説明

炭素質伝導性媒体を含有するカソード保護コーティング

カソード保護ポリマー配合物が開示される。この配合物は、結合剤として働く流動性材料、この流動性材料中に分散した炭素質伝導性媒体、この流動性材料中に同様に分散した犠牲金属粒子を有する。この炭素質伝導性媒体は、炭素ベースの電子移動剤として働き、そして粒子、小板、繊維、管、またはこれらの組み合わせの形態である。アノードとして働く金属粒子、カソードとして働く保護されるべき金属基板、および電子移動剤として働く伝導性媒体によって、電流回路が形成される。流動性材料はまた、イオン伝導性ポリマーまたは固有に伝導性のポリマーを備えて、この電流回路をさらに増強し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、米国仮特許出願番号60/514,691(代理人事件番号12003020を有し、2003年10月27日に出願された)からの優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本願は、炭素ベースの電子移動剤の、カソード保護コーティングにおける使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
近代社会において、過去50年間にわたり、金属からポリマーへの移行が存在している。これは部分的には、ポリマーが、環境中で酸化されないことに起因する。例えば、金属の腐食は、価値ある特性を破壊する。腐食とは、金属が、このような腐食を可能にする環境条件に曝露される場合の、金属酸化物を形成するこの金属の不可逆反応である。このような腐食に起因する金属構造体を修復または交換するために、毎年、何10億ドルもが費やされている。
【0004】
鉄を含有する物品の腐食(通常、「錆び」と称される自然のプロセス)は、錆を防止するかまたは減少させるための、効率的な経済的方法を見出すために、かなりの努力を促している。この鉄を含有する物品の表面をコーティングすること(塗装のプロセス)は、この物品を、自然な錆反応が開始するために必要とされる要素から保護するための、最初の試みであった。
【0005】
鉄を含有する物品は、都市を建設し、そしてこれらの都市の間を商業的に結び付けている構造体を形成する。高層ビル、吊り橋、山の下または川の下のトンネル、高圧送電線、燃料貯蔵タンク、自由の女神像、エッフェル塔、および全ての型のコンクリート構造体のための補強格子のような、様々な用途のための鉄製品は、全て、腐食からのこのような保護を必要とする。
【0006】
耐食機構は、電位列を利用し、これによって、腐食性が高い金属が、その環境(この金属がなければ、鉄が錆びる環境)中で犠牲になる。この金属の「カソード保護」は、環境により破壊されることに対して金属特性を保存することを目的とする、巨大な産業を非常に多く生じている。
【0007】
カソード保護は、電流回路の物理現象を利用する。この電流回路は、電力によって、能動回路であることを補助され、保護されるべき金属から腐食効果を追い払い得るか、または電力なしの受動回路であり得る。受動電流回路の例は、電極ベースのシステムについては特許文献1(Huangら)に、そしてコーティングベースのシステムについては特許文献2(Hawkinsら)に開示されている。両方の型のシステムは、構造体中のより価値のある鉄を保護するために、電位列における、よりアノード性の金属(例えば、亜鉛)に依存する。特許文献1における電極において、亜鉛は、イオン伝導性接着剤によって構造体に接着した、板の形態である。特許文献2におけるコーティングにおいて、亜鉛は、結合剤および固有に伝導性のポリマー中に分散した、粒子の形態である。両方の場合において、亜鉛は、電流回路のアノードである。このアノード性の亜鉛は、カソード性の鉄を保存するために、犠牲にされる。
【0008】
特許文献3(Angelopoulosら)は、伝導性粒子を含有する伝導性充填剤と、固有に伝導性のポリマーとを有する、ポリマーマトリックスを開示する。これらの充填剤およびポリマーは、金属基板のための腐食保護層のため、および他の目的のために、有用である。
【0009】
特許文献4(Friend)は、フィブリルを充填した、導電性の複合材料を開示する。この複合材料は、十分な導電性を有するコーティングを形成し得、このコーティングは、金属部品または成型プラスチック部品の露出した表面上の犠牲アノード材料と組み合わせて、腐食を防止することを補助するために使用される。
【0010】
特許文献5(Glatkowski)は、複数のナノチューブ、および必要に応じて、さらなる伝導性材料を有する、導電性フィルムを開示する。
【特許文献1】米国特許第5,650,060号明細書
【特許文献2】米国特許第5,976,419号明細書
【特許文献3】米国特許第5,700,398号明細書
【特許文献4】米国特許第5,098,771号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0122111号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(発明の要旨)
当該分野が必要としているものは、合理的な費用で、単一のコーティングに、炭素質伝導性媒体と犠牲金属粒子との両方を含有させることによって、金属構造体の効果的なカソード保護を提供するための手段である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、当該分野における上記目的を、カソード保護システムの伝導性媒体に集中することによって、解決する。
【0013】
