説明

炭素鋳型作製方法、永久磁石粒子作製方法、ボンド永久磁石用造粒粉作製方法およびボンド永久磁石の製造方法

【課題】従来のミクロンオーダの永久磁石粒子を用いた永久磁石に対して磁気特性を向上させたナノオーダーの永久磁石粒子を得るとともに、これを造粒することで成形が可能な永久磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】C−15/シクロヘキサン溶液に水、ヒドラジン、NH3、TEOSを添加して球状シリカを形成し、Ar焼成を行ない、NaOHaqで球状シリカをエッチングし、炭素鋳型を作製する。このようにして作成された炭素鋳型に金属塩水溶液を真空含浸し、Ca(NO3)水溶液を添加し、還元拡散処理を行なって永久磁石粒子を作製する。さらに、この永久磁石粒子で造粒し、樹脂混合し、成形という手順で処理を行い、永久磁石を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最終的にボンド磁石形の永久磁石を製造する永久磁石製造方法に関するもので、特にそのための炭素鋳型作製方法、永久磁石粒子作製方法、およびボンド永久磁石用造粒粉作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石の種類は、鋳造磁石と焼結磁石とボンド磁石とに大別される。
鋳造磁石の代表的なものはアルニコ(Al−Ni−Co)系磁石であり、磁束密度が高く、温度特性が良好であるが、非常に固いため、加工が難しく、高価であるために計器用等の特殊な用途に使用されている。
焼結磁石は、フェライト磁石に代表され、酸化鉄を主成分とする磁性粉末を所定の形状に焼結して製造されるもので、残留磁束密度はやや低いものの、安価で保磁力が高いため広い分野で使用されている。
ボンド磁石は、磁性粉末と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド系合成樹脂(商品名、ナイロン)、ゴム、添加材等を混合して成形したもので、柔軟で成形の自由度が高く、希土類磁性粉を含ませることにより、残留磁束密度、保磁力を高くすることができることから、小型モータを初め、多くの分野で普及が進んでいる。
例えば、特許文献1には、樹脂被覆された磁性粉末である原料粉末の形状を実質的に球形とし、好ましくは粒度分布を正規分布にすることにより、粉末の流動性を高め、また金型に充填したときの原料粉末の充填密度を増大させることが開示されている。
また、特許文献2には、Nd−Fe−B系永久磁石用合金を溶融し、噴霧法により粉末を得た後、この粉末に対し水素吸蔵、崩壊処理を行い、次いで、水素吸蔵、崩壊処理をした粉末をさらに微粉砕する永久磁石用合金粉末の製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、ナノサイズの空孔を持った炭素として、ナノ多孔性炭素の製造方法が提案されている。
このように、従来のボンド磁石に用いられる粉末(粒子)は、金属溶解法や直接還元法により、ミクロンオーダーの粒子径を持った磁性粒子が作製されている。 また、このミクロンオーダーの磁性粒子を造粒、成形することで、交換スプリング磁石という新しい概念を持った永久磁石も作製されている。更にナノ多孔性炭素については、触媒、水素貯蔵物質、膜などの適用が考えられている。
【特許文献1】特開平7−74012号公報
【特許文献2】特開2002−60806号公報
【特許文献3】特開2004−161590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1および2において開示された永久磁石の作製方法では、ミクロンオーダーの粒子径を持った磁性粒子を作製しているが、圧縮成形ボンド磁石の特性として239kJ/m3以上、射出成形ボンド磁石の特性として160kJ/m3以上のエネルギ積が得られず、磁気特性向上に限界があるという問題があった。
