説明

炭素電極バッチ材料および炭素電極材料の製造方法

本開示は、炭素電極バッチ材料およびその使用方法と製品に関する。詳しくは、本開示は、炭素電極を形成するためのバッチ材料であって、少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および水を実質的に含む媒体を含むバッチ材料に関する。本開示はさらに、そのバッチ材料を押し出す工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2010年2月25日に出願された米国特許出願第12/712661号の恩恵を主張するものである。この文献の内容並びにここに述べられた刊行物、特許、および特許文献の全開示がここに引用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、炭素電極バッチ材料およびその使用方法に関する。詳しくは、本開示は、炭素電極を形成するためのバッチ材料であって、少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および水を実質的に含む媒体を含むバッチ材料に関する。本開示はさらに、そのバッチ材料を押し出す工程を含む、炭素電極材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
炭素電極は、例えば、蓄電池と比べて単位容積および単位質量当たりで極めて可逆性である電荷蓄積プロセスを有する電気化学装置であり、超コンデンサとしても知られているウルトラキャパシタに使用されるであろう。ウルトラキャパシタは、危険なすなわち有毒な材料を含有しておらず、したがって、廃棄が容易であるので、望ましいであろう。その上、それらは、広い温度範囲で使用してよく、500,000サイクルを超えるサイクル寿命を示してきた。ウルトラキャパシタは、例えば、蓄電池、電力が喪失した場合のフェイルセーフの位置決め、および電気自動車などの幅広い電子装置に用いられるであろう。炭素電極を製造するための材料は、環境に悪く、費用がかかるであろう。同様に、炭素電極を製造するためのプロセスは、複雑で、費用がかかり、時間がかかるであろう。例えば、いくつかの材料では、バッチ材料に使用する前に、分散、粉砕または精製が必要であろうし、そのプロセスには、バッチ材料の高圧圧縮または高温でのおよび/または長期間に亘る乾燥が必要であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、費用がかからず、環境に優しく、信頼性のある均質電極を製造できながらも加工をそれほど必要としない炭素電極バッチ材料および関連製品が必要とされている。さらに、これらの望ましい性質を有する炭素電極を製造する方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに記載された詳細な説明および様々な例示の実施の形態によれば、本開示は、新規の炭素電極バッチ材料およびその使用方法に関する。
【0006】
様々な例示の実施の形態において、炭素電極を形成するための炭素電極バッチ材料は、少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および水を実質的に含む媒体を含み、この少なくとも1種類の結合剤は、実質的に非繊維状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。
【0007】
他の例示の実施の形態において、本開示は、そのバッチ材料を押し出す工程を含む方法にも関する。少なくとも1つの実施の形態において、その方法は、二軸スクリュー押出機を使用したバッチ材料の押出しに関する。
【0008】
本開示のバッチ材料および方法は、少なくともいくかの例示の実施の形態において、環境に優しいおよび/または対費用効果的であろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、特許請求の範囲を制限することが意図されておらず、むしろ、本発明の例示の実施の形態を実証するために提供され、その記載と共に、本発明の原理を説明するように働く。
【図1】本開示の少なくとも1つの実施の形態による炭素電極材料を製造する方法を示す説明図
【図2A】本開示の1つの例示の実施の形態により製造された炭素電極材料のSEMによる顕微鏡写真
【図2B】本開示の1つの例示の実施の形態により製造された炭素電極材料のSEMによる顕微鏡写真
【図3】本開示の少なくとも1つの実施の形態による炭素電極の製造に使用するための二軸スクリュー押出機の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に例示と説明であり、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものではないことが理解されよう。ここに開示された実施の形態の実施および明細書の検討から、当業者には他の実施の形態が明らかであろう。明細書および実施例は、例示としてのみ考えられ、本発明の真の範囲および精神は、特許請求の範囲により示されている。
【0011】
