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無オリゴペプチド細胞培地
説明

無オリゴペプチド細胞培地

【課題】無オリゴペプチド細胞培地を提供すること。
【解決手段】本発明は、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む無オリゴペプチド細胞培地およびポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む無オリゴペプチド細胞培地で細胞を培養する方法に関する。本発明は、また、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地で少なくとも1つのタンパク質を発現させる方法およびポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地で少なくとも1つのウイルスを生成する方法に関する。さらに、本発明による無オリゴペプチド培地は、着実な細胞増殖および所望の産物、特に、組換えタンパク質および/またはウイルス等の標的タンパク質の収率の上昇を可能にし、どのようなタンパク質加水分解物の品質またはロット差異にも依存しない。ポリアミンの特異的濃度による細胞培地の特異的補充は、細胞増殖、細胞の特異的生産性、および最終的な細胞密度を増加させるように作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む無オリゴペプチド細胞培地およびポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む前述の無オリゴペプチド細胞培地で細胞を培養する方法に関する。本発明は、また、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地で少なくとも1つのタンパク質を発現させる方法およびポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地で少なくとも1つのウイルスを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細胞、詳細には真核細胞、より具体的には哺乳類細胞の培養に関して、細胞の効率的な増殖および生物学的産物(特に、例えば組換えタンパク質、抗体、ウイルス、ウイルス抗原、およびウイルス様粒子等の生物製剤)の生成に必要とされる栄養物質を備えている特別な培地を使用する必要性が常に存在する。前述の生物学的産物の効率的な生成に関して、最大限の産物収率を得るために、最適な細胞密度ならびにタンパク質発現それ自体の増加を達成することが重要である。
【0003】
細胞培地製剤は、ウシ胎仔血清(FCS)、いくつかの動物性タンパク質、および/またはウシ由来のタンパク質加水分解物、ならびに植物性または酵母由来のタンパク質加水分解物等の不明確な成分を含む様々な添加物が補充されてきた。
【0004】
一般に、例えば、アルビミン、トランスフェリン、もしくはインスリン等の血清または血清由来物質は、細胞培養およびそこから得られる生物学的産物を混入し得る不必要な薬剤を含むこともある。さらに、ヒト血清由来の添加物は、血清を介して感染し得る肝炎ウイルスおよびHIVを含むすべての既知のウイルスについてテストされる必要がある。さらに、ウシ血清よびそれに由来する産物は、ウシ海綿状脳症(BSE)汚染のリスクを有する。さらに、血清由来のすべての産物は、未知の物質によって汚染され得る。細胞培養でヒトまたは動物供給源由来の血清またはタンパク質添加物を使用するとき、詳細には、ヒト投与のための薬物またはワクチンの製造において細胞が使用される場合、多数の問題(例えば、異なるバッチの組成物における品質の差異、およびマイコプラズマ、ウイルス、またはBSEの汚染のリスク等)がある。
【0005】
従って、血清または他の動物性タンパク質化合物を必要としない効率的な宿主系および培養条件を提供する数多くの試みがなされてきた。
【0006】
そのような無血清培地は、植物性または酵母由来の抽出タンパク質を基にして開発されてきた。例えば、大豆加水分解物は、発酵プロセスに有用であることが知られており、多数の偏好性生物、酵母、および真菌類の増殖を増進させることが可能である。特許文献1は、大豆ミールのパパイン消化が糖質および窒素の供給源であり、成分の多くは、組織培養で使用され得ることを記述している。非特許文献1は、定義された大豆および小麦の加水分解ペプチド画分の増殖および生産性の促進効果を記述している。
【0007】
特許文献2は、脊椎動物細胞の増殖およびウイルス生成プロセスのための合成基礎培地および抽出酵母から構成される無血清培地を開示している。米ペプチドおよび抽出酵母を含む基本細胞培地およびその酵素消化、および/または動物細胞の増殖のための植物脂質から構成される培地製剤が、特許文献3に開示されている。組換え細胞の培養のための精製大豆加水分解物を含む培地は、特許文献4に開示されている。特許文献5は、大豆加水分解物および抽出酵母を含むが、増殖因子等の組換え型動物たんぱく質の存在も必要とする培地を開示している。
【0008】
欧州特許第A−0481791号は、操作されたCHO細胞を培養するための生化学的に定義された培地を記述し、その培地は、動物供給源から単離されたタンパク質、脂質、および糖質を含まず、さらに組換えインスリンまたはインスリン類似体、1%〜0.025%重量のパパイン消化大豆ペプトンおよびプトレシンを含む。国際公開第98/08934号は、加水分解大豆ペプチド(1〜1000mg/L)、0.01〜1mg/Lのプトレシン、および様々な動物由来成分(アルブミン、フェチュイン、種々のホルモン、および他のタンパク質を含む)を含む無血清真核細胞培養を記述している。これと関連して、プトレシンも、0.08mg/Lの濃度でDMEM/ハムF12等の標準的な培地に含まれることが周知であることに注目すべきである。
