説明

炭酸水製造装置

【課題】 従来、装置内に炭酸ガスボンベを収容し、炭酸ガスボンベに配管を介して耐圧容器内に接続する。配管中に弁を付設し、耐圧容器には、余分のガスを排出するための第一弁体と、炭酸水を注出するための第二弁体とを付設し、この第一・第二弁体を、操作する操作レバーを設けた構造である。この発明は、炭酸ガスボンベの開閉操作は、弁によるコントロールのみであり、危険性を伴う恐れがあり、改良点が考えられる。
【解決手段】 この発明は、ケース本体の一方側に、炭酸ガスボンベ用の収容空間と、ボンベを取付ける回転冶具を設け、回転冶具にボンベを把持し、密閉を開放する針と、ガス通路と、ガス通路を開閉する開閉手段を設け、また、ケース本体の他方側に、コップを収容するコップ収容空間と、耐圧製の水槽部を設け、水槽部には、炭酸水通路と、開閉弁とコックを設け、回転冶具のガス通路と、炭酸水通路とをホースで繋ぎ、ケース本体の側面に開閉手段の開閉を司るハンドルを設けた炭酸水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昨今の美容・健康志向と、飲み心地の良い炭酸水を簡易、かつ確実に生成できる炭酸水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炭酸水製造装置としては、各種の装置が提案されており、その一部は市場に提供されている。そこで、本発明と関連が深い、先行文献を文献として説明する。
【0003】
文献(1)が、特開2011−31182の「炭酸水製造装置」である。この発明は、装置(耐圧容器)外に、炭酸ガスボンベを配置し、この炭酸ガスボンベと、装置の水槽とを配管を接続するとともに、この配管中にレギュレタと切換弁を設け、また、この配管には排気管を付設するとともに、その開口部を水槽中に開放し、また、水槽には、炭酸水用のコック付きの注出管を配備する構造である。しかし、この発明は、炭酸ガスボンベを装置外に設置する手間と、設置場所を確保する手間を要し、厄介であること、また、炭酸ガスボンベの開閉操作は、切換弁によるコントロールのみであり、危険性を伴う恐れがあること、等の改良点が考えられる。
【0004】
また、文献(2)は、実開平1−20985号の「炭酸飲料製造装置」である。この考案は、装置内に炭酸ガスボンベを収容できる空間を設け、この炭酸ガスボンベには配管を介して耐圧容器内に接続する構成であり、この配管中に弁を付設し、この耐圧容器には、余分のガスを排出するための第一弁体と、炭酸水を注出するための第二弁体とを付設し、この第一・第二弁体を、操作する操作レバーを設けた構造である。しかし、この発明は、前記文献(1)と同様に、炭酸ガスボンベの開閉操作は、弁によるコントロールのみであり、危険性を伴う恐れがあり、改良点が考えられる。
【0005】
さらに、文献(3)は、実公昭63−7286号の「炭酸水メーカー」である。この考案は、耐圧器体に、ホルダーを突設し、このホルダー内にシリンダで開閉する弁部を設けるとともに、炭酸ガスボンベを収容し、かつ針を備えたキャップが備えられたボンベベースを螺着し、ホルダーの先端に、耐圧器体に至るチューブを挿入した構造であり、この耐圧器体は、安全弁付き蓋体の開閉で、炭酸水を注出可能とする構造である。しかし、この発明は、前記文献(2)と共通する改良点が考えられる。
【0006】
また、文献(4)は、特開2003−104493の「炭酸飲料注出器」である。この発明は、前記文献(3)に準ずる。
【0007】
さらに、文献(5)は、特開2003−305349の「炭酸水製造装置及びそれを備えた浄水器」である。この発明は、浄水器内に炭酸ガスボンベと、炭酸水製造装置と、浄水エレメントを設けてなる構造であって、内部に、上水管流路と、この上水管と炭酸ガス供給部、及び混合部とでなる炭酸ガス製造部とを、個別に設けた構造を特徴とする。しかし、この発明は、浄水器が、複雑となり、また、高価となることが考えられる。また、炭酸水製造のみで、使用することは、無駄であり、用途が限定されることが考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開2011−31182
【特許文献2】実開平1−20985号
【特許文献3】実公昭63−7286号
【特許文献4】特開2003−104493
