説明

炭酸カルシウムの添加によってカルシウムを混入させた耐熱性物質

耐熱構造物に塗布される組成物は、マグネシアを基材とする耐熱性物質、炭酸カルシウムおよび結合剤を有する。耐熱性物質を耐熱構造物に塗布して、その塗布された耐熱性物質に熱が供給されると、スラグのその耐熱性物質への侵入から保護するマトリックスが形成される。その結果得られる耐熱性物質は、改良された熱強度、スラグ耐性および耐久性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウムの添加によってカルシウムを混入させた耐熱性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、耐熱または耐火性の構造物(structure:構造部、構造体)に塗布する(apply)ための耐熱性(refractory:耐火性)物質または材料と、その耐熱性物質を耐熱性(耐火性)構造物またはライニング(裏張り、内張り)に塗布する方法とに関する。特に、本発明は、力学的または機械的浸食(erosion:腐食)および/または腐食性(crrosive)物質よる攻撃、例えば酸性および塩基性スラグ(鉱滓)を含む金属または金属合金の製造の間に生成される腐食性物質による攻撃に対して、耐熱性構造物またはライニングを保護または保守(メンテナンス、状態維持)することに関する。さらに、その耐熱性ライニングは熱衝撃に曝され、その熱衝撃によってその耐熱性物質が早期に損なわれる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、耐熱性または耐火性の物質または材料の組成物と、耐熱または耐火構造物を、特にその耐熱性物質を用いて高温耐熱構造物を被覆(コーティング)する方法とに関する。その耐熱性物質は、例えば容器(vessel)またはレードル(ladle:取鍋)のような耐熱構造物に塗布することができる。耐熱構造物に塗布される耐熱性物質の組成物は、約20乃至約95重量%(パーセント)のマグネシアを基材とする耐熱性物質、約2.0乃至約10重量%の炭酸カルシウム、および約0.1乃至約5重量%の結合剤(binder)(例えば、有機酸、アルカリケイ酸塩またはアルカリリン酸塩)を含んでいる。
【0004】
耐熱構造物上の耐熱性物質に接触する火炉(furnace:溶鉱炉)または容器からの熱は、耐熱性物質の高密度マトリックス(基質、基材、母体)を形成するように、その耐熱性物質へ熱が伝導することによって、本発明における耐熱性物質の固化および硬化を促進する。塗布された耐熱性物質は、その塑性状態(plastic state)から、上述の高密度マトリックスが存在する最終的な形態における非塑性のまたは実質的に(充分に)硬く非柔軟な(曲がらない)状態へと移行する。その耐熱性物質中の炭酸カルシウムは、耐熱性物質が塗布された耐熱構造物において処理中のその火炉または容器から熱が伝導したときにその位置で焼成される。従って、耐熱性物質がもはや塑性状態でなくなった後で、二酸化炭素ガスが放出される。その耐熱性物質は、スラグおよび溶融金属の侵入(侵食)に対して保護を与える高密度マトリックスを形成する。
【0005】
本発明において、炭酸カルシウムは、非常に高い反応性のカルシアの原料(source:源、物質源、生成源、供給源)がその耐熱性物質(質量)のマトリックス中に存在する位置(置かれたままの状態)で焼成する。本発明において、最も粗い(粗粒)炭酸カルシウムは、0.85mm未満から始まる粒度(粒径)分布を有するATF−20とすることができる。本発明における極微細な(細粒)炭酸カルシウムは、15μm(0.015mm)未満から始まる粒度分布を有するヴィクロン(Vicron(米国商標))15−15ライムストーン(石灰石)製品とすることができる。本発明では、マグネシア粒子および任意の浸潤性スラグと反応するように、耐熱衝撃性(熱衝撃抵抗)のために粗い粒度分布としてではなく、微細な炭酸カルシウムが混入(添加)される。
【0006】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物(組成)におけるマグネシアを基材とする耐熱性物質は、約20乃至約95重量%(パーセント)の量で存在する。
【0007】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物(組成)におけるマグネシアを基材とする耐熱性物質は、約60〜約88重量%の量で存在する。
