説明

炭酸カルシウム分散液およびその調製方法

【課題】 低粘度で一定期間安定な高濃度の炭酸カルシウム分散液を調製することを目的とする。
【解決手段】 炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤とからなる炭酸カルシウム分散液によって達成できる。また前記重合体は、ポリビニルアルコール構造単位を有する高分子にジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子を含有する重合体混合物であることがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウム分散液およびその調製方法に関するものであり、詳しくは特定の水溶性あるいは水分散性重合物を炭酸カルシウムと水性スラリーに配合することにより調製した分散液の安定性が良好であり、また炭酸カルシウム粒子の分散性も良好な炭酸カルシウム分散液に関する。またその炭酸カルシウム分散液の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭酸カルシウムは製紙用の填料としての需要が高まっている。すなわち抄紙中性化の比率が増加しているためである。この原因一つとして、印刷用紙の保存性を向上させるため、硫酸バンド添加による紙の酸性化をさけるためという理由がある。また従来、製紙原料として機械パルプが主体であった新聞用紙の抄紙は、ピッチトラブルや濾水性向上のため硫酸バンド添加は必須であったが、中性化の動きが急速に普及しつつある。この原因として新聞古紙は、従来チラシと新聞古紙は分別して処理されてきたが、分別せず古紙製造が行なわれ、結果としてチラシのコート層に使用されている炭酸カルシウムが新聞古紙に混入してきた。初期においては硫酸バンドなどで中和処理してきたが、効率化と資源節約のため中和をせず、炭酸カルシウムの含有した中性〜弱アルカリ性の状態で新聞用紙の抄紙を実施することとなった。このため古紙からの含有量では一般的には足りず、填料不足分を補うためさらに炭酸カルシウムを追加添加している状況である。
【0003】
炭酸カルシウムのうち特に軽質炭酸カルシウムは、紡錘状、角状、柱状、針状、凝集状等種々の形状のものが、様々の粒子径で粉体あるいはスラリーとして市販されているが、一般に凝集した状態で存在していることが多く、高濃度のスラリーにした場合、ホモディスパー等の分散機で分散させただけではスラリーの粘度は著しく高く、配管による移送、あるいはローリー車による輸送時、取扱いが悪い。これを粉砕処理し一次粒子の状態で分散させることで粘性が低下し、かつ品質特性は大きく向上する。
【0004】
従来、炭酸カルシウムに対する分散剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸・マレイン酸共重合体ソーダ塩等が用いられているが、これらの分散剤を使用しても、近年の高濃度化の要求に充分に応え得る炭酸カルシウム分散液は得られていないというのが現状である。従来の分散剤に関してはアルキレンオキサイドの特定量を構成単位として有するポリエーテル化合物(A)に、エチレン性不飽和単量体(B)を共重合させた水溶性共重合体を含む顔料分散剤が開示されている(特許文献1)。またアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩類から選ばれた少なくとも1種類の単量体より導かれた水溶性重合体(I)と水溶性リン酸塩(II)とを併用する炭酸カルシウム水分散液の製造方法が開示されている(特許文献2)。またジアリルアミン塩重合体あるいはジアリルアミン塩と非イオン性ビニルモノマーとの共重合体が開示されている(特許文献3)。しかし、これら方法では炭酸カルシウム水分散液が数日間貯蔵され放置すると再度攪拌しても非常に分散しにくい。従って製紙用塗工顔料分散液を製造し貯蔵する場合にも、経日安定性や再分散性を改善するための工夫の余地がある。
【0005】
軽質炭酸カルシウムは、もともと白色度、不透明度、印刷光沢、インキ受理性を顕著に向上させることが期待できるが、低粘度で、かつ分散安定性に優れることを特徴とする軽質炭酸カルシウムスラリーを得ることが難しいというのが現状である。以上のことより、低粘性であり、かつ分散安定性に優れることを特徴とする高濃度の炭酸カルシウム分散液は開発が強く望まれている。
【特許文献1】特開平10−204320号公報
【特許文献2】特開昭62−279834号公報
【特許文献3】特開平5−263010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、低粘度で一定期間安定な高濃度の炭酸カルシウム分散液を調製することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下の発明に到達した。すなわち請求項1の発明は、炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤とからなる炭酸カルシウム分散液である。
【0008】
請求項2の発明は、前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体が、ポリビニルアルコール構造単位を有する水溶性あるいは水分散性高分子に(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子を含有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載の炭酸カルシウム分散液である。
【0009】
請求項3の発明は、前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体の分子量が1000以上、100万以下であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の炭酸カルシウム分散液である。
【0010】
請求項4の発明は、炭酸カルシウムの水性スラリーに請求項1〜3の四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤を添加し、混合することを特徴とする炭酸カルシウム分散液の調製方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭酸カルシウム分散液は、炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤を用いる。そのため低粘度で安定な高濃度の炭酸カルシウム分散液を調製することができる。前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体の分子量は1000以上、100万以下であるが、好ましくは1000以上、50万以下であり、さらに好ましくは1000以上、10万以下である。また前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体は、ポリビニルアルコール構造単位を有する水溶性あるいは水分散性高分子に(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子であることがより好ましい。また分子量は、グラフト化後の分子量として1000以上、100万以下であるが、好ましくは1000以上、50万以下であり、さらに好ましくは1000以上、10万以下である。このような低粘度で安定な高濃度の炭酸カルシウム分散液を調製することができる理由は、以下のように考えられる。
【0012】