また、従来の特許文献3では、ナノサイズの空孔を持った炭素として、ナノ多孔性炭素の製造方法が提案されているが、製造方法が異なるため金属粒子の作製を目的とした鋳型としては使用できない欠点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、炭素鋳型による永久磁石粒子を作製するとともに、永久磁石粒子により高性能永久磁石を作製することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項1記載の発明は、炭素鋳型作製方法に係り、C−15/シクロヘキサン溶液に水、ヒドラジン、アンモニア、正珪酸四エチルの1つ以上を添加して1〜1000ナノの粒子径を持ったシリカを形成するステップと、その後アルゴン雰囲気で焼成を行なうステップと、得られた焼成物を水酸化ナトリウムに浸漬して前記シリカを溶かすステップにより、ナノサイズの空孔を持った炭素鋳型を作製することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、永久磁石粒子作製方法に係り、請求項1記載の炭素鋳型作製方法により作製された前記炭素鋳型に磁石原料である金属塩水溶液を流し込むステップと、これをカルシウム還元処理するステップにより、1〜1000ナノの永久磁石粒子を作製することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の永久磁石粒子作製方法において、前記金属塩水溶液の金属が、R−Fe−B系、R−Fe−N系、R−Co−Fe系の少なくとも1つの合金からなり、前記Rは希土類金属元素の少なくとも1種類を含有することを特徴としている。
請求項4記載の発明は、ボンド永久磁石用造粒粉作製方法に係り、請求項2又は3記載の永久磁石粒子作製方法により作製した永久磁石粒子と樹脂とを混合する樹脂混合ステップと、前記樹脂混合ステップで得られた混合物を造粒する造粒ステップにより、ナノサイズの永久磁石粒子を有するボンド永久磁石用造粒粉を作製することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法において、前記樹脂混合ステップでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリアミド系合成樹脂の少なくとも一種を添加することを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法において、前記造粒ステップでは、前記永久磁石粒子と前記樹脂溶液の混合物を噴霧乾燥法により造粒することを特徴としている。
請求項7記載の発明は、ボンド永久磁石の製造方法に係り、請求項4〜6のいずれか1項記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法で得られた造粒粉を樹脂で結合させて、所定の形状に成形することにより、ナノサイズの永久磁石粒子を有するボンド永久磁石を製造することを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のボンド永久磁石の製造方法において、前記成形ステップでは、圧縮成形法又は射出成形法を用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によると、C−15/シクロヘキサン溶液に水、ヒドラジン、アンモニア、正珪酸四エチルの1つ以上を添加して1〜1000ナノの粒子径を持ったシリカを形成し、その後アルゴン雰囲気で焼成して、得られた焼成物を水酸化ナトリウムに浸漬して前記シリカを溶かすことにより、ナノサイズの空孔を持った炭素鋳型を作製することができるので、この鋳型を用いれば1〜1000ナノの永久磁石粒子を簡単に作製することができる。
請求項2記載の発明によると、作製した炭素鋳型に磁石原料である金属塩水溶液を流し込み、カルシウム還元処理を行なうことで、1〜1000ナノの永久磁石粒子を作製することができる。
また、従来の永久磁石粒子に比べ、カルシウム還元処理などの高温熱処理において永久磁石粒子の粒子成長が見られないため、エネルギ積の高い永久磁石粒子を作製することができる。
請求項3記載の発明によると、R−Fe−B系、R−Fe−N系、R−Co−Fe系の少なくとも1つの合金を使用し、前記Rは希土類金属元素の少なくとも1種類含有する永久磁石粒子を作製することにより、それぞれの特徴を持ったナノオーダの永久磁石粒子を作製することができる。
請求項4記載の発明によると、樹脂混合ステップで得られた混合物を造粒する造粒ステップにより、ナノサイズの永久磁石粒子を有する小粒で大きさの揃ったボンド永久磁石用造粒粉を得ることができる。
請求項5記載の発明によると、作製された永久磁石粒子を粒子と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリアミド系合成樹脂の少なくとも一種を添加した樹脂とを混合することで、エネルギ積の高い永久磁石を作製することができる。