【0008】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物(組成)における炭酸カルシウムは、少なくとも2つの異なる粒度分布で存在する。微細な(細粒)形態の炭酸カルシウムは約3.5乃至約4.5重量%の量で存在し、より粗い(粗粒)形態の炭酸カルシウムは約3.5乃至約4.5重量%の量で存在する。
【0009】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物(組成)における炭酸カルシウムは、少なくとも2つの異なる粒度分布で存在する。微細な形態の炭酸カルシウムは約2.5乃至約3.5重量%の量で存在し、より粗い形態の炭酸カルシウムは、約2.5乃至約3.5重量%の量で存在する。
【0010】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物(組成)は、更に、約0.2乃至約8重量%の水酸化カルシウムを含んでいる。
【0011】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物は、更に、約0.1乃至約2.0重量%の、例えばベントナイトのような可塑剤を含んでいる。
【0012】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物は、更に、約0.1乃至約1.0重量%の、例えばクエン酸のような分散剤を含んでいる。
【0013】
耐熱性物質は、ガン(吹き付け)システムによって塗布(供給)することができる。
【0014】
耐熱性物質の高密度マトリックスが形成された後は、その耐熱性物質の層は、例えば溶融スラグおよび溶融金属のような腐食性物質による攻撃に対して、特に酸性および塩基性スラグおよびスチール(鋼鉄)による攻撃に対して、耐熱性物質が塗布されたその耐熱構造物を保護する。
【0015】
本発明の方法では、各腐食性物質に耐熱性ライニングを曝す前および後に、共に約2.54cm(1インチ)乃至約30.48cm(12インチ)の厚さの耐熱性物質の層を形成するように、耐熱性物質を塗布することができる。望ましくは、耐熱性ライニングを各腐食性物質に初めに曝す前に、耐熱性物質の塗布を行い、耐熱性ライニングを各腐食性物質に曝す度にその後で耐熱性物質の塗布を繰り返す。塗布された耐熱性物質への腐食性物質の腐食、浸食または浸透の度合いに応じては(次第では)、本発明による耐熱性物質は、腐食性物質がその耐熱性物質に接触する度にその後で耐熱性物質に再塗布する必要がない。
【0016】
耐熱性物質が約32°F(華氏度)(約0℃)乃至約2500°F(約1371℃)の温度である間は、耐熱性(耐火性)物質の塗布を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、以下の詳細な説明(明細書)および非限定的な例を参照して詳細に説明する。ここで、特別な記載がない限り、全ての百分率は重量によるものであり、全ての温度は華氏温度である。
【0018】
耐熱構造物または耐火構造物に塗布される組成物は、約20乃至約95重量%の、例えばマグネシアのようなマグネシアを基材とする(マグネシア系の)耐熱性物質、約2.0乃至約10重量%の炭酸カルシウム、および約0.1乃至5.0重量%の、例えば有機酸、アルカリケイ酸塩またはアルカリリン酸塩のような結合剤(binder)を含んでいる。
【0019】
耐熱構造物上の耐熱性物質に接触する火炉(furnace)からの熱は、耐熱性物質の高密度マトリックス(基質、基材、母体)を形成するように、下側のその耐熱構造物から耐熱性物質へ熱が伝導することによって、本発明による耐熱性物質の固化および硬化を促進する。塗布された耐熱性物質は、その塑性状態(plastic state)から、上述の高密度マトリックスが存在する最終的な形態における非塑性のまたは実質的に(充分に)硬く非柔軟な(曲げにくい)状態へと移行する。その耐熱性物質中の炭酸カルシウムは、その耐熱構造物自体から熱が伝導したときにその位置で焼成される。従って、二酸化炭素ガスは、その耐熱性物質が塑性状態にある間は放出されない(塑性状態でなくなったときに放出される)。その耐熱性物質は、スラグおよび溶解金属の侵入(侵食)に対して保護を与える高密度マトリックスを形成する。炭酸カルシウムからの(由来の)カルシウムはCaO(酸化カルシウム)またはカルシアを形成し、それ(その酸化カルシウムまたはカルシア)によって、最初のスラグの侵食が生じるであろう位置にある耐熱性物質のマトリックス相(phase)の質が高くなる(enrich:密度が高くなる)。
【0020】
