炭酸分解生成物を使用した発泡アルミニウムの製造方法
発泡アルミニウムを製造する方法において、粒子生成反応ガスを制御された条件下で、アルミニウム溶解合金に導入し、発泡安定性副生成物の生成(20)を誘発するために攪拌し、そして特定の条件下で、ガスの生成(15)は発泡金属溶解それ自身を生成する為に使われる。この方法を用いて生成された発泡製品は、発泡金属酸化物(20)とそこに分散された他の固体粒子が内部に形成され、従来から発泡アルミニウムの生成に使用されていた外部から添加された大きなセラミック安定剤が存在しない。本発明は、低価格の先駆物質を使用した接種、発泡性溶解物を生成のための迅速で、単一段階の方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2005年4月29日に提出された、アメリカ国特許出願番号11/119,002号の一部継続出願であり、出願から生じた利益を主張するものである。開示された内容はその全文を参照することにより援用する。
【発明の属する分野】
【0002】
本発明は、発泡性金属に関し、特に、溶融金属の中で反応性粒子を分解して発泡金属に適する発泡安定性副生成物およびガスを製造する発泡金属の形成方法に関する。
【発明の背景】
【0003】
低密度多孔質製品は、独特の機械的・物理的特性を有する。ポリマータイプ(型)マトリックスで形成された発泡製品に、高比強度・構造剛性・絶縁特性があることはよく知られている。この様な、高分子発泡体の独立気泡(クローズドセル)は、建築・梱包または輸送を含む幅広い用途で広範囲に使用されている。
【0004】
高分子タイプ(型)の発泡体が広い市場で成功を収めている一方、発泡性金属の利用は限られているように見える。クローズドセル(独立気泡)型の発泡性金属は、各種の軽量な用途について高分子発泡体の持つ多くの優れた属性を提供する。更に、金属の本質的な高体積弾性率は、ポリマーと比較して高い比剛性を備える。この高体積弾性率は、発泡金属を、ひずみに対する剛性と抵抗性が重要な性能の尺度となるラミネートパネルの中の芯材の材料として好適である。更に、発泡金属から形成されるパネルは耐火・耐煙性であり、また建築利用にも適切である。アルミニウム発泡体コアサンドイッチ複合材製品は更に再利用が可能であるという環境上の利点を提供し、メタルクラッドポリマー発泡体(金属被覆発泡樹脂体)の使用が制限される問題となる。
【0005】
発泡金属の製造方法は科学文献や特許文献に掲載されているが、これらの素材(物質)には、高コスト・大気泡サイズ・気泡サイズの変動・構造上の不十分な完全性などの問題が内在していた。これらの問題の多くが溶解金属のレオロジー(流動特性=粘弾性)に関連している。金属発泡体を形成する全ての鋳造冶金方法で本質的に金属溶解に際して何らかの安定剤が必要とされている。泡はメタ安定(meta-stable)なので、セルの合体(融合)やセル壁の排流を起こしやすい傾向がある。
【0006】
従来は、発泡金属の生成の際に必要な安定を得るためにセラミック粒子のような微粒子が溶解物(溶湯)に添加(導入)されていた。これらの微粒子は溶解物(溶湯)に必要な粘性を増加させ、および/または、液体の表面張力を減少させることにより、溶解物(溶湯)の性質を効果的に変化させる。これらの微粒子は求められる泡(気泡)のセル壁の厚さに比べて小さいはずである。溶解時に小さな微粒子を添加することは、内部的方法と外部的方法(本質的または非本質的方法)であり昔から行われていたが、それぞれの方法には有用性を阻害する欠陥がある。
【0007】
内部での粒子生成にあっては、固有の粒子構造を持つガス(気体)を溶解金属に添加し、機械式ミキサーでボルテキシング(vortexing=渦巻き攪拌)するか、直接ガスを注入する方法で攪拌する。ガスは溶解物(溶湯)と反応して、酸素・スピネル(尖晶石)および/または他の独特の粒子を含む小さな微粒子を生じる。安定的に発泡するマトリックス(数列)を作って形成される粒子のサイズ・形状・体積分率をコントロールすることは非常に難しい。
【0008】
形成される粒子のサイズは、注入または混入されるガス気泡のサイズによって影響を受ける。液体金属中に、小さなガス気泡を発生させることは非常に難しい。さらに、溶解温度、溶解温度までに要する時間、ガスの組成、攪拌速度、溶解組成の全てが粒子の割合、量、特性、および分配割合により左右される。さらに、アルミニウム溶解では、酸化反応を促進するための極めて反応性の高いアルカリ金属を加えることが必要となることが多い。
【0009】
発泡金属を生成するにあたり直接ガスを注入および/または攪拌する方法の欠点の1つとして、安定的に発泡するマトリックス(数列)を作り出すのに時間を要する。少量の溶解金属でさえ約20分から数時間のタイムスケール(時間)が必要であり、大量の溶解金属の場合には、安定した発泡金属を作り出すレオロジー(粘弾性)特性を得る為にはより長い時間が必要となる。
【0010】
外部からの粒子添加にあってもまた、金属の発泡を安定させる方法として有用性を害する多くの問題点がある。外部からの粒子添加では、少量の不活性粒子が、溶解金属に直接添加されて攪拌される。外部からの粒子添加の一つの問題点は、外部から添加された微粒子を溶解金属の中で湿った状態に保つ必要がある。
【0011】
外部から添加した粒子を湿らせる方法として、従来の特殊な溶解物を合金する方法および/または粒子をコーティングする方法が用いられており;溶解合金の濃度の順番および/または微粒子の添加;微粒子の質と表面組成上の厳しい条件;また、真空状態および/または不活性状態で高剪断を課すことにより、合成装置で、微粒子と溶解金属間における湿潤工程の制御および強化していた。これらの技術的課題が、特殊(exotic)な処理装置および使用する外部粒子のサイズ、純度の限定を生み出した。これらの障害は、安定的溶解の外部添加により生成される発泡金属の経済的生産を妨げた。
【0012】
Ridgeway Jr.の米国特許No. 3,297,431(以下、Ridgeway Jr.という)では、冷却にあたって発泡アルミニウムのセル構造を維持および保存する為に安定化粉剤を使用することが必要である。Ridgeway Jr.に記載されているように、安定した粒子は、溶解金属によって湿らされ、溶解金属中で安定している不活性細分化粉末である。Jin et al.の米国特許No. 5,112,697(以下、Jin et al.という)にも安定化粒子の使用に関して記載されており、その中で「安定細分化粒子」のサイズ、体積分率の制限の詳細を明らかにしている。さらに、Crowley et al.とBryant et al.とからなる米国特許公開番号2004/0163492A1および2004/0079198A1(以下、Crowley et al.とBryant et al.という)は、発泡アルミニウム中の粘度を調節する物質を表面コーティングする使用例を開示している。これらの公開には問題点がある。
【0013】
上述の障害と問題点に照らして、発泡金属の生産のより業務用な有利な手段を提供する必要がある。
発明の概要
【0014】
本発明は、最小の先駆物質と最小の工程数によりアルミニウム処理に適切な温度及び圧力のもとで、経済的に発泡金属を製造する工程を提供する。本発明の概略としては、下記の工程からなる発泡アルミニウムの製造方法を提供する:
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程;
粒子生成反応ガスとアルミニウムを含んだ溶解金属合金とを結合する工程;
粒子生成反応ガスの第一部分を反応ガスに分解し、粒子生成反応ガスの第二部分を未反応状態に維持し、反応ガスを溶解金属合金と活発に結合して懸濁金属酸化物相とガス気泡を生成し、未反応状態の粒子生成反応ガスの第二部分が接種発泡性溶解の中の化学発泡剤となり、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程;
液体発泡金属を生成する為に接種した発泡性物質を発泡する工程;
発泡アルミニウム製品を生成する為に液体発泡金属を凝固する工程;
とからなる。
【0015】
アルミニウム合金溶湯は、業務用の高純度アルミニウム;廃棄アルミニウム;シリコンやマグネシウムを含有するアルミニウム;またはこれらの混合物であってもよい。実施例では、マグネシウムは合金溶湯中に約0.5wt.%から約8wt.%の割合で溶解しているであろう。
【0016】
粒子生成反応ガスとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム・マグネシウム炭酸塩(ドロマイト)あるいはそれらの混合物から選択される。炭酸カルシウムは、粒子生成反応ガスおよび/または発泡剤として特に効果がある。この工程で、炭酸カルシウムは分解されて固体の酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素ガス(CO2)になる。積極攪拌(強攪拌)した状態で、溶解金属に生成した発泡性気泡は、溶解金属より反応ガスに曝されることにより破裂して破砕する。このガスは活発(vigorously)に溶解アルミニウムと反応し、一酸化炭素ガス(CO)と酸化アルミニウム(Al2O3)となる。一酸化炭素(CO)と二酸化炭素ガス(CO2)のガス気泡のみならず、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化カルシウム(CaO)および他の金属酸化物相で、溶解金属の粘性と表面エネルギーを変更することによって液体金属懸濁液を安定化する。活発(“vigorous”)の用語は自然発熱と可燃性ガスの生成を意味する。
【0017】
アルミニウム溶解合金では、他の金属酸化物が反応ガスを分解した副産物として生成される可能性がある。例えば、アルミニウム−マグネシウム(Al-Mg)合金では、反応ガスである二酸化炭素ガス(CO2)が分解されて、一酸化炭素(CO)と酸化アルミニウム(Al2O3)と共に金属酸化物である酸化マグネシウム(MgO)と多くの混合金属酸化物を生成する。その他の従来のアルミニウム合金の成分は、攪拌した溶解物内に同様の微細分散した酸化金属を形成する。酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化カルシウム(CaO)は似ており、酸化マグネシウム(MgO)は金属酸化物相の代表的な例であって、小さなガス気泡とともに溶解金属に加えた場合、溶解金属の粘性と表面エネルギーを変更して液体発泡金属懸濁液を生成する。発泡性“foamable”の語は、液体発泡を安定させる効能と定義されるものであり、癒着と排水に対する抵抗ができる。癒着(coalescence)とは、2つのガス気泡の接触面の境壁の消滅で、結果として液体発泡の化学構造の結晶粒粗大化が生じる。排水(drainage)とは、引力による液体発泡の内部の密度勾配(特性)の増加であり、結果として液体気泡は構造上の単一性を失う。
【0018】
粒子生成反応ガスの分解による微粒子気泡ガスと金属酸化物相の混合物の生成は非常に速く、最適の条件の下では2〜8分以内に完了する。合金の組成、粒子のサイズ分布、温度と攪拌の程度はすべて分解動力学(分解速度学)に影響を受ける。意外にも、粒子生成反応ガスの分解速度はアルミニウム溶解内の十分な量のマグネシウムの存在により急速に進行する。0.5wt.%〜8wt.%のマグネシウム(Mg)の添加は攪拌された溶解物の中の粒子生成反応ガスの分解にかかる所要時間を大幅に削減する。このマグネシウムの添加は、炭酸塩を生成する反応ガスの処理速度を高めて分解速度を2倍にするだけでなく、セルの大きさ、排水速度、境壁の厚みを変化させて発泡製品の化学構造に重大な影響を与える。
【0019】
本発明の一実施例では、反応ガスは、粒子生成反応ガスの分解によって生成され、他の分解された気体とともに液体発泡内の泡の生成に使われる。さらに具体的には、本発明のこの実施例では、粒子生成反応ガスの未反応部分を溶解金属合金の中に残すために、溶解合金金属の攪拌を粒子生成反応ガスが一部分解した後に意図的に停止する。その後、粒子生成反応ガスの未反応部分は液体発泡金属(liquid metal foam)を生成するための発泡剤として機能し、微細ガス気泡の分散は、反応ガスと溶解金属合金の活発な合成によって生成された金属酸化物相とともに、発泡を安定させる。実施例の1つとして、約2.0wt.%〜約16.0wt.%の量の炭酸カルシウムを単独で溶解金属合金に添加することは、発泡懸濁液を生産するのに必要とされる微細気泡ガスの分散と金属酸化物相の両方、および、この懸濁液に接種するのに必要な接種発泡性懸濁液を生成する化学発泡剤を供給するのに十分である。本発明のさらに一実施例では、上記方法にさらに、接種発泡懸濁液の凝固と、さらに発泡する前に接種発泡懸濁液を再溶解する工程を含むようにすることもできる。
【0020】
本発明では、上記の方法を実施する為の装置が提供される。最も簡単な実施例の改良装置では、発泡性チャージ(発泡促進)として機能する接種発泡懸濁液のバッチ生成(一括定量生産)または連続生成に使用する1つの容器だけを必要としている。
概説すると、改良装置である発泡アルミニウム製造装置の構成は:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを供給するシステムであって溶解金属合金が設定された流量で供給され;
供給システムに接続されている反応ユニットが:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する通過時間が与えられるような容積に形成された混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、
反応ユニットを入れる溶炉と、
反応ユニットと接続した先端(tip)と
からなる。
【0021】
粒子生成ガスを含む溶解金属合金が混合ユニットを通過する時間は、接種発泡性懸濁液を供給して反応ユニットを出る時に(際に)選択(決定)される。この経過時間は、粒子生成反応ガスについて反応ユニットへの流量と混合ユニットの有効容積を調整することで変更される。更に詳細には、粒子生成反応ガスの組成、分解温度および粒子サイズは、全て反応ユニットを調節する際に考慮される必要がある。最終的に、攪拌手段による攪拌の程度についても考慮する必要がある。実施例の1つにおいては、ポンプあるいは通路のような移送システムが、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端(tip)へ移送するように形成されている。また、実施例の一つでは、回転式ギアポンプ(rotary gear pump)あるいは回転式ローブポンプ(rotary lobe pump)のような容積移送式ポンプ(positive displacement pump)が、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端金具へと配送している。また、実施例の一つでは、先端(tip)は発泡剤の分解効率を上げるために、供給される接種発泡性懸濁液の温度よりも高温に熱せられる。好ましくは、先端(tip)は、電気的に、またはガス燃焼によって670度から740度の温度まで熱せられる。
【0022】
本発明の別の実施例では、粒子生成反応ガスの分解は、攪拌しながら完成(終了)まで進行する。この実施例では、化学発泡剤は化学発泡剤の別の添加によって供給されるが、それは、粒子生成反応ガスと化学的に同一であっても、そうでなくてもよい。概略、本発明により提供する発泡アルミニウムの製造方法の工程は:
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程;
粒子生成反応ガスと合金を含んだアルミニウム溶解金属とを結合する工程;
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解し、反応ガスを溶解金属合金と活発に結合させて微細ガスと金属酸化物相とからなる発泡性懸濁液を生成するために、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程;
接種発泡溶解を生成するために、発泡懸濁液の中に化学発泡剤を分散させる工程;
液体発泡金属を生成するために、接種した発泡性物質を発泡する工程;
発泡アルミニウム製品を生成するために、液体発泡金属を凝固する工程;
とからなる。
【0023】
本発明のこの実施例においては、溶解金属合金の中へ約0.5 wt%から4.0 wt%の量の炭酸カルシウムを添加すれば、微細ガス気泡と液体発泡金属を安定させる金属酸化物相の懸濁液の満足な生成に十分足りる。この微細ガス気泡と金属酸化物相の懸濁液は結果として溶解物の体積膨張の生じ、攪拌後の初期の体積膨張では5%から50%の範囲である。その他の実施例では、炭酸カルシウムは接種発泡性懸濁液を生成する為に、パーセントの範囲として約0.5 wt%から4.0 wt%の量が発泡剤として発泡懸濁液の中に分散される。本発明の一実施例では、上述の製造方法はさらに接種発泡懸濁液を凝固させてから、発泡する前に接種発泡溶湯を再溶解する工程を含むことも出来る。
【0024】
本発明の別の実施態様としては、上記の方法を実施するために、発泡性懸濁液が生成された後に化学発泡剤を発泡性懸濁液の中に別に分散させる装置が提供される。その最も簡単な実施例では、装置は少なくとも2つの工程からなり、第一段階では溶融合金に粒子生成反応ガスを入れ、第二段階として化学発泡剤を分散させる。第一段階は、発泡剤が粒子生成反応ガスの未反応部分として供給される上述した反応ユニットと構造的に類似する可能性がある。
化学発泡剤を分散する第二段階は第一段階と連結している。概略、発泡アルミニウムを製造する装置は以下の構成からなる:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムであって溶解金属合金は設定された流量で供給され;
