を生産する。ある実施の態様においては,前記の望ましいRがベンジルであるところでは,ベンジルは水素添加分解条件の下でへき開されて,その結果付加的な置換基交換工程が要求されるであろう。加えて,Rが水素であるところでは,置換基のデプロテクション/脱離の工程は要求され,前記のラクトン化合物に達するであろう。このことは置換基たとえばエステル(例えばt−Boc, Fmoc)又はスルフォニル(トシル)にとって実効可能である。
【0078】
他の好ましい実施の態様では,前記プロセスは式(I)の官能化されたラクトン上にペプチド又は薬剤分子を一体化する工程を含んでいる。このことは(R=Hを生産する)R置換基の除去,そして次いで薬剤/ペプチドを用いた反応によるか,又はそれを前記のラクトンへ取り付けるか,又は前記ラクトン化合物上に存在する置換基の1つを用いた前記薬剤/ペプチドの反応によって達成可能である。
【0079】
第5の側面で,本発明はバイオ物質(生物学的資源から誘導される物質)の生産のための発明の前記第1の側面に係る重合体の使用を提供する。好ましくは,発明の重合体(又はそれから誘導されるバイオ物質)はパッケージング物質,又はファイバーとして使用する場合は,この重合体は(又は生物物質)は医療用の応用のための使用も可能であり,この応用においては劣化可能で官能化された物質が好ましい;例えば劣化可能な縫合,ドレッシング,ステントおよびインプラントであり,前記重合体は組織工学のためのマトリックスとしての使用,又は薬剤供給のための賦形剤としての使用も可能である。本発明は従来の生体分解可能なパッケージング物質のためのインパクトモディファイア−として本発明の重合体(特に共重合体)の使用もまた提供する。
【0080】
第6の側面で,本発明はそれ故パッケージング物質,劣化可能な縫合等の医療デバイス,ドレッシング,ステント又はインプラント,組織工学のためのマトリクス,又は発明の第1の側面に係る重合体を含む薬剤供給のための賦形剤を提供する。
【0081】
発明の側面の各々のすべての特徴は,発明の他の側面に適用可能である。
【0082】
本発明は色々なやり方で実施可能であり,更に多数の特定の実施の態様が例によって記述され添付図面を参照して,本発明を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明のラクトン化合物のX−線結晶構造a)(酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3);及びb)6−メチル−2−オクソ−テトラハイドロ−2H−ピラン−3−イル酢酸塩を示す。
【図2】図2は酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3のH NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3のCOSYスペクトルを示す。
【図4】図4はCDClにおける酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3の13C{H}NMRスペクトルを示す。
【図5】図5は酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3のDEPT−135スペクトルを示す。
【図6】図6は酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3のHMQCスペクトルを示す。
【図7】図7は酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル3のNOESYスペクトルを示す。
【図8】図8はポリ(酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル)4のH NMRスペクトルを示す。
【図9】図9はポリ(酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−パピラン−2−イルメチル エステル)4の13C{H}NMRスペクトルを示す。
【図10】図10はポリ(酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル)4のMALDI質量スペクトルを示す。このスペクトルはジソラノル マトリックスおよびLiCl添加物を使って得られた。このスペクトルは60%の転化率で,開始剤:化合物3の1:100ロ−ディングするために得られた。開放円は,環状重合体を表し,さらに開放三角形はカルボキシル酸およびハイドロキシル基で末端が覆われた線形の鎖を表す。
【図11】図11はポリ(酢酸5−アセトキシ−6−オクソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル)4のためのSECのトレ−スを示す。このトレ−スは重合体(保留時間:800から1000秒)および単量体(1100秒)に基づく信号を示している。重合体化条件:[3]=1M,[LZnOEt]=0.01M,CHCl,25°C.SEC条件:CHCl,1mLmin−1,2個の混合したBカラム,ポリスチレン標準
【図12】図12は開始剤の種々のロ−ディングにおける化合物3から化合物4への%転化率対時間のプロットを示す。
【図13】図13は重合化の度合い(DP)対Mnのプロットを示す。
【図14】図14は化合物3のランダム共重合体(RP1)とCDClにおけるS−ラクチド(反応条件25°C,THF)のH NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
用語“comprises:含む”は,“includes among other things(他のものも含まれる)”を意味するものとして採用され,そして“consist only of(のみからなる)”として構成されるべきではない。
【0085】
本明細書において使用される用語“アルキル”は真っ直ぐな又は分岐した鎖であるアルキル基を意味し,好ましくは1から6の炭素原子を有する。特定的には“C1−6アルキル”の例は,メチル,エチル,n−プロピル−,イソ−プロピル,n−ブチル,イソ−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,1,1−ジメチルプロピル,1,2−ジメチルプロピル,2,2−ジメチルプロピル,1−エチルプロピル,n−ヘキシル,1−エチル−2−メチルプロピル,1,1,2−トリメチルプロピル,1−エチルブチル,1−メチルブチル,2−メチルブチル,1,1−ジメチルブチル,1,2−ジメチルブチル,2,2−ジメチルブチル,1,3−ジメチルブチル,2,3−ジメチルブチル,2−エチルブチル,2−メチルペンチル,3−メチルペンチル等を含むがこれらに限定されるものではない。
【0086】
本明細書で使用される用語“ハロアルキル”は1から3のハロゲン原子で置換された上述したようなアルキル基を意味する。特定的には,“C1−6ハロアルキル基の例は,フルオロメチル,ジフルオロメチル,トリフルオロメチル,フルオロエチル,ジフルオロエチル,トリフルオロエチル,クロロメチル,ブロモメチル,ヨ−ドメチル等を含むがこれらに限定されるものではない。
【0087】
本明細書で使用される用語“ハロゲン原子”はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,イオジン原子等,好ましくはフッ素原子又は塩素原子,より好ましくはフッ素原子を意味する。
【0088】
本明細書で使用される用語“アルコキシ”は前記で定義したような“アルキル”に結合されているオキシ基を意味する。特定的には,“C1−6アルコキシ基”の例は,メトキシ,エトキシ,n−プロポキシ,イソ−プロポキシ,n−ブトキシ,イソ−ブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ,n−ペンチロキシ,イソ−ペンチロキシ,sec−ペンチロキシ,n−ヘキシロキシ,イソ−ヘキシロキシ,1,1−ジメチルプロポキシ,1,2−ジメチルプロポキシ,2,2−ジメチルプロポキシ,2−メチルブトキシ,1−エチル−2−メチルプロポキシ,1,1,2−トリメチルプロポキシ,1,1−ジメチルブトキシ,1,2−ジメチルブトキシ,2,2−ジメチルブトキシ,2,3−ジメチルブトキシ,1,3−ジメチルブトキシ,2−エチルブトキシ,2−メチルペンチロキシ,3−メチルペンチロキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される用語「アルキルアミノ」は,上述したようなアルキル基で置換されるアミノ基を意味する。本明細書で使用される用語「ジアルキルアミノ」は,上述したような2個のアルキル基で置換されるアミノ基を意味する。
【0090】
本明細書で使用される用語「アリール」は,好ましくは6個から14個の原子によって構成されたアルキル基を意味し,さらにモノ環状基,バイ環状基,トリ環状基等を含む。特定的には,アリールの例はフェニル,インディニル,ナフチル等の濃縮環状基を含む。好ましくは,アリールはフェニルである。
【0091】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は,1個又はそれ以上の環状基原子はO,S又はNから選択されるヘテロ原子であるモノ環状,バイ環状,又はトリ環状系を意味する。好ましくは,ヘテロアリールは5から7であり,好ましくは,5から6の器官のモノ環状環,例えばピロ−リル,ピリジル,ピリダジニル,ピリミディミル,ピラジニル,トリアゾリル,テトラゾリル,ピラゾリル,イミダゾリル,チニ−ル,フリル,ピラニル,チアゾリル,イソチアゾリル,イソクサゾリル,フラザニル,オクサゾリル,オクサデアゾリル,ピラゾロオクサゾリル,イミダゾチアゾリル,フロピロ−リル,ピリドオクサジニル等である。
【0092】
本明細書で使用される用語「アルキルアリール」および「アルキルへテロアリール」すべて前記で定義したように,アリール又はへテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0093】
本明細書で使用される用語「アシル」は構造式−C(O)R*を有する基を意味し,ここでR*は前記で定義したようにアルキル,ハロアルキル,アリール,又はヘテロアリールである。好ましくは,R*はアルキル,ハロアルキル,アリール,ヘテロアリール,アルキルアリール,アルキルへテロアリールを意味する。より好ましくは,R*はアルキル,又はハロアルキルである。最も好ましくは,R*はアルキルである。
【0094】
本明細書で使用される用語「エステル」は,構造式−C(O)OR*を有する基を意味し,R*は前記で定義したようである。ある実施の態様では,エステルはBuOCO又はFmоcであっても良い。
【0095】
本明細書で使用される用語「スルフォニル」は構造式−S(O)R*を有する基を意味し,ここでR*は前記で定義したようである。
【0096】
本明細書で記載されるアリール基,アルキル基,ヘテロアルキル基の各々は,C1−6,アルキル,ニトロ,アミノ,アルキルアミノ,ジアルキルアミノ,およびハロゲンから独立に選択された1個又はそれ以上の置換基で非置換されるか,置換されても良いことが理解されるべきである。
【0097】
本発明の炭水化物ラクトンは,スキ−ム1によって表現される商業的に入手可能なD−グルコノラクトンから単純で,高い収率の工程で作製可能である。工程a)では,D−グルコノラクトン1は酢酸アンハイドライドおよび塩基で反応によって定量的に化合物2に転化される。化合物2は次いで水素添加分解によって,再び定量的(>95%)の収率で生産されたラクトン3に還元される。このラクトンは,開環重合化反応において,次いで重合化される。これはスキ−ム1において示される。
【0098】
【化10】

