説明

炭酸脱水酵素阻害薬およびさらなる活性剤の組み合わせによる閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療

本発明は、一般的には、閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS)に罹患した患者の治療に有用な方法および医薬製剤に関する。OSASの治療は、患者に炭酸脱水酵素阻害薬を少なくとも1のさらなる活性剤と組み合わせて投与することにより行う。さらなる活性剤の例には、モダフィニル、エスゾピクロン、ゾルピデム、ザレプロン、およびフェンテルミンが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願No. 61/293,129(2010年1月7日出願)の優先権を主張する(この内容は本明細書の一部を構成する。)
【0002】
本発明は、一般的には、睡眠時無呼吸の炭酸脱水酵素阻害薬による治療、より詳細には閉塞型睡眠時無呼吸症候群の炭酸脱水酵素阻害薬と少なくとも1のさらなる活性剤の組み合わせによる治療に関する。本発明は、医薬と薬物療法の分野に役立つ。
【背景技術】
【0003】
無呼吸は、個体の呼吸が非常に浅くなるか、10秒またはそれ以上完全に呼吸が止まる時に生じ、血液酸素レベルの低下をもたらす。通常、無呼吸は、睡眠中に生じ、個体を目覚めさせるか、または深いレベルの睡眠からより浅い睡眠状態に移行させる。「呼吸低下」は、呼吸の減少であり、低酸素血症も生じるが、無呼吸よりひどくはない。一般的には、無呼吸は、ベースラインの約25%より少ない通気量または胸壁の動きの減少をいい、呼吸低下はベースラインの約70%未満の減少をいう。K. Banno et al. (2007) Sleep Medicine 8(4):400-426参照。
【0004】
International Classification of Sleep Disorders(睡眠障害の国際分類)、第2版(ICDS-2)は、睡眠関連呼吸障害の2つのカテゴリー、中枢性(central)睡眠時無呼吸症候群 (CSAS)および閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を定義している。混合型睡眠時無呼吸はCSASとOSASの両方を含む。CSASとOSASの違いは、呼吸障害を生じるメカニズムに関する。CSASは、中枢神経系(CNS)から呼吸筋に伝達されるインパルスの減少を伴う中枢神経系の換気調節障害を特徴とする。CSASよりはるかに一般的であるOSASは、上部気道の物理的閉塞により生じる障害である。該閉塞は、典型的には、上部気道の開通性を維持する筋肉の調節異常、および/または頭蓋顔面生体構造の異常によって生じる。OSASの一般的危険因子には、肥満、扁桃腺および咽頭扁桃肥大、および頭蓋顔面異常が含まれる。
【0005】
OSASは、過剰な昼間の眠気と、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、夜間不整脈、心筋梗塞および脳卒中の危険増大を含むより重大な問題に関連する一般的睡眠障害である。例えば、Sleep Apnea:Implications in Cardiovascular and Cerebrovascular Disease、第2版、Bradley et al.編 (Informa Healthcare USA、Inc.、2010) (特に、Levitzky et al.、10章、p.163;Friedman et al.、11章、p.180;Lorenzo-Filho et al.、13章、p.219;Siccoli et al.、14章、p.237;Sorajja et al.、15章、p.261;およびYumino et al.、17章、p.302)参照。OSASの診断は、典型的には、睡眠中に反復無呼吸または呼吸低下事象が起きる時になされ、症状の発現5〜15回/時が軽度OSAS、15〜30回/時が中等度OSAS、30回/時以上が重度OSASと診断される。Banno et al. (2007)、Sleep-Related Breathing Disorders in Adults:Recommendations for Syndrome Definition and Measurement Techniques in Clinical Research、 Report of an American Academy of Sleep Medicine Task Force (1999)中、Sleep 22(5):667-689に記載。
【0006】
OSASは、通常、圧縮空気の連続流をその目的用に特別に設計された機械を用いて患者に処置する、持続的気道陽圧(Continuous Positive Air Pressure)(CPAP)技術を用いて治療される。他の治療形態には、口腔内下顎発達装置と頭蓋顔面外科手術が含まれる。これらの方法は、煩雑で高価であり、多くの薬物が提案され評価されているが、OSASの治療に有効であることが証明されたものはない。
【0007】
したがってOSASの個体を治療するためのより単純で簡単な方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要約)
本発明は、当該分野における前記の要求に対処し、OSASに罹患した患者の薬理学的治療を提供する。該治療は、炭酸脱水酵素阻害薬とさらなる活性剤、例えば、モダフィニルおよび/または鎮静剤、好ましくは非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の同時投与を伴う。
【0009】
本明細書で用いている用語「OSAS」は、上記閉塞型睡眠時無呼吸症候群を表すが、治療する個体がある程度のCSASも有する可能性を排除することは意図しない。
【0010】
さらに、「OSASを治療する」は、(1)夜間の無呼吸および/または呼吸低下の除去、(2)1時間および/または一晩あたりの無呼吸および/または呼吸低下数の減少、および/または(3)治療を受けている個体が経験する各無呼吸および/または呼吸低下事象の程度の軽減(例えば、通気量または胸壁の動きの大きさの増加によって測定することができる)を表す。本明細書中のある治療方法および医薬製剤は、過剰な昼間の眠気を改善するが、
特に治療がモダフィニルおよび/または交感神経様作用アミン、例えばフェンテルミンの投与を伴う場合は、あらゆるそのような効果は、上記の(1)、(2)、または(3)を行うことによりOSASを治療する本発明の方法に付随する。
【0011】
次に、ある局面において、本発明は、患者に、
(a) 治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬;および