【0009】
しかしながら、植物および/または酵母の加水分解物は、オリゴペプチドならびに他の未知の成分および混入物の不明確な混合物である。さらに、市販されている加水分解物のロットの品質は、極めて異なる。結果的に、使用される加水分解物のロット数に応じて(「ロット間の差異」)、組換えタンパク質またはウイルス産物の生成における大きな差異(3倍までの差異)がある。この欠点は、細胞の増殖ならびに各細胞のタンパク質発現に影響を及ぼす。
【0010】
要約すれば、当技術分野で周知の培地は、動物性、植物性、または酵母由来のタンパク質もしくは抽出ペプチドで補充される、または例えば、インスリン、インスリン様増殖因子、もしくは他の増殖因子等の組換え型タンパク質で補充される。
【0011】
従って、上述の問題を克服するためには、動物、植物、および真菌のタンパク質および/またはオリゴペプチドを含まない細胞培地が必要である。さらに、発現される組換えタンパク質または他の任意の発現産物の収率を上昇させる必要性、およびヒトにおいて医薬品またはワクチンとして使用される等の生物学的産物の生成のために最適な細胞培地を提供する必要性が現在存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第96/26266号パンフレット
【特許文献2】国際公開第96/15231号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/15614号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/23527号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/03000号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Franek et al.(Biotechnology Progress (2000)16,688−692)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、無オリゴペプチド細胞培地を提供することである。本発明のさらなる目的は、前述の培地で細胞を培養する方法ならびに組換えタンパク質を効率的に発現させる方法、および/またはウイルスを効率的に生成する方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、動物性、植物性、および/または酵母由来の加水分解物を排除すること、ならびに添加補助タンパク質またはオリゴペプチドを少しも含まない培地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の要旨
驚くべきことに、細胞培地にポリアミンを少なくとも0.5mg/L添加すると、細胞増殖が促進されることだけでなく、細胞ごとのタンパク質および/またはウイルス発現が上昇することにより有利な効果がもたらされる。前述の予想外の有利な効果は、無オリゴペプチド培地でも達成され得る。
【0017】
さらに、本発明による無オリゴペプチド培地は、着実な細胞増殖および所望の産物、特に、組換えタンパク質および/またはウイルス等の標的タンパク質の収率の上昇を可能にし、どのようなタンパク質加水分解物の品質またはロット差異にも依存しない。ポリアミンの特異的濃度による細胞培地の特異的補充は、細胞増殖、細胞の特異的生産性、および最終的な細胞密度を増加させるように作用する。
【0018】
従って、本発明による培地は、当技術分野で周知の培地と比較して、組換えタンパク質発現、ウイルス生成、および細胞増殖速度に関してより有利である。さらに、本発明による無オリゴペプチド培地は、細胞培地へのタンパク質加水分解物の添加を不必要にする。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
無オリゴペプチド細胞培地であって、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む、無オリゴペプチド細胞培地。
(項目2)
上記ポリアミンが、カダベリン、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、アグマチン、オルニチン、およびその組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目3)
上記ポリアミンが、合成的に生成される、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目4)
上記ポリアミンが、約0.5〜約30mg/Lの範囲の濃度で培地に存在する、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目5)
上記培地が、20以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目6)
上記培地が、3以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まず、場合によりグルタチオンを含む、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目7)