CaO(酸化カルシウム)(カルシア)の原料(source:源)として炭酸カルシウムを使用することが望ましい。その理由は、炭酸カルシウムは、水との混合の間またはその後の耐熱性物質の塗布の間に、水(水和物(hydrate:水化物)または分解物質(decompose))またはその他の耐熱性成分(constituents:構成要素)と有意には反応しないからである。仮に炭酸カルシウムの代わりに酸化カルシウムが使用されたとすると、その酸化カルシウムは水および/またはその他の接着成分と急速に反応して、その塗布された物質の質量の完全性(integrity)を崩壊させ、その結果としてその塗布された耐熱性物質(耐火物)の耐久性を劣化させるであろう。本発明による炭酸カルシウムが熱に曝されて焼成して、反応性の酸化カルシウムを形成する。スラグがこの酸化カルシウムと接触した場合、水酸化カルシウムは急速にそのスラグと反応して、例えばケイ酸二石灰(dicalcium silicate:ケイ酸二カルシウム)のような高い融点の化合物を生成する。これらの化合物は、そのスラグを肥厚および/または凝固させて、そのスラグの耐熱性物質の本体へのさらなる侵食を防止する。このメカニズム(機構)が耐熱性物質の腐食を減少させ、それによってその耐熱性物質の有効期間、寿命期間または耐用年数が延びる。
【0021】
その耐熱性物質は、一度で(バッチ)または連続的に供給する任意のガン(吹き付け)システムによって塗布することができる。その耐熱性物質は良好なスラグおよび耐浸食性(浸食耐性)を有する。その耐熱性物質は、電気アーク炉(electric arc furnace)、酸素転炉(basic oxygen furnace、BOF)およびその他の冶金用の(metallurgical)容器またはレードルの保守(メンテナンス)のための使用に適している。その耐熱性物質は、手工具を用いて手作業で塗布することもできる。
【0022】
マグネシアを基材とする耐熱性物質におけるガン(吹き付け)用の組成物のための湿潤剤(wetting agent)は、任意の適した分散剤(dispersant)、流動化剤(superplasticizer:超可塑剤、高性能減水剤)、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性の界面活性剤であってもよく、任意の特定の組成(配合)のためのそれら(湿潤剤)の選択法は、耐熱物または耐火物の技術分野の専門家であれば理解するであろう。
【0023】
本発明による耐熱性組成物へ供給された熱は、耐熱性物質の高密度マトリックスの形成に寄与する。マグネシアを基材とする耐熱性物質の組成物は、結果として、約230度°F(華氏度)(約110℃)乃至約3200°F(約1760℃)の温度で、耐火炉ライニングの製造または修理に現在使用されている各組成物に対して(よりも優れた)改善(向上)された物理的特性を有する。
【0024】
この分野の専門家であれば、さらに詳しく説明しなくても、先の説明を利用して本発明を最大限充分に利用できるものと確信する。従って、以下の実施形態は単なる例示であって、如何なる点においても開示の残りの部分を限定するものではないと、理解すべきである。
【0025】
本発明による耐熱性物質用のマグネシア、即ちMgO(酸化マグネシウム)は、例えば天然の海水(seawater)または塩水(brine:ブライン)のマグネサイトまたはその混合物のような原料(源)から取り出すことができる。そのマグネシアは、好ましくは死焼マグネシア(dead burned magnesia)である。“死焼”マグネシアとは、高温で焼成されたマグネシアを意味し、それによって、水との反応性が減少した耐熱性粒子が生成され、その耐熱性粒子に対して或る度合いの耐水和性が得られ、その耐熱性粒子は、充分焼成された低い空隙率(low porosity:多孔性)の結晶で実質的に完全に形成されていて、より低温で焼成された反応性の腐食性(caustic)マグネサイトとは区別される。そのような物質は、純度約60乃至99重量%のマグネシアとして市販されている。
【0026】
耐熱性組成物において有用な可塑剤には、例えば球状粘土(ball clay:ボールクレー)、カオリナイト(kaolinite)またはベントナイト(bentonite)のような粘土、水酸化アルミニウムおよびデンプン(starch)が含まれ、好ましいものはベントナイトであるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
