説明

点眼剤

【課題】点眼剤の適用による点眼時の清涼化成分の刺激を緩和し、清涼感や爽快感を長時間に亘り持続できる方法を提供すること。
【解決手段】(a)清涼化成分と、(b)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩類、デキストラン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群から選択された少なくとも一種の粘稠化剤とを含有し、温度20℃における絶対粘度が3〜15mPa・sである点眼剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼化成分と粘稠化剤を含有する点眼剤、および清涼感を持続させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
点眼剤には、点眼時の清涼感や爽快感を付与することを目的として、ハッカ油、ウイキョウ油、ローズ油、ベルガモット油などの精油や、メントール、カンフル、ボルネオールなどの精油成分が配合される。これらの精油または精油成分のなかでも、とりわけメントール、カンフル、ボルネオールなどのテルペン構造をもつ化合物は強い清涼感や爽快感を有するため汎用されている。
【0003】
しかしながら、これらの精油や精油成分は、点眼直後に清涼感や爽快感を付与するものの持続性がない。
【0004】
また、使用者は清涼感や爽快感の持続を求める傾向にあるにもかかわらず、これらの成分は精油または精油成分自体が有している刺激性から痛みを伴うことが知られている。そこで、特開平9−132526号公報(特許文献1)には、メントール類、カンフル類及びボルネオール類を含有してなる点眼剤において、(a)メントール、カンフル及びボルネオールの総量が0.01〜0.05重量%、(b)メントールに対するカンフル及びボルネオールの配合比が重量比としてそれぞれ0.5〜1.0とすることによって、冷感が強く、清涼感の持続性を高めると共に、眼に対する刺激性を極めて低減させた点眼剤を得ることができることが記載されている。ところが、このような方法では、刺激低減効果や清涼感や爽快感の持続効果は未だ十分ではない。
【0005】
他方、近年、エアコンディショナなどによる空気の乾燥、パーソナルコンピュータ・テレビジョン(TV)の画面の凝視による瞬き回数の低下、ソフト又はハードコンタクトレンズの装用などによって、目の乾き、疲れ目を訴える人が増えている。そこで、このような乾燥感を緩和する目的で、粘稠化剤を配合した人工涙液型点眼剤が多く市販されている。点眼剤のうち人工涙液型点眼剤の場合は、通常角膜を覆っている涙液を補い、湿潤・保湿効果を主たる作用とする涙液に類似させた点眼剤であり、ハードコンタクトレンズ(酸素透過性ハードコンタクトレンズを含む)やソフトコンタクトレンズ装用中に点眼することができる。このような人工涙液型点眼剤に粘稠化剤を配合することによって涙液減少に伴う目の乾燥感を解消し、目に潤いを補うことはできる。しかし、疲れ目をも解消することはできない。
【0006】
このように、従来の点眼剤では、点眼時に清涼感や爽快感を付与することができるものの、その官能は持続せず、また目の乾燥感のみならず疲れ目をも解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−132526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、点眼剤の適用による点眼時の清涼化成分の刺激を緩和し、清涼感や爽快感を長時間に亘り持続できる方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記方法の適用により清涼感や爽快感を長時間に亘り持続することによって使用者のコンプライアンスを高めるだけでなく、疲れ目を解消できる点眼剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、清涼化成分と粘稠化剤とを組み合わせて用いるとともに、点眼剤の粘度をコントロールすると、点眼剤の適用により清涼感や爽快感が長時間に亘り持続でき、使用者のコンプライアンスを高め、かつ疲れ目をも解消できることを見いだした。さらには、清涼化成分による点眼時の刺激(痛み)を緩和する効果をも有しているため、刺激性の無い安全性の高い点眼剤が得られることも見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明の点眼剤は、清涼化成分と粘稠化剤とを含有しており、温度20℃における絶対粘度は3〜15mPa・sである。上記清涼化成分には、精油成分、精油などが含まれる。
【0012】
粘稠化剤としては、例えば、セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ビニル系高分子(ポリビニルピロリドンなど)、糖類(ヒアルロン酸及びその塩類などのムコ多糖類、デキストラン、シクロデキストリンなどの多糖類)、オキシアルキレン系高分子(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)などが例示でき、少なくとも一種の粘稠化剤を使用すればよい。粘稠化剤の分子量は、例えば、数平均分子量0.5×104〜100×104程度の範囲から選択できる。粘稠化剤の使用量は、通常、0.001〜10重量%(又は(W/V)%)程度の範囲から選択でき、例えば、0.12〜5重量%(又は(W/V)%)、好ましくは0.13〜3重量%(又は(W/V)%)程度であってもよい。さらに、点眼剤全体に対する清涼化成分の割合は、例えば、0.0001〜0.1重量%(又は(W/V)%)程度の範囲から選択してもよく、0.007〜0.1重量%(又は(W/V)%)程度や、0.001〜0.05重量%(又は(W/V)%)程度であっても点眼に伴う刺激感を軽減または緩和できる。