(b) 治療的有効量の、モダフィニル、非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、およびそれらの組み合わせから選ばれるさらなる活性剤
を同時投与することにより患者のOSASの治療方法を提供する。モダフィニルは、2つのエナンチオマーのラセミ混合物の形であり得るか、または、単離されたエナンチオマーであり得る(例えば、下記で詳述するR-エナンチオマーまたはS-エナンチオマー)。モダフィニルは、結晶形、および/またはプロドラッグ、コンジュゲート、活性代謝物の形であるか、または当業者に知られているか発見されるかも知れない別のそのような誘導体、類似体または関連化合物として存在し得る。
【0012】
別の局面において、本発明は、患者に、
(a) 治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬;および
(b) 治療的有効量のモダフィニル
を同時投与することによる患者のOSASの治療方法を提供する。
【0013】
別の局面において、本発明は、患者に、
(a) 治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬;
(b) 治療的有効量の上記モダフィニル;および
(c) 治療的有効量の、上記非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、例えば、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム、ザレプロン、ガボキサドール、またはインディプロンなど
を同時投与することを含む患者のOSASの治療方法を提供する。
【0014】
さらなる局面において、本発明は、患者に、
(a) 治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬;および
(b) 治療的有効量の上記非ベンゾジアゼピン系鎮静剤
を同時投与することによる患者のOSASの治療方法を提供する。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、患者に、
(a) 治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬;
(b) 治療的有効量の上記モダフィニル;および
(c) 治療的有効量の交感神経様作用アミン(ここで、交感神経様作用アミンは、例えば、フェンテルミン、ブプロピオン、またはクロロフェンテルミンなどであり得る。)を同時投与することによる患者のOSASの治療方法を提供する。
【0016】
あらゆる炭酸脱水酵素阻害剤を、本発明の方法および製剤に用いることができる。理論に縛られることを望まないが、本出願人は、OSASを治療するための併用療法に炭酸脱水酵素阻害薬を含むことの有効性は、(OSAS罹患者がしばしば経験する呼吸性アシドーシスとは対照的に)該薬剤によって生じる代謝性アシドーシスに対する身体の反応によって生じると推論する。すなわち、炭酸脱水酵素の阻害は血液pHの低下をもたらすので(炭酸脱水酵素による触媒反応は、重炭酸イオンと陽子をもたらす二酸化炭素の可逆的加水分解である)、身体は、過剰な二酸化炭素を排出し、平衡を回復するためにより速く深い呼吸により代償するように働く。トピラメート、ゾニサミド、およびアセトゾラミドは、本発明の文脈において用いることができる多くの炭酸脱水酵素阻害薬の代表例である。
【0017】
本発明の別の局面において、患者に治療的有効量の、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ジクロフェナミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、フロセミド、イミダゾール、メタゾラミド、フェニルアラニン、トピラメート、およびゾニサミドから選ばれる炭酸脱水酵素阻害薬;および治療的有効量のモダフィニルを経口投与することを含む患者の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療方法を提供する。ある変化において、該方法は、さらに治療的有効量のフェンテルミンの同時投与を含む。
【0018】
本発明の別の局面において、治療的有効量のトピラメートおよび治療的有効量のフェンテルミンを毎日患者に経口投与することを含む、患者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療方法を提供する。
【0019】
本発明のさらなる局面において、治療的有効量のトピラメート、治療的有効量のフェンテルミン、および治療的有効量のモダフィニルを毎日患者に経口投与することを含む患者の閉塞性睡眠時無呼吸の治療方法を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、本発明のOSASの治療方法に有用な医薬製剤を提供する。
【0021】
この態様のある局面において、治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬、治療的有効量の交感神経様作用アミン、および治療的有効量のモダフィニルを含む、OSAS治療用の医薬製剤を提供する。
【0022】
この態様のある局面において、治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬、治療的有効量の非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、および治療的有効量のモダフィニルを含む、OSAS治療用の医薬製剤を提供する。
【0023】
この態様の別の局面において、治療的有効量のスルホンアミド炭酸脱水酵素阻害薬、および治療的有効量のモダフィニルを含むOSAS治療用の医薬製剤を提供する。
【0024】
この態様の別の局面において、治療的有効量のスルホンアミド炭酸脱水酵素阻害薬、および治療的有効量の非ベンゾジアゼピン系鎮静剤を含む、OSAS治療用の医薬製剤を提供する。
【0025】
この態様のさらなる局面において、トピラメート、フェンテルミン、およびモダフィニルを含む医薬製剤を提供する。
【0026】
この態様のさらなる局面において、トピラメート、ブプロピオン、およびモダフィニルを含む医薬製剤を提供する。
【0027】
この態様のさらなる局面において、ゾニサミド、フェンテルミン、およびモダフィニルを含む医薬製剤を提供する。
【0028】
この態様のさらなる局面において、ゾニサミド、ブプロピオン、およびモダフィニルを含む医薬製剤を提供する。
【0029】
この態様のさらなる局面において、ゾニサミド、およびモダフィニルを含む医薬製剤を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、