【特許文献5】特開2003−305349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した、文献(1)〜(5)は、それぞれ改良点があり、簡易で、かつ安全な使用を図るには、問題があることが考えられる。また、文献(2)〜(4)は、装置内に炭酸ガスボンベを収容可能とする構造であるが、この収容時に、炭酸ガスボンベの開閉を司る構造でなく、また、この炭酸ガスボンベの装着と、装着後の動作を有効に利用していないことが、考えられる。さらに、前記文献(1)〜(5)は、それぞれ特徴がある。しかし、前述の如く、構造が複雑となることと、大型化になること、等の改良点があって、その解決に有効な手段が見当たらないのが、現況である。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、前述の問題・改良点等の解消と、この解消に、最も有効な炭酸水製造装置の提供とにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、炭酸ガスボンベから供給されるガスの簡易で、かつ安全な使用を図ること、又は装置内に炭酸ガスボンベの収容可能な構造とするとともに、この収容時に、炭酸ガスボンベの開閉を司る構造として、簡便性を確保すること、そして、また、この炭酸ガスボンベの装着と、装着後の動作を有効に利用し、水槽部に、確実かつ簡易にガスを供給すること、等を意図する。また、請求項1の発明は、構造の簡素化を図りつつ、小型化、低コスト化等を図ることを意図する。
【0012】
請求項1は、ケース本体の一方側には、炭酸ガスボンベを収容できる収容空間を形成し、この収容空間の上には、前記炭酸ガスボンベの把持部と、この炭酸ガスボンベの密閉を開放する針と、ガス通路と、このガス通路を開閉する開閉手段とを設けた冶具を操作可能とするとともに、この冶具の昇降を司るレバーを設け、また、前記ケース本体の他方側には、コップを収容するコップ収容空間を形成し、このコップ収容空間の上には、耐圧製の水槽部を設け、この水槽部には、炭酸水通路と、この炭酸水通路を開閉する開閉弁とコックとを設け、前記ケース本体のガス通路と、この水槽部に設けたガス通路をホースで繋ぎ、前記ケース本体の側面には、前記開閉手段の開閉を司るハンドルを設ける構成とした炭酸水製造装置である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この発明を達成するに最適な、昇降式の冶具の提供である。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記冶具を、昇降式のケースとし、この本体ケースに設けたハンドルと、このハンドルに一端を設けたリンクと、このリンクの他端を係止し、かつ前記ケースに設けた支持杆とで構成し、前記ハンドル操作と、リンクの可動で、前記ケースを昇降自在とする構成とした炭酸水製造装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この発明を達成するに最適な、回転式の冶具の提供である。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記冶具を、前記ケース本体に設けた回転式の基部と、この基部に設けた前記把持部と、この基部を支持する、前記ケース本体に設けた軸とで構成し、把持部に取付けた前記炭酸ガスボンベの可動で、前記基部が回転する構成とした炭酸水製造装置である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この発明を達成するに最適な、開閉手段の開閉装置を提供する。
【0018】
請求項4は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記ハンドルの基端側に設けたカムで、前記開閉手段を開閉する構成とした炭酸水製造装置である。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この発明を達成するに最適で、安全な開閉手段の構造を提供する。
【0020】
請求項5は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記開閉手段は、前記回転冶具のガス通路に設けたスプリングで付勢される閉塞弁、並びにこの閉塞弁をコントロールする、前記ガス通路に挿設した弁体でなる構成とした炭酸水製造装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明は、ケース本体の一方側には、炭酸ガスボンベを収容できる収容空間を形成し、収容空間の上には、炭酸ガスボンベの把持部と、炭酸ガスボンベの密閉を開放する針と、ガス通路と、ガス通路を開閉する開閉手段とを設けた冶具を操作可能とするとともに、冶具の昇降を司るレバーを設け、また、ケース本体の他方側には、コップを収容するコップ収容空間を形成し、コップ収容空間の上には、耐圧製の水槽部を設け、水槽部には、炭酸水通路と、炭酸水通路を開閉する開閉弁とコックとを設け、ケース本体のガス通路と、水槽部に設けたガス通路をホースで繋ぎ、ケース本体の側面には、開閉手段の開閉を司るハンドルを設ける構成とした炭酸水製造装置である。
【0022】