【0013】
本発明の好ましい態様において、粘稠化剤の含有量は、0.12〜3重量%(又は(W/V)%)、例えば、0.15〜0.5重量%(又は(W/V)%)程度であってもよい。
【0014】
本発明には、清涼化成分を含有する点眼剤において、粘稠化剤を含有し、かつ温度20℃における絶対粘度を3〜15mPa・sとすることによって清涼感を持続する方法も含まれる。
【0015】
なお、本明細書において、「点眼剤」とは、ソフト又はハードコンタクトレンズ用の「人工涙液型点眼剤」をも含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、点眼剤の適用時の清涼感や爽快感が長時間に亘り持続でき、使用者のコンプライアンスを高めることができる。また疲れ目を解消することができる。さらに、ベトツキがなく使用感に優れ、点眼時の刺激性が無く安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における清涼化成分は、清涼感を付与することができる成分であり、精油及び/又は精油成分などが挙げられる。具体的には、ウイキョウ油、ユーカリ油、ベルガモット油、ハッカ油、ローズ油、ペパーミント油、クールミント油、ケイヒ油等の精油や、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、メントール、シトロネオール、リモネン等の精油成分(特にテルペン類)などが挙げられる。これらは、1種で又は2種以上を組み合わせて適宜添加することができ、d,l,dl体のいずれも使用することができる。好ましい清涼化成分は、メントール類(l−メントール、d−メントール、dl−メントールなど)、カンフル類(d−カンフル、dl−カンフルなど)、ボルネオール類(d−ボルネオール、dl−ボルネオールなど)、ゲラニオール類、これらの成分を多く含む精油(ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリ油など)である。
【0018】
清涼化成分は、通常、眼刺激を生じることのない濃度で点眼剤に配合され、点眼剤全体に対する清涼化成分の割合は、例えば、0.0001〜0.1重量%(又は(W/V)%)、好ましくは0.0005〜0.07重量%(又は(W/V)%)、さらに好ましくは0.001〜0.05重量%(又は(W/V)%)、特に0.01〜0.05重量%(又は(W/V)%)である。清涼化成分の濃度が0.0001%未満では、清涼感を期待できず、0.1%を越えると反って眼刺激を有し痛みを伴うため好ましくない。
【0019】
本発明においては、清涼化成分を高濃度に含有しても、粘稠化剤により特定の粘度範囲に調整することによって不快な眼刺激性が軽減または緩和され、清涼感が持続し、疲れ目を解消できる利点がある。そのため、本発明は、例えば、0.007%〜0.1重量%(又は(W/V)%)、特に0.007〜0.05重量%(又は(W/V)%)の清涼化成分を含有する点眼剤としても有用である。
【0020】
粘稠化剤は、点眼剤に粘性を付与する化合物を意味し、例えば、セルロース系高分子(又は水溶性セルロース誘導体)、ビニル系高分子(又は水溶性ビニル重合体)、糖類(酸性ムコ多糖類、水溶性多糖類など)、他の成分(オキシアルキレン系高分子など)などが含まれる。
【0021】
粘稠化剤のうちセルロース系高分子としては、例えば、アルキルセルロース類[メチルセルロース類(メチルセルロース、メチルエチルセルロースなど)、エチルセルロース類(エチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルプロピルセルロースなど)など]、ヒドロキシアルキルセルロース類[ヒドロキシエチルセルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなど)、ヒドロキシプロピルセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースなど)など]、カルボキシアルキルセルロース類(カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース又はこれらの塩(ナトリウム塩など)など)などが例示できる。ビニル系高分子としては、例えば、ビニルピロリドン系高分子(ポリビニルピロリドンなど)、ビニルアルコール系高分子(ポリビニルアルコールなど)、カルボキシビニルポリマー、ビニルアルキルエーテル系高分子(ポリビニルメチルエーテルなど)などが例示できる。酸性ムコ多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸及びその塩類(ヒアルロン酸ナトリウムなど)が例示でき、糖類(又は多糖類)としては、例えば、デキストラン、シクロデキストリンなどが例示できる。さらに、他の成分としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン−オキシプロピレンランダムコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)などが挙げられる。これらの粘稠化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
好ましい粘稠化剤は、ヒドロキシアルキルセルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ビニルピロリドン系高分子(ポリビニルピロリドンなど)、糖類(デキストラン、シクロデキストリン)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーであり、アルキルセルロース類(メチルセルロース、エチルセルロースなど)も好ましい。特に好ましくは、セルロース系高分子(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ビニルピロリドン系高分子(ポリビニルピロリドン)、POE−POPブロックコポリマーである。