炭酸脱水酵素阻害薬、および(a) モダフィニル、(b) 非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、(c) モダフィニルと非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の両方、または(d) モダフィニル、および交感神経様作用アミン;および
OSASの治療において該活性物質を投与(例えば自分で投与)するための指示書
を含む包装された医薬製剤を提供する。該活性物質は、OSASを治療するための治療的有効量で存在し、分離した剤形であるかまたは単一剤形に混合されていてもよく、該剤形は、常にではないが通常経口投与することができる。投与するための指示書は、最初に1またはそれ以上の活性物質を低1日用量で投与し、次いで種々の指定した時点で漸次増量する用量漸増法への言及を含み得る。理想的には、少なくとも4週間の推奨用量を記載したタイトレーションカードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0031】
(発明の詳細な説明)
本明細書および特許請求の範囲で用いている単数形(「a」、「an」、および「the」)には文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数指示物も含むことに注意すべきである。すなわち、例えば、「(an)活性物質」は、単一活性物質だけではなく、2またはそれ以上の異なる活性物質の組み合わせに言及し、「(a)剤形」は、剤形の組み合わせおよび単一剤形などに言及する。
【0032】
特記しない限り、本明細書で用いているすべての技術用語と科学用語は、当業者が通常理解している意味を有する。本発明を説明するために特に重要な具体的な専門用語を以下に定義する。特記しない限り、本明細書で用いているすべての技術用語と科学用語は、当業者が通常理解している意味を有する。
【0033】
活性物質に言及する場合、用語「活性物質」には、特定の分子実体、ならびに限定されるものではないが、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、コンジュゲート、活性代謝物、結晶形(多形を含む)、エナンチオマー、および他のそのような誘導体、類似体、および関連化合物を含む、その医薬的に許容される薬理活性類似体を含むことを意図する。
【0034】
化合物の、用語「有効量」および「医薬的有効量」は、望ましい効果、すなわち、夜間の無呼吸および/または呼吸低下の除去、1時間および/または一晩あたりの無呼吸および/または呼吸低下の回数の減少、および/または治療を受けている個体が経験する各無呼吸および/または呼吸低下事象の程度の軽減によって証明されたOSASの治療、を提供するのに充分であるが無毒性な活性物質の量を意味する。
【0035】
用語「単位剤形」は、単回投与で治療効果を得るのに充分な活性物質の量を含むあらゆる形の医薬製剤を表す。該製剤が錠剤やカプセルである場合は、該剤形は通常、錠剤やカプセルなどである。過剰投与なしに効率的に最も有効な結果を得る投与頻度は、薬理学的特性と物理学的特性(例えば親水性)の両方を含む特定活性物質の特性によって異なるだろう。
【0036】
用語「制御放出」は、薬剤の放出が急速ではない薬剤含有製剤またはその分画を表し、すなわち「制御放出」製剤の投与は、吸収プールへの薬剤の急速放出をもたらさない。該用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19版 (Easton、PA:Mack Publishing Company、1995)に記載の「非急速放出」と互換性に用いる。一般的には、本明細書で用いている用語「制御放出」には、持続放出および遅延放出製剤が含まれる。
【0037】
用語「持続放出」(「徐放」と同義)は、長時間にわたり薬剤を徐々に放出し、好ましくは、必ずではないが、長時間にわたり薬剤の実質的に一定な血中濃度をもたらす医薬製剤を表す。用語「遅延放出」も、患者に投与した後に、薬剤が該製剤から患者の体内に放出される前の測定可能な時間的遅延をもたらす医薬製剤を表すその従来の意味で使用する。
【0038】
「医薬的に許容される」は、生物学的であってもなくても望ましくないものではない物質を意味し、すなわち、該物質は、いかなる望ましくない生物学的作用を生じることも、医薬製剤中に含まれる他の成分のいずれかと有害に相互作用することもなしに、患者に投与される医薬組成物中に組み込まれる。用語「医薬的に許容される」は、医薬的担体または賦形剤に言及するのに用い、該担体または賦形剤が毒性試験や製造試験の要求される基準を満たすか、米国食品医薬品局が作製したInactive Ingredient Guide(不活性成分指針)に含まれることを意味する。「薬理学的に活性な」誘導体または類似体にあるような「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)は、親化合物と同じタイプの薬理活性を有し、程度がほぼ同等な誘導体または類似体を表す。
【0039】
本発明は、炭酸脱水酵素阻害薬および少なくとも1のさらなる活性剤をOSASに罹患した患者に投与することを含む。炭酸脱水酵素阻害薬は、一般的にはイミダゾール(例えばイミダゾール自体)、イミダゾール誘導体、スルファメート(例えばトピラメート)、およびスルホンアミド(例えばゾニサミド)である。あらゆる炭酸脱水酵素阻害薬を本発明と組み合わせて好都合に用いることができる。適切な炭酸脱水酵素阻害薬の例には、限定されるものではないが、アセタゾラミド (Diamox(登録商標))、ブリンゾラミド、ジクロフェナミド、ジクロルフェナミド (Daranide(登録商標))、ドルゾラミド、フロセミド、イミダゾール、メタゾラミド (Neptazane(登録商標))、フェニルアラニン、トピラメート、およびゾニサミドが含まれる。炭酸脱水酵素阻害薬には、シクロオキシゲナーゼ-2酵素の選択的阻害剤(「cox2阻害剤」)、例えばセレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、およびなども含まれる。本発明と組み合わせて用いる好ましい炭酸脱水酵素阻害薬には、限定されるものではないが、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ジクロフェナミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、フロセミド、イミダゾール、メタゾラミド、フェニルアラニン、トピラメート、ゾニサミド、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、およびエトリコキシブが含まれ、アセタゾラミド、ゾニサミド、およびトピラメートが特に好ましい。本発明の方法に従ってOSASを治療するのに有効なトピラメートの1日用量は、経口投与で、一般的には約5mg〜約800mg、より典型的には約5mg〜約400mg、好ましくは約25mg〜約250mg、最適には約25mg〜約100mgの範囲である。1日用量は、炭酸脱水酵素阻害薬が分割されずに1日1回投与されるか、または2〜4用量に分割することができる。好ましくは、トピラメートは、以下に記載するように、前記範囲の1日用量を達成するために1日に1回または2回持続放出型で投与される。トピラメートおよび他の炭酸脱水酵素阻害薬の1日用量は、通常、同じ投与方法を用い、すでに知られた指示書(例えば、米医薬品便覧に記載の)で処方されおよび/または知られた1日用量のほぼ25%〜200%、より一般的には25%〜100%、最も典型的には25%〜75%であると予期される。