供給システムに接続されている反応ユニットが:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、設定された流量で混合ユニット内の粒子生成反応ガスの少なくとも一部の分解に適応する経過時間が与えられるように(供給)量が設定される混合ユニットと、反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉とからなり;
反応ユニットに接続されている分散ユニットが:
発泡懸濁液が入れられる発泡剤混合室と:
発泡剤混合室内で発泡懸濁液の中へ化学発泡剤を供給するために設けられた供給システムと;
接種した発泡懸濁液を生成するために化学発泡剤を分散する発泡剤混合室内に設置された攪拌手段と;
接種発泡性懸濁液を分散ユニットから先端(tip)へ移送する為の移送システムと
から成る。
【0025】
一実施例では、移送システムとして、回転式ギアポンプ(rotary gear pump)や回転式ローブポンプ(rotary lobe pump)といった容積移送式ポンプ(positive displacement pump)を含めることができる。あるいは、移送システムは、接種した発泡性懸濁液を反応ユニットからその先端(tip)に移動させるために形状が決められた通路とするこができる。
【0026】
本発明の他の態様では、発泡性の液体+気体+固体からなる懸濁液の製法が提供される。概して、その方法は、次の工程を含む。
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程。
粒子生成反応ガスとアルミニウムを含む溶解金属合金とを結合する工程。
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、溶解金属合金の内部でガス気泡と金属酸化相の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが活発に溶解金属合金と結合するように攪拌する工程。
【0027】
反応ガスを生成するために使用される粒子生成反応ガスは、直接溶解物の中にガスを泡立たせるたりボルテックスするような他の粗い方法により形成されるものよりもはるかに優れている微細気泡と混合酸化金属の均等な分配を生成することが知られている。粒子生成反応ガスの分解により形成された微細気泡と混合金属酸化物の均等な分配は、従来の安定化粒子を外的に添加してアルミニウム溶液の中に取り込む方法よりも効果的に見える。発明された方法である液体+気体+固体からなる懸濁液による生成は、単に液体+固体からなる懸濁液に頼る在来の方法より大変に優れている。発泡性懸濁液は、金属酸化物によっても気泡の微細分散によっても安定化させられ、また粒子形成反応ガスによる体積膨張は、粒子自体の体積よりも何倍も大きい。この発明では、外的に安定した金属発泡体を必要としていた従来より大幅に低い固体の体積分率で溶解物の安定化を可能にしている。一実施例では、発泡性懸濁液は、攪拌により約5%から50%の間の体積膨張を示している。
【0028】
米国特許No.5112697, Jin et al.(以下、Jin et al.という)で開示されているように、従来技術では、最微細粒子を使用するに際して、安定した粒子の5%の最小有効体積を必要とすることが、溶解金属内で微細粒子を分散することの困難性とともに強調されている。本発明においては、驚いたことに、また、予想外にも、従来から安定的に外的添加の安定化粒子を使用するのに必要とされていた体積分率よりはるかに低い1/10未満の0.5%という低い値で有効であることを示している。
【0029】
適切な時間発泡を維持できるアルミニウム溶解物を効率的に創造する炭酸塩の最小レベルは0.5 wt.%近辺であるが、炭酸塩の重量分率をより高くすると、さらに急速に必要な融解の安定が実現できる。濃度の低い発泡アルミニウムは炭酸塩のレベル16 wt.%までで生成される。このようにハイレベルな粘度の増強された炭酸塩は、有効な安定レベルに到達する所要時間を著しく短縮する。
【0030】
本発明の他の態様では、発泡アルミニウムが提供される。ひとつの実施例において、発泡アルミニウムは、アルミニウム合金マトリックスを含んでおり、そのアルミニウム合金マトリックスは、重量パーセントで約0.5%から8%の割合の範囲のマグネシウムと、重量パーセントで約0.5%から16%の割合の範囲であって平均サイズが、1.0ミクロン未満の微細金属酸化物の分散、および、平均直径が約200ミクロンから1500ミクロンの範囲である密閉気孔の大部分を含み、密度が0.30g/cm3から0.70g/cm3の間の製品を提供するアルミニウム合金マトリックス内の気孔の分散とを含有する。
【0031】
酸化金属は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、同種の混合酸化物を含めることができる。その上、上記のアルミニウム発泡体は、5ミクロンより大きな安定セラミック粒子を実質的になくすことができる。アルミニウム合金マトリックスは、約5ミクロンから約100ミクロンまでの範囲の平均肉厚と、アルミニウム発泡材料の70%から90%の間の体積率を構成する気孔の分散を有することもある。
【0032】
本発明の工程によって製造された発泡アルミニウム生成物は、低密度、高剛性、熱伝導率の減少、良好な伸張強度、耐衝撃性、エネルギー吸収性、消音特性のような改良された特性を示す。
【0033】
発泡性アルミニウム生成物は、例えば高性能軽量の自動車技術、薄板材料、建築の建設材料、浮力活用、およびエネルギー吸収の有効利用、高比剛性、低密度が必要とされる各種の分野で多様な用途で使用される可能性がある。
【0034】
本発明の他の実施例では、アルミニウム発泡材料は、有効量のマグネシウムを含むアルミニウム合金マトリックスと、分配している微細金属炭酸塩と、分配している上述のアルミニウム合金内の気孔と、からなり、実質的に5ミクロンの大きさより大きな安定セラミック粒子をなくす。気孔直径の平均は、約1000ミクロン未満とすることができる。
【0035】
ここにおける開示で、“マグネシウムの有効な量”の用語は、安定金属発泡体を生成するのに適切なマグネシウム濃度を意味する。微細金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、若しくはその組合せを含めることができる。
【0036】
一実施例では、微細金属炭酸塩は100ミクロン未満の直径をもつ。一実施例では、安定したセラミック粒子の用語は、750度未満の温度で溶解アルミニウムに対し、殆ど不活性で非反応性なセラミック類を意味する。
【図の簡単な説明】
【0037】
以下の最良の実施例の説明を添付の図とともに読むことによって、発明の十分な理解が得られる。
【0038】
図1は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸カルシウム(CaCO3)のwt.%のグラフであって、この発明における最良の添加剤であり、大気圧下において約600度から650度の熱分解温度を示している。
【0039】
図2は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)の重量割合のグラフであって、この発明で推奨する添加剤であり、大気下において約600度から700度の熱分解温度を示している。
【0040】
図3は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸マグネシウム(MgCO3)の重量割合のグラフであり、大気下における約350度から450度の熱分解温度を示している。
【0041】
図4は、時間と共に単調に増加する温度によって変わるハイドロタルサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)の重量割合のグラフであり、大気下における約175度から200度の熱分解温度を示している。
【0042】
図5は、アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物と、ガス生成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの活発な分解に関する反応の進行期における化学反応を示している。
【0043】
図6は、アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの分解に関する反応の進行を図示している。
【0044】
図7(断面図)は、単独の添加物である粒子生成反応ガスにより粘性剤と発泡剤が供給されるアルミニウム発泡体を生成する装置。
【0045】
図8(断面図)は、図7に描かれた装置と対応する化学発泡剤分散装置。
【0046】
図9a(分解図)は、容積移送式ローブポンプ。
【0047】
図9b(斜視図)は、図9aに描かれた容積移送式ローブポンプ。
【0048】
図9c(断面側面図)は、容積移送式ギアポンプ。
【0049】
図10は、アルミニウム合金発泡体の安定時における粒子生成反応ガスの効果を示すグラフ。
【0050】
図11は、アルミニウム合金発泡体の構造における炭酸カルシウムの粒子サイズの効果を示すグラフ。
【0051】
図12は、アルミニウム発泡体を生成するために溶解金属合金にマグネシウムを添加することの効果を示すグラフ。
【0052】
図13は、安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際の攪拌時間の効果を示すグラフ。
【0053】
図14は、安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際における粒子生成反応ガスのwt.%増加の効果を示すグラフ。
【発明の詳細な説明】
【0054】
本発明は、アルミニウム発泡体と、アルミニウム発泡体の製造方法とを提供するものであり、その製造方法においては、約350度から約850度の範囲の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを溶解金属合金の中に入れ、その中で少なくとも粒子生成反応ガスの一部を、最小の圧力と温度変化の下で、金属酸化物相の発泡性懸濁液とガス気泡を生成する溶解金属合金に分解するものである。本発明は、また、発泡性懸濁液を生成するときに粒子生成反応ガスの少なくとも一部を分解するのに十分な経過時間、発泡剤による発泡性懸濁液の接種、接種発泡性懸濁液の金型への移動、液体金属発泡体を生成するために接種発泡性懸濁液の発泡、発泡金属製品を生成するための液体金属発泡体の凝固、が実現するように定められた流速と流量を備えた反応ユニットからなる本発明に係る方法を実施するための装置を提供する。本発明は本願に添付された図面を参照してより詳述に論じられる。添付の図面にある部材(要素)は、対応する参照番号等により参照される。
【0055】
図1−4は、分解の開始と速度(割合)を制御する特定条件(温度履歴、粒子サイズ、周囲環境、等)、サンプルが分解するのにともなう質量放出(wt%ロス)の期間における粒子生成反応ガスの分解の範囲を明らかにするための各種物質に関するTGA(熱グラボメトリック分析)グラフを示す。図1−4において、分解曲線10は、好ましい分解範囲14と、熱的に安定な範囲12とともに示されている。
【0056】
発泡アルミニウム製品に関して実践的かつ有効と認められる粒子を生成するための反応ガスは、炭酸塩であり、それは、有効かつ費用がかからず、図1、2および3で描かれるTGA(熱グラボメトリック分析)グラフで明らかにされるような熱分解温度を有している。より具体的に言うと、粒子生成反応ガスは、約350度から約850度の範囲の熱分解温度を有している炭酸塩がより好ましく、熱分解温度約550度から約850度の範囲であればさらに好ましい。
【0057】
最良の炭酸塩は、炭酸カルシウム(CaCO3)および/または苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)であり、図1では、炭酸カルシウムについての分解範囲を明らかにし、図2では、苦灰石の分解範囲を明らかにしている。これらの粒子生成反応ガスは、溶解アルミニウム合金の温度若しくは圧力が従来のアルミニウム処理のような温度もしくは圧力まで上昇する必要のない温度で、酸化金属と二酸化炭素を形成するために分解される。好ましい一実施例では、炭酸カルシウムは約40ミクロン未満の平均直径を有する。
【0058】
純粋なアルミニウムは、約660度で融解する。大量生産されるアルミニウムは、通常、純粋なアルミニウムより低い温度で融解する。より具体的には、大量生産されるアルミニウム合金は、約560度から約650度の範囲の温度で融解し、大量生産されるアルミニウム合金の融解温度は、合金への添加元素によって変えることができる。本発明で利用される溶解金属合金は、例えば、少なくとも大量生産される等級/純度の溶解アルミニウム、廃棄アルミニウム、もしくはアルミニウムの含有したシリコン(Si)および/またはマグネシウム(Mg)または同種のものとすることができる。
【0059】
炭酸カルシウムは、図1で示すように550度よりも高い温度で分解し始め、そして、苦灰石(ドロマイト)は、炭酸カルシウムよりもわずかに高い温度で分解し始め、苦灰石の分解はほぼ約575度程度の温度から始まる。これらの化合物を粒子生成反応ガスとして利用すると、両方(の物質)が約550度から約650度の範囲の分解温度なので、活発だが過剰にエネルギッシュでない分解を行うことにより、粒子生成反応ガスの相互作用により生成されたアルミニウム酸化物相の適切な分散と粒子生成反応ガスのガス生産能力喪失前の溶解合金の溶解が出来る。
【0060】
溶解金属合金内での炭酸カルシウムの分解は、参照する図5と図6に良く表われている。アルミニウムとマグネシウムからなる溶解金属合金内での炭酸カルシウムの分解は、次の反応からなる。
CaCO3 → CaO+CO2 (1)
CO2+Al → Al2O3+CO (2)
CaO+Al → AlCaOx (3)
CO2+Mg → MgO+CO (4)
【0061】
図5は、溶解金属合金内の炭酸カルシウムの分解反応、およびガス気体生成物(ガス気泡も同様)の微細分散と安定化生成物を生成するために溶解金属合金の中に存在するアルミニウムおよびマグネシウムとの相互作用による分解生成物とを示している。ガス気体生成物の微細分散は、アルミナ(Al2O3)のようなアルミニウム酸化物相や酸化マグネシウム(MgO)を生成するために溶解金属合金のアルミニウムやマグネシウムと活発に結合する反応ガスによって提供される。アルミニウム酸化物相と関連するガス気泡の微細分散は、発泡性懸濁液の形成に寄与する生成物を安定化させる。制限することなく
さらに記述する本発明の特定の観点によれば、溶解金属合金が自己安定する特性は、第一にガス気体(生成物)の微細分散の発生により作られると考えられている。
【0062】
図6は、ガス気泡15の微細分散および金属酸化物相20を生成するための溶解金属合金内における生成物生成反応ガスの分解を示す図である。発明を限定するものではないが、さらに記述する本発明のいくつかの特定の観点によれば、発泡性懸濁液の崩壊の比率、アルミニウムの体積の粘性率、浮力およびストークの法則に基づくと、ガス気泡の平均直径はほぼ約100ミクロン未満程度ではないか考えられている。マグネシウムが上記の例の溶解金属合金には含まれているが、本発明は溶解金属合金にマグネシウムが含まれていなくても実施可能である。さらに、最良の推奨実施例においてマグネシウムが、有効量提供されると、有利に安定化が提供できることが知られている。一実施例では、マグネシウムの有効量という用語は、マグネシウム含有量が安定した気泡を提供するのに十分であるということを意味している。また、一実施例では、マグネシウムの有効量は、0.5 wt.%よりも大きく、望ましくは約0.5 wt.%から約8.0 wt.%の範囲で、さらに出来れば約1 wt.%から約2 wt.%の範囲が良いとされている。さらに、溶解金属合金は、例えば、少なくとも大量生産される等級/純度の溶解アルミニウム、廃棄アルミニウム、もしくはアルミニウムの含有したシリコン(Si)および/またはマグネシウム(Mg)または同種のものとすることができる。
【0063】
苦灰石=ドロマイトが粒子生成反応ガスとして溶解金属合金に含まれる場合の分解反応は:
2CaMg(CO3)2 → CaCO3+CaO+2MgO+3CO2
3CO2+Al → Al2O3+3CO
CaO+Al → AlCaOx
CO2+Mg → MgO+CO
【0064】
炭酸カルシウムと苦灰石=ドロマイトは本発明の大変好ましい実施例ではあるが、他の炭酸塩についても検討されており、その意味では本発明の範囲に属する。
【0065】
例えば、図3では炭酸マグネシウム(MgCO3)についてのTGAのプロットが示されており、炭酸マグネシウムを粒子生成反応ガスとして利用することが検討されていた。炭酸マグネシウムの分解温度は低温であるので、炭酸マグネシウムを分解開始前に分散させることは、炭酸カルシウムや苦灰石より難しく、実用的ではあるが、それだけでは推奨できない。
【0066】
図4を参照すると、大気下で約175度から200度の熱分解温度を有するハイドロサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)のTGAが示されており、ハイドロサイトは、アルミニウムからなる溶解金属合金に組み込まれると、分解を早く生じるので、粒子生成反応ガスとしては不適当である。
【0067】
CaCO3や苦灰石よりも高い熱分解温度を有する炭酸塩を選択することは、アルミニウム発泡体の生成にとっては不適切であるが、銅・チタン・スチールもしくは真ちゅうのような高融解温度の金属には理論的には適合するかもしれない。同様に、アルミニウムに選択されるこれらより十分に低い分解温度の炭酸塩は、鉛、スズやマグネシウム合金のような低融解金属システムに理論的には適合するかもしれない。
【0068】
