説明

炭酸泉シャワー装置

【課題】 簡易な構造でありながら水又は湯の供給と炭酸ガスの供給が自動的にでき、操作が簡易で炭酸ガスの浪費も防ぐことができる混合水栓を提供する。
【解決手段】 水又は湯を供給する吐出口15とシャワーヘッド23を備え、水又は湯を切替えハンドル13によって選択的に供給する混合水栓と、前記混合水栓にホース31によって連結した炭酸ガスボンベ30とからなり、前記水又は湯を吐出口15又はシャワーヘッド23から供給するときに、水又は湯に、前記炭酸ガスボンベ30から供給される炭酸ガスを混合して供給することができる炭酸泉シャワー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合水栓を用いて浴室で使用する炭酸泉シャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より浴用のシャワーを使用する際に湯に炭酸ガスを混合して使用することが行われていた。湯に炭酸ガスを混合して浴びることで血管が拡張作用を起こし、血流が増して老廃物が排泄されやすくなるため、健康と美容の両面からの効果がある。
このシャワー装置として、炭酸ガスボンベから引いてきたホースの一端を水栓の給湯口に連結して、ホースの途中に炭酸ガスの供給をオン、オフするスイッチをつけているものがあった。
この装置では、シャワーの使用時には前記スイッチを自分で操作してオンにして、湯に炭酸ガスを混合させてシャワーを使用し、シャワーを使わない時にはスイッチをオフにしていた。しかしこのスイッチの操作は、シャワーの操作と別に行わなくてはならないため、シャワーを止めて湯が出なくなると炭酸ガスのスイッチをオフにすることを忘れることが多く、炭酸ガスを長時間出したままにすることがあり不経済であった。
【0003】
このような炭酸ガスの無駄な使用を防止するために、特許文献1に記載の発明が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−173344号公報
【0005】
この発明の炭酸泉浴用シャワー装置は、混合栓(1)、炭酸ガス供給装置(2)、ホース(3)、操作弁(4)、シャワーヘッド(5)からなり、混合栓は冷水路(13)と温水路(14)に導結されかつ方向弁(15)により遮断位置を介し蛇口(16)とホースに選択的に導結される。そして、前記操作弁(4)には水路(41)とガス路(42)が貫通し、中間に弁部(47)が介設されている構造である。
【0006】
使用時には、シャワーヘッド(5)を持った方の指で、操作弁(4)を操作することで随時弁部(47)の開閉ができ、炭酸泉浴シャワーと普通のシャワーの切換えが容易にできるのである。
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された発明は、シャワーヘッドの構成が複雑であり製造コストも高くなるという問題点があると共に、指で操作弁を操作しなくてはならないという煩わしさもあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決したものであり、簡易な構造でありながら水又は湯の供給と炭酸ガスの供給が自動的にでき、操作が簡易で炭酸ガスの浪費も防ぐことができる混合水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、水又は湯を供給する吐出口とシャワーヘッドを備え、水又は湯を切替えハンドルによって選択的に供給する混合水栓と、前記混合水栓にホースによって連結した炭酸ガスボンベとからなり、前記水又は湯を吐出口又はシャワーヘッドから供給するときに、水又は湯に、前記炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスを混合して供給することができることを特徴とする炭酸泉シャワー装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、水又は湯を切替えハンドルによって選択的に供給する混合水栓と、前記切替えハンドルによって作動する押圧体と、前記押圧体によって作動する、炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスの供給と供給停止を行うスイッチ機構と、前記混合水栓から供給される水又は湯と前記炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスを混合するミキシングユニットと、前記ミキシングユニットに連結したシャワーヘッドとからなる炭酸泉シャワー装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記押圧体を、混合水栓の端部に設けた回動部の表面に沿った円弧状に形成して前記回動部表面の一部に固定し、前記スイッチ機構を、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを送るホースの端部と、炭酸ガスをミキシングユニットへ送るホースの端部を連結し、かつ前記押圧体によって作動する作動杆を備えた構成とした炭酸泉シャワー装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の炭酸泉シャワー装置によれば、水又は湯を吐出口とシャワーヘッドから選択的に供給する混合水栓と、前記混合水栓にホースによって連結した炭酸ガスボンベとからなるため、水又は湯に炭酸ガスを混合させて、吐出口又はシャワーヘッドのいずれか一方から自動的に供給することができる。
