説明

炭酸ガス吸収材およびその製造方法

【課題】本発明は長期に亘って安定した炭酸ガスの吸収特性を得られる炭酸ガス吸収材を提供する。
【解決手段】リチウム複合酸化物を主成分とする多孔質の炭酸ガス吸収材であって、前記多孔質体において10〜100μmの孔径をもつ第1気孔が合計で全気孔の10〜80%を占め、かつ100μmを超え、500μm以下の孔径を持つ第2気孔が合計で全気孔の10〜80%を占めることを特徴とする炭酸ガス吸収材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス吸収材およびその製造方法に関し、特に気孔形態を改良した炭酸ガス吸収材およびその気孔形態を改良した炭酸ガス吸収材を製造するための方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
発動機等の炭化水素を主成分とする燃料を燃焼させる燃焼装置から排出される炭酸ガスは、回収に適した場所である排気ガス放出部においてその温度が約300℃以上の高温であることが多い。
【0003】
一方、従来から知られる炭酸ガスの分離方法としては、酢酸セルロースを用いる方法、アルカノールアミン系溶媒による化学吸収法等が挙げられる。しかしながら、前述した分離方法はいずれも導入ガス温度を約200℃以下に抑える必要がある。したがって、燃焼装置から排出される炭酸ガスのような高温度でのリサイクルを要する排気ガスに対しては、一旦、熱交換器、冷却塔等により約200℃以下に排気ガスを冷却する必要があるため、結果的に炭酸ガス分離のためのエネルギー消費量が多くなるという問題があった。
【0004】
このような炭酸ガス分離方法において、特許文献1にはリチウムジルコネートを含む炭酸ガス吸収材を用いることが、特許文献2,3にはリチウムシリケートを含む炭酸ガス吸収材を用いることが開示されている。これらリチウムジルコネートやリチウムシリケートを含む炭酸ガス吸収材は、室温から約500℃を超える温度領域までの炭酸ガスの吸収が可能であり、かつ約600℃以上に温度を上げると炭酸ガスを放出する。また、これらの炭酸ガス吸収材は、繰り返し吸収・放出を行うことができる利点を有する。さらに、これらの炭酸ガス吸収材にリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリの炭酸塩を添加することにより、炭酸ガスの吸収反応が促進されることが記載されている。
【0005】
しかしながら、これらの炭酸ガス吸収材に対して、炭酸ガスの吸収・放出を繰り返して行うと、次第に炭酸ガスの吸収量が減少してくるという問題があり、長期に亘って安定した炭酸ガス吸収特性を得ることが困難であった。
【特許文献1】特開平9−99214号公報
【特許文献2】特開2000−262890
【特許文献3】特開2001−170480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のリチウムジルコネートやリチウムシリケートなどの炭酸ガス吸収材は、炭酸ガスの吸収・放出を繰り返して行うと、次第に炭酸ガスの吸収量が減少してくるという問題があり、長期に亘って安定した炭酸ガス吸収特性を得ることが困難であった。
【0007】
本発明は、長期に亘って安定した炭酸ガスの吸収特性を得られる炭酸ガス吸収材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、リチウム複合酸化物を主成分とする多孔質の炭酸ガス吸収材であって、前記多孔質体において10〜100μmの孔径をもつ第1気孔が合計で全気孔の10〜80%を占め、かつ100μmを超え、500μm以下の孔径を持つ第2気孔が合計で全気孔の10〜80%を占めることを特徴とする炭酸ガス吸収材が提供される。
【0009】
本発明の炭酸ガス吸収材においては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ炭酸塩を好ましくは0.5〜10モル%さらに含まれることを許容する。