【0099】
スキ−ム1:3の合成およびその4への開環重合化,試薬と条件:a)AcO,ピリジン,80°C,1h,95%.b)H(50bar),Pd/C,EtOAc,75°C,24h,95%.c)LZnOEt,CDCl(3の1M溶液),25°C,48h
【0100】
本発明は次の非限定的実施例を参照して,以下例示されるであろう。
【0101】
(物質)
亜鉛エソキサイド錯体(LZnOEt)は作製され,そして文献(ウイリアムズ,C.K.等アメリカ化学学会誌報,2003,123,11350)に従って使用された。ジエチル エ−テルはナトリウムエチル酢酸からの蒸留によって乾燥され,そしてd−クロロホルムはカルシュウム水素化物から蒸留により乾燥された。全ての他の試薬および薬剤は,アルドリッヒ化学カンパニ−から購入され,そして受理されたように使用された。全ての操作は,シェレンクライン上又はMBraun窒素充填グロ−ブボックス内のいずれかで乾燥窒素雰囲気の下で,実行された。
【0102】
(測定)
NMRスペクトルはブルクナ−AV400およびAV500測定機器により得られた。CDClはNMR溶媒および参照化合物として使用された。基本的な分析は,ロンドン ハロウェ−Rdのロンドン首都大学のステファンボイヤ−氏によって行われた。SEC測定は,2個の重合体ラブ混合Dカラムと溶離剤としての1 mlmin−1の流速におけるTHFを用いて重合体ラブSEC60測定機器により達成された。狭い分子量ポリスチレン標準が前記測定を較正するために用いられた。
【0103】
例1−酢酸5−アセトキシ−6−オクサ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(3)
酢酸アンハイドライド及びピリジンを用いて反応により定量的に3−アセトキシ−6−アセトキシメチル−ピラン2−ワン(2)へのD−グルコノラクトン(1)の転化
D−グルコノ−1,5−ラクトン(6.00g,33.7mmol)は,1時間80°Cにおける酢酸アンハイドライド(20mL)および無水ピリジンを用いて掻き混ざる。この混合物は砕かれた氷(400mL)に降り注がれ,そしてCHCl(2×300mL)で抽出される。この組み合わされた有機層は,氷で冷やされた水(2×200mL),次いで乾燥され(MgSO,更に濾過された。この溶液は活性化された炭素で処理され,濾過され,さらに濃縮された。この生産物は,真空中で乾燥され,そしてイエロ−シロップ(7.30g,32.3mmol,96%)を産出した。H NMR(CDCl,400Hz)d:7.10(1H,d,H−H=7.09Hz),6.28(H,dd,H−H=7.16Hz,H−4),4.86(2H,s,H−6,H−6’),2.33,2.15(2×3H),2×s,COCH)ppm
【0104】
3−アセトキシ−6−アセトキシメチル−ピラン2−ワン(2)を還元して,酢酸5−アセトキシ−6−オキソ−テトラハイドロ−ピラン2−イルメチル エステル3の生産
3−アセトキシ−6−アセトキシメチル−ピラン2−ワン2(4.80mg,21.2mmol)は,エチル酢酸塩(50mL)内で分解され,Pd/C(0.20g,1.06mmol)に続いてパ−反応器に添加された。この混合物は水素の下で(5×10Pa)かき混ぜられ,さらに1日間75°Cまで加熱された。この生産物はセライトを介して濾過され,そして濃縮され色なしのシロップ(4.83g,21.0mmol,99%)を産出した。この粗生産物は,ジメチルエ−テルから繰り返された再結晶化によって純化され,次いで真空中で乾燥され,ホワイト結晶(2.44g,10.6mmol,50%)を産出した。
M.pt.93.5−94.5°C,C1014ためのAnal.Calcd:C,52.17%;H,6.13%判明;C,52.11%;H,6.17%.H NMR(400MHz,CDCl)d:5.44(1H,dd,H−H=17.08Hz,H−H=8.55Hz,H−2),4.65(1H,m,H−5),4.26(1H,dd,H−H=12.13Hz,H−H=3.54Hz,H−6),4.18(1H,dd,H−H=12.16,H−H=6.32Hz,H−6’),2.36(1H,m,H−3),2.19(3H,s,COCH),2.12(3H,s,COCH),2.07−1.88(3H,m,H−3’,H−4,H−4’)ppm.13C{H}NMR(125Hz,COCl)d:170.6,169.8,168.6(2×COCH,C−1),74.9(C−5),65.9(C−2),64.9(C−6),22.7,22.4(C−3,C−4),20.7(2×COCH)ppm.m/z(CI−アンモニアガス):248[M+NH].[a]=0°(CHCl,10mg/mL).IR(パラフィン)u:2959,1766,1732,1457,1377,1348,1099,1059,1036,976cm−1
【0105】
上述した水素添加分解反応ジアステレオ選択性であり,化合物3のシンエナンチオマ−だけを産出した。この化合物3は特定の回転の欠如によって及びX−線結晶学によって確立されたラセミック混合物として単離された。この化合物3のX−線結晶構造はボ−トコンフォメ−ションにおける炭水化物環状構造を示す(参照図1)。この船型はHH値およびH−2とH−5との間のNOESY NMRスペクトルにおける強い相関性によって確認されるように溶液内で維持される(図2,図3および図7)。
【0106】
実施例2 酢酸5−アセトキシ−6−オキソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル(3)の重合化によりポリ(酢酸−5−アセトキシ−6−オキソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イル−メチル エステル)(4)を生産すること
単量体3(0.138g,0.6mmol,1 eq)がCDCl(0.045ml)内で分解され,さらに開始剤原液(0.01eq CDClにおいて,下記に記述した構造式を有するインジケ−タ−LZnOEtの0.04M溶液の0.015mL)に続いてヤングのタップ菅内に添加された。
【0107】
【化11】