【0023】
複数の粘稠化剤を用いる場合、例えば、セルロース系高分子とPOE−POPブロックコポリマーとの組合せ(例えば、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択された少なくとも一種と、POE−POPブロックコポリマーとの組合せ)、セルロース系高分子同士の組合せ(例えば、ヒドロキシエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組合せ)、ビニル系高分子とセルロース系高分子との組合せ(例えば、ポリビニルピロリドンと、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択された少なくとも一種との組合せ)、ビニル系高分子とPOE−POPブロックコポリマーとの組合せ(例えば、ビニルピロリドンと、POE−POPブロックコポリマーとの組合せ)が好ましい。複数の粘稠化剤の組合せにおいて、通常、少なくともPOE−POPブロックコポリマーを用いる場合が多い。
【0024】
なお、これらの粘稠化剤の分子量は、例えば、数平均分子量0.5×104〜100×104、好ましくは1×104〜50×104、さらに好ましくは1×104〜10×104程度である。また、セルロース系高分子の平均置換度(又はエーテル化度)は、例えば、0.5〜2.5、好ましくは0.7〜2、さらに好ましくは0.7〜1.5程度である。
【0025】
本発明において、粘稠化剤の配合量は、粘稠化剤の分子量や種類などによって異なるので一概に規定できず、本発明の点眼剤の粘度が、温度20℃において3〜15mPa・sとなるように粘稠化剤の配合量を適宜選択することができる。粘稠化剤の使用量は、粘稠化剤の種類や分子量などに応じて選択でき、通常、0.001〜10重量%(又は(W/V)%)、好ましくは0.005〜10重量%(又は(W/V)%)、さらに好ましくは0.01〜5重量%(又は(W/V)%)程度の範囲から選択できる。粘稠化剤の含有量は、例えば、0.12〜3重量%(又は(W/V)%)、好ましくは0.13〜2重量%(又は(W/V)%)、特に0.15〜1.5重量%(又は(W/V)%)程度であり、0.13〜1重量%(又は(W/V)%)、特に0.15〜0.5重量%(又は(W/V)%)程度であってもよい。
【0026】
本発明の点眼剤は、温度20℃において測定したとき、絶対粘度の値が3〜15mPa・s(kgm-1-1)、好ましくは3〜11mPa・s(例えば、3〜10mPa・s)であり、特に好ましくは3〜7mPa・s程度に調整される。粘度が高すぎると湿潤効果はあるものの、反ってべたつくなどの不快感を生じることがあり、また点眼剤の無菌処理のための濾過工程を困難にするため好ましくない。また、粘度が低すぎると効果の発現が不十分となる。
【0027】
絶対粘度は、円錐平板形回転粘度計を用いる方法で測定できる。この方法は、第13改正日本薬局方に記載の一般試験法、36.粘度測定法、第2法 回転粘度計法、(3)円錐平板形回転粘度計の項に記載された方法による。測定は、市販の円錐平板形回転粘度計と適宜選択されたロータとを用いて測定することが可能であり、そのような粘度計の例としては、E型粘度計(トキメック(TOKIMEC)社)、シンクローレトリックPC型(ブルックフィールド社)、フェランティシャーリー(フェランティ社)、ロードビスコR(ハーケ社)、IGKハイシャーレオメーター(石田技研株式会社)、島津レオメーター(島津製作所)、メカニカルスペクトロメーター(レオメトリックス)等がある。これらの市販の粘度計とローターを適宜選択し、被検試料測定毎にJIS Z 8809により規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流体)を校正用標準液として用いて適宜調整することにより、20℃における絶対粘度を測定できる。
【0028】
実施例で示す点眼剤の粘度は、E型粘度計の一種であるTV−20型粘度計(型名:TVE−20L)、ローターは、1°34'×R24を用いて測定した。測定条件として、粘度が6mPa・s未満は回転数100rpm、粘度が6〜12mPa・s未満は回転数50rpm、粘度が12〜30mPa・s未満は回転数20rpmで測定した。
【0029】
本発明の点眼剤には、更に、無機塩類;充血除去剤、眼筋調節剤、消炎収れん剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌剤等の有効成分;緩衝剤、等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、界面活性剤、防腐剤等を、眼刺激等の問題、人工涙液型点眼剤においてはソフトコンタクトレンズへの吸着又は蓄積等の問題がない限りで適宜添加することができる。有効成分としての薬物を配合する場合には、有効成分の使用量は、例えば、0.0001〜30重量%(又は(W/V)%)、好ましくは0.0005〜10重量%(又は(W/V)%)、より好ましくは0.001〜5重量%(又は(W/V)%)程度の範囲から選択することができる。
【0030】
無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。これらの無機塩類は緩衝剤成分や等張化剤成分として使用される場合がある。
【0031】
充血除去剤としては、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン等が挙げられる。
【0032】
眼筋調節剤としては、メチル硫酸ネオスチグミン等が挙げられる。
【0033】
