説明

点灯装置

【課題】スイッチング素子用の制御ICを望ましい順序で起動または停止でき、これらの制御ICを安定動作させることができる点灯装置を提供すること。
【解決手段】点灯装置は、力率改善回路6や降圧チョッパ回路8やフルブリッジ回路10等の複数のスイッチング回路と、各スイッチング回路用の制御ICと、この制御IC用の駆動電圧供給回路14とを備える。駆動電圧供給回路14は、各制御ICへ駆動電圧を供給する。各制御ICは、スイッチング回路のスイッチング素子へ駆動電圧を与えてこれを動作させる。また、検出手段16および判断手段18を備える。検出手段16は、駆動電圧供給回路14からの駆動電圧を検出する。判断手段18は、駆動電圧供給回路14の立ち上がりの際に、検出された駆動電圧が規定値に達するのを待ってから、外部電源側から光源側に向けて順番に各制御ICへ駆動電圧の出力開始を指令するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
放電灯点灯装置やLED点灯装置等の点灯装置に関し、具体的には、点灯装置に用いられるスイッチング素子を駆動させる制御ICやドライバー回路等の起動および停止の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは高周波出力を行なうことができ、かつ、容易に矩形波を出力できることからHID光源である高圧放電灯の点灯装置に利用されている。また、LED光源等を点灯させる直流電源装置にも利用されるようになった。インバータには、高周波駆動できるパワーMOSFET等のスイッチング素子が多用されており、これらのスイッチング素子を駆動させるために専用のアナログ制御ICを使うことが多い。近年、スイッチング素子用の制御ICは、低価格で市場に流通しており、また、高機能を備えたものも多くなってきている。このため、点灯装置に複数のスイッチング素子を含む場合、1または複数のスイッチング素子を含む回路ブロック毎に、その回路ブロック専用の制御ICを設けて、回路ブロック単位で動作させるようにしてきた。各々の制御ICへ供給される制御電圧の規定値は、通常15V程度であり、点灯装置に設けられた制御電源回路から供給される。この制御電源回路への電源は、点灯装置の本体側から取り、例えば、本体側への入力電力の一部を使ったり、本体側で直流化された電力の一部を使ったりする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−55296号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、制御電圧により複数の制御ICを動作させる際、希望する順番に起動しないで、順不同に起動してしまい、または制御ICが起動しても動作が不安定な状態に陥ってしまうことがあり、回路故障の一因と考えられるようになっていた。これは、回路ブロック毎に設けられた専用の制御ICの動作電圧、特に最低動作電圧が他の制御ICのものと一致しておらず、各々の最低動作電圧が異なるためである。点灯装置への電源投入時に、先ず制御電源回路が立ち上がり、その立ち上がりの過程で、制御電源回路からの制御電圧が上昇して規定の15Vに達する。この上昇過程で、制御電圧が早く最低動作電圧に達した制御ICから先に起動してしまうのである。しかし、制御ICは回路ブロックの機能や特性に合わせて設けられるものであるので、互いの制御ICの最低動作電圧を揃えることは非常に困難である。そのため、最低動作電圧の異なる制御ICを多用しても、希望する順番で起動できるようにする必要が生じていた。
【0005】
また、点灯装置への電源遮断時において各制御ICを停止させる際、希望する順番に停止しないで、順不同に停止してしまうことがある。これも、制御ICの各々の最低動作電圧が異なるためであり、制御電圧の下降過程の際、制御電圧が早く最低動作電圧に到達した制御ICから先に停止してしまうのである。しかも、制御ICによっては、制御電圧が最低動作電圧より低くなっても誤動作しながら出力を出し続けるものがあり、制御ICの動作が不安定な状態に陥ってしまうこともあり、順不同に停止してしまうことと共に、回路故障の一因と考えられるようになっていた。
【0006】
なお、制御電源回路への電源供給を、専用バッテリー等で行う場合にも、専用バッテリー等から制御電源回路への電源投入時や電源遮断時に同様のことが起こり得る。また、電源投入時や電源遮断時だけでなく、外部電源の供給変動による電圧低下の際や、バッテリー残量が低下する際等にも、同様のことが起こり得る。
【0007】