【0108】
前記重合化は1時間毎にH NMRによって監視された。3に対しては5.45ppm更に4に対しては5.00ppmで前記H−2信号の積分によって,また更に3に対しては4.65ppm4に対しては5.14ppmでH−5信号の積分によって,パ−セント転化率が決定された。前記重合化が平衡に達した後,4はジエチルエ−テル(3×30mL)内の繰り返された沈殿物によって純化され,さらに真空中で乾燥させられた。
H NMR(400MHz,CDCl)d:5.14(1H,bs,H−5),5.00(1H,H−2),4.28−4.05(2H,H−6),2.15(3H,s,COCH),2,09(3H,s,COCH),1.89(2H,H−3),1.72(2H,H−4)ppm.13C{H}NMR(125MHz,CDCl)d171.2−169.4(C=O),71.9−71.4(C−2),70.2−70.1(C−5),65.6−64.4(C−6),26.6−26.2(C−3,C−4),20.9−20.5(3×COCH)ppm.
【0109】
前記した開環重合体は単一のサイトの亜鉛開始剤(LZnOEt)で開始させられた。これらの重合化は25°CでCDClにおける3の1M濃度での穏やかな条件の下で行われた。
【0110】
前記各重合化はH NMRスペクトル法によって監視され,ここで資源の移行および拡大が観察された(化合物3に対しては図2から図7,さらに重合体4に対しては図8および図9)。前記13C{H}NMRはアタクティック重合体が形成されることを示す,C−1のための多重で重なった信号を示す。このことは同じ開始剤を使ってrac−乳酸塩の作製と合致している。パ−セント転化率は,H−2およびH−5に割り当てられた共鳴を積分することによって決定された。しかしながら,重合体4はH NMRスペクトルにおける末端基の共鳴を示さない。前記MALDI質料スペクトルは,主たる生産物が環状重合体であることを示す(図10)。カルボキシリック酸およびハイドロキシル末端基を備えた線状ポリエステルの主用でない比率も存在する。このアセテ−ト側基は,前記重合化が延長された期間の間平衡において放置されない限り,エステル化交換反応を受けることはない。前記SEC測定(図11)は重合体の形成に適合するが,しかしながら環状重合体に従って期待される(表1)よりも低いMnを与える。
【0111】
【表1】

