説明

焙煎ごま含有食品

【課題】焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスに優れ、かつ、これらの風味が向上した水中油型乳化食品の提供。
【解決手段】焙煎ごま粉砕物及び香辛料を含有する水中油型乳化食品であって、
(1)該食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22以上かつ32以下であり、
(2)該食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が25以上かつ38以下であり、
(3)食品全体に対する油相の含有割合が15重量%以上かつ65重量%以下であることを特徴とする、食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焙煎ごまを含有する食品に関し、特に、焙煎ごま及び香辛料を含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
焙煎ごまは特有のまろやかな風味に優れることから、従来より、広く食品の風味付けに用いられている。また、香辛料を併用することにより、焙煎ごまのまろやかな風味がより好ましく感じられることから、焙煎ごまと香辛料とを含有する液体調味料について、いくつかの報告がこれまでになされている(特許文献1〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263835号公報
【特許文献2】特開昭59−151857号公報
【特許文献3】特開2003−199525号公報
【特許文献4】特開2004−194号公報
【特許文献5】特開2007−104979号公報
【特許文献6】特開2000−217539号公報
【特許文献7】特開2001−95525号公報
【特許文献8】特開平5−91853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術を用いてもなお、焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスを保ちつつ、かつ、これらの風味を向上させる点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、焙煎ごまと香辛料との配合に関して、臭気指数という当該分野でこれまで全く考慮されなかった概念を導入し、焙煎ごまと香辛料のそれぞれの臭気指数が特定の範囲内となるような配合を選択し、かつ油脂の配合比が特定の範囲内となるような水中油型乳化物とすることにより、香辛料の種類を問わず、焙煎ごまと香辛料との風味のバランスが良好な液体調味料(ドレッシング)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0006】
[1]焙煎ごま粉砕物及び香辛料を含有する水中油型乳化食品であって、
(1)該食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22以上かつ32以下であり、
(2)該食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が25以上かつ38以下であり、
(3)食品全体に対する油相の含有割合が15重量%以上かつ65重量%以下であることを特徴とする、食品。
[2]焙煎ごま粉砕物が、すりごま及び/又はねりごまである、上記[1]記載の食品。
[3]香辛料が、香味野菜である、上記[1]又は[2]記載の食品。
[4]香味野菜が、生姜及び/又はにんにくである、上記[3]記載の食品。
[5]食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が、23以上かつ31以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の食品。
[6]食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が、26以上かつ37以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の食品。
[7]食品全体に対する油相の含有割合が、20重量%以上かつ60重量%以下である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の食品。
[8]焙煎ごま粉砕物及び香辛料を含有する食品における風味の改善方法であって、
(1)該食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22以上かつ32以下となるように焙煎ごま粉砕物を配合し、かつ(2)該食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が25以上かつ38以下となるように香辛料を配合した水相と、
(3)食品全体に対する含有割合が15重量%以上かつ65重量%以下である油相とを、