上記培地が、2以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まず、場合によりグルタチオンおよび/またはグルタミンの少なくとも1つの安定な形態を含む、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目8)
上記培地が、化学的に定義されている、項目1に記載の無オリゴペプチド細胞培地。
(項目9)
細胞を培養する方法であって、
(a)項目1に記載の無オリゴペプチドを準備するステップと、
(b)培地で細胞を増殖させ、細胞培養を形成させるステップと、
を含む方法。
(項目10)
上記細胞が、哺乳類細胞、昆虫細胞、トリ細胞、細菌細胞、および酵母細胞からなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
少なくとも1つのタンパク質を発現させる方法であって、
(a)細胞の培養を準備するステップと、
(b)少なくとも1つのタンパク質をコードする配列を含む少なくとも1つの核酸配列を上記細胞に導入するステップと、
(c)上記核酸配列を有する上記細胞を選択するステップと、
(d)ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地中の上記細胞で上記タンパク質を発現させるステップと
を含む方法。
(項目12)
上記培地が、項目1に記載の無オリゴペプチド培地である、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記タンパク質が、凝固因子VII、凝固因子VIII、凝固因子IX、vWF、ADAMTS13、およびフューリンからなる群から選択される、項目11に記載の方法。
(項目14)
上記細胞が、CHO細胞、293細胞、またはBHK細胞である、項目11に記載の方法。
(項目15)
上記細胞とタンパク質の組み合わせが、CHO細胞/凝固因子VIII、CHO細胞/凝固因子VII、CHO細胞/ADAMTS13、CHO細胞/フューリン、293細胞/凝固因子IXからなる群から選択される、項目11に記載の方法。
(項目16)
少なくとも1つのウイルスを生成する方法であって、
(a)細胞の培養を準備するステップと、
(b)上記細胞を少なくとも1つのウイルスに感染させるステップと、
(c)上記ウイルスに感染した細胞を選択するステップと、
(d)ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地中の上記細胞で少なくとも1つのウイルスを増殖させるステップと
を含む方法。
(項目17)
上記培地が、項目1に記載の無オリゴペプチド培地である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記ウイルスが、ポックスウイルス、コロナウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、レトロウイスル、トガウイルス、フラビウイルス、エンテロウイルス、ピコルナウイルス、アレナウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノウイルスからなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目19)
上記ウイルスが、ワクシニアウイルス、SARSウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、レンチウイルス、ロスリバーウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス、FSMEウイルス、およびA型肝炎ウイルスからなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目20)
上記細胞が、ベロ細胞またはニワトリ胚細胞である、項目16に記載の方法。
(項目21)
上記細胞とウイルスの組み合わせが、ベロ細胞/弱毒化ワクシニア、ベロ細胞/ワクシニア、ベロ細胞/A型肝炎ウイルス、ベロ細胞/インフルエンザウイルス、ベロ細胞/ウエストナイルウイルス、ベロ細胞/SARSウイルス、ベロ細胞/黄熱病ウイルス、ニワトリ胚細胞/FSMEウイルス、およびニワトリ胚細胞/改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)からなる群から選択される、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、培養期間([日数]で表す)にわたるBAV培地で培養したGD8/6細胞のFVIII−CoA容積測定生産性([1日毎のリッターあたりのユニット数]で表す)に関する2.0mg/Lプトレシン 2HClの添加の効果を表すグラフである。矢印=11日目:プトレシン 2HCl(2mg/L)の添加。
【図2】図2は、容積測定生産性および細胞特異的生産性(QPは[1日毎のリッターあたりのユニット数]で表す;qpは[1日毎の10E06細胞あたりのmU]で表す)および特異的増殖速度μ(BAV培地で培養されたGD8/6細胞の1日毎の特異的増殖速度を[d−1]で表す)に関するFe(II)およびCu(II)を用いる付加的な補充と場合により組み合せたプトレシン添加の効果を比較する表である。