すなわち炭酸カルシウムの水性分散液のpHは約8であり弱アルカリ性となり、このpH領域においても十分なイオンの解離が必用である。一方、1〜3級アミノ基はpH8においてはイオン解離が抑えられイオン性高分子物質が吸着した粒子表面は、プラス電荷が弱まる。そのため粒子表面に吸着した水溶性高分子中のイオン解離していないアミノ基窒素原子が水素結合など起こし、粒子同士の凝集が発生するためと考えられる。そのためその機能に足る水溶性高分子は、四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体となる。さらに(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子を用いることにより、表面電荷の改質作用が更に促進することにより、分散剤としての効果が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の炭酸カルシウム分散液は、炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤とからなる。すなわち四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体は、カチオン性単量体の一種または二種以上の単独重合体あるいは共重合体、あるいは非イオン性単量体との共重合体である以下に記載するような重合体である。四級アンモニウム塩基含有単量体のうち、アクリル系の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。またジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体は、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の一種あるいは二種以上の重合体あるいは共重合体である。単量体の例は、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、メチルベンジルアンモニウム塩化物などがあげられる。
【0014】
また、非イオン性単量体との共重合体も使用可能である。非イオン性単量体野例としては、非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどがあげられ。これら重合体中のカチオン性単量体のモル%は、アクリル系あるいはジアリルアミン系単量体とも10〜100モル%であり、好ましくは30〜100モル%であり、最も好ましくは50〜100モル%である。
【0015】
これらカチオン性水溶性重合体あるいは共重合体の分子量としては、炭酸カルシウム同士の凝集を防ぐため必用な表面電荷を保つために、分子量が1000以上、100万以下であるが、好ましくは1000以上、50万以下であり、さらに好ましくは1000以上、10万以下である。従来、分散剤は分子量200万程度の高分子量のものも使用されていたが、本発明においては低分子量のものが本発明に目的に合うことが判明した。上記のような理由により、これより分子量が1000未満では、分散安定効果が十分ではなく、100万より高いと分散液の粘性が上昇すること、また凝集が起きることがあり好ましくない。
【0016】
また本発明で使用する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体は、ポリビニルアルコール構造単位を有する水溶性あるいは水分散性高分子に(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子も使用できる。
【0017】
原料となるビニルアルコ−ル単量体を含有する水溶性または水分散性高分子は脂肪酸のビニルエステル単独または共重合可能な単量体との(共)重合体をアルカリ加水分解することによって誘導したものである。たとえば脂肪酸のビニルエステルとは蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどがあげられる。また一般的に共重合単量体として選択される例として、エチレン、スチレン、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、二級、三級、四級のジアリルアミン類、ビニルスルホン酸、アクリルアミド2−メチル−プロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ジメチルアクリルアミドなどのノニオン、カチオン、アニオン性単量体である。一般的にこれらの単量体を単独または共重合した後、アルカリ加水分解することによってビニルアルコ−ル単位を高分子内に生成させる。
【0018】
(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子は、ビニルアルコ−ル単位を分子内に有する高分子共存下でのラジカル重合することにより製造することができる。すなわちこのような条件下でのラジカル重合によってビニルアルコ−ル単位の一部はジアリルアミン系単量体がグラフト反応していると推定され、グラフト重合しないジアリルアミン系単量体の重合物と、未反応のビニルアルコ−ル単位を分子内に有する高分子との三種混合物が生成する。
【0019】
本発明の高分子はビニルアルコ−ル単位を有する高分子を水性媒体中に溶解または分散させた後、(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩をラジカル重合することによって合成することができる。これら(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩と共にカチオン性(メタ)アクリル系単量体,ノニオン性(メタ)アクリル系単量体あるいはアニオン性(メタ)アクリル系単量体あるいは各種のビニル単量体を共重合させることもできる。
【0020】
重合は10〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度において、弱酸性〜酸性付近、すなわちpH1〜5付近で行なわれ、有機、無機系過酸化物、アゾ系開始剤、あるいはこれら過酸化物とレドックス系を形成する開始剤システムによって行なうことができる。またポリビニルアルコ−ル等ビニルアルコ−ル単位を有する高分子と(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩との重量比としては一般的に95:5〜10:90であるが、好ましくは70:30〜30:70である。
【0021】
これら(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子の分子量は、1000以上、100万以下であり、好ましくは1000以上、50万以下である。またさらに好ましくは1000以上、10万以下である。1000未満では、分散安定効果が十分ではなく、100万より高いと分散液の粘性が上昇すること、また凝集が起きることがあり好ましくない。
【0022】
本発明の炭酸カルシウム分散液は、炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤とからなる。すなわち炭酸カルシウムを水に分散させた水性スラリーなどに前記の四級アンモニウム塩基構造単位を有する重合体を含有する分散剤を添加し、ホモジナイザーなどのような強攪拌ができる攪拌機によって均一に分散させることにより調製することが可能である。または予め必用な量の水を用意し、その中に分散剤を溶解しておき、そこに炭酸カルシウムを投入していっても良い。添加する分散剤は、固体粉末でも水溶液の形態でもかまわないが、水溶液の形態で添加するほうが好ましい。
【0023】
分散液中の炭酸カルシウム濃度は、15〜60質量%であるが、20〜50質量%であるほうがより好ましい。またホモジナイザーなどによる攪拌回転数は、3000〜10000回転/分であるが、5000〜10000回転/分であるほうがより好ましい。攪拌時間としては、10〜60分であるが、15〜30分であるほうがより好ましい。
【0024】
本発明の炭酸カルシウム分散液は、四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤により表面を改質してあるため、製紙用填量として使用することに適している。すなわち抄紙前の製紙原料に配合することにより、ワイヤー上の歩留率が向上し、また分散処理をしてあるため成紙中に均一に分散し、不透明度や白色度の向上も期待できる。
【0025】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0026】
(合成例−1)水溶液重合法により表1に示した組成によりジメチルジアリルアンモニウム塩化物重合物、メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合物、メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリルアミド=70:30(モル比)共重合物、およびアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合物を合成し、各試料の重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0027】
(比較試験1)
水溶液重合法によりメタクリル酸ジメチルアミノエチル重合物を合成した(比較―1)。また市販のポリエチレンイミン(重量平均分子量:5万)を比較―2とする。
【0028】
(表1)