従って、請求項1は、炭酸ガスボンベから供給されるガスの簡易で、かつ安全な使用を図ること、又は装置内に炭酸ガスボンベの収容可能な構造となるとともに、この収容時に、炭酸ガスボンベの開閉を司る構造として、簡便性が確保できること、そして、また、この炭酸ガスボンベの装着と、装着後の動作を有効に利用し、水槽部に、確実かつ簡易なガスを供給できること、等の特徴がある。また、請求項1は、構造の簡素化を図りつつ、小型化、低コスト化等が図れる実益がある。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
冶具を、昇降式のケースとし、本体ケースに設けたハンドルと、ハンドルに一端を設けたリンクと、リンクの他端を係止し、かつケースに設けた支持杆とで構成し、ハンドル操作と、リンクの可動で、ケースを昇降自在とする構成とした炭酸水製造装置である。
【0024】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この発明を達成するに最適な、昇降式の冶具を提供できること、等の特徴がある。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
冶具を、ケース本体に設けた回転式の基部と、基部に設けた前記把持部と、基部を支持する、ケース本体に設けた軸とで構成し、把持部に取付けた前記炭酸ガスボンベの可動で、前記基部が回転する構成とした炭酸水製造装置である。
【0026】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この発明を達成するに最適な、回転式の冶具を提供できること、等の特徴がある。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
ハンドルの基端側に設けたカムで、開閉手段を開閉する構成とした炭酸水製造装置である。
【0028】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この発明を達成するに最適な、開閉手段の開閉装置を提供できること、等の特徴がある。
【0029】
請求項5の発明は、請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
開閉手段は、回転冶具のガス通路に設けたスプリングで付勢される閉塞弁、並びに閉塞弁をコントロールする、ガス通路に挿設した弁体でなる構成とした炭酸水製造装置である。
【0030】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、この発明を達成するに最適で、安全な開閉手段の構造を提供できること、等の特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第一実施例の炭酸水製造装置を側面視し、その内部構造を破線で示した側面図
【図2】図1の正面図
【図3】図1の正面右斜視図
【図4】図1の正面左斜視図
【図5】第一実施例のケース本体と上昇したケース、並びにリンク機構を示した要部の拡大斜視図
【図6】第一実施例のケース本体と降下したケース、並びにリンク機構を示した要部の拡大斜視図
【図7】第一実施例のレバーの拡大斜視図
【図8】第一実施例の開閉手段の一例を示した拡大分解した一部断面の正面図
【図9】第二実施例の炭酸水製造装置を側面視し、その内部構造を破線で示した側面図
【図10−1】第二実施例の炭酸ガスボンベの口部を把持する把持部と、ガス通路、並びに針と、開閉手段とでなる回転冶具の要部を示した拡大断面図
【図10−2】図10−1で示した回転冶具等を説明する正面図
【図11】第二実施例の炭酸水製造装置の背面図
【図12−1】第二実施例の炭酸水製造装置の一方側から視認した正面斜視図
【図12−2】第二実施例の炭酸水製造装置の他方側から視認した正面斜視図
【図13−1】第二実施例の水槽部に嵌着するキャップを開放した状態の拡大斜視図
【図13−2】第二実施例の水槽部に嵌着するキャップを閉塞した状態の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0032】
第一実施例において、図中、1は側面視して倒L形をしたベース板2を備えた函形のケース本体で、このケース本体1の柱部100の一方側1aに、炭酸ガスボンベ3を収容する空間5を有する。また、柱部100の他方側1bの下面には、コップ等の容器6を収容するスペースとしてコップ収容空間27がある。
【0033】
そして、このケース本体1の一方側1aには箱部101が形成されており、また、この箱部101には、カバー102が設けられている。そして、この箱部101には、ケース8(冶具)が昇降自在に組付けられている。また、このケース8は、ケース本体1の箱部101の上方に設けた軸10に支持したレバー11の端部11aと、このケース8の上方に設けた軸12との間に枢支したリンク13を介して連結されており、レバー11を、軸10を支点として可動することで、このレバー11の端部11aが旋回しながら、図5において,反時計方向に上昇、又は時計方向に降下(矢印「イ」方向に昇降)することで、リンク13が引上げ、又は戻る(降下)することで、このケース8が、箱部101内を昇降する構造である。図中15は、リンク13が差込まれる切り溝で、ケース8の上壁に開設されている。また、図中16は端部11aとリンク13を枢支するピンである。