図5に一般的なインバータを用いた放電灯点灯装置の全体構成図を示す。この放電灯点灯装置は、交流電源2からの入力電力を所望の出力電力に変換し、これを放電灯4に供給する装置であり、図5に記載されるように、力率改善回路6と、降圧チョッパ回路8と、フルブルッジ回路10と、パルス発生回路12とを備える。力率改善回路6は、入力電力を平滑化するとともに、入力電流の波形歪みを修正して高調波電流を除去するもので、そのための高周波のスイッチング素子を有する。降圧チョッパ回路8は、力率改善回路6の出力を定電力化するためのもので、専用の高周波のスイッチング素子を有する。フルブルッジ回路10は、降圧チョッパ回路8の出力を矩形波電圧に変換するとともにその交番周波数を調整するもので、フルブリッジ形に接続された4個のスイッチング素子で構成されている。パルス発生回路12は、始動時に高圧パルスを発生し、これをフルブルッジ回路10からの矩形波電圧に重畳させて放電灯に印加させるものである。
【0008】
各回路には、その回路が有するスイッチング素子を駆動するための制御IC(IC−1〜IC−4)が接続されている。また、これらの制御ICへ制御電圧を供給する制御電源回路14が設けられている。以降の説明では、スイッチング素子を含む力率改善回路6、降圧チョッパ回路8およびフルブルッジ回路10等を単に「スイッチング回路」と呼んで説明する場合がある。
【0009】
このような構成の従来の放電灯点灯装置に交流電源を投入または遮断する場合の、各制御ICの起動または停止の過程を図6のタイムチャートに示す。図6のように交流電源の投入とほぼ同時に、制御電源回路14の出力(制御電圧)の上昇が始まり、所定の上昇期間内に規定値に達する。また、交流電源の遮断を行なってから所定時間経過後に、制御電圧の下降が始まる。電源遮断後は、制御電源回路14のコンデンサ等に蓄えられた電荷が放出されて、所定時間は制御電圧の供給が維持されるためである。このため図6に示すように制御電源回路の動作に上昇期間と下降期間が生じる。
【0010】
従来の点灯装置では、制御ICへの制御電圧が最低動作電圧に達したら、その制御ICが動作を開始する。制御電圧の上昇期間において、先ず最低動作電圧の小さい降圧チョッパ回路の制御IC(IC−2)が起動する。次に最低動作電圧が中間程度のフルブリッジ回路の制御IC(IC−3)とパルス発生回路の制御IC(IC−4)がほぼ同時に起動する。最後に最低動作電圧の大きい力率改善回路の制御IC(IC−1)が起動する。パルス発生回路の制御IC(IC−4)は、放電灯の始動が果たされた後は動作する必要がなくなるため、自動的に停止するようになっている。
【0011】
力率改善回路6、降圧チョッパ回路8およびフルブリッジ回路10は、放電灯4の点灯中は常時動作するため、点灯装置への交流電源が遮断されるまでは少なくとも動作を継続する。そして、交流電源が遮断された後も、制御電圧が維持される期間は、動作を継続する。そして、制御電源回路14が降下期間に入ったら、制御電圧が徐々に下がるので、先ず最低動作電圧の大きい力率改善回路の制御IC(IC−1)が停止する。次にフルブリッジ回路の制御IC(IC−3)と、最低動作電圧の小さい降圧チョッパ回路の制御IC(IC−2)がほぼ同時に停止する。フルブリッジ回路の制御IC(IC−3)の最低動作電圧は中間程度であるので、制御IC(IC−2)よりも早く停止するはずである。図6では、制御IC(IC−3)が誤動作するケースを示し、制御電圧が最低動作電圧より低くなっているにも関わらずフルブリッジ回路の制御IC(IC−3)が出力を出し続けて、降圧チョッパ回路の制御IC(IC−2)とほぼ同じタイミングで停止する。
【0012】
図5の放電灯点灯装置では、回路保護の観点から、交流電源2側から放電灯4側に向けて各回路が順番に起動すること、および、放電灯4側から交流電源2側に向けて各回路が順番に停止することが望まれる。しかし、制御電圧の上昇過程や下降過程で、各制御ICがそれぞれの最低動作電圧で起動・停止を行ない、さらに最低動作電圧以下の電圧であっても誤動作するため、上記のように制御ICの起動・停止が順不同になってしまったり、制御ICの動作が不安定な状態に陥ってしまったりしていた。
【0013】
制御ICを用いてスイッチング回路の駆動を制御する場合について述べたが、ドライバー回路を用いてスイッチング回路を駆動させる場合にも同様の課題が生じていた。
【0014】