「伝導性媒体」またはその複数形は、導電性を示す、炭素質材料を意味する。この伝導性媒体は、電気的に活性であるが、直流電流的に不活性である。必要に応じて、この炭素質材料はまた、熱伝導性を示し得る。
【0014】
カソード保護システムの導電性は、流動性材料への添加剤として働く、伝導性媒体によって達成される。この伝導性媒体は、炭素ベースの電子移動剤である。この流動性材料はまた、犠牲金属粒子を充填されて、フィルムまたはコーティング内に、電流回路を完成させる。必要に応じて、この流動性材料はまた、固有に伝導性のポリマーを備えて、導電性を増強する。
【0015】
「炭素ベースの電子移動剤」とは、粒子、小板、繊維、管などの形態、およびこれらの組み合わせの、固体の炭素質材料を意味する。これらの管は、多層ナノチューブまたは単層ナノチューブであり得る。必要に応じて、この炭素質材料は、直流電流的に活性になるように機能性にされ得、そして犠牲金属粒子のための部位として働き得る。必要に応じて、この炭素質材料は、固有に伝導性のポリマーとの結合を介して、より導電性になるように機能性にされ得る。
【0016】
「流動性材料」は:
(a)カソード保護を必要とする金属含有物品に、スプレーまたはブラシによって塗布される、フィルム形成液体(例えば、塗料または他のコーティング);
(b)金属含有物品上に層として形成される、アモルファス固体(例えば、ポリマー接着剤または他のポリマー);あるいは
(c)金属含有物品上に合体する、蒸気(例えば、過熱された気体)
であり得る。
【0017】
好ましくは、この流動性材料は、フィルムまたは他のコーティングを、カソード保護されるべき金属含有物品上に、迅速かつ安価に形成し得る、ポリマー結合剤である。この流動性材料の選択が、結果としてより安価になされる場合、この流動性材料は、必ずしも、それ自体が導電性である必要はない。
【0018】
より好ましくは、この流動性材料は、任意の塗料または他のコーティングが形成する様式と同じ様式で、障壁を形成し得、カソード保護されるべき金属含有物品の保護の、物理的局面を提供する。
【0019】
従って、本発明の1つの局面は、カソード保護ポリマー配合物であり、この配合物は:流動性材料、この流動性材料中に分散した炭素質伝導性媒体、およびこの流動性材料中に同様に分散した犠牲金属粒子を含有する。
【0020】
この炭素質伝導性媒体は、不連続であっても、連続的であっても、この流動性材料と共同して連続的であってもよいことが、本発明の範囲内である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の利点は、費用効果的なカソード保護システムを作製する目的で、炭素質材料(好ましくは、限りなく小さいサイズの材料)が、犠牲金属粒子を含有する流動性材料に導電性を付与するために使用され得ることである。
【0022】
本発明の他の利点は、図面を構成する画像と組み合わせて、本発明の実施形態の説明において明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の実施形態)
(金属粒子)
金属粒子が、カソード保護フィルムまたはコーティングと電気連絡している他の何らかの金属を保護するべきである場合、発生するように選択される金属は、電位列に従って、保護されるべき金属よりもアノード性が高い必要がある。このような概念は、米国特許第5,976,419号(Hawkinsら)に開示されている。
【0024】
平均粒径は、約1μm〜約25μmの範囲であり得、そして好ましくは、約2μm〜約10μmの範囲であり得、そして最も好ましくは、約2μmであり得る。
【0025】
金属粒子の形状もまた、1つのパラメータである。粒子の形状は、球から小板までの範囲であり得る。一般に、単位電圧あたりの表面積がより大きいことが、好ましい。しかし、当業者はまた、低いアスペクト比の球と比較して、高いアスペクト比の小板を加工することの困難性を、考慮に入れなければならない。
【0026】
好ましくはないが、金属の粒子は、本発明の範囲から逸脱することなく、ポリマー中で凝集または集合し得る。
【0027】
犠牲となるアノード金属粒子は、好ましくは、流動性材料中に密接に混ざってか、または流動性材料と共同して連続して、流動性材料中に存在する。この流動性材料は、保護されるべきカソード金属と、容易に連続的になり得る。
【0028】
犠牲アノードの選択は、保護されるべきカソード金属によって決定され、次いで、費用、利用可能性、取り扱いの容易さ、環境に対する影響、および他の要因によって、影響を受ける。金属の候補物の決定は、電位列を根拠にする。この電位列は、金属の性能の連続物を確立する。アノード金属が、この電位列において、カソード金属より高アノード性またはよりアノード性である限り、このアノード金属は、候補物である。
【0029】
この電位列は、電気化学者に周知であり、そして犠牲となるアノード使用のための適切な候補物を選択するために、過度に実験することなく使用され得る。候補物の選択を試験するための1つの位置は、www.corrosionsource.comである。Military Specificationsに基づく別の位置は、www.eaa1000.av.org/technicl/corrosion/galvanic.htmであり、この位置は、金属の合金および純粋な金属を、Corrosion Control−−Galvanic Tableにおいて同定する。
【0030】
保護されるべきカソード金属に対する、一般的な犠牲アノードの非限定的な例が、表1に示される。
【0031】
【表1】

