説明

炭酸マグネシウムを含むタバコまたは非タバコ製品

製品にpH安定性を与え、そこで微生物及び菌類の成長を防ぐ炭酸マグネシウムを含むタバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品を提供する。炭酸マグネシウムは、水酸化物、酸化物及び結晶水を含む。炭酸マグネシウムの量は、乾燥バルク材料の0.01から30重量%の範囲にわたる。製品は、追加のpH調整剤と併用され得る。炭酸マグネシウムは、これらの製品において通常使用されるpH範囲で、スヌース及び非タバコ嗅ぎタバコにおいて、pH安定性を著しく増加させる。最終製品は、経口嗅ぎタバコもしくはスヌース、または任意のタバコを含まない嗅ぎタバコ製品であってよく、微粒子型または多様な形状であり得る。製品は経口製品であり得る。製品は、箱、缶または容器に詰められ得る。この製品の製造への炭酸マグネシウムの使用も本発明に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸マグネシウムを含むタバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品に関連する。
【背景技術】
【0002】
乾燥または湿潤タバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品の保管安定性は、製品が全保管期間の間、十分高く且つほぼ一定のpHで維持されることを必要とする。このため、この種のあらゆる製品、特に湿潤製品においては、乾燥製品よりも急速にpHが低下するため、問題が生じる。さらに、湿潤製品は、微生物増殖の影響を受けやすい。
【0003】
多くの非発煙(経口)タバコ製品においては、粘膜によって吸収される非プロトン化ニコチンの量を増加させるためにpH調整剤が必要である。pHを上昇させると、微生物増殖も防止される。炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)は、最も一般的な調整剤である。炭酸ソーダは、安価であり且つ取り扱いが容易である。しかしながら、使用される炭酸ソーダ及びその他のpH調整剤は、湿潤製品に所望の保管安定性を与えないという明らかな欠点を有する。
【0004】
製造の数日後、湿潤製品のpHはゆっくりではあるが降下し始める。室温での保管は、1〜2ヶ月で湿潤嗅ぎタバコを劣化させる。この問題は、通常3つの対応によって防がれており、これらの全てを組み合わせることも可能である。第一に、可能な限り炭酸ソーダを加えることで問題は解決され得る。実際には、pH9の直前まで炭酸ソーダを加える。塩基性が高すぎるpH値は、使用者の口内粘膜を損傷することになる。第二に、問題の解決には、pHの低下につながるプロセスの速度を低下させるために、販売まで製品を冷蔵状態で維持することが必要とされ得る。第三に、製造頻度によって保管問題を解決することができる。つまり、常に新鮮な新しい製品が市場で入手できるようにする。湿潤製品の場合のこれらの対応は高品質の製品を生み出しているが、これらの対向は固有の制限を有する。例えば輸出の目的では、前述の対応では不十分であるかまたは完全に実行に移すことが不可能である。説明した最先端の対応を使用して高品質の製品が提供され得るが、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スウェーデン国特許出願第0600958−3号明細書
【特許文献2】国際特許出願PCT/SE2007/050792号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
準最適な保管性能並びに微生物及び菌類の成長に関する前述の問題に対して、本発明による改良された湿潤タバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品を提供することによって対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によると、炭酸マグネシウムを含むタバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品が提供される。
【0008】
本発明の別の側面によると、炭酸マグネシウムを含むタバコまたは非タバコ嗅ぎタバコ製品が提供される。
【0009】
炭酸マグネシウムは、製品中に過量で存在してよく、塩基化合物の中和性に起因して製品の酸性上昇を妨げる。ニコチンは塩基環境においてよりよく粘膜から吸収されるため、結果として生じるpH安定性は、タバコ含有嗅ぎタバコなどのタバコ含有経口製品の最大の関心事である。経口タバコ及び非タバコ製品において、炭酸マグネシウムはpHを上昇させ、高く維持することに寄与するため、カリエスのリスクを低減する。
【0010】
本発明の1実施形態において、タバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品は経口製品である。
【0011】
本発明の文脈において、炭酸マグネシウムは、多くの根拠によって食品等級の栄養補助食品として分類されているため、本発明の製品に容易に使用することができるという利点を有する。
【0012】
