説明

炭酸水吐出装置

【課題】 従来の炭酸泉発生装置にあっては、炭酸ガス量は一定であるが、給水源よりの水圧による水量に対して炭酸ガスを溶解させたものであるため、炭酸泉濃度が不安定で、かつ、炭酸泉の濃度を変更できるものではなかった。
【解決手段】 洗髪機器からの水(湯)の流入口からの水(湯)と、炭酸ガスボンベを含む炭酸ガス供給源1からの炭酸ガスとを混合して攪拌しながら圧力を高めるカスケードポンプ11とによって炭酸水を生成し、該生成された炭酸水を貯留する溶解タンク13を設け、該溶解タンクから洗髪機器への吐出口に吐出するようにした炭酸水吐出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容院等で使用され洗髪や美顔施術等に使用される炭酸水吐出装置であって、湯(水)の流量(吐出量)をボイラー等の水(湯)供給源の水圧に係わらず設定した値にし、かつ、水(湯)に対する炭酸ガスの量を可変して炭酸水の炭酸ガス濃度を可変でき、さらに、前記炭酸水発生装置にバイパス回路を設けて普通の洗髪を行うことができるようにした炭酸水吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における炭酸水吐出装置としては、例えば、特開平7−313856号公報に記載されている発明がある。この発明は、溶解器が中空糸膜束の両端を樹脂で固定し、中空糸膜の中空部と連通した一端に温水導入口を他端に温水出口を設け、中空糸膜外側部に連通した位置に炭酸ガス導入口を設けた構造のものである。
【0003】
また、他の特許文献としては、特開2010−119811号公報に記載されている発明がある。この発明は、送水された温水が通過する容器を有し、上部に温水を容器内に噴射する噴射部と排気管路を有し、該排気管路に手動バルブあるいは電磁開閉器を有し、容器の底部に温水の出口部および吐水管路を有し、該容器のいずれかの部分に炭酸ガスの注入部を有し、該注入部は圧力調整器を介して炭酸ガスボンベに接続され、前記吐水管路に流量調整バルブあるいは絞り部を有する構造のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−313856号公報
【特許文献2】特開2010−119811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した特許文献1にあっては、簡単な構造の装置によって炭酸ガスを水に対して効率的に溶解させて高濃度の炭酸泉を作成することである。また、特許文献2にあっては、簡単な構造の装置によって水に対して炭酸ガスを効率よく溶解させ高濃度の炭酸泉を形成できるというものであり、何れの特許文献においても、炭酸ガス量は一定であるが、給水源よりの水圧による水量に対して炭酸ガスを溶解させたものであるため、炭酸泉濃度が不安定で、かつ、炭酸泉の濃度を変更できるものではなかった。
【0006】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、ボイラー等の水供給源からの水(湯)と炭酸ガスボンベを含む炭酸ガス供給源からの炭酸ガスとをカスケードポンプにより混合、攪拌し、該カスケードポンプの回転数を制御して任意の濃度、流量の炭酸水を得るようにした炭酸水吐出装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の炭酸水吐出装置は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、洗髪機器からの水(湯)の流入口からの水(湯)と、炭酸ガスボンベを含む炭酸ガス供給源からの炭酸ガスとを混合して攪拌しながら圧力を高めるカスケードポンプとによって炭酸水を生成し、該生成された炭酸水を貯留する溶解タンクを設け、該溶解タンクから洗髪機器への吐出口に吐出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記溶解タンク内の圧力を圧力センサで検出し、該圧力センサよりの出力で前記カスケードポンプの回転数を調整することにより水(湯)供給源からの水(湯)の水圧にかかわらず前記カスケードポンプよりの水の流量を規定量として炭酸水の炭酸ガス濃度が規定量となるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記炭酸ガス供給源と前記カスケードポンプの吸入口との間に、少なくとも2個以上のオリフィスの開口を個別に制御する1群のバルブを接続し、該バルブの1つ、または、2個以上を開放してカスケードポンプへ供給する炭酸ガス量を選択可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記溶解タンクの炭酸水吐出側に、前記溶解タンクよりの炭酸水が常時流れる第1のオリフィスと、電磁弁に通電され開放されると前記第1のオリフィスと共に前記溶解タンクよりの炭酸水を共同して流す第2のオリフィスを接続したことを特徴とする。
【0011】
請求項5の手段は、前記した請求項1において、前記溶解タンクから炭酸水を吐出するための洗髪機器への吐出口の近傍に、炭酸ガスを供給して炭酸水に炭酸ガスの気泡を含ませるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の手段は、前記した請求項1において、前記水(湯)供給源と、前記カスケードポンプとの接続部から分岐したバイパス路を設け、該バイパス路に水(湯)用の電磁弁を接続し、該電磁弁の開閉に応じて洗髪機器側から水(湯)流路または炭酸水流路を選択的に切り換えるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の手段は、前記した請求項1において、2つの洗髪機器に前記炭酸水が吐出される吐出口を接続し、何れかの洗髪機器を選択すると、該選択した洗髪機器側から前記水(湯)の流路口への流路と、前記吐出口からの流路を連通して炭酸水を選択した洗髪機器の吐出口に吐出でき、選択されない洗髪機器側は前記水(湯)の流入口への流路側と、前記吐出口からの流路を遮断すると共に選択されない洗髪機器側の水(湯)供給源からの流路と洗髪機器の吐出口とを直結して水(湯)を吐出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前記したように、水(湯)と炭酸ガスとをカスケードポンプによって混合して攪拌しながら圧力を高めて炭酸水を生成し、該生成した炭酸水を溶解タンク内に貯留してシャンプーボール等の洗髪機器に送って被施術者の洗髪処理等を行うことで、毛髪や頭皮の汚れの除去やヘアカラーの発色を良くすることができる。
【0015】
また、溶解タンク内の圧力を常時検出し、該圧力の変化に応じてカスケードポンプの回転数を調整して水(湯)の流量が規定値となるように制御することで、炭酸水の濃度を予め設定した値とすることができる。
【0016】
さらに、炭酸水の炭酸ガス濃度を変える手段として、少なくとも2個以上のオリフィスの開口を個別に制御する1群のバルブを接続し、該バルブの1つ、または、2個以上を開放してカスケードポンプへ供給するようにしたので、一定濃度の炭酸水を得ることができると共に炭酸ガス濃度の変更を簡単に行うことができる。
【0017】
また、溶解タンクの吐出側と吐出口との間に、前記溶解タンクよりの炭酸水を常時流通させる第1のオリフィスと、電磁弁によって開閉する第2のオリフィスを並列に接続し、溶解タンクよりの炭酸水の吐出量を多く設定した場合には第2のオリフィスの電磁弁が動作して第1のオリフィスと共に吐出口に対して炭酸水の量を多く吐出させることができる。
【0018】
さらに、溶解タンクから炭酸水を吐出するための洗髪機器への吐出口の近傍に炭酸ガスを供給することで炭酸水に気泡を含ませることができるので、この気泡を含む炭酸水を吐出することで刺激効果を与えることができる。
【0019】
また、水(湯)供給源と、前記カスケードポンプとの接続部から分岐したバイパス路を設け、該バイパス路に水(湯)用の電磁弁を接続し、該電磁弁の開閉に応じて洗髪機器に水(湯)流路または炭酸水流路を選択的に切り換えるようにしたので、普通のシャワー時に炭酸水吐出装置を介することによる圧力損失を低減させてシャワーの流量も確保することが可能である。