【0034】
そして、このケース8内には、このケース8の下方に設けた炭酸ガスボンベ3の口部3aに被嵌される口部81aを備えた把持部81(螺杆部)と、この把持部81に設けた針82と、また、把持部81に連設された空洞部83aを備えた筒部83と、前記把持部81と空洞部83aに連なり、かつ開設したガス通路84と、この空洞部83aに挿設した閉塞弁85、及びこの閉塞弁85に連設され前記筒部83の端面より突出した凸部を備えた弁体86(スィッチ)と、この閉塞弁85と接離するシール87と、前記弁体86に捲装したシールパッキン88とで構成し、この弁体86が押込まれた際に、前記シール87と閉塞弁85とが離間し、この筒部83の空洞部83aと、筒部83に設けたガス通路83bが連通する構造である。図中89はスプリングで、このスプリング89は、閉塞弁85をシール87の方向に付勢し、閉塞弁85の復帰を司る。また、このケース8内には、弁体86を押圧するクランク板90(ケース8内に一方側を枢着し、他方側が搖動する)と、このクランク板90を操作するカム91と、このカム91を作動するハンドル18の先端部が挿入されている。またこのハンドル18はスプリング17で復帰する。
【0035】
従って、例えば、図1に於いて、ケース本体1の空間5に、炭酸ガスボンベ3を立設し、レバー11を破線の状態より実線の状態に引下げることで、ケース8が降下する。この降下により、炭酸ガスボンベ3の閉塞蓋に針82が突き刺さり開口される。この開口で、ガス通路84に連通する。しかし、閉塞弁85が前進限にあり、シール87に接触していることから、空洞部83aとガス通路83bは連設されない。この状態において、ハンドル18を下方に押下げると、このハンドル18を支持する軸13aが回転するとともに、カム91が回転する。このカム91の回転(揺動)で、クランク板90が一方側を支点として可動する。このクランク板90の可動で、弁体86が矢印「ロ」方向、即ち、鉛直方向に押圧されると、この弁体86の先端部が、閉塞弁85を押圧し、この閉塞弁85が後退限となり、かつシール87から離間することで、空洞部83aとガス通路83bが連通され、炭酸ガスが、ホース20を介して、後述する水槽部に至る構造である。尚、レバー11を引上げることで、ケース8が引上げられ、かつこのケース8内の把持部81、針82を始めとして、閉塞弁85と、弁体86等が上昇する。この上昇の過程で、スプリング89の反力で、閉塞弁85が復帰するとともに、シール87に接触して、ガス通路84は閉塞される。尚、この閉塞された状態で、そのまま、又は炭酸ガスボンベ3を外しても、炭酸ガスの漏れはなく安心できる。また、新しい、炭酸ガスボンベ3の充填が可能である。
【0036】
図中21は水槽部で、この水槽部21には、キャップ19が設けられており、所定以上の圧力で解放されて安全性が確保される。また、22はキャップ19を支持する支持杆である。この水槽部21は、前記ケース本体1の他方側1bらに設けられ、この水槽部21の下方に設けた炭酸水通路24には、開閉弁25とコック26とが設けられている。従って、このコック26を操作し、開閉弁25を解放することで、炭酸水が炭酸水通路24から注出される。また、この水槽部21の下方には、コップ収容空間27を設ける。
【0037】
また、ホース20は、水槽部21の下方に設けたガス通路28に連設される。従って、炭酸ガスは、ガス通路83bから、ホース20を経由し、このガス通路28から水槽部21に供給される構造であり、この水槽部21の水とで炭酸水が生成される。なお、ホース20には、圧力を調整する調整弁23を設ける。
【0038】
以下、炭酸ガスボンベ3と、カップ等の容器6と、この容器6に注出される炭酸水の生成手順を説明すると、先ず、水槽部21に上水を所定量充填する。また、コップ収容空間27に容器6を載架する。続いて、ケース8(ケース本体1)の把持部81に炭酸ガスボンベ3を立設し、レバー11の操作で、ケース8を引上げると、この炭酸ガスボンベ3の閉塞蓋に針82が突き刺さり開口されて、炭酸ガスボンベ3と、ガス通路84に連通する。
【0039】