耐熱性組成物において有用な高温結合剤には、アルカリリン酸塩(ホスフェート)(alkali phosphates)、例えば、リン酸ナトリウム(sodium phosphate)、リン酸カリウム(potassium phosphate)、リン酸アンモニウム(ammonium phosphate)、リン酸マグネシウム(magnesium phosphate)、リン酸カルシウム(calcium phosphate)、および、アルカリケイ酸塩(シリケート)(alkali silicates)、例えば、ナトリウムケイ酸塩(sodium silicate)、カリウムケイ酸塩(potassium silicate)、マグネシウムケイ酸塩(magnesium silicate)、カルシウムケイ酸塩(calcium silicate)、および、硫酸塩(sulfates)、例えば、硫酸ナトリウム(sodium sulfate)、硫酸カリウム(potassium sulfate)、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)、硫酸カルシウム(calcium sulfate)、硫酸アンモニウム(ammonium sulfate)、硫酸ジルコニウム(zirconium sulfate)、硫酸アルミニウム(aluminum sulfate)、および、スルファミン酸(sulfamic acid)が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい結合剤(binders)には、ナトリウムケイ酸塩(sodium silicate)、リン酸ナトリウム(sodium phosphate)およびスルファミン酸(sulfamic acid)が含まれる。これらの可塑剤および高温結合剤は、市販されている。
【0028】
本発明において、存在する炭酸カルシウムの量は、合計の耐熱性ブレンド(混合物)の約2.0乃至約10重量%とすることができる。約10重量%より多い重量%の炭酸カルシウムを使用すると、その耐熱性物質ブレンドに熱が与えられた後に形成されその結果得られる耐熱性マトリックスにその炭酸カルシウムそのものを一体化する(integrate:融合する、組み込む)ことができないので、そのことによって上限約10重量%より多い重量%の炭酸カルシウムの使用は制限される。また、約2.0重量%未満の重量百分率の炭酸カルシウムを使用すると、炭酸カルシウムを、スラグの高密度マトリックスへの侵入を抑制するその耐熱性物質における高密度マトリックスの一部にすることができないので、そのことによって下限約2.0重量%未満の炭酸カルシウムの使用は制限される。
【0029】
本発明による炭酸カルシウムは、例えば極微細な(細粒)部分およびより粗い(粗粒)部分のような2つの異なる粒度分布のものとすることができる。より粗い部分の炭酸カルシウムは、例えば米国ペンシルベニア州、ベスレヘム(Bethlehem)のスペシャルティ ミネラルズ インコーポレーテッド(Specialty Minerals Inc.)から入手可能なATF−20のスクリーン(篩分け)されたライムストーン製品(screened limestone product)のような炭酸カルシウムであってもよい。ATF−20のスクリーンされたライムストーン製品は、ほんの微量(only a trace amount)の20メッシュ(0.85mm)より大きい粒子、約15重量%の40メッシュより大きい粒子、約75重量%の100メッシュより大きい粒子、および約92重量%の200メッシュより大きい粒子を有する。極微細な炭酸カルシウムは、例えば米国ペンシルベニア州、ベスレヘムのスペシャルティ ミネラルズ インコーポレーテッドから入手可能なヴィクロン(Vicron(米国商標))15−15グラウンド・ライムストーン(gound limestone:重質炭酸カルシウム、重質ライムストーン)製品のような炭酸カルシウムであってもよい。ヴィクロン(Vicron(米国商標))15−15グラウンド・ライムストーンは、ほんの約0.004重量%の325メッシュより大きい粒子、および平均粒度が3.5μm(ミクロン)の粒子を有する。
【0030】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物における炭酸カルシウムは、単一の粒度分布として存在する。極微細な(細粒)形態の炭酸カルシウムは、耐熱性物質の中に約2.0乃至約7.0重量%の量で存在する。
【0031】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物における炭酸カルシウムは、少なくとも2つの異なる粒度分布で存在する。極微細な形態の炭酸カルシウムは約3.5乃至約4.5重量%の量で存在し、より粗い(粗粒)形態の炭酸カルシウムは約3.5乃至約4.5重量%の量で存在する。
【0032】