種々の可能な金属のうちでも、遷移金属が好ましい。なぜなら、このような金属は、低いイオン化エネルギー、正の酸化状態、高い融点、高い沸点、高い導電性、展性、および他の望ましい特性を有するからである。
【0032】
ポリマー中のアノード金属の量は、約0.1%〜約95%の範囲であり得、そして好ましくは、約5%〜約40%の範囲であり得る。全ての百分率は、流動性材料の全固形分に対する重量%である。含まれるべきアノード金属の量は、犠牲アノードとしてのこの金属の消費の速度を考慮して、予測される直流電流保護の持続時間を超えるべきである。当業者は、計算を行って、流動性材料中にロードするアノード金属の好ましい量を決定することが、可能である。
【0033】
金属粒子は、保護されるべき金属より腐食性が高い、任意の元素であり得る。好ましくは、これらの金属粒子は、亜鉛である。なぜなら、他の金属より費用が低く、そして亜鉛は、鉄(カソード保護システムによって最も頻繁に保護される金属)より腐食性が高いからである。あるいは、環境中に亜鉛を使用することに関して問題がある状況においては、アルミニウムを使用し得る。Military Specification Galvanic Tableが示すように、腐食制御のために適切な、多くの適切なアルミニウムと別の金属との合金が存在する。
【0034】
亜鉛粒子は、Purity Zinc Metals LLC(Clarksville,TN);Humel Croton,Inc.;およびTrident Alloys,Ltd.のような供給源から、市販されている。アルミニウム粒子は、Eckart,Inc.から市販されている。
【0035】
(流動性材料)
流動性材料は、電気的に活性であっても、不活性であってもよい。電気的に不活性な流動性材料は、本発明の導電性媒体を考慮すると、より費用効果的である。しかし、いくつかの実施形態において、流動性材料もまた電気的に活性にして、電流回路(この回路において、保護されるべき金属基板は、カソードであり、そして流動性材料中で伝導性媒体と混ざっている金属粒子は、犠牲アノードである)における電子移動を改善することにより、伝導性媒体を補助することが、望ましくあり得る。
【0036】
電気的に不活性な流動性材料の非限定的な例は、フィルムまたはコーティングを形成し得る任意のポリマー、あるいは成型品または押し出された製品を形成し得る任意のポリマーであり、例えば、オレフィン、アクリル、エポキシ、ウレタン、アルキドのポリマー、UV硬化性アクリレートもしくは電子線硬化性アクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸のイオノマー、フルオロポリマー、シリコーンのポリマー、フェノール樹脂、メラミン、ポリアミド、天然ゴムおよび合成ゴム、合成ブロックコポリマー、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリン、ならびにポリエチレンイミンである。
【0037】
「ポリマー」とは、天然に存在するポリマー、合成により生成したポリマー、天然に存在するポリマーと合成により生成したポリマーとの、物理的相互作用もしくは化学的相互作用による組み合わせ、またはこれらの組み合わせを意味する。
【0038】
ポリマーの物理的特性の、全ての主要な形態は、本発明において使用するために受容可能である:熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー、熱硬化性プラスチック、熱硬化性エラストマー、ならびにポリマーの物理的特性のこのような四隅の間であるこれらの混合物。熱可塑性物質は、処方および適用が容易であるので、好ましいが、熱硬化性プラスチックは、性能の結果のために好ましい。受容可能なポリマーの化学的特性の非限定的な列挙は、www.PolyOne.comにおいて見出され得る。
【0039】
これらのポリマーは、接着剤であっても非接着剤であっても良い。その接着性は、天然に存在しても、可塑剤および粘着剤によって生じてもよい。受容可能な接着剤の非限定的な列挙は、www.3M.comにおいて見出され得る。
【0040】
ポリマーの選択における共通の基準は、そのポリマーが、その内部の伝導性媒体と金属粒子との組み合わせに対する結合剤またはキャリアとして働き得ることである。
【0041】
市販の熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーとしては、市販の塗料および他のフィルム形成配合物が挙げられ、限定されないが、Valspar(Minneapolis,MN USA)製のValspar(登録商標)の銘柄の塗料およびコーティング;Sherwin−Williams(Cleveland,Ohio USA)の製品、ならびにRPM Industries(Medina,Ohio USA)製のRustoleum(登録商標)の銘柄の塗料およびコーティングが挙げられる。
【0042】
電気的に活性な流動性材料もまた、本発明において適切である。
【0043】
1つの実施形態において、内部に金属粒子および伝導性媒体を有する、電気的に活性なポリマーは、流動性材料の連続相内の分散相である。この分散したポリマーは、米国特許第5,270,358号(Asmus)において同定されたようなゲル粒子と類似である。あるいは、内部に金属粒子および伝導性媒体を有するポリマーは、水中の流動性材料のラテックスに導入され得る。従って、一旦、水または他の溶媒が除去されるかまたは蒸発すると、腐食保護塗料が形成され得、この塗料において、ポリマー/伝導性媒体/金属粒子層は、金属基板の保護のための、伝導性のコンジットを提供するために十分な濃度を有する。
【0044】