炭酸ソーダよりも優れたpH調整剤として使用される化合物は、化合物の全量が短時間で放出されることを防ぐために、適切な水溶性を有さなければならない。適切な水溶性は、化合物のデポの形成につながる。炭酸マグネシウムは炭酸ナトリウムよりもはるかに溶解性が低く、炭酸カルシウムよりもはるかに溶解性が高い。この中間の溶解性により炭酸デポの形成が可能となり、安定なpHを維持するために炭酸イオンをゆっくりと放出する。典型的な化合物は、炭酸塩及び/または塩基性炭酸塩とともにマグネシウムを含む群に属する。
【0013】
本発明の実施形態によると、水酸化物、酸化物及び/または結晶水を含む炭酸マグネシウムが提供される。炭酸マグネシウムは、炭酸マグネシウムMgCOXHO及び水酸化炭酸マグネシウムMg(CO(OH)XHOの2つの分類に分けられる。これらの分類の両方において、結晶水を含まない化合物(X=0)及び同一の化学式であるが異なる結晶構造を有する化合物がある。Y及びZが変化可能であることは当業者に周知である。XまたはYのいずれも整数である必要はない。さらに、炭酸マグネシウムのインサイチュー生成のための化合物への添加物では、Yは0であってよい。化合物によっては自然発生鉱物であるものもあるが、その他のものは製造されなければならない。この群は35の異なる化合物を含み、それらの全ては独自のCAS番号を所有する。これらの化合物の全てが本発明の製品に有用である。
【0014】
しかしながら、製品中に存在する炭酸マグネシウムの形態はそれほど重要ではないことが認められている。炭酸マグネシウム中の水酸化物または酸化物の含有量は、製品の保管性能に著しい影響を及ぼさないようである。同様に、炭酸マグネシウム中に含まれる結晶水の量も、製品の最大保管期間に影響する因子としてはごくわずかなようである。
【0015】
炭酸マグネシウムを含有しない製品ではその保管期間は室温で約1から2ヶ月であることが知られているが、本発明による炭酸マグネシウムを含むタバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品には、室温で少なくとも半年の保管期間が確認されている。本発明の冷蔵製品は、最大1年間安定したpHを有し得る。
【0016】
炭酸マグネシウムをそのものとして製品に加える必要はなく、別々に加えられ得、製品自体に含まれる様々な成分間での化学反応によって代わりに形成され得ることは容易に理解される。
【0017】
1実施形態によると、炭酸マグネシウムは製品中に、乾燥バルク材料の0.01から30重量%の量で存在する。本発明の別の実施形態によると、炭酸マグネシウムは、乾燥バルク材料の0.1から20重量%の量で存在する。本発明のさらに別の実施形態によると、炭酸マグネシウムは製品中に、乾燥バルク材料の0.5から5重量%の量で存在する。
【0018】
一般に、製品の含水量を保持することが望ましい。経口使用の製品に関しては、多くの消費者が乾燥製品よりも湿潤製品への嗜好を示す傾向にある。しかしながら、炭酸ソーダよりも粘膜への腐食性が低いため、炭酸マグネシウムは、濃度間隔内で有利に高濃度を維持され得る。従って、フィラーとして使用され得る。
【0019】
1実施形態によると、製品は、炭酸ナトリウムと、重炭酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムと、炭酸カリウムと、重炭酸カリウムと、水酸化カリウムと、リン酸塩とからなる群から選択される追加のpH調整剤をさらに含み得る。これらは、製造の間に迅速に所望のpHに至らせるために有利に使用され得、選択された炭酸マグネシウムがその後塩基領域においてpHを安定化させる役割を果たす。しかしながら、炭酸マグネシウムは、追加のpH調整剤がなくてもそれ自体が製品に十分な塩基性のpHを与え得る。前述の追加のpH調整剤は全て優れた特性を有し、国または地方の食品法に従って製品に使用され得る。例えば、食品栄養補助食品としてのリン酸塩の使用は、多くの国で制限されている。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によると、製品は7から9、例えば8から8.5の範囲のpHとなる。タバコ製品のニコチンは、塩基性のpHで粘膜により容易に吸収される。図1に示すように、吸収可能な非プロトン化ニコチンの割合はpHとともに増加する。塩基領域のpHの安定性は、保管性能に直接相互関係し、必須である。7未満では、タバコ含有製品からわずかな量のニコチンしか放出されず、塩基性の高すぎるpHでは、粘膜を損傷し得る。製品のpHを上昇させる単独の手段として炭酸マグネシウムを使用する場合、pHをゆっくりと最高値に到達させるために数日から数週間の期間が必要とされるだろう。
【0021】
ここでは、タバコ製品とはスウェーデン製熱処理経口嗅ぎタバコ(a.k.a snus)、噛みタバコ、嗅ぎタバコ様噛みタバコ製品を含む経口嗅ぎタバコを含む名称として使用される。この表現は、経鼻的に投与される嗅ぎタバコ製品も包含する。
【0022】
ここでは、非タバコ嗅ぎタバコ製品とは、薬理学的に活性または不活性な成分を含む構成要素としての嗅ぎタバコ製品であり、タバコでないものとして使用される。非タバコ製品は、非チューイングガム、すなわちゴムまたはチクルなどの天然ラテックスのいずれも含まない製品である。非タバコ嗅ぎタバコ製品は、経口製品である。非タバコ嗅ぎタバコ製品の例は、経口タバコ嗅ぎタバコ製品と同じ方法で使用されるトウモロコシ、オートムギなどの植物性繊維から生成される製品である。