そのため、湯を使用した洗髪やシャワー浴等を行えると共に、炭酸ガスを含んだ水を吐出口から供給することもでき、炭酸ガスを有効に使用でき健康が増進し美容にも有効である等の効果を奏する。
【0013】
請求項2記載の炭酸泉シャワー装置によれば、混合水栓の切替えハンドルによって作動する押圧体と、この押圧体によって作動する炭酸ガスの供給と供給停止を行うスイッチ機構と、水又は湯と炭酸ガスを混合するミキシングユニットとシャワーヘッドによって構成したから、コンパクトな構造であり、水又は湯及び炭酸ガスの供給と停止が自動的に行えるため、自分の好みにあった洗髪やシャワー浴等が行え炭酸ガスを有効に使用でき健康が増進し美容にも有効である。さらに操作が簡便で誤動作もなく炭酸ガスの浪費も防ぐことができる等の効果を奏する。
【0014】
請求項3記載の炭酸泉シャワー装置によれば、前記押圧体を、円弧状に形成し回動部の表面の一部を覆うように固定し、スイッチ機構を、炭酸ガスボンベからのホースと炭酸ガスをミキシングユニットへ送るホースを連結し、かつ作動杆を備えた構成としたから、押圧体の移動により水又は湯及び炭酸ガスの供給と停止が同時に行え、シャワーの使用時のみ炭酸ガスが自動的に供給され、シャワーの使用に際して負担がかからずより快適な洗髪やシャワー浴等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のシステムフロー図
【図2】本発明の一部を省略した平面図
【図3】本発明の作動状態を示す側面図及びその一部拡大図
【図4】本発明の作動状態を示す側面図及びその一部拡大図
【図5】本発明の一部を省略した斜視図
【図6】本発明の主要部の部分拡大図
【図7】本発明の押圧体の他例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
炭酸泉シャワー装置の一実施形態の構成を図面に基づいて説明する。
混合水栓1を、水又は湯の通路を内蔵する固定部材45,45によって取付板29に固定し、その下方の取付板29にミキシングユニット20を固定する。このように、本実施形態では、装置全体が取付板29上に固定されていて、この取付板29を壁面50に固定するものである。
前記混合水栓1の円柱状の本体11の一端に、本体11と中心軸を共通にして回動可能な回動部11aを取り付け、この回動部11aに切替えハンドル13を固定してある。
また本体11の他端には温度調節ハンドル12を回動自在に設ける。
【0017】
前記ミキシングユニット20は、前記混合水栓1とホース16で連結されている。またミキシングユニット20の側部にはシャワーホース22を取り付けてあり、このシャワーホース22の先端にシャワーヘッド23を設けてある。以下この構成を詳しく説明する。
【0018】
前記混合水栓1は、切替えハンドル13を下方に回動することで吐出口15から水又は湯を供給し、上方に回動することでシャワーヘッド23から水又は湯を供給することができ、湯の温度は前記温度調節ハンドル12で自由に設定できる。
【0019】
前記混合水栓1の回動部11aの切替えハンドル13の近傍に、押圧体14を固定する。この押圧体14は、一定の幅を有し厚さの均一な円弧状の帯状体であり、回動部11aの円周表面の約4分の1を覆っていて、後方(図3右方)端部は本体11の外周接線によって画された端面14bを構成している。
【0020】
炭酸ガスボンべ30は別体に設けてあり、ホース31によって前記混合水栓1の近傍に設けたスイッチ機構25と連結している。図中符号33は圧力調整器である。
【0021】
前記スイッチ機構25は、混合水栓1の背面に設けた固定板27に固定され、前記ホース31の端部と共に炭酸ガスをミキシングユニット20へ送るホース32の端部を連結してあり、炭酸ガスのミキシングユニット20への供給と供給停止、すなわち供給のオン、オフを行うのである。
スイッチ機構25には作動杆26が取り付けてある。この作動杆26はスイッチ機構25内部の弾性体(図示せず)の弾性力により常に前方(図3左方)に付勢されていて、その前後方向の移動によってスイッチ機構25内部の弁(図示せず)を開閉して、スイッチ機構25をオンまたはオフにするのである。
【0022】
ミキシングユニット20は、炭酸ガスボンベ30からホース31、32によって送られてきた炭酸ガスと、ホース16から送られてきた湯を混合し、この混合した湯をシャワーホース22でシャワーヘッド23へと送る働きをする。
【0023】
以上のように構成した本実施形態の作用を説明する。
図3の使用開始前の初期状態では、切替えハンドル13は略水平になっていて、押圧体14は混合水栓1の回動部11aの上方に位置するため、湾曲面14aと端面14bは、いずれもスイッチ機構25の作動杆26に接触していない。この状態では、水も湯も炭酸ガスも出ていない。
【0024】
その後、切替えハンドル13を上方に回動させると回動部11aも同時に回動するため、回動部11aに固定してある押圧体14は下方後方へと移動していき、最終的には図4の状態となる。
【0025】
図4の状態は、押圧体14が略垂直状態になっていて、押圧体14の湾曲面14aが作動杆26を押圧している。これにより作動杆26は前記弾性力に抗して後方(図4右方)に移動していくため、スイッチ機構25内の弁が開いてオンとなり、ホース31から送られてきた炭酸ガスがホース32を介してミキシングユニット20へ供給されていくのである。
【0026】