別の実施形態において、内部に金属粒子と伝導性媒体とを有するポリマー、および第二の流動性材料は、相互に貫入しているネットワークの形態であっても、交互に連続的な(bicontinuous)構造であっても、その他であっても、共同して連続的である。これは、米国特許第5,670,557号(Dietzら)に開示された、重合したマイクロエマルジョン感圧性接着剤と類似であり、この接着剤において、金属粒子と伝導性媒体とを内部に有するポリマーは、連続的なポリマー層とみなされる。
【0045】
(伝導性媒体)
従って、電子移動を提供し得る、任意の固体の炭素質材料が、本発明において使用するための、潜在的な候補物である。上述のように、この炭素ベースの電子移動剤は、粒子、小板、繊維、管など、およびこれらの組み合わせの形態をとる。
【0046】
伝導性媒体が、電気的に不活性な流動性材料中での電子移動において特に効果的であるためには、この伝導性媒体は、約1〜約20,000の範囲、そして好ましくは、約100〜約10,000の範囲のアスペクト比を有するべきである。
【0047】
このようなアスペクト比を達成するためには、好ましい伝導性媒体は、細長く、約1μm〜約10mmの範囲、そして好ましくは、約1μm〜約20μmの範囲の長さ、および約0.5nm〜約100μmの範囲、そして好ましくは、約0.6nm〜約10μmの範囲の幅または直径を有する。
【0048】
また、このような伝導性媒体は、約1×10−8Ω・cm〜約3×10Ω・cmの範囲、そして好ましくは、約1×10−6Ω・cm〜約5×10−1Ω・cmの範囲の抵抗率を有するべきである。
【0049】
この炭素質伝導性媒体は、この流動性材料の全固形分の、約0.01重量%〜約10重量%の量で存在し得る。
【0050】
可能な候補物のうちで、炭素繊維およびカーボンナノチューブが、それらの短い長さにもかかわらず、それらの大きいアスペクト比に起因して、好ましい。例えば、炭素繊維は、10:1(L/W)より大きいアスペクト比を、容易に有し得、そしてナノチューブは、その直径が炭素繊維より1桁小さいかまたはそれより小さいにもかかわらず、このようなアスペクト比を達成し得る。
【0051】
ナノチューブが、使用のために選択される場合、単層ナノチューブが、多層ナノチューブより好ましい。
【0052】
単層カーボンナノチューブは、好ましい新生の技術であり、例えば、米国特許出願公開第2003/0075682号明細書(Colbertら);PCT国際公開WO97/09272、WO98/05920、WO00/17102、WO00/17101、WO01/30694、WO02/016257、WO00/26138、WO02/02659、WO02/064868、WO03/004741、WO01/49599、およびWO03/020638に開示されている技術である。
【0053】
炭素繊維およびカーボンナノチューブの市販の供給源としては、現在、Zoltek Corporation(St.Louis,Missouri)のPanex(登録商標)炭素繊維製品ライン、Hyperion Catalysis International(Cambridge,Massachusetts)のフィブリル多層カーボンナノチューブ製品ライン、およびCarbon Nanotechnologies,Inc.(Houston,Texas)のバッキーチューブ単層カーボンナノチューブ製品ラインが挙げられる。
【0054】
(任意の機能化された伝導性媒体)
受動電流回路内の電子移動を改善するために、炭素質材料を変更して、この材料の内部、表面、またはこの材料の位置に、犠牲金属粒子を提供し得る。技術文献は、金属を、炭素質材料(例えば、ナノチューブ)上にめっきすることを教示する。類似の技術が、繊維、小板などに対して使用され得る。
【0055】
このような文献の例としては、Angら、「Electroless Plating of Metals onto Carbon nanotubes Activated by a Single−Step Activation Method」Chem.Mater.1999 11(8);2115−2118;Choiら、「Spontaneous Reduction of Metal Ions on the Sidewalls of Carbon Nanotubes」J.Am.Chem.Soc.2002 124(31);9058−9059;およびGovindarajら、「Metal Nanowires and Intercalated Metal Layers in Single−Walled Carbon Nanotube Bundles」Chem.Mater.2000 12(1);202−205が挙げられる。
【0056】
受動電流回路において、電子移動を改善するためにまた、炭素質材料を変更して、その表面を機能性にし、この表面に、固有に伝導性のポリマーを結合させ得る。技術文献は、このような機能化を教示する。このような文献の例としては、Luら、「Organic Functionalization of the Sidewalls of Carbon Nanotubes by Diels−Alder Reactions:A Theoretical Prediction」Org.Lett.2002 4(24)4313−4315およびYingら、「Functionalization of Carbon Nanotubes by Free Radicals」Org.Lett.2003 5(9)1471−1473が挙げられる。
【0057】