この状態において、ハンドル18を操作すると、その基端側にあるカム91が回転し、前述の如く、クランク板90の押圧と、弁体86の鉛直方向への押下げで、閉塞弁85が下がり、シール87から離間する。この離間を介して、ガス通路84と空洞部83aが連通するとともに、この筒部83及びケース8に設けたガス通路83bと空胴部83aが連通する。このそれぞれの連通で、炭酸ガスボンベ3のガスが、このガス通路84・空洞部83a・ガス通路83bとホース20に至り、その後、このホース20が接続されるガス通路28を介して接続したノズル30の先端から、水槽部21の水に噴射される。この噴射された炭酸ガスが、水に混入されることで、品質のよい炭酸水が生成される。尚、この連通を助けるために、弁体86の押圧側には、切欠き部86aが形成されている。そして、炭酸ガスが、水槽部21の充填されている水に所定量混合されることで、炭酸水が生成される。この際に、余分のガスが送込まれると、キャップ19が開き、外部に放出する。その放出量は微量であり、問題はない。また、キャップ19が開いた場合には、ハンドル18の操作を停止する。そして、この水槽部21で生成された炭酸水は、コック26をONにし、開閉弁25を開放することで、炭酸水通路24から、容器6に注がれる。また、ハンドル18に対する押圧を解除すると、スプリング17の反力で、ハンドル18が復帰し、前述の如く、ガス通路84・空洞部83a・ガス通路83bは閉塞される(連通されない)ことで、水槽部21の水への炭酸ガスの噴射は停止される。
【0040】
第二実施例において、ケース本体1の一方側1aには、ケース8(回転冶具)が回転自在に設けられている構造である。このケース8の一例は、ケース本体1の一方側1aに設けた軸92と、この軸92に軸支した回転体93と、この回転体93の一方側に設けた炭酸ガスボンベ3の把持部81(螺杆部)と、この把持部81に設けた針82と、また、回転体93の他方側に設けた空洞部83aを備えた筒部83と、この空洞部83aと連設する前記回転体93と把持部81に開設したガス通路84と、この空洞部83aに挿設した閉塞弁85、及びこの閉塞弁85に連設され前記筒部83の端面より突出した凸部を備えた弁体86と、この閉塞弁85と接離するシール87と、前記弁体86に捲装したシールパッキン88とで構成する。また、この筒部83の周壁には、ガス通路83bが開設されている。そして、このガス通路83bは、後述するように、「A」−「A」の状態では、閉塞され、また、「B」−「B」の状態では、開放される構造である。
【0041】
従って、例えば、図10−1に於いて、「A」−「A」の状態、ケース本体1の水平状態にある時に、把持部81に炭酸ガスボンベ3の口部3aを螺着すると、この炭酸ガスボンベ3の閉塞蓋に針82が突き刺さり開口される。この開口で、ガス通路84に連通する。しかし、閉塞弁85が前進限にあり、シール87に接触していることから、空洞部83aとガス通路83bは連設されない。また、図10−1に於いて、「B」−「B」の状態、ケース本体1の鉛直状態にある時に、把持部81に、炭酸ガスボンベ3の口部3aの閉塞蓋に針82が突き刺さり開口された状態でも、前記と同様に、閉塞弁85が前進限にあり、シール87に接触していることから、空洞部83aとガス通路83bは連設されてない。しかし、この状態で、ハンドル18により、弁体86が矢印「イ」方向、即ち、鉛直方向に押圧されると、この弁体86の先端部が、閉塞弁85を押圧し、この閉塞弁85が後退限となり、かつシール87から離間することで、空洞部83aとガス通路83bが連通され、炭酸ガスが、ホース20を介して、後述する水槽部に至る構造である。尚、前記弁体86の押下げは、ケース本体1に枢着したハンドル18と偏芯カム91とで行う。そして、この一例では、ケース本体1にクランク板90を枢着し、クランク板90をカム91で可動する構造とし、確実かつ簡易な操作と、ケース8のガス通路84、83bの開口を図る。
【0042】
その他の構造は、前述の第一実施例に準ずる。
【0043】
以下、第二実施例における、炭酸ガスボンベ3と、カップ等の容器6と、この容器6に注出される炭酸水の生成手順を説明すると、先ず、水槽部21に上水を所定量充填する。また、コップ収容空間27に容器6を載架する。続いて、ケース8の把持部81に炭酸ガスボンベ3を螺着し、この炭酸ガスボンベ3の閉塞蓋に針82が突き刺さり開口されて、炭酸ガスボンベ3と、ガス通路84に連通する。この状態が、「A」−「A」の水平状態であり、このガス通路84と、筒部83の空胴部83a、及びガス通路83bとは、閉塞弁85で遮蔽されている。
【0044】
そこで、炭酸ガスボンベ3を持って、この「A」−「A」の状態から、略90°回転し、鉛直方向の「B」−「B」の状態となることで、水平状態にあった、前記ガス通路84と、筒部83・空胴部83a、及びガス通路83b、並びに弁体86は、全て、鉛直状態に変化する。また、弁体86の先端は、クランク板90の下に位置する。また、炭酸ガスボンベ3も立設し、かつケース本体1の一方側1aに設けた空間5内に収容される。従って、炭酸ガスボンベ3の装着と収容の容易化と、確実性、並びに整理整頓とに有効に機能することと、ガスを誤って放出すること等の弊害を解消できる。
【0045】