表1は、CO3の分圧が約0.01気圧(それはほぼ周囲の大気中のCO2の分圧である)で自然界において豊富な炭酸塩の炭酸塩熱力学的平衡温度を示す。これは、動力学的一覧ではなく、熱力学的平衡一覧であるが、炭酸塩の相対的分解順序を示すことに役立ち、溶解物質内の分解温度の推定値を示唆する。これらは、分解温度が350度から850度の範囲外であるようなアルミニウムで用いるには効果がない炭酸塩の例証を示唆している。
(表1) CO2分圧0.01atmで分類した炭酸塩における熱力学的平衡温度
炭酸塩 度
NaHCO3 52
ZnCO3 61
Ag2CO3 122
CdCO3 231
MnCO3 249
MgCO3 283
CaCO3 656
SrCO3 865
Li2CO3 1016
Ba2CO3 1088
【0069】
表1を用いて効果のないと思われる炭酸塩を排除すると、Na、Zn、Ag、CdおよびMnの炭酸塩は、適正に分散する分解が速過ぎるという理由で、アルミニウム発泡体の工業生産にとっては、分解温度が低過ぎることが明らかである。代わりに、Sr、LiおよびBa炭酸塩は高過ぎる熱分解温度をもち、分解しないか、非常に遅い速度での分解であり、実行可能な工業的プロセスに対し適切ではない。ここで留意すべきは、これらの分圧で、CaCO3およびMgCO3の平衡温度はそれら各自のTGA熱分解温度と異なるというわけではないことである。
【0070】
炭酸カルシウムが粒子生成反応ガスに選ばれた本発明の実施態様に戻ると、増粘のために融解アルミニウムを付加したとき、炭酸カルシウムの粒子サイズは約0.5マイクロメートルら40マイクロメートルにできる。付加された量は、全体のアルミニウム溶解物質量の0.5wt.%から16wt.%の範囲内であり、望ましくは0.5wt.%から2wt.%である。炭酸カルシウムの小さい体積分率は、安定した発泡を持続するために溶融粘度および/または表面エネルギーを制御するのに非常に効果があることが測定されている。
【0071】
もう一つの方法として、炭酸カルシウム粒子サイズは40マイクロメートルから150マイクロメートルの大きさにできる。このサイズでの反応速度は著しく遅く、10分後に炭酸塩の不完全分解がある。それにもかかわらず、十分な気泡の微細分散はアルミニウム溶解物の安定化を発生する。残りの未反応炭酸塩は溶解物中の発泡剤として利用できる。
このように、生成物およびプロセスの要件によって、多様なレベルの増粘と多様なレベルの発泡を得るように、複数の粒子サイズ配分で、炭酸塩は複数の工程で付加できる。
【0072】
もし、単独の添加で、溶解物の安定と発泡の両方を加えるならば、粒子サイズは約0.5マイクロメートルから150マイクロメートルにできる。粒子サイズの最適混合は、より小さな粒子が最初に分解し、最終的な発泡に対するガスを供給するために大きな粒子が残るように粘性を高める、という効果があるような望ましい混合時間による。
【0073】
発泡剤は、低い温度での優れた安定性を持ち、合金の融点以上の温度で発泡ガスを生成する分解をするように選択されなければならない。溶融金属または合金の中に導入される発泡剤のサイズは、発泡生成の望ましい速度および望ましい発泡体構造に基づいて選択される。発泡アルミニウムの鋳造において、溶解物に導入された発泡剤のサイズおよび構成は、気泡生成のサイズおよび数密度に影響を及ぼす。発泡アルミニウム塊の中に生成される気泡のサイズのコントロールすることによって、熱伝導率、強度、または衝撃吸収のような特性をコントロールできるように純密度を目標とすることができる。
【0074】
アルミニウム発泡体に使用される実用的な化学発泡剤の代表的な例は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、および、水素化チタン、水素化ジルコニウムのような金属水素化物、および、これらの混合物を含む。発泡剤はどれも望ましい形態を有する。それらはプロセスの中の一つ以上の段階で添加される。一つの実施形態では、発泡剤は約0.5マイクロメートルから約40マイクロメートルの間の粒子サイズを有する。他の実施形態では、発泡剤は約40マイクロメートルから約150マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0075】
今、図7を参照すると、本発明の他の態様では、装置25は上述の粒子生成反応ガスを使用して発泡アルミニウムを製造する装置を提供している。装置は、溶融合金導入手段28および粒子生成反応ガス33を反応ユニット30に導入する供給システム35を含む装置において、粒子生成反応ガス33は発泡性懸濁液を供給する溶融合金31の中で活発に分解することを特徴とする。溶融合金導入手段28は、事前に選択した流量で溶融合金31を供給する。
【0076】
反応ユニット30は、攪拌手段32を含んだ混合ユニットにおいて、混合ユニットは溶鉱炉34によって収納されていることを特徴とする。混合ユニットおよび攪拌手段32は、粘度を高め、アルミニウム溶解物の表面エネルギーを変更するために、粒子生成反応ガス33と溶融合金31を混ぜ合わせる。
混合ユニットと攪拌手段32の寸法と配置は、事前に選択した流量で利用されたとき、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が混合ユニットの中で発泡性懸濁液をもたらすように分解するのに十分な粒子生成反応ガスを含む溶融合金の経過時間を供給する効果的な量を供給するように選択される。
さらに、攪拌手段によって供給された攪拌、粒子生成反応ガスの組成および/または粒子サイズ、そして溶融合金の構成は、経過時間の変更を設定する。
【0077】
反応ユニット30はさらに、反応物それ自身の気体のような、粒子生成反応ガス分解の気体の未反応部分を放出するための、少なくとも一つの排出口を構成する。粒子生成反応ガスが炭酸カルシウムである好適な例では、CO2ガスの未反応部分は、アルミニウム合金溶解物とともにCO2反応を通して生成されたCO反応生成物とともに放出される。COは可燃性ガスだが、この副生成物は反応ユニット30の表面で安全に燃焼される。
【0078】
本発明の一実施態様では、経過時間および混合ユニット配列は、未反応の粒子生成ガスの残留部分を残して、粒子生成反応ガス33の一部だけを分解するように選択される。本発明のこの実施形態では、粒子生成反応ガスの未反応部分は発泡性懸濁液47の中の発泡剤として機能する。
【0079】
本発明の他の実施形態では、経過時間および混合ユニット配列は、粒子生成反応ガスを完全に分解するために選択される。図8に示すように、増粘された合金溶解物は次に発泡剤分散ユニット42に流れ込み、ここで発泡剤46が接種発泡性溶融アルミニウム原料48を生成するために添加される。図面には描かれていないが、本発明の他の実施形態では、接種発泡性溶融アルミニウム原料は、発泡剤の添加に先立って、後で溶鉱炉で再溶融可能なインゴットを形成する任意のキャスタータイプ(caster-type)装置に移動させることができる。他のガス排出口37は発泡剤分散ユニット42から余分なガスを任意に排出できる。
【0080】
接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、次に、連続製品(continuous products)(板、シート、棒、押出型材、等)を形成するため、または、例えば、連続ベルトキャスター、ロールキャスター、鉛直キャスター、若しくは同様のもの(図示しない)によって、冷却するとそれ自身または薄板状の他の材料として利用できる液状の発泡/細胞(foamed/cellular)シートを供給するように処理されるために、発泡性ユニットに移動させることができる。
【0081】
図9a−9cを参照すると、他の態様の装置25は、反応ユニットまたは分散ユニットから先端(tip)にアルミニウム移送を提供する回転式の容積移送式ポンプである。先の溶融金属ポンプは、典型的には遠心分離式または往復様式によるものであり、金属漏出を減らす厳しい精度を必要とする。先の溶融金属活用に反し、発泡の接種および起爆によるアルミニウム溶解物の固着粘度の増加(約700cp)は、容積移送式ポンプ様式の活用を可能にする。一実施形態として、ポンプは、図9a−9bに描かれたようなローブポンプ、または図9cに描かれたような歯車ポンプがある。これらは、ベルト上または先端(tip)中の発泡性溶解物の精密な測定を可能にする。
【0082】
図9aおよび9bを参照すると、ある望ましい態様では、ローブポンプの中のローブ50は、ポンプ筐体51と同様に、高温材料で形成されている。一実施形態では、ポンプ筐体51は、入口面52および出口面32、第一の側壁54、第二の側壁55、および中間ポンプ面56を含む。中間ポンプ面56は、ポンプチャンバを提供するためローブ50と一致する形状を有する。第一の側壁、中間ポンプ面、および第二の側壁は多数の止め金具やボルトによって接続される。ボルトはアルミニウム発泡体処理温度によって起こる熱膨張に適応するように設計されている。ローブ50はポンプチャンバ内部で回転するときポンプ作用を供給する形状を有する。ある望ましい態様では、ポンプ筐体51およびローブ50は、窒化ホウ素からなる機械加工可能なセラミックで形成されている。ポンプ筐体51およびローブ50の材料が漏出を回避する熱膨張を有し、そして材料が物理的特性の著しい劣化がなく発泡性アルミニウム製造と一致する温度を受ける限り、代わりとなる材料もまた熟考され続けている。
【0083】
本発明の一実施態様は、広範囲に及ぶ発泡の開始に先立って接種発泡性溶融アルミニウムをポンプでくみ上げる装置の能力である。一つの態様として、発泡性溶融アルミニウムは膨張が250%を越えない、望ましくは200%以下である限り、ポンプでくみ上げることができる。より大きいそしてより小さい膨張度合いが熟考されており、アルミニウム発泡体の膨張度合いが修復可能でない形で構造を変形しない限り、それは本発明の態様の範囲内である。
【0084】
一実施態様では、装置25はさらに、熱せられた鋳型または先端(tip)を含む。一実施形態では、先端(tip)は、発泡剤の分解率を増加するために、流入接種発泡性懸濁液の温度以上に熱せられる。望ましくは、先端(tip)は670度から740度の間の温度に熱せられる。一実施態様では、発泡速度は、接種発泡性アルミニウム合金の温度上昇によって6分から30秒に至るまで減少する。
【0085】
一実施形態では、接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、他の生成物用途に対する発泡性固体先駆物質を生成する著しい発泡が起こる前に、非常に速く冷却ユニットに移動する。意外にも、再溶融発泡性固体先駆物質から生成されたアルミニウム発泡体は、発泡セルサイズが粗雑になる。このプロセスは、大きなセルサイズで金属発泡体を造り出すのに利用でき、多くの最終用途に適用できる。
【0086】
本発明のアルミニウム発泡体は、建築業、自動車または航空宇宙の用途の構造材料に供給するよう処理される。幾つかの実施形態では、アルミニウム発泡体は平面パネルを提供するよう処理される。平面パネルは、建築に利用される床張り材、屋根ふき材、および壁材に応用できるという特徴がある。
【0087】
任意に、接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、成形物を形成するために成形および冷却する鋳型または空洞部、または、部品の内部または外部に移動可能である。
【0088】
次の実施例は本発明を更に例証し、そこから生じる幾つかの利点を明示する。本発明は開示された特定の実施例に限定されるない。
【実施例1】
【0089】
アルミニウム合金発泡体の安定性における粒子生成反応ガスの効果。
【0090】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性における炭酸カルシウムの効果、および、発泡構造の引力排水に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウム−2wt%マグネシウム合金100グラムからなる試料を融解し、多様な重量分率の炭酸カルシウム粉末を添加しながら異なる時間で活発に攪拌した。攪拌の後に、個々の化学発泡剤を添加し、30秒間分散した。これらのテストの化学発泡剤は炭酸カルシウムである。それぞれの試料は発泡し、アルミニウム発泡の発生が観測された。
【0091】
発泡の後に、試料を急速に冷却し、発泡試料は区分され、重量測定、撮影、および粘度算出された。これらのテストの結果は、図10に示されている。結果は、安定化アルミニウム溶解物を作る中での炭酸カルシウムの役割と、構造における炭酸塩分解生成物の効果を明確に示している。
【0092】
試料S-787295では、粒子生成反応ガス(CaCO3)は全く添加しておらず、溶解物は単に大気中で6分間攪拌された。その後の化学発泡剤の分散および発泡作用は非常に質の悪い泡となった。相対密度(アルミニウムと比較)は、母材の77%である。発泡製品の上部から下部に区分された試料のセットから取った標準偏差はこれと同程度であり、試料が十分な引力排水を受けたことを指し示している。これらのデータは、発泡のための安定化アルミニウム溶解物における大気中(現行の方法)での単純攪拌の効果のなさを明らかに示している。
【0093】
試料S-787293(先と同様に図9で示す)は、2wt.%炭酸カルシウムが溶解物に添加され、2分間だけ攪拌した。試料は安定化アルミニウム発泡体における粒子生成反応ガスの不十分な分解の効果のなさを示した。ここで、短縮された攪拌時間(2分間の攪拌)は、不十分なレベルの金属酸化物相とともに、アルミニウムマトリックスの創作を引き起こす。それに続く化学発泡剤の添加および分散、続いておこる発泡、それに続く冷却の結果、相対密度54%の発泡製品となり、魅力的な発泡製品というには高すぎる。約34%に等しい発泡の異なる区分間の標準偏差とともに、発泡製品が厳密な引力排出を欠点としてもつことは明らかである。この結果は、攪拌時間を6分に延長したことを除いて全ての実験パラメータが同一である試料S-787296と比較できる。ここでは、24%の魅力的な相対密度が達成され、有意に、7%に下がった発泡区分間の標準偏差は発泡製品中で非常に均一な密度を示す。
【0094】
試料S-787291、S-787294、S-787299に対する4wt.%、8wt.%、そして10wt.%炭酸カルシウムのような、粒子生成ガスの高いレベルでは、それぞれ、発泡密度および引力排出への耐性に穏やかな変化を示す。この特有の合金構造および炭酸カルシウムの粒子サイズ分配に対し、少なくとも2wt%添加および6分の攪拌時間が溶解物を安定するために必要である。
【実施例2】
【0095】
発泡構造におけるCaCO3粒子サイズ分配の効果。
【0096】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性における炭酸カルシウム(粒子生成反応ガス)のサイズおよび重量分率の効果、および、発泡構造の引力排出に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウム−2wt%のマグネシウム合金100グラムからなる試料を融解し、多様な重量分率の炭酸カルシウム粉末を添加した後、6分間活発に攪拌した。この実験の結果は、図11に示している。体積平均直径150ミクロンに相当するこの粒子は“粗い”とラベル付けされ、同時に体積平均直径40ミクロンに相当するものは“微細”とラベル付けされた。より微細な炭酸塩はアルミニウム溶解物安定化において大きな有効性を明示している。2wt.%の炭酸塩の添加で、“粗い”の添加では平均発泡密度25%になった。一方、“微細”の粒子では密度17%になった。
このより微細な炭酸塩の添加は、図10に示すように、増粘の効果的な重量分率を1%に減少させるのを可能にする。これらのデータは、より微細な炭酸塩分配はいっそう粘性添加の最低レベルを下げることを示唆している。
【実施例3】
【0097】
アルミニウム発泡体の安定性におけるマグネシウム添加の効果。
【0098】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性におけるマグネシウムレベルの効果、および、発泡構造の引力排出に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウムと多様なレベルのマグネシウム100グラムからなる試料を融解し、20wt.%炭酸カルシウム粉末を添加した後、活発に攪拌した。結果は図12に示されている。完全密度付近から25wt%に低下した発泡製品の相対密度をともなって、2wt.%Mg(この特定の炭酸塩サイズおよび重量分率に対する)の添加において市場効果が見られる。より高水準のMgの添加は発泡密度自体への効果に限界がある。
【実施例4】
【0099】
発泡剤として未消費安定化添加物を使用するアルミニウム発泡体の単一段階生成物。
【0100】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の密度および安定性における粒子生成反応ガスの攪拌時間の効果、および、単一の攪拌段階での接種(接種はここでは溶解物に未反応発泡剤を加えると定義する)発泡性チャージの生成の可能性を測定する準備をした。図13では、融解し、炭酸塩の添加の後に様々な時間で活発に攪拌されたアルミニウム−2wt%マグネシウム合金100グラムの試料の結果を示している。これらの炭酸塩サイズに対して、結果は、最低発泡相対密度――18%の状態にする約6分間の最適攪拌時間を示している。
【0101】
短時間攪拌では、発泡体の上部から下部までの密度増大によって表される不十分なレベルの安定化の結果を示している。しかしがなら、10分間の攪拌では、不十分な未反応炭酸塩は発泡段階の間、泡の膨張を促進し続け、その結果として相対密度が上昇する。従って、10分間の攪拌は、最高水準の安定化(密度示数間の低い標準偏差によって判断されたように)を提供する一方で、安定化および未処理発泡体の有効について最適バランスを提供しない。
【実施例5】
【0102】
