炭素繊維の電気化学的着色処理方法およびその装置ならびに炭素繊維

【課題】炭素繊維を着色する方法およびその装置、着色された炭素繊維を提供する。
【解決手段】顔料を含んだシラン化合物を発生させ、炭素繊維３に触れさせて顔料を電気蒸着させることで、着色された炭素繊維４を生産する。特に航空旅客機の筐体や翼に使われる炭素繊維に着色を施して、従来の黒色を帯びた炭素繊維の下地塗装を無くして、機体の軽量化をはかりたい。車両の軽量化に炭素繊維が有望視されている、そうした下地塗装を省くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、炭素繊維を着色する方法およびその装置、着色された炭素繊維に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００２】
炭素繊維は黒色をしており、炭素原子は規則正しく並んでいる。特許出願２０１１−１７２４１７の明細書中、段落０００２から０００３に、炭素繊維は黒色であることを指摘している。従来、炭素繊維を主原料とする造成物に塗料を塗布するなどしてカラーヴァリエーションを得ていた。炭素繊維と塗料は剥がれやすい特徴をもち、炭素繊維が水分を吸収すると、塗料は剥離する。炭素繊維を直接かつ安定的に着色する場合、顔料と原子的なレベルでの結合を必要としている。
【発明の効果】
【０００３】
顔料をフッ素の化合物化あるいは、ケイ化マグネシウムと硫酸とを反応させて、顔料を含んだシラン化合物を発生させ、炭素繊維と触れさせ顔料を電気蒸着させることで、着色された炭素繊維を生産できる。炭素繊維はもともと黒色であるが、カラーヴァリエーションに富んだ炭素繊維は、多くの製品に芸術性を持たせることができ、多彩な用途が見込まれる。従来、炭素繊維製品に色を塗布する場合、下地処理に白色等をした塗装材をあらかじめ塗布しておき、その上に彩色をほどこしていた、そのため広範囲な塗装面にいたると、下地処理にほどこした塗装材が重量を帯びてしまう、本発明の装置で炭素繊維に直接、着色することで下地処理を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【０００４】
【図１】炭素繊維を電気蒸着して、着色するためにもちいる顔料の系統と化学式である。
【図２】無機顔料に関する、発色と鉱物（化合物）の対応表である。主にシランと化合して、無機顔料を含む気相ガスにほどこし、炭素繊維に触れさせ着色するための基礎となる対応表である。
【図３】顔料を含む気相ガスを炭素繊維に触れさせる装置の簡略図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特許出願２０１１−１７２４１７機能性畳表
【実施例】
【０００６】
チャンバー内に顔料を含んだ陰極性の気相ガスを充填しておき、陽極性の炭素繊維をさらすことで炭素繊維を電気蒸着する。気相ガスと希土類元素は有毒であることから、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等で着色された炭素繊維を覆うことが寛容であり、製造装置にいたっては、チャンバーを二重構造にして、漏れる気相ガスを活性炭フィルタ−等で回収する。顔料に利用する鉱物類は無毒であるものが好ましい。炭素繊維は通電性である、したがってチャンバーに送り込む滑車に陽極のバイアスを加えて、炭素繊維を陽極にしておき、気相ガスはあらかじめ陰極性にしておくことで、チャンバー内で炭素繊維を電気蒸着する。
【符号の説明】
【０００７】
００１炭素繊維のボビン（素地）
００２炭素繊維のボビン（加工後）
００３炭素繊維（素地）
００４炭素繊維（加工後）
０１０陽極にバイアスされた上部滑車
０１１陽極にバイアスされた下部滑車
０２０テフロン（登録商標）加工の施された穿孔
０３０気相ガス回収チャンバー循環口
０３１気相ガス回収チャンバー循環口
０３２気相ガス回収チャンバー
０３３ゼオライトフィルター
０３４活性炭フィルター
０４０陰極にバイアスされた気相ガス封入口
０４１陰極にバイアスされた気相ガス取り出し口
０４２陰極にバイアスされた気相ガス充填チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項１】
炭素繊維を顔料を含む気相ガスにさらし、気相ガスと炭素繊維を電気化学的に蒸着して着色する方法
【請求項２】
炭素繊維を顔料を含む気相ガスにさらし、気相ガスと炭素繊維を電気化学的に蒸着して着色する装置
【請求項３】
請求項１から請求項２に至る、着色された炭素繊維

【図１】