【図3】図3は、BAV培地で培養したGD8/6細胞の特異的増殖速度(絶対的μ、相対的μ)および細胞特異的生産性(絶対的qpは、1日毎の10E06細胞あたりmUで表す;相対的qpは、%で表す)に関するプトレシンおよび/またはオルニチンの効果を比較する表である。
【図4】図4は、BAV培地で培養したGD8/6細胞の特異的増殖速度(絶対的μ、相対的μ)および細胞特異的生産性(絶対的qp、相対的qp)に関するプトレシンおよびスペルミンの効果を比較する表である。
【図5】図5は、BAV培地で培養したGD8/6細胞の特異的増殖速度(絶対的μ、相対的μ)および細胞特異的生産性(絶対的qp、相対的qp)に関するプトレシンおよびエタノールアミンの効果を比較する表である。
【図6】図6は、平均MVAウイルス力価([TCID 50/mL×10]で表す)に関する3.6mg/Lのプトレシン 2HCl添加の効果を表すグラフである。−:プトレシン添加なし、Putr:3.6mg/Lのプトレシン 2HCl添加。
【図7】図7は、平均MVAウイルス力価([TCID 5o/ml×10で表す])に関する様々な濃度のプトレシン 2HCl([mg/L]で表す)の添加の効果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様は、ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む無オリゴペプチド細胞培地に関する。
【0021】
別に述べない限り、本文書全体を通して示される濃度値は、成分の遊離塩基形態を呼ぶ。
【0022】
用語「ポリアミン」は、芳香族またはカチオン性アミノ酸由来の有機ポリカチオンである生体ポリアミン基のいずれかを呼ぶ。ポリアミンは、炭素、窒素、および水素で構成され、かつ2つ以上のアミノ基を含む。ポリアミンは、1つまたは複数の正電荷および疎水性骨格を有する。該用語は、例えば、カダベリン、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、アグマチン、オルニチン、およびその組み合わせからなる群から選択される分子を包含する。発明の1つの実施形態では、無オリゴペプチド培地は、オルニチン、もしくはプトレシン、もしくはスペルミン、もしくはその組み合わせを含む。
【0023】
本発明による無オリゴペプチド細胞培地の別の実施例では、ポリアミンはタンパク質加水分解物以外の供給源に由来する。1つの実施形態では、ポリアミンは、合成的に生成される。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、ポリアミン濃度は少なくとも約0.5mg/Lであり、別の実施形態では少なくとも約1mg/L、さらなる実施形態では少なくとも約2mg/L、さらに別の実施形態では少なくとも5mg/L、さらに別の実施形態では少なくとも8mg/L、およびさらなる実施形態では少なくとも10mg/Lである。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、培地中のポリアミン濃度は約0.5mg/L〜約30mg/Lの範囲であり、別の実施形態では約0.5mg/L〜約20mg/L、さらなる実施形態では約1.0mg/L〜約20mg/L、さらなる実施形態では約2,0mg/L〜約20mg/L、さらなる実施形態では約2mg/L〜約10mg/L、別の実施形態では約2mg/L〜約8mg/L、およびさらなる実施形態では約2mg/L〜約5mg/Lの範囲である。
【0026】
前述の濃度は、純粋なポリアミンのそれぞれの濃度である。ポリアミン誘導体またはポリアミン含有化合物が使用される場合、ポリアミン基の濃度は、前述の指定範囲内である。例えば、2mg/Lのプトレシン 2HClは、前述の約1.095mg/Lのプトレシン濃度(2HClなしの)に相当する。
【0027】
本発明による用語「無オリゴペプチド細胞培地」は、例えばタンパク質加水分解物由来のオリゴペプチド等のオリゴペプチドを含まない無タンパク質培地を呼ぶ。1つの実施形態では、培地は、20以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明の1つの実施形態では、培地は、15以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明の別の実施形態では、培地は、10以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。1つの実施形態では、培地は、7以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まず、別の実施形態では5以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まず、さらに別の実施形態では3以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明のさらなる実施形態によれば、培地は,2以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。
【0028】
本発明による培地は、グルタチオンおよび/または少なくとも1つのグルタチオンの安定な形態(例えば、L−アラニル−L−グルタミン等)を場合により含み得る。本明細書で使用されるように用語「グルタチオン」は、アミノ酸のグルタミン酸、システイン、およびグリシン(グルタチオンの酸化型、すなわちグルタチオンジスルフィド(酸化される過程でシステインスルフヒドリル側鎖の間のジスルフィド結合によって形成されるグルタチオン二量体)を含む)から構成されるトリペプチドを表す。
【0029】