【0112】
(表1)
化合物3の重合化のための測定 a)重合化条件はLZnOEt(1 eq) CDCl,25°C,[3]=1M; b)3および4のためのH−2およびH−5に基づく各信号の規格化された積分により,転化率はHNMRスペクトルにより決定された; c)THFにおけるSEC対ポリスチレン標準によって決定された; d)H NMRから誘導された重合化の度合いから計算された(値):Mn(calc.)=[(230×DP].
【0113】
前記重合化は平衡反応(図12)であり,そして表1は化合物3の転化および重合化の度合い(DP)は,開始剤LZnOEtのロ−ディングと共に変化する。前記高度な開始剤のロ−デングにおいて,重合化の度合いは約60に増加するが,前記開始剤濃度においては更なる減少を伴い,DPは一定に維持される。
【0114】
前記重合化は,極めて緩慢であり,平衡に達するに2日を要する。同じ開始剤は,類似の条件で乳酸塩を重合化するのに数分を要する。重合化の低いレ−ト対分子内エステル化交換反応は環状形成を支持することが可能である。いかなる場合も,開環重合体が1個以上の置換基でバレロラクトン誘導体のために通常支持されないので,化合物3は少しでも重合化することは著しい(カルザ−ス,W.H.等,アメリカ化学学会誌報,1932,761−772)。理論により拘束されたいと言う願いなしで,環状重合体を形成する化合物3の通常でないボ−トコンフォメ−ションおよび/又は化合物3の傾向は,重合化を可能にすることに貢献することが提案されている。開環重合化はDPと共にMnにおける線形的増加および狭い多分散指数によって,例示されるようにうまく制御される。制御された重合化は,Mnの正確な予測および重合化反応の化学量論的側面からの重合体の性質を可能にすると言う理由で,重合体の応用にとって重要である。
【0115】
ポリエステル4は,ポリラクタイドよりも有意味的に親水性である。このポリエステル4はそれに水が添加された際,膨張し約33°の水接触角度4を有する。それがアモルファスエラストマ−である場合には,前記DSCは溶融温度,さらに17°Cのガラス転移温度を有さない(図13)。しかしながら,この重合体は熱的に安定で,TGAは劣化が250°Cで開始することを示す。
【0116】
実施例3−6−メチル−2−オキソ−テトラハイドロ−2H−ピラン−3−イル アセテ−ト(4.25)
【化12】

【0117】
(a)AcO,ピリジン,80°C,1h,90%;(b)Pd/C(5%),H,EtN,70%.
【0118】
3−アセトキシ−6−アセトキシメチル−ピラン−2−ワン(2.2)
:D−グルコノ−1,5−ラクトン(6.00g,33.7mmol)は,1時間,80°Cで酢酸無水塩(20mL)および無水ピリジン(20mL)で掻き混ぜられた。この混合物は砕かれた氷(400mL)に降り注がれ,そしてCHCl(2×300mL)で抽出される。この組み合わされた有機溶媒は,氷で冷やされた水(2×300mL)で洗浄され,次いで乾燥され(MgSO),更に濾過された。この溶液は活性化された炭素で処理され,濾過され,さらに濃縮された。この生産物は,真空中で乾燥され,そしてダ−クイエロ−シロップ(7.30g,32.3mmol,96%)を産出した。H NMR(CDCl,400Hz)d:7.10(H,d,H−H=7.09Hz,H−3),6.28(1H,dd,H−H=7.16Hz,H−4),4.86(2H,s,H−6,H−6‘),2.33,2.15(2×3H,COCH),ppm.m/z(CI−アンモニアガス):244[M+NH].
【0119】
酢酸5−アセトキシ−6−オキソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル(2.3):
3−アセトキシ−6−アセトキシメチル−ピラン−2−ワン(2.2)(4.80g,21.2mmol)が,エチルアセテ−ト(50mL)内で分解され,更にPd/C(5%,0.2g)に続いてパ−反応器に添加された。この混合物は水素下で(5×10Pa)かき混ぜられ更に4時間75°Cまで加熱された。この生産物はセライトを介して濾過され,さらに前記溶媒は真空中で濾過された。色無しのシロップが得られた(4.83g,21.00mmol,99%).H NMR(400 MHz,CDCl) d 8.45(1H,dd,H−H=17.08Hz,H−H= 8.55Hz,H−2),4.65(1H,m,H−5),4.26(1H,dd,H−H=12.13Hz,H−H=3.54Hz,H−6),4.18(1H,dd,H−H=12.16,H−H=6.32Hz,H−6’),2.36(1H,m,H−3),2.19(3H,s,COCH),2.11(3H,s,COCH),2.07−1.88(3H,m,H−3’,H−4,H−4’)ppm.13C{H}NMR(125MHz,CDCl)d170.6,169.8,168.6(2×COCH,C−1),74.9(C−5),
65.9(C−2),64.9(C−6),22.7,22.4(C−3,C−4),20.7(2×COCH,)ppm.CI(NH):248(100%),306(30%),478(20%).m/z(CI−アンモニアガス):248[M+NH].[a]D=0°(CHCl,10mg/mL).Anal.C1014のためのCalcd:C,52.17;H,6.13.判明した:C,52.11;H,6.17.
【0120】
6−メチル−2−オキソ−テトラハイドロ−2H−ピラン−3−イルアセテ−ト(4.25):
酢酸5−アセトキシ−6−オキソ−テトラハイドロ−ピラン−2−イルメチル エステル(2.3)(2.30g,10.0mmol)がエチルアセテ−ト(50mL)の中で分解され,更にPd/C(5%,0.2g)およびトリエチルアミン(4.3mL,30.0mmol)に続いてパ−反応器に添加された。この混合物は水素下(5×10Pa)の下でかき混ぜられ,更に1日間50°Cで加熱された。この生産物はセライトを介して濾過され,更に前記溶媒は真空下で除去された。この粗生産物はCHCl(200mL)内で分解され,更に水(3×200mL)を用いて洗浄された。この溶媒は除去されて,さらに結果として得られる生産物は真空中で乾燥させられた。この結果的に得られるシロップは50°Cで真空の下で昇華されホワイト結晶(1.20g,7.0mmol,70%)を提供した。H NMR(400Hz,CDCl,)d 5.46(1H,dd,H−H=10.56Hz,H−H=8.87Hz,H−2),4.60(1H,m,H−5),2.36(1H,m,H−3),2.20(3H,s,COCH),2.12−2.00(1H,m,H−4),2.00−1.88(1H,m,H−3’),1.88−1.75(1H,m,H−4‘)1.42,3H,d,H−H=6.22Hz,H−6)ppm.13C{H}NMR(125MHz,CDCl)d 169.9,169.6(COCH,C−1),74.2(C−5),66.0(C−2),27.8(C−4),23.0(C−3),21.0(C−6),20.8(COCH)ppm.m/z(CI−アンモニアガス):190[M+NH].Anal.CH1のためのCalcd:C,55.81:H,7.02.判明した:C,55.81;H−7.05.
【0121】
単量体4.25の開環重合体(ROP):
【0122】
【化13】