固有に伝導性のポリマーとして特に好ましいものは、米国特許第5,968,417号(Visawanathan)に開示されるような、置換されたポリアニリンであり、そしてより具体的には、PolyOne Corporationによって、TeslartTMとして(以前には、GeoTech Chemical Company LLCによって、Ligno−PANiTMポリマーとして)販売されている、固有に伝導性のポリマーである。
【0058】
炭素質材料の変更の型にかかわらず、このような方法を、流動性材料との混合前、または混合後のいずれかに実施することが、可能である。
【0059】
(流動性材料についての任意のイオン伝導性)
所望であれば、流動性材料は、イオン伝導性にされて、カソード保護システムの全体的な伝導性を増強し得る。上記伝導性媒体および金属粒子は、このようなイオン伝導性の流動性材料に混合され得る。
【0060】
固有に伝導性ではないポリマーについての、イオン伝導性の非限定的な例は、当業者に公知である他の位置のうちでもとりわけ、3M Innovative Properties Companyの広範な特許書類において見出される。イオン伝導性ポリマーのこのような例は、一般に、生物医学電極と共に考慮され、ここで、哺乳動物の身体からイオン伝導性材料(通常、アクリルポリマーまたはコポリマーの感圧性接着剤および可塑剤および電解質)への電気信号の輸送は、この信号が、導電性要素へ、そして最終的には、治療用または診断用の電気デバイスへと輸送されることを可能にする。
【0061】
本願の紙面では、多くの型のイオン伝導性感圧性接着ポリマーの完全な列挙が不可能である。当業者は、以下の米国特許に注目する:米国特許第4352359号;同第4524087号;同第4539996号;同第4554924号;同第4848348号;同第4848353号;同第5012810号;同第5133356号;同第5215087号;同第5276079号;同第5338490号;同第5362420号;同第5385679号;同第5389376号;同第5409966号;同第5438988号;同第5489624号;同第5505200号;同第5506059号;同第5520180号;同第5536446号;同第5536768号;同第5650060号;同第5660178号;同第5660892号;同第5670557号;同第5674561号;同第5702753号;同第5730126号;同第5779632号;同第5797902号;同第5813981号;同第5836942号;同第5846558号;同第5853750号;同第5924983号;同第5947961号;および同第5952398号。
【0062】
カソード保護が望ましい産業環境において、特に好ましいイオン伝導性媒体は、上記リストにおいて確認される、米国特許第5650060号に開示されている。
【0063】
イオン伝導性剤は、イオン伝導性媒体、および必要に応じて、アノード溶解に供される金属の不動態化を減少させるための手段を含有する。
【0064】
イオン伝導性媒体は、イオン性の電荷を輸送し得る、任意の媒体であり得る。イオン伝導性媒体は、好ましくは、柔軟であり、寸法安定性であり、そして保護されるべき金属、または内部に金属が包埋される構造体の表面に、実質的に接触し得る。
【0065】
イオン伝導性剤は、電流回路のアノードとカソードとの間の界面として働き、そして流動性材料中の金属粒子の表面における不動態層の形成を抑止する。この電流回路のカソードは、保護されるべき金属である;この電流回路のアノードは、流動性材料中の金属粒子である。
【0066】
イオン伝導性媒体の非限定的な例は、天然エラストマーおよび合成エラストマーであり、例えば、ゴムおよびガム、ヒドロゲル、ならびに親水性感圧性接着剤である。
【0067】
好ましくは、イオン伝導性と柔軟な構造とを、保護されるべき金属物品に提供するためには、本発明のイオン伝導性媒体は、ヒドロゲルである。
【0068】
本発明のための、ヒドロゲルのイオン伝導性媒体の非限定的な例としては、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド、および米国特許第5,270,358号(Asmus)に開示される、ハイドロコロイドと膨潤剤とを含有するゲルが挙げられる。
【0069】
より好ましくは、本発明のイオン伝導性媒体は、イオン伝導性の、親水性感圧性接着剤であり得る。親水性の感圧性接着剤の非限定的な例は、米国特許第4,524,087号;同第4,539,996号;同第4,554,924号;同第4,848,353号(すべてEngel);同第5,225,473号(Duan);同第5,276,079号(Duanら);同第5,536,446号(Uyら);および同第5,952,398号(Dietzら)に開示される、イオン伝導性の感圧性接着剤;ならびに米国再発行特許発明第31,454号(Hymes);第4,391,278号(Cahalan);第4,699,146号および第4,750,482号(両方Sieverding);および第4,635,642号に開示される接着剤である。
【0070】
本発明は、任意の塩形態の、アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(「AMPS」)(Lubrizol,Inc(Wickliffe,Ohio)から市販されている)から調製されるポリマー性感圧性接着剤、またはN−ビニル−ピロリドン/アクリル酸コポリマーの感圧性接着剤(米国特許第4,848,353号(Engel)に開示される)を使用し得る。
【0071】