1〜10μmの粒径を持つ第1粒子が合計で全粒子の10〜80%を占め、10μmを超え300μm以下の粒径を持つ第2粒子が合計で全粒子の10〜80%を占める粒度分布を有する炭酸リチウム粒子および同粒度分布を有する二酸化珪素粒子を混合し、この混合粒子を成形し、700℃以上で熱処理することを特徴とする炭酸ガス吸収材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長期に亘って安定した炭酸ガスの吸収特性を得られ、燃焼装置から排出される炭酸ガスの長期間の回収等に適した炭酸ガス吸収材およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本実施形態における炭酸ガス吸収材は、リチウム複合酸化物を主成分とする多孔質の炭酸ガス吸収材であって、前記多孔質体において10〜100μmの孔径をもつ第1気孔が合計で全気孔の10〜80%を占め、かつ100μmを超え、500μm以下の孔径を持つ第2気孔が合計で全気孔の10〜80%を占める。この多孔質の炭酸ガス吸収材は、気孔が0.5〜500μmの範囲に分布されていることが好ましい。
前記リチウム複合酸化物としては、例えばリチウムシリケートを用いることができる。このリチウムシリケートの中で、化学式Li4SiO4は炭酸ガス吸収特性が高いために最も好ましい。ただし、化学式で示す化学量論比とは多少組成が異なることを許容する。
【0012】
前記第1気孔は、炭酸ガス吸収材による炭酸ガスの吸収・放出性能に専ら関与する。この第1気孔は、30〜70μmの孔径を持つ気孔がその第1気孔の50%以上、より好ましくは65%以上を占めことが望ましい。このように第1気孔中の気孔をより狭い孔径範囲に分布させることによって、炭酸ガスの吸収・放出性能をより一層向上させることが可能なる。
前記第2気孔は、炭酸ガスの吸収・放出、特に高温の炭酸ガス放出(例えばリチウムシリケートの場合、600℃以上)の繰り返しにおける多孔質の炭酸ガス吸収材の粒成長、それに伴う気孔の潰れ等による表面積の減少を保証し、炭酸ガス吸収性能を維持する(すなわち、炭酸ガスの吸収・放出のサイクル特性を向上する)。この第2気孔は、100〜300μmの孔径を持つ気孔がその第2気孔の50%以上、さらには65%以上を占めることが望ましい。さらに好ましくは、100〜200μmの孔径を持つ気孔がその第2気孔の50%以上を占めることが望ましい。このように第2気孔中の気孔をより狭い孔径範囲に分布させることによって、前記表面積の減少をより一層保証し、炭酸ガス吸収性能をより長期化に亘って維持することが可能になる。
前記多孔質体において、第1気孔の占める割合が合計で全気孔の10%未満にすると、炭酸ガス吸収材による炭酸ガスの吸収性能が低下する虞がある。一方、前記多孔質体において、第1気孔の占める割合が合計で全気孔の80%を超えると、相対的に全気孔に占める前記第2気孔の割合が低下して炭酸ガス吸収・放出のサイクル特性を向上することが困難になる虞がある。より好ましい全気孔に占める第1気孔および第2気孔は、それぞれ35〜65%、35〜65%、さらに好ましくはそれぞれ35〜50%、50〜75%である。
【0013】
前記多孔質体の全気孔に占める第1気孔および第2気孔は、炭酸ガス吸収材の使用形態等に応じて前記範囲内の比率でいずれか一方を多くしたり、または同割合にしたりすることが可能である。すなわち、炭酸ガスの吸収性能を重視した炭酸ガス吸収材を設計する場合には全気孔に占める第1気孔が全気孔に占める第2気孔より多くすることが好ましい。炭酸ガスの吸収・放出のサイクル特性の向上を重視した炭酸ガス吸収材を設計する場合には、全気孔に占める第2気孔が全気孔に占める第1気孔より多くすることが好ましい。
【0014】
本発明に係る多孔質の炭酸ガス吸収材は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ炭酸塩をさらに含んでもよい。これらのアルカリ炭酸塩は、多孔質体の粒界に存在して含有される。このようなアルカリ炭酸塩は、炭酸ガス吸収特性をより向上させる効果を有する。