別の実施形態では、耐熱性物質の組成物における炭酸カルシウムは、少なくとも2つの異なる粒度分布で存在する。極微細な形態の炭酸カルシウムは約2.5乃至約3.5重量%の量で存在し、より粗い形態の炭酸カルシウムは約2.5乃至約3.5重量%の量で存在する。
【0033】
一実施形態では、耐熱性物質は、約3.5乃至約4.5重量%の極微細な(細粒)部分の炭酸カルシウムと、約3.5乃至約4.5重量%のより粗い(粗粒)部分の炭酸カルシウムとを有する。さらに、その耐熱性物質ブレンドは、強度および基質接着性(substrate adherence)を実現するために硬化剤(setting agent)および高温結合剤として約0.2乃至約5重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム(sodium hexametaphosphate:ヘキサメタリン酸ソーダ)を有することができる。この実施形態の耐熱性物質の複数の例が、例1、例2および例3に示されている。
【0034】
一実施形態では、耐熱性物質は、約2.5乃至約3.5重量%の極微細な部分の炭酸カルシウムと、約2.5乃至約3.5重量%のより粗い部分の炭酸カルシウムとを有する。さらに、その耐熱性物質ブレンドは、強度および基質接着性を実現するために硬化剤および高温結合剤として約0.2乃至約3.0重量%のスルファミン酸(sulfamic acid)を有することができる。この実施形態の耐熱性物質の一例が、例4に示されている。
【0035】
それらの組成物は、誘導炉において試験された。それらの組成物は、密度、強度、乾燥度、耐亀裂性、耐久性(持続力)の各領域に関する各性能要求を満たしまたは超えるものであった。
【0036】
特に言及しない限り、メッシュ・サイズは、全てが米国によるメッシュである。以下で説明するように、メッシュ・サイズは、例えば5X8のような形式で示されている。5X8とは、5メッシュよりも小さく8メッシュよりも大きい粒子を意味する。
【0037】
例1
表1は、例えば容器(vessel)またはレードル(ladle)のスラグライン部のような高温または低温の耐熱構造物(structure:構造、構造部)の上に塗布される耐熱性物質を示している。以下の耐熱性物質の配合(formulation:組成)は、全ての材料(ingredients:原料、構成材料、成分)をミキサ(混合器)に入れた後、3分間だけ乾式(乾燥)混合(dry mixed)されたものである。
【0038】
【表1】

【0039】
例2
表2は、例えば容器またはレードルのスラグライン部のような高温または低温の耐熱構造物の上に塗布される耐熱性物質を示している。以下の耐熱性物質の配合は、全ての材料をミキサに入れた後、3分間だけ乾式混合されたものである。
【0040】
【表2】

【0041】
上述の例2におけるケイ酸ナトリウムは、SiO対NaO(酸化ナトリウムに対する二酸化ケイ素)の比率3.3を有するケイ酸ナトリウム水和物(hydrated sodium silicate)のピラミッド(Pyramid)P60である。
【0042】
例3
表3は、例えば容器またはレードルのスラグライン部のような高温または低温の耐熱構造物の上に塗布される耐熱性物質を示している。以下の耐熱性物質の配合は、全ての材料をミキサに入れた後、3分間だけ乾式混合されたものである。
【0043】
【表3】

【0044】
例4
表4は、例えば容器またはレードルのスラグライン部のような高温または低温の耐熱構造物の上に塗布される耐熱性物質を示している。以下の耐熱性物質の配合は、全ての材料をミキサに入れた後、3分間だけ乾式混合されたものである。
【0045】
【表4】

【0046】
従って、本発明の上述の説明は、この分野の専門家によって大幅な変形、変更および適応化が可能であり、このような変形、変更および適応化についても本発明の範囲に含まれることを意図している、と理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度マトリックスを有する耐熱性物質を実現するのに適した組成物であって、
20乃至95重量%のマグネシアを基材とする耐熱性物質と、
0.1乃至5.0重量%の結合剤と、
2.0乃至10重量%の炭酸カルシウムであって、高密度マトリックスを有する前記耐熱性物質を形成し、改良された耐腐食性のための反応性の水酸化カルシウムを形成するように、熱に曝されたときに反応する炭酸カルシウムと、
を含む組成物。
【請求項2】