【0023】
ここで使用される全ての文脈において、「経口」及び「経口用途」とは、噛む目的または口腔に配置するなど口腔においての使用を表す記述である。しかしながら、ここで使用されるように、意図的に飲み込む製品を排除するわけではない。
【0024】
タバコまたは非タバコ製品は、1実施形態においてはルース状であり微粒子型である。別の実施形態によると、タバコ製品は、最先端の技術を使用した経口嗅ぎタバコまたはスヌースとして説明される。経口嗅ぎタバコまたはスヌースは、ルース状であり微粒子型であり得る。米国において経口嗅ぎタバコは、最も頻繁に発酵工程において製造される経口タバコ製品として認識されている。「スヌース」とは経口嗅ぎタバコのスウェーデンにおける用語であり、ここでは熱処理工程において製造された経口タバコ製品を表すものとして使用される。本発明の1実施形態によると、タバコ製品または非タバコ製品はパウチ、ペレット、ポッド、ケーキ、ストリップまたはスティック形態で提供される。
【0025】
最終製品または中間製品は、本発明の1側面による輸送、保管及び商業目的で箱、缶または容器に詰められる。
【0026】
本発明の1側面によると、タバコ製品または非タバコ製品を製造するために炭酸マグネシウムを使用する。製造される製品は、経口製品であり得る。一般に、炭酸マグネシウムは製造工程の最後に加えられる。添加の順序は変更可能である。
【0027】
ここでは、乾燥バルク材料とは、水など、製品の湿気寄与成分を適用する前の製品の構成要素のための用語として使用される。湿気寄与成分は、広い範囲内で所望の含水量を製品に与え得る。
【0028】
本発明は湿潤製品へのもっとも明らかな用途を有するが、乾燥タバコ製品または乾燥非タバコ嗅ぎタバコなどの乾燥タバコまたは非タバコ製品に提供される防腐剤及びpH安定化特性も与え得る。
【0029】
ここで、本発明を添付の図面を参照して説明する。ここに示す実施形態及び実施例は、単に本発明の精神及び範囲の例示として示されたものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】希釈水溶液におけるさまざまなpHでの非プロトン化ニコチンの部分を図示する。
【図2】それぞれ室温及び冷蔵保管の間のルース型スヌース参照サンプル851R及び水酸化炭酸マグネシウム含有サンプル851MのそれぞれのpH変化を図示する。
【図3】それぞれ室温及び冷蔵保管の間のポーション型スヌースサンプル881R(参照)及び881M(水酸化炭酸マグネシウム含有)のそれぞれのpH変化を図示する。
【図4】それぞれ室温及び冷蔵保管の間のポーション型スヌースサンプル881RL(参照)及び881ML(後者は水酸化炭酸マグネシウム含有)のそれぞれのpH変化を図示する。
【図5】室温保管の間のそれぞれ2つの異なる種類の炭酸マグネシウムと混合されたルース型スヌースのpH変化を図示する。
【図6】炭酸ナトリウム(ソーダ)を含有するポーション型スヌースと炭酸ソーダ及び炭酸マグネシウム(MgCO)を含有するルース型スヌースのpHの比較を示す。サンプルは人工気候室(30℃、60%相対湿度)に保管した。
【図7】炭酸ナトリウム(ソーダ)を含有するルース型スヌースと炭酸ソーダ及び炭酸マグネシウム(MgCO)を含有するルース型スヌースのpHの比較を示す。サンプルは人工気候室(30℃、60%相対湿度)に保管した。
【図8】炭酸ソーダ及び異なる量の炭酸マグネシウムと混合されたルース型スヌースのpH変化を、それぞれ添加物として炭酸ソーダのみを含有するサンプルと比較して図示する。サンプルは室温で保管した。
【図9】室温で保管された1%MgCOを含有する非タバコ嗅ぎタバコのpH変化を、MgCOを含有しない非タバコ嗅ぎタバコの参照サンプルと比較して図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
使用したタバコ及び非タバコ嗅ぎタバコ製品の製造方法は、Swedish Match社のスヌースの品質基準GothiaTeck(登録商標)に準拠するものであり、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。タバコ製品及び非タバコ嗅ぎタバコ製品を製造するこの方法及びその他の方法は、当業者の能力の範囲内であり、製品の構成要素を類似の構成要素と交換し得ることは容易に理解される。以下の特定の例示的実施例は、pH調整剤として炭酸ナトリウムのみを含む対応する製品と比較して、本発明によるスヌースの保管安定性を示すために与えられるものである。
【0032】
[スヌースのpH測定]
ここに記載する全てのpH測定は、5グラムの製品を100mLの三角フラスコを使用して重量を測定した。100mLの希釈水を加え、300r/分でマグネチックスターラーを使用して10分間混合物を撹拌した。それぞれのpH値が4.0、7.0及び10.0の緩衝液を使用して、(製造業者の説明に従って)pHメーターで測定した。測定値の正確性のため、サンプル溶液は1時間以内に分析しなければならない。
【0033】
[実施例1](図2参照)