【0015】
前記炭酸ガス吸収材に含有されるアルカリ炭酸塩の割合は、0.5〜10モル%にすることが好ましい。アルカリ炭酸塩の含有量を0.5モル%未満にすると、アルカリ炭酸塩による炭酸ガス吸収特性を高める効果を十分に発揮することが困難になる。一方、アルカリ炭酸塩の含有量が10モル%を超えると、アルカリ炭酸塩による炭酸ガス吸収特性の向上効果が飽和するのみならず、炭酸ガス吸収材中のリチウム複合酸化物の比率が減少して炭酸ガスの吸収量や吸収速度が低下する虞がある。特に、アルカリ炭酸塩の含有量を0.5〜5モル%にすることにより、炭酸ガス吸収材の劣化を抑えて炭酸ガス吸収・放出のサイクル特性を維持しつつ、炭酸ガス吸収特性を向上することが可能になる。
【0016】
本発明に係る炭酸ガス吸収材は、ペレット、球状等任意の形状を有する。
次に、本発明に係る炭酸ガス吸収材の製造方法を説明する。
1〜10μmの粒径を持つ第1粒子が合計で全粒子の10〜80%を占め、10μmを超え300μm以下の粒径を持つ第2粒子が合計で全粒子の10〜80%を占める粒度分布を有する炭酸リチウム粒子および同粒度分布を有する二酸化珪素粒子を混合し、この混合粒子を成形した後、この成形体を700℃以上で熱処理することにより前述した構造を有し、リチウムシリケートを主成分とする多孔質の炭酸ガス吸収材を製造する。
前記炭酸リチウム粒子および二酸化珪素粒子を構成する第1粒子は、1〜10μmの粒径を持つ粒子がその第1粒子の10〜80%、より好ましくは20〜60%占めことが望ましい。同各粒子を構成する第2粒子は、50〜300μmの粒径を持つ粒子がその第2粒子の40〜80%、より好ましくは50〜80%占めことが望ましい。特に、第2粒子は、
100〜200μmの粒径を持つ粒子がその第2粒子の40〜80%、より好ましくは
50〜80%占めことが望ましい。
前記混合粒子の成形法としては、例えば金型プレス、押出し成形等を採用することができる。
前記熱処理は、炭酸リチウム粒子と二酸化珪素粒子とを反応させるためになされ、その温度を700℃未満にするとそれら粒子の反応を十分に進行させることが困難になる。熱処理温度は、850℃以下にすることが好ましい。
本発明に係る炭酸ガス吸収材の製造において、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ炭酸塩をさらに含有させることを許容する。このような炭酸ガス吸収材は、1〜10μmの粒径を持つ第1粒子が合計で全粒子の10〜80%を占め、10μmを超え300μm以下の粒径を持つ第2粒子が合計で全粒子の10〜80%を占める粒度分布を有する炭酸リチウム粒子、同粒度分布を有する二酸化系素粒子および平均粒径0.5〜5μmの微細なアルカリ炭酸塩粒子を混合し、この混合粒子を成形し、700℃以上で熱処理してリチウムシリケートの多孔質体を生成すると共にその多孔質体の粒界に前記アルカリ炭酸塩を存在して含有させる方法により製造される。この製造工程において、アルカリ炭酸塩粒子は前記混合粒子に対して0.5〜10モル%の割合で配合することが好ましい。
【0017】
本発明者らは、多孔質の炭酸ガス吸収材における炭酸ガスの吸収・放出のサイクル特性の低下原因について検討したところ、炭酸ガス吸収材の製造時の熱処理または、高温での炭酸ガスの吸収・放出の際に炭酸ガス吸収材の粒成長が起こることに起因することを究明した。特に、炭酸ガス放出反応は高温で行われるため、炭酸ガス吸収材の粒成長は顕著となる。多孔質の炭酸ガス吸収材の粒成長が生じると、その炭酸ガス吸収材の気孔が減少して目詰まりを起こすこと等によって、炭酸ガス吸収材の表面積が低下して炭酸ガス吸収特性が低下する。
【0018】