必要に応じて、イオン伝導性媒体に対するスクリムまたは他の補強材を提供することによって、この媒体に対して、寸法安定性を提供し得る。スクリムの非限定的な例は、上記Engelの特許において、無溶媒プロセスによる接着剤の形成において使用されると開示されている。
【0072】
また、必要に応じて、このイオン伝導性媒体への電解質の量を追加することによって、この媒体のイオン伝導性を増強し得る。アルカリ金属のハロゲン化物塩が好ましく、代表的に、この媒体の約10重量%未満を構成する。ここでまた、Engelの特許、およびDuanの特許は、親水性の感圧性接着剤において使用するための、受容可能な電解質を開示する。LiClが、電解質として特に好ましい。
【0073】
また、必要に応じて、好ましくはないが、不動態化防止剤(すなわち、不動態化を減少させるための手段であり、好ましくは、犠牲にされるべき金属から保護される金属への、直流電流的に活性な金属イオンの移動を容易にする金属錯化剤)を含有させ得る。このような錯化剤は、市販されているが、予想外に、アノード作用により溶解されるべき金属の不動態化を減少させる際に有用である。
【0074】
これらの錯化剤は、直流電流的に活性な金属イオンの沈殿を抑止する。これらの金属イオンは、沈殿が抑止されなければ、流動性材料中の金属粒子の周りに、不動態の層を形成する。この不動態の層の形成は、この電流回路の電流を、尚早に止める。
【0075】
本発明のイオン伝導性剤において有用な錯化剤は、直流電流的に活性なイオンの、イオン伝導性媒体を通る制御された移動を可能にする様式で、イオン伝導性媒体中に密接に分散し得るか、または他の様式で溶解し得る、錯化剤である。いくつかの錯化剤は、この錯化剤の複数の部分の、同じ金属イオンとの複数の錯化を可能にするために適切なサイズの錯化剤である。他の錯化剤は、直流電流的に活性な金属イオンに対して、1つの錯化部位を提供する。
【0076】
この錯化剤は、自由に拡散する分子錯化剤、およびイオン伝導性媒体中に存在するポリマー錯化剤からなる群より選択され得る。
【0077】
分子錯化剤の非限定的な例は、エチレンジアミン四酢酸およびその塩(まとめて、「EDTA」)、シアニド化合物(例えば、NaCNおよびKCN)、ならびにチオシアネート化合物(例えば、NaSCNおよびKSCN)である。
【0078】
ポリマー性錯化剤の非限定的な例は、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アルキレンアミン)、ポリ(エチレンイミン)(「PEI」)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロール)、ポリ(N−ビニルラクタム)およびポリ(アルキレンオキシド)である。
【0079】
これらの錯化剤のうちで、PEIが、市販されていること、その安い費用、強化コンクリート構造体のpHと適合性のpH範囲でのその錯化能、その水溶液形態での利用可能性、イオン伝導性媒体において使用される、好ましい親水性の感圧性接着剤との非反応性、および電流回路の持続時間の満了までずっと電気化学的に安定であることに起因して、好ましい。
【0080】
錯化剤は、溶解した金属に対する錯化剤として働くために有効な任意の重量%で、そして望ましくは、イオン伝導性媒体の約1重量%〜約15重量%の範囲の重量%で、イオン伝導性媒体に添加され得る。好ましくは、このような重量%範囲は、約3重量%〜約6重量%である。
【0081】
上記のように、この錯化剤は、金属の溶解によって形成する金属イオンを安定化させることによって、犠牲金属の不動態化を減少させる。このような安定化としては、金属イオンの安定化と、犠牲金属の表面またはその近くでの不動態の層の形成の抑止との、両方が挙げられる。
【0082】
(流動性材料中の、任意の固有に伝導性のポリマー)
電子移動をさらに増強するために、流動性材料はまた、固有に伝導性のポリマー(例えば、アニリン、チオフェン、ピロール、フェニルメルカプタンなどの繰り返しモノマー単位を有するポリマー)を含有し得る。他の固有に伝導性のポリマーは、置換ポリパラフェニレンビニレンおよび非置換ポリパラフェニレンビニレン、置換ポリアニリンおよび非置換ポリアニリン、置換ポリアジンおよび非置換ポリアジン、置換ポリチオフェンおよび非置換ポリチオフェン、置換ポリパラフェニレンおよび非置換ポリパラフェニレン、置換ポリ−p−フェニレンスルフィドおよび非置換ポリ−p−フェニレンスルフィド、置換ポリフランおよび非置換ポリフラン、置換ポリピロールおよび非置換ポリピロール、置換ポリセレノフェンおよび非置換ポリセレノフェン、置換ポリアセチレンおよび非置換ポリアセチレン、これらの混合物、ならびにこれらのコポリマーからなる群より選択される。これらの伝導性ポリマーは、種々の特許に開示されており、これらの特許としては、米国特許第5,069,820号(Jenら);同第5,160,457号(Elsenbaumer);同第5,185,100号(Hanら);同第5,281,363号(Shackletteら);同第5,378,403号(Shacklette);同第5,422,423号(Shackletteら);同第5,456,862号(Kwan−Yueら);同第5,567,355号(Wesslingら);同第5,700,398号(Angelopoulosら);および同第5,911,918号(Shackletteら)が挙げられる。これらの特許に記載されるように、固有に伝導性のポリマーは、しばしば、酸(例えば、塩酸またはp−トルエンスルホン酸)をドーピングされる。
【0083】