消炎収れん剤としては、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム等が挙げられる。
【0034】
なお、消炎(又は抗炎)剤として、プラノプロフェン、ジクロフェナック、ロメフロキサン、ノルフロキサシン、オフロキサシンなどを用いてもよい。
【0035】
抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。
【0036】
抗アレルギー剤としては、クロモグリク酸、アンレキサノクス、イブジラスト、トシル酸スプラタスト、ペミロラスト、トラニラスト、フマル酸ケトチフェン及びそれらの塩(クロモグリク酸ナトリウムなど)等が挙げられる。
【0037】
ビタミン類としては、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
【0038】
アミノ酸類としては、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0039】
抗菌剤としては、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、オフロキサシン、ノルフロキサシン等が挙げられる。
【0040】
さらに、用途に応じて必要であれば、局所麻酔剤(オキシブプロカイン、リドカイン、塩酸リドカインなど)、近視治療・予防剤(トロピカミド、シクロペントレート、エンドセリンなど)、眼圧降下剤(塩酸ピロカルピン、イソプロピルウノプロストン、臭化ジスチグミン、カルバコマール、塩酸カルテオロール、塩酸ベフノロール、マレイン酸チモロール、塩酸ジピベフリン、ヨウ化エコチオパート、ジクロフェナミドなど)、無痛化剤(塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)などの種々の活性成分を用いてもよい。
【0041】
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。好ましくは、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤である。
【0042】
等張化剤としては、例えば、糖類(ソルビトール、グルコース、マンニトールなど)、多価アルコール類(グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)、無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)などが例示できる。
【0043】
キレート剤としては、エデト酸塩類(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウムなど)、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸又はその塩、ヘキサメタリン酸ソーダ、クエン酸等が挙げられる。
【0044】
安定化剤としては、例えば、エデト酸塩類、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
pH調節剤としては、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩など)、酸(酢酸、クエン酸などの有機酸、塩酸、リン酸などの無機酸)等が挙げられる。
【0046】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、ポリソルベート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤が主に使用される。さらに、必要であれば、カチオン性界面活性剤(塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩、アルキレンジアミン(エチレンジアミンなど)に、ポリオキシエチレン(POE)−ポリオキシプロピレン(POP)ブロックが付加したPOE−POPブロック置換アルキレンジアミン)、アニオン性界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩など)や両性界面活性剤(塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなど)を使用してもよい。
【0047】
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、グルコン酸クロルヘキシジン、第4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムなど)、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロロブタノール、ポリクォード、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン等が挙げられる。
【0048】
さらに必要であれば、糖類、例えば、グルコース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなどを添加してもよい。
【0049】
本発明の点眼剤のpHは、通常、4〜9、好ましくは5〜8.5、より好ましくは、5.5〜7.5程度に調整される。浸透圧は、通常、150〜450mOsm程度であり、生理食塩水に対する浸透圧比は通常0.6〜2.0、好ましくは0.7〜1.7、より好ましくは、0.8〜1.5程度である。
【0050】
本発明の点眼剤は、前記清涼化成分、粘稠化剤などの成分を用いて慣用の方法、例えば、蒸留水で前記成分を溶解又は懸濁させ、所定の浸透圧に調整し、濾過滅菌処理することにより調製できる。
【0051】