【0020】
さらに、2つの洗髪機器に前記炭酸水が吐出される吐出口を接続し、何れかの洗髪機器を選択すると、該選択した洗髪機器側から前記水(湯)の流路口への流路と、前記吐出口からの流路を連通して炭酸水を選択した洗髪機器の吐出口に吐出でき、選択されない洗髪機器側は前記水(湯)の流入口への流路側と、前記吐出口からの流路を遮断すると共に選択されない洗髪機器側の水(湯)供給源からの流路と洗髪機器の吐出口とを直結して水(湯)を吐出するようにしたので、1つの炭酸水吐出装置によって2つの洗髪機器の一方に炭酸水を供給し、他方の洗髪機器では水(湯)を供給することができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の炭酸水吐出装置のシステムブロック図である。
【図2】図1のシステムブロック図における制御基板の内容を示す回路ブロック図である。
【図3】図2の回路ブロック図の普通の水を使用して洗髪を行う動作を示すタイムチャートである。
【図4】炭酸水を使用して洗髪を行う動作を示すタイムチャートである。
【図5】予め水(湯)の吐出量と炭酸ガスの吐出量が設定されたワンタッチ操作で洗髪を行う動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の炭酸水吐出装置を利用して2つの洗髪機器の一方に炭酸水を供給し、他方に水(湯)供給源よりの水(湯)を供給した状態を示すシステムブロック図である。
【図7】図6における一方の洗髪機器に水(湯)供給源よりの水(湯)を供給し、他方の洗髪機器に炭酸水を供給した状態を示すシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の炭酸水吐出装置Xの一実施例を図1〜3と共に説明する。
図1において、1は炭酸ガスボンベ等の炭酸ガスを発生する炭酸ガス供給源にして、該炭酸ガス供給源に充填されている炭酸ガスの量によって圧力が変化することを検出する炭酸ガス用の圧力センサ2が取付けられている。そして、該圧力センサ2よりの圧力は後に詳述する制御基板3に出力されている。
【0023】
4は水や湯を排出するボイラー等の水(湯)供給源にして、該水(湯)供給源4よりの水(湯)は止水栓5の開閉によって排出・停止が行われる。なお、水(湯)供給源4よりの水(湯)を排出する場合には止水栓5は全開状態とし、また、止水栓5は図示しない洗髪機器に取付けられている。6は水(湯)供給源4よりの流量を検出する流量センサにして、該流量センサ6で検出された流量は制御基板3に出力される。
【0024】
7は前記炭酸ガス供給源1に接続された電磁弁にして、該電磁弁7は所定の孔径が形成されたオリフィス7aを介して炭酸ガスの排出・停止を制御する。8〜10は前記炭酸ガス供給源に接続された電磁弁にして、該各電磁弁8〜10はオリフィス8a,9a,10aを介して炭酸ガスの排出・停止を制御する。そして、前記オリフィス8a〜10aの排出側は1つの流路に接続されている。なお、前記電磁弁8〜10は施術者が設定した炭酸水の炭酸ガス濃度となるように制御基板3からの指令により制御される。
【0025】
なお、オリフィス8a,9a,10aとしては異なる孔径の組み合わせであっても、同じ孔径のみの組み合わせであってもよい。そして、カスケードポンプ11への炭酸ガス量を変更するには電磁弁8〜10を順次切り換え、あるいは、2つ以上の電磁弁8〜10を選択して駆動させることで行える。また、オリフィスの数は3個に限定されるものではなく、数が多いほどカスケードポンプ11への炭酸ガス量を多種類に変更することが可能となる。
【0026】
11は前記流量センサ6からの水(湯)と、前記電磁弁8〜10からの炭酸ガスとが逆止弁12を介して供給されるカスケードポンプにして、前記流量センサ6よりの水(湯)と、前記電磁弁8〜10の何れか1つ、あるいは、何れか2つ以上を介して供給される炭酸ガスを混合して攪拌しながら圧力を高める動作を行うものである。
