説明

炭酸飲料用無菌充填装置

【課題】クリーンブースを小さくしてコストを減らし、充填バルブ周辺の保守を容易にし、ガス配管内の滅菌を確実にする炭酸飲料用充填装置を提供する。
【解決手段】複数の充填バルブ11と、液用ロータリジョイントと、充填液タンク54と、液面レベルセンサ63と、液流量調整弁58と、容器グリッパと、排気通路37cと、排気通路開閉弁34cと、カウンタガス通路37aと、カウンタガス通路開閉弁34aと、炭酸ガス用ロータリジョイントと、炭酸ガス通路と、流量計26とを備え、搬送回動する容器8を充填バルブ11に当接し容器口シールによって密封し、炭酸ガス圧をかけた状態で充填を行う炭酸飲料用無菌充填装置において、炭酸ガスを滅菌する滅菌フィルタ56が、前記ロータリジョイントと充填液タンク54を繋ぐ炭酸ガス通路72に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスにより液貯留部に背圧が加えられている炭酸飲料等の液を容器に充填する充填装置に関し、特に、充填バルブで処理される飲料液と炭酸ガスを無菌状態とし、充填バルブ周辺を無菌加圧ガスで囲う充填装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1に示す回転式無菌充填装置は、充填液は下部に置かれたロータリジョイントを通じて上部に設置された環状のフィラーボウルに供給され、フィラーボウルから各充填バルブへ配給され、炭酸飲料を充填する構成の充填装置である。充填バルブ内周の回転部囲いと外周の固定部囲いとの間をシールして内外のガスの交流を断って無菌室が形成され、この無菌室には、容器を載せて上下に移動可能な容器台と充填ノズル、容器を搬送する搬送手段を内包する。
【0003】
また、特許文献2に示す従来例の充填装置は、充填機本体はクリーンブース内に収容され、充填液と充填時に容器内空気と置き換えられる加圧炭酸ガスは、クリーンブースの外に設置された充填液貯留タンクから充填機本体の上部に置かれたロータリジョイントを通して充填機本体に供給される構成の無菌充填装置である。充填工程で排気される炭酸ガスは充填機本体の下部に置かれた下部ロータリジョイントから機外に排出される。
【0004】
また、特許文献3に示す従来例は、特許文献2の無菌充填装置と殆ど同じ構成を有しており、充填機本体を覆っているクリーンブースの上部に露出しているロータリジョイントを覆うサブチャンバーを追加し、このサブチャンバーにクリーンブースと別の加圧ガスを送り込む構成の充填装置である。
【特許文献1】特開2003−40396号公報(図2)
【特許文献2】特開2004−315045号公報(図1)
【特許文献3】特開2005−14918号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来の充填装置は、充填液配管がフィラーボウルへ通じ、充填バルブは旧式の容器内圧力バランス液面設定型充填バルブとなっているので、充填バルブの構造が複雑であり、コスト高で、保守が面倒である。また、ガス配管経路の炭酸ガスの除菌処理不十分等の問題点がある。
【0006】
また、特許文献2及び特許文献3に示す充填装置は、充填液タンクが外部に設置されているので設置面積大きく、また、充填機本体全体を覆っているクリーンブースが大きく、充填液タンクは充填バルブや給液部より下部に配置しているので、配管内部において発生したガスが配管内に溜まって充填液が配管内で滞る虞がある。
本発明は、クリーンブースを小さくしてコストを減らし、充填バルブ周辺の保守を容易にし、ガス配管内の滅菌を確実にする炭酸飲料用充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題点に対し、本発明は以下の各手段により課題の解決を図る。