【0040】
好ましい態様において、炭酸脱水酵素阻害薬の用量は、治療当初、一般的には約3〜10週間にわたり、より通常は約3〜約8週間にわたり、望ましくない副作用の確率を減らすために比較的低い初期用量で開始し、徐々に増量する。例えば、トピラメートを用いる典型的投与計画は以下の通りである:治療の最初の約5〜7日間は約25mg/日、次の約5〜7日間は約50mg/日、次の約5〜7日間は約75mg/日、次の約5〜7日間は約100mg/日、次いで本明細書の先に記載の範囲の1日維持用量の投与を継続する。
【0041】
ある態様において、該さらなる活性剤はモダフィニルである。モダフィニルは、中枢神経系で活性な薬剤であり、ナルコレプシーに関連する過剰な昼間の眠気を治療するために開発された。アンフェタミン様薬剤のようにモダフィニルの主な薬理活性は、最初は、記載したようにナルコレプシーの患者の治療において覚醒を、より最近では、OSASおよび交代勤務睡眠障害(SWSD)に関連する昼間の眠気の減少を促すことである。OSASに関連する昼間の眠気の減少の他には、モダフィニルはOSAS自体の治療には承認されておらず、閉塞性睡眠時無呼吸自体の治療への有用性も認識されていない。
【0042】
モダフィニルは、2-[(ジフェニルメチル)スルフィニル]-N-アセトアミドまたはベンズヒドリルスルフィニルアセトアミドとしても知られる合成アセトアミド誘導体であり、その構造と合成方法は、米国特許No.4,177,290(Lafon)に記載されている。モダフィニルの化学式はC15H15NO2Sであり、分子量は273.35g/molである。モダフィニルは水とシクロヘキサンに不溶性であり、メタノールとアセトンに難溶性である。該ラセミ化合物の融点は163〜165℃である。モダフィニルは硫黄原子に不斉中心を有し、2つの光学異性体、すなわちエナンチオマーとして存在する。個々のエナンチオマーの合成は、例えば米国特許No.7,317,126(Rebiere et al.)に記載されており、R-エナンチオマー(「アルモダフィニル」ともいう)は、個体に投与すると治療効果がみられる。モダフィニルの種々の結晶および多形を含む種々の類似体および誘導体も記載されている。米国特許No.6,992,219(Broquaire et al.)および7,132,570(Neckebrock)参照。本明細書で先に記載のこれらのすべての形、類似体、誘導体、エナンチオマーなどは、用語「モダフィニル」に含まれるものとする。
【0043】
モダフィニルは、Cephalon、Inc. (West Chester、Pa)が製造販売しておりProvigil(登録商標)として市販されている。Provigil(登録商標)は、100mgまたは200mgモダフィニルを含む錠剤として提供される。したがって、モダフィニルの1またはそれ以上の単位用量を活性成分として提供する治療用パッケージが完成した医薬容器で市販されている。医薬容器と共に提供される文献には、昼間の眠気を治療するためのモダフィニルの1日用量は200mg/日を朝に単回用量で服用する指示書がある。トピラメートなどの炭酸脱水酵素阻害薬と同様に、本発明の方法の文脈において、本発明のモダフィニルの好ましい経口1日用量は、すでに知られた適用について知られたおよび/または処方された1日用量の約25%〜200%、より一般的には25%〜100%、最も典型的には25%〜75%である。したがって、本発明の文脈においてモダフィニルの好ましい1日用量は、約50mg〜400mg、より一般的には約50mg〜200mg、および最も典型的には約50mg〜約150mgの範囲である。アルモダフィニル、すなわち、鏡像異性的に純粋または豊富な形のモダフィニルのR-エナンチオマーの投与では、好ましい1日用量は、上記用量の約半分であろう。
【0044】
別の態様において、炭酸脱水酵素阻害薬、例えばトピラメートと同時に投与するさらなる活性剤は、非ベンゾジアゼピン系鎮静剤である。本発明で用いる非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の例には、限定されるものではないが、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム、ザレプロン、ガボキサドール、およびインディプロンが含まれ、本発明において好ましい経口1日用量は、これら活性剤について知られたおよび/または処方された1日用量の25%〜200%、より一般的には25%〜100%、最も典型的には25%〜75%に相当する。
【0045】
さらなる態様において、該さらなる活性剤は、少なくとも2つの活性剤の混合物を含む。そのような場合の1例において、炭酸脱水酵素阻害薬は、モダフィニルと上記非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の両方と共に投与される。
【0046】
本発明のさらに別の態様において、治療的有効量の上記炭酸脱水酵素阻害薬を治療的有効量の上記モダフィニルと組み合わせて投与することを含み、治療的有効量の交感神経様作用アミンを同時投与することをさらに含む、OSASの治療方法が提供される。
【0047】
カテコールアミンを含む交感神経様作用アミンには、エピネフリンおよびノルエピネフリンのような交感神経系を活性化する薬剤の作用とよく似たアミン薬がある。すなわち、交感神経様作用アミンには以下のものが含まれる:アンフェタミン、ベンズフェタミン、ブプロピオン、クロロフェンテルミン、コルテロール、ジエチルプロピオン、ドーパミン、ドブタミン、エフェドリン、エピネフリン、エピニン、エチルノルエピネフリン、フェンフルラミン、フェノルダパム、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、メフェンテルミン、メタプロテレノール、メタラミノール、メトキサミン、メトキシフェナミン、ミドドリン、ノルエピネフリン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルエフリン、フェニルエチルアミン、フェニルプロパノールアミン、プレナルテロール、プロピルヘキセドリン、プロトキロール、リトドリン、テルブタリン、ツアミノヘプタン、チラミン、およびその酸付加塩(有機または無機)。前記交感神経様作用アミンの一般的酸付加塩には、限定されるものではないが以下のものが含まれる:ドブタミン塩酸塩、エピネフリン酒石酸水素塩、エチルノルエピネフリン塩酸塩、フェノルドパムメシル酸塩、ヒドロキシアンフェタミン臭化水素酸塩、イソプロテレノール塩酸塩、メフェンテルミン硫酸塩、メタラミノール酒石酸水素塩、メトキサミン塩酸塩、ノルエピネフリン酒石酸水素塩、フェニルエフリン塩酸塩、およびテルブタリン硫酸塩。