本発明の実施形態では、無オリゴペプチド細胞培地は、3以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まないが、場合によりグルタチオンを含み得る。
【0030】
別の実施形態では、無オリゴペプチド細胞培地は、2以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まないが、グルタチオンおよび/またはグルタミンの少なくとも1つの安定な形態を場合により含み得る。
【0031】
本発明による培地で回避される典型的なタンパク質および/またはオリゴペプチドは、例えば、アルブミン、トランスフェリン、インスリン、もしくは他の増殖因子ならびにその組換え型、または植物性もしくは酵母の加水分解物由来のオリゴペプチドもしくはその限外濾過形態等の血清および血清由来物質で発見されるものである。
【0032】
本発明による無オリゴペプチド培地は、一般に当業者には周知のDMEM、ハムF12、培地199、マッコイ、またはRPMI等の任意の基礎培地に基づくことが可能である。基礎培地は、アミノ酸、ビタミン、有機および無機塩類、ならびに糖質の供給源を含むいくつかの成分を含むことが可能であり、各成分は、細胞の培養を補助する量で存在し、その量は、一般に当業者には周知である。培地は、例えば、炭酸水素ナトリウム、坑酸化剤、機械的ストレスに対抗する安定剤、またはプロテアーゼ阻害剤のような緩衝物質等の補助物質を含み得る。必要に応じて、共重合体および/またはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール(例えば、プルロニックF68(登録商標)、SERVA社)の混合物等の非イオン性界面活性剤が添加され得る。
【0033】
本発明による培地の実施形態では、ポリアミンは、DNAおよびRNAの合成、および/または細胞増殖、および/または細胞分化、および/または膜安定化、および/または坑酸化DNAの保護を制御する。
【0034】
1つの実施形態では、無オリゴペプチド細胞培地への少なくとも0.5mg/Lのポリアミンの添加は、培養細胞中のタンパク質および/またはウイルスの発現を増加させる。別の実施形態では、培養細胞中のタンパク質発現またはウイルス力価は、無オリゴペプチド細胞培地に少なくとも0.5mg/Lのポリアミンを添加することによって少なくとも50%増加し得る。さらに別の実施形態では、前述の増加は、少なくとも60%である。さらに別の実施形態では、細胞特異的生産性は、無オリゴペプチド細胞培地に少なくとも0.5mg/Lのポリアミンを添加することによって少なくとも2倍増加し、別の実施形態では、細胞特異的生産性は、少なくとも3倍増加する。さらに別の実施形態では、少なくとも0.5mg/Lのポリアミンの添加は、タンパク質発現および/またはウイルス力価を少なくとも400%まで増加し、さらなる実施形態では、少なくとも500%まで、別の実施形態では少なくとも600%まで、さらなる実施形態では700%まで増加という結果になる。
【0035】
1つの実施形態では、培養細胞の特異的増殖速度は、無オリゴペプチド細胞培地に少なくとも0.5mg/Lのポリアミンを添加することによって増加し得る。さらなる実施形態では、前述の特異的増殖速度は、10%増加し得る。さらに別の実施形態では、前述の特異的増殖速度は、20%増加し得る。さらに別の実施形態では、前述の特異的増殖速度は、50%増加し得る。さらなる実施形態では、前述の特異的増殖速度は、70%増加し得る。別の実施形態では、前述の特異的増殖速度は、80%増加し得る。さらに別の実施形態では、前述の特異的増殖速度は、90%増加し得る。さらに別の実施形態では、前述の特異的増殖速度は、100%増加し得る。
【0036】
本発明のさらなる実施形態では、培地は、化学的に定義される。本明細書で使用されるように用語「化学的に定義される」とは、例えば、抽出動物成分、器官、腺、植物、または酵母等のいかなる不明確な補充も含まれないことを意味する。従って、化学的に定義される培地の各成分は、正確に定義される。
【0037】
本発明は、さらに、以下のステップを含む細胞を培養するための方法に関する:
(a)本発明により無オリゴペプチド細胞培地を準備するステップ、および
(b)細胞培養を形成するために培地で細胞を増殖させるステップ。
【0038】
本発明は、いかなる細胞型にも限定されない。細胞型の例は、哺乳類細胞、昆虫細胞、トリ細胞、細菌細胞、および酵母細胞を含む。細胞は、例えば、組換え遺伝子発現のためにベクターを導入した幹細胞もしくは組換え細胞、またはウイルス産物を生成するためにウイルスをトランスフェクトされた細胞であり得る。細胞は、また、例えば、組換え形質転換を行わずに目的のタンパク質を産生する細胞(例えば、抗体産生B細胞)であり得、例えば、エブスタインバーウイルス感染等のウイルス感染によって不死化状態に形質転換され得る。細胞は、また、例えば、一次細胞(例えば、ニワトリ胚細胞)または一次細胞系であり得る。in vitroウイルス生成で使用される細胞は有用である。有用な細胞の具体的な例は、BSC細胞、LLC−MK細胞、CV−1細胞、COS細胞、ベロ(VERO)細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK−1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC−RK細胞、MDOK細胞、BHK−21細胞、CHO細胞、NS−1細胞、MRC−5細胞、WI−38細胞、BHK細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、およびニワトリ胚細胞を含む。