本発明では、清涼化成分を含有する点眼剤(人工涙液型点眼剤を含む)において、粘稠化剤を含有させて前記特定の粘度に調整することにより、点眼剤の清涼感及び爽快感を持続させることができ、点眼時の清涼化成分の刺激を緩和し、使用者のコンプライアンスを向上できる。また、目の乾燥感だけでなく疲れ目を解消できる。そのため、本発明は、清涼化成分と粘稠化剤とを組み合わせて特定の粘度とすることにより、清涼化成分による刺激を緩和する方法、清涼感及び爽快感を持続させる方法、疲れ目を解消する方法をも包含する。
【0052】
本発明の点眼剤の用法及び用量は、使用者の症状、点眼剤に含まれる有効性成分や製剤の形態に応じて適宜選択することができる。そして、通常一日あたり1〜6回程度点眼し、1回に1〜3滴程度適用する。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および参照例において、ヒドロキシエチルセルロースとして「フジケミHECR CF−V」を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして「ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906(メトローズR 65SH−4000)」を用い、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとして「ポロクサマー407」を用い、ポリビニルピロリドンとして「ポリビニルピロリドンK90」を用いた。
【0054】
実施例1(人工涙液型点眼剤)
[点眼剤100mlの組成]
塩化ナトリウム 0.44g
塩化カリウム 0.08g
ホウ酸 0.30g
ホウ砂 0.035g
ポリソルベート80 0.1g
l−メントール 0.005g
ヒドロキシエチルセルロース 0.15g
ソルビン酸カリウム 0.1g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=7.5、粘度3.5mPa・s)を得た。
【0055】
実施例2(人工涙液型点眼剤)
[点眼剤100mlの組成]
塩化ナトリウム 0.44g
塩化カリウム 0.08g
L−アスパラギン酸カリウム 0.10g
ホウ酸 0.30g
ホウ砂 0.035g
ポリソルベート80 0.1g
l−メントール 0.001g
ヒドロキシエチルセルロース 0.15g
ソルビン酸カリウム 0.1g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=7.5、粘度3.5mPa・s)を得た。
【0056】
実施例3(人工涙液型点眼剤)
[点眼剤100mlの組成]
塩化ナトリウム 0.44g
塩化カリウム 0.08g
ホウ酸 0.30g
ホウ砂 0.035g
ポリソルベート80 0.1g
l−メントール 0.005g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
ソルビン酸カリウム 0.1g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=7.5、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0057】
実施例4(人工涙液型点眼剤)
[点眼剤100mlの組成]
塩化ナトリウム 0.5g
ホウ酸 0.73g
ホウ砂 0.05g
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
ブロックコポリマー(ポロクサマー407) 0.1g
ポリビニルピロリドン 1.8g
l−メントール 0.01g
d−カンフル 0.005g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=7.2、粘度7.5mPa・s)を得た。
【0058】
実施例5
[点眼剤100mlの組成]
塩酸ナファゾリン 0.003g
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.2g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.03g
L−アスパラギン酸カリウム 1.0g
ホウ酸 0.9g
ホウ砂 0.045g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
l−メントール 0.05g
アルキルポリアミノエチルグリシン 0.01g
クロロブタノール 0.15g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=5.2、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0059】
実施例6
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.03g
L−アスパラギン酸カリウム 1.0g
酢酸d−α−トコフェロール 0.05g
ホウ酸 0.8g
ホウ砂 0.09g
ポリソルベート80 0.3g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
l−メントール 0.05g
アルキルポリアミノエチルグリシン 0.01g
クロロブタノール 0.15g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=5.8、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0060】
実施例7
[点眼剤100mlの組成]
塩酸テトラヒドロゾリン 0.050g
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.2g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.03g