乳化して、水中油型乳化物とすることを含む、方法。
【発明の効果】
【0007】
焙煎ごまと香辛料との配合を、それぞれの臭気指数を指標にして設定し、かつ水中油型乳化物として調製することにより、香辛料の種類を問わず、焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスに優れ、かつ、これらの風味が向上した食品を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において「焙煎ごま粉砕物」とは、ごま(例、白ごま、黒ごま、金ごま、茶ごま等)を常法により焙煎した後、この一部又は全部を擂潰、磨砕、細断等することにより粉砕して得られる粉砕物をいう。焙煎ごまの未粉砕物のみを用いて所望の風味を有する食品を調製すると、かかる未粉砕物は風味が弱いので、得られる食品は食感に劣る傾向があり、好ましくない。具体的な焙煎ごま粉砕物としては、例えば、焙煎ごまを粉粒状乃至粉状になるよう粉砕した「すりごま」や、更にペースト状になるまで粉砕した「ねりごま」、また、刃により細断した「切りごま」等が挙げられる。これらの粉砕の程度の異なる焙煎ごま粉砕物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0009】
香辛料としては、例えば、香味野菜、胡椒、山椒、クミン、クローブ、シナモン、ナツメグ、唐辛子、アニス、オールスパイス、オレガノ、コリアンダー、ターメリック、タイム、ディル、バジル、パセリ、バニラ、マスタード、ミント、ローズマリー、ローレル等が挙げられるが、好ましくは、香味野菜である。これらの香辛料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0010】
香味野菜としては、例えば、生姜、にんにく、たまねぎ、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等が挙げられるが、好ましくは、生姜、にんにくである。これらの香味野菜は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。香味野菜は、加熱乾燥等することにより乾燥品、乾燥粉末等とすることもできるが、本発明において「臭気指数の測定対象となる香辛料」としての香味野菜は、実質的に未加熱・未乾燥のもの、例えば、生鮮品、冷蔵品、冷凍品等である。ここで「実質的に未加熱・未乾燥」とは、未加熱・未乾燥の香味野菜における臭気指数と食品中の含有比率の関係と同等の関係を保持する程度に未加熱・未乾燥であることを意味する。また、その形態は摂取しやすいものであれば特に制限されず、原体のままであってもよいし、切断品、細断品、破砕品、すりおろし品、圧搾搾汁品等であってもよい。
胡椒としては、例えば、黒胡椒、白胡椒または青胡椒(グリーンペッパー)の粉砕物等が挙げられる。
【0011】
本発明の食品は、焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数が、いずれも特定の範囲内であることが重要である。これらの臭気指数がいずれも特定の範囲内であることにより、本発明の食品は、焙煎ごま特有のまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスに優れるものとなる。
ここで臭気指数とは、臭気濃度の常用対数に10を乗じた値をいい、以下の式により算出される。なお、臭気濃度とは、臭いのついた気体や液体をその臭いが感じられなくなるまで無臭の空気や無臭の液体(水)で希釈した時の希釈倍率をいう。
臭気指数=10×Log(臭気濃度)
【0012】
本発明の食品における焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数は、新コスモス電機株式会社製「ポータブル型ニオイセンサ XP-329IIIR」(以下、単に「ニオイセンサ」と略記する場合がある)を用い、下記(1)〜(5)のとおりに測定して得られる値である(尚、測定は20〜24℃の環境にて実施する)。
(1)ニオイセンサの吸気部分にテフロンチューブを装着する。
(2)本発明の食品100g中に含まれる量の焙煎ごま粉砕物及び香辛料をそれぞれ容量1Lのガラス瓶に投入し(例えば、焙煎ごま粉砕物の含有量が本発明の食品に対して4重量%である場合は、ガラス瓶に焙煎ごま粉砕物を4g投入する)、投入直後にキャップを閉めて1分間密封する。
(3)キャップを外し、その直後に、ガラス瓶の口部に穴の開いたゴム栓を取り付ける。
(4)ゴム栓の取り付け後、即座にその穴にテフロンチューブを通す。その際、テフロンチューブの先端がガラス瓶の底部より20cmの高さに位置するよう設置する。
(5)テフロンチューブを設置して1分後のニオイセンサの臭気指数を読み取る。尚、嗅覚とニオイセンサの感度特性の全てが同じではないため、種類の異なる臭気について、それぞれ臭気指数とニオイセンサのレベル値とを対応させた値を求める必要があるが、本発明においては、ニオイセンサの製造者が提供する「惣菜工場の排気ガスにおけるにんにく臭」について作成された臭気指数とニオイセンサのレベル値との対応表に従って、ニオイセンサのレベル値から換算される臭気指数の数値を、焙煎ごま粉砕物及びにんにく以外の香辛料についても、臭気指数として適用するものとする。
【0013】
具体的には、本発明の食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数は、通常22以上、好ましくは23以上、より好ましくは25以上、特に好ましくは27以上である。焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22未満であれば、ごまの風味が弱くバランスに劣る。また、焙煎ごま粉砕物の臭気指数は、通常32以下、好ましくは31以下、より好ましくは30以下である。焙煎ごま粉砕物の臭気指数が32より高いと、ごまの風味が強くバランスに劣る。
一方、本発明の食品100g中に含有される香辛料の臭気指数は、通常25以上、好ましくは26以上、より好ましくは28以上、特に好ましくは30以上である。香辛料の臭気指数が25未満であれば、香辛料の風味が弱くバランスに劣る。また、香辛料の臭気指数は、通常38以下、好ましくは37以下、より好ましくは36以下である。香辛料の臭気指数が38より高いと、香辛料の風味が強くバランスに劣る。
【0014】
本発明の食品における焙煎ごま粉砕物及び香辛料の含有量は、それぞれの臭気指数が上述の特定の範囲内であれば制限されないが、焙煎ごま粉砕物の含有量は、食品全体に対して、通常0.7重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上、特に好ましくは2重量%以上である。また、焙煎ごま粉砕物の含有量は、食品全体に対して、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
香辛料の含有量は、香辛料の種類に応じて異なるが、例えば、香辛料がにんにくである場合は、食品全体に対して、通常0.03重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.07重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上である。また、にんにくの含有量は、食品全体に対して、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.2重量%以下である。一方、香辛料が生姜である場合は、生姜の含有量は、食品全体に対して、通常0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは0.7重量%以上である。また、生姜の含有量は、食品全体に対して、通常8重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0015】
本発明の食品は、焙煎ごまと香辛料との風味のバランスを損なわない範囲で、上記焙煎ごま粉砕物以外の焙煎ごまもしくはその処理物を含有していてもよい。当該「焙煎ごまもしくはその処理物」としては、例えば、未粉砕の焙煎ごま、ごま油、焙煎ごまを水蒸気蒸留すること等によって得られる抽出物等が挙げられる。また、本発明の食品は、焙煎ごまと香味野菜との風味のバランスを損なわない範囲で、上記した実質的に未加熱・未乾燥の香味野菜以外の香味野菜の処理物を含有していてもよい。当該「香味野菜の処理物」としては、例えば、香味野菜の乾燥物、乾燥粉末等が挙げられる。
【0016】
本発明の食品は、水相と油相とが水中油型に乳化されてなる水中油型乳化食品である。具体的には、例えば、乳化ドレッシング、マヨネーズ様食品、半固体状ドレッシング等が挙げられるが、本発明の食品はこれらに限定されない。上記臭気指数の焙煎ごま及び香辛料を配合し、かつ水中油型乳化物とすることにより、同様の配合比からなる分離型ドレッシングなどの非乳化物と比べても、よりコクがあり、ごまのまろやかさを感じ易くなる。
【0017】
水中油型乳化食品の水相を構成する原料(水相原料)は、上述の焙煎ごま粉砕物及び香辛料の他は、乳化ドレッシングやマヨネーズの製造に際して通常使用される原料や、その配合割合に準じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、例えば、水、食塩、醤油、味噌、食酢、調味料、乳化剤、糖類、澱粉、増粘剤、着香料等が挙げられる。
【0018】
以下に適宜配合できる水相原料を具体的に例示するが、これらに限定されない。
【0019】
醤油としては、例えば、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油等が挙げられる。これらの醤油は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
味噌としては、例えば、赤味噌、白味噌、仙台味噌、八丁味噌、麦味噌、米味噌等が挙げられる。これらの味噌は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