発泡剤として未消費安定化添加物を使用するアルミニウム発泡体の単一段階生成物。
【0103】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の密度および安定性における粒子生成反応ガスの攪拌時間と重量分率の効果、および、単一の攪拌段階での接種発泡性チャージの生成の可能性を測定する準備をした。図14では、融解し、炭酸塩の添加の後に様々な時間で活発に攪拌されたアルミニウム−2wt.%マグネシウム合金100グラムの試料の結果を示している。これらの炭酸塩サイズに対して、結果は、この場合も同様に、上部から下部まで取った密度の標準偏差によって判断されたように、攪拌時間増加または炭酸塩レベル増加による安定化の増大を示している。17%という低い密度になるため、炭酸カルシウムの単一の添加は8wt%から14wt%に増加し、攪拌時間は2分から8分に変更された。
【0104】
本発明は望ましい実施例とともに詳説および記載され、細部構造における前述および他の変更は発明の精神および要旨を逸脱しない範囲で当業者によって理解される。そのため、本発明は、記載および図示された形式および態様に限られず、添付した特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸カルシウム(CaCO3)のwt.%のグラフであって、この発明における最良の添加剤であり、大気圧下において約600度から650度の熱分解温度を示している
【図2】時間と共に単調に増加する温度によって変わる苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)の重量割合のグラフであって、この発明で推奨する添加剤であり、大気下において約600度から700度の熱分解温度を示している
【図3】時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸マグネシウム(MgCO3)の重量割合のグラフであり、大気下における約350度から450度の熱分解温度を示している
【図4】時間と共に単調に増加する温度によって変わるハイドロタルサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)の重量割合のグラフであり、大気下における約175度から200度の熱分解温度を示している
【図5】アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物と、ガス生成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの活発な分解に関する反応の進行期における化学反応を示している
【図6】アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの分解に関する反応の進行を図示している
【図7】単独の添加物である粒子生成反応ガスにより粘性剤と発泡剤が供給されるアルミニウム発泡体を生成する装置
【図8】図7に描かれた装置と対応する化学発泡剤分散装置
【図9a】容積移送式ローブポンプ
【図9b】図9aに描かれた容積移送式ローブポンプ
【図9c】容積移送式ギアポンプ
【図10】アルミニウム合金発泡体の安定時における粒子生成反応ガスの効果を示すグラフ
【図11】アルミニウム合金発泡体の構造における炭酸カルシウムの粒子サイズの効果を示すグラフ
【図12】アルミニウム発泡体を生成するために溶解金属合金にマグネシウムを添加することの効果を示すグラフ
【図13】安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際の攪拌時間の効果を示すグラフ
【図14】安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際における粒子生成反応ガスのwt.%増加の効果を示すグラフ
【関連出願】
【0001】
この出願は、2005年4月29日に提出された、アメリカ国特許出願番号11/119,002号の一部継続出願であり、出願から生じた利益を主張するものである。開示された内容はその全文を参照することにより援用する。
【発明の属する分野】
【0002】
本発明は、発泡性金属に関し、特に、溶融金属の中で反応性粒子を分解して発泡金属に適する発泡安定性副生成物およびガスを製造する発泡金属の形成方法に関する。
【発明の背景】
【0003】
低密度多孔質製品は、独特の機械的・物理的特性を有する。ポリマータイプ(型)マトリックスで形成された発泡製品に、高比強度・構造剛性・絶縁特性があることはよく知られている。この様な、高分子発泡体の独立気泡(クローズドセル)は、建築・梱包または輸送を含む幅広い用途で広範囲に使用されている。
【0004】
高分子タイプ(型)の発泡体が広い市場で成功を収めている一方、発泡性金属の利用は限られているように見える。クローズドセル(独立気泡)型の発泡性金属は、各種の軽量な用途について高分子発泡体の持つ多くの優れた属性を提供する。更に、金属の本質的な高体積弾性率は、ポリマーと比較して高い比剛性を備える。この高体積弾性率は、発泡金属を、ひずみに対する剛性と抵抗性が重要な性能の尺度となるラミネートパネルの中の芯材の材料として好適である。更に、発泡金属から形成されるパネルは耐火・耐煙性であり、また建築利用にも適切である。アルミニウム発泡体コアサンドイッチ複合材製品は更に再利用が可能であるという環境上の利点を提供し、メタルクラッドポリマー発泡体(金属被覆発泡樹脂体)の使用が制限される問題となる。
【0005】
発泡金属の製造方法は科学文献や特許文献に掲載されているが、これらの素材(物質)には、高コスト・大気泡サイズ・気泡サイズの変動・構造上の不十分な完全性などの問題が内在していた。これらの問題の多くが溶解金属のレオロジー(流動特性=粘弾性)に関連している。金属発泡体を形成する全ての鋳造冶金方法で本質的に金属溶解に際して何らかの安定剤が必要とされている。泡はメタ安定(meta-stable)なので、セルの合体(融合)やセル壁の排流を起こしやすい傾向がある。
【0006】
従来は、発泡金属の生成の際に必要な安定を得るためにセラミック粒子のような微粒子が溶解物(溶湯)に添加(導入)されていた。これらの微粒子は溶解物(溶湯)に必要な粘性を増加させ、および/または、液体の表面張力を減少させることにより、溶解物(溶湯)の性質を効果的に変化させる。これらの微粒子は求められる泡(気泡)のセル壁の厚さに比べて小さいはずである。溶解時に小さな微粒子を添加することは、内部的方法と外部的方法(本質的または非本質的方法)であり昔から行われていたが、それぞれの方法には有用性を阻害する欠陥がある。
【0007】
内部での粒子生成にあっては、固有の粒子構造を持つガス(気体)を溶解金属に添加し、機械式ミキサーでボルテキシング(vortexing=渦巻き攪拌)するか、直接ガスを注入する方法で攪拌する。ガスは溶解物(溶湯)と反応して、酸素・スピネル(尖晶石)および/または他の独特の粒子を含む小さな微粒子を生じる。安定的に発泡するマトリックス(数列)を作って形成される粒子のサイズ・形状・体積分率をコントロールすることは非常に難しい。
【0008】
形成される粒子のサイズは、注入または混入されるガス気泡のサイズによって影響を受ける。液体金属中に、小さなガス気泡を発生させることは非常に難しい。さらに、溶解温度、溶解温度までに要する時間、ガスの組成、攪拌速度、溶解組成の全てが粒子の割合、量、特性、および分配割合により左右される。さらに、アルミニウム溶解では、酸化反応を促進するための極めて反応性の高いアルカリ金属を加えることが必要となることが多い。
【0009】
発泡金属を生成するにあたり直接ガスを注入および/または攪拌する方法の欠点の1つとして、安定的に発泡するマトリックス(数列)を作り出すのに時間を要する。少量の溶解金属でさえ約20分から数時間のタイムスケール(時間)が必要であり、大量の溶解金属の場合には、安定した発泡金属を作り出すレオロジー(粘弾性)特性を得る為にはより長い時間が必要となる。
【0010】
外部からの粒子添加にあってもまた、金属の発泡を安定させる方法として有用性を害する多くの問題点がある。外部からの粒子添加では、少量の不活性粒子が、溶解金属に直接添加されて攪拌される。外部からの粒子添加の一つの問題点は、外部から添加された微粒子を溶解金属の中で湿った状態に保つ必要がある。
【0011】
外部から添加した粒子を湿らせる方法として、従来の特殊な溶解物を合金する方法および/または粒子をコーティングする方法が用いられており;溶解合金の濃度の順番および/または微粒子の添加;微粒子の質と表面組成上の厳しい条件;また、真空状態および/または不活性状態で高剪断を課すことにより、合成装置で、微粒子と溶解金属間における湿潤工程の制御および強化していた。これらの技術的課題が、特殊(exotic)な処理装置および使用する外部粒子のサイズ、純度の限定を生み出した。これらの障害は、安定的溶解の外部添加により生成される発泡金属の経済的生産を妨げた。
【0012】
Ridgeway Jr.の米国特許No. 3,297,431(以下、Ridgeway Jr.という)では、冷却にあたって発泡アルミニウムのセル構造を維持および保存する為に安定化粉剤を使用することが必要である。Ridgeway Jr.に記載されているように、安定した粒子は、溶解金属によって湿らされ、溶解金属中で安定している不活性細分化粉末である。Jin et al.の米国特許No. 5,112,697(以下、Jin et al.という)にも安定化粒子の使用に関して記載されており、その中で「安定細分化粒子」のサイズ、体積分率の制限の詳細を明らかにしている。さらに、Crowley et al.とBryant et al.とからなる米国特許公開番号2004/0163492A1および2004/0079198A1(以下、Crowley et al.とBryant et al.という)は、発泡アルミニウム中の粘度を調節する物質を表面コーティングする使用例を開示している。これらの公開には問題点がある。
【0013】
上述の障害と問題点に照らして、発泡金属の生産のより業務用な有利な手段を提供する必要がある。
発明の概要
【0014】
本発明は、最小の先駆物質と最小の工程数によりアルミニウム処理に適切な温度及び圧力のもとで、経済的に発泡金属を製造する工程を提供する。本発明の概略としては、下記の工程からなる発泡アルミニウムの製造方法を提供する:
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程;
粒子生成反応ガスとアルミニウムを含んだ溶解金属合金とを結合する工程;
粒子生成反応ガスの第一部分を反応ガスに分解し、粒子生成反応ガスの第二部分を未反応状態に維持し、反応ガスを溶解金属合金と活発に結合して懸濁金属酸化物相とガス気泡を生成し、未反応状態の粒子生成反応ガスの第二部分が接種発泡性溶解の中の化学発泡剤となり、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程;
液体発泡金属を生成する為に接種した発泡性物質を発泡する工程;
発泡アルミニウム製品を生成する為に液体発泡金属を凝固する工程;
とからなる。
【0015】
アルミニウム合金溶湯は、業務用の高純度アルミニウム;廃棄アルミニウム;シリコンやマグネシウムを含有するアルミニウム;またはこれらの混合物であってもよい。実施例では、マグネシウムは合金溶湯中に約0.5wt.%から約8wt.%の割合で溶解しているであろう。
【0016】
粒子生成反応ガスとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム・マグネシウム炭酸塩(ドロマイト)あるいはそれらの混合物から選択される。炭酸カルシウムは、粒子生成反応ガスおよび/または発泡剤として特に効果がある。この工程で、炭酸カルシウムは分解されて固体の酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素ガス(CO2)になる。積極攪拌(強攪拌)した状態で、溶解金属に生成した発泡性気泡は、溶解金属より反応ガスに曝されることにより破裂して破砕する。このガスは活発(vigorously)に溶解アルミニウムと反応し、一酸化炭素ガス(CO)と酸化アルミニウム(Al2O3)となる。一酸化炭素(CO)と二酸化炭素ガス(CO2)のガス気泡のみならず、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化カルシウム(CaO)および他の金属酸化物相で、溶解金属の粘性と表面エネルギーを変更することによって液体金属懸濁液を安定化する。活発(“vigorous”)の用語は自然発熱と可燃性ガスの生成を意味する。
【0017】
アルミニウム溶解合金では、他の金属酸化物が反応ガスを分解した副産物として生成される可能性がある。例えば、アルミニウム−マグネシウム(Al-Mg)合金では、反応ガスである二酸化炭素ガス(CO2)が分解されて、一酸化炭素(CO)と酸化アルミニウム(Al2O3)と共に金属酸化物である酸化マグネシウム(MgO)と多くの混合金属酸化物を生成する。その他の従来のアルミニウム合金の成分は、攪拌した溶解物内に同様の微細分散した酸化金属を形成する。酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化カルシウム(CaO)は似ており、酸化マグネシウム(MgO)は金属酸化物相の代表的な例であって、小さなガス気泡とともに溶解金属に加えた場合、溶解金属の粘性と表面エネルギーを変更して液体発泡金属懸濁液を生成する。発泡性“foamable”の語は、液体発泡を安定させる効能と定義されるものであり、癒着と排水に対する抵抗ができる。癒着(coalescence)とは、2つのガス気泡の接触面の境壁の消滅で、結果として液体発泡の化学構造の結晶粒粗大化が生じる。排水(drainage)とは、引力による液体発泡の内部の密度勾配(特性)の増加であり、結果として液体気泡は構造上の単一性を失う。
【0018】
粒子生成反応ガスの分解による微粒子気泡ガスと金属酸化物相の混合物の生成は非常に速く、最適の条件の下では2〜8分以内に完了する。合金の組成、粒子のサイズ分布、温度と攪拌の程度はすべて分解動力学(分解速度学)に影響を受ける。意外にも、粒子生成反応ガスの分解速度はアルミニウム溶解内の十分な量のマグネシウムの存在により急速に進行する。0.5wt.%〜8wt.%のマグネシウム(Mg)の添加は攪拌された溶解物の中の粒子生成反応ガスの分解にかかる所要時間を大幅に削減する。このマグネシウムの添加は、炭酸塩を生成する反応ガスの処理速度を高めて分解速度を2倍にするだけでなく、セルの大きさ、排水速度、境壁の厚みを変化させて発泡製品の化学構造に重大な影響を与える。
【0019】
本発明の一実施例では、反応ガスは、粒子生成反応ガスの分解によって生成され、他の分解された気体とともに液体発泡内の泡の生成に使われる。さらに具体的には、本発明のこの実施例では、粒子生成反応ガスの未反応部分を溶解金属合金の中に残すために、溶解合金金属の攪拌を粒子生成反応ガスが一部分解した後に意図的に停止する。その後、粒子生成反応ガスの未反応部分は液体発泡金属(liquid metal foam)を生成するための発泡剤として機能し、微細ガス気泡の分散は、反応ガスと溶解金属合金の活発な合成によって生成された金属酸化物相とともに、発泡を安定させる。実施例の1つとして、約2.0wt.%〜約16.0wt.%の量の炭酸カルシウムを単独で溶解金属合金に添加することは、発泡懸濁液を生産するのに必要とされる微細気泡ガスの分散と金属酸化物相の両方、および、この懸濁液に接種するのに必要な接種発泡性懸濁液を生成する化学発泡剤を供給するのに十分である。本発明のさらに一実施例では、上記方法にさらに、接種発泡懸濁液の凝固と、さらに発泡する前に接種発泡懸濁液を再溶解する工程を含むようにすることもできる。
【0020】
本発明では、上記の方法を実施する為の装置が提供される。最も簡単な実施例の改良装置では、発泡性チャージ(発泡促進)として機能する接種発泡懸濁液のバッチ生成(一括定量生産)または連続生成に使用する1つの容器だけを必要としている。
概説すると、改良装置である発泡アルミニウム製造装置の構成は:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを供給するシステムであって溶解金属合金が設定された流量で供給され;
供給システムに接続されている反応ユニットが:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する通過時間が与えられるような容積に形成された混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、
反応ユニットを入れる溶炉と、
反応ユニットと接続した先端(tip)と
からなる。
【0021】
粒子生成ガスを含む溶解金属合金が混合ユニットを通過する時間は、接種発泡性懸濁液を供給して反応ユニットを出る時に(際に)選択(決定)される。この経過時間は、粒子生成反応ガスについて反応ユニットへの流量と混合ユニットの有効容積を調整することで変更される。更に詳細には、粒子生成反応ガスの組成、分解温度および粒子サイズは、全て反応ユニットを調節する際に考慮される必要がある。最終的に、攪拌手段による攪拌の程度についても考慮する必要がある。実施例の1つにおいては、ポンプあるいは通路のような移送システムが、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端(tip)へ移送するように形成されている。また、実施例の一つでは、回転式ギアポンプ(rotary gear pump)あるいは回転式ローブポンプ(rotary lobe pump)のような容積移送式ポンプ(positive displacement pump)が、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端金具へと配送している。また、実施例の一つでは、先端(tip)は発泡剤の分解効率を上げるために、供給される接種発泡性懸濁液の温度よりも高温に熱せられる。好ましくは、先端(tip)は、電気的に、またはガス燃焼によって670度から740度の温度まで熱せられる。