【0123】
(a)ROP開始剤,例えばLZnOEt,RT,CDCl又はSn(OBu),80°C
【0124】
RTにおけるCDCl内のLZnOEtを用いた単量体4.25のROP:
【0125】
【表2】

【0126】
4.25のROPは種々の条件で調査された。亜鉛開始剤を使用すると,オリゴメトッリク生産物を産出した。各反応が著しくより遅いにもかかわらず,Sn(OBu)が開始剤として使用される際,類似の結果が得られた。単量体のロ−ディングおよび転化は前記Mnに影響を与えず,すべての重合体は類似のMn,即ち約700から800を示した。
【0127】
約80°Cでトルエンにおける開始剤としてのSn(OBu)を用いた単量体4.25の重合化
【0128】
【表3】

【0129】
実施例4−ランダム コ−ポリ(3−ラクチド)の作製
【0130】
【化14】

【0131】
化合物3(0.115g,0.5mmol)およびL−ラクチド(0.216g,1.5mmol)は,かき混ぜ器でオ−ブン乾燥アンプルの中に添加された。乾燥されたトルエン(1.5mL)に続いて(Sn(OBu)の原液(0.5mL,トルエン内で0.04M,0.02mmol)が添加された。前記アンプルは封止され,更にかき混ぜで80°Cまで加熱された。化合物3の重合体への転化率は80%に達し,そして(S−ラクチドとしても言及され得る)L−ラクチドの転化率は(H NMR分光計によって判断されるように)約98%であった。前記重合化はエ−テル内で沈殿している付加されたウエットCHCl(2mL)によって停止させた。この重合体は繰り返された溶解および沈殿(3x)によって純化され,そして真空の下で乾燥されホワイトソリッド(0.21g,63.4%)を製造した。H NMR(400MHz),d:5.0−5.3(216H,m,OCH(CH)CO,H−2,H−5);4.0−4.4(45H,m,H−6,H−6’);2.12−2.22(62H,d,COCH);2.04−2.12(68H,d,COCH);1.60−2.05(101H,m,H−3,H−3’,H−4,H−4’);1.45−1.60(590H,d,CHCH),0.91−0.97(6H,t,CH(CH)ppm.GPC(CHCl,1mL/分)Mn=10740,PDl=1.38.
【0132】
実施例5 重合体(3)とLZnOEtを用いたS−ラクチドのランダム コポリマーの作製
【0133】
【化15】

【0134】
(a)25°C,THF,LZnOEt(収率,56%−88%).
【0135】
化合物3(0.115g,0.5mmol)およびS−ラクチド(0.216g,1.5mmol)がかき混ぜ器を備えたオ−ブン乾燥バイアル内に添加された。LZnOEt(0.5mL,THF内の0.04M,0.02mmol)の原液は,乾燥させられたTHF(1.5mL)に続いて添加された。この溶液はNの下でかき混ぜられ,グロ−ブボックスから溶液を取り出すと共に,余剰のジエチルエ−テルに注ぎ込まれることによって約15分間の後消失させられた。これらの純化工程は,開始剤としてのSn(OBu)を用いた実験と同じであった。
【0136】
化合物3,(THF内の)1M S−ラクチド(LA)原液およびLZnOEt開始剤(Zn)原液(0.025M)が前記したような反応プロセスにおいて使用され種々のコポリマーRP1,RP2,RP3,RP4およびPSLA(ポリS−ラクチド)を生産した。
【0137】
【表4】

【0138】
かくして,ラクトンを有する重合体:100:200から10:290の反応混合物におけるラクチドロ−ディングは,これらの範囲の外側のロ−ディングを備えたコポリマーも本発明によって製造可能であり,更に包含されることが認識されるけれども,生産されることが理解される。RP1のために得られる前記H NMRスペクトルは以下のようであった。:H NMR(400MHz),d:4.9−5.6(m,OCH(CH)CO,H−2,H−5);4.0−4.4(m,H−6,H−6’);2.12−2.22(s,COCH);2.04−2.12(m,COCH);1.60−2.05(m,H−3,H−3’,H−4,H−4’);1.45−1.60(d,CHCH)ppm.分子量(Mn=33850,PDI=1.51)はGPC(CHCl,1mL/分)によって試験された。
【0139】
前記純化されたコポリマー(図14に示されるRP1のための代表例)のH NMRスペクトルは,単量体の重合化の相対比率と一致した反応化学量論に基づいて期待されたよりも3から誘導する繰り返し単位のより低いロ−ディング,および粗いH NMRスペクトルを示した。環状開放型の3およびS−ラクチドの相対的なロ−ディングは,(環状開放型3におけるC−6の上の2個のプロトンに基づく)4.0ppmから4.5ppmの重合体ピ−クおよび(環状開放型の3における各S−ラクチド単位毎の2個のメチンプロトンおよびH−2さらにH−5に基づく)4.9ppmから5.5ppmの重合体ピ−クを積分することによって計算された。表2は前記コポリマーにおける前記単量体(3:S−ラクチド)と環状開放型3の究極的なロ−ディングとの開始比率を示す。
【0140】
【表5】

【0141】
表2 コポリマー(P(1−r−SLA)のための特徴デ−タ(a)室温で,THFにおけるLZnOEtによって開始された3およびS−ラクチドの共重合化,[S−ラクチド]+[3]=1M.(b)開始剤への単量体のロ−ディング.(c)(環状開放型3,H−6およびH−6’)4.0ppmから4.5ppmの重合体ピ−クの積分値を(コポリマーピ−ク,2個のラクチド上のメチン,環状開放型3のH−2およびH−5)4.9ppmから5.5ppmの重合体のピ−クによって除算することによって決定されるコポリマーにおける環状開放型のモル比.(d)前記モル比から計算されるコポリマーにおける環状開放型3のモル比.(e)ポリスチレン標準を用いたGPC(CHCl)によって測定されたMn.(f)コポリマーの多分散指数。
【0142】
上述のプロセスは,rac−ラクチド(R−ラクチドおよびS−ラクチドの混合物)を用いで実施される。結果として得られるコポリマーのためのデ−タとしては,光学的性質のためのデ−タ以外のデ−タがS−ラクチドコポリマーのそれと同じであった。
【0143】
(熱的性質)
差分走査型カロリ−メ−タ(DSC)および熱的比重分析(TGA)を使用してコポリマー(RP)を特徴づけた。
【0144】
化合物3のホモポリマーのガラス転移温度は,フォクスおよびフロリ−関係式を用いて決定された(フォクスおよびフロリ−,PJ,応用物理学会誌報,21,581(1950))。不定分子量ためのTg(∞)ガラス転移温度は,302.8Kであり,それは29.6°Cである。前記ホモポリマーは完全にアモルファスであり,そして融点を有さない。
【0145】
コポリマーのガラス転移温度は,以下のフォクス方程式に従う:
【0146】
【数1】