(1)第1の手段の炭酸飲料用無菌充填装置は、回転体の一定円周上に等間隔に設けられていて充填液通路と該通路を開閉する液バルブを有し容器と充填バルブをシールするシール手段を備えた複数の充填バルブと、固定側は固定部材に回転側は回転体に取付けられた液用ロータリジョイントと、回転体の上部に設置され前記充填バルブのそれぞれに連通するように設けられた複数の給液管と連結する充填液タンクと、該充填液タンク内に設置された液レベルセンサと、前記液用ロータリジョイントから充填液タンクへ通じる充填液配管に設置され前記液レベルセンサの信号により充填液の流量を調整する液流量調整弁と、容器を充填バルブの真下に位置するように搬送する容器リフトを備えた容器グリッパと、充填バルブそれぞれに設けられ容器内の気体を排出する排気通路と、該排気通路を開閉する排気通路開閉弁と、前記充填バルブに設けられ容器内に加圧ガスを供給するカウンタガス通路と、該カウンタガス通路を開閉するカウンタガス通路開閉弁と、前記排気通路と前記カウンタガス通路と外部の炭酸ガス供給部、排気部とを繋ぐ炭酸ガス用ロータリジョイントと、前記炭酸ガス用ロータリジョイントと前記充填液タンクを繋ぐ炭酸ガス通路と、前記充填バルブのそれぞれの充填液通路を流れる充填液の流量を計測する流量計とを備え、搬送回動する容器を充填バルブに当接しシール手段によって密封し、炭酸ガス圧をかけた状態で充填を行う炭酸飲料用無菌充填装置において、炭酸ガスを滅菌する滅菌フィルタを前記ロータリジョイントと前記充填液タンクを繋ぐ炭酸ガス通路に設置したことを特徴とする。
【0008】
(2)第2の手段の炭酸飲料用無菌充填装置は、上記(1)の炭酸飲料用無菌充填装置の液用ロータリジョイントが充填液タンクの下部に回転体の回転軸を中心軸として設置され充填液通路が上向きに伸びて充填液タンクと連通するようにしたことを特徴とする。
【0009】
(3)第3の手段の炭酸飲料用無菌充填装置は、上記(1)及び(2)の炭酸飲料用無菌充填装置において、上記充填バルブと容器グリッパを外気からシールして遮断したクリーンブース内に収容し、充填手段への容器供給入口部を洗浄部につなぎ、容器排出部を容器通過し得る最小の面積として充填装置の充填バルブ周辺を外気から遮断するようにしたことを特徴とする。
【0010】
(4)第4の手段の炭酸飲料用無菌充填装置は、上記(1)〜(3)の炭酸飲料用無菌充填装置において、上記充填液タンクの上部にシャワーノズルを設置し、シャワーノズルにサニテーション用の洗浄液配管を連通して充填液配管につなぎ、該充填液配管に充填液と洗浄液を切り換える切換弁を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係わる発明は、上記の第1の手段の炭酸飲料用無菌充填装置であって、充填液タンクを本体に内蔵するので充填機本体は大きくなるが、システム全体としては小型となっており、保守、点検が容易である。また、配管経路は充填機本体内で完了するので、充填機の設置場所による配管系の制約を考慮する必要が無い。また、充填機本体内でロータリジョイントから充填液タンクへの炭酸ガス配管に滅菌フィルタを配設しているので、ロータリジョイントにおける炭酸ガス経路は無菌仕様にする必要が無く、構造も簡単となり、コストを安くできる効果がある。
【0012】
請求項2に係わる発明は、上記の第2の手段の炭酸飲料用無菌充填装置であって、充填機本体に内蔵する充填液タンクは充填バルブや給液部であるロータリジョイントより上部に配置しているので、配管内部において発生したガスが配管内を上昇して充填液タンクの水面上に集められるので、充填液が配管に滞る恐れが無い。また、ロータリジョイントから充填液タンクへの液通路は上方に向いていて、製品液や洗浄液を抜くとき液通路に流れが滞ることがなく、CIP(Cleaning in Place:定置洗浄)が容易である。
【0013】
請求項3に係わる発明は、上記の第3の手段の炭酸飲料用無菌充填装置であって、クリーンブースを小さくし、装置コストを小さくする効果がある。
請求項4に係わる発明は、上記の第4の手段の炭酸飲料用無菌充填装置であって、充填液タンクのCIP時に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は実施の形態に係わる炭酸飲料用無菌充填機と周辺機器間を搬送される容器の流れと加圧ガスチャンバーの囲う範囲を示す平面図、図2は図1に示す炭酸飲料用無菌充填機の要素部品間を流れる充填液及び炭酸ガス等の配管系統図、図3は図1の炭酸飲料用無菌充填機の充填バルブ周辺とクリーンブースの概略を示す側面断面図、図4は図1の炭酸飲料用無菌充填機を洗浄するときの充填液及び炭酸ガス等の配管上の開閉弁の作動状態を示す配管系統図である。
【0015】