【0022】
本発明の別の実施例では、粒子生成反応ガスの分解は、攪拌しながら完成(終了)まで進行する。この実施例では、化学発泡剤は化学発泡剤の別の添加によって供給されるが、それは、粒子生成反応ガスと化学的に同一であっても、そうでなくてもよい。概略、本発明により提供する発泡アルミニウムの製造方法の工程は:
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程;
粒子生成反応ガスと合金を含んだアルミニウム溶解金属とを結合する工程;
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解し、反応ガスを溶解金属合金と活発に結合させて微細ガスと金属酸化物相とからなる発泡性懸濁液を生成するために、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程;
接種発泡溶解を生成するために、発泡懸濁液の中に化学発泡剤を分散させる工程;
液体発泡金属を生成するために、接種した発泡性物質を発泡する工程;
発泡アルミニウム製品を生成するために、液体発泡金属を凝固する工程;
とからなる。
【0023】
本発明のこの実施例においては、溶解金属合金の中へ約0.5 wt%から4.0 wt%の量の炭酸カルシウムを添加すれば、微細ガス気泡と液体発泡金属を安定させる金属酸化物相の懸濁液の満足な生成に十分足りる。この微細ガス気泡と金属酸化物相の懸濁液は結果として溶解物の体積膨張の生じ、攪拌後の初期の体積膨張では5%から50%の範囲である。その他の実施例では、炭酸カルシウムは接種発泡性懸濁液を生成する為に、パーセントの範囲として約0.5 wt%から4.0 wt%の量が発泡剤として発泡懸濁液の中に分散される。本発明の一実施例では、上述の製造方法はさらに接種発泡懸濁液を凝固させてから、発泡する前に接種発泡溶湯を再溶解する工程を含むことも出来る。
【0024】
本発明の別の実施態様としては、上記の方法を実施するために、発泡性懸濁液が生成された後に化学発泡剤を発泡性懸濁液の中に別に分散させる装置が提供される。その最も簡単な実施例では、装置は少なくとも2つの工程からなり、第一段階では溶融合金に粒子生成反応ガスを入れ、第二段階として化学発泡剤を分散させる。第一段階は、発泡剤が粒子生成反応ガスの未反応部分として供給される上述した反応ユニットと構造的に類似する可能性がある。
化学発泡剤を分散する第二段階は第一段階と連結している。概略、発泡アルミニウムを製造する装置は以下の構成からなる:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムであって溶解金属合金は設定された流量で供給され;
供給システムに接続されている反応ユニットが:
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、設定された流量で混合ユニット内の粒子生成反応ガスの少なくとも一部の分解に適応する経過時間が与えられるように(供給)量が設定される混合ユニットと、反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉とからなり;
反応ユニットに接続されている分散ユニットが:
発泡懸濁液が入れられる発泡剤混合室と:
発泡剤混合室内で発泡懸濁液の中へ化学発泡剤を供給するために設けられた供給システムと;
接種した発泡懸濁液を生成するために化学発泡剤を分散する発泡剤混合室内に設置された攪拌手段と;
接種発泡性懸濁液を分散ユニットから先端(tip)へ移送する為の移送システムと
から成る。
【0025】
一実施例では、移送システムとして、回転式ギアポンプ(rotary gear pump)や回転式ローブポンプ(rotary lobe pump)といった容積移送式ポンプ(positive displacement pump)を含めることができる。あるいは、移送システムは、接種した発泡性懸濁液を反応ユニットからその先端(tip)に移動させるために形状が決められた通路とするこができる。
【0026】
本発明の他の態様では、発泡性の液体+気体+固体からなる懸濁液の製法が提供される。概して、その方法は、次の工程を含む。
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを提供する工程。
粒子生成反応ガスとアルミニウムを含む溶解金属合金とを結合する工程。
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、溶解金属合金の内部でガス気泡と金属酸化相の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが活発に溶解金属合金と結合するように攪拌する工程。
【0027】
反応ガスを生成するために使用される粒子生成反応ガスは、直接溶解物の中にガスを泡立たせるたりボルテックスするような他の粗い方法により形成されるものよりもはるかに優れている微細気泡と混合酸化金属の均等な分配を生成することが知られている。粒子生成反応ガスの分解により形成された微細気泡と混合金属酸化物の均等な分配は、従来の安定化粒子を外的に添加してアルミニウム溶液の中に取り込む方法よりも効果的に見える。発明された方法である液体+気体+固体からなる懸濁液による生成は、単に液体+固体からなる懸濁液に頼る在来の方法より大変に優れている。発泡性懸濁液は、金属酸化物によっても気泡の微細分散によっても安定化させられ、また粒子形成反応ガスによる体積膨張は、粒子自体の体積よりも何倍も大きい。この発明では、外的に安定した金属発泡体を必要としていた従来より大幅に低い固体の体積分率で溶解物の安定化を可能にしている。一実施例では、発泡性懸濁液は、攪拌により約5%から50%の間の体積膨張を示している。
【0028】
米国特許No.5112697, Jin et al.(以下、Jin et al.という)で開示されているように、従来技術では、最微細粒子を使用するに際して、安定した粒子の5%の最小有効体積を必要とすることが、溶解金属内で微細粒子を分散することの困難性とともに強調されている。本発明においては、驚いたことに、また、予想外にも、従来から安定的に外的添加の安定化粒子を使用するのに必要とされていた体積分率よりはるかに低い1/10未満の0.5%という低い値で有効であることを示している。
【0029】
適切な時間発泡を維持できるアルミニウム溶解物を効率的に創造する炭酸塩の最小レベルは0.5 wt.%近辺であるが、炭酸塩の重量分率をより高くすると、さらに急速に必要な融解の安定が実現できる。濃度の低い発泡アルミニウムは炭酸塩のレベル16 wt.%までで生成される。このようにハイレベルな粘度の増強された炭酸塩は、有効な安定レベルに到達する所要時間を著しく短縮する。
【0030】
本発明の他の態様では、発泡アルミニウムが提供される。ひとつの実施例において、発泡アルミニウムは、アルミニウム合金マトリックスを含んでおり、そのアルミニウム合金マトリックスは、重量パーセントで約0.5%から8%の割合の範囲のマグネシウムと、重量パーセントで約0.5%から16%の割合の範囲であって平均サイズが、1.0ミクロン未満の微細金属酸化物の分散、および、平均直径が約200ミクロンから1500ミクロンの範囲である密閉気孔の大部分を含み、密度が0.30g/cm3から0.70g/cm3の間の製品を提供するアルミニウム合金マトリックス内の気孔の分散とを含有する。
【0031】
酸化金属は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、同種の混合酸化物を含めることができる。その上、上記のアルミニウム発泡体は、5ミクロンより大きな安定セラミック粒子を実質的になくすことができる。アルミニウム合金マトリックスは、約5ミクロンから約100ミクロンまでの範囲の平均肉厚と、アルミニウム発泡材料の70%から90%の間の体積率を構成する気孔の分散を有することもある。
【0032】
本発明の工程によって製造された発泡アルミニウム生成物は、低密度、高剛性、熱伝導率の減少、良好な伸張強度、耐衝撃性、エネルギー吸収性、消音特性のような改良された特性を示す。
【0033】
発泡性アルミニウム生成物は、例えば高性能軽量の自動車技術、薄板材料、建築の建設材料、浮力活用、およびエネルギー吸収の有効利用、高比剛性、低密度が必要とされる各種の分野で多様な用途で使用される可能性がある。
【0034】
本発明の他の実施例では、アルミニウム発泡材料は、有効量のマグネシウムを含むアルミニウム合金マトリックスと、分配している微細金属炭酸塩と、分配している上述のアルミニウム合金内の気孔と、からなり、実質的に5ミクロンの大きさより大きな安定セラミック粒子をなくす。気孔直径の平均は、約1000ミクロン未満とすることができる。
【0035】
ここにおける開示で、“マグネシウムの有効な量”の用語は、安定金属発泡体を生成するのに適切なマグネシウム濃度を意味する。微細金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、若しくはその組合せを含めることができる。
【0036】
一実施例では、微細金属炭酸塩は100ミクロン未満の直径をもつ。一実施例では、安定したセラミック粒子の用語は、750度未満の温度で溶解アルミニウムに対し、殆ど不活性で非反応性なセラミック類を意味する。
【図の簡単な説明】
【0037】
以下の最良の実施例の説明を添付の図とともに読むことによって、発明の十分な理解が得られる。
【0038】
図1は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸カルシウム(CaCO3)のwt.%のグラフであって、この発明における最良の添加剤であり、大気圧下において約600度から650度の熱分解温度を示している。
【0039】
図2は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)の重量割合のグラフであって、この発明で推奨する添加剤であり、大気下において約600度から700度の熱分解温度を示している。
【0040】
図3は、時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸マグネシウム(MgCO3)の重量割合のグラフであり、大気下における約350度から450度の熱分解温度を示している。
【0041】
図4は、時間と共に単調に増加する温度によって変わるハイドロタルサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)の重量割合のグラフであり、大気下における約175度から200度の熱分解温度を示している。
【0042】
図5は、アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物と、ガス生成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの活発な分解に関する反応の進行期における化学反応を示している。
【0043】
図6は、アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの分解に関する反応の進行を図示している。
【0044】
図7(断面図)は、単独の添加物である粒子生成反応ガスにより粘性剤と発泡剤が供給されるアルミニウム発泡体を生成する装置。
【0045】
図8(断面図)は、図7に描かれた装置と対応する化学発泡剤分散装置。
【0046】
図9a(分解図)は、容積移送式ローブポンプ。
【0047】
図9b(斜視図)は、図9aに描かれた容積移送式ローブポンプ。
【0048】
図9c(断面側面図)は、容積移送式ギアポンプ。
【0049】
図10は、アルミニウム合金発泡体の安定時における粒子生成反応ガスの効果を示すグラフ。
【0050】
図11は、アルミニウム合金発泡体の構造における炭酸カルシウムの粒子サイズの効果を示すグラフ。
【0051】
図12は、アルミニウム発泡体を生成するために溶解金属合金にマグネシウムを添加することの効果を示すグラフ。
【0052】
図13は、安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際の攪拌時間の効果を示すグラフ。
【0053】
図14は、安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際における粒子生成反応ガスのwt.%増加の効果を示すグラフ。
【発明の詳細な説明】
【0054】
本発明は、アルミニウム発泡体と、アルミニウム発泡体の製造方法とを提供するものであり、その製造方法においては、約350度から約850度の範囲の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスを溶解金属合金の中に入れ、その中で少なくとも粒子生成反応ガスの一部を、最小の圧力と温度変化の下で、金属酸化物相の発泡性懸濁液とガス気泡を生成する溶解金属合金に分解するものである。本発明は、また、発泡性懸濁液を生成するときに粒子生成反応ガスの少なくとも一部を分解するのに十分な経過時間、発泡剤による発泡性懸濁液の接種、接種発泡性懸濁液の金型への移動、液体金属発泡体を生成するために接種発泡性懸濁液の発泡、発泡金属製品を生成するための液体金属発泡体の凝固、が実現するように定められた流速と流量を備えた反応ユニットからなる本発明に係る方法を実施するための装置を提供する。本発明は本願に添付された図面を参照してより詳述に論じられる。添付の図面にある部材(要素)は、対応する参照番号等により参照される。
【0055】
図1−4は、分解の開始と速度(割合)を制御する特定条件(温度履歴、粒子サイズ、周囲環境、等)、サンプルが分解するのにともなう質量放出(wt%ロス)の期間における粒子生成反応ガスの分解の範囲を明らかにするための各種物質に関するTGA(熱グラボメトリック分析)グラフを示す。図1−4において、分解曲線10は、好ましい分解範囲14と、熱的に安定な範囲12とともに示されている。
【0056】
発泡アルミニウム製品に関して実践的かつ有効と認められる粒子を生成するための反応ガスは、炭酸塩であり、それは、有効かつ費用がかからず、図1、2および3で描かれるTGA(熱グラボメトリック分析)グラフで明らかにされるような熱分解温度を有している。より具体的に言うと、粒子生成反応ガスは、約350度から約850度の範囲の熱分解温度を有している炭酸塩がより好ましく、熱分解温度約550度から約850度の範囲であればさらに好ましい。
【0057】
最良の炭酸塩は、炭酸カルシウム(CaCO3)および/または苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)であり、図1では、炭酸カルシウムについての分解範囲を明らかにし、図2では、苦灰石の分解範囲を明らかにしている。これらの粒子生成反応ガスは、溶解アルミニウム合金の温度若しくは圧力が従来のアルミニウム処理のような温度もしくは圧力まで上昇する必要のない温度で、酸化金属と二酸化炭素を形成するために分解される。好ましい一実施例では、炭酸カルシウムは約40ミクロン未満の平均直径を有する。
【0058】
純粋なアルミニウムは、約660度で融解する。大量生産されるアルミニウムは、通常、純粋なアルミニウムより低い温度で融解する。より具体的には、大量生産されるアルミニウム合金は、約560度から約650度の範囲の温度で融解し、大量生産されるアルミニウム合金の融解温度は、合金への添加元素によって変えることができる。本発明で利用される溶解金属合金は、例えば、少なくとも大量生産される等級/純度の溶解アルミニウム、廃棄アルミニウム、もしくはアルミニウムの含有したシリコン(Si)および/またはマグネシウム(Mg)または同種のものとすることができる。
【0059】
炭酸カルシウムは、図1で示すように550度よりも高い温度で分解し始め、そして、苦灰石(ドロマイト)は、炭酸カルシウムよりもわずかに高い温度で分解し始め、苦灰石の分解はほぼ約575度程度の温度から始まる。これらの化合物を粒子生成反応ガスとして利用すると、両方(の物質)が約550度から約650度の範囲の分解温度なので、活発だが過剰にエネルギッシュでない分解を行うことにより、粒子生成反応ガスの相互作用により生成されたアルミニウム酸化物相の適切な分散と粒子生成反応ガスのガス生産能力喪失前の溶解合金の溶解が出来る。
【0060】
溶解金属合金内での炭酸カルシウムの分解は、参照する図5と図6に良く表われている。アルミニウムとマグネシウムからなる溶解金属合金内での炭酸カルシウムの分解は、次の反応からなる。
CaCO3 → CaO+CO2 (1)
CO2+Al → Al2O3+CO (2)
CaO+Al → AlCaOx (3)
CO2+Mg → MgO+CO (4)
【0061】
図5は、溶解金属合金内の炭酸カルシウムの分解反応、およびガス気体生成物(ガス気泡も同様)の微細分散と安定化生成物を生成するために溶解金属合金の中に存在するアルミニウムおよびマグネシウムとの相互作用による分解生成物とを示している。ガス気体生成物の微細分散は、アルミナ(Al2O3)のようなアルミニウム酸化物相や酸化マグネシウム(MgO)を生成するために溶解金属合金のアルミニウムやマグネシウムと活発に結合する反応ガスによって提供される。アルミニウム酸化物相と関連するガス気泡の微細分散は、発泡性懸濁液の形成に寄与する生成物を安定化させる。制限することなく
さらに記述する本発明の特定の観点によれば、溶解金属合金が自己安定する特性は、第一にガス気体(生成物)の微細分散の発生により作られると考えられている。
【0062】