前記結合剤は、有機酸、アルカリケイ酸塩およびアルカリリン酸塩からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記マグネシアを基材とする耐熱性物質は、60乃至88重量%の量で存在するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、0.2乃至8.0重量%の量の水酸化カルシウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、0.1乃至2.0重量%の量の可塑剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記可塑剤がベントナイトである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、0.1乃至1.0重量%の量の分散剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記分散剤がクエン酸である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記結合剤はヘキサメタリン酸ナトリウムであり、前記ヘキサメタリン酸ナトリウムは0.2乃至5.0重量%の量で存在するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記結合剤はスルファミン酸であり、前記スルファミン酸は0.2乃至3.0重量%の量で存在するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記炭酸カルシウムは、2.0乃至7.0重量%の量で存在し、概ね325メッシュより小さい粒度を有するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記炭酸カルシウムは、概ね325メッシュより小さい粒度を有する極微細な部分、および概ね20メッシュより小さい粒度を有するより粗い部分として存在し、前記より粗い部分は、15重量%の40メッシュより大きい粒度、75重量%の100メッシュより大きい粒度、および92重量%の200メッシュより大きい粒度を有するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記極微細な部分は2.5乃至3.5重量%の量で存在し、前記より粗い部分は2.5乃至3.5重量%の量で存在するものである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記極微細な部分は3.5乃至4.5重量%の量で存在し、前記より粗い部分は3.5乃至4.5重量%の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
さらに、0.2乃至3.0重量%のスルファミン酸を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
さらに、0.2乃至5.0重量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
溶融金属を収容する容器におけるライニングに、高密度マトリックスを有する耐熱性物質を供給する方法であって、
20乃至95重量%のマグネシアを基材とする耐熱性物質と、
0.1乃至5.0重量%の結合剤と、
2.0乃至10重量%の炭酸カルシウムであって、高密度マトリックス物質を有する前記耐熱性物質を形成し、改良された耐腐食性のための反応性の水酸化カルシウムを形成するように、熱に曝されたときに反応する炭酸カルシウムとを、
前記ライニングに塗布する方法。
【請求項18】
前記耐熱性物質は、吹きつけによって前記ライニングに塗布されるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記耐熱性物質は、厚さ約2.54cm(1インチ)乃至約30.48cm(12インチ)の層の形態で前記ライニングに塗布されるものである、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2010−536705(P2010−536705A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521857(P2010−521857)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/009783
【国際公開番号】WO2009/025764
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502159859)スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インコーポレーテツド (6)
【Fターム(参考)】