【0048】
好ましくは、該交感神経様作用アミンには、フェンテルミン、ブプロピオン、またはクロロフェンテルミンがあり、フェンテルミンおよびブプロピオンが特に好ましい。典型的態様において、投与される炭酸脱水酵素阻害薬はトピラメートであり、投与される交感神経様作用アミンはフェンテルミンであり、トピラメートの1日用量は上記の通りであり、同時投与されるフェンテルミンの対応する1日用量は、トピラメートの1日用量とフェンテルミンの1日用量の重量比が、約2.5:1〜約20:1、典型的には約5:1〜約20:1となるような量である。別の典型的態様において、投与される炭酸脱水酵素阻害薬はトピラメートであり、投与される交感神経様作用アミンはブプロピオンである。ここで、トピラメートの好ましい1日用量は上記の通りであり、同時投与されるブプロピオンの対応する1日用量は、トピラメートの1日用量とブプロピオンの1日用量の重量比が、約1:5〜約3:1、好ましくは約1:4〜約2:1、最も好ましくは約1:4〜約1.5:1の範囲となるような量である。
【0049】
活性剤の投与は、あらゆる適切な投与方法を用いて行うことができる。すなわち、投与は、例えば経口的または非経口的であり得るが、経口投与が好ましい。
【0050】
意図する投与方法に応じて、医薬製剤は、好ましくは正確な用量の単回投与に適した単位剤形の、固体、半固体、または液体、例えば錠剤、カプセル剤、カプレット剤、液剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤、坐剤、顆粒剤、ペレット剤、ビーズ剤、粉末剤などでありうる。適切な医薬製剤および剤形は、医薬製剤の分野で知られ、関連教科書および文献(例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy (Easton、PA: Mack Publishing Co.、1995)に記載の常套的方法を用いて製造することができる。経口投与および経口投与用剤形が一般的に好ましく、これには錠剤、カプセル剤、カプレット剤、溶液剤、サスペンジョン剤、およびシロップ剤が含まれ、複数の顆粒、ビーズ、粉末またはペレット(カプセル化されていてもいなくてもよい)も含まれうる。好ましい経口投与用剤形はカプセル剤および錠剤である。
【0051】
上記のように、本発明の組成物を、投与しやすさと用量の均一性のために単位剤形に製剤化するのが特に好都合である。本明細書で用いている用語「単位剤形」は、個体に投与するための単一用量として適した物理的に分離した単位を表す。すなわち、該組成物は、それぞれが、目的とする治療効果を得るために計算され、予め決定された活性剤の「単位用量」を必要な医薬担体と共に含む分離した投与単位に製剤化される。本発明の単位剤形の仕様は、送達される活性剤の特徴に依存する。用量は、さらに成分の通常の用量と投与方法を参考にして決定することができる。ある場合には、2またはそれ以上の個々の用量単位を組み合わせて活性剤の治療的有効量を得ることに留意すべきであり、例えば、2つの錠剤またはカプセル剤を一緒にして各活性剤の治療的有効量を得ることができ、その場合、各錠剤またはカプセル剤の単位用量は治療的有効量の約50%である。
【0052】
錠剤は、標準的錠剤加工方法および装置を用いて製造することができる。直接圧縮および顆粒化技術が好ましい。活性剤に加え、錠剤は一般的には不活性な医薬的に許容される担体物質、例えば結合剤、潤滑剤、崩壊剤、増量剤、安定化剤、界面活性剤、着色料などを含むだろう。
【0053】
カプセル剤も好ましい経口投与用剤形であり、この場合は、該活性剤を含む組成物は、液体または固体の形でカプセル化することができる(粒子、例えば顆粒、ビーズ、粉末、またはペレットを含む)。適切なカプセル剤は、硬質でも軟質でもよく、一般的にはゼラチン、デンプン、またはセルロース物質でできており、ゼラチンカプセルが好ましい。2ピースの硬ゼラチンカプセルを、ゼラチンバンドなどで密封するのが好ましい。例えば、カプセル化医薬を製造するための材料と方法を記載している、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(本明細書で先に引用)を参照のこと。
【0054】
経口投与用剤形である錠剤、カプセル剤、カプレット剤、または粒剤は、所望であれば、炭酸脱水酵素阻害薬および/または該さらなる活性剤の制御放出をもたらすように製剤化することができ、好ましい態様において、本発明の製剤は、制御放出剤形である。一般的には、該剤形は、延長された期間にわたり該剤形から患者の身体に、約4〜約12時間、典型的には約6〜約10時間の範囲の時間にわたり活性剤の実質的に一定な血液レベルをもたらすような、1またはそれ以上の活性剤、具体的には炭酸脱水酵素阻害薬の持続放出、すなわち、徐放をもたらす。特に好ましい態様において、炭酸脱水酵素阻害薬を含有する剤形を経口投与した後の薬剤の血中濃度はきわめて徐々に増加し、少なくとも4〜6時間が経過するまでピーク血中濃度 (一般的には、トピラメートが約50〜200μg/m1、ゾニサミドが約1〜5μg/m1、またはアセタゾラミドが約10〜35μg/m1)に到達せず、薬剤の血中濃度の増加速度はほぼ直線である。さらに、好ましい態様において、持続放出期間の終了時に血中レベルが均等に徐々に減少する。
【0055】
一般的には、当業者が認識するであろうように、持続放出剤形は、徐々に加水分解する物質、例えば親水性ポリマーのマトリックス内に活性剤を分散させ、固体の薬剤含有剤形をそのような物質でコーティングすることにより製剤化される。持続放出コーティングまたはマトリックスを提供するのに有用な親水性ポリマーには、例えば、以下のものが含まれる:セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、およびカルボキシメチルセルロールナトリウム;アクリル酸ポリマー、および好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アクリルエステル、メタクリル酸アクリルエステルなどから形成されるコポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよび/またはエチルメタクリレートのコポリマー;およびビニルポリマーおよびコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、およびエチレン-ビニルアセテートコポリマー。