請求項6記載の発明によると、永久磁石粒子と樹脂溶液の混合物を噴霧乾燥法により造粒することで小粒で大きさの揃ったボンド永久磁石用造粒粉を簡単に得ることができ、したがって永久磁石粒子が高密度に充填されることができるため、エネルギ積の高い永久磁石が得られる。
請求項7記載の発明によると、得られた造粒粉を所定の形状に成形することにより、用途に応じた形状のボンド永久磁石を製造することができる。
請求項8記載の発明によると、圧縮成形法又は射出成形法を用いることで、用途に応じた形状のボンド永久磁石を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0007】
本発明の実施例1を、図1〜図5を用いて説明する。
図1は、本発明の永久磁石粒子の製造方法を示すフローチャートである。
図1において、ステップ1で、C−15/シクロヘキサン溶液50ccに水、ヒドラジン、NH3、正珪酸四エチル(Si(OC254、略してTEOS)5ccを添加する。ここで、C−15とは、ポリオキシンエチレン(n=15)セチルエーテルのことである。このように、水、ヒドラジン、NH3、TEOSの添加により、1〜1000ナノの粒子径を持った球状シリカが形成され、炭素鋳型の材料が得られる(ステップ2)。
次に、ステップ3で、アルゴン(Ar)焼成を850°Cで5時間行ない、これにより1〜1000ナノの粒子径の球状シリカを含む炭素鋳型が固化する。
ステップ4で、2モル/リットルのNaOH水溶液で球状シリカを3時間程度エッチングすることにより、球状シリカの存在した部位が空洞となり、炭素鋳型が作製される。
その後、磁石原料である金属塩水溶液中に炭素鋳型を入れた容器を真空チャンバに入れ、この真空チャンバ内を真空に引くことで炭素鋳型を脱泡し、金属塩水溶液を含浸させる。次いで、Ca(NO32水溶液0.5モル/リットルを過剰に(余るほど)入れる。金属はR−Fe−B系、R−Fe−N系、R−Co−Fe系の少なくとも1つの合金からなり、Rは希土類金属元素の少なくとも1種類含有するものである。真空含浸により炭素鋳型内の空孔の空気を追い出し真空状態とするので、磁石原料が炭素鋳型の1〜1000ナノの粒子径の空孔に入り込むことができる。
ステップ5で、Ca(NO32水溶液が炭素鋳型の内部に浸透し、850°C8時間Ar(アルゴン)中で加熱することにより、還元される。Ca(NO32水溶液も金属塩と同様に含浸させる。
この後、ミルを用いて炭素鋳型を機械的に粉砕して炭素鋳型を除去することで、空孔内の1〜1000ナノの粒子径の永久磁石粒子が取り出される。
ステップ6で、以上のようにして永久磁石粒子が作製される。
【0008】
図2以下の図は、本発明の方法を実施している図で、図2は球状シリカを挿入して炭素鋳型を作製している途中の図である。図2において、C−15/シクロヘキサン溶液に水、ヒドラジン、NH3、TEOSを添加して、1〜1000ナノの粒子径を持った球状シリカ1を形成し、Ar焼成を行なうことで炭素鋳型2が固化する。その後、これをNaOH水溶液に漬けて球状シリカ1をエッチングすると、球状シリカ1の部分が除去され、後に1〜1000ナノの粒子径の空孔3aを多数備えた炭素鋳型3が得られる。図3は、このようにして得られた空孔3aを多数有する炭素鋳型3を示す図である。
次に、磁石原料であるSmCoFe金属塩水溶液(塩化サマリウム、塩化コバルト、塩化鉄の水溶液)をこの炭素鋳型3に真空含浸すると、炭素鋳型3の1〜1000ナノの粒子径の空孔3a内にSmCoFe金属が入り込む。図4は、このようにして炭素鋳型3の空孔3a内にSmCoFe金属が入り込んだ状態を示す図である。
その後、Ca(NO32水溶液を添加し、還元拡散処理を行なうことで、炭素鋳型3が除去され、永久磁石粒子4が得られることとなる。
図5は、このようにして得られた1〜1000ナノの粒子径の多数の永久磁石粒子4を示す図である。
【0009】
表1は、永久磁石粒子の作製可能な大きさを示す図である。
【表1】

【0010】
表1において、上欄の横方向の数字0.5、1、10、100、1000、1200は、永久磁石粒子の大きさを単位nmで示し、下欄の○、×は永久磁石粒子の作製可能(○)と不可能(×)とを示している。
表1から判ることは、本発明の方法によれば、1nmより小さい永久磁石粒子の作製は難しいが、1nm以上の大きさの粒子であれば、1000nmや1200nmの大きさの粒子は容易に可能である、ということである。
【実施例2】
【0011】