図1によって炭酸飲料用無菌充填装置におけるPETボトルの搬送の流れ説明をする。空のPETボトル8は洗浄部Wにおいて洗浄殺菌されて搬送スターホイール2より充填部Fのスターホイール3へ渡され、スターホイール5を経て炭酸飲料用無菌充填機10へ送り込まれる。炭酸飲料用無菌充填機10で炭酸飲料を充填された実入りPETボトル8Aはスターホイール9に渡され、スターホイール9からキャッピング機40に送られ、キャッピング機40においてキャップが被せられ、巻締め封止される。ガス入飲料の実入りPETボトル8Aは搬出コンベア47により機外に搬出される。PETボトル8,8Aの流れに沿って洗浄部Wと充填部Fの境界から搬出コンベア47までクリーンブース4に覆われる。図1の破線でハッチングされたクリーンブース4には常時、加圧された無菌ガス又はエアが送り込まれる。実入りPETボトル8Aの出口部は外気の進入をできるだけ少なくするため実入りPETボトル8Aがやっと通る開き口48とする。
【0016】
図2により炭酸飲料用無菌充填機10の構成を説明する。カウンタガスとして炭酸ガスを使用する場合について説明する。
炭酸飲料用無菌充填機10の上部に、固定部材と回転体に結合される上部ロータリジョイント51が設置される。上部ロータリジョイント51の固定側には、固定側の電気信号線66と操作エア配管69と炭酸ガス配管68とが結合され、上部ロータリジョイント51の回転側の電気信号線66Aと操作エア配管69Aとは炭酸飲料用無菌充填機10の回転側に設置された回転制御盤53に結合され、炭酸ガス配管68Aはガス圧調整弁86でガス圧力が調整制御されて炭酸ガス配管72となり、充填液タンク54及び複数の充填バルブ11へ送られる。炭酸ガスを滅菌する滅菌フィルタ56が上部ロータリジョイント51と充填液タンク54の間の炭酸ガス配管72に設置してある。これにより上部ロータリジョイント51から充填液タンク54への炭酸ガス配管72に滅菌フィルタ56を配設しているので、上部ロータリジョイント51における炭酸ガス経路は無菌仕様にする必要が無く、構造も簡単となり、コストを安くできる効果がある。
【0017】
85は炭酸ガスの逆流を防ぐ逆止弁である。炭酸ガス配管72、配管75、炭酸ガス通路32a(図3に示すようにガス通路ブロック32に形成されている。)に通じる配管76に圧力調整弁91が設置される。圧力調整弁91は配管77を通じてリターンガス配管であるガス排出通路32bに結合され、充填液タンク54内のガス圧を検出するガス圧センサ64が検出したガス圧を回転制御盤53で設定圧と比較し、設定圧より高かったとき、充填液タンク54に供給される炭酸ガスの圧力が設定圧になるように制御する。また、ガス圧調整弁86は、ガス圧センサ64が検出したガス圧が充填液タンク54の設定ガス圧より低いとき、回転制御盤53から指示して設定圧まで上がるように制御する。開閉弁92,93は、炭酸飲料用無菌充填機10を停止するときや、作業開始前、作業停止時等の殺菌洗浄時に炭酸ガスを抜く場合に使われる。95は配管系統内の過大圧を避けるための圧力安全弁である。
【0018】
炭酸飲料用無菌充填機10の下部に、固定部材と回転体に結合される下部ロータリジョイント52が設置される。外部の固定配管59から下部ロータリジョイント52を介して充填液が炭酸飲料用無菌充填機10の中心を通る充填液配管57により垂直に上昇して上部に設置された充填液タンク54に流入する。106,108は開閉弁であり、開閉弁108は滅菌洗浄液供給配管107により供給される滅菌洗浄液の切換時に使用される。
【0019】
ガス排出通路32bも下部ロータリジョイント52に結合され、リターンガスは固定側のガスリターン配管81へ排出される。
117はガスと水の分離器であり、分離器117から分岐した排水用配管115には開閉弁116が設置される。滅菌洗浄液供給配管107と排水用配管115の間に分岐配管111が設置され、分岐配管111には開閉弁112が備えられる。分離器117、排水用配管115、開閉弁116、分岐配管111、開閉弁112はCIPを行うときに使用される、
【0020】
充填液タンク54には充填バルブ11のそれぞれに連通し充填液を配送する複数の給液配管12が取付けられている。充填液タンク54内に充填液の水面高さを検出する液面レベルセンサ63が設置され、充填液配管57に設置された液流量調整弁58が液面レベルセンサ63の信号により充填液の流量を調整して充填液タンク54内の充填液の液面高さを設定範囲に制御する。
【0021】