本開示は、炭素電極バッチ材料およびその使用方法に関する。ここに用いたように、「炭素電極バッチ材料」、「バッチ材料」という用語およびその変形は、炭素電極の製造に使用できる炭素電極材料の製造に使用される配合物を意味することが意図されている。炭素電極バッチ材料は、固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。様々な実施の形態において、本開示の炭素電極バッチ材料は、少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および媒体を含む。
【0012】
ここに用いたように、「活性炭」という用語およびその変形は、炭素を極めて多孔質にし、それゆえ、高比表面積を持たせるように処理された炭素を含むことが意図されている。例えば、活性炭は、300から2500m2/gに及ぶ高いBET比表面積によって特徴付けられるであろう。様々な実施の形態において、少なくとも1種類の活性炭は、1μmから10μm、例えば、5μmなどの3μmから8μmに及ぶ平均粒径を有する粉末であってよい。前記バッチ材料に使用するための活性炭としては、以下に限られないが、日本国大阪所在の株式会社クラレ、カリフォルニア州コンプトン所在のCarbon Activated Corporation、およびニュージャージー州パターソン所在のGeneral Carbon Corporationにより商標名活性炭(Activated Carbon)で販売されているものが挙げられる。
【0013】
様々な実施の形態において、バッチ材料は、少なくとも70質量%、例えば、85質量%などの少なくとも80質量%の活性炭を含んでよい。ここに用いたように、固体の質量パーセントの言及は、全粒子装填量に対するものである。それゆえ、70質量%の活性炭は、そのバッチ中の固体粒子または成分の70質量%が活性炭からなることを示す。
【0014】
ここに用いたように、「結合剤」という用語およびその変形は、他のバッチ材料成分のための繊維状格子などの支持体を形成する材料を含むことが意図されている。様々な実施の形態において、結合剤は、化学的に不活性かつ電気化学的に安定であろう。
【0015】
様々な実施の形態において、バッチ材料中に存在する少なくとも1種類の結合剤は、実質的に非繊維状のPTFEであってよい。PTFEに関してここに用いたように、「実質的に非繊維状の」は、PTFE粒子が、バッチ材料の調製前または調製中に、例えば、高剪断力による混合によって、材料の繊維性を生じるようにされていない、すなわち、それらがまだ繊維状ではないことを意味することが意図されている。
【0016】
様々な実施の形態において、少なくとも1種類の結合剤は、1×106g/モルから10×106g/モル、例えば、5×106g/モルなどの2×106g/モルから6×106g/モルに及ぶ分子量を有する実質的に非繊維状のPTFEであってよい。
【0017】
バッチ材料に使用するための実質的に非繊維状のPTFEとしては、以下に限られないが、ミズーリ州セントルイス所在のSigma-Aldrich Corp.により、およびマサチューセッツ州ワードヒル所在のJohnson Mattheyの一部門であるAlfa Aesarにより、商標名ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)で販売されている製品が挙げられる。
【0018】
様々な実施の形態において、バッチ材料は、0.1質量%から20質量%の少なくとも1種類の結合剤、例えば、8質量%のなどの1質量%から10質量%の少なくとも1種類の結合剤を含んでよい。
【0019】
ここに用いたように、「媒体(carrier)」という用語およびその変形は、バッチ材料の輸送または流動を助ける材料を意味することが意図されている。本開示の様々な実施の形態において、媒体は水を実質的に含み、さらに別の実施の形態において、水は脱イオン化されていてよい。ここに用いたように、「水を実質的に含む」は、媒体の少なくとも50質量%、例えば、少なくとも60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、95質量%、99質量%または99.9質量%が水からなることを意味することが意図されている。
【0020】
様々な実施の形態において、媒体は、上乗せ添加としてバッチ材料の200質量%未満、例えば、160質量%などの180質量%未満を構成してよい。ここに用いたように、液体に関する質量パーセントの言及は、上乗せ添加として、すなわち、100質量%の固体に対する。例えば、200質量%の媒体は、100gのバッチ固形物について、200gの媒体が存在したことを示す。少なくとも1つの実施の形態において、バッチ材料中に存在する媒体の量は、バッチ材料が、押出機に投入する前の、湿った可鍛性材料、例えば、粘土状であるように選択され、半乾燥状態で押出機から吐出されるであろう。
【0021】
少なくともいくつかの実施の形態において、材料の見掛けの湿り度は、押出中に変わるかもしれないが、含水量は実質的に同じままであろう。代わりに、ある実施の形態において、材料内における水などの媒体の分布は、押出中に変わり、材料の見掛け湿り度の変化をもたらすであろう。
【0022】