図6は、ガス気泡15の微細分散および金属酸化物相20を生成するための溶解金属合金内における生成物生成反応ガスの分解を示す図である。発明を限定するものではないが、さらに記述する本発明のいくつかの特定の観点によれば、発泡性懸濁液の崩壊の比率、アルミニウムの体積の粘性率、浮力およびストークの法則に基づくと、ガス気泡の平均直径はほぼ約100ミクロン未満程度ではないか考えられている。マグネシウムが上記の例の溶解金属合金には含まれているが、本発明は溶解金属合金にマグネシウムが含まれていなくても実施可能である。さらに、最良の推奨実施例においてマグネシウムが、有効量提供されると、有利に安定化が提供できることが知られている。一実施例では、マグネシウムの有効量という用語は、マグネシウム含有量が安定した気泡を提供するのに十分であるということを意味している。また、一実施例では、マグネシウムの有効量は、0.5 wt.%よりも大きく、望ましくは約0.5 wt.%から約8.0 wt.%の範囲で、さらに出来れば約1 wt.%から約2 wt.%の範囲が良いとされている。さらに、溶解金属合金は、例えば、少なくとも大量生産される等級/純度の溶解アルミニウム、廃棄アルミニウム、もしくはアルミニウムの含有したシリコン(Si)および/またはマグネシウム(Mg)または同種のものとすることができる。
【0063】
苦灰石=ドロマイトが粒子生成反応ガスとして溶解金属合金に含まれる場合の分解反応は:
2CaMg(CO3)2 → CaCO3+CaO+2MgO+3CO2
3CO2+Al → Al2O3+3CO
CaO+Al → AlCaOx
CO2+Mg → MgO+CO
【0064】
炭酸カルシウムと苦灰石=ドロマイトは本発明の大変好ましい実施例ではあるが、他の炭酸塩についても検討されており、その意味では本発明の範囲に属する。
【0065】
例えば、図3では炭酸マグネシウム(MgCO3)についてのTGAのプロットが示されており、炭酸マグネシウムを粒子生成反応ガスとして利用することが検討されていた。炭酸マグネシウムの分解温度は低温であるので、炭酸マグネシウムを分解開始前に分散させることは、炭酸カルシウムや苦灰石より難しく、実用的ではあるが、それだけでは推奨できない。
【0066】
図4を参照すると、大気下で約175度から200度の熱分解温度を有するハイドロサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)のTGAが示されており、ハイドロサイトは、アルミニウムからなる溶解金属合金に組み込まれると、分解を早く生じるので、粒子生成反応ガスとしては不適当である。
【0067】
CaCO3や苦灰石よりも高い熱分解温度を有する炭酸塩を選択することは、アルミニウム発泡体の生成にとっては不適切であるが、銅・チタン・スチールもしくは真ちゅうのような高融解温度の金属には理論的には適合するかもしれない。同様に、アルミニウムに選択されるこれらより十分に低い分解温度の炭酸塩は、鉛、スズやマグネシウム合金のような低融解金属システムに理論的には適合するかもしれない。
【0068】
表1は、CO3の分圧が約0.01気圧(それはほぼ周囲の大気中のCO2の分圧である)で自然界において豊富な炭酸塩の炭酸塩熱力学的平衡温度を示す。これは、動力学的一覧ではなく、熱力学的平衡一覧であるが、炭酸塩の相対的分解順序を示すことに役立ち、溶解物質内の分解温度の推定値を示唆する。これらは、分解温度が350度から850度の範囲外であるようなアルミニウムで用いるには効果がない炭酸塩の例証を示唆している。
(表1) CO2分圧0.01atmで分類した炭酸塩における熱力学的平衡温度
炭酸塩 度
NaHCO3 52
ZnCO3 61
Ag2CO3 122
CdCO3 231
MnCO3 249
MgCO3 283
CaCO3 656
SrCO3 865
Li2CO3 1016
Ba2CO3 1088
【0069】
表1を用いて効果のないと思われる炭酸塩を排除すると、Na、Zn、Ag、CdおよびMnの炭酸塩は、適正に分散する分解が速過ぎるという理由で、アルミニウム発泡体の工業生産にとっては、分解温度が低過ぎることが明らかである。代わりに、Sr、LiおよびBa炭酸塩は高過ぎる熱分解温度をもち、分解しないか、非常に遅い速度での分解であり、実行可能な工業的プロセスに対し適切ではない。ここで留意すべきは、これらの分圧で、CaCO3およびMgCO3の平衡温度はそれら各自のTGA熱分解温度と異なるというわけではないことである。
【0070】
炭酸カルシウムが粒子生成反応ガスに選ばれた本発明の実施態様に戻ると、増粘のために融解アルミニウムを付加したとき、炭酸カルシウムの粒子サイズは約0.5マイクロメートルら40マイクロメートルにできる。付加された量は、全体のアルミニウム溶解物質量の0.5wt.%から16wt.%の範囲内であり、望ましくは0.5wt.%から2wt.%である。炭酸カルシウムの小さい体積分率は、安定した発泡を持続するために溶融粘度および/または表面エネルギーを制御するのに非常に効果があることが測定されている。
【0071】
もう一つの方法として、炭酸カルシウム粒子サイズは40マイクロメートルから150マイクロメートルの大きさにできる。このサイズでの反応速度は著しく遅く、10分後に炭酸塩の不完全分解がある。それにもかかわらず、十分な気泡の微細分散はアルミニウム溶解物の安定化を発生する。残りの未反応炭酸塩は溶解物中の発泡剤として利用できる。
このように、生成物およびプロセスの要件によって、多様なレベルの増粘と多様なレベルの発泡を得るように、複数の粒子サイズ配分で、炭酸塩は複数の工程で付加できる。
【0072】
もし、単独の添加で、溶解物の安定と発泡の両方を加えるならば、粒子サイズは約0.5マイクロメートルから150マイクロメートルにできる。粒子サイズの最適混合は、より小さな粒子が最初に分解し、最終的な発泡に対するガスを供給するために大きな粒子が残るように粘性を高める、という効果があるような望ましい混合時間による。
【0073】
発泡剤は、低い温度での優れた安定性を持ち、合金の融点以上の温度で発泡ガスを生成する分解をするように選択されなければならない。溶融金属または合金の中に導入される発泡剤のサイズは、発泡生成の望ましい速度および望ましい発泡体構造に基づいて選択される。発泡アルミニウムの鋳造において、溶解物に導入された発泡剤のサイズおよび構成は、気泡生成のサイズおよび数密度に影響を及ぼす。発泡アルミニウム塊の中に生成される気泡のサイズのコントロールすることによって、熱伝導率、強度、または衝撃吸収のような特性をコントロールできるように純密度を目標とすることができる。
【0074】
アルミニウム発泡体に使用される実用的な化学発泡剤の代表的な例は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、および、水素化チタン、水素化ジルコニウムのような金属水素化物、および、これらの混合物を含む。発泡剤はどれも望ましい形態を有する。それらはプロセスの中の一つ以上の段階で添加される。一つの実施形態では、発泡剤は約0.5マイクロメートルから約40マイクロメートルの間の粒子サイズを有する。他の実施形態では、発泡剤は約40マイクロメートルから約150マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0075】
今、図7を参照すると、本発明の他の態様では、装置25は上述の粒子生成反応ガスを使用して発泡アルミニウムを製造する装置を提供している。装置は、溶融合金導入手段28および粒子生成反応ガス33を反応ユニット30に導入する供給システム35を含む装置において、粒子生成反応ガス33は発泡性懸濁液を供給する溶融合金31の中で活発に分解することを特徴とする。溶融合金導入手段28は、事前に選択した流量で溶融合金31を供給する。
【0076】
反応ユニット30は、攪拌手段32を含んだ混合ユニットにおいて、混合ユニットは溶鉱炉34によって収納されていることを特徴とする。混合ユニットおよび攪拌手段32は、粘度を高め、アルミニウム溶解物の表面エネルギーを変更するために、粒子生成反応ガス33と溶融合金31を混ぜ合わせる。
混合ユニットと攪拌手段32の寸法と配置は、事前に選択した流量で利用されたとき、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が混合ユニットの中で発泡性懸濁液をもたらすように分解するのに十分な粒子生成反応ガスを含む溶融合金の経過時間を供給する効果的な量を供給するように選択される。
さらに、攪拌手段によって供給された攪拌、粒子生成反応ガスの組成および/または粒子サイズ、そして溶融合金の構成は、経過時間の変更を設定する。
【0077】
反応ユニット30はさらに、反応物それ自身の気体のような、粒子生成反応ガス分解の気体の未反応部分を放出するための、少なくとも一つの排出口を構成する。粒子生成反応ガスが炭酸カルシウムである好適な例では、CO2ガスの未反応部分は、アルミニウム合金溶解物とともにCO2反応を通して生成されたCO反応生成物とともに放出される。COは可燃性ガスだが、この副生成物は反応ユニット30の表面で安全に燃焼される。
【0078】
本発明の一実施態様では、経過時間および混合ユニット配列は、未反応の粒子生成ガスの残留部分を残して、粒子生成反応ガス33の一部だけを分解するように選択される。本発明のこの実施形態では、粒子生成反応ガスの未反応部分は発泡性懸濁液47の中の発泡剤として機能する。
【0079】
本発明の他の実施形態では、経過時間および混合ユニット配列は、粒子生成反応ガスを完全に分解するために選択される。図8に示すように、増粘された合金溶解物は次に発泡剤分散ユニット42に流れ込み、ここで発泡剤46が接種発泡性溶融アルミニウム原料48を生成するために添加される。図面には描かれていないが、本発明の他の実施形態では、接種発泡性溶融アルミニウム原料は、発泡剤の添加に先立って、後で溶鉱炉で再溶融可能なインゴットを形成する任意のキャスタータイプ(caster-type)装置に移動させることができる。他のガス排出口37は発泡剤分散ユニット42から余分なガスを任意に排出できる。
【0080】
接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、次に、連続製品(continuous products)(板、シート、棒、押出型材、等)を形成するため、または、例えば、連続ベルトキャスター、ロールキャスター、鉛直キャスター、若しくは同様のもの(図示しない)によって、冷却するとそれ自身または薄板状の他の材料として利用できる液状の発泡/細胞(foamed/cellular)シートを供給するように処理されるために、発泡性ユニットに移動させることができる。
【0081】
図9a−9cを参照すると、他の態様の装置25は、反応ユニットまたは分散ユニットから先端(tip)にアルミニウム移送を提供する回転式の容積移送式ポンプである。先の溶融金属ポンプは、典型的には遠心分離式または往復様式によるものであり、金属漏出を減らす厳しい精度を必要とする。先の溶融金属活用に反し、発泡の接種および起爆によるアルミニウム溶解物の固着粘度の増加(約700cp)は、容積移送式ポンプ様式の活用を可能にする。一実施形態として、ポンプは、図9a−9bに描かれたようなローブポンプ、または図9cに描かれたような歯車ポンプがある。これらは、ベルト上または先端(tip)中の発泡性溶解物の精密な測定を可能にする。
【0082】
図9aおよび9bを参照すると、ある望ましい態様では、ローブポンプの中のローブ50は、ポンプ筐体51と同様に、高温材料で形成されている。一実施形態では、ポンプ筐体51は、入口面52および出口面32、第一の側壁54、第二の側壁55、および中間ポンプ面56を含む。中間ポンプ面56は、ポンプチャンバを提供するためローブ50と一致する形状を有する。第一の側壁、中間ポンプ面、および第二の側壁は多数の止め金具やボルトによって接続される。ボルトはアルミニウム発泡体処理温度によって起こる熱膨張に適応するように設計されている。ローブ50はポンプチャンバ内部で回転するときポンプ作用を供給する形状を有する。ある望ましい態様では、ポンプ筐体51およびローブ50は、窒化ホウ素からなる機械加工可能なセラミックで形成されている。ポンプ筐体51およびローブ50の材料が漏出を回避する熱膨張を有し、そして材料が物理的特性の著しい劣化がなく発泡性アルミニウム製造と一致する温度を受ける限り、代わりとなる材料もまた熟考され続けている。
【0083】
本発明の一実施態様は、広範囲に及ぶ発泡の開始に先立って接種発泡性溶融アルミニウムをポンプでくみ上げる装置の能力である。一つの態様として、発泡性溶融アルミニウムは膨張が250%を越えない、望ましくは200%以下である限り、ポンプでくみ上げることができる。より大きいそしてより小さい膨張度合いが熟考されており、アルミニウム発泡体の膨張度合いが修復可能でない形で構造を変形しない限り、それは本発明の態様の範囲内である。
【0084】
一実施態様では、装置25はさらに、熱せられた鋳型または先端(tip)を含む。一実施形態では、先端(tip)は、発泡剤の分解率を増加するために、流入接種発泡性懸濁液の温度以上に熱せられる。望ましくは、先端(tip)は670度から740度の間の温度に熱せられる。一実施態様では、発泡速度は、接種発泡性アルミニウム合金の温度上昇によって6分から30秒に至るまで減少する。
【0085】
一実施形態では、接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、他の生成物用途に対する発泡性固体先駆物質を生成する著しい発泡が起こる前に、非常に速く冷却ユニットに移動する。意外にも、再溶融発泡性固体先駆物質から生成されたアルミニウム発泡体は、発泡セルサイズが粗雑になる。このプロセスは、大きなセルサイズで金属発泡体を造り出すのに利用でき、多くの最終用途に適用できる。
【0086】
本発明のアルミニウム発泡体は、建築業、自動車または航空宇宙の用途の構造材料に供給するよう処理される。幾つかの実施形態では、アルミニウム発泡体は平面パネルを提供するよう処理される。平面パネルは、建築に利用される床張り材、屋根ふき材、および壁材に応用できるという特徴がある。
【0087】
任意に、接種発泡性溶融アルミニウム原料48は、成形物を形成するために成形および冷却する鋳型または空洞部、または、部品の内部または外部に移動可能である。
【0088】
次の実施例は本発明を更に例証し、そこから生じる幾つかの利点を明示する。本発明は開示された特定の実施例に限定されるない。
【実施例1】
【0089】
アルミニウム合金発泡体の安定性における粒子生成反応ガスの効果。
【0090】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性における炭酸カルシウムの効果、および、発泡構造の引力排水に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウム−2wt%マグネシウム合金100グラムからなる試料を融解し、多様な重量分率の炭酸カルシウム粉末を添加しながら異なる時間で活発に攪拌した。攪拌の後に、個々の化学発泡剤を添加し、30秒間分散した。これらのテストの化学発泡剤は炭酸カルシウムである。それぞれの試料は発泡し、アルミニウム発泡の発生が観測された。
【0091】
発泡の後に、試料を急速に冷却し、発泡試料は区分され、重量測定、撮影、および粘度算出された。これらのテストの結果は、図10に示されている。結果は、安定化アルミニウム溶解物を作る中での炭酸カルシウムの役割と、構造における炭酸塩分解生成物の効果を明確に示している。
【0092】
試料S-787295では、粒子生成反応ガス(CaCO3)は全く添加しておらず、溶解物は単に大気中で6分間攪拌された。その後の化学発泡剤の分散および発泡作用は非常に質の悪い泡となった。相対密度(アルミニウムと比較)は、母材の77%である。発泡製品の上部から下部に区分された試料のセットから取った標準偏差はこれと同程度であり、試料が十分な引力排水を受けたことを指し示している。これらのデータは、発泡のための安定化アルミニウム溶解物における大気中(現行の方法)での単純攪拌の効果のなさを明らかに示している。
【0093】
試料S-787293(先と同様に図9で示す)は、2wt.%炭酸カルシウムが溶解物に添加され、2分間だけ攪拌した。試料は安定化アルミニウム発泡体における粒子生成反応ガスの不十分な分解の効果のなさを示した。ここで、短縮された攪拌時間(2分間の攪拌)は、不十分なレベルの金属酸化物相とともに、アルミニウムマトリックスの創作を引き起こす。それに続く化学発泡剤の添加および分散、続いておこる発泡、それに続く冷却の結果、相対密度54%の発泡製品となり、魅力的な発泡製品というには高すぎる。約34%に等しい発泡の異なる区分間の標準偏差とともに、発泡製品が厳密な引力排出を欠点としてもつことは明らかである。この結果は、攪拌時間を6分に延長したことを除いて全ての実験パラメータが同一である試料S-787296と比較できる。ここでは、24%の魅力的な相対密度が達成され、有意に、7%に下がった発泡区分間の標準偏差は発泡製品中で非常に均一な密度を示す。
【0094】
試料S-787291、S-787294、S-787299に対する4wt.%、8wt.%、そして10wt.%炭酸カルシウムのような、粒子生成ガスの高いレベルでは、それぞれ、発泡密度および引力排出への耐性に穏やかな変化を示す。この特有の合金構造および炭酸カルシウムの粒子サイズ分配に対し、少なくとも2wt%添加および6分の攪拌時間が溶解物を安定するために必要である。
【実施例2】
【0095】
発泡構造におけるCaCO3粒子サイズ分配の効果。