本発明は、リチウム複合酸化物を主成分とする炭酸ガス吸収材の多孔質体において10〜100μmの孔径をもつ第1気孔が合計で全気孔の10〜80%を占め、かつ100μmを超え、500μm以下の孔径を持つ第2気孔が合計で全気孔の10〜80%を占める構成にすることによって、前記第1気孔で定常的な炭酸ガスの吸収・放出を担わせ、第2気孔で高温での炭酸ガスの吸収・放出時における粒成長に起因する気孔の収縮が起こり難くして炭酸ガス吸収材の表面積の低下を抑えることができるため、炭酸ガスの吸収・放出の繰り返しにおいてその吸収・放出特性を長期間に亘って維持することができる。
また、本発明によれば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ炭酸塩をさらに含有させることによって、炭酸ガス吸収特性をより向上された多孔質の炭酸ガス吸収材を得ることができる。すなわち、アルカリ炭酸塩は炭酸ガスの吸収により炭酸ガス吸収材表面に形成される固体の炭酸リチウムを液相化し、炭酸ガス吸収材表面への炭酸ガスの拡散速度を大きくして炭酸ガス吸収特性を向上できる。
【0019】
ただし、炭酸ガス吸収材中に前記アルカリ炭酸塩を含有させた場合には、高温での炭酸ガス吸収・放出の際にアルカリ炭酸塩の融点が低いことから液相化する。この液相化は、炭酸ガス吸収材の表面を濡らして前述のように炭酸ガスを吸収し易い状態を生成するが、反面、液相となったアルカリ炭酸塩は周囲の炭酸ガス吸収材の表面を濡らして表面エネルギーを下げ、その吸収材を構成する粒子を成長させる可能性もある。本発明に係る炭酸ガス吸収材は、前述したように第1気孔と共に孔径の大きい第2気孔を有し、粒成長が起こり難い構成になっているため、前記アルカリ炭酸塩を含有することに伴う粒成長を抑制し、そのアルカリ炭酸塩による炭酸ガス吸収特性のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0020】
本発明の方法によれば、前述した炭酸ガスの吸収・放出の繰り返しにおいてその吸収・放出特性を長期間に亘って維持することが可能な多孔質の炭酸ガス吸収材を製造することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0022】
(実施例1〜3および比較例1)
下記表1に示す粒度分布をそれぞれ有する炭酸リチウム粒子および二酸化珪素粒子を用意した。つづいて、これらの炭酸リチウム粒子および二酸化珪素粒子を混合し、その混合粒子を金型プレスにより1t/cm2の圧力で直径5mm、高さ5mmのペレット状に成形した。得られた成形体を700℃で熱処理することにより4種の多孔質リチウムシリケートペレット(炭酸ガス吸収材)を製造した。
【0023】
【表1】

【0024】
得られた実施例1〜3および比較例1の多孔質リチウムシリケートペレットの気孔分布を島津製作所社製商標名;ASAP−240を用いるBET法により測定した。その結果を下記表2に示す。
また、得られた実施例1〜3および比較例1の多孔質炭酸ガス吸収材を箱型電気炉に設置し、この電気炉内に炭酸ガス20体積%および窒素ガス80体積%からなる混合ガスを流通させながら500℃の温度で1時間保持して炭酸ガスを吸収させ、その前後の吸収材の重量増加を調べることによって、炭酸ガスの吸収量を測定した。このとき、吸収反応が進行中、温度が上昇しても電気炉の出力を500℃となるように固定したため、吸収材の温度は500℃以上となっている可能性もある。この結果(初期吸収量)を下記表2に示す。なお、本測定において、各実施例および比較例の炭酸ガス吸収材が設置された電気炉内に窒素ガスのみを供給して同様な実験を行ったところ、これらの炭酸ガス吸収材の重量増加は全く認められないことを確認した。
【0025】
次に、実施例1〜3および比較例1の炭酸ガス吸収材を炭酸ガス20体積%及び窒素ガス80体積%からなる混合ガスを流通させながら前記電気炉内に500℃で1h保持して炭酸ガスを吸収させた後に800℃で1h保持して炭酸ガスを放出させる操作を100回繰り返し、最後に500℃で1h保持して炭酸ガスを吸収させた後に室温に戻して、重量増加を調べた。炭酸ガスの吸収と放出を100回繰り返した後の吸収量と、初期吸収量との比を吸収量維持率として下記表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