DD:ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、DMC:メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、DMQ:アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、AAM:アクリルアミド、DMM:メタクリル酸ジメチルアミノエチル、PEI:ポリエチレンイミン
カチオン当量:meq/g、分子量:重量平均分子量で単位は万、
【0029】
(合成例−2)温度計、攪拌機、分液ロート、N2 導入管およびコンデンサーを備えた500mlの5つ口フラスコ内に所定量のポリビニルアルコール(分子量2万)の23%水溶液を仕込み、アンモニウムペルオクソ二硫酸を単量体に対し0.3重量%量加え、pH3.5に調整し、分液ロートよりジメチルジアリルアンモニウム塩化物を2時間の間に8回に均等分割して系内に加え、原料混合物を攪拌しながら温度を60°Cに保持し重合をおこなった。 単量体の添加終了後60℃に保持し4時間反応を継続した。 その後、重合率が99%以上であることを確認した後、ポリビニルアルコールと単量体の合計重量が30重量%になるよう希釈し、25°Cにおける粘度を測定した。 表2に結果を示す。
【0030】
合成したジメチルジアリルアンモニウム塩化物グラフト化ポリビニルアルコールのグタフト化率を以下のようにして測定した。反応物を20重量%になるように希釈した後、その3.6gを採取し36.0gのメタノールを加え、その時に生成した不溶化析出物をNo.5Bの濾紙によりろ過し、105℃で1時間乾燥した後の重量を測定することにより、原料として仕込んだポリビニルアルコールに対するメタノール不溶物重量比を算出し、グラフト化率の指標とした(不溶物重量比が低いほどグラフト化が高い)。
【0031】
(合成例3)合成例2と同様な操作により、表2に示す単量体と組成比でグラフト化ポリビニルアルコールを合成した。結果を表2に示す。
【0032】
(比較試験2)
グラフト化ポリビニルアルコール合成で使用したと同じポリビニルアルコール(分子量2万)とジメチルジアリルアンモニウム塩化物重合体(重量平均分子量:8万)、およびメタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(重量平均分子量:10万)とを重量で20:80で混合した比較試料―3と4を調製した。