【0039】
本発明により使用される細胞は、例えば、バッチ培養、フィードバッチ培養、灌流培養、およびケモスタット培養からなる群から選択される方法によって培養され得る。これらすべての培養は、通常、当技術分野では周知である。
【0040】
本発明は、さらに、例えば、異種もしくは自己タンパク質、または組換えタンパク質等の少なくとも1つのタンパク質を発現させるために以下のステップを含む方法に関する:a)細胞の培養液を準備するステップ、
b)少なくとも1つのタンパク質をコードする配列を含む少なくとも1つの核酸を細胞に導入するステップ、
c)核酸配列を有する細胞を選択するステップ、および
d)ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地中の細胞でタンパク質を発現させるステップ。
【0041】
本発明の1つの実施形態では、ステップd)の培地は、本発明による無オリゴペプチド培地である。本発明のさらなる実施形態では、ステップa)の培養細胞は、本発明による無オリゴペプチド細胞培地で増殖されたものである。別の実施形態では、a)からd)までのステップは、本発明による無オリゴペプチド細胞培地で実行される。
【0042】
少なくとも1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸配列は、ベクターであり得る。ベクターは、ウイルスによって送達されることが可能であり、あるいはプラスミドであり得る。タンパク質をコードする核酸配列は、特異的遺伝子またはその生物学的機能部分であり得る。1つの実施形態では、タンパク質は、因子VIII等の血液凝固因子の少なくとも生物学的活性部分もしくはエリスロポエチン等の赤血球および血管形成の産生に関与するタンパク質の少なくとも生物学的活性部分、またはモノクローナル抗体である。
【0043】
ある実施形態では、核酸配列は、凝固因子VII、凝固因子VIII、凝固因子IX、vWF、ADAMTS13、およびフューリンからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質をコードする配列を含む。
【0044】
本発明のある実施形態では、核酸は、さらに、プロモーター配列、エンハンサー、TATAボックス、転写開始部位、ポリリンカー、制限部位、ポリA配列、タンパク質のプロセシング配列、選択マーカー等、通常、当業者には周知であるタンパク質の制御発現に適する他の配列を含む。
【0045】
本発明の1つの実施形態では、細胞は、CHO細胞、293細胞、およびBHK細胞からなる群から選択される。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、以下の細胞系は、それぞれの産物の発現のために組換えベクターを導入し得る:組換え凝固因子(例えば、因子VIIおよび/または因子VIII)、および/またはモノクローナル抗体の産生のためのCHO細胞、組換えエリスロポエチン、形質転換エプスタインバーウイルスの産生のためのBHK細胞、ヒト抗体の産生のための免疫化ヒトB細胞。有用な細胞/タンパク質の組み合わせは、例えば、CHO細胞/凝固因子VIII、CHO細胞/凝固因子VII、CHO細胞/ADAMTS13、CHO細胞/フューリン、および293細胞/凝固因子IXである。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、本発明の培地で培養されない細胞によるタンパク質の発現と比較すると、本発明による培地で培養される細胞による少なくとも1つのタンパク質の発現は、増加する。別の実施形態では、前述の発現は、少なくとも10%増加し、さらなる実施形態では少なくとも50%増加する。
【0048】
本発明は、さらに、少なくとも1つのウイルスもしくは1つのウイルスの少なくとも一部を生成するための方法に関し、以下のステップを含む:
a)細胞の培養液を準備するステップ、
b)細胞を少なくとも1つのウイルスに感染させるステップ、
c)ウイルスに感染した細胞を選択するステップ、および
d)ポリアミンを少なくとも0.5mg/L含む培地中の細胞で少なくとも1つのウイルスを増殖させるステップ。
【0049】
本発明の1つの実施形態では、ステップd)の培地は、本発明による無オリゴペプチド培地である。本発明のさらなる実施形態では、ステップa)の培養細胞は、本発明による無オリゴペプチド細胞培地で増殖されたものである。別の実施形態では、a)からd)までのステップは、本発明による無オリゴペプチド細胞培地で実行される。
【0050】
本発明による方法で使用されるウイルスは、例えばポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルスもしくは弱毒化ワクシニアウイルス);コロナウイルス(例えばSARSウイルス);オルソミクソウイルス(例えば、A型もしくはB型インフルエンザ);パラミクソウイルス;レトロウイスル(例えば、レンチウイルス);トガウイルス(例えば、ロスリバーウイルス);フラビウイルス(例えば、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス、もしくはFSMEウイルス(すなわち、ダニ媒介性脳炎ウイルス));エンテロウイルス(例えば、A型肝炎);ピコルナウイルス;アレナウイルス;ヘルペスウイルス;もしくはアデノウイルス等の任意のウイルスであり得る。本発明の1つの実施形態では、ウイルスは、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)である。ウイルスは、それぞれのウイルス生成のために本発明によって増殖し得る。