【0027】
13は前記カスケードポンプ11により生成された炭酸水を収容する溶解タンクにして、前記カスケードポンプからの炭酸水が順次送られる。14は前記溶解タンク13内の圧力を検出する圧力センサにして、該圧力センサ14によって検出された圧力は制御基板3に出力される。
【0028】
そして、制御基板3は溶解タンク13内の圧力等に応じてカスケードポンプ11に対して回転数を調整するための出力を送出して、カスケードポンプ11よりの流量と濃度が規定量となるように制御する。
【0029】
15は溶解タンク13よりの炭酸水が吐出される側に接続された常時炭酸水が流れる第1のオリフィス、16は電磁弁にして、16aは電磁弁16に通電されると開放される第2のオリフィスにして、該第2のオリフィス16aは前記第1のオリフィスと並列に接続され、溶解タンク13よりの炭酸水が電磁弁16が開放された状態においては第2のオリフィス16aとオリフィス15とに流れる。
【0030】
17はアスピレータにして、前記並列接続したオリフィス15,16aの吐出側に接続され、また、アスピレータ17からは炭酸水や炭酸ガスの泡を含む炭酸水が吐出され、吐出された前記炭酸水は洗髪機器のシャワーと接続された吐出口に接続されている。
【0031】
前記アスピレータ17の炭酸ガス供給部には、電磁弁7が開放されると炭酸ガス供給源1よりの炭酸ガスがオリフィス7aと逆止弁12を介して供給され、該アスピレータ17内で炭酸ガスと炭酸水が混合され、吐出口より炭酸ガスの気泡を含む炭酸水が吐出される。なお、炭酸ガスの気泡を発生する手段としては、前記アスピレータ17に炭酸ガスを供給することなく、例えば、アスピレータ17に接続されている逆止弁12と吐出口とを結ぶ経路に開口部を設け、この開口部にオリフィス7aより炭酸ガスを供給しても炭酸ガスの気泡を得ることは可能である。
【0032】
18は前記流量センサ6の排出側に一端が接続され、他端が前記吐出口に接続されたバイパス路にして、該バイパス路18には水(湯)供給源よりの水(湯)を吐出口に向かって吐出させる電磁弁19と逆止弁12とが直列接続にて接続されている。なお、前記電磁弁19はノーマルオープンであり、炭酸水吐出状態において、止水栓5を開き流量センサ6が水(湯)の流れを感知すると電磁弁19は閉鎖され、止水栓5を閉じ流量センサ6が水(湯)の流れを感知しなくなると電磁弁19は開放される。
【0033】
次に、制御基板3の内容について図2と共に説明する。なお、図1と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
制御基盤3はCPU、入力手段よりの出力に対して出力手段を制御するためのソフトウェアを記憶するROMと、新たな情報を書き込むRAM、ポンプや電磁弁のドライバーが内蔵されている。
【0034】
前記した制御基板3の入力端子には前記した流量センサ6と、溶解タンク13内の圧力を検出する圧力センサ14と、炭酸ガス供給源1内の圧力を検出する圧力センサ2および図示していないが、炭酸水の濃度を設定するためのスイッチや炭酸水の単位時間当たりの吐出流量(例えば、毎分5l、7.5l,10l,12l)と設定するためのスイッチである操作パネルに設けられたスイッチ20が接続されている。
【0035】
また、制御基板3の出力端子には前記したカスケードポンプ11と、電磁弁8〜10によって炭酸ガスの通過制御が行えるオリフィス8a,9a,10aとからなる電磁弁群と、アスピレータ17に炭酸ガスを供給する電磁弁7と、大吐水オリフィス用電磁弁16と、バイパス路18を通して水(湯)供給源4よりの水(湯)を洗髪機器のシャワーに供給するための電磁弁19と、前記した操作パネルの前記スイッチを操作して設定した値を表示する発光ダイオードでなるLED群である。
【0036】
次に、図3のタイムチャートによって普通の水で使用時によって洗髪を行う動作について説明するに、バイパス路18に接続されている電磁弁19はノーマルオープンの状態であることから、洗髪機器に設置されている止水栓5を目的の流量になるように開放(a)すると、止水栓5の開度に応じた水(湯)がバイパス路18、逆止弁12を介してシャワーを介して吐出され普通の水(湯)による洗髪を行うことができる(b)。