本発明の実施例2では、実施例1と同様にして、炭素鋳型を作製し、SmおよびCoの金属塩水溶液(塩化サマリウム水溶液0.12モル/リットル、塩化コバルト水溶液0.12モル/リットル)、そして必要に応じてFeの金属塩水溶液(塩化鉄水溶液0.6モル/リットル)を含浸させ、850°Cで5時間熱処理し、Ca還元拡散処理を行なうことにより永久磁石粒子を作製し、その後、この永久磁石粒子にブタノン、エポキシ樹脂を2質量%混合し(例えば、永久磁石粒子10g、ブタノン22.5ml、エポキシ樹脂3.6g(密度0.379g/ml))、噴霧乾燥機中に2kg/cm2、60°Cで噴霧し、Arガスの気流中で乾燥させ、造粒粉を作成した。
この造粒粉をエポキシ樹脂やナイロン樹脂もしくはアクリル樹脂で結合させて、圧縮成形によりボンド磁石を作製した。
そして、永久磁石粒子の大きさ(nm)とエネルギ積(Kj/m3)との関係を調べてみた。
表2は、永久磁石粒子の粒子径の大きさによるボンド磁石の磁気特性を示す図である。
【表2】

【0012】
表2において、上欄の横方向の数字1、10、100、1000、1200は、永久磁石粒子の大きさを単位nmで示し、下欄の数字はエネルギ積(Kj/m3)を示している。
表2から判ることは、永久磁石粒子の大きさが1000nmまでであれば最大エネルギ積が160kJ/m3以上のものが得られるが、これより大きくなって、例えば1200nmになると、もはや最大エネルギ積が160kJ/m3より小さい磁石しか得られなくなってしまう、ということである。
したがって、最大エネルギ積が160kJ/m3以上に確保される磁石を得るには、本発明により1000nm以下の永久磁石粒子に形成することが重要なことが判る。このように、従来技術による射出成形ボンド磁石では、160kJ/m3以上のエネルギ積の磁石が得られなかったが、本発明の方法によれば、1000nm以下の永久磁石粒子に形成すれば、最大エネルギ積が160kJ/m3以上の磁石を得ることができるようになる。
以上表1と表2を纏めると、本発明の方法によれば、表1から1nm以上の大きさの永久磁石粒子を製造することができ、また表2から永久磁石粒子の大きさが1000nm以下であれば最大エネルギ積が160kJ/m3以上のものが得られることが判明したので、シリカを形成するステップでは、1nm〜1000nmの粒子径を持ったシリカを形成するのが好ましいこととなる。
【0013】
次に、図1による本発明方法で作製された永久磁石粒子を用いて、最終的に永久磁石を製造する方法を図6を用いて説明する。
図6において、まず、ステップ11は永久磁石粒子作製工程で、前述の図1のフローである。
ステップ12で、永久磁石粒子を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリアミド系合成樹脂の少なくとも一種を添加した樹脂と混合する。このように、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリアミド系合成樹脂の各溶液の少なくとも一種を混合することにより、成形性の優れたボンド磁石を作製することができる。
ステップ13で、樹脂溶液に永久磁石粒子を混合した混合物を造粒する。造粒は、永久磁石粒子と樹脂溶液の混合物を噴霧乾燥法により造粒することができる。
このような造粒により永久磁石粒子が金型内で高密度に充填されることができるので、エネルギ積の高い永久磁石を作製することができる。
【0014】
図7は、このように噴霧乾燥法により粒の揃った小粒に造粒された造粒粉の1粒を示す図である。
図で5が造粒粉で、この造粒粉5の樹脂の中に、上記方法で作製された永久磁石粒子4が多数含有されている状態が判る。
ステップ14で このように造粒された造粒粉5(図7)を所定の形状をした金型6(図8のa)に入れて、圧力Pで加圧することで所望の形状の永久磁石が製造される。成形は既存の圧縮成形法または射出成形法を用いるとよい。
【0015】
図8はステップ14の成形工程を示す概念図で、(a)は本発明に係る成形工程、(b)は従来方法に係る成形工程である。金型6自体はどちらも同じであるが、中に入れられる磁性粒子が(a)では本発明により1〜1000ナノの粒子径の多数の永久磁石粒子4を含有する樹脂でしかも噴霧乾燥法により粒の揃った小粒に造粒された造粒粉5(図7)であるので、造粒粉5が金型6内に均一に隙間なく高充填率で収納されることができる。
このようにすると、ナノオーダの永久磁石粒子を有する高性能のボンド磁石を簡単に製造することができる。