【0056】
本明細書において好ましい持続放出剤形は、商標名「Eudragit」(Rohm Pharma (Germany))として市販されているアクリレートとメタクリレートのコポリマーからなる。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNEコポリマーは、有機溶媒に溶解して、水性ディスパージョンで、または乾燥粉末として利用可能である。好ましいアクリレートコポリマーには、メタクリル酸とメチルメタクリレートのコポリマー、例えばEudragit L、およびEudragit Sシリーズポリマーがある。
【0057】
非経口投与用の本発明の製剤には、無菌の水性および非水性溶液、サスペンジョン、およびエマルジョンが含まれる。注射可能水性溶液には、水溶性の活性剤が含まれる。非水性溶媒またはビークルの例には以下のものが含まれる:脂肪油、例えばオリーブ油、コーン油、合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエートまたはトリグリセリド、低分子アルコール、例えばプロピレングリコール、合成親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、リポソームなど。非経口投与用製剤は、アジュバント、例えば可溶化剤、保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤、および安定化剤を含むこともでき、水性サスペンジョンは、該サスペンジョンの粘性を増加させる物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびデキストランが含まれる。注射可能製剤は、滅菌剤を組み込むか、細菌保持フィルターで濾過するか、放射線照射、または加熱により滅菌する。それらは、滅菌注射可能媒質を用いて製造することもできる。該活性剤は、注射により投与する直前に適切なビークルで再構成することができる乾燥(例えば凍結乾燥)型でありうる。
【0058】
活性剤は、常套的経皮ドラッグデリバリーシステムを用いて皮膚から投与することもできる。ここで、活性剤は、皮膚に貼り付けるドラッグデリバリーシステムとして役割を果たすラミネート(層状)構造内に含まれる。そのような構造では、該薬剤組成物は層中、または上部バッキング層の下にある「リザーバー」中に含まれる。ラミネート構造は、単一リザーバーを含むか、または複数のリザーバーを含みうる。ある態様において、該リザーバーは、薬剤送達中、該システムを皮膚に貼り付けるために利用する医薬的に許容される密着接着剤のポリマーマトリックスを含む。あるいはまた、該薬剤含有リザーバーおよび皮膚密着接着剤は、該リザーバーの下にある接着剤で分離した別個の層として存在し、この場合、上記のポリマーマトリックスであるか、液体もしくはヒドロゲルリザーバーであるか、または他の形をとりうる。経皮ドラッグデリバリーシステムは、さらに皮膚透過促進剤を含むことができる。
【0059】
先に記載した製剤に加え、活性剤は、活性剤を制御放出、好ましくは長時間にわたり持続放出させるためのデポー製剤に製剤化することができる。この持続放出剤形は、一般的には移植(インプラント)(例えば、皮下または筋肉内に、または筋肉内注射により)投与される。
【0060】
本明細書に記載の活性剤、すなわち炭酸脱水酵素阻害薬を(1) モダフィニル、(2) モダフィニルおよび非ベンゾジアゼピン鎮痛剤、(3)非ベンゾジアゼピン鎮痛剤、または(4)モダフィニルおよび交感神経様作用アミン、例えばフェンテルミンと組み合わせると、さらなる活性剤は、場合により、治療効果を達成するのに必要な炭酸脱水酵素阻害薬の量を減少させ、例えば交感神経様作用アミン、例えばフェンテルミンやブプロピオンは、炭酸脱水酵素阻害薬、例えば、トピラメート、ゾニサミド、またはアセタゾラミドの最小有効量を減少させることができる。
【0061】
本発明の方法は組み合わせ療法を含むので、該活性剤は、別個に、または1日に同回数または異なる回数、投与することができ、または該活性剤は、単一医薬製剤で投与される。交感神経様作用アミンをモダフィニル、および炭酸脱水酵素阻害薬、例えばトピラメートと共に投与する態様において、一般的には、交感神経様作用アミンは、同じ日に炭酸脱水酵素阻害薬を投与する前に投与することが好ましい。同様の方法において、剤形は、炭酸脱水酵素阻害薬、およびモダフィニルおよび交感神経様作用アミンを含むことができ、交感神経様作用アミンは好ましくは急速放出形であり、炭酸脱水酵素阻害薬およびモダフィニルは所望により制御放出形である。1例として、1日1回投与用の本発明の組み合わせ剤形は、(1) 本明細書に先に記載の治療的有効量のモダフィニル、(2)制御放出(例えば持続放出)形の約5mg〜約800mgのトピラメート、好ましくは約25mg〜約250mgのトピラメート、所望により約25mg〜約100mgのトピラメート、および(3)急速放出形のフェンテルミンまたは制御放出形のブプロピオンと、上記のトピラメートとフェンテルミンの重量比、またはトピラメートとブプロピオンの重量比になる量で存在するさらなる活性剤を含むかもしれない。本発明の他の製剤において、2またはそれ以上のさらなる活性剤(同じクラスの薬剤(例えば交感神経様作用アミン)であってもなくてもよい)が炭酸脱水酵素阻害薬と共に組み合わせて存在することができる。そのような場合は、存在するいずれかまたは各個々のさらなる活性剤の有効量は、一般的には、単一で加える薬剤のみを用いる場合に必要な量に比べて減少するだろう。そのような1日1回投与製剤の具体例には以下のものが含まれる:
(1) 200mg トピラメート、15mg フェンテルミン;50mg モダフィニル;
(2) 200mg トピラメート、10mg フェンテルミン;200mg モダフィニル;
(3) 150mg トピラメート、15mg フェンテルミン;50mg モダフィニル;
(4) 150mg トピラメート、10mg フェンテルミン;100mg モダフィニル;
(5) 100mg トピラメート、15mg フェンテルミン;50mg モダフィニル;
(6) 100mg トピラメート、10mg フェンテルミン;200mg モダフィニル;
(7) 200mg トピラメート、300mg ブプロピオン;100mg モダフィニル;
(8) 200mg トピラメート、250mg ブプロピオン;200mg モダフィニル;
(9) 200mg トピラメート、200mg ブプロピオン;100mg モダフィニル;