【0037】
次に、施術者が被施術者の毛髪や頭皮の汚れ等に応じた炭酸水の濃度を設定した洗髪を行う炭酸水使用時について図4と共に説明するに、先ず、止水栓5は閉じられた状態である。この状態において操作パネルに設置されている炭酸水と普通の水(湯)での洗髪を行うかを選択する炭酸水スイッチを操作しオン状態とする(c)。この状態において炭酸水スイッチの近傍に設けられている炭酸水を選択した時に通電される炭酸水表示灯が点灯される(d)。
【0038】
この状態において施術者は操作パネルに設置されている水(湯)の流量を設定するための流量スイッチを操作する(e)。この流量スイッチによる流量設定は、例えば4段階となっており、施術者が4段目(流量が一番多い)を選択すると、流量スイッチの近傍に設けられている4段目の流量表示灯が点灯される(f)。ここで、前記炭酸スイッチを操作すると、一番低い流量の炭酸水が選択され流量表示灯は1段目が点灯するので、4段目を設定するには流量スイッチを3回操作することになる。なお、流量設定は4段に限定されるものではない。
【0039】
次いで、施術者が生成される炭酸水の濃度を設定するための濃度スイッチを操作する(g)。この濃度スイッチによる炭酸水の濃度設定は、例えば、3段階となっており、施術者が3段目(濃度が一番高い)を選択すると、濃度スイッチの近傍に設けられている3段目の濃度表示灯が点灯される(h)。ここで、前記炭酸水スイッチを操作すると、一番低い濃度の炭酸水が選択され濃度表示灯は1段目が点灯するので、3段目を選定するには2回操作することになる。なお、濃度設定は3段に限定されるものではない。次いで、洗髪時間を操作パネルに設置されているタイマーを操作して設定する。
【0040】
次に、止水栓5を全開状態に開放すると(a)、水(湯)が水(湯)供給源4から流量センサ6に流れるので、該流量センサ6よりの水(湯)の検出出力が制御基板3に送出され、該制御基板3より設定の濃度、流量となるように電磁弁8〜10と、カスケードポンプ11に出力を送出する(J)と同時にバイパス路18の電磁弁19への閉鎖出力を送出し(l)および前記タイマーの時刻開始出力を送出する。
【0041】
そして、カスケードポンプ11が回転を開始すると同時に、選択されて開放状態となっているオリフィス8a,9a,10aの組み合わせよりの炭酸ガスが供給されるので、該カスケードポンプ11において前記した動作によって施術者が設定した水(湯)の流量、濃度となっている炭酸水が吐出口よりシャワーヘッドに供給され炭酸水による洗髪を行うことができる(b)。
【0042】
この洗髪において、タイマーによる設定時間になると、制御基板3よりカスケードポンプ11と電磁弁8〜10への通電が遮断されるので動作は停止するが、カスケードポンプ11の構造からして炭酸水の吐出は停止されるが止水栓5が開放状態であることから僅かな時間ではあるが水(湯)が流れる。
【0043】
そして、前記カスケードポンプ11の通電を遮断した後に施術者が止水栓5を閉じる。また、カスケードポンプ11の動作が停止した一定時間後にバイパス路18の電磁弁19への通電が停止してバイパス路18は開くので、水(湯)による洗髪を望む時には止水栓5を開放することで普通の洗髪を行うことが可能となる。
【0044】
次に、予め水(湯)の流量と濃度が決定されている、例えば、パーマやヘアダイなどに使用するモードであって流量が操作パネルの4段階の流量表示灯が上から2段目、3段階の濃度表示灯が上から3段目に設定されているデザインモードとか、パーマの途中で洗髪するモードであって操作パネルの流量表示灯が上から4段目、3段階の濃度表示灯が上から3段目に設定されている中間水洗モード等の選択を行う操作パネルに設置されているワンタッチスイッチを操作して洗髪を行う動作を図5と共に説明する。なお、モードとしては前記2つの例に限定されるものではない。
【0045】