L−アスパラギン酸カリウム 1.0g
塩酸ピリドキシン 0.1g
ホウ酸 0.9g
ホウ砂 0.045g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
l−メントール 0.05g
アルキルポリアミノエチルグリシン 0.01g
クロロブタノール 0.15g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=5.2、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0061】
実施例8
[点眼剤100mlの組成]
塩酸テトラヒドロゾリン 0.05g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.03g
シアノコバラミン 0.01g
ホウ酸 0.80g
ホウ砂 0.09g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシエチルセルロース 0.13g
l−メントール 0.03g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=5.8、粘度3.1mPa・s)を得た。
【0062】
実施例9
[点眼剤100mlの組成]
塩酸テトラヒドロゾリン 0.05g
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.02g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.03g
ホウ酸 1.80g
ホウ砂 0.035g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシエチルセルロース 0.13g
l−メントール 0.03g
アルキルポリアミノエチルグリシン 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=7.2、粘度3.1mPa・s)を得た。
【0063】
実施例10
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.02g
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム 0.05g
L−アスパラギン酸カリウム 1.0g
ホウ酸 1.8g
ホウ砂 0.05g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
l−メントール 0.01g
d−ボルネオール 0.01g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=5.8、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0064】
実施例11
[点眼剤100mlの組成]
グリチルリチン酸二カリウム 0.10g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.02g
スルファメトキサゾールナトリウム 4.00g
ポリソルベート80 0.2g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2g
l−メントール 0.01g
d−ボルネオール 0.01g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=8.5、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0065】
実施例12
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.100g
ホウ酸 1.800g
ホウ砂 0.050g
ポリソルベート80 0.200g
l−メントール 0.010g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.180g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=6.3、粘度3.8mPa・s)を得た。
【0066】
実施例13
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.100g
ホウ酸 1.800g
ホウ砂 0.050g
ポリソルベート80 0.200g
l−メントール 0.030g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.200g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=6.3、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0067】
実施例14
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.100g
ホウ酸 1.800g
ホウ砂 0.050g
ポリソルベート80 0.200g
l−メントール 0.050g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.200g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=6.3、粘度4.6mPa・s)を得た。
【0068】
実施例15
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.100g
ホウ酸 1.800g
ホウ砂 0.050g
ポリソルベート80 0.200g