(10) 200mg トピラメート、150mg ブプロピオン;50mg モダフィニル;
(11) 200mg トピラメート、100mg ブプロピオン;400mg モダフィニル;
(12) 100mg トピラメート、300mg ブプロピオン;200mg モダフィニル;
(13) 100mg トピラメート、250mg ブプロピオン;100mg モダフィニル;
(14) 100mg トピラメート、200mg ブプロピオン;50mg モダフィニル;
(15) 100mg トピラメート、150mg ブプロピオン;200mg モダフィニル;および
(16) 100mg トピラメート、100mg ブプロピオン;100mg モダフィニル。
【0062】
前記から推測されるように、典型的トピラメート/フェンテルミン製剤は、典型的には50mg、100mg、150mg、または200mg モダフィニルに加えて、100mg〜200mg トピラメート;および100mg〜300mg ブプロピオン;10mg〜15mg フェンテルミン;または100mg〜300mg ブプロピオンおよび5mg〜10mg フェンテルミンを含む。
【0063】
本明細書に記載の全ての特許、特許出願、および刊行物は本明細書の一部を構成する。しかしながら、特定の定義を含む特許、特許出願、および刊行物を参照して組み込む場合は、該特定の定義は、本願の本文の残りの部分、特に本願の特許請求の範囲ではなく、それらが記載されている組み込んだ特許、特許出願、または刊行物に適用されると理解すべきである。
【0064】
本発明をその好ましい具体的態様と組み合わせて説明したが、前記記載は例示であって、本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行い、等価物に置換することができると理解するであろうし、さらに他の局面、利点、および修飾は、当業者に明らかであろう。
【0065】
炭酸脱水酵素阻害薬および少なくとも1のさらなる活性剤を含む製剤は、本明細書に記載に記載のごとく、および/または米国特許No. 7,056,890および7,533,818(Najarian)、および米国特許公開公報No. 2008/0255093(Tam et al.)、2008/0312163(Najarian et al.)(すべてVivus、Inc. (Mountain View、CA)に譲渡された)に記載のごとく製造することができる。OSASの治療における本発明の組み合わせ療法の評価は、例えば、Sleep Apnea: Implications in Cardiovascular and Cerebrovascular Disease、第2版、Bradley et al.編 (Informa Healthcare USA、Inc.、2010)に記載の既知のin vitroおよびin vivo技術を用いて行うことができる。
【実施例】
【0066】
当業者に知られ、および/または適切な文献や教科書に記載の種々の技術が、OSAの治療における本発明の組み合わせ療法の効果を証明する手段を与えることができる。
【0067】
ラットにおける覚醒促進活性の評価:
Edgar et al. (1997) J. Pharmacol. Exper. Therap. 283:757-769に記載の方法論を行って本発明の組成物の覚醒促進活性を評価することができる。具体的には、雄のWistarラットを麻酔し、慢性EEG (脳波)およびEMG (電気筋運動記録)活性を記録するためにインプラントを用いて外科的に調製した。インプラントを外科的に導入後その週の間、ラットに感染予防のため抗生物質を投与し、管理環境下に置く。1週間外科手術後の回復をさせた後、該組成物の評価をラット4〜8匹/群を用い1回かまたは2回に分けた試験期間で行う。各動物について、10週間まで異なる組成物を用いて試験し、連続する試験の間は少なくとも7日間空ける。対照群を各実験に含め、対照群にはモダフィニルおよび/または非ベンゾジアゼピン鎮痛剤を投与し、炭酸脱水酵素阻害薬または交感神経様作用アミンを投与しない。投与は、毎日同じ時間に選んだ投与方法(例えば約5 mL/kgの量を腹腔内注射)を用いて行う。睡眠/覚醒スコアリングは、利用可能なソフトウエア、例えばIcelusソフトウエア(University of Michigan、Ann ArborのMark Oppが開発した)を用い、睡眠および覚醒活動を手動で測定して行う。EEGおよびEMGシグナルは、市販の手段または他の既知の手段を用いて検出し、Icelusプログラムは、6秒間のブロックで検出したEEGおよびEMG値を表示する。覚醒状態を、当該分野で現在知られているEEG周波数および振幅特性、およびEMG活性の視覚分析にしたがって覚醒、急速眼球運動(レム、REM)、または徐波もしくはノンレム睡眠(NREM)としてスコア付けする(Opp et al. (1994) Amer. J. Physiol. 266:R688-95;van Gelder (1991) Sleep 14:48-55;Edgar et al. (1997) J. Pharmacol. Exp. Ther. 283:757-69など参照)。被験組成物が覚醒促進活性を有するか否かを確認するために2つの因子を用いることができる。第1は、投与後30分間の覚醒時間の相対量であり、第2は投与後最初の3時間の総覚醒時間である。各試験で全ての活性値を対応する対照値と比較する。本発明の組成物は、いずれの評価方法を用いてもはるかに大きな覚醒時間を示す、すなわち、前記試験における覚醒促進活性についての有用性が証明されると予期される。本発明の組成物は、既知のまたは開発されるべき別の試験を用いる覚醒促進活性についても有用性が証明されると予期される。
【0068】
OSAに罹患したヒト患者における評価:
OSAに罹患した患者が、吸気と呼気の両方の通気量と空気圧を一晩モニターする睡眠試験に参加する。通気量と空気圧は、患者の鼻と口を覆うマスクに含まれる、線形抵抗にわたる圧の低下を測定することにより機能する呼吸流量計を用いて測定する。この方法を用いて本発明の組成物を評価する前に、各患者の無呼吸を通気量と空気圧の変化の程度、頻度、およびタイミングについて分析する。測定した通気量がゼロのときに無呼吸が起きており、これは通常呼気の中間または終わりにみられる。無呼吸事象の頻度は、単位時間あたりの無呼吸事象数、通常は1時間当たりの無呼吸事象数で定義した無呼吸指数(AI)をもたらす。本発明の組成物は、無呼吸事象の重症度の減少(通気量の相対的増加により測定する)およびAIの減少を評価するために患者に投与される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬、および治療的有効量の、モダフィニル、非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、およびそれらの組み合わせから選ばれるさらなる活性剤を患者に同時投与することを含む、患者の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療方法。