この状態において、ハンドル18を操作すると、その基端側にあるカム91が回転し、クランク板90を押圧すると、弁体86が鉛直方向に押下げられる。この押下げで、閉塞弁85が下がり、かつシール87から離間することで、ガス通路84と空洞部83a、及びガス通路83bが連通する。これにより、炭酸ガスボンベ3のガスが、連通した、このガス通路84・空洞部83a・ガス通路83bとホース20と、このホース20にガス通路28を介して接続したノズル30の先端から、水槽部21の水に噴射される。この噴射された炭酸ガスが、水に混入されることで、品質のよい炭酸水が生成される。尚、この連通を助けるために、弁体86の押圧側には、切欠き部86aが形成されている。そして、炭酸ガスが、水槽部21の充填されている水に所定量混合されることで、炭酸水が生成される。この際に、余分のガスが送込まれると、キャップ19が開き、外部に放出する。その放出量は微量であり、問題はない。また、キャップ19が開いた場合には、ハンドル18の操作を停止する。
【0046】
この水槽部21で生成された炭酸水は、コック26をONにし、開閉弁25を開放することで、炭酸水通路24から、容器6に注がれる。
【0047】
そして、前述した第一・第二実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0048】
1 ケース本体
1a 一方側
1b 他方側
100 柱部
101 箱部
102 カバー
2 ベース板
3 炭酸ガスボンベ
3a 口部
5 空間
6 容器
8 ケース
81 把持部
81a 口部
82 針
83 筒部
83a 空胴部
83b ガス通路
84 ガス通路
85 閉塞弁
86 弁体
86a 切欠き部
87 シール
88 シールパッキン
89 スプリング
90 クランク板
91 カム
92 軸
93 回転体
10 軸
11 レバー
11a 端部
12 軸
13 リンク
13a 軸
15 切り溝
16 ピン
17 スプリング
18 ハンドル
19 キャップ
20 ホース
21 水槽部
22 支持杆
23 調整弁
24 炭酸水通路
25 開閉弁
26 コック
27 コップ収容空間
28 ガス通路
30 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の一方側には、炭酸ガスボンベを収容できる収容空間を形成し、この収容空間の上には、前記炭酸ガスボンベの把持部と、この炭酸ガスボンベの密閉を開放する針と、ガス通路と、このガス通路を開閉する開閉手段とを設けた冶具を操作可能とするとともに、この冶具の昇降を司るレバーを設け、また、前記ケース本体の他方側には、コップを収容するコップ収容空間を形成し、このコップ収容空間の上には、耐圧製の水槽部を設け、この水槽部には、炭酸水通路と、この炭酸水通路を開閉する開閉弁とコックとを設け、前記ケース本体のガス通路と、この水槽部に設けたガス通路をホースで繋ぎ、前記ケース本体の側面には、前記開閉手段の開閉を司るハンドルを設ける構成とした炭酸水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記冶具を、昇降式のケースとし、この本体ケースに設けたハンドルと、このハンドルに一端を設けたリンクと、このリンクの他端を係止し、かつ前記ケースに設けた支持杆とで構成し、前記ハンドル操作と、リンクの可動で、前記ケースを昇降自在とする構成とした炭酸水製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記冶具を、前記ケース本体に設けた回転式の基部と、この基部に設けた前記把持部と、この基部を支持する、前記ケース本体に設けた軸とで構成し、把持部に取付けた前記炭酸ガスボンベの可動で、前記基部が回転する構成とした炭酸水製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記ハンドルの基端側に設けたカムで、前記開閉手段を開閉する構成とした炭酸水製造装置。
【請求項5】
請求項1に記載の炭酸水製造装置であって、
前記開閉手段は、前記冶具のガス通路に設けたスプリングで付勢される閉塞弁、並びにこの閉塞弁をコントロールする、前記ガス通路に挿設した弁体でなる構成とした炭酸水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公開番号】特開2012−217984(P2012−217984A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90117(P2011−90117)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500193282)株式会社クリップコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】