l−メントール 0.050g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.250g
塩化ベンザルコニウム 0.010g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=6.3、粘度6.1mPa・s)を得た。
【0069】
実施例16
[点眼剤100mlの組成]
メチル硫酸ネオスチグミン 0.005g
アラントイン 0.100g
ホウ酸 1.800g
ホウ砂 0.050g
ポリソルベート80 0.200g
l−メントール 0.050g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.350g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
全量 100ml
上記成分を用いて慣用の方法で無菌的に調合して、容器に充填し、点眼剤(pH=6.3、粘度10.2mPa・s)を得た。
【0070】
実施例17〜29及び参照例1〜5
なお、実施例22〜29および参照例4〜5では人工涙液型点眼剤について検討した。
【0071】
試験例
[試験方法]
清涼化成分(l−メントールなど)と粘稠化剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)とを表1〜表3に示す種々の濃度で配合した点眼剤を調製した。2時間連続してパーソナルコンピューターを使用及び作業を行ったパネラーに点眼し、点眼直後及び点眼5分後の清涼感や爽快感の程度、点眼時に感じる刺激(痛み)の有無、点眼によって疲れ目が解消されたかどうか、点眼剤のネバツキによる違和感(不快感)の程度を試験した。
【0072】
その結果を表1に示す。表中の数値中、点眼直後及び点眼5分後における清涼感の強さの程度、疲れ目が解消した程度、点眼剤のネバツキによる違和感(不快感)の程度は、各パネラーにより「1」〜「3」の3段階評価を行い、パネラー7名の平均値を示す。点眼時の刺激(痛み)の有無については、刺激(痛み)が無いと評価したパネラーの割合(%)を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
その結果、参照例1〜5の点眼剤は5分後に清涼感が保持されず、また疲れ目解消効果もない。参照例4の点眼剤では、清涼感が保持されるがネバツキによる不快感があり、かつ刺激性を有するため安全性にも問題がある。さらに、0.2μmのメンブランフィルターで濾過することが困難であり、製造面において問題を有していた。
【0077】
これに対して、本発明の実施例17〜29の点眼剤では、点眼後5分が経過しても清涼感が保持されていることがわかる。また、疲れ目の解消にも効果的である。さらに、刺激(痛み)がないため安全性が高い総合的に優れた点眼剤であることが示された。
【0078】
疲れ目の解消効果は、清涼化成分の持続効果に依存しており、実施例19〜21(l−メントール0.05%含有)において効果が高いことが確認された。
【0079】
さらに、本発明では、点眼時の刺激が緩和されていることが示された。参照例2(表1)に示すように、l−メントール0.05%含有の点眼剤は点眼時に強い刺激感を伴い、使用者に不快感を与えるが、粘稠化剤を含有して特定の粘度範囲に調整した点眼剤では、点眼時の刺激感が軽減または緩和されている。そして、この刺激感の軽減または緩和効果は、l−メントール以外の清涼化成分含有の点眼剤においても同様である。そのため、本発明は高濃度の清涼化成分を含有する点眼剤への使用にも有用である。さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(ポロクサマー407)を含有する場合に、疲れ目解消効果がより高くなることが示された。
【0080】
なお、本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕 清涼化成分と粘稠化剤とを含有し、温度20℃における絶対粘度が3〜15mPa・sである点眼剤。
〔2〕 清涼化成分が精油成分または精油である請求項1に記載の点眼剤。
〔3〕 粘稠化剤が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩類、デキストラン、シクロデキストリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群から選択された少なくとも一種である請求項1に記載の点眼剤。
〔4〕 清涼化成分を含有する点眼剤において、粘稠化剤を含有し、かつ温度20℃における絶対粘度を3〜15mPa・sとすることによって清涼感を持続する方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)清涼化成分と、(b)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩類、デキストラン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群から選択された少なくとも一種の粘稠化剤とを含有し、温度20℃における絶対粘度が3〜15mPa・sである点眼剤。
【請求項2】
清涼化成分が精油成分及び/又は精油である請求項1に記載の点眼剤。

【公開番号】特開2013−100366(P2013−100366A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−36927(P2013−36927)
【出願日】平成25年2月27日(2013.2.27)
【分割の表示】特願2010−182540(P2010−182540)の分割
【原出願日】平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】