【請求項2】
該さらなる活性剤がモダフィニルである請求項1記載の方法。
【請求項3】
モダフィニルが2つのエナンチオマーのラセミ混合物の形である請求項2記載の方法。
【請求項4】
モダフィニルが、鏡像異性的に純粋または鏡像異性的に豊富化された形のR-モダフィニルである請求項1記載の方法。
【請求項5】
モダフィニルが結晶形である請求項2記載の方法。
【請求項6】
モダフィニルがモダフィニル多形を含む請求項2記載の方法。
【請求項7】
該さらなる活性剤が非ベンゾジアゼピン系鎮静剤を含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
非ベンゾジアゼピン系鎮静剤が、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム、ザレプロン、ガボキサドール、インディプロン、およびそれらの組み合わせから選ばれる請求項7記載の方法。
【請求項9】
さらに、治療的有効量の交感神経様作用アミンを同時に投与することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
交感神経様作用アミンが、アンフェタミン、ベンズフェタミン、ブプロピオン、クロロフェンテルミン、コルテロール、ジエチルプロピオン、ドーパミン、ドブタミン、エフェドリン、エピネフリン、エピニン、エチルノルエピネフリン、フェンフルラミン、フェノルダパム(fenoldapam)、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、メフェンテルミン、メタプロテレノール、メタラミノール、メトキサミン、メトキシフェナミン、ミドドリン、ノルエピネフリン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルエフリン、フェニルエチルアミン、フェニルプロパノールアミン、プレナルテロール、プロピルヘキセドリン、プロトキロール、リトドリン、テルブタリン、ツアミノヘプタン、チラミン、およびそれらの組み合わせから選ばれる請求項9記載の方法。
【請求項11】
交感神経様作用アミンがフェンテルミンである請求項10記載の方法。
【請求項12】
炭酸脱水酵素阻害薬がスルファメート化合物またはスルホニル尿素化合物である請求項1記載の方法。
【請求項13】
炭酸脱水酵素阻害薬が、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ジクロフェナミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、フロセミド、イミダゾール、メタゾラミド、フェニルアラニン、トピラメート、ゾニサミド、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、およびエトリコキシブから選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項14】
炭酸脱水酵素阻害薬がトピラメートである請求項13記載の方法。
【請求項15】
炭酸脱水酵素阻害薬がトピラメートである請求項2記載の方法。
【請求項16】
炭酸脱水酵素阻害薬およびさらなる活性剤が同時に投与される請求項1記載の方法。
【請求項17】
炭酸脱水酵素阻害薬および該さらなる活性剤がさらに医薬的に許容される賦形剤を含む単一医薬製剤で投与される請求項16記載の方法。
【請求項18】
医薬製剤が制御放出剤形である請求項17記載の方法。
【請求項19】
医薬製剤が1日1回投与用の単位剤形であり、該製剤が1日1回投与される請求項18記載の方法。
【請求項20】
炭酸脱水酵素阻害薬および該さらなる活性剤が経口投与される請求項1記載の方法。
【請求項21】
治療的有効量のトピラメートが約5mg〜800mgの範囲であり、治療的有効量のモダフィニルが約50mg〜400mgの範囲である請求項15記載の方法。
【請求項22】
治療的有効量のトピラメートが約5mg〜400mgの範囲であり、治療的有効量のモダフィニルが約50mg〜100mgの範囲である請求項21記載の方法。
【請求項23】
さらに約2.5mg〜15mgの範囲の治療的有効量のフェンテルミンを投与することを含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
治療的有効量の、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ジクロフェナミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、フロセミド、イミダゾール、メタゾラミド、フェニルアラニン、トピラメート、およびゾニサミドから選ばれる炭酸脱水酵素阻害薬、ならびに治療的有効量の非ベンゾジアゼピン系鎮静剤
を患者に経口投与することを含む患者の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療方法。
【請求項25】
炭酸脱水酵素阻害薬がトピラメートである請求項24記載の方法。
【請求項26】
治療的有効量の炭酸脱水酵素阻害薬、ならびに(a) 治療的有効量の交感神経様作用アミン;(b) 治療的有効量のモダフィニル;および(c) 治療的有効量の非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の少なくとも1を含む医薬製剤。
【請求項27】
トピラメート、フェンテルミン、およびモダフィニルを含む請求項26記載の方法。
【請求項28】
炭酸脱水酵素阻害薬、ならびに(a) モダフィニル、(b) 非ベンゾジアゼピン系鎮静剤、(c) モダフィニルと非ベンゾジアゼピン系鎮静剤の両方、または(d)モダフィニルおよび交感神経様作用アミン;ならびに
OSASの治療における活性物質の投与のための指示書を含む包装された医薬製剤。

【公表番号】特表2013−516488(P2013−516488A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548185(P2012−548185)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020588
【国際公開番号】WO2011/085256
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(510324931)バイバス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】VIVUS, INC.
【Fターム(参考)】