食酢としては、例えば、醸造酢、合成酢等が挙げられる。これらの食酢は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0022】
調味料としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの調味料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
乳化剤としては、例えば、卵黄、卵白、乳蛋白、大豆蛋白等が挙げられるが、卵黄が最も一般的である。これらの乳化剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
糖類としては、例えば、グラニュー糖、果糖ぶどう糖液糖、上白糖、中白糖、三温糖、白ザラ糖、中ザラ糖、水あめ、ぶどう糖果糖液糖等が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
澱粉としては、例えば、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コメ澱粉、加工澱粉等が挙げられる。これらの澱粉は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、モナトウガム、アラビアガム、トラガントガム等が挙げられる。これらのガム類は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
着香料としては、例えば、メントール、ペパーミントフレーバー、オレンジフレーバー、マスタードオイル、ゴマフレーバー、ジンジャーフレーバー、ガーリックフレーバー等が挙げられる。これらの着香料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0028】
水中油型乳化食品の油相を構成する原料(油相原料)としては、通常、食品に添加可能な親油性の物質であれば特に制限がなく、例えば、食用油脂、親油性のある着香料、香味油等が挙げられる。
【0029】
以下に適宜配合できる油相原料を具体的に例示するが、これらの成分に限定されるものではない。
【0030】
食用油脂としては、例えば、常温で液体の菜種油、大豆油、サフラワー油、トウモロコシ油、ごま油、パーム油、ヤシ油、オリーブ油、米油、落花生油、ヒマワリ油、牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等が挙げられる。これらの食用油脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。但し、ごま油を使用する場合、上記したとおり、焙煎ごまと香辛料との風味のバランスを損なわない範囲で添加される必要があるので、他の食用油脂と併用することが望ましい。
【0031】
親油性のある着香料としては、例えば、バラ油、ラベンダー油、ベルガモット油、シナモン油、レモン油、ハッカ油等が挙げられる。これらの親油性のある着香料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明の食品は、油相の含有割合が特定の範囲内であることが重要である。油相の含有割合が特定の範囲内であることにより、本発明の食品は、コク味が加わり、焙煎ごまのまろやかな風味がより好ましいものとなる。具体的には、油相の含有割合は、食品全体に対して、通常15重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。油相の含有割合が、15重量%未満である場合、コク味がなく焙煎ごまのまろやかな風味を感じにくい。また、油相の含有割合は、食品全体に対して、通常65重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。油相の含有割合が、65重量%を超える場合、粘度が高くなり過ぎて好ましくない。
【0033】
水中油型乳化食品の製造は、既知の手法により行い得る。例えば、水相原料をスティックミキサーで均一に混合して水相を調製した後、これを攪拌しながら油相原料を徐々に添加し、全量添加した後に3分間攪拌を継続することによって、水中油型乳化食品を製造することができる。
本発明の食品の製造には、通常の乳化食品の製造に使われる装置を用いることができ、特に制限はないが、例えばスティックミキサーなどの攪拌機、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等が挙げられる。
【0034】
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
参考例1 焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数の測定