GothiaTek基準に準拠して、レシピ851に従ってNaCl及び炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。サンプル851R(参照)にはさらなる処理は行っていない。サンプル851Mには、(最終製品の)1%の炭酸マグネシウム(CAS番号546−93−0,UbivarFiskefood AB, Box 4072, Kalendegatan 26, SE−203 11 Malmo, Sweden, 製品番号MA2725)を加えた。両サンプルをルース型嗅ぎタバコ(スヌース)として標準段ボール缶に詰めた。各サンプルをそれぞれ室温及び冷蔵庫(4〜8℃)で保管した。1日目及び3日目にpHを測定し、その後105日が経過するまで毎週測定した。図2はpH−時間グラフを示す。実験は、MgCOを添加して室温で保管した場合に、MgCOを添加せずに冷蔵保存した場合とほぼ同程度の安定効果を与えることを示す。
【0034】
[実施例2](図3参照)
GothiaTek基準に準拠して、レシピ881に従ってNaCl及び炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。サンプル881R(参照)にはさらなる処理は行っていない。サンプル881Mには、(最終製品の)1%の炭酸マグネシウム(CAS番号546−93−0,UbivarFiskefood AB, Box 4072, Kalendegatan 26, SE−203 11 Malmo, Sweden, 製品番号MA2725)を加えた。両サンプルをポーション型嗅ぎタバコ(スヌース)としてパウチに充填し、標準プラスチック缶に詰めた。各サンプルをそれぞれ室温及び冷蔵庫(4〜8℃)で保管した。1日目及び3日目にpHを測定し、その後105日が経過するまで毎週測定した。図3はpH−時間グラフを示す。これは、本発明がスヌース−パウチに適することを示す。
【0035】
[実施例3](図4参照)
GothiaTek基準に準拠して、NaCl及びより少量の炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。サンプル881RL(参照)にはさらなる処理は行っていない。サンプル881MLには、(最終製品の)1%の炭酸マグネシウム(CAS番号546−93−0,UbivarFiskefood AB, Box 4072, Kalendegatan 26, SE−203 11 Malmo, Sweden, 製品番号MA2725)を加えた。両サンプルをポーション型嗅ぎタバコ(スヌース)としてパウチに充填し、標準プラスチック缶に詰めた。各サンプルをそれぞれ室温及び冷蔵庫(4〜8℃)で保管した。1日目及び3日目にpHを測定し、その後105日が経過するまで毎週測定した。図3はpH−時間グラフを示す。
【0036】
[実施例4](図5参照)
GothiaTek基準に準拠して、レシピ881に従ってNaCl及び炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。Merckと称される炭酸マグネシウム含有サンプルには、(最終製品の)1%の水酸化炭酸マグネシウム(CAS番号12125−28−9,E.Merck AB, Frosundaviks Alle 1,16970Solna, Sweden, 製品番号1.05829.9040)を加え、Univarと称される炭酸マグネシウム含有サンプルには、(最終製品の)1%の炭酸マグネシウム(CAS番号546−93−0,UbivarFiskefood AB, Box 4072, Kalendegatan 26, SE−203 11 Malmo, Sweden, 製品番号MA2725)を加えた。両サンプルをルース型嗅ぎタバコ(スヌース)として標準段ボール缶に詰めた。各サンプルを室温で保管した。140日が経過するまでpHを毎週測定した。図5はpH−時間グラフを示す。両方の種類のMgCOがほぼ同程度の安定効果を有した。
【0037】
[実施例5](図6及び7参照)
GothiaTek基準に準拠して、NaCl及び炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。MgCOと命名されたサンプルには、(最終製品の)1%の水酸化炭酸マグネシウム(CAS番号39409−82−0,Riedel−de Haen, Sigma−Aldrich, Sweden, 製品番号13 117)を加え、Sodaと命名されたサンプルには、そのような添加を行わなかった。両サンプルをルース型スヌースとして標準プラスチック缶に詰めた。各サンプルをそれぞれ室温(図7)及び30℃及び相対湿度60%の人工気候室(図6)で保管した。図6及び7は、さまざまな時間におけるpHを示す。グラフを比較すると、人工気候室においては、劣化過程が炭酸ソーダのみを含有する製品に関しては、添加物を含む製品より2倍以上の速度であった。従って、人工気候室における保管を、本発明の製品の保管性能をより迅速に評価するため、すなわち製品の保存期間を測定するためのモデルとして使用した。図6及び図7を比較すると、このモデルが機能することが明確に実証されている。これに基づいて、MgCOを含有するサンプルの室温でのpHが、人工気候室において試験した最大期間の二倍、すなわち室温でほぼ半年間安定であると予想することが妥当である。