特に好ましいものは、米国特許第5,968,417号(Visawanathan)に開示されるような、そしてより具体的には、PolyOne CoporationによってTeslartTM固有伝導性ポリマーとして(以前には、GeoTech Chemical Company LLCによってLigno−PANiTMポリマーとして)販売されている、置換ポリアニリンである。ポリアニリンはまた、保護されるべき金属の表面を不動態化することによって、腐食の制御を補助し得、本発明の配合物を使用するコーティングまたは塗料の障壁機能およびカソード保護機能を増加させる。
【0084】
(作製方法)
流動性材料に種々の成分を混合することは、当業者に明白である。特定の条件下で爆発し得る金属粒子を取り扱う際には、注意を払う必要がある。
【0085】
ほとんどの例において、乾燥した成分が、適切な割合で、予め一緒にブレンドされ、流動性材料中に混合される場合の適切な割合を容易にする。混合の際の温度は、通常、室温である。なぜなら、分散が必要であり、そして溶解熱が必要とされないからである。混合速度は、徹底的な混合を確実にするために充分である必要があり、好ましくは、高速コウェル(cowel)を使用する。
【0086】
添加の順序は、1番目に炭素、2番目に金属を、流動性材料中へ;1番目に金属、2番目に炭素を、流動性材料中へ;または後に使用者によって流動性材料と混合されるために、炭素と金属とを予めブレンドしたもの、であり得る。コウェルは、炭素および金属を、濃厚な添加剤に乾燥混合するためには、通常は必要とされない。
【0087】
混合速度は、約200rpm〜約2000rpm、そして好ましくは、約500rpm〜約1200rpmの範囲であり得る。
【0088】
(発明の有用性)
(保護されるべき金属)
電流回路が、本発明において形成され、この回路において、保護されるべき金属が、カソードとして働き、流動性材料中の伝導性媒体が、電子移動剤として働き、そして流動性材料中の腐食性が高い金属粒子が、犠牲アノードとして働く。必要に応じて、この流動性材料は、イオン伝導性にされ得るか、または固有に伝導性のポリマーを含有し得、この流動性材料の電子移動の量を増強し得る。
【0089】
金属は、構造体の内部にあっても、構造体の外側表面上にあっても、価値のある金属の腐食の可能な影響が生じ得る他の任意の位置にあっても、この電流回路を介して保護される。鉄の場合、構造体の露出した桁であっても、コンクリート内の補強梁(「鉄筋」)であっても、水分、酸素、および電解質(例えば、塩)の組み合わせは、自然の腐食を開始する。鉄筋の場合、腐食は、水が空気ギャップを辿ってコンクリートにしみ込んでこの鉄筋に達するといつでも開始する。なぜなら、このコンクリート自体が、このコンクリートを形成するために使用される水中の塩に起因して、電解質を提供するからである。この鉄筋が錆びるにつれて、その酸化物形成の圧力は、さらに、このコンクリートに亀裂を入れ、さらなる鉄筋を、空気および水に曝露する。従って、電流回路の第一の構成要素は、保護されるべき金属(カソード)である。
【0090】
鉄を含有する、多くの他の構造体および建造物は、カソード保護を必要とする。流動性材料が塗料またはコーティングである場合、カソード保護の適用は、所望される場合、染色され得、そして塗布されて、金属表面を保護し、そしてその外観の質を増す。
【0091】
保護されるべき金属の非限定的な例は、鉄、鋼、銅、およびアルミニウムである。
【0092】
(適用方法)
従って、電流回路は、伝導性媒体と犠牲アノード金属粒子との両方を、同じ流動性材料内に有する。次いで、この流動性材料は、保護されるべき金属基板に接触して、適用され得る。
【0093】
適用の非限定的な例としては、考えられる全ての塗布技術およびコーティング技術(例えば、スプレー塗布、ブラシ/ローラー塗布、ナイフコーティング、溶液キャスティング、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。適用の方法は、金属基板の性質、この基板が平坦な表面を有するか、単純な湾曲を有するか、複合した湾曲を有するか、またはより複雑な表面構成を有するかに依存する。
【0094】
全ての金属構造体は、理論的に、本発明の利点から、利益を得ることができる。着色料を流動性材料に任意で添加することにより、金属基盤を保護するだけでなく、この金属基板に色も提供する、塗料または他のコーティングを作製し得る。
【0095】
他の実施形態は、以下の実施例において見出される。
【実施例】
【0096】
(実施例1〜3および比較例A〜C)
以下の表1の成分を、添加の順序および混合条件と共に、実験のために選択した。
【0097】
【表1A】

表2は、実施例および比較例の量を、重量%で示す。
【0098】
【表2】

表3は、比較例A〜Cおよび実施例1〜3のための試験方法を示し、そしてその試験結果は、図1〜6に対応する。
【0099】
【表3−1】

【0100】
【表3−2】

本発明は、平均値、および比較例の各々に対する改善の百分率を比較することによって、かなりの有用性を実証する。
【0101】
市販の塗料のコントロール(比較例A)については、亜鉛の添加が、塩スプレー腐食に対する耐性を劇的に改善したが、ICP/Znブレンド(比較例C)またはZn/炭素繊維(実施例1)またはZn/MWNT(実施例2)またはZn/SWNT(実施例3)を使用するほどには、全く首尾よくなかった。
【0102】
Znコントロール(比較例B)に対して比較すると、実施例1〜3の全てが、本発明による伝導性媒体の添加によって、性能を改善した。
【0103】
ICP/Znブレンド(比較例C)に対して比較すると、Zn/SWNTの使用(実施例3)は、材料の費用を考慮すると、受容可能な代用品である。
【0104】