【0096】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性における炭酸カルシウム(粒子生成反応ガス)のサイズおよび重量分率の効果、および、発泡構造の引力排出に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウム−2wt%のマグネシウム合金100グラムからなる試料を融解し、多様な重量分率の炭酸カルシウム粉末を添加した後、6分間活発に攪拌した。この実験の結果は、図11に示している。体積平均直径150ミクロンに相当するこの粒子は“粗い”とラベル付けされ、同時に体積平均直径40ミクロンに相当するものは“微細”とラベル付けされた。より微細な炭酸塩はアルミニウム溶解物安定化において大きな有効性を明示している。2wt.%の炭酸塩の添加で、“粗い”の添加では平均発泡密度25%になった。一方、“微細”の粒子では密度17%になった。
このより微細な炭酸塩の添加は、図10に示すように、増粘の効果的な重量分率を1%に減少させるのを可能にする。これらのデータは、より微細な炭酸塩分配はいっそう粘性添加の最低レベルを下げることを示唆している。
【実施例3】
【0097】
アルミニウム発泡体の安定性におけるマグネシウム添加の効果。
【0098】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の安定性におけるマグネシウムレベルの効果、および、発泡構造の引力排出に対する傾向を測定する準備をした。アルミニウムと多様なレベルのマグネシウム100グラムからなる試料を融解し、20wt.%炭酸カルシウム粉末を添加した後、活発に攪拌した。結果は図12に示されている。完全密度付近から25wt%に低下した発泡製品の相対密度をともなって、2wt.%Mg(この特定の炭酸塩サイズおよび重量分率に対する)の添加において市場効果が見られる。より高水準のMgの添加は発泡密度自体への効果に限界がある。
【実施例4】
【0099】
発泡剤として未消費安定化添加物を使用するアルミニウム発泡体の単一段階生成物。
【0100】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の密度および安定性における粒子生成反応ガスの攪拌時間の効果、および、単一の攪拌段階での接種(接種はここでは溶解物に未反応発泡剤を加えると定義する)発泡性チャージの生成の可能性を測定する準備をした。図13では、融解し、炭酸塩の添加の後に様々な時間で活発に攪拌されたアルミニウム−2wt%マグネシウム合金100グラムの試料の結果を示している。これらの炭酸塩サイズに対して、結果は、最低発泡相対密度――18%の状態にする約6分間の最適攪拌時間を示している。
【0101】
短時間攪拌では、発泡体の上部から下部までの密度増大によって表される不十分なレベルの安定化の結果を示している。しかしがなら、10分間の攪拌では、不十分な未反応炭酸塩は発泡段階の間、泡の膨張を促進し続け、その結果として相対密度が上昇する。従って、10分間の攪拌は、最高水準の安定化(密度示数間の低い標準偏差によって判断されたように)を提供する一方で、安定化および未処理発泡体の有効について最適バランスを提供しない。
【実施例5】
【0102】
発泡剤として未消費安定化添加物を使用するアルミニウム発泡体の単一段階生成物。
【0103】
一連のアルミニウム合金溶解物は、アルミニウム発泡体の密度および安定性における粒子生成反応ガスの攪拌時間と重量分率の効果、および、単一の攪拌段階での接種発泡性チャージの生成の可能性を測定する準備をした。図14では、融解し、炭酸塩の添加の後に様々な時間で活発に攪拌されたアルミニウム−2wt.%マグネシウム合金100グラムの試料の結果を示している。これらの炭酸塩サイズに対して、結果は、この場合も同様に、上部から下部まで取った密度の標準偏差によって判断されたように、攪拌時間増加または炭酸塩レベル増加による安定化の増大を示している。17%という低い密度になるため、炭酸カルシウムの単一の添加は8wt%から14wt%に増加し、攪拌時間は2分から8分に変更された。
【0104】
本発明は望ましい実施例とともに詳説および記載され、細部構造における前述および他の変更は発明の精神および要旨を逸脱しない範囲で当業者によって理解される。そのため、本発明は、記載および図示された形式および態様に限られず、添付した特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸カルシウム(CaCO3)のwt.%のグラフであって、この発明における最良の添加剤であり、大気圧下において約600度から650度の熱分解温度を示している
【図2】時間と共に単調に増加する温度によって変わる苦灰石=ドロマイト(CaMg(CO3)2)の重量割合のグラフであって、この発明で推奨する添加剤であり、大気下において約600度から700度の熱分解温度を示している
【図3】時間と共に単調に増加する温度によって変わる炭酸マグネシウム(MgCO3)の重量割合のグラフであり、大気下における約350度から450度の熱分解温度を示している
【図4】時間と共に単調に増加する温度によって変わるハイドロタルサイト(Mg4Al2(OH)12CO3H2O)の重量割合のグラフであり、大気下における約175度から200度の熱分解温度を示している
【図5】アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物と、ガス生成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの活発な分解に関する反応の進行期における化学反応を示している
【図6】アルミニウムと、マグネシウムと、金属酸化構成物とからなる溶解金属のなかの炭酸カルシウムの分解に関する反応の進行を図示している
【図7】単独の添加物である粒子生成反応ガスにより粘性剤と発泡剤が供給されるアルミニウム発泡体を生成する装置
【図8】図7に描かれた装置と対応する化学発泡剤分散装置
【図9a】容積移送式ローブポンプ
【図9b】図9aに描かれた容積移送式ローブポンプ
【図9c】容積移送式ギアポンプ
【図10】アルミニウム合金発泡体の安定時における粒子生成反応ガスの効果を示すグラフ
【図11】アルミニウム合金発泡体の構造における炭酸カルシウムの粒子サイズの効果を示すグラフ
【図12】アルミニウム発泡体を生成するために溶解金属合金にマグネシウムを添加することの効果を示すグラフ
【図13】安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際の攪拌時間の効果を示すグラフ
【図14】安定化添加剤および発泡剤として粒子生成反応ガスを単独添加物とした際における粒子生成反応ガスのwt.%増加の効果を示すグラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡アルミニウムの製造方法において、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、金属酸化相とガス気泡の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが溶解金属合金と活発に結合するようにする攪拌する工程と、
接種発泡性懸濁液を生成するために化学発泡剤を発泡性懸濁液に分散する工程と、
液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する工程と、
発泡アルミニウムを生成するために液体発泡金属を凝固する工程と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウムの製造方法。
【請求項2】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化学発泡剤は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、チタン水素化物、ジルコニウム水素化物、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記化学発泡剤は、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記溶解金属合金は、業務用の高純度アルミニウム、スクラップアルミニウム、シリコンとマグネシウムを含むアルミニウム、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記炭酸カルシウムは、40ミクロン以下の平均直径を有することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の0.5wt.%から4wt.%の間からなること特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の0.5wt.%から4wt.%の間からなること特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記溶解金属合金は、0.5%から8%間のマグネシウム重量パーセントからなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記接種発泡性懸濁液は、液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する前に、凝固され、再溶解されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記接種発泡性懸濁液を発泡する工程は、さらに化学発泡剤分解率を上げるために発泡性接種懸濁液を加熱する工程からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
発泡性接種懸濁液は約670度から約740度の温度範囲で加熱することを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
発泡アルミニウムの製造方法において、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
粒子生成反応ガスの第一部分を反応ガスに分解し、粒子生成ガスの第二部分を未反応状態に維持するために、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、金属酸化相とガス気泡を生成するために反応ガスを溶解金属合金と活発に結合し、未反応状態の粒子生成反応ガスの第二部分が接種発泡性懸濁液の中の化学発泡剤となるようにする攪拌する工程と、
液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する工程と、
発泡アルミニウムを生成するために液体発泡金属を凝固する工程と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウムの製造方法。
【請求項15】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記溶解金属合金は、業務用の高純度アルミニウム、スクラップアルミニウム、シリコンとマグネシウムを含むアルミニウム、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記炭酸カルシウムは、40ミクロン以下の平均直径を有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の2%から16%間の重量パーセントからなること特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項20】
前記溶解金属合金は、0.5%から8%間のマグネシウム重量パーセントからなることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記接種発泡性懸濁液は、液体発泡金属を提供するために接種発泡性懸濁液を発泡する前に、凝固され、再溶解されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項22】
溶解アルミニウム中に発泡性の液体+ガス+固体からなる懸濁液を製造する方法おいて、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、溶解金属合金の内部でガス気泡と金属酸化相の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが活発に溶解金属合金と結合するように攪拌する工程と、
からなることを特徴とする発泡性の液体+ガス+固体からなる懸濁液の製造方法。
【請求項23】
粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程後の発泡性懸濁液の体積膨張は、約5%から約50%の範囲であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記溶解金属合金は0.5wt.%Mgから8.0wt.%Mgからなることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
発泡性懸濁液を製造する装置が
溶解金属合金が設定された流量で供給されるように、粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムと、
混合ユニットからなる供給システムに接続される反応ユニットが、
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであり、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する経過時間が与えられるような容積に形成されている混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉と、からなる反応ユニットと、
反応ユニットと接続した先端と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウム製造装置。
【請求項26】
前記先端は、アルミニウム発泡体の形状を有するモールドからなることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端へ移送する移送システムを含むことを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、さらに接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端へ移送する容積移送ポンプを含むことを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項29】
前記容積移送ポンプは、回転式ギアポンプまたは回転式ローブポンプであることを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項30】
前記先端は、電気的にまたはガス燃焼によって加熱されることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項31】
発泡アルミニウムを製造する装置が、
溶解金属合金が設定された流量で供給されるように、粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムと、
供給システムに接続され、
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する経過時間が与えられるような容積に形成されている混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉と、からなる反応ユニットと、
反応ユニットに接続され、
発泡性懸濁液が入れられる発泡剤混合室と、
発泡剤混合室内で発泡性懸濁液の中へ化学発泡剤を供給するために設けられた供給システムと、
接種発泡性懸濁液を生成するために化学発泡剤を分散する発泡剤混合室内に設置された攪拌手段と、
接種発泡性懸濁液を分散ユニットから先端へ移送するための移送システムと、からなる分散ユニットと、
からなることを特徴とする発泡アルミニウム製造装置。
【請求項32】
前記溶解金属の設定された流量、または、前記混合ユニットの容積は、発泡性懸濁液を生成する中で粒子生成反応ガスを十分に分解するように構成されていることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記移送システムは、容積移送ポンプであることは特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項34】
前記容積移送ポンプは、回転式ギアポンプまたは回転式ローブポンプであることを特徴とする請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記先端は、電気的にまたはガス燃焼によって加熱されることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項36】
前記先端は、アルミニウム発泡体の形状を有するモールドからなることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項37】
アルミニウム発泡材料が、
重量パーセントで約0.5%から8%の割合の範囲のマグネシウムの含有と、重量パーセントで約0.5%から16%の割合の範囲の微細酸化金属の分配を含有し、微細酸化金属の平均サイズは1.0ミクロン未満であるアルミニウム合金マトリックスからなるとともに、
平均直径が約200ミクロンから1500ミクロンの範囲である多数の閉鎖気孔からなるアルミニウム合金マトリックス内の気孔の分配であり、前記アルミニウム合金マトリックス内の気孔の分配は0.30 g/cm3から0.70 g/cm3の間の製品密度となることを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項38】