すなわち、本発明は、点灯装置が複数のスイッチング回路を有し、これらのスイッチング回路を駆動させる駆動回路がそのスイッチング回路毎に設けられ、しかも、駆動回路の動作電圧が互いに異なっている場合に、駆動回路の起動・停止が順不同になったり、駆動回路の動作が不安定な状態に陥ったりすることに鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、スイッチング素子の駆動回路を望ましい順序で起動または停止させることができ、かつ、これらの駆動回路を安定動作させることができる点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、駆動回路(制御ICやドライバー回路等)への駆動電圧を検出する検出手段を設け、また、その検出値に基づいてスイッチング素子への駆動電圧の供給開始および供給停止を指令する判断手段を設けた。そして、点灯装置の電源投入時には、駆動回路への駆動電圧が規定値まで上昇して安定電源が得られることを確認してから、スイッチング素子への駆動電圧の供給を所定の順番で開始させるようにした。また、点灯装置の電源遮断時には、駆動回路への駆動電圧が降下を開始するまでに、すべてのスイッチング素子への駆動電圧の供給を所定の順番で停止させるようにした。
【0016】
すなわち、本発明の点灯装置は、複数のスイッチング回路を備え、そのうちの外部電源側に配置されるものを第1のスイッチング回路とし、光源側に配置されるものを第2のスイッチング回路とする。また、第1、第2の駆動回路、および、駆動電圧供給回路を備える。第1のスイッチング回路は、外部電源からの入力電力に基づき、1以上のスイッチング素子の駆動により所定の出力電力を生成する。第1の駆動回路は、前記第1のスイッチング回路の前記スイッチング素子へ駆動電圧を発する。第2のスイッチング回路は、前記第1のスイッチング回路の出力電力に基づき、1以上のスイッチング素子の駆動により所定の出力電力を生成する。第2の駆動回路は、前記第2のスイッチング回路の前記スイッチング素子へ駆動電圧を発する。駆動電圧供給回路は、前記各駆動回路へ駆動電圧を供給する。そして、本発明の点灯装置は、前記第2のスイッチング回路の出力電力に基づいて光源を点灯させるようになっている。
【0017】
更に、点灯装置は、検出手段および判断手段を備える。検出手段は、駆動電圧供給回路からの駆動電圧を検出する。判断手段は、前記駆動電圧供給回路の立ち上がりの際に、前記駆動電圧が規定値に達したら、外部電源側の前記駆動回路から光源側の前記駆動回路に向けて順番に、各駆動回路が駆動電圧の出力を開始するように指令する。
【0018】
また、判断手段は、前記駆動電圧供給回路の立ち下がりの際に、前記駆動電圧が前記規定値よりも低くなるまでに、光源側の前記駆動回路から外部電源側の前記駆動回路に向けて順番に、前記各駆動回路が駆動電圧の出力を停止するように指令する。なお、点灯装置は、前記第1、第2のスイッチング回路を含めて3以上のスイッチング回路、および、前記第1、第2の駆動回路を含めて3以上の駆動回路を備え、前記判断手段は、前記各駆動回路の出力動作に対する指令を所定の順番に出してもよい。
【0019】
ここで、駆動回路は、制御ICでもよい。制御ICは、前記スイッチング回路の被制御量の検出値に応じてスイッチング素子のオンオフのタイミングを決定し、そのタイミングで駆動電圧を発する。また、駆動回路は、ドライバー回路でもよい。ドライバー回路は、入力されるタイミング信号に基づいて、そのタイミングで駆動電圧を発する。
【0020】
このように本発明では、検出手段および判断手段を設けたことにより、電源投入時などで駆動回路用の駆動電圧が立ち上がる場合には、規定値以上の安定した駆動電圧が得られるまで待ってから、望ましい順番で制御ICやドライバー回路等の駆動回路を起動させることができる。また、電源遮断時などで駆動回路用の駆動電圧が立ち下がる場合には、駆動電圧が規定値以上に維持される期間内に、望ましい順番ですべての駆動回路を停止させることができる。このため、駆動回路が順不同に起動・停止することが無くなる。また、安定した動作電圧が得られる状態で、駆動回路を確実に起動・停止させるので、駆動回路の誤動作を防ぐことができる。駆動電圧の不足による駆動回路の不安定動作が無くなり、回路故障が起こり難くなり、信頼性の高い点灯装置を提供できる。
【0021】
本発明は、外部電源の投入時および遮断時に限らず、点灯中に外部電源が変動する際や、バッテリー残量が低下する際にも、効果がある。例えば、外部電源の変動を受けて、駆動回路用の駆動電圧が規定値以下になった場合、電源遮断時と同様に駆動回路を安全に停止させることができる。そして、再び、駆動電圧が規定値以上に回復した場合は、電源投入時と同様に駆動回路を安全に起動させることができる。従って、外部電源の変動時等にも、駆動回路の動作・停止を適切に管理して、無秩序な駆動回路の起動・停止が生じるのを防止でき、かつ、その誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の放電灯点灯装置の全体構成図を示す図である。