焙煎ごま粉砕物(すりごま)及び香辛料(にんにく、生姜)の配合割合と臭気指数との関係を、新コスモス電機株式会社製「ポータブル型ニオイセンサ XP-329IIIR」(以下、単に「ニオイセンサ」と略記する場合がある)を用いて測定した。具体的には、20〜24℃の環境にて、下記(1)〜(5)のとおりに実施した。
(1)ニオイセンサの吸気部分にテフロンチューブを装着した。
(2)食品100g中に含まれる量のすりごま、にんにく又は生姜を容量1Lのガラス瓶に投入し、投入直後にキャップを閉めて1分間密封した。
(3)キャップを外し、その直後に、ガラス瓶の口部に穴の開いたゴム栓を取り付けた。
(4)ゴム栓の取り付け後、即座にその穴にテフロンチューブを通した。その際、テフロンチューブの先端がガラス瓶の底部より20cmの高さに位置するよう設置した。
(5)テフロンチューブを設置して1分後のニオイセンサの臭気指数を読み取った。ただし、にんにくの臭気を基準とした臭気指数を、すりごま及び生姜にも適用した。
すりごま、にんにく及び生姜のそれぞれの配合割合と臭気指数との関係を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
(実施例1〜15の水中油型乳化ドレッシングの製造)
下記表2に示す配合割合で、水相原料(2)〜(11)をスティックミキサー(エスゲー社製 BAMIX M250)で均一に混合して水相を調製した後、これを攪拌しながら油相原料(1)を徐々に添加し、全量添加した後に3分間攪拌を継続することによって、実施例1〜15の水中油型乳化ドレッシングをそれぞれ製造した。尚、焙煎ごま粉砕物には、すりごま(白ごまを焙煎した後、粉粒状に擂ったもの)を用い、香辛料には、生にんにくをすりおろしたものの冷凍品又は生姜を2mmダイス状に切断したものの冷凍品を用いた。それぞれの焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数は、表2に示すとおりであった。
【0038】
【表2】

【0039】
(比較例1〜12の水中油型乳化ドレッシングの製造)
下記表3に示す配合割合で、水相原料(2)〜(11)をスティックミキサー(エスゲー社製 BAMIX M250)で均一に混合して水相を調製した後、これを攪拌しながら油相原料(1)を徐々に添加し、全量添加した後に3分間攪拌を継続することによって、比較例1〜12の水中油型乳化ドレッシングをそれぞれ製造した。尚、焙煎ごま粉砕物には、すりごま(白ごまを焙煎した後、粉粒状に擂ったもの)を用い、香辛料には、生姜を2mmダイス状に切断したものの冷凍品又は生にんにくをすりおろしたものの冷凍品を用いた。それぞれの焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数は、表3に示すとおりであった。
【0040】
【表3】

【0041】
試験例1 焙煎ごま粉砕物及び香辛料の臭気指数が味覚品質に及ぼす影響
実施例1〜15及び比較例1〜12の水中油型乳化ドレッシングについて、専門パネラー3名により味覚評価を行った。評価基準は以下の基準に従った。結果を表4に示す。
[評価基準]
◎:非常に好ましい
○:好ましい
×:好ましくない
【0042】
【表4】

【0043】
表4に示す結果から明らかなとおり、実施例1〜15の水中油型乳化ドレッシングは、焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスが良好であり、好ましいものであった。中でも、実施例5及び6、10〜13の水中油型乳化ドレッシングは、焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスに優れ、非常に好ましいものであった。
これに対し、比較例1、5、6の水中油型乳化ドレッシングは、焙煎ごまの風味が弱く、比較例2、5、7、9〜11の水中油型乳化ドレッシングは、香辛料の風味が弱く、比較例4、12の水中油型乳化ドレッシングは、焙煎ごまの風味が強すぎ、また、比較例3、8の水中油型乳化ドレッシングは、香辛料の風味が強すぎ、いずれも好ましくないものであった。
【0044】
(実施例16〜20、比較例13及び14の水中油型乳化ドレッシングの製造)
下記表5に示す配合割合で、水相原料(2)〜(11)をスティックミキサー(エスゲー社製 BAMIX M250)で均一に混合して水相を調製した後、これを攪拌しながら油相原料(1)を徐々に添加し、全量添加した後に3分間攪拌を継続することによって、実施例16〜20、比較例13及び14の水中油型乳化ドレッシングをそれぞれ製造した。尚、焙煎ごま粉砕物には、すりごま(白ごまを焙煎した後、粉粒状に擂ったもの)を用い、香辛料には、生姜を2mmダイス状に切断したものの冷凍品を用いた。得られた実施例16〜20、比較例13及び14の水中油型乳化ドレッシングはいずれも、焙煎ごま粉砕物の臭気指数は30、香辛料の臭気指数は31であった。
【0045】
(比較例15〜17の分離ドレッシングの製造)