ここに開示された様々な実施の形態において、炭素電極バッチ材料は、少なくとも80質量%の活性炭、非繊維状のPTFE、および水を実質的に含む媒体を含んでよい。
【0023】
その上、炭素電極バッチ材料は、少なくとも1種類のカーボンブラックをさらに含んでもよい。ここに用いたように、「カーボンブラック」という用語は、高い比表面積を有する無定形炭素の形態を含むことが意図されている。例えば、カーボンブラックは、例えば、200m2/gから1800m2/gに及ぶ、また1400m2/gから1600m2/gに及ぶ、などの25m2/gから2000m2/gに及ぶ高いBET比表面積により特徴付けられるであろう。様々な実施の形態において、少なくとも1種類のカーボンブラックは、1μmから40μm、例えば、17μmなどの10μmから25μmに及ぶ平均粒径を有する粉末であってよい。バッチ材料に使用するためのカーボンブラックとしては、以下に限られないが、マサチューセッツ州、ボストン所在のCabot CorporationによるBLACK PEARLS(登録商標)2000、マサチューセッツ州ボストン所在のCabot CorporationによるVULCAN(登録商標)XC72、および独国エッセン所在のEvonikによるPRINTEX(登録商標)L6の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0024】
様々な実施の形態において、バッチ材料は、0.1質量%から15質量%、例えば、5質量%などの1質量%から10質量%に及ぶ量のカーボンブラックを含んでよい。
【0025】
その上、炭素電極バッチ材料は、少なくとも1種類の第2の結合剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの実施の形態において、少なくとも1種類の第2の結合剤は、台湾のLico Technology Corporationにより水性分散体としてLICO(登録商標)LHB−108Pの商標名で販売されているものなどの、スチレン−ブタジエンゴムコポリマーから選択してもよい。
【0026】
様々な実施の形態において、バッチ材料は、0.1質量%から5質量%、例えば、1.5質量%などの1質量%から3質量%に及ぶ量の少なくとも1種類の第2の結合剤を含んでよい。
【0027】
その上、炭素電極バッチ材料は、少なくとも1種類の添加剤をさらに含んでもよい。ここに用いたように、「添加剤」という用語は、以下に限られないが、吸湿剤を含む。
【0028】
バッチ材料の少なくとも1つの実施の形態において、少なくとも1種類の添加剤は吸湿剤である。さらに別の実施の形態において、吸湿剤は、例えば、ミズーリ州、セントルイス所在のSigma-Aldrich Corp.によるカルボキシルメチルセルロース(Carboxylmethylcellulose)(CMC)、および中国のAnqiu Eagle Cellulose CompanyによるEAGLE(登録商標)CMCの商標名で販売されているものなどのカルボキシルメチルセルロースから選択してよい。
【0029】
様々な実施の形態において、バッチ材料は、0.01質量%から5質量%、例えば、0.5質量%などの0.1質量%から2質量%に及ぶ量の少なくとも1種類の添加剤を含んでよい。
【0030】
本開示の少なくとも1つの実施の形態において、固体バッチ成分は、媒体としての水と適合性であるように選択される。本開示のさらに別の実施の形態において、炭素電極バッチ材料は、電解液として使用するためのアセトニトリルと適合性であるように選択される。
【0031】
本開示はさらに、前記炭素電極バッチ材料を押し出す工程を含む、炭素電極材料を製造する方法に関する。様々な実施の形態において、炭素電極材料を製造する方法は、ここに記載されたような炭素電極バッチ材料を混合し;二軸スクリュー押出機を使用してバッチ材料を押し出して、押出材料を製造し;この押出材料をカレンダ加工して、カレンダ加工済み材料を製造する各工程を含む。図1は、本開示の1つの例示の実施の形態による炭素電極材料を製造する方法の説明図である。
【0032】
ここに開示され、図1に例示されるように、炭素電極バッチ材料を混合する工程は、少なくとも1種類の活性炭および少なくとも1種類の結合剤を含む固体バッチ成分101を、媒体を含む液体成分102とミキサ103内で組み合わせる工程を含む。この混合工程は、手動であっても、または例えば、オハイオ州シンシナティ所在のProcessall Inc.により販売されているTILT−A−MIX(登録商標)混合装置を使用した、機械的であってもよい。
【0033】
様々な実施の形態において、バッチ成分は、受け取った状態のまま使用してよく、これは、他のバッチ成分との混合前に、溶液混合、音波処理、加熱、またはその場重合などにより、さらに処理されないことを意味する。
【0034】
追加の実施の形態において、炭素電極バッチ材料は、押出し前に繊維形成(fibrillation)が実質的に行われない。バッチ材料に関してここに用いたように、「繊維形成が実質的に行われない」という用語およびその変形は、バッチ材料が、例えば、高剪断力による混合によって、少なくとも1種類の結合剤の繊維性を生じるために、押出し前に作業されないことを意味することが意図されている。
【0035】