【図2】前記放電灯点灯装置の制御ICの動作を示すタイムチャートである。
【図3】駆動回路が制御ICである場合の構成について説明する図である。
【図4】駆動回路がドライバーICである場合の構成について説明する図である。
【図5】従来の放電灯点灯装置の全体構成図を示す図である。
【図6】前記放電灯点灯装置の制御ICの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、本発明に係る放電灯点灯装置100の全体構成図を示す。同図に示すように、本発明における放電灯点灯装置100も、図5に記載された放電灯点灯装置と同様に、力率改善回路6、降圧チョッパ回路8、フルブルッジ回路10、パルス発生回路12を備える。図5に記載のものと共通する構成についての説明は省略する。なお、図1の構成は、本発明の点灯装置の一例に過ぎず、他の構成による点灯装置も本発明に含まれる。例えば、降圧チョッパ回路とフルブリッジ回路との機能を合わせ持つ、フルブリッジ型の降圧チョッパ回路やハーフブリッジ型の降圧チョッパ回路を用いた放電灯点灯装置でもよい。また、放電灯以外の光源用の点灯装置も含まれる。例えば、LED用の点灯装置として、力率改善回路と降圧チョッパ回路を組み合わせてLEDに所定の直流電流を供給するものでもよい。すなわち、本発明に係る点灯装置は、少なくとも2種類のスイッチング回路を組み合わせて、外部電力から光源に必要な電力を生成する点灯装置である。
【0024】
以下に放電灯点灯装置100に特徴的な検出手段16と判断手段18の構成について説明する。判断手段18および検出手段16は、具体的にはマイクロコンピュータ(マイコン)などで構成されている。
【0025】
検出手段16は、制御電源回路14で生成されるDC電圧を検出し、この検出値を判断手段18に与える。なお、制御電源回路14は、本発明の駆動電圧供給回路に相当する。
判断手段18は、各スイッチング回路(6〜12)の制御ICへ、DC電圧の検出値に基づく制御指令を個別に出す。判断手段18は、DC電圧(制御電圧)の検出値を規定値と比較して、DC電圧が規定値以上である場合にスイッチング素子へ駆動電圧を供給する指令を発し、DC電圧が規定値未満である場合にスイッチング素子への駆動電圧を停止する指令を発する。制御ICは、判断手段18からの制御指令を受けることにより、対応するスイッチング素子へ駆動電圧を供給し、または、駆動電圧を停止する。例えば、各制御ICへのDC電圧の供給ライン(図1にて破線で示す)上に、その制御ICに専用のスイッチを設けてもよい。判断手段18からの供給指令によりスイッチがONになると、制御ICにDC電圧が印加されて、制御ICからスイッチング素子への駆動電圧の供給が開始される。または、制御ICの出力部に切換部を設けて、判断手段18からの供給指令を受けている期間は、制御ICからの駆動電圧がスイッチング素子に印加されて、停止の制御指令の期間は、駆動電圧がスイッチング素子に印加されないようにしてもよい。
【0026】
また、判断手段18は、駆動電圧の出力を許可する制御指令を各制御IC−1〜IC−4に対して発する際、所定の順番で制御指令を発することができる。各制御ICの動作について、図2のタイムチャートを用いて説明する。同図のように交流電源の投入とほぼ同時に、制御電源回路14からのDC電圧の上昇が始まり、所定の上昇期間内に規定値に達する。この規定値には、同図でDC電圧が一定になるレベルを用いてもよいし、またはそのレベルの80%〜100%の値を用いてもよい。
【0027】
検出されたDC電圧が規定値に達すると、判断手段18がまず制御IC−1に制御指令を発する。これにより力率改善回路6の動作が始まる。ここで、交流電源の投入が実行されてから、力率改善回路6の動作開始までの期間をT1とする。次に、力率改善回路6の動作開始から所定の期間(T2)後に、判断手段18が制御IC−2へ指令信号を発し、降圧チョッパ回路8の動作が始まる。そして、降圧チョッパ回路8の動作開始から所定の期間(T3)後に、判断手段18が制御IC−3へ指令信号を発し、フルブリッジ回路10の動作が始まる。最後に、フルブリッジ回路10の動作開始から所定の期間(T4)後に、判断手段18が制御IC−4へ指令信号を発し、パルス発生回路12の動作が始まる。制御IC−4への許可指令は、放電灯の始動が確認されるまで発せられ、その後、自動的に停止する。
【0028】