これに対して、(b)では造粒していないため大きさの異なる磁性粒子5’が金型6内に収納されるので、隙間がたくさんできることとなり、充填率は低くなり、最大エネルギ積が小さいものとなってしまうため、高性能のボンド磁石を得ることが難しい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、ナノオーダーの粒子径をもつ永久磁石粒子によりボンド磁石を作製することによって、永久磁石の高性能化ができるので、サーボモータの高性能化という用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】永久磁石粒子の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の方法を実施するために、球状シリカを挿入し炭素鋳型を作製している途中の図である。
【図3】本発明により作製された空孔を多数有する炭素鋳型を示す図である。
【図4】炭素鋳型の空孔内に金属が入り込んだ状態を示す図である。
【図5】本発明により作製された1〜1000ナノの粒子径の永久磁石粒子を示す図である。
【図6】本発明方法で作製された永久磁石粒子を用いて永久磁石を製造する方法を説明するフローチャートである。
【図7】造粒工程で小粒に造粒された造粒粉の1粒を示す図である。
【図8】ステップ14の成形工程を示す概念図で、(a)は本発明に係る成形工程、(b)は従来方法に係る成形工程である。
【符号の説明】
【0018】
1 球状シリカ
2 作製中の炭素鋳型
3 炭素鋳型
3a 炭素鋳型内の空孔
4 永久磁石粒子
5 造粒粉
6 金型
P 圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C−15/シクロヘキサン溶液に水、ヒドラジン、アンモニア、正珪酸四エチルの1つ以上を添加して1〜1000ナノの粒子径を持ったシリカを形成するステップと、その後アルゴン雰囲気で焼成を行なうステップと、得られた焼成物を水酸化ナトリウムに浸漬して前記シリカを溶かすステップにより、ナノサイズの空孔を持った炭素鋳型を作製することを特徴とする炭素鋳型作製方法。
【請求項2】
請求項1記載の炭素鋳型作製方法により作製された前記炭素鋳型に磁石原料である金属塩水溶液を流し込むステップと、これをカルシウム還元処理するステップにより、1〜1000ナノの永久磁石粒子を作製することを特徴とする永久磁石粒子作製方法。
【請求項3】
前記金属塩水溶液の金属は、R−Fe−B系、R−Fe−N系、R−Co−Fe系の少なくとも1つの合金からなり、前記Rは希土類金属元素の少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項2記載の永久磁石粒子作製方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載の永久磁石粒子作製方法により作製した永久磁石粒子と樹脂とを混合する樹脂混合ステップと、前記樹脂混合ステップで得られた混合物を造粒する造粒ステップにより、ナノサイズの永久磁石粒子を有するボンド永久磁石用造粒粉を作製することを特徴とするボンド永久磁石用造粒粉作製方法。
【請求項5】
前記樹脂混合ステップでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびポリアミド系合成樹脂の少なくとも一種を添加することを特徴とする請求項4記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法。
【請求項6】
前記造粒ステップでは、前記永久磁石粒子と前記樹脂溶液の混合物を噴霧乾燥法により造粒することを特徴とする請求項4又は5記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項記載のボンド永久磁石用造粒粉作製方法で得られた造粒粉を樹脂で結合させて、所定の形状に成形することにより、ナノサイズの永久磁石粒子を有するボンド永久磁石を製造することを特徴とするボンド永久磁石の製造方法。
の製造方法。
【請求項8】
前記成形ステップでは、圧縮成形法又は射出成形法を用いることを特徴とする請求項7記載のボンド永久磁石の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−326650(P2006−326650A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154607(P2005−154607)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】