【0147】
ここで,Tg,aはホモポリマーaのガラス転移温度であり;Tg,bは,ホモポリマーbのガラス転移温度であり;waは単量体waは単量体の重量部での重量部であり;wbは単量体bの重量部である。この場合,ホモポリマーaは化合物3のホモポリマーであり,Tg,a(∞)は29.6°C(302.8K)である;ホモポリマーbはPSLAであり,Tg,b(∞)は57.8°C(331.1K)であり,このTg,b(∞)は前記各ポリマーに対する条件と同じ条件の下でRSLAホモポリマー(単量体:開始剤,300:1)を測定することによって決定され,その値はPSLA Tgに対しての文献値と良く一致する。
【0148】
【表6】

【0149】
表3−DSCによって測定された前記Tgおよび前記ランダムコポリマーRP(1−SLA)に対するフォックス方程式から計算されたTg. (a)前記DSC測定は3回の加熱および冷却サイクルにおいて行われた。各サンプルは10°C/分において200°Cまで加熱され,10°C/分における−40°Cまで冷却された。第2および第3のサイクルは同じスペクトルを与えた。このデ−タは前記第2の加熱サイクルから得られた。 (b)前記Tgは前記ランダムコポリマーRP(1−LA)のための前記フォックス方程式から計算される; (c)前記コポリマーのための測定されたTg.(d)前記コポリマーのためのTm(融点温度).
【0150】
上述したランダムコポリマーは,S−LAと共にカーボネートラクトンの25重量%まで一体化する。前記ポリマーへのカーボネートラクトンのロ−ディングはNMRスペクトルの積分によって推定され得る。この分子量は,GPCによって推定されるように10,000から100,000までの間で変化する。これらのコポリマーはカーボネートラクトン単量体のロ−ディングに依存して30°Cから60°Cの範囲で調節可能なガラス転移温度を示す。低いロ−ディングにおいてマイクロファ−ジ分離は,S−LAブロックのための融点温度がなお観察されるため生ずるものであると確信される。カーボネートラクトンのロ−ディングが20%を超過すると,前記各コポリマーは完全にアモルファス物質である。前記カーボネートラクトンは前記コポリマーの劣化率を修正する;カーボネート部分が増加するにつれて,前記劣化率が増加する。このことは2個の因子,すなわち1)減少したガラス転移温度および増加した結晶度,さらに2)増加した疎水性に関する。
【0151】
(コポリマーの劣化)
脂肪族ポリエステルへのカーボネートの一体化は劣化率を修正すべく作用する。PSLAは緩慢に劣化することが良く知られており,このことはある応用に対して問題となり得る。更にまた,(例えばパッケージング又は広い生化学的応用のための)PLAの固体サンプルは,少しでも劣化を進行させるためにガラス転移温度(56°C)以上であることが必要である。劣化が産業上の複合条件の下で,さらに家庭的な複合化を用いることなく実際に生ずるだけであるように,PLA応用およびマ−ケッテイングのためのある意味のある問題を生成する。生物学的な応用に対して,より早いPLA劣化は恩恵があり得る応用も又存在する。
【0152】
S−ラクチドを備えたコポリマーへの3の一体化は,それが物質の疎水性(水の吸い上げ)を増加させるにつれてポリラクチドに比べて劣化率を増加させる。また,前記コポリマーは水の吸い上げをさらに容易化すると共に前記劣化率を増加させるであろう減少したTgおよびTm対PSLAを有する。RP1−RP4およびPSLAの劣化は,これが前記各サンプルのMnの変化の本来の場所における決定を可能にすると共に,前記コポリマーの完全な消費の明確な表示を与えるにつれてGPCを用いて監視された。前記コポリマーはTHF内で分解され,さらに前記コポリマーは,THFで分解され,そしてリン酸塩で緩衝された生理的食塩溶液(PBS,0.9%NaCl内の24 mM NaHPOおよび16 mM KHPO,pH=7.4,0.1mL)が前記各サンプルに添加された。この各サンプルはGPCによって規定通り監視された。
【0153】
PLA(ポリラクチド)の劣化は,適切な有機溶媒におけるPLAを分解すること及び水を添加することによって生体内環境をシュミレ−トする中性的条件下で達成できる。自動的な触媒機構が生じないことを確かにするために(劣化生産物自体は酸性であるため),PBS緩衝剤が添加される。リウ等は,PLAに対して時刻t(X)における重合化の数値的平均度合いが重合化の開始度合い(X),時間および式3による劣化率定数(k)に関連され得る(リウ等,ポリマー.劣化.安定化. 2006,91,3259−3265)を示した。
【0154】
【数2】

【0155】
ここでXは開始時刻における重合体の重合化の数値的平均度合いであり;Xは時刻tにおける数値的平均度合いであり;kは劣化率定数である。
前記3式を用いて使用された種々のコポリマーおよび線形の勾配のためにl{(X−1)/X}対時間のプロットが成されて−kを決めた。
【0156】
【表7】