これと同時に切替えハンドル13の上方回動によって、湯がホース16を通ってミキシングユニット20へ送られていくので、湯と炭酸ガスはミキシングユニット20で混合され、シャワーホース22を通ってシャワーヘッド23へと送られていき洗髪等に使用される。この時の炭酸ガス濃度は、1000ppmの高濃度になるのである。
【0027】
シャワーの使用が終了したときには、切替えハンドル13を下方に回動して、図3の初期状態に戻せば、作動杆26は前方に移動するためスイッチ機構25はオフとなり、シャワーからの湯の流出の停止と同時に炭酸ガスの供給も停止する。そのため、従来のようにシャワーを止めて炭酸ガスだけ止め忘れるということがなくなる。
【0028】
また、切替えハンドル13を下方に回動すれば、水又は湯は吐出口15より出てくるが、押圧体14の湾曲面14aは作動杆26を押圧していないため、スイッチ機構25はオフとなっていて炭酸ガスはホース32に送られてこない。
つまり、シャワーを使用しない時は炭酸ガスは出ず、シャワーの使用時のみ炭酸ガスが出てくるのである。
【0029】
本実施形態の炭酸泉シャワー装置の他の使用方法としては、浴槽において炭酸ガスの全身浴を行うこともできる。
この場合には、浴槽(図示せず)内にシャワーヘッド23を固定して炭酸ガスの混合した湯をシャワーヘッド23から出せばよい。この場合湯の供給時に炭酸ガスが抜けるのを防ぐために、シャワーヘッド23を浴槽の底部に、例えば吸盤や重量物等の固定手段によって固定する。
これによって、浴槽内に炭酸ガスの含まれた湯が満たされるから、入浴するだけで、炭酸ガスの全身浴を楽しむことができる。
【0030】
上述のように本実施形態によれば、装置全体が取付板に固定されていてコンパクト化がはかれると共に取付施工が容易に行える。また簡単な操作で高濃度かつ大量の炭酸ガスを頭皮あるいは皮膚から有効かつ迅速に取り入れることができるため健康増進や美容に効果があると共に、炭酸ガスの全身浴を楽しむことができる。
また、水又は湯の供給操作と炭酸ガスの供給操作が連動して自動的に行われるため、炭酸ガスの供給停止を忘れる等の誤動作がなくなり、炭酸ガスの浪費を抑制できる。
【0031】
図7は、押圧体の他例を示す側面図である。
この例では前記押圧体14に加えて、回動部11aの下方の円周表面の約4分の1を覆う押圧体19を取り付けたものである。
この押圧体19は、前記押圧体14と同様の形状、大きさであり湾曲面19aと端面19bを構成している。
【0032】
使用に際しては、切替えハンドル13を下方に回動すれば、水又は湯は吐出口15より出てくるが、そのとき押圧体19の湾曲面19aが作動杆26を押圧するため、スイッチ機構25はオンとなり炭酸ガスがホース32からミキシングユニット20へ送られていく。
そして、炭酸ガスを混合した水又は湯は、ミキシングユニット20から吐出口15へ、ホース(図示せず)によって送られて、吐出口15から供給されるのである。
【符号の説明】
【0033】
1 混合水栓
11 混合水栓の本体
11a 回動部
12 温度調節ハンドル
13 切替えハンドル
14 押圧体
14a 押圧体の湾曲面
14b 押圧体の端面
16 ホース
20 ミキシングユニット
22 シャワーホース
23 シャワーヘッド
25 スイッチ機構
26 作動杆
29 取付板
30 炭酸ガスボンべ
31 ホース
32 ホース
45 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は湯を供給する吐出口とシャワーヘッドを備え、水又は湯を切替えハンドルによって選択的に供給する混合水栓と、前記混合水栓にホースによって連結した炭酸ガスボンベとからなり、
前記水又は湯を吐出口又はシャワーヘッドから供給するときに、水又は湯に、前記炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスを混合して供給することができることを特徴とする炭酸泉シャワー装置。
【請求項2】
水又は湯を切替えハンドルによって選択的に供給する混合水栓と、前記切替えハンドルによって作動する押圧体と、前記押圧体によって作動する、炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスの供給と供給停止を行うスイッチ機構と、前記混合水栓から供給される水又は湯と前記炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスを混合するミキシングユニットと、前記ミキシングユニットに連結したシャワーヘッドとからなる炭酸泉シャワー装置。
【請求項3】
前記押圧体を、混合水栓の端部に設けた回動部の表面に沿った円弧状に形成して前記回動部表面の一部に固定し、前記スイッチ機構を、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを送るホースの端部と、炭酸ガスをミキシングユニットへ送るホースの端部を連結し、かつ前記押圧体によって作動する作動杆を備えた構成としたことを特徴とする請求項2記載の炭酸泉シャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111167(P2013−111167A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258835(P2011−258835)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(311017038)株式会社イマイ (1)
【Fターム(参考)】