図1に例示されるように、炭素電極バッチ材料を二軸スクリュー押出機104に投入してもよい。図3に例示されるように、二軸スクリュー押出機は、2つのスクリュー302を備え、入口301とダイに通じる出口303を有するであろう。様々な実施の形態において、二軸スクリュー押出機は、30:1から7:1に及ぶ、例えば、15:1などの20:1から10:1に及ぶ押出室アスペクト比(長さ305/直径304)を有してよい。少なくとも1つの実施の形態において、押出機は18mmの二軸スクリュー押出機であってよい。
【0036】
二軸スクリュー押出機は、以下に限られないが、固結段階、混練段階、混合段階、およびブリスタリング段階を含む様々な構成に配列されてもよい。真空を使用して、揮発性物質除去および脱気を行ってもよい。少なくとも1つの実施の形態において、その構成は、混合、次いで、混練、次いで、混合を含んでよい。例えば、押出材料の所望の厚さの検討および追加の圧力なしで押出材料がダイを流通する能力を含む、押出機の出口のための適切なダイを選択することは、当業者の能力の範囲内である。少なくとも1つの実施の形態において、ダイはスロットダイであってよい。
【0037】
様々な実施の形態において、押出しは、投入速度とスクリュー速度の一定条件下で連続速度で行ってもよい。例えば、バッチ混合物は、押出機に手動または自動で投入され、一定のスクリュー速度で押し出されてもよい。様々な実施の形態において、スクリュー速度は、10rpmから500rpmの範囲、例えば、50rpmの一定スクリュー速度などの10rpmから100rpmの範囲から選択されてもよい。
【0038】
様々な実施の形態において、押出しは、0℃から100℃に及ぶバッチ材料温度、例えば、約27℃のほぼ室温などの、50℃未満で行ってもよい。
【0039】
少なくとも1つの実施の形態において、バッチ材料は、湿った(流動性ではない)可鍛性材料として二軸スクリュー押出機に投入され、半乾燥状態で押出機から吐出されてもよい。
【0040】
本開示の少なくとも1つの実施の形態において、バッチ材料の少なくとも1種類の結合剤は、二軸スクリュー押出機のスクリューにより印加される剪断応力によって可塑化されない。さらに、少なくとも1つの実施の形態において、例えば、それぞれ、355倍と725倍の倍率で撮られた図2Aおよび2Bの走査型電子顕微鏡画像に示されるように、少なくとも1種類の結合剤の押出しにより、多数の繊維化された結合剤粒子が合体することも、実質的な凝集塊を形成することもない。むしろ、結合剤は、201および202で示されるように、合体せずに繊維化され、それによって、押出材料中の成分の実質的に均一な分布をもたらす。
【0041】
ダイを通して押出機から吐出される際に、押出材料はカレンダ加工されてもよい。例えば、図1は、押出機104から吐出され、4組のローラ106によりカレンダ加工されている押出材料105を示している。例えば、カレンダ加工される材料の所望の厚さおよび柔軟性に基づいて、ローラを通過する数および厚さ設定を含むカレンダ加工条件を選択することは、当業者の能力の範囲内である。
【0042】
様々な実施の形態において、カレンダ加工される材料は、0.01インチ(約0.254mm)未満、例えば、0.0014インチ(約0.0356mm)または0.0012インチ(約0.0305mm)などの、0.005インチ(0.127mm)または0.002インチ(約0.0508mm)未満の厚さにカレンダ加工されてもよい。
【0043】
追加の実施の形態において、カレンダ加工される材料は、例えば、加熱、真空、乾燥空気流、およびそれらの組合せによって、乾燥させてもよい。少なくとも1つの実施の形態において、カレンダ加工される材料は真空乾燥されてもよい。適切な装置、乾燥時間およびカレンダ加工される材料を乾燥させる温度を決定することは、当業者の能力の範囲内である。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、その材料は、100℃から120℃に及ぶ、または110℃でなどの、80℃から130℃に及ぶ温度で乾燥させてもよい。
【0044】
少なくとも1つの実施の形態において、乾燥後に製造される炭素電極材料は柔軟性である。例えば、この炭素電極材料から製造される炭素電極は、コイルへと巻くことができるであろう。
【0045】
追加の実施の形態において、炭素電極材料は、アセトニトリル電解液などの従来の電解液に適合性であってよい。
【0046】
本開示の少なくとも1つの実施の形態において、炭素電極材料を製造する方法は、炭素電極材料を製造する従来の方法と比べて、それほど複雑ではなく、費用がかからず、および/または時間がかからないであろう。例えば、バッチ成分は、市場で容易に入手できるであろう、および/または混合、粉砕、または分散を必要としないであろうし、混合および押出しに追加の圧力は必要ないであろう。その上、ここに開示された炭素電極材料を製造する方法は、従来の方法よりも、環境に優しいであろう。例えば、開示の方法は、媒体として、有機溶媒ではなく、水を使用してよい。
【0047】
