説明

炭酸ガスを含有したゼリーの製造方法

【課題】 炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩とクエン酸などの酸味料の反応を利用した炭酸ガス含有ゼリーの製造に当たり、発生した炭酸ガスを充分に容器内に留めることができる。
【解決手段】 炭酸塩を含むゼリー溶液を容器に入れ、冷却、ゲル化し、その上から酸味料を含む溶液を加えることにより、炭酸塩と酸味料の接触を少なくすることができ、この時点での炭酸ガスの発生を最小限に抑えることができる。その後容器を密封し、ゲル化剤が再溶解する以上の温度の湯に浸けることにより、ゲル化剤が溶解し、炭酸塩と酸味料が混ざり合い反応して容器内で炭酸ガスを発生する。続いて容器ごと冷水などに浸けてゲル化することにより、炭酸ガスを充分に含有したゼリーを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスを含有したゼリーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩の水溶液とクエン酸などの酸味料の水溶液を混ぜ合わせることによって炭酸ガスが発生するということは周知の事実である。また、これを利用して炭酸水を作る方法がインターネットなどでも紹介されている。本発明はこの化学反応を利用しながらも、新たなアイデアを加えることによって炭酸ガスを十分に含有したゼリーを製造しようとするものである。
【0003】
従来からのゼリーに炭酸ガスを含有させる方法としては気体としての炭酸ガスを装置などを用いて封入させる方法及び炭酸ガスを水に溶解した炭酸水を加える方法であった。固体としての炭酸ガス(ドライアイス)を加える方法も考えられるが食品添加物として許可されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2001−211839
【特許文献2】 特開2004−298113
【特許文献3】 特開2006−223257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炭酸ガス含有ゼリーの製造にあたって、ゼリー液(ゲル化剤、糖類、果汁、水などを含む液)に炭酸水素ナトリウム及びクエン酸を加えると、即時に炭酸水素ナトリウムとクエン酸が反応して炭酸ガスが発生し、容器外に逃げてしまい、十分に炭酸ガスを含有したゼリーを製造することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、炭酸水素ナトリウムを含むA液とクエン酸を含むB液を別々に準備することを特徴とする。
【0007】
A液には炭酸水素ナトリウムの他にゲル化剤、糖類、水等を加え、B液にはクエン酸の他に糖類、果汁、水等を加えることを特徴とする。
【0008】
加熱・溶解したA液を容器に充填、冷却してゲル化し、その上からB液(加熱しない又は加熱しても良いが温度を下げておく方が望ましい)を加えた後密封することを特徴とする。なお、B液を加えると同時に果実を加えることもできる。
【0009】
密封した容器をゲル化剤が再溶解できる以上の温度の湯に浸けることによりゲル化剤が溶解し、炭酸水素ナトリウムとクエン酸が反応し、炭酸ガスが発生し、容器内に閉じ込められその後、冷却することにより炭酸ガスを含有するゼリーを製造することを特徴とする。なお、加熱時にレトルト殺菌に相当する温度にするとゼリー液が殺菌され、商品を常温で流通させることも可能となる。
【0010】
A液とB液を逆にすることも可能である。即ち、クエン酸を含むゼリー液を固化させた後に炭酸水素ナトリウムを含む溶液を加え、ゼリーを再溶解させ炭酸水素ナトリウムとクエン酸が反応し炭酸ガスが発生し容器内に閉じ込められその後、冷却することにより炭酸ガスを含有するゼリーを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように炭酸水素ナトリウムを含むゼリー溶液を一度冷却してゲル化し、その後クエン酸を含む溶液を加えるという製造方法を行えば炭酸水素ナトリウムとクエン酸との接触面積が少なく(炭酸水素ナトリウムを含む溶液が固化しているため)、接触する時の温度が低いため炭酸水素ナトリウムとクエン酸との反応が極少なくなり十分に炭酸ガスを含有したゼリーを製造することが可能となる。
【実施例1】
【0012】
ゼラチン10gに水100gを加えて加熱・溶解し、炭酸水素ナトリウム10gを加えて分散させA液を作った。A液を容器に入れ、冷却してゲル化させた。別にクエン酸10gにグラニュー糖50g、みかん果汁250g、水100gを加えて溶解しB液を作った。ゲル化したA液にB液及びみかんの果肉20gを加え、密封した。これを60℃の湯につけてゲル化したA液を溶解しB液と混合した。A液中の炭酸水素ナトリウムとB液中のクエン酸が反応し炭酸ガスが発生しこれを冷却させると炭酸ガスを十分に含有したみかんゼリーが得られた。得られたみかんゼリーはシュワーとした食感のゼリーであった。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明により製造された炭酸ガス含有ゼリーはフルーツゼリー、水ようかん、プリンなどと同じようにギフト商材として使用されるほかに一般に市場で販売される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩(炭酸水素ナトリウムの他に食品添加物として許可されている炭酸塩。以下、炭酸塩類と言う。)を含む溶液(A液)とクエン酸などの酸味料(クエン酸の他に食品添加物として許可されている全ての酸味料及び酸味のある果汁、野菜汁。以下、酸味料類と言う。)を含む溶液(B液)を準備し、A液、B液を容器に入れ、密封後A液とB液を混合し、炭酸塩類と酸味料類との反応により炭酸ガスを発生させた後冷却・ゲル化させることからなる炭酸ガスを含有したゼリーの製造方法。A液が酸味料類を含む溶液でB液が炭酸塩類を含む溶液であってもよい。
【請求項2】
炭酸塩類及びゲル化剤を含む溶液(A液)を容器に入れ、冷却によりゲル化し、その上から酸味料類を含む溶液(B液)を加え、密封後加熱によりゲル化したA液を再溶解し、B液と混合し、炭酸塩類と酸味料類との反応により炭酸ガスを発生させた後冷却・ゲル化させることからなる炭酸ガスを含有したゼリーの製造方法。A液が酸味料類を含む溶液でB液が炭酸塩類を含む溶液であってもよい。