【0038】
[実施例6](図8参照)
GothiaTek基準に準拠して、レシピ803に従ってNaCl及び炭酸ソーダを使用してスヌースを製造した。1つのサンプルにはさらなる処理を行わず、参照(「ソーダ」と命名)として扱った。3つのサンプルには、水酸化炭酸マグネシウム(CAS番号39409−82−0,Riedel−de Haen, Sigma−Aldrich, Sweden, 製品番号13 117)を加え、最終製品における炭酸マグネシウムの含有量がそれぞれ1%、1.9%及び3.7%となるようにした。全てのサンプルをルース型嗅ぎタバコとして標準ポリプロピレン缶に詰めた。サンプルを室温で保管し、pH変化を196日間監視した。図8は、pH−時間グラフを示す。グラフから明らかなように、MgCOの添加は、室温で半年以上スヌースのpHを安定化する性能を有する。
【0039】
[実施例7](図9参照)
GothiaTek基準に準拠して、非タバコ嗅ぎタバコ製品を製造した。嗅ぎタバコ製品の製造に使用した繊維は、トウモロコシ繊維(Limagrain;SOFABRAN F 184−80, SOFRABRAN F 184−400)のみである。
【0040】
(全バッチ重量の)1〜5%のNaCl、2〜10%のプロピレングリコール、40〜60%の水を加えた後に、Swedish熱処理スヌースの通常の標準熱処理工程においてスヌースを加熱した。冷却後、追加で0.5〜6%のNaCl、0.3〜3%の炭酸ソーダ及びフレーバーを加えた。次の段階において、バッチを2つの部分に分離した。パート1(参照)にはさらなる処理を行わず、標準の嗅ぎタバコ缶に詰めた。パート2には、詰める前に、さらに1%のMgCO(乾燥状態で換算)を加えた。両方のバッチのパートの全ての缶を室温で保管した。各pH測定は、新たに開封した嗅ぎタバコ缶で行った。
【0041】
グラフから明らかなように、MgCOの添加は、室温で少なくとも約半年間非タバコ嗅ぎタバコのpHを安定化する性能を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸マグネシウムを含むタバコ製品または非タバコ嗅ぎタバコ製品。
【請求項2】
前記炭酸マグネシウムが水酸化物、酸化物及び/または結晶水を含むことを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記製品が経口製品であることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記炭酸マグネシウムが、乾燥バルク材料の0.01から30重量%の量で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の製品。
【請求項5】
前記炭酸マグネシウムが、乾燥バルク材料の0.1から20重量%の量で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の製品。
【請求項6】
前記炭酸マグネシウムが、乾燥バルク材料の0.5から5重量%の量で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の製品。
【請求項7】
前記炭酸マグネシウムが、炭酸ナトリウムと、重炭酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムと、炭酸カリウムと、重炭酸カリウムと、水酸化カリウムと、リン酸塩とからなる群から選択されるpH調整剤と併用されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記製品がルース状であり微粒子型であることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項9】
前記製品が経口嗅ぎタバコまたはスヌースであることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項10】
前記製品が、ポーチ、ペレット、ポッド、ケーキ、ストリップまたはスティック形態であることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項11】
箱、缶または容器に詰められたことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
経口用タバコ製品または非タバコ製品を製造するための炭酸マグネシウムの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−507510(P2011−507510A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539370(P2010−539370)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051242
【国際公開番号】WO2009/082331
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510171922)スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー (2)
【Fターム(参考)】