別記しない限り、明細書および特許請求の範囲に使用される全ての数は、そのように記載されていようとなかろうと、全ての場合において「約」という用語により修飾されているものと理解すべきである。明細書および特許請求の範囲に使用される正確な数値は、本発明の追加の実施の形態を形成するものと理解すべきである。実施例に開示された数値の精度を確実にするように努力がなされてきた。しかしながら、どのように測定数値も、それぞれの測定技法に見られる標準偏差から生じる特定の誤差を固有に含み得る。
【0048】
ここに用いたように、単数形は、「少なくとも1つ」を意味し、そうではないと明白に示されていない限り、「たった1つ」に制限されるべきではない。それゆえ、例えば、「バッチ材料」の使用は、少なくとも1種類のバッチ材料を意味することが意図されている。
【0049】
本発明の他の実施の形態は、本明細書の検討およびここに開示された本発明の実施から当業者には明白であろう。明細書および実施例は、例示のみとして考えられ、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲により示されることが意図される。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明を制限することを意図するものではない。
【0051】
実施例1
約5μmの粒径を有する活性炭を85質量%、17μmの平均粒径を有するカーボンブラックを5質量%、5×106g/モルの分子量を有するPTFEを8質量%、水性分散体中のスチレン−ブチジエンゴムを1.5質量%、およびカルボキシルメチルセルロースを0.5質量%、手作業で混合することによって、100gのバッチ材料を得た。160質量%の脱イオン水を加え、バッチ材料を手作業で混合した。
【0052】
押出室アスペクト比(長さ/直径)が15:1である、18mmの同方向回転式自己清浄型二軸スクリュー押出機に、湿ったバッチ材料を手作業で投入した。この材料を、50rpmの一定のスクリュー速度で押出機に一度通過させた。圧力も加熱も使用しなかった。この材料を、長さが0.75インチ(約19.1mm)、半径が0.25インチ(約6.35mm)のスロットダイ(楕円形)に通して押し出した。押出材料を異なる間隔で4回通過させてカレンダ加工して、薄い矩形の形状を形成した。次いで、カレンダ加工された材料を、真空下で24時間に亘り110℃で乾燥させた。
【0053】
乾燥させた炭素電極材料を、厚さと、走査型電子顕微鏡検査法(SEM)を使用してPTFEの繊維化および/または凝集とについて、特徴付けた。乾燥した炭素電極材料は、約0.0014インチ(約0.0356mm)厚であった。その上、例えば、図2Aおよび2Bに見られるように、この材料は、凝集せず、代わりに実質的に均一な炭素電極材料を形成した繊維化PTFEを含有した。
【0054】
乾燥したサンプルを24時間に亘り室温でアセトニトリル(ACN)電解液中に入れて、適合性を判定した。ACNから取り出した際に、電極は崩壊せず、それによって、電解液との適合性が確認された。
【符号の説明】
【0055】
101 固体バッチ成分
102 液体成分
103 ミキサ
104 二軸スクリュー押出機
301 入口
302 スクリュー
303 出口
304 直径
305 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および水を実質的に含む媒体を含む炭素電極バッチ材料であって、
前記少なくとも1種類の結合剤が実質的に繊維化されていないポリテトラフルオロエチレンを含むことを特徴とする炭素電極バッチ材料。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の活性炭が、1マイクロメートルから10マイクロメートルに及ぶ平均粒径を有する粉末であることを特徴とする請求項1記載の炭素電極バッチ材料。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の活性炭が前記バッチ材料の少なくとも80質量%を構成することを特徴とする請求項1記載の炭素電極バッチ材料。
【請求項4】
スチレン−ブチジエンゴムコポリマーから選択される少なくとも1種類の第2の結合剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の炭素電極バッチ材料。
【請求項5】
炭素電極材料を製造する方法であって、
少なくとも1種類の活性炭、少なくとも1種類の結合剤、および水を実質的に含む媒体を含む炭素電極バッチ材料を混合し、
前記バッチ材料を二軸スクリュー押出機に通して、押出材料を製造し、
前記押出材料をカレンダ加工して、カレンダ加工済み材料を製造する、
各工程を有してなり、
前記少なくとも1種類の結合剤が実質的に繊維化されていないポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520840(P2013−520840A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555039(P2012−555039)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/024953
【国際公開番号】WO2011/109165
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】