ワンタッチモードのワンタッチスイッチを望むモードのワンタッチスイッチを操作する(i)。ワンタッチスイッチを操作したことにより設定されている水(湯)の量と炭酸ガスの量は制御基板3において記憶されているので、流量スイッチを操作しなくとも制御基板3よりの指令により設定されるので、該設定された流量の流量表示灯のみが点灯される(f)。
【0046】
また、濃度についても制御基板3において記憶されているので、濃度スイッチを操作しなくとも制御基板3よりの指令により設定されるので、該設定された流量の濃度表示灯のみが点灯される(h)。なお、制御基板3で制御される炭酸ガスの量は前記した図4で説明したと同じくオリフィス8a〜10aの組み合わせによって自動で行われる(k)。さらに、タイマーによる炭酸水の吐出時間も制御基板3において記憶され、かつ、炭酸水表示灯が点灯される。
【0047】
次に、止水栓5を全開状態に開放すると(a)、水(湯)が水(湯)供給源4から流量センサ6に流れるので、該流量センサ6よりの水(湯)の検出出力が制御基板3に送出され、該制御基板3より設定濃度、流量となるように電磁弁8〜10と、カスケードポンプ11に出力を送出する(J)と同時にバイパス路18の電磁弁19への閉鎖出力を送出し(l)および前記タイマーの時刻開始出力を送出する。
【0048】
なお、カスケードポンプ11が回転を開始した後の動作は、図4の施術者が水(湯)の量と濃度を設定した炭酸水使用時の動作と同じであるが、異なる点は、ワンタッチスイッチの選択で予め制御基板3で記憶されている水(湯)の量と炭酸ガスの量で動作が行われる点で異なるのみであるので以降の動作説明については省略する。
【0049】
次に、前記した炭酸水吐出装置Xが1つに対して、2つの洗髪機器A,Bを接続し、洗髪機器Aでは炭酸水を吐出し、洗髪機器Bでは水(湯)を吐出して異なる施術が行えるようにした実施例を図6と図7と共に説明する。
【0050】
図6において、Xは前記した炭酸水吐出装置であって説明は省略する。洗髪機器A,Bには止水栓5が取付けられ、該止水栓5には前記した水(湯)供給源4が接続されている。また、洗髪機器A側には一組の切換弁20,21が取付けられ、洗髪機器B側には他の一組の切換弁22,23が取付けられ、2組の切換弁は連動して切り換えられるように構成されている。
【0051】
そして、洗髪機器Aの切換弁20と洗髪機器Bの切換弁22は止水栓5および炭酸水吐出装置Xの入口側に接続されている。また、洗髪機器A側の切換弁21と洗髪機器B側の切換弁23は炭酸水吐出装置Xの炭酸水の吐出口および洗髪機器A,Bに設けられているシャワーに接続され、シャワーが吐出口となっている。
【0052】
このような構造において洗髪機器Aより炭酸水を吐出させる場合には、切換弁21は炭酸水吐出装置Xの炭酸水吐出口よりの炭酸水をシャワーに吐出し、また、切換弁20は水(湯)供給源4よりの水(湯)を炭酸水吐出装置Xの入口側に吐出する。従って、炭酸水吐出装置Xを作動させ炭酸水が吐出するようにすると、洗髪機器Aのシャワーには炭酸水が流れるので炭酸水による洗髪が行える。
【0053】
一方、洗髪機器Bの切換弁22には水(湯)供給源4よりの水(湯)が止水栓5を介して吐出されるので、該切換弁22よりの水(湯)は切換弁23を介して洗髪機器Bのシャワーには水(湯)が流れるので水(湯)による普通の洗髪が行える。
【0054】
洗髪機器Bより炭酸水を吐出させる操作を行う場合は、図7のように切換弁20〜23を連動して図示のように切り換える。そして、切換弁23は炭酸水吐出装置Xの炭酸水吐出口よりの炭酸水をシャワーに吐出し、また、切換弁22は水(湯)供給源4よりの水(湯)を炭酸水吐出装置Xの入口側に吐出する。従って、炭酸水吐出装置Xを作動させ炭酸水が吐出されるようにすると、洗髪機器Bのシャワーには炭酸水が流れるので炭酸水による洗髪が行える。
【0055】
一方、洗髪機器A側の切換弁20には水(湯)供給源4よりの水(湯)が止水栓5を介して吐出されるので、該切換弁20よりの水(湯)は切換弁21を介して洗髪機器Aのシャワーには水(湯)が流れるので水(湯)による普通の洗髪が行える。