図3に示すように、充填液通路17aを開閉する液バルブ18を有する複数の充填バルブ11は、上部回転板20の一定円周上に等間隔に設けられている。各充填バルブ11の下部にはPETボトル8を保持するグリッパを備えPETボトル8を充填バルブ11の真下に位置するように搬送し、充填バルブ11に当接するために上下動する容器昇降手段35が設置される。
【0022】
各充填バルブ11にPETボトル8が当接され、充填液を充填する工程にはカウンタガスである炭酸ガスをPETボトル8内のエアと置き換える必要があり、そのため加圧ガスをPETボトル8内に供給する炭酸ガス通路37a、炭酸ガス通路37aを開閉する炭酸ガス通路開閉弁34a、PETボトル8から炭酸ガスに置き換えられた空気を排出する排気通路37c、排気通路37cを開閉する排気通路開閉弁34c、PETボトル8に充填液を充填後にPETボトル8の内圧を大気圧に戻すために反応ガスを排出させるためのスニフトガス通路37bと、スニフトガス通路37bに設置された絞り弁29、スニフトガス通路37bを開閉するスニフトガス通路開閉弁34bが設置されている。
【0023】
図3により充填バルブ11とその周辺の構成について説明する。充填バルブ11は上部回転板20によって支持されている。充填バルブ11の本体17には、充填液である炭酸飲料を供給する給液配管12と、炭酸ガス通路37a、スニフトガス通路37bと、充填のとき、PETボトル8内から追い出されたエアやエアに置き換えられた炭酸ガスを排出する排気通路37cが連結している。給液配管12には炭酸飲料の供給量を計測する流量計26と、液量を2ステップに調整できる流量切換弁27が設けてある。
【0024】
充填バルブ11の本体17の上にエアシリンダ22が取付けられ、エアシリンダ22の駆動ロッド部に液バルブ18が固着される。液バルブ18は電磁弁24において、図示せぬ制御装置からの操作信号により圧縮エアの通路が切り換えられてエアシリンダ22が駆動され、充填液通路17aを開閉する。15は液バルブ18のテーパー18aに形成された溝に嵌め込まれたシールパッキンである。
【0025】
PETボトル8を充填バルブ11の下側開口部に設けられた容器口シール43に当て、エアシリンダ22を駆動して液バルブ18を開いて炭酸飲料を充填するとき、電磁弁25の作動により流量切換弁27を先ず大流量側に開き、充填が進んで充填量がPETボトル8の容量に達する前に小流量に切り換え、積算流量が設定値となったとき、エアシリンダ22を逆作動して液バルブ18を閉じる。19は容器口シール43を本体17に装着するナットである。
【0026】
各充填バルブ11の本体17にはそれぞれ炭酸ガス通路37a、スニフトガス通路37b、排気通路37cが結合され何れの通路も本体17内の充填液通路17aと通じるガス管17bに連通している。それぞれの前記ガス通路37a,37b,37cは開閉弁ブロック31に取り付けられた各開閉弁34a,34b,34cによって開閉される。開閉弁ブロック31はリング状のガス通路ブロック32に取付けられ、ガス通路ブロック32には炭酸ガス通路32aとガス排出通路32bが備えられている。
【0027】
PETボトル8をグリップした容器グリッパ41は容器昇降手段35により上下移動してPETボトル8を充填バルブ11の下側の容器口シール43に接離する。容器昇降手段35は上部回転板20と縦通材23により一体になっている下部回転板21に取付けられ、充填バルブ11と一緒に回転する。容器昇降手段35の昇降軸36にはカムフォロワ42が備えられ、外部固定のカム46の作用により炭酸飲料用無菌充填機10の回転時、所定の角度位置で容器グリッパ41を昇降させる。
【0028】
上部回転板20と下部回転板21の内周側で、縦通材23に沿って内側囲い16が取付けられ、また、両回転板20,21の外周側には、外部固定部材28に固定した外側囲い7の水封ラビリンス38,39に浸かってガスシールする下向きのラビリンス板が取付けられている。上部回転板20と下部回転板21と内側囲い16と外側囲い7とで囲われたクリーンブース4には、常時、外気圧より高い圧力がかかっている。下部回転板21と容器昇降手段35の間に設けられた圧縮ばね45は容器昇降手段35に上昇力を与えるためのもの、ベローズ44はクリーンブース4の内部と遮断するためのものである。
【0029】
図2により炭酸飲料用無菌充填機10の充填作用を説明する。