前記酸化金属は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または、これらの混合からなることを特徴とする請求項37記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項39】
アルミニウム発泡材料が、有効な量のマグネシウムからなるアルミニウム合金マトリックスと、分配されている微細金属炭酸塩と、分配されているアルミニウム合金内の気孔と、からなり、実質的に直径が5ミクロンより大きな安定セラミック粒子が入っていないことを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項40】
前記有効な量のマグネシウムは、0.5wt.%から8wt.%間であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項41】
前記微細金属炭酸塩は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、またはこれらの混合からなることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項42】
前記気孔の分配は、平均直径が約200ミクロンから約1500ミクロンの範囲である気孔であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項43】
前記気孔の分配は、アルミニウム発泡材料の体積の70%から90%間であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項44】
前記金属炭酸塩は、重量パーセントで0.5%から約16%の割合の範囲であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項45】
前記微細金属炭酸塩は平均サイズ100ミクロン以下の炭酸塩からなることを特徴とする請求項39記載の材料。
【請求項46】
請求項39に記載のアルミニウム発泡材料からなる、建築業、自動車、または航空宇宙の用途ための構造材料。
【請求項47】
前記構造材料は、平面パネルであることを特徴とする請求項44記載の構造材料。
【請求項48】
アルミニウム発泡材料が、約5ミクロンから約100ミクロン間の範囲の平均の壁肉厚を有するアルミニウム合金マトリックスと、分配されている平均孔径が約200ミクロンから約1500ミクロンの範囲でアルミニウム発泡材料の70%から90%の間の体積率で構成されるアルミニウム合金マトリックス内の気孔と、
からなることを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項49】
前記平均孔径は、1000ミクロン以下であることを特徴とする請求項48記載の材料。
【請求項1】
発泡アルミニウムの製造方法において、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、金属酸化相とガス気泡の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが溶解金属合金と活発に結合するようにする攪拌する工程と、
接種発泡性懸濁液を生成するために化学発泡剤を発泡性懸濁液に分散する工程と、
液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する工程と、
発泡アルミニウムを生成するために液体発泡金属を凝固する工程と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウムの製造方法。
【請求項2】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化学発泡剤は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、チタン水素化物、ジルコニウム水素化物、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記化学発泡剤は、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記溶解金属合金は、業務用の高純度アルミニウム、スクラップアルミニウム、シリコンとマグネシウムを含むアルミニウム、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記炭酸カルシウムは、40ミクロン以下の平均直径を有することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の0.5wt.%から4wt.%の間からなること特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の0.5wt.%から4wt.%の間からなること特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記溶解金属合金は、0.5%から8%間のマグネシウム重量パーセントからなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記接種発泡性懸濁液は、液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する前に、凝固され、再溶解されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記接種発泡性懸濁液を発泡する工程は、さらに化学発泡剤分解率を上げるために発泡性接種懸濁液を加熱する工程からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
発泡性接種懸濁液は約670度から約740度の温度範囲で加熱することを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
発泡アルミニウムの製造方法において、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
粒子生成反応ガスの第一部分を反応ガスに分解し、粒子生成ガスの第二部分を未反応状態に維持するために、粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、金属酸化相とガス気泡を生成するために反応ガスを溶解金属合金と活発に結合し、未反応状態の粒子生成反応ガスの第二部分が接種発泡性懸濁液の中の化学発泡剤となるようにする攪拌する工程と、
液体発泡金属を生成するために接種発泡性懸濁液を発泡する工程と、
発泡アルミニウムを生成するために液体発泡金属を凝固する工程と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウムの製造方法。
【請求項15】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記粒子生成反応ガスは、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記溶解金属合金は、業務用の高純度アルミニウム、スクラップアルミニウム、シリコンとマグネシウムを含むアルミニウム、またはそれらの混合からなることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記炭酸カルシウムは、40ミクロン以下の平均直径を有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記炭酸カルシウムは、溶解金属合金の2%から16%間の重量パーセントからなること特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項20】
前記溶解金属合金は、0.5%から8%間のマグネシウム重量パーセントからなることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記接種発泡性懸濁液は、液体発泡金属を提供するために接種発泡性懸濁液を発泡する前に、凝固され、再溶解されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項22】
溶解アルミニウム中に発泡性の液体+ガス+固体からなる懸濁液を製造する方法おいて、
大気圧下で約350度から約850度の熱分解温度を有する粒子生成反応ガスの提供する工程と、
粒子生成反応ガスとアルミニウムからなる溶解金属合金とを結合する工程と、
少なくとも粒子生成反応ガスの一部を反応ガスに分解するために粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌することで、溶解金属合金の内部でガス気泡と金属酸化相の発泡性懸濁液を生成するために反応ガスが活発に溶解金属合金と結合するように攪拌する工程と、
からなることを特徴とする発泡性の液体+ガス+固体からなる懸濁液の製造方法。
【請求項23】
粒子生成反応ガスを含む溶解金属合金を攪拌する工程後の発泡性懸濁液の体積膨張は、約5%から約50%の範囲であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記溶解金属合金は0.5wt.%Mgから8.0wt.%Mgからなることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
発泡性懸濁液を製造する装置が
溶解金属合金が設定された流量で供給されるように、粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムと、
混合ユニットからなる供給システムに接続される反応ユニットが、
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであり、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する経過時間が与えられるような容積に形成されている混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉と、からなる反応ユニットと、
反応ユニットと接続した先端と、
からなることを特徴とする発泡アルミニウム製造装置。
【請求項26】
前記先端は、アルミニウム発泡体の形状を有するモールドからなることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端へ移送する移送システムを含むことを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、さらに接種発泡性懸濁液を反応ユニットから先端へ移送する容積移送ポンプを含むことを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項29】
前記容積移送ポンプは、回転式ギアポンプまたは回転式ローブポンプであることを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項30】
前記先端は、電気的にまたはガス燃焼によって加熱されることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項31】
発泡アルミニウムを製造する装置が、
溶解金属合金が設定された流量で供給されるように、粒子生成反応ガスと溶解金属合金を供給する供給システムと、
供給システムに接続され、
粒子生成反応ガスと溶解金属合金とを結合して接種発泡懸濁液を生成する混合ユニットであって、攪拌手段が装備されており、少なくとも粒子生成反応ガスの一部が設定された流量をもって混合ユニット内で分解するのに適する経過時間が与えられるような容積に形成されている混合ユニットと、
反応ユニットに設けられたガス状の副生成物を放出する少なくとも1つの排出口と、反応ユニットを入れる溶炉と、からなる反応ユニットと、
反応ユニットに接続され、
発泡性懸濁液が入れられる発泡剤混合室と、
発泡剤混合室内で発泡性懸濁液の中へ化学発泡剤を供給するために設けられた供給システムと、
接種発泡性懸濁液を生成するために化学発泡剤を分散する発泡剤混合室内に設置された攪拌手段と、
接種発泡性懸濁液を分散ユニットから先端へ移送するための移送システムと、からなる分散ユニットと、
からなることを特徴とする発泡アルミニウム製造装置。
【請求項32】
前記溶解金属の設定された流量、または、前記混合ユニットの容積は、発泡性懸濁液を生成する中で粒子生成反応ガスを十分に分解するように構成されていることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記移送システムは、容積移送ポンプであることは特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項34】
前記容積移送ポンプは、回転式ギアポンプまたは回転式ローブポンプであることを特徴とする請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記先端は、電気的にまたはガス燃焼によって加熱されることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項36】
前記先端は、アルミニウム発泡体の形状を有するモールドからなることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項37】
アルミニウム発泡材料が、
重量パーセントで約0.5%から8%の割合の範囲のマグネシウムの含有と、重量パーセントで約0.5%から16%の割合の範囲の微細酸化金属の分配を含有し、微細酸化金属の平均サイズは1.0ミクロン未満であるアルミニウム合金マトリックスからなるとともに、
平均直径が約200ミクロンから1500ミクロンの範囲である多数の閉鎖気孔からなるアルミニウム合金マトリックス内の気孔の分配であり、前記アルミニウム合金マトリックス内の気孔の分配は0.30 g/cm3から0.70 g/cm3の間の製品密度となることを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項38】
前記酸化金属は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または、これらの混合からなることを特徴とする請求項37記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項39】
アルミニウム発泡材料が、有効な量のマグネシウムからなるアルミニウム合金マトリックスと、分配されている微細金属炭酸塩と、分配されているアルミニウム合金内の気孔と、からなり、実質的に直径が5ミクロンより大きな安定セラミック粒子が入っていないことを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項40】
前記有効な量のマグネシウムは、0.5wt.%から8wt.%間であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項41】
前記微細金属炭酸塩は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、またはこれらの混合からなることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項42】
前記気孔の分配は、平均直径が約200ミクロンから約1500ミクロンの範囲である気孔であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項43】
前記気孔の分配は、アルミニウム発泡材料の体積の70%から90%間であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項44】
前記金属炭酸塩は、重量パーセントで0.5%から約16%の割合の範囲であることを特徴とする請求項39記載のアルミニウム発泡材料。
【請求項45】
前記微細金属炭酸塩は平均サイズ100ミクロン以下の炭酸塩からなることを特徴とする請求項39記載の材料。
【請求項46】
請求項39に記載のアルミニウム発泡材料からなる、建築業、自動車、または航空宇宙の用途ための構造材料。
【請求項47】
前記構造材料は、平面パネルであることを特徴とする請求項44記載の構造材料。
【請求項48】
アルミニウム発泡材料が、約5ミクロンから約100ミクロン間の範囲の平均の壁肉厚を有するアルミニウム合金マトリックスと、分配されている平均孔径が約200ミクロンから約1500ミクロンの範囲でアルミニウム発泡材料の70%から90%の間の体積率で構成されるアルミニウム合金マトリックス内の気孔と、
からなることを特徴とするアルミニウム発泡材料。
【請求項49】
前記平均孔径は、1000ミクロン以下であることを特徴とする請求項48記載の材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−540820(P2008−540820A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509236(P2008−509236)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016714
【国際公開番号】WO2006/119234
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507357759)アルコア インク. (8)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016714
【国際公開番号】WO2006/119234
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507357759)アルコア インク. (8)
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