【符号の説明】
【0056】
X 炭酸水吐出装置
A,B 洗髪機器
1 炭酸ガス供給源
2,14 圧力センサ
3 制御基板
4 水(湯)供給源
5 止水栓
6 流量センサ
7〜10 電磁弁
7a〜10a オリフィス
11 カスケードポンプ
12 逆止弁
13 溶解タンク
15 第1のオリフィス
16 電磁弁
16a 第2のオリフィス
18 バイパス路
19 電磁弁
20〜23 切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗髪機器からの水(湯)の流入口からの水(湯)と、炭酸ガスボンベを含む炭酸ガス供給源からの炭酸ガスとを混合して攪拌しながら圧力を高めるカスケードポンプとによって炭酸水を生成し、該生成された炭酸水を貯留する溶解タンクを設け、該溶解タンクから洗髪機器への吐出口に吐出するようにしたことを特徴とする炭酸水吐出装置。
【請求項2】
前記溶解タンク内の圧力を圧力センサで検出し、該圧力センサよりの出力で前記カスケードポンプの回転数を調整することにより水(湯)供給源からの水(湯)の水圧にかかわらず前記カスケードポンプよりの水の流量を規定量として炭酸水の炭酸ガス濃度が規定量となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。
【請求項3】
前記炭酸ガス供給源と前記カスケードポンプの吸入口との間に、少なくとも2個以上のオリフィスの開口を個別に制御する1群のバルブを接続し、該バルブの1つ、または、2個以上を開放してカスケードポンプへ供給する炭酸ガス量を選択可能としたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。
【請求項4】
前記溶解タンクの炭酸水吐出側に、前記溶解タンクよりの炭酸水が常時流れる第1のオリフィスと、電磁弁に通電され開放されると前記第1のオリフィスと共に前記溶解タンクよりの炭酸水を共同して流す第2のオリフィスを接続したことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。
【請求項5】
前記溶解タンクから炭酸水を吐出するための洗髪機器への吐出口の近傍に、炭酸ガスを供給して炭酸水に炭酸ガスの気泡を含ませるようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。
【請求項6】
前記水(湯)供給源と、前記カスケードポンプとの接続部から分岐したバイパス路を設け、該バイパス路に水(湯)用の電磁弁を接続し、該電磁弁の開閉に応じて洗髪機器側から水(湯)流路または炭酸水流路を選択的に切り換えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。
【請求項7】
2つの洗髪機器に前記炭酸水が吐出される吐出口を接続し、何れかの洗髪機器を選択すると、該選択した洗髪機器側から前記水(湯)の流路口への流路と、前記吐出口からの流路を連通して炭酸水を選択した洗髪機器の吐出口に吐出でき、選択されない洗髪機器側は前記水(湯)の流入口への流路側と、前記吐出口からの流路を遮断すると共に選択されない洗髪機器側の水(湯)供給源からの流路と洗髪機器の吐出口とを直結して水(湯)を吐出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭酸水吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−86078(P2013−86078A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232100(P2011−232100)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【出願人】(594046329)ケーピーエス工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】