後述するCIPにより、充填バルブ11への給液配管12、充填バルブ11の本体17の充填液通路17a、液バルブ18、各ガス通路37a,37b,37c、充填バルブ11のPETボトル8に接触するシール面等の充填液と処理ガスである炭酸ガスが触れる部分を滅菌処理し、CIPに使用した洗浄液、水蒸気を各配管系統から抜き去る。次いで開閉弁106を開いて、充填液を充填液配管57を通じて充填液タンク54に送り、貯留し、ガス圧調整弁86を開いて充填液タンク54内の充填液にカウンタ圧をかけた後、容器グリッパ41で殺菌洗浄済みのPETボトル8を把持し、容器昇降手段35で上昇してPETボトル8のネックリングを充填バルブ11の容器口シール43に当ててシールし、充填を開始する。
【0030】
炭酸ガス通路開閉弁34aを開いて無菌の炭酸ガスを充填バルブ11へ送り出し、同時に、排気通路開閉弁34cを開いてPETボトル8内のエアを排気通路37c、ガス排出通路32b、下部ロータリジョイント52を経てガスリターン配管81へ排出する。PETボトル8内が炭酸ガスに置き換えられた後、排気通路開閉弁34cを閉じ、PETボトル8内を充填液タンク54と同圧にして充填バルブ11の液バルブ18を上方に引き上げて充填液通路17aを開き流量計26により炭酸飲料の流量を検出し、積算して設定量に達したらエアシリンダ22で液バルブ18を駆動して充填液通路17aを閉じ、スニフトガス通路開閉弁34bを開いて充填バルブ11のシール空間のガス圧を常圧にスニフトして充填を完了する。
【0031】
図4により炭酸飲料用無菌充填機10の充填液、炭酸ガスが通る機能品、配管等のCIP作用を説明する。
CIPの作業は炭酸飲料用無菌充填機10が停止しているときに行われる。図示しない制御装置の指示により、充填液供給配管である固定配管59の開閉弁106を閉じ、分岐配管111の開閉弁112を開き、排水用配管115の開閉弁116を開いて、充填液配管57、充填液タンク54から充填液を抜き、また、エアシリンダ22を操作して液バルブ18を開に作動して給液配管12、充填バルブ11から充填液を抜いた後、全部の充填バルブ11の下側開口部に蓋99を取付け、密封し、容器昇降手段35は容器グリッパ41と共に充填バルブ11の下方に離して置く。ガス圧調整弁86を閉にし、クリーンブース4の外に在る滅菌用水蒸気配管84とクリーンブース4内の水蒸気配管82を水蒸気用カップリング83で結合する。
【0032】
分岐配管111の開閉弁112を閉じ、滅菌洗浄液供給配管107上の開閉弁108を開にして、滅菌洗浄液を下部ロータリジョイント52を経て充填液配管57へ送り込む。液流量調整弁58を閉じて充填液タンク54へ滅菌洗浄液が直接流入することを避け、開閉弁96を開いて滅菌洗浄液配管61から充填液タンク54内の洗浄ノズル62へ送り、充填液タンク54内を洗浄する。
【0033】
滅菌洗浄液が充填液タンク54内に適量貯留したことを液面レベルセンサ63で確認して各充填バルブ11の液バルブ18を引き上げて充填バルブ11を開き、排気通路37cの排気通路開閉弁34cを開くと滅菌洗浄液は排気配管78、ガス排出通路32b、下部ロータリジョイント52を経てガスリターン配管81を経て分離器117でガス成分と温水を分離し、それぞれ機外に排出される。このとき、排水用配管115の開閉弁116は開いて置く。滅菌洗浄液の通る配管を図4において、太い実線で示している。
【0034】
次に、滅菌洗浄液供給配管107の開閉弁108を閉じて滅菌洗浄液の供給を止め、液流量調整弁58、開閉弁96を開いて充填液タンク54、給液配管12、充填バルブ11内の滅菌洗浄液を固定配管59及び、ガスリターン配管81から排出し、開閉弁94、開閉弁88を開いて水蒸気配管82から水蒸気を導入する。水蒸気は滅菌フィルタ56、全てのガス配管、液配管、コンデンス水配管73を通って残った水蒸気とコンデンスした水が加わった洗浄水とをガスリターン配管81へ送り、ガスリターン配管81の分離器117で水蒸気と温水を分離し、水蒸気はガスリターンへ、温水は開閉弁116を開いて排水用配管115から排出してCIPを終了する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係わる炭酸飲料用無菌充填機と周辺機器間を搬送される容器の流れとクリーンブースの囲う範囲を示す平面図である。