【0157】
(表4−コポリマーの劣化 )
(a)ROPにおいて使用される開始剤への単量体のロ−ディング.(b)前記コポリマーにおける環状開放型3のモル分率は,4.0ppmから4.5ppmへの重合体ピ−ク(環状開放型3,H−6およびH−6‘)の積分値を4.9ppmから5.5ppmへの重合体ピ−ク(コポリマーピ−ク,ラクチド上2個のメチンプロトン,環状開放型3のH−2およびH−5)を除算することによって決定される。(c)モル比から計算される前記コポリマーにおける環状開放型3の重量比.コポリマー(d)標準としてポリスチレンを用いたGPC(CHCl)によって測定されたMn.(e)勾配からのk
【0158】
前記コポリマーにおける3の量が増加するにつれて(重合体RP4からRP1に移行するにつれて),劣化率は増加する。S−ラクチド(PSLA)のホモポリマーは最も遅い劣化率を有する。構成成分変化させることによって,前記コポリマーの劣化を制御する能力は,例えば,薬剤供給/制御されたリリ−スにおける潜在的使用範囲を有し,PLAよりもより急速に劣化可能な賦形剤を開発する必要性がある。
【0159】
本明細書で記述された現在的に好ましい実施の態様への種々の変化および修正は当業者にとって明らかあることが認識されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく成され得るそのような変化および修正は,本発明の範囲に含まれる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の単量体から形成される重合体であって,

ここで,Rは水素,アルキル基,ハロアルキル基,アシル基,エステル,アリール基,ヘテロアリール基,アルキルアリール基,アルキルヘテロアリール基,シリル基,スルフォニル基,薬剤分子又はペプチドから選択され;
は水素又はOR1’であり;
はメチル基又はCHOR1”
であり;
ここで,R1’およびR1”はともにRに対して定義されたと同義であり,R,R1’およびR1”は同じであっても異なっていてもよい重合体。

【請求項2】
請求項1に記載の重合体であって,
a)Rは水素であり,Rは−CHOR1”又はメチル基であるか,又は
b)RはOR1’であり,そしてRは−CHOR1”である,
重合体。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の重合体であって,R,R1’およびR1”が存在する置換基においてR,R1’およびR1”はアシル基である重合体。

【請求項4】
請求項3に記載の重合体であって,R,R1’およびR1”
が存在する置換基においてR,R1’およびR1”は−C(O)CHで示される基である重合体。

【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の重合体であって,当該重合体は環状重合体と,線状重合体の混合物を含み,前記線状重合体及び環状重合体はそれぞれ以下に記載した構造式を有し,

nは1から60の間の数であり,
前記線状重合体の終端部(*で示される部位)はOH又はORである重合体。

【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかひとつに記載の重合体であって,当該重合体は以下の構造式を有する環状重合体であり,

nは1と60の間の数である,重合体。

【請求項7】
請求項1から請求項4の何れかひとつに記載の重合体であって,当該重合体は式(I)のラクトン化合物と,第2のラクトン又は環状カーボネートから形成される共重合体である重合体。

【請求項8】
請求項7に記載の重合体であって,前記第2のラクトンは,ラクチド,グリコライド,カプロラクトン,バレロラクトン,ブチロラクトンから選択され,前記環状カーボネートはトリメチレンカーボネートである重合体。

【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の重合体であって,前記重合体は以下の構造式によって表現される共重合体であり,

前記共重合体内のモル比率xは0.5%と20%との間の数であり,モル比率yは80%と99.5%の間の数である,重合体。

【請求項10】
請求項7,請求項8又は請求項9に記載の重合体であって,前記重合体はランダム共重合体である重合体。

【請求項11】
請求項1から請求項4,請求項7又は請求項8の何れかひとつに記載の重合体であって,前記重合体は式(I)のラクトン化合物の重合化から形成された重合体バックボーンと,さらに前記ラクトン化合物の上に存在する官能基に結合された第2の重合体を含むグラフト共重合体である重合体。

【請求項12】
請求項1から請求項4の何れかの(I)のラクトン化合物の重合化のための方法であって,当該方法は式(I)のラクトン化合物を金属開始剤にさらし,開環重合化反応を生じさせる工程を含む方法。

【請求項13】
請求項12に記載の方法であって,前記開始剤は錫(II)アルコキシド錯体と,錫(II)カーボネート錯体+アルコール(例えばSn(II)オクタノエイトおよびアルコールの2個の等価物又はジオール基の1個の等価物(例えばメタノ−ル,ベンジル アルコール,ブタネジオール,又はSn(OBu)));(リガンド(ホモレプテイック錯体)を備えた,および備えていない錯体を含む)亜鉛アルコキシド錯体;アルミニュウム アルコキシド錯体;チタンアルコキシド錯体;ジルコニウムアルコキシド錯体,アルカリ土類アルコキシド錯体,イットリウムアルコキシド錯体,ランタン アルコキシド錯体;およびカルシュウム アルコキシド錯体を含むが,これらに限定されない物質から選択されたルイス酸金属アルコキシド錯体である方法。

【請求項14】
請求項13に記載の方法であって,前記開始剤は式Sn(OR)の錫アルコキシド開始剤又は式LZnORの亜鉛アルコキシド錯体の何れかであり,ここでRはアルキル基又はアルキルアリール基であり,そして,Lは亜鉛配位リガンドである方法。

【請求項15】
請求項14に記載の方法であって,前記亜鉛アルコキシド錯体は式(L)の亜鉛配位リガンドを含み,

ここで,Rは水素,アルキル基(例えばtBu,Me),アルコキシ基(例えばOMe),ハロゲン(例えばF,Cl,Br),NO,NH,アルキルアミン又はジアルキルアミン(例えばNMe);それぞれのRは独立して,水素,アルキル基(例えばMe,Et,iPr),アルキルアリール基(例えばベンジル)又はアリール基(例えばフェニル基)である方法。

【請求項16】
請求項15に記載の方法であって,RはtBuであり,さらにそれぞれのRはMeである方法。

【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の方法であって,前記開始剤は式LZnOEtで示される亜鉛エトキシド錯体である方法。

【請求項18】
請求項12から請求項17の何れかに記載の方法であって,前記重合化は穏やかな条件,すなわち塩素化溶媒(例えばCDCl),エ−テル溶媒(例えばTHF)又は芳香族溶媒(例えばトルエン)中において,ラクタン化合物の濃度が0.5Mから2Mであり,25から100°Cの温度下において実行されるか,又は前記重合化が溶媒の存在しない条件のもと25から100°Cで実行される方法。