費用に基づいて優先順位を付けると、実施例1は、比較例Aまたは比較例Bの費用より非常に小さい費用の割り増しで、かなりの性能の改善を提供する。
【0105】
数値の結果は、図1〜6の目視によって、確認される。
【0106】
本発明は、上記実施形態に限定されない。特許請求の範囲は、添付のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、比較例Aのサンプルのデジタル画像である。
【図2】図2は、比較例Bのサンプルのデジタル画像である。
【図3】図3は、比較例Cのサンプルのデジタル画像である。
【図4】図4は、実施例1のサンプルのデジタル画像である。
【図5】図5は、実施例2のサンプルのデジタル画像である。
【図6】図6は、実施例3のサンプルのデジタル画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード保護ポリマー配合物であって、該配合物は、以下:
(a)流動性材料;
(b)該流動性材料中に分散した、炭素質伝導性媒体;および
(c)該流動性材料中に同様に分散した、犠牲金属粒子、
を含有し、該犠牲金属粒子は、該配合物が接触することを意図される金属基板より腐食性が高い、配合物。
【請求項2】
前記炭素質伝導性媒体が、炭素ベースの電子移動剤として働き、そして粒子、小板、繊維、管、またはこれらの組み合わせの形態であり、そして必要に応じて、金属のめっきによって機能性にされている、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記炭素質伝導性媒体が、繊維である、請求項1または請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
前記管が、多層ナノチューブである、請求項1または請求項2に記載の配合物。
【請求項5】
前記管が、単層ナノチューブである、請求項1または請求項2に記載の配合物。
【請求項6】
前記流動性材料が、ポリマー性材料であり、そしてフィルムまたはコーティングを形成し得る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項7】
前記流動性材料が、感圧性接着剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項8】
前記金属基板が、鉄を含有する基板であり、そして前記犠牲金属粒子が、亜鉛またはアルミニウムである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項9】
前記流動性材料中に、イオン伝導性剤をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項10】
前記犠牲金属粒子の不動態化を減少させるための手段をさらに含有する、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
前記手段が、錯化剤である、請求項10に記載の配合物。
【請求項12】
前記流動性材料中に、固有に伝導性のポリマーをさらに含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物から形成された、フィルム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物が接触している表面を有する、金属基板。
【請求項15】
金属基板を保護する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物を、該金属基板と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物を使用する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物を、金属基板に適用する工程を包含し、該配合物と該金属基板とが、電流回路を形成し、該電流回路において、前記犠牲金属粒子は、アノードであり、そして該金属基板は、カソードであり、そして該電流回路において、前記炭素質伝導性媒体は、該アノードとカソードとの間での電子移動剤として働く、方法。
【請求項17】
前記電流回路が、受動回路である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の配合物を作製する方法であって、前記炭素質伝導性媒体を、前記流動性材料中に混合する工程、および前記犠牲金属粒子を、該流動性材料中に混合する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記炭素質伝導性媒体が、前記流動性材料の全固形分の約0.01重量%〜約10重量%の量で存在し、そして前記犠牲金属粒子が、該流動性材料の全固形分の約0.1重量%〜約95重量%の量で存在する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−508439(P2007−508439A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535466(P2006−535466)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035250
【国際公開番号】WO2005/044928
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(502387566)ポリワン コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】