【図2】図1の炭酸飲料用無菌充填機の要素部品間を流れる充填液及び炭酸ガス等の配管系統図である。
【図3】図1の炭酸飲料用無菌充填機の充填バルブ周辺とクリーンブースの概略を示す側面断面図である。
【図4】図1の炭酸飲料用無菌充填機を洗浄するときの充填液及び炭酸ガス等の配管上の開閉弁の作動状態を示す配管系統図である。
【符号の説明】
【0036】
4…クリーンブース、
7…外側囲い、
8…PETボトル、
10…炭酸飲料用無菌充填機、
11…充填バルブ、
12…充填液配管、
16…内側囲い、
18…液バルブ、
20…上部回転板、
21…下部回転板、
26…流量計、
34a…炭酸ガス通路開閉弁、
34c…排気通路開閉弁、
35…容器昇降手段、
37a,72…炭酸ガス通路、
37c…排気通路、
41…グリッパ、
43…容器口シール、
51…上部ロータリジョイント、
52…下部ロータリジョイント、
53…回転制御盤、
54…充填液タンク、
56…滅菌フィルタ、
57…充填液供給配管、
58…液流量調整弁、
61…滅菌洗浄液配管、
62…洗浄ノズル、
106,108…開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の一定円周上に等間隔に設けられていて充填液通路と該通路を開閉する液バルブを有し容器と充填バルブをシールするシール手段を備えた複数の充填バルブと、
固定側は固定部材に回転側は回転体に取付けられた液用ロータリジョイントと、
回転体の上部に設置され前記充填バルブのそれぞれに連通するように設けられた複数の給液管と連結する充填液タンクと、
該充填液タンク内に設置された液レベルセンサと、
前記液用ロータリジョイントから充填液タンクへ通じる充填液配管に設置され前記液レベルセンサの信号により充填液の流量を調整する液流量調整弁と、
容器を充填バルブの真下に位置するように搬送する容器リフトを備えた容器グリッパと、
充填バルブそれぞれに設けられ容器内の気体を排出する排気通路と、
該排気通路を開閉する排気通路開閉弁と、
前記充填バルブに設けられ容器内に加圧ガスを供給するカウンタガス通路と、
該カウンタガス通路を開閉するカウンタガス通路開閉弁と、
前記排気通路と前記カウンタガス通路と外部の炭酸ガス供給部、排気部とを繋ぐ炭酸ガス用ロータリジョイントと、
前記炭酸ガス用ロータリジョイントと前記充填液タンクを繋ぐ炭酸ガス通路と、
前記充填バルブのそれぞれの充填液通路を流れる充填液の流量を計測する流量計とを備え、搬送回動する容器を充填バルブに当接しシール手段によって密封し、炭酸ガス圧をかけた状態で充填を行う炭酸飲料用無菌充填装置において、
炭酸ガスを滅菌する滅菌フィルタを、前記ロータリジョイントと前記充填液タンクを繋ぐ炭酸ガス通路に設置したことを特徴とする炭酸飲料用無菌充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載する炭酸飲料用無菌充填装置の液用ロータリジョイントが充填液タンクの下部に回転体の回転軸を中心軸として設置され充填液通路が上向きに伸びて充填液タンクと連通するようにしたことを特徴とする炭酸飲料用無菌充填装置。
【請求項3】
請求項1及び2に記載する炭酸飲料用無菌充填装置において、上記充填バルブと容器グリッパを外気からシールして遮断したクリーンブース内に収容し、充填手段への容器供給入口部を洗浄部につなぎ、容器排出部を容器通過し得る最小の面積として充填装置の充填バルブ周辺を外気から遮断するようにしたことを特徴とする炭酸飲料用無菌充填装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載する炭酸飲料用無菌充填装置において、上記充填液タンクの上部にシャワーノズルを設置し、シャワーノズルにサニテーション用の洗浄液配管を連通して充填液配管につなぎ、該充填液配管に充填液と洗浄液を切り換える切換弁を設置したことを特徴とする炭酸飲料用無菌充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−42833(P2010−42833A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207772(P2008−207772)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】