前記表2から明らかなように実施例1〜3の多孔質炭酸ガス吸収材は、比較例1の多孔質炭酸ガス吸収材に比べて初期吸収量、吸収量維持率とも高い値を示すことがわかる。なお、比較例1の多孔質炭酸ガス吸収材において炭酸ガスの吸収量維持率が低下したのは、炭酸ガス吸収材の粒成長が起こったことに起因するものと考えられる。
【0028】
(実施例4〜6および比較例2)
前記表1に示す粒度分布を有する炭酸リチウム粒子および二酸化珪素粒子に平均粒径1μmの微細な炭酸カリウム粒子をそれぞれ2モル%配合して混合粒子を調製した。つづいて、これらの混合粒子をそれぞれ金型プレスにより1t/cm2の圧力にて直径5mm、高さ5mmのペレット状に成形した。得られた各成形体を700℃で熱処理することにより4種の炭酸カリウムを含む多孔質リチウムシリケートペレット(炭酸ガス吸収材)を製造した。
【0029】
得られた実施例4〜6および比較例2の多孔質リチウムシリケートペレットの気孔分布を島津製作所社製商標名;ASAP−240を用いるBET法により測定した。その結果を下記表3に示す。
また、得られた実施例4〜6および比較例2の多孔質炭酸ガス吸収材について、実施例1と同様な方法により炭酸ガスの吸収量(初期吸収量)および吸収量維持率を求めた。その結果を下記表3に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
前記表3から明らかなように実施例4〜6の多孔質炭酸ガス吸収材は、比較例2の多孔質炭酸ガス吸収材に比べて初期吸収量が高い値を示し、かつ炭酸カリウムを含有しても吸収量維持率とも高い値を示すことがわかる。なお、比較例2の多孔質炭酸ガス吸収材において炭酸ガスの吸収量維持率が低下したのは、炭酸カリウムを含むことにより炭酸ガス吸収材の粒成長がより一層助長されたことに起因するものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム複合酸化物を主成分とする多孔質の炭酸ガス吸収材であって、前記多孔質体において10〜100μmの孔径をもつ第1気孔が合計で全気孔の10〜80%を占め、かつ100μmを超え、500μm以下の孔径を持つ第2気孔が合計で全気孔の10〜80%を占めることを特徴とする炭酸ガス吸収材。
【請求項2】
前記リチウム複合酸化物は、リチウムシリケートであることを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス吸収材。
【請求項3】
前記リチウムシリケートは、リチウムオルトシリケートであることを特徴とする請求項2記載の炭酸ガス吸収材。
【請求項4】
前記第1気孔は、30〜70μmの孔径を持つ気孔が前記第1気孔全体に対して50%以上を占め、かつ前記第2気孔は100〜300μmの孔径を持つ気孔が前記第2気孔全体に対して50%以上を占めることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の炭酸ガス吸収材。
【請求項5】
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ炭酸塩をさらに含むことを特徴とする請求項1から4いずれか記載の炭酸ガス吸収材。
【請求項6】
1〜10μmの粒径を持つ第1粒子が合計で全粒子の10〜80%を占め、10μmを超え300μm以下の粒径を持つ第2粒子が合計で全粒子の10〜80%を占める粒度分布を有する炭酸リチウム粒子および同粒度分布を有する二酸化珪素粒子を混合し、この混合粒子を成形し、700℃以上で熱処理することを特徴とする炭酸ガス吸収材の製造方法。

【公開番号】特開2006−255667(P2006−255667A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80476(P2005−80476)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】