なお、初期調整で、交流電源の投入から力率改善回路6の動作開始までの期間T1を計測しておき、他の期間T2〜T4と同様に、交流電源の投入開始からの時間により、制御IC−1への指令信号を発するようにしてもよい。この場合、交流電源の投入または遮断を検出する電源電圧検出手段(不図示)を設けて、判断手段18が、この電源電圧検出手段による交流電源の投入タイミングから期間T1をカウントして、力率改善回路6の動作を開始させるようにしてもよい。
【0029】
一方、交流電源を遮断する場合については、遮断後も制御電圧が維持されている間に、以下の動作が行われる。判断手段18は、まず制御IC−3に停止指令を発する。これにより制御IC−3からスイッチング素子へ駆動電圧が供給されなくなり、フルブリッジ回路10が停止する。交流電源の遮断が実行されてから、フルブリッジ回路10が停止するまでの期間をT5とする。ここで、判断手段18は、電源電圧検出手段による交流電源の遮断タイミングから期間T5をカウントして、フルブリッジ回路10を停止させるようにしてもよい。フルブリッジ回路10が停止してから所定の期間(T6)後に、判断手段18が制御IC−2へ停止指令を発し、降圧チョッパ回路8が停止する。そして、降圧チョッパ回路8が停止してから所定の期間(T7)後に、判断手段18が制御IC−1へ停止指令を発し、力率改善回路6が停止する。制御電圧の下降が始まるタイミングは、力率改善回路6が停止した後になる。
【0030】
なお、検出手段16で制御電圧の検出値を取得して、遮断から制御電圧の下降開始までの期間を予め計測しておく。そして、制御電圧の下降が始まるまでに、全ての制御ICを停止できるように、余裕をもって期間T5〜T7の設定を行う。
【0031】
このように本発明の放電灯点灯装置100では、回路保護の観点から、交流電源2側から放電灯4側に向けて各回路6〜12を順番に起動させることができ、また、放電灯4側から交流電源2側に向けて各回路6〜10を順番に停止させることができる。すなわち、検出手段16および判断手段18を設けたことにより、電源投入時などで制御電圧が立ち上がる場合には、規定値以上の安定した制御電圧が得られるまで待ってから、制御IC−1〜IC−4を望ましい順番で起動させることができる。また、電源遮断時などで制御電圧が立ち下がる場合には、制御電圧が規定値以上に維持される期間内に、制御IC−1〜IC−3を望ましい順番で停止させることができる。このため、制御IC−1〜IC−4が順不同に起動・停止することが無くなる。また、安定した制御電圧が得られる状態で、制御ICを確実に起動・停止させるので、制御ICの誤動作を防ぎ、制御ICを安定動作させることができる。制御電圧の不足による制御ICの不安定動作が無くなり、回路故障が起こり難くなり、信頼性の高い点灯装置を提供できる。
【0032】
本発明の駆動回路としては、上記の制御ICに限らず、ドライバー回路でもよい。
制御ICでは、図3に示すようにスイッチング回路の被制御量(各スイッチング回路から出力される電流値や電圧値)の検出値に応じてスイッチング素子Qのオンオフのタイミングを決定し、そのタイミングでスイッチング素子Qを駆動させる。
【0033】
一方、図4にドライバー回路DR−1〜DR−2によりスイッチング素子Qを駆動する回路構成を示す。ドライバー回路DR−1〜DR−2へは、ドライバー電源回路114から動作電圧が供給される。ドライバー回路は、動作電圧を用いて、PWM制御手段120、122からのPWM制御信号に基づいた駆動電圧を出力して、スイッチング素子Qを駆動させる。
【0034】
この回路構成では、動作電圧検出手段116がドライバー電源回路114からの動作電圧を検出し、その検出値を判断手段118へ与える。判断手段118は、動作電圧の検出値に基づいて、PWM制御手段120、122に対し、信号の出力または停止の指令を出す。判断手段118は、動作電圧の検出値を規定値と比較して、動作電圧が規定値以上である場合にPWM制御手段120、122へ出力指令を発し、動作電圧が規定値未満である場合に停止指令を発する。PWM制御手段120、122は、出力指令を受けている間、ドライバー回路へPWM制御信号を出力し、ドライバー回路を動作させる。逆に停止指令を受けている間は、ドライバー回路へPWM制御信号を出力せず、ドライバー回路を動作させない。従って、ドライバー回路の場合であっても、判断手段118が動作電圧の検出値に基づいて所定の順番でドライバー回路の動作、停止を管理することができる。
【0035】