下記表5に示す配合割合で、水相原料(3)〜(11)をスティックミキサー(エスゲー社製 BAMIX M250)で均一に混合して水相を調製した後、これの上に油相原料(1)を加えて、比較例15〜17の分離ドレッシングをそれぞれ製造した。尚、焙煎ごま粉砕物には、すりごま(白ごまを焙煎した後、粉粒状に擂ったもの)を用い、香辛料には、生姜を2mmダイス状に切断したものの冷凍品を用いた。得られた比較例15〜17の分離ドレッシングはいずれも、焙煎ごま粉砕物の臭気指数は30、香辛料の臭気指数は31であった。
【0046】
試験例2 油相の含有割合及び乳化状態が味覚品質に及ぼす影響
実施例16〜20、比較例13及び14の水中油型乳化ドレッシング並びに比較例15〜17の分離ドレッシングについて、専門パネラー3名により味覚評価を行った。評価基準は上述の基準に従った。結果を表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
表5に示す結果から明らかなとおり、実施例16〜20の水中油型乳化ドレッシングは、コク味により焙煎ごまのまろやかな風味が引き立ち、好ましいものであった。中でも、実施例17〜19の水中油型乳化ドレッシングは、よりコク味に優れ、非常に好ましいものであった。
これに対し、比較例13及び14の水中油型乳化ドレッシング並びに比較例15〜17の分離ドレッシングは、コク味がなく、焙煎ごまのまろやかな風味を感じにくく、好ましくないものであった。
【0049】
(実施例21の水中油型乳化ドレッシングの製造)
下記表6に示す配合割合で、水相原料(2)〜(12)をスティックミキサー(エスゲー社製 BAMIX M250)で均一に混合して水相を調製した後、これを攪拌しながら油相原料(1)を徐々に添加し、全量添加した後に3分間攪拌を継続することによって、実施例21の水中油型乳化ドレッシングを製造した。尚、焙煎ごま粉砕物には、すりごま(白ごまを焙煎した後、粉粒状に擂ったもの)及びねりごま(白ごまを焙煎した後、ペースト状になるまで擂ったもの)を用い、香辛料には、生姜を2mmダイス状に切断したものの冷凍品を用いた。得られた実施例21の水中油型乳化ドレッシングの焙煎ごま粉砕物(すりごま及びねりごま)の臭気指数は31、香辛料の臭気指数は31であった。
【0050】
試験例3 配合成分及び配合割合が味覚品質に及ぼす影響
実施例21の水中油型乳化ドレッシングについて、専門パネラー3名により味覚評価を行った。評価基準は上述の基準に従った。結果を表6に示す。
【0051】
【表6】

【0052】
表6に示す結果から明らかなとおり、実施例21の水中油型乳化ドレッシングの風味は、非常に好ましいものであった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、焙煎ごまのまろやかな風味と香辛料の風味とのバランスに優れ、かつ、これらの風味が向上した食用乳化物を提供することができるので、ドレッシングなどの液体調味料として大いに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎ごま粉砕物及び香辛料を含有する水中油型乳化食品であって、
(1)該食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22以上かつ32以下であり、
(2)該食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が25以上かつ38以下であり、
(3)食品全体に対する油相の含有割合が15重量%以上かつ65重量%以下であることを特徴とする、食品。
【請求項2】
焙煎ごま粉砕物が、すりごま及び/又はねりごまである、請求項1記載の食品。
【請求項3】
香辛料が、香味野菜である、請求項1又は2記載の食品。
【請求項4】
香味野菜が、生姜及び/又はにんにくである、請求項3記載の食品。
【請求項5】
食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が、23以上かつ31以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品。
【請求項6】
食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が、26以上かつ37以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品。
【請求項7】
食品全体に対する油相の含有割合が、20重量%以上かつ60重量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品。
【請求項8】
焙煎ごま粉砕物及び香辛料を含有する食品における風味の改善方法であって、
(1)該食品100g中に含有される焙煎ごま粉砕物の臭気指数が22以上かつ32以下となるように焙煎ごま粉砕物を配合し、かつ(2)該食品100g中に含有される香辛料の臭気指数が25以上かつ38以下となるように香辛料を配合した水相と、
(3)食品全体に対する含有割合が15重量%以上かつ65重量%以下である油相とを、
乳化して、水中油型乳化物とすることを含む、方法。