【0051】
ウイルスは、野生型ウイルス、弱毒化ウイルス、リアソータントウイルス、もしくは組換えウイルス、またはその組み合わせ(例えば、弱毒化と組換え)であり得る。さらに、細胞をウイルスに感染させるために使用される実際のウイルス粒子の代わりに、感染性核酸クローンが使用され得る。スプリットウイルス粒子も使用され得る。
【0052】
ウイルスを生成する方法は、ウイルス、ウイルス抗原、またはウイルス様粒子を含む免疫原性組成物を生成するために使用され得る。
【0053】
本発明によってウイルスを生成するための方法で使用される細胞は、哺乳類細胞、昆虫細胞、トリ細胞、細菌細胞、および酵母細胞からなる群から選択され得る。1つの実施形態では、本発明によってウイルスを生成するための方法で使用される細胞は、ベロ細胞およびニワトリ胚細胞からなる群から選択される。
【0054】
ウイルスもしくはウイルスの一部を生成するために細胞とウイルスの有用な組み合わせは、例えば、ベロ細胞/弱毒化ワクシニア、ベロ細胞/ワクシニア、ベロ細胞/A型肝炎ウイルス、ベロ細胞/インフルエンザウイルス、ベロ細胞/ウエストナイルウイルス、ベロ細胞/SARSウイルス、ベロ細胞/黄熱病ウイルス、およびニワトリ胚細胞/FSMEウイルスがある。本発明の1つの実施形態では、細胞/ウイルスの組み合わせは、ニワトリ胚細胞/改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)である。
【0055】
有用な培養方法は、バッチ培養、フィードバッチ培養、灌流培養、およびケモスタット培養を含む。
【0056】
ここで本発明は、以下の実施例でさらに例証されるが、それに限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:BAV培地の調製
無オリゴペプチド培地(BAV培地)を、無機塩類、アミノ酸、ビタミン、および他の成分を含むDMEM/ハムF12(1:1)基礎培地(ライフテクノロジーズ(Life
technologies)32500粉末)で調製した。また、L−グルタミン(600mg/L)、アスコルビン酸(20μM)、エタノールアミン(25μM)、Synperonic(登録商標)(SERVA社)(0.25g/L)、亜セレン酸ナトリウム(50nM)を加えた。さらに、必須アミノ酸を細胞培地に補充した:L−アスパラギン HO 20mg/L、L−システイン HCl HO 15 mg/L、L−システイン 2HCl 20mg/L、L−プロリン 35mg/L、L−トリプトファン
20 mg/L。
【0058】
実施例2:細胞数の決定
浮遊細胞または固定化細胞からの細胞数を、Scharfe et al.,Biotechnologie in LaborPraxis 10:1096−1103(1988)によって記述されるCASY(登録商標)セルカウンターで、あるいはクエン酸抽出と核の蛍光染色に続きNucleoCounter(登録商標)(Chemometec社、デンマーク(DK))でのいずれかで数えて決定した。特異的増殖速度(μ)を、ある一定の時間間隔(t)にわたる細胞密度(X)の増加および/または浮遊細胞のケモスタット培養の定常状態の希釈率(D)から算出する:
μ=D+In(X/X0)/t。
【0059】
実施例3:FVIII活性の決定
因子VIII(FVIII)(図1〜5を参照)の活性を色素生産性アッセイ(Chromogenic社、スウェーデン)によって測定した。
【0060】
実施例4:容積測定(QP)および細胞特異的生産性(qp)の算出
容積測定生産性(QP)を、生成システムで1日毎リアクター容積のリッターあたりでもたらされる活性ユニットの量(U/L/d)から算出する。
【0061】
細胞特異的生産性(qp)を、1日毎細胞数あたりで生成されるタンパク質の特定の量(Uもしくはμg)として定義する。
【0062】
実施例5:大規模な細胞培養の条件
組換え哺乳類細胞(例えば、GD8/6細胞等の因子VIIIを安定に発現するCHO細胞)の細胞培養を、10Lのバイオリアクターでケモスタット培養の懸濁液で増殖させた。37℃、酸素飽和度20%、およびpH7.0〜7.1の培養条件を一定に保った。BAV培地の一定フィードによって培養液を供給した。
【0063】
実施例6:FVIII発現へのポリアミン添加の効果
実施例5に記述するように、11日間BAV培地を一定にフィードすることで、10Lバイオリアクター中のケモスタット培養でGD8/6細胞を増殖させ、生産性が100U/L/日を下まわる結果となった。プトレシン 2HCl(2mg/L)を添加することによって容積測定FVIII発現が800%増加した(図1を参照)。従って、GD8/6細胞系の細胞特異的発現の駆動因子としてプトレシンを明確に特定することができた。
【0064】
実施例7:FVIII発現へのポリアミンならびにFe(II)およびCu(II)の添加の効果