【請求項19】
請求項12から請求項18の何れかに記載の方法であって,前記方法は式(I)のラクトン化合物と,第2のラクトン化合物又は環状カーボネートとの混合物を金属開始剤にさらし,開環重合化反応を生じさせランダム共重合体を生産する工程を含む,方法。

【請求項20】
請求項12から請求項18の何れかに記載の方法であって,式(I)のラクトン化合物の混合物を金属開始剤にさらし,第2のラクトン化合物又は環状カーボネートの添加に続いて,開環重合化反応を生じさせブロック共重合体を生産する方法。

【請求項21】
請求項12から請求項20の何れかに記載の方法によって生産される重合体。

【請求項22】
式(I)のラクトン化合物であって,

ここで,R,RおよびRは請求項1から請求項4の何れかに定義されている基であるラクトン。


【請求項23】
式(I)のラクトン化合物の作製のための方法であって,当該方法は,
a)式(II)のテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ,式(IIIa)又は(IIIb)の化合物を形成し,

b)任意で,更に式(IIIa)の前記化合物を塩基と反応させ,式(IV)の化合物を形成し,

c)式(IIIa)又は(IV)の前記化合物を水素添加分解によって還元し,式(I)の化合物を形成し,

ここで,R,R1’,R1”,RよびRは請求項1から請求項4の何れかで定義されたと同じであり,さらにRはRに対して定義されると同一である方法。


【請求項24】
請求項23に記載の方法であって,当該方法は
式(I)のラクトン化合物の作製する方法であり,
ここでRは−CHOR1”であり,さらにRは水素であり,当該方法は:
d)式(II)のテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ,式(IIIa)の化合物を形成する工程と,
e)式(IIIa)の前記化合物を水素添加分解によって還元し,式(I)の化合物を形成する工程を有し,ここでRは−CHOR1”であり,そしてRは水素原子である方法。

【請求項25】
請求項23に記載の方法であって,当該方法は
式(I)のラクトン化合物の作製のためであり,ここでRはメチル基であり,さらにRは水素原子であり,当該方法は:
f)式(II)のテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを塩基と反応させ,式(IIIa)の化合物を形成し,
g)式(IIIa)の化合物を塩基と反応させ,式(IV)の化合物を形成し,
h)式(IV)の前記化合物を水素添加分解によって還元し,式(I)の化合物を形成する工程を含み,ここでRはメチルであり,そしてRは水素である方法。

【請求項26】
請求項25に記載の方法であって,前記工程b)は式(IIIa)の化合物を過剰の塩基に過剰時間さらす工程を含む方法。

【請求項27】
請求項26に記載の方法であって,前記工程a)およびb)は,式(IIIa)の化合物が本来の場所での中間生成物として形成されているが,単離されていない単一の工程に短縮される方法。

【請求項28】
請求項23に記載の方法であって,当該方法は
式(I)のラクトン化合物を作製する方法であり,
ここでRは−CHOR1”であり,さらにRは−CHOR1’であり,当該方法は:
a)式(II)のテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを穏やかな塩基と反応させ,式(IIIb)の化合物を形成し,
b)式(IIIb)の前記化合物を水素添加分解によって還元し,式(I)の化合物を形成し,ここでRは−CHOR1”であり,そしてRは−CHOR1’である方法。

【請求項29】
請求項23にから請求項28のいずれかに記載の方法であって,前記塩基はトリメチルアミン又はピリジンである方法。

【請求項30】
請求項23から29のいずれかに記載の方法であって,前記反応は,溶媒,例えばメチレン塩化物の存在下,又は溶媒なしで実行される方法。

【請求項31】
請求項23から請求項30のいずれかに記載の方法であって,HおよびPd/C触媒の存在の下で水素添加分解が行われる方法。

【請求項32】
請求項23から請求項31に記載の方法であって,当該方法は:
a)式RC(O)OC(O)Rで示される化合物でD−グルコノラクトンをアセチル化することにより,D−グルコノラクトンから式(II)の前記テトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを作製する工程をさらに含み,ここでRはアルキル基,ハロアルキル基,アリール基,又はヘテロアリール基である,方法。

【請求項33】
請求項32に記載の方法であって,
当該方法は,式(I)で示されるラクトン化合物の製造方法であり,
ここでR,R1’およびR1”はアシル基であり,当該方法は:
a)塩基の存在の下でD−グルコノラクトンと式RC(O)OC(O)Rで示される化合物を反応させ,中間体としてのテトラ−O−置換(R)−D−グルコノラクトンを経由して式(IIIa)又は(IIIb)の化合物を得る工程と,
b)任意で更に式(IIIa)の前記化合物を塩基と反応させ,式(IV)の化合物を得る工程と,
c)式(IIIa)又は(IV)の前記化合物を水素添加分解によって還元し,式(I)の化合物を得る工程と,を含む方法。

【請求項34】
請求項23から請求項33に記載の何れか一つに記載の方法であって,
式(I)で示されるラクトン化合物から置換基Rを除去し(すなわち,R=Hとし),続いて置換基Rを除去したラクトン化合物にペプチド又は薬剤分子を付加するように反応させるか,
又は前記ラクトン化合物の置換基のいずれか1個よ前記ペプチド又は薬剤を反応させて,官能化された式(I)で示されるラクトン化合物にペプチド又は薬剤分子を取り込ませる工程を更に含む,方法。

【請求項35】
生態系物質の生産のために,包装用物質としての用途のために,ファイバーの製造のために,劣化可能な縫合,ドレッシング,ステント,インプラントの医療デバイスの製造のために,線維工学用マトリクスの製造のために,又は薬剤供給のための賦形剤としての使用ために,パッケージング物質のための衝撃緩衝材のために,又は生態系に分解される包装用物質として用いられる請求項1から請求項11の何れかに定義された重合体。

【請求項36】
請求項1から請求項11のいずれかに定義された重合体を含む,パッケージング物質,劣化可能な縫合,ドレッシング,インプラントのステント,線維工学のためのマトリクス,薬剤供給のための賦形剤,又は医療デバイス。

【請求項37】
任意の1またはそれ以上の図面および/又は実施例を参照して本明細書に実質的に記載されたような重合体,ラクトン化合物又は方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−519382(P2011−519382A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501293(P2011−501293)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000825
【国際公開番号】WO2009/118538
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(505167543)インペリアル・イノベ−ションズ・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】