【0033】
(表2)

DD:ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、DMC:メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、DMQ:アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、AAM:アクリルアミド
式量比PVA:カチオン単量体:構造単位のモル比(重量比では全て20:80)、DMC/AAM=70/30(モル比)、カチオン当量:meq/g、分子量:重量平均分子量、単位は万、不溶物量:重量%
【実施例1】
【0034】
(炭酸カルシウム分散液の調製)奥多摩工業製軽質炭酸カルシウムタマパールTP−121、50重量%の水性スラリーを用意し、合成例で調製した試料1〜試料8の20重量%を炭酸カルシウムに対し0.5%添加し、炭酸カルシウム濃度として45重量%になるよう水を加えた。その後、ホモジナイザー(日本精機製)により5000rpm、10分間混合し炭酸カルシウム分散液を調製した。調整後、分散液の粘度(25℃)をB型粘度計により測定した。その結果を表3に示す。
【0035】
(炭酸カルシウム分散液の安定性評価)調製した炭酸カルシウム分散液の安定性を評価した。すなわち直径3cmの試料ビンに分散液100mLを加え、25℃の恒温槽に保存し一週間後の上澄み液の深さを測定し分散液の安定性とした。これらの結果を表3に示す。
【0036】
(比較試験3)実施例と同様な操作により、分散剤として比較―1〜比較―4を用い炭酸カルシウム分散液を調製し、粘度測定ともに一週間後の上澄み液の深さを測定し分散液の安定性を評価した。
【0037】
(表3)

試料添加量:対炭酸カルシウム(重量%)、炭酸カルシウム濃度(重量%)、
分散液粘度(mPa・s)、一週間後安定性:上澄み深さ(mm)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウムと四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤とからなる炭酸カルシウム分散液。
【請求項2】
前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体が、ポリビニルアルコール構造単位を有する水溶性あるいは水分散性高分子に(メタ)アクリル系単量体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系単量体をグラフトした水溶性あるいは水分散性高分子を含有する重合体混合物であることを特徴とする請求項1に記載の炭酸カルシウム分散液。
【請求項3】
前記四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体あるいはジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体の分子量が1000以上、100万以下であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の炭酸カルシウム分散液。
【請求項4】
炭酸カルシウムの水性スラリーに請求項1〜3の四級アンモニウム塩基構造単位を有する(メタ)アクリル系重合体及び/又はジアリルジアルキルアンモニウム塩系重合体を含有する分散剤を添加し混合することを特徴とする炭酸カルシウム分散液の調製方法。










【公開番号】特開2007−254524(P2007−254524A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78541(P2006−78541)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】