実施例5に記述するようにGD8/6細胞を、10Lバイオリアクター中のケモスタット培養で増殖させ、低い細胞特異的生産性および特異的増殖速度と共に平均生産性が271U/L/日という結果になった。プトレシン 2HCl(2mg/L)を添加することによって、FVIIIの発現は、主に増加した細胞特異的生産性のため、870U/L/日まで増加した。Fe(II)およびCu(II)をそのままの濃度、さもなければ大豆加水分解物に通常含まれる濃度で追加補充することにより、特異的増殖速度の約0.60d−1増加につながり、1700mU/10E06細胞/日を超える細胞特異的生産性の増加を達成し得た。これらの条件下で、2685U/L/日を超える容積測定生産性に達した。さらに、細胞密度の増加は、容積測定生産性が3000U/L/日を超える結果となった。同等の発酵条件下の培地を含む大豆加水分解物の最大の容積測定生産性は、2000〜2500U/L/日であり、プトレシンと付加的な2つの金属イオンだけを含む化学的に定義された培地が、以前にこのプロセスで調べた培地形態(図2を参照)を含む大豆加水分解物よりも優れていることを示した。
【0065】
実施例8:小規模の細胞培養の条件
浮遊培養でGD8/6細胞を用いる小規模実験を、温度37℃で、pHおよびpOを制御せずにバッチリフィードモードで200ml作業容量のテクネ社製スピナーフラスコで行った。上記に定義されるように、培養にBAV培地を供給し、さらにプトレシン 2HCl、オルニチン HCl、スペルミン 4HCl、もしくはエタノールアミン、またはその組み合わせを0〜18mg/Lの範囲で(HClなしの生体アミン0〜10mg/Lと同等である(図3〜5を参照))を補充した。
【0066】
実施例9:FVIII発現へのいくつかのポリアミンおよびポリアミンの組み合わせでの添加の効果
実施例8に記述するように、BAV培地を用いる培養からのGD8/6細胞を遠心分離させて、200ml作業容量のテクネ社製スピナーフラスコに移し、図3、4、および5に示すようにエタノールアミン、プトレシン、オルニチン、および/またはスペルミンを補充した、定義される培地で約1−2E06細胞/mlの細胞密度でインキュベートした。生体アミンの経路でプトレシンの前駆体であるオルニチンは、濃度依存的方法でプトレシンを部分的に置換することができた。プトレシン 2HClを含む培地に様々な濃度でオルニチンを添加すると、特異的なFVIII生産性および増殖速度がさらに増加するという結果がもたらされた(図3を参照)。しかしながら、本発明によるポリアミンではないエタノールアミンは、調査した任意の濃度でもプトレシンを置換できなく、またはプトレシンを含む培地でエタノールアミン濃度を増加させても容積測定生産性もしくは特異的増殖速度の有意な増加をもたらさなかった(図5を参照)。さらに、同様の条件下の実験で、生体アミン経路の別の中間体であるスペルミンも、濃度依存的方法でプトレシンを置換できることを示した(図4を参照)。
【0067】
実施例10:MVAウイルス生成へのポリアミン添加の効果
ニワトリ胚の初代細胞培養を、無ペプチド培地(FM−培地)を用いて3.6mg/Lのプトレシン 2HClの有、無でテクネスピナーフラスコ(作業容積200ml)で培養した。
【0068】
FM培地を、無機塩類、アミノ酸、ビタミン、および他の成分を含むM199基礎培地(ライフテクノロジーズ(Life technologies)、31150粉末)で調製した。また、NaHCO(4.4g/Lまで)、ゲンタマイシン SO(50μg/L)、およびネオマイシン SO(50μg/L)を加えた。
【0069】
細胞培養をMVAウイルスに感染させ、TCID50アッセイで上清をウイルス力価に関して解析した。プトレシンを添加することによって平均ウイルス力価(各n=16試料)を約50%増加させることができた(図6を参照)。
【0070】
実施例11:MVAウイルス生成へのポリアミンの複数用量による添加の効果
ニワトリ胚の初代細胞培養を、無ペプチド培地(CEM−培地)を用いて3.6および9mg/Lのプトレシン 2HClの有、無でテクネスピナーフラスコ(作業容積200ml)で培養した。
【0071】
CEM培地を、無機塩類、アミノ酸、ビタミン、および他の成分を含むDMEM/ハムF12(1:1)の基礎培地(ライフテクノロジーズ(Life technologies)、32500粉末)で調製した。また、NaHCO(2g/L)、L−グルタミン(600mg/L)、アスコルビン酸(20μM)、エタノールアミン(25μM)、Synperonic(登録商標)(SERVA社)(0.25g/L)、亜セレン酸ナトリウム(50nM)、FeSO 7HO(600μg/L)、ゲンタマイシン SO(50μg/L)、およびネオマイシン SO(50μg/L)を加えた。さらに、必須アミノ酸を細胞培地に補充した:L−アスパラギン HO 20mg/L、L−システイン HCl HO 15 mg/L、L−システイン 2HCl 20mg/L、L−プロリン 35mg/L、L−トリプトファン 20 mg/L。
【0072】
細胞培養をMVAウイルスに感染させ、TCID50アッセイで上清をウイルス力価に関して解析した。9mg/Lのプトレシンを添加することによって平均ウイルス力価(各n=4試料)を約60%増加させることができた(図7を参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書の一部に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−106616(P2013−106616A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−40650(P2013−40650)
【出願日】平成25年3月1日(2013.3.1)
【分割の表示】特願2008−548995(P2008−548995)の分割
【原出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】