本発明の駆動回路としては、上記の他に、トランジスタによる増幅回路でもよい。例えば、マイコンにおいてスイッチング素子の駆動信号を発生させる。この信号を増幅回路で増幅して、スイッチング素子の駆動に必要な電圧にしてスイッチング素子に供給する。マイコン出力によるスイッチング素子の直接駆動が可能になる。この場合、増幅回路のトランジスタのコレクタ−エミッタ間の動作電圧について、本発明を適用することができる。すなわち、電源投入時には、増幅回路への動作電圧が規定値に達してから、マイコンがトランジスタに駆動信号を送るようにする。また、電源遮断時には、動作電圧が規定値以上に維持されている期間中に、駆動信号を停止して、スイッチング素子を停止させるようにすればよい。
【0036】
本発明は、交流電源2の投入時および遮断時に限らず、点灯中に交流電源2が変動する際や、制御電圧のために専用に設けられたバッテリーの残量が低下する際にも、効果がある。例えば、交流電源2の変動を受けて、制御電圧が規定値以下になった場合、電源遮断時と同様に制御ICを安全に停止させることができる。そして、再び、交流電源2が規定値以上に回復した場合は、電源投入時と同様に制御ICを安全に起動させることができる。従って、交流電源の変動時等にも、制御ICの動作・停止を適切に管理して、無秩序な駆動回路の起動・停止が生じるのを防止でき、かつ、その誤動作を防止できる。
【符号の説明】
【0037】
2 交流電源
4 放電灯
6 力率改善回路
8 降圧チョッパ回路
10 フルブリッジ回路
12 パルス発生回路
14 制御電源回路
16 制御電圧検出手段
18 判断手段
114 ドライバー電源回路
116 動作電圧検出手段
118 判断手段
IC−1〜IC−4 制御IC
DR−1、DR−2 ドライバー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの入力電力に基づき、1以上のスイッチング素子の駆動により所定の出力電力を生成する第1のスイッチング回路と、
前記第1のスイッチング回路の前記スイッチング素子へ駆動電圧を発する第1の駆動回路と、
前記第1のスイッチング回路の出力電力に基づき、1以上のスイッチング素子の駆動により所定の出力電力を生成する第2のスイッチング回路と、
前記第2のスイッチング回路の前記スイッチング素子へ駆動電圧を発する第2の駆動回路と、
前記各駆動回路へ駆動電圧を供給する駆動電圧供給回路と、
を備え、前記第2のスイッチング回路の出力電力に基づいて光源を点灯させる点灯装置において、
更に、前記駆動電圧供給回路からの駆動電圧を検出する検出手段と、
前記駆動電圧供給回路の立ち上がりの際に、前記駆動電圧が規定値に達したら、外部電源側の前記駆動回路から光源側の駆動回路に向けて順番に、各駆動回路が駆動電圧の出力を開始するように指令する判断手段と、を備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
請求項1記載の点灯装置において、
前記判断手段は、前記駆動電圧供給回路の立ち下がりの際に、前記駆動電圧が前記規定値よりも低くなるまでに、光源側の前記駆動回路から外部電源側の前記駆動回路に向けて順番に、各駆動回路が駆動電圧の出力を停止するように指令することを特徴とする点灯装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の点灯装置において、
前記第1、第2のスイッチング回路を含めて3以上のスイッチング回路、および、前記第1、第2の駆動回路を含めて3以上の駆動回路を備え、
前記判断手段は、前記各駆動回路の出力動作に対する指令を所定の順番に出すことを特徴とする点灯装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の点灯装置において、
前記駆動回路は、前記スイッチング回路の被制御量の検出値に応じて前記スイッチング素子のオンオフのタイミングを決定し、このタイミングで駆動電圧を前記スイッチング素子に発する制御ICであることを特徴とする点灯装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の点灯装置において、
前記駆動回路は、入力されるタイミング信号に基づいて、このタイミングで駆動電圧を前記スイッチング素子に発するドライバー回路であることを特徴とする点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45672(P2013−45672A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183369(P